JP4761414B2 - 熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水溶液に分散している熱可塑性樹脂粒子に、加圧、加熱下において物理発泡剤を含浸せしめた後、熱可塑性樹脂粒子を低圧域に放出して発泡粒子を製造する方法は、従来公知である。
【0003】
又、上記熱可塑性樹脂発泡粒子を、閉鎖しうるが密閉しえない金型内に充填した後スチームを用いて加熱融着させることにより、成型体を製造する方法も公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スチームは取扱いが容易な上に比熱が大きいので、加熱媒体として優れている反面、発泡粒子の型内成形においてこのスチームによる加熱融着方法は冷却時間が長くなるという欠点がある。従って、スチームを用いて加熱融着させる方法において、冷却時間の短縮化による生産性の向上が従来から望まれていた。
【0005】
本発明は上記問題を解決すべくなされたものであって、熱可塑性樹脂発泡粒子を閉鎖しうるが密閉しえない金型内に充填した後スチームを用いて成型体を製造する方法において、冷却時間の短縮化が可能な熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、(1)嵩密度D(g/cm)に対する見掛け密度D(g/cm)の比(D/D)が1.6〜3の熱可塑性樹脂発泡小片に1.3〜7kgf/cmの内圧を付与し、該内圧が付与された熱可塑性樹脂発泡小片を成形型内に充填し、スチームにより加熱成型することにより、空隙率が0〜11体積%、透水係数が0cm/secの成型体を得る方法であって、該熱可塑性樹脂発泡小片が下記(a)〜(c)のいずれかであることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法、
(a)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.018g/cm 〜0.11g/cm であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.07〜0.5である。
(b)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリエチレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.018g/cm 〜0.8g/cm であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.07〜0.5である。
(c)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.11g/cm を超え0.8g/cm 以下であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.03〜0.5である。
(但し、前記熱可塑性樹脂発泡小片の「見掛け密度」は、23℃のエタノールが入ったメスシリンダー中に重量W1(g)の発泡小片群を沈め、エタノールのメニスカスの上昇分より該発泡小片群の体積V1(cm )を読み取り、該発泡小片群の重量W1を体積V1で除した値である。また「嵩密度」は、空のメスシリンダー中に重量W2(g)の発泡小片群を入れて、該発泡小片群の体積V2(cm )を読み取り、該発泡小片群の重量W2を体積V2で除した値である。)
(2)前記熱可塑性樹脂発泡小片が前記(a)又は(b)の熱可塑性樹脂発泡小片であることを特徴とする前記(1)に記載の熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法、
(3)嵩密度D (g/cm )に対する見掛け密度D (g/cm )の比(D /D )が1.6〜3の熱可塑性樹脂発泡小片を成形型内に充填し、スチームにより加熱成型することにより、空隙率が0〜11体積%、透水係数が0cm/secの成型体を得る方法であって、該熱可塑性樹脂発泡小片を成形型内に圧縮率が5〜40体積%となるように充填することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法、
(但し、前記熱可塑性樹脂発泡小片の「見掛け密度」は、23℃のエタノールが入ったメスシリンダー中に重量W1(g)の発泡小片群を沈め、エタノールのメニスカスの上昇分より該発泡小片群の体積V1(cm )を読み取り、該発泡小片群の重量W1を体積V1で除した値である。また「嵩密度」は、空のメスシリンダー中に重量W2(g)の発泡小片群を入れて、該発泡小片群の体積V2(cm )を読み取り、該発泡小片群の重量W2を体積V2で除した値である。)
