JP3605258B2 - 高含水性ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents
高含水性ポリオレフィン系樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含水率が向上したポリオレフィン系樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、たとえば型内発泡成形品の原料として好適に使用しうるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製法に用いられる高含水性ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
一般に、型内発泡成形に使用するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の気泡径が小さすぎるばあい、該予備発泡粒子を用いて型内発泡成形させてえられた成形品の収縮率が大きくなりやすく、また成形品の形状が歪む(当業界においては通常ヒケやソリなどといわれる)などの欠点があり、成形体の商品価値の低下や成形体の生産性の悪化をもたらしている。
【0003】
そこで、型内発泡成形後の成形品の収縮率が小さく、成形品の形状を歪めない予備発泡粒子として、ポリオレフィン系樹脂100部(重量部、以下同様)に対し、カルボキシル基を含有するポリマー0.1〜10部を含有せしめたものを基材樹脂とし、気泡径が200〜500μmであるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子が提案されている(特開昭62−115042号公報)。
【0004】
前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、確かに、型内発泡成形後の成形品の収縮率が小さく、成形品の形状を歪めないという、すぐれた効果を奏するものであるが、ポリオレフィン系樹脂の融点およびその温度における水蒸気圧下での基材樹脂の含水率は1%(重量%、以下同様)未満と低く、含水粒子にして予備発泡させることができるようなものではなく、予備発泡粒子の製造の際には、いわゆる発泡剤を必要とするため、コスト高となるという欠点がある。また、前記発泡剤として、ブタン、フロンなどの揮発性発泡剤は、環境面から使用しないのが好ましく、炭酸ガスなどの無機ガスは、地球温暖化の原因となるため、使用しないのが好ましく、さらに予備発泡粒子の製造時に高圧にしなければならないため、大がかりな設備を必要とし、設備費が高価になるという欠点がある。
【0005】
したがって、近年、従来必要とされていた発泡剤を使用しなくても所望の物性を有するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造しうる方法の開発が待ち望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、揮発性発泡剤や無機ガスなどの発泡剤を使用しなくても所望の物性を有するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造することができる高含水性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するためになされたものであり、
結晶性ポリオレフィン系樹脂100部に対して親水性ポリマー0.05〜30部および(または)親水性無機化合物0.01〜10部を含有し、該ポリオレフィン系樹脂の融点およびその温度における水蒸気圧下での含水率が1〜50%であるポリオレフィン系樹脂組成物(請求項1)、
親水性無機化合物が、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸亜鉛、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、ホウ酸ナトリウムまたはリン酸ナトリウムである請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成物(請求項2)
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、結晶性ポリオレフィン系樹脂100部に対して親水性ポリマー0.05〜30部および(または)親水性無機化合物0.01〜10部を含有し、該ポリオレフィン系樹脂の融点およびその温度における水蒸気圧下での含水率が1〜50%を有するものである。
【0008】
前記結晶性ポリオレフィン系樹脂は、樹脂の種類や測定試料の調製方法によって異なるが、通常20〜95%の結晶部分を有することで特徴づけられ、MIとしては0.5〜30g/10分、曲げ弾性率としては1500〜20000kgf/cm2、融点115〜165℃の特性を有するポリオレフィン系樹脂である。その具体例としては、たとえばエチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム三元共重合体、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体などのポリエチレン系樹脂やポリブテン、ポリペンテンなどがあげられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また該ポリオレフィン系樹脂は無架橋の状態で用いてもよいが、パーオキサイドや放射線などにより架橋させて用いてもよい。これらのなかでは、ポリプロピレン系樹脂が、他のポリオレフィン系樹脂と比べて高発泡倍率の予備発泡粒子がえられやすく、また、えられた予備発泡粒子からなる成形体の機械的強度や耐熱性が良好であることから、本発明において好適に使用しうるものである。