(4)前記熱可塑性樹脂発泡小片が下記(a)〜(c)のいずれかであることを特徴とする前記(3)に記載の熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法、
(a)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.018g/cm 〜0.11g/cm であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.07〜0.5である。
(b)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリエチレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.018g/cm 〜0.8g/cm であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.07〜0.5である。
(c)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.11g/cm を超え0.8g/cm 以下であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.03〜0.5である。
(5)熱可塑性樹脂発泡小片が内部に貫通孔を有する筒状体であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法、
(6)熱可塑性樹脂発泡小片が肢状部を有する柱状体であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法、を要旨とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法においては、嵩密度Db(g/cm3)に対する見掛け密度Dt(g/cm3)の比(Dt/Db)が1.6〜3の熱可塑性樹脂発泡小片(以下、「発泡小片」という。)を使用する。密度の比(Dt/Db)がこの範囲内であれば、冷却時間が従来の方法に比較して短縮化される。
【0008】
密度の比(Dt/Db)が1.6未満の場合は、該密度比の発泡小片を型内成型して得られる成型体は、外観及び物性共に良好なものとなるが、本発明の目的とする成型サイクルの短縮化が達成できない。
一方、密度の比(Dt/Db)が、3を超える場合は、該密度比の発泡小片を型内成型して得られる成型体が透水性を有する連通した空隙を有するものとなってしまい、通常の成型体と同等の外観及び物性を有するものが得られない。
【0009】
本明細書における発泡小片の見掛け密度Dは次のように求める。まず、発泡小片に1.3〜7kgf/cmの内圧を付与した後、大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置する。次に同恒温室内にて、10日間放置した発泡小片を500個以上採取し、該発泡小片群の重量W1(g)を測定した後ただちに23℃のタノールが入ったメスシリンダー中に上記重量を測定した発泡小片群を金網等を使用して沈め、エタノールのメニスカスの上昇分より発泡小片群の体積V1(cm)を読み取り、下記(1)式により発泡小片の見掛け密度Dを計算する。
【0010】
【数1】
t=W1/V1 … (1)
【0011】
本明細書における発泡小片の嵩密度Dbは次のように求める。まず、発泡小片に1.3〜7kgf/cm2の内圧を付与した後、大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置する。次に同恒温室内にて、10日間放置した発泡小片を500個以上採取し、該発泡小片群の重量W2(g)を測定した後ただちに空のメスシリンダー中に上記重量を測定した発泡小片群を入れて、メスシリンダーの目盛りから該発泡小片群の体積V2(cm3)を読み取り、下記(2)式により発泡小片の嵩密度Dbを計算する。
【0012】
【数2】
b=W2/V2 … (2)
【0013】
本発明においては、前記密度の比(Dt/Db)が1.6〜3の熱可塑性樹脂発泡小片に1.3〜7kgf/cm2の内圧を付与する。かかる内圧が付与された発泡小片を用いてスチームにより加熱成型すると、成型サイクルが短縮化されると共に、後述するように空隙率が0〜11体積%、透水係数が0cm/secである、外観、物性共に従来の発泡成型体と同等の成型体を得ることができる。
【0014】
上記内圧が1.3kgf/cm2未満の場合は、発泡小片を成形型内に圧縮充填する等の手段により加熱成型時に発泡能を付与しなければ、透水係数が0cm/secの成型体を得ることができない虞がある。一方、上記内圧が7kgf/cm2を超える場合は、型内成形により得られた発泡小片成型体の寸法安定性が不充分なものとなり、金型形状通りのものが得られない虞がある。
【0015】
発泡小片に内圧を付与する方法としては、発泡小片を加圧タンク内に入れて、空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガスあるいはブタン、プロパン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の有機ガスを圧入し、必要に応じて加温し、加圧下で数時間から数十時間保持する方法が挙げられる。上記各種のガスの中でも安価な空気、二酸化炭素等の無機ガスが好適に用いられる。
【0016】
次に、前記内圧が付与された発泡小片を成形型内に充填した後、スチームにより加熱成型を行なう。即ち、内圧が付与された発泡小片を閉鎖し得るが密閉し得ない金型内に充填した後、該金型内にスチームを導入することにより、発泡小片を加熱し発泡させ、相互に融着させて金型の形状を有する発泡小片成型体(以下、成型体という。)とする。
【0017】
上記加熱成型においては、金型内に充填された発泡小片の形状、基材樹脂の融点、該発泡小片の金型内での膨張力、成形体の収縮等を十分考慮して加熱温度、加熱時間等の加熱条件を適宜決定することが好ましい。
【0018】
尚、発泡小片の加熱融着成形後、得られた成形体を金型内において冷却するに当たっては、水冷方式を採用することもできるが、バキューム方式によりスチームの気化熱を利用して冷却することが好ましい。
【0019】
本発明において、前記加熱成型することにより得られた成型体は、空隙率が0〜11体積%、透水係数が0cm/secである。
空隙率が11体積%を超えると、得られた成型体は発泡小片相互の融着が不充分で、緩衝材、包装資材、各種容器等として使用する場合に要求される圧縮強度、融着強度等を得ることができない虞があり、外観において従来公知の発泡粒子成型体よりも劣るものとなる。又、透水係数が0cm/secでない場合も同様に、要求される圧縮強度、融着強度等を得ることができない虞がある。特に、透水係数が0cm/secでなければ、魚箱等の液体を入れる容器としては使用することができない。
【0020】
本明細書における空隙率(A)は下記(3)式によって算出される。
【0021】
【数3】
A(%)=〔(B−C)/B〕×100 …(3)
【0022】
但し、Bは成型体の外形寸法から算出される体積(cm3)であり、Cは成型体の空隙部を除いた体積(cm3)であり、成型体を液体(例えばアルコール)中に沈めた時の増量分として該体積を測定することによって求めることができる。
【0023】
本明細書における透水係数は、JIS A1218に準拠し、試料として砂に代えて本発明の成型体(縦120mm、横120mm、厚さ50mm)を用い、試料を入れる円筒に代えて角筒を用い、定水位式による透水性測定を行なうことによって求められる。
【0024】
本発明においては、前記密度の比(Dt/Db)が1.6〜3の発泡小片を、成形型内に圧縮率が5〜40体積%となるように充填した後、スチームにより加熱成型する方法を採用することによっても目的とする成型体を得ることができる。
【0025】
圧縮率が5体積%未満の場合は、発泡小片に適当な内圧を付与したものを使用しなければ、型内成型により発泡小片相互の融着が不充分となり、空隙率が0〜11体積%、透水係数が0cm/secの成型体を得ることができない虞がある。一方、圧縮率が40体積%を超える場合は、スチームの通りが悪くなり成型体内部の融着が不十分となる虞がある。
【0026】
圧縮率の調整は、発泡小片の密度の比(Dt/Db)、発泡小片の形状等に応じて、発泡小片の充填空気圧を適宜調節したり、発泡小片を金型内に充填する際に金型の型開き(クラッキング)を調節する方法等によって行なわれる。このクラッキングとは、発泡小片を金型に充填する際に金型内の空気を金型内から排気したり、発泡小片の金型内への充填を効率を良く行うために、金型を完全に閉鎖させないようにする金型の開き部分をいい、クラッキングは金型内に発泡小片を充填後、スチームを導入する際には最終的に閉じられる。
【0027】
本明細書における圧縮率は、下記(4)式により求められる。尚、式中において、aは金型内に充填した発泡小片の重量(g)を、bは発泡小片の嵩密度(g/cm3)を、cは金型内(キャビティー)体積(cm3 )をそれぞれ表す。
【0028】
【数4】
圧縮率(%)=[(a/(b×c))−1}×100 …(4)
【0029】
次に、本発明において使用する発泡小片の好ましい態様について、図1、図2に基づいて説明する。好ましい発泡小片の一の態様は、図1に示すような、内部に貫通孔を有する筒状体である。かかる形状の発泡小片は、密度の比(Dt/Db)が1.6〜3であるものとすることが容易であり、得られる成型体の発泡小片相互の融着性が特に良好となる。尚、図1,2において、1は発泡小片を、2は貫通孔を、3は肢状部をそれぞれ示す。