【0009】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に含有される主成分である結晶性ポリオレフィン系樹脂以外の成分としては、親水性ポリマー、親水性無機化合物など結晶性ポリオレフィン系樹脂の含水率を高める作用を有するものがあげられる。これらは単独で加えられていてもよく、2種以上を組み合わせて加えられていてもよい。
【0010】
前記親水性ポリマーは、分子内にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、エステル基などの親水性基を有するポリマーであり、親水性のちがいなどにより、吸湿性ポリマー、吸水性ポリマーおよび水溶性ポリマーに分類される。
【0011】
前記吸湿性ポリマーとは、ASTM D570に準拠して測定された吸水率が0.5%以上であるポリマーをいう。
【0012】
前記吸湿性ポリマーの代表例としては、たとえばカルボキシル基含有ポリマー、ポリアミド、熱可塑性ポリエステル系エラストマー、セルロース誘導体などがあげられる。
【0013】
前記カルボキシル基含有ポリマーの具体例としては、たとえばエチレン−アクリル酸−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の分子間をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンをはじめ、亜鉛イオンなどの遷移金属イオンなどの金属イオンで架橋させたアイオノマー系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などがあげられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのカルボキシル基含有ポリマーのなかでは、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の分子間をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンで架橋させたアイオノマー系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂中での分散性にすぐれ、比較的少量で高含水率の含水ポリオレフィン系樹脂組成物がえられるので、本発明においてとくに好適に使用しうるものである。
【0014】
前記ポリアミドの具体例としては、たとえばナイロン−6、ナイロン−6,6、共重合ナイロン(EMS−CHEMIE AG社製、商品名グリルテックスなど)などがあげられる。これらのポリアミドは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記熱可塑性ポリエステル系エラストマーの具体例としては、たとえばポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールのブロック共重合体などがあげられる。これらの熱可塑性ポリエステル系エラストマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記セルロース誘導体の具体例としては、たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースなどがあげられる。これらのセルロース誘導体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記吸水性ポリマーとは、水に溶けることなく、自重の数倍から数百倍の水を吸収し、圧力がかかっても脱水されがたいポリマーをいう。
【0018】
前記吸水性ポリマーの具体例としては、たとえば架橋ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、架橋ポリビニルアルコール系重合体、架橋ポリエチレンオキサイド系重合体、イソブチレン−マレイン酸系共重合体などがあげられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記架橋ポリアクリル酸塩系重合体の具体例としては、たとえば(株)日本触媒製、商品名アクアリック、三菱化学(株)製、商品名ダイヤウェットなどで代表される架橋ポリアクリル酸ナトリウム系重合体などがあげられる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記架橋ポリビニルアルコール系重合体の具体例としては、たとえば日本合成化学工業(株)製、商品名アクアリザーブGPなどで代表される種々の架橋ポリビニルアルコール系重合体があげられる。かかる重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記架橋ポリエチレンオキサイド系重合体の具体例としては、たとえば住友精化(株)製、商品名アクアコークなどで代表される種々の架橋ポリエチレンオキサイド系重合体があげられる。かかる重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記イソブチレン−マレイン酸系共重合体の具体例としては、たとえば(株)クラレ製、商品名KIゲルなどで代表される種々のイソブチレン−マレイン酸系共重合体があげられる。かかる共重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記水溶性ポリマーとは、常温ないし高温状態で水に溶解するポリマーをいう。