【0030】
上記貫通孔を有する筒状体の断面形状としては、図1に示すように、(ア)中空円状(ドーナツ状)、(イ)中空三角状、(ウ)中空六角状、(エ)中空円の中に仕切りがある形状、(オ)2つの中空円が並列した形状、(カ)3つの中空円のそれぞれが接触して並列した形状、(キ)一部に断裂部dを有する中空円形状、(ク)一部に断裂部dを有する中空四角形状等がある。
【0031】
また好ましい発泡小片の他の好ましい態様は、図2に示すような、外側に肢状部を有する柱状体である。かかる形状の発泡小片も、密度の比(Dt/Db)が1.6〜3であるものとすることが容易である。
【0032】
上記肢状部を有する柱状体の断面形状としては、図2に示すように、(サ)3本の肢状部3を有するもの、(シ)5本の肢状部3を有するもの、(ス)8本の肢状部3を有するもの、(セ)中実円fの周囲の均等の位置に4本の肢状部3を有するもの、(ソ)中実三角gの周囲の均等の位置に6本の肢状部3を有するもの、(タ)中実四角hの周囲の均等の位置に4本の肢状部3を有するもの、(チ)中空円iの周囲の均等の位置に3本の肢状部3を有する貫通孔を有するもの、(ツ)中空三角形jの周囲に均等の位置に3本の肢状部3を有するもの、(テ)中空四角形kの周囲の均等の位置に4本の肢状部3を有する貫通孔を有するもの、(ト)中空円iの周囲の均等の位置に6本の肢状部3を有する貫通孔を有するもの、(ナ)中空三角形jの周囲の均等位置に6本の肢状部3を有する貫通孔を有するもの、(ニ)4本の肢状部3を有するもの、(ヌ)6本の肢状部3を有するもの等が挙げられる。
【0033】
上記の肢状部3の数は3〜8個が好ましく、肢状部3の数が9個以上では発泡小片を得るための樹脂ペレット製造が困難であり、また肢状部3の数が2個以下では密度の比(Dt/Db)を1.6〜3とする効果があまり期待できない。
【0034】
尚、本発明に用いられる発泡小片の上記断面形状は、定形であることが好ましいが、本発明においては不定形のものでもよい。又、本発明においては、上記(チ)、(ツ)、(テ)、(ト)のように貫通孔と肢状部とを共に有するものも発泡小片の好ましい態様の一つである。
【0035】
本発明においては、見掛け密度Dtが通常0.018〜0.8g/cm3の発泡小片を用いるが、成型体の圧縮強度を高くできること、重量を少なくできること及び経済性の点から見掛け密度Dtが0.02〜0.2g/cm3のものを用いることが好ましい。
【0036】
本発明の発泡小片の基材樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとのブレンド又はグラフトポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ハイインパクトスチレンなどのスチレン系重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、エチレン又はプロピレンと塩化ビニルのコポリマーなどの塩化ビニル系重合体;ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0037】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えばエチレン−ブテンランダムコポリマー、エチレン−ブテンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンランダムターポリマー、ホモポリプロホピレンなどのポリプロピレン系樹脂、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−メチルメタクリレートコポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマーの分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー系樹脂などのポリエチレン系樹脂やポリブテン−1、ポリペンテン、エチレン−アクリル酸−無水マレイン酸ターポリマーなどが挙げられる。
【0038】
発泡小片を構成するその他の樹脂として、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、β−ヒドロキシ酪酸及びその共重合体、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、変成デンプン等の生分解生プラスチックの1種又は2種以上の混合物等も挙げられる。
【0039】
上記生分解性プラスチックと非分解性のプラスチックとを混合して用いるような場合は、生分解性プラスチックと非分解性のプラスチックを発泡前に混合しておいてもよく、また上記両者を発泡させた発泡小片同士を混合してもよく、また生分解性プラスチックの非発泡樹脂粒子を非分解性のプラスチックからなる発泡小片と混合してもよい。
【0040】
また、成形体に更なる柔軟性が要求される場合は、エチレン−プロピレンラバー等の熱可塑性エラストマーを上記した基材樹脂に5〜40wt%添加することが好ましい。
【0041】
前記基材樹脂の中でも、本発明において用いる基材樹脂としては、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、プロピレン−ブテンコポリマー、エチレン−ブテン−プロピレンターポリマー等のポリプロピレン系樹脂や、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂が、回復性が良好であることから特に好ましい。
【0042】
更に、発泡小片の基材樹脂としてポリプロピレン系樹脂を選択した場合、見掛け密度Dtは0.018〜0.8g/cm3であることが好ましい。見掛け密度Dtが0.018g/cm3未満の場合は、該密度の良好な発泡小片を製造することが、操作やコストの面で容易ではなく、該発泡小片から得られる成型体も機械的物性が不充分となる虞がある。一方、Dtが0.8g/cm3を超える場合は、型内成型性が悪くなり、外観、発泡小片相互の融着性の悪い成型体となり易く、得られる成型体は軽量性の点においても不充分なものとなる虞れがある。
【0043】
更に、ポリプロピレン系樹脂からなる発泡小片の見掛け密度Dtが0.11g/cm3を超え0.8g/cm3以下の場合は、発泡小片の高温側ピーク熱量HHと全ピーク熱量HTとのピーク熱量比(HH/HT)が0.03〜0.5であることが好ましい。該ピーク熱量比(HH/HT)が0.03未満の場合は、該発泡小片から得られた成型体の寸法安定性が悪く、目的とする金型形状通りの成型体が得られない虞がある。一方、ピーク熱量比(HH/HT)が0.5を超える場合は、型内成型時における発泡小片の膨張力が不充分なために、得られる成型体において発泡小片相互の融着性、外観が不充分なものとなり、成型体を構成している発泡小片相互間に間隙が存在する成型体となる可能性がある。
【0044】
またポリプロピレン系樹脂からなる発泡小片の見掛け密度Dtが0.018〜0.11g/cm3の場合は、ピーク熱量比(HH/HT)が0.07〜0.5であることが好ましい。該ピーク熱量比(HH/HT)が0.07未満の場合は、該発泡小片から得られた成型体の寸法安定性が悪く、目的とする金型形状通りの成型体が得られない虞がある。一方、ピーク熱量比(HH/HT)が0.5を超える場合は、型内成型時における発泡小片の膨張力が不充分なために、得られる成型体において発泡小片相互の融着性、外観が不充分なものとなり、成型体を構成している発泡小片相互間に間隙が存在する成型体となる可能性がある。
【0045】
発泡小片の基材樹脂としてポリエチレン系樹脂を選択した場合は、前記ポリプロピレン系樹脂の場合と同様の理由で、発泡小片の見掛け密度Dtは0.018〜0.8g/cm3であることが好ましい。
【0046】
更に、ポリエチレン系樹脂からなる発泡小片の高温側ピーク熱量HHと全ピーク熱量HTとのピーク熱量比(HH/HT)は、0.07〜0.5であることが好ましい。該ピーク熱量比(HH/HT)が0.07未満の場合は、該発泡小片から得られた成型体の寸法安定性が悪く、目的とする金型形状通りの成型体が得られない虞がある。一方、ピーク熱量比(HH/HT)が0.5を超える場合は、型内成型時における発泡小片の膨張力が不充分なために、得られる成型体において発泡小片相互の融着性、外観が不充分なものとなり、成型体を構成している発泡小片相互間に間隙が存在する成型体となる可能性がある。
【0047】
本明細書における発泡小片の高温側ピーク熱量Hは、発泡小片1〜8mgを示差走査熱量計を用いて10℃/minの速度で220℃まで昇温して得たDSC曲線(図3)における高温側ピークbの面積に相当し、次のように求めることができる。まず、図3に示すようにDSC曲線上80℃の点を点Iとし、DSC曲線上の該樹脂の融解終了温度を示す点IIとを結ぶ直線を引く。次に、固有吸熱ピークaと高温側ピークbとの谷部にあたるDSC曲線の点IIIを通りグラフ横軸の温度に対して垂直な直線を、点Iと点IIとを結んだ直線へ引き、その交点をIVとする。このようにして求めた点IVと点IIとを結ぶ直線、点IIIと点IVとを結ぶ直線及び点IIIと点IIとを結ぶDSC曲線によって囲まれる部分(図3:斜線部分)の面積が高温側ピークの吸熱量に相当する。
【0048】
又、本明細書における全ピーク熱量Hは、図3に示すようにDSC曲線上の80℃の点I以上の温度領域の吸熱ピーク、即ち、固有吸熱ピークaの面積と高温側ピークbの面積との合計に相当する。又、固有吸熱ピークaの面積は、点IVと点Iとを結ぶ直線、点IIIと点IVとを結ぶ直線及び点IIIと点Iを結ぶDSC曲線によって囲まれる部分(図3:白抜部分)の面積に相当する。