【0024】
前記水溶性ポリマーの具体例としては、たとえばポリ(メタ)アクリル酸系重合体、ポリ(メタ)アクリル酸塩系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエチレンオキサイド系重合体、水溶性セルロース誘導体などがあげられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体としては、たとえばポリアクリル酸、アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記ポリ(メタ)アクリル酸塩系重合体としては、たとえばポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸カリウムなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記ポリビニルアルコール系重合体としては、たとえばポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体などがあげられる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記ポリエチレンオキサイド系重合体としては、たとえば分子量数万〜数百万のポリエチレンオキサイドなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記水溶性セルロース誘導体としては、たとえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記親水性ポリマーの使用量は、前記親水性ポリマーの種類によって異なるが、通常、所定の含水率を有するポリオレフィン系樹脂組成物をうるためには、結晶性ポリオレフィン系樹脂100部に対して0.05部以上、なかんづく0.5部以上にするのが好ましく、また、予備発泡粒子の製造時の生産安定性や発泡特性を良好にし、予備発泡粒子からえられる成形体にすぐれた機械的強度や耐熱性を付与するとともに、吸水時の寸法変化を抑制するためには、ポリオレフィン系樹脂100部に対して30部以下にするのが好ましい。
【0031】
前記親水性無機化合物は、100℃の水100gに対する溶解度が20g以上を示す無機化合物であり、その具体例としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸亜鉛、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
前記親水性無機化合物の使用量は、前記親水性無機化合物の種類によって異なるが、通常、所定の含水率を有するポリオレフィン系樹脂組成物をうるためには、結晶性ポリオレフィン系樹脂100部に対して0.01部以上、なかんづく0.1部以上にするのが好ましく、また予備発泡粒子の製造時の生産安定性や発泡特性を良好にし、予備発泡粒子からえられる成形体にすぐれた成形性、機械的強度や柔軟性を付与するとともに、吸水時の寸法変化を抑制するためには、結晶性ポリオレフィン系樹脂100部に対して10部以下、なかんづく5部以下にするのが好ましい。
【0033】
なお、前記ポリオレフィン系樹脂組成物には、充填剤を含有せしめるのが好ましい。前記ポリオレフィン系樹脂組成物に充填剤を含有せしめるばあいには、気泡が均一で、高発泡倍率の予備発泡粒子をうることができる。
【0034】
前記充填剤は、無機充填剤と有機充填剤とに大別される。
【0035】
前記無機充填剤の具体例としては、たとえばタルク、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどがあげられる。これらの無機充填剤は、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。これらの無機充填剤のなかでは、タルクは、気泡が均一で高発泡倍率を有する予備発泡粒子がえられるので、本発明においてとくに好適に使用しうるものである。
【0036】
前記有機充填剤は、前記ポリオレフィン系樹脂の軟化温度以上の温度で固体状のものであればよく、とくに限定がない。前記有機充填剤の具体例としては、たとえばフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、熱可塑性ポリエステル樹脂粉末などがあげられる。これらの有機充填剤は、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記充填剤の平均粒子径は、気泡が均一で高発泡倍率を有する予備発泡粒子をつくり、また該予備発泡粒子から機械的強度や柔軟性などにすぐれた成形体をうるために、50μm以下、なかんづく10μm以下であるのが好ましい。
【0038】
前記充填剤の使用量は、高発泡倍率の予備発泡粒子をうるためには、結晶性ポリオレフィン系樹脂100部に対して0.01部以上、なかんづく0.1部以上にするのが好ましく、また予備発泡粒子を成形する際に、すぐれた融着性を発現させ、該予備発泡粒子から機械的強度や柔軟性などにすぐれた成形体をうるためには、結晶性ポリオレフィン系樹脂100部に対して10部以下、なかんづく5部以下にするのが好ましい。
【0039】