【0049】
基材樹脂に着色顔料、染料又は無機物等の添加剤を添加する場合は、添加剤をそのまま基材樹脂に練り込むこともできるが、通常は分散性等を考慮して添加剤のマスターバッチを作り、それと基材樹脂とを混練することが好ましい。着色顔料、染料の添加量は着色の色によっても異なるが、通常基材樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が好ましく、またタルク、炭酸カルシウム、ホウ砂、ホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム等の無機物を添加する場合はその添加量は基材樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部とするのが好ましい。無機物を基材樹脂に上記の量添加することにより、発泡倍率の向上効果、気泡径を50〜500μmに調整できる効果が期待できる。
【0050】
次に、本発明において要求される密度の比(Dt/Db)を有する発泡小片の製造方法の一例を、前記図1、図2に示す態様の発泡小片を例にとって説明する。該発泡小片は、まず、未発泡の熱可塑性樹脂小片(以下、「樹脂小片」という。)を製造した後、該未発泡の樹脂小片を発泡することにより得ることができる。
【0051】
上記樹脂小片は、タルク、炭酸カルシウム、ホウ砂、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛等の無機物等の添加剤を加えた基材樹脂を押出機内で加熱、混練して目的とする発泡小片の断面形状と相似の断面形状を有するダイから押し出して、冷却後適宜長さに切断する等の手段により造粒することができる。
【0052】
尚、内部に貫通孔を有する柱状の樹脂小片は、溶融樹脂出口に所望の樹脂小片の断面形状と同様のスリットを有する押出機ダイを使用することにより製造できる。更に、貫通孔を有する筒状として押出されたストランドの孔が潰れることを防ぐために、前記スリットの内側にストランドの貫通孔内部の圧力を常圧もしくはそれ以上に保つための圧力調整孔を設けたダイを使用することが好ましい。尚、圧力調整孔は気体圧入装置に連結されて空気等をストランドの貫通孔内部に供給したり、ストランドの貫通孔内部を常圧部と連通させることにより、貫通孔内部を常圧又はそれ以上の圧力に保つことができる。
【0053】
発泡小片は、上記樹脂小片を物理発泡剤等と共にオートクレーブ等の密閉容器内において水に分散させ、樹脂小片の軟化温度以上の温度に加熱し、樹脂小片内に発泡剤を含浸させ、次に、密閉容器内の圧力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら、密閉容器内の水面下の一旦を開放し、樹脂小片と水とを同時に容器内よりも低圧の雰囲気下に放出することによって得ることができる。
尚、樹脂小片の寸法比率は、発泡によって全体の寸法が大きくなっても発泡前と後で大きな変化はない。
【0054】
但し、本発明においては、発泡小片を得る方法としては上記方法以外にも、押出機を用いて所望の断面形状を有するダイから発泡体を直接押出して、該発泡体を適当な長さにカットすることにより発泡小片を得る等、発泡体を製造する従来公知の方法を適用することができる。
【0055】
発泡小片の製造において用いられる発泡剤としては、通常、プロパン、イソブタン、ブタン、イソペンタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロヘキサン、クロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン等の有機系物理発泡剤や、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気等の無機系物理発泡剤が挙げられるが、なかでもオゾン層の破壊がなく且つ安価な無機ガス系発泡剤が好ましく、特に窒素、空気、二酸化炭素が好ましい。又、上記発泡剤の二種以上の混合系にて使用することもでき、発泡倍率の高い発泡小片を得ることを考慮すると、二酸化炭素とブタンとの混合発泡剤が好ましい。
【0056】
発泡剤の使用量は得ようとする発泡小片の見掛け密度と発泡温度との関係に応じて適宜に選択される。具体的には、窒素、空気を除く上記発泡剤の場合、発泡剤の使用量は通常樹脂小片100重量部当り2〜50重量部である。また窒素、空気の場合は、密閉容器内の圧力が10〜70kgf/cm2 Gの圧力範囲内となる量が使用される。
【0057】
密閉容器内において、樹脂小片を分散させるための分散媒としては、樹脂小片を溶解しないものであればよく、このような分散媒としては例えば、水、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げられるが、通常は水が使用される。
【0058】
密閉容器内において、基材樹脂小片を分散媒に分散せしめて発泡温度に加熱するに際し、樹脂小片相互の融着を防止するために融着防止剤を用いることもできる。融着防止剤としては水等に溶解せず、加熱によっても溶融しないものであれば、無機系、有機系を問わずいずれも使用可能であるが、一般的には無機系のものが好ましい。
【0059】
無機系の融着防止剤としては、カオリン、タルク、マイカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム等の粉体が好適である。また分散助剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤が好適に使用される。上記融着防止剤としては平均粒径0.001〜100μm、特に0.001〜30μmのものが好ましい。また融着防止剤の添加量は樹脂小片100重量部に対し、通常は0.01〜10重量部が好ましい。また界面活性剤は樹脂小片100重量部当たり、通常0.001〜5重量部添加することが好ましい。
【0060】
本発明においては、以上説明した方法により、空隙率が0〜11体積%、透水係数が0cm/secの成型体を製造すると、成型サイクルを短縮化できる。かかる方法により成型サイクルが短縮化できる理由は、発泡小片が広い表面積を有するのでスチームが発泡小片中に浸透しやすいこと、更にスチームが発泡小片どうしの界面に付着し易いことに起因すると考えられる。
【0061】
即ち、発泡小片を金型内に充填した後、スチームにより加熱発泡せしめてから成型体を冷却すると、加熱に要したスチームは液化し水になるが、本発明による発泡小片を金型内に充填しスチームにより加熱発泡させた場合、発泡小片気泡内にスチームが浸透し易く、より多くのスチームが気泡内に浸透する。このようにより多くのスチームが気泡内に浸透した成型体は、浸透したスチームが冷却されて凝縮する際に、より多くのスチームが浸透している分だけ、通常よりも成型体の冷却速度、体積収縮速度が速まることになる。その結果、成型体を良好なものとなる程度に十分に冷却して取出せるまでの冷却時間が短縮される。
【0062】
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0063】
実施例1〜5、比較例1〜2
表1(実施例1〜5、比較例1〜2)にそれぞれ示す各基材樹脂と、ホウ酸亜鉛とを押出機内で溶融混練し、その後、表1に示すような断面形状に相似する形状のスリットを有するダイからストランド状に押し出して水中で急冷した後、所定の長さにカットして1個当たりの平均重量が2mgの樹脂小片を得た。尚、ホウ酸亜鉛は配合量が0.05重量%となるようにマスターバッチで添加した。但し、実施例5のみホウ酸亜鉛の配合量を0.01重量%とした。
【0064】
次いで、発泡剤として炭酸ガスを使用し、分散剤としてカオリン3g、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.06g、上記樹脂小片1kgを水3リットルに添加して密閉容器(内容積5リットルのオートクレーブ)内で攪拌しながら融解終了温度以上の温度に昇温することなく加熱し一定時間保持した。次いで、平衡蒸気圧に等しい背圧をかけ、その圧力を保持したまま密閉容器の一端を開放して樹脂小片と水とを同時に放出して、樹脂小片を発泡せしめ、表1に示すような断面形状を有する発泡小片を得た。
【0065】
得られた発泡小片の嵩密度Db、見掛け密度Dt、嵩密度Dbと見掛け密度Dtの比(Dt/Db)、発泡小片の高温側ピーク熱量HH、全ピーク熱量HT、高温側ピーク熱量HHと全ピーク熱量HTとの比(HH/HT)を表1に示す。
【0066】
表1の形状を表す記号(ア)は図1において記号(ア)によって示される断面形状であることを意味し、(ニ)(ト)の記号はそれぞれ図2において記号(ニ)(ト)によって示される断面形状であることを意味する。
【0067】
実施例6
表1に示す基材樹脂と、気泡調節剤としてのタルクと、フタロシアニングリーン系顔料とを押出機にて溶融混練した後、表1に示すような断面形状に相似する形状のスリットを有するダイからストランド状に押出し、次いでこのストランドを切断して、1個当たり平均重量が5mgの樹脂小片を得た。なお、フタロシアニングリーン系顔料は、マスターバッチとして添加し、添加量20ppmとなるように添加した。また、タルクは、含有量が1000ppmとなるようにマスターバッチで添加した。
【0068】