前記結晶性ポリオレフィン系樹脂および親水性ポリマーおよび(または)親水性無機化合物、必要により充填剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物は、通常、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いて溶融混練し、ついで円柱状、楕円柱状、球状、立方体状、直方体状など予備発泡に利用しやすい所望の粒子形状に成形するのが好ましい。
【0040】
前記結晶性ポリオレフィン系樹脂の融点およびその温度における水蒸気圧下で本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の含水率は、1〜50%である。前記ポリオレフィン系樹脂組成物の含水率が1%未満のばあい、みかけの発泡倍率が5倍未満となる傾向があるので、1%以上、なかんづく3%以上であり、また、50%をこえると、ポリオレフィン系樹脂組成物粒子の水系分散媒に対する分散性が低下し、予備発泡粒子製造時に密閉容器内で粒子が塊状になり、均一に予備発泡させることができなくなるので、50%以下、なかんづく30%以下である。
【0041】
なお、前記ポリオレフィン系樹脂組成物の融点は、DSCによって10℃/分の昇温速度で測定したときの溶解ピークの頂点の温度を求める方法により求められ、その温度における水蒸気圧下での含水率は、以下のようにして求められる。
【0042】
すなわち、300cc耐圧アンプル中に前記ポリオレフィン系樹脂組成物粒子50g、水150g、分散剤としてパウダー状塩基性第三リン酸カルシウム0.2g、n−パラフィンスルホン酸ソーダ0.003gを入れ、密閉後に前記結晶性ポリオレフィン系樹脂の融点に設定した油浴中で3時間加熱処理する。さらに室温まで冷却後、取り出し、充分水洗して分散剤を除去したのち、えられた含水ポリオレフィン系樹脂組成物粒子の表面の付着水分を除去したものの重量(X)を求め、ついでその樹脂の融点よりも20℃高い温度に設定されたオーブン中で3時間乾燥させ、デシケータ中で室温まで冷却させたあとの重量(Y)を求め、式(I):
【0043】
【数1】
【0044】
にしたがって求められた値をいう。
【0045】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子は、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂ならびに親水性ポリマーおよび(または)親水性無機化合物などを含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなる粒子を密閉容器内で水系分散媒に分散させ、該粒子を前記結晶性ポリオレフィン系樹脂の軟化温度以上の温度に加熱し、含水率が1〜50%のポリオレフィン系樹脂組成物からなる粒子としたのち、前記密閉容器の一端を解放し、前記含水粒子および水系分散媒を前記密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中に放出させ、含水粒子を発泡させることにより製造される。
【0046】
本発明において、密閉容器内で前記樹脂組成物粒子が水系分散媒に分散せしめられるが、このとき、分散剤として、第三リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウムなどや、界面活性剤、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、n−パラフィンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダなどが使用されうる。前記分散剤および界面活性剤の使用量について特別な限定はなく、一般に使用される量使用すればよい。
【0047】
なお、前記水系分散媒は、その代表的なものとして、水があげられるが、かかる水に必要により、エチレングリコール、エチルアルコール、グリセリンなどが含有されたものであってもよい。
【0048】
本発明においては、前記含水粒子および水系分散媒を前記密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中、通常、大気圧下に放出させ、前記含水粒子を発泡させるという手段が採られる。
【0049】
かくしてえられるポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子は、みかけ発泡倍率5〜60倍、さらには10〜30倍、独立気泡率80〜100%、さらには85〜100%および平均気泡径50〜500μm、さらには100〜300μmを有するものである。
【0050】
前記みかけ発泡倍率が5倍未満のばあい、前記予備発泡粒子からえられる成形体の柔軟性、緩衝特性などが不充分となり、また60倍をこえるばあい、前記予備発泡粒子からえられる成形体の機械的強度、耐熱性などが不充分となる。また、前記独立気泡率が80%未満のばあい、前記予備発泡粒子の2次発泡力が不足し、成形時に融着不良が発生し、えられる成形体の機械的強度などが低下する。また、前記平均気泡径が50μm未満のばあい、前記予備発泡粒子からえられた成形体の形状が歪むなどの問題が生じ、500μmをこえるばあい、前記予備発泡粒子からえられた成形体の機械的強度が低下する。
【0051】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子は、80%以上の独立気泡率を有するので、さらに要すればこの予備発泡粒子を耐圧容器中で加熱加圧下、一定時間処理することによって空気含浸を行なったのちにこの予備発泡粒子を成形用金型に充填し、蒸気加熱により、加熱発泡成形して金型どおりの発泡成形体を製造してもよい。
【0052】
かくしてえられる発泡成形体は、寸法収縮率が小さく、形状変形が小さいので、きわめて商品価値の高いものとなる。
【0053】
【実施例】
つぎに本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
実施例1〜8および比較例1〜3
ポリオレフィン系樹脂(エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン含量3.1%、融点145℃)100部に表1に示す量の親水性ポリマー(実施例1〜6および比較例1〜2:エチレン−メタクリル酸共重合体の分子間をナトリウムイオンで架橋させたアイオノマー(メタクリル酸単位含有率15%、イオン化度59%)、実施例7:架橋ポリエチレンオキサイド系重合体(住友精化(株)製、アクアコークT(商品名)))、親水性無機化合物(実施例8:ほう砂、平均粒子径0.5μm)および充填剤(タルク、平均粒子径9.5μm)を混合してえられたポリオレフィン系樹脂組成物のペレット(1.8mg/粒)を製造した。
【0055】
なお、比較例3においては、親水性ポリマーのかわりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学工業(株)製、エバテートK3010(商品名)、酢酸ビニル含量28%)5部を用いた。
【0056】
このペレットの含水率を前記方法にしたがって求めた。結果を表1に示す。
【0057】
えられたペレット100部、分散剤としてパウダー状塩基性第三リン酸カルシウム0.5部およびn−パラフィンスルホン酸ソーダ0.006部を水300部とともに密閉容器内に仕込み、155℃に加熱した。このときの圧力は約5.6kg/cm2・Gであった。そののち、容器内の圧力を5.6kg/cm2・Gに保持しつつ、密閉容器下部のバルブを開いて水分散物(含水粒子および水系分散媒)を大気圧下に放出して予備発泡を行なった。
【0058】
えられた予備発泡粒子の物性として、みかけ発泡倍率、独立気泡率、平均気泡径および気泡のバラツキを以下の方法にしたがって測定した。結果を表1に示す。
【0059】
(みかけ発泡倍率)
内容量1リットルのビーカーに、えられた予備発泡粒子をすり切ることができるまで静かに入れ、振動を加えずに、平板で予備発泡粒子をすり切り、ビーカー内の予備発泡粒子の重量を測定し、みかけの密度を算出した。
【0060】
つぎに、予備発泡粒子をうるために用いた樹脂組成物のペレットの密度をみかけの密度で除して、えられた値をみかけ発泡倍率とした。
【0061】
(独立気泡率)
空気比較式比重計(ベックマン(BECKMAN)社製、930型)を用いて、えられた予備発泡粒子の独立気泡体積を求め、かかる独立気泡体積を別途水没法で求めたみかけ体積で除することによって算出した。
【0062】
(平均気泡径)
えられた予備発泡粒子の中から任意に30個の予備発泡粒子を取り出し、JIS K 6402に準拠して気泡径を測定し、平均気泡径(d)を算出した。
【0063】
(気泡のバラツキ)
平均気泡径(d)と気泡径のバラツキを表わす標準偏差(σ)との比(気泡のバラツキU)を求めた。
【0064】
U=(σ/d)×100(%)
Uが小さいほど気泡が均一であることを示す。
【0065】
○:Uの値が35%未満
△:Uの値が35〜45%
×:Uの値が45%をこえる
【0066】
【表1】
【0067】
表1の結果から、実施例1〜8でえられた予備発泡粒子は、いずれも高発泡倍率で、均一微細気泡を有する独立気泡率の高い予備発泡粒子であることがわかる。
【0068】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を用いれば、発泡剤を使用しなくても、みかけ発泡倍率5〜60倍、独立気泡率80〜100%および平均気泡径50〜500μmという、すぐれた性質を有するポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子がえられる。
【0069】
したがって、該予備発泡粒子を用いたばあい、えられる型内発泡成形品の収縮率が小さく、またその成形品の歪みも小さいので、みばえなどの外観面にすぐれ、しかも成形体の生産効率が向上するようになる。したがって、該予備発泡粒子は、寸法精度を要求される車輌用衝撃吸収体などの構造部材、断熱建材などに好適に使用しうるものであり、また緩衝包装材などの用途にも有用である。
Claims (2)
- 結晶性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して親水性ポリマー0.05〜30重量部および(または)親水性無機化合物0.01〜10重量部を含有し、該ポリオレフィン系樹脂の融点およびその温度における水蒸気圧下での含水率が1〜50重量%であるポリオレフィン系樹脂組成物。
- 親水性無機化合物が、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸亜鉛、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、ホウ酸ナトリウムまたはリン酸ナトリウムである請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
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