次に、この樹脂小片1kg、水3リットル、酸化アルミニウム5g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1g、ナイパーFF(過酸化ベンゾイル純度50%品、日本油脂(株)製)15g、メタクリル酸メチル(MMA)(試薬 関東化学(株)製)1gを5リットルのオートクレーブに仕込み、窒素ガスを5分間導入しオートクレーブ内の酸素を除去した。
【0069】
次に、オートクレーブの内の内容物を攪拌しながら75℃まで昇温し同温度で20分間保持した後、105℃まで加熱し、炭酸ガスをオートクレーブ内圧力が40kgf/cm2Gとなるまで注入し、同温度で45分間保持した後、95℃まで冷却し、同温度で5分間保持した後、オートクレーブ内に窒素を導入してオートクレーブ内圧力を維持しながら、オートクレーブの一端を開放して内容物を大気圧下に放出することにより樹脂小片を発泡させて、表1に示す断面形状を有する発泡小片を得た。
【0070】
【表1】
Figure 0004761414
【0071】
発泡小片を加圧タンク内に入れて空気で加圧することにより、実施例4を除く上記各発泡小片に表2記載の内圧を付与した。次に、各発泡小片を表2に記載の成型条件(成型スチーム圧力、冷却時間、発泡面圧)で型内成型することにより、縦20cm×横25cm×厚み5cmの直方体状の成型体を得た。表2には、金型内に充填された発泡小片の圧縮率を併せて示す。
尚、成型体の冷却は、移動側、固定側の金型内に水を供給する水冷方式によって成形金型内面を押す発泡小片成型体の圧力が0.6kg/cm2Gに降下するまで行なった。
【0072】
得られた成型体の嵩密度、空隙率、成形性を表3に示す。
尚、表3の発泡小片の内圧は下記(5)式により求めた。
【0073】
【数5】
発泡小片の内圧(kgf/cm2)=1.0332(kgf/cm2)+
[増加気体量(g)×R×T(°K)×Y(kgf/(cm2・atm))]/
[発泡小片の内圧付与に使用した気体の分子量(g/モル)×発泡小片内の空気体積(L)] …(5)
【0074】
(5)式中の増加気体量(g)は次のように求める。
成型機に充填される内圧を付与した発泡小片を500個以上取り出して60秒以内に相対湿度50%、23℃の大気圧下の恒温室に移動し、その恒温室内の秤に乗せ、該発泡小片を取り出して120秒後の重量を読み取る。このときの重量をQ(g)とする。次に、該発泡小片を相対湿度50%、23℃の大気圧下の同恒温室内にて240時間放置する。発泡小片内の高い圧力の気体は時間の経過とともに気泡膜を透過して外部に抜け出すため発泡小片の重量はそれに伴って減少し、240時間後では平衡に達しているため実質的にその重量は安定している。上記240時間後の該発泡小片の重量を同恒温室内にて測定し、このときの重量をS(g)とする。上記のいずれの重量も0.0001gまで読み取るものとする。この測定で得られたQ(g)とS(g)の差を(5)式中の増加気体量(g)とする。
【0075】
また(5)式において、Tは絶対温度を意味し、23℃の雰囲気が採用されいているので、ここでは296(°K)の定数である。Rは気体定数であり、ここでは0.082(atm・L/(°K・モル))の定数である。Yは、圧力をatm単位からkgf/cm2単位に換算するための係数であり、ここでは1.0332(kgf/(cm2・atm))が採用される。発泡小片の内圧付与に使用した気体の分子量は、ここでは空気の分子量28.9(g/モル)が採用される。尚、発泡小片内の空気体積は下記(6)式より求めた値である。
【0076】
【数6】
発泡小片内の空気体積(L)=
{発泡小片の重量(g)/発泡小片基材樹脂の密度(g/cm3)}×
{[(発泡小片基材樹脂の密度(g/cm3)/発泡小片の見掛け密度(g/cm3)]−1}
×10-3 …(6)
尚、(6)式中の発泡小片の重量(g)は上記したS(g)であり、また発泡小片の見掛け密度は、前記発泡小片の見掛け密度Dtが採用される。
【0077】
【表2】
Figure 0004761414
【0078】
【表3】
Figure 0004761414
【0079】
表3における成形性の評価は、得られた成型体より縦5cm×横10cm×厚み5mmの試験片5個を切出し、該切出した5個の試験片を各々破断するまで長手方向に引っ張り、破断面を観察して以下の基準で評価した。
○・・・全試験片において破断面の発泡小片に破壊部分が発生。
△・・・一部の試験片において破断面の発泡小片に破壊部分が発生。
×・・・全試験片において破断面の発泡小片が破壊されずに切断される。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法は、特定範囲の密度の比(Dt/Db)を有する熱可塑性樹脂発泡小片に、特定範囲の内圧を付与した後、成形型内に充填し、スチームにより加熱成型するので、冷却時間を従来の方法に比較して短縮化することができる。
【0081】
又、特定範囲の密度の比(Dt/Db)を有する熱可塑性樹脂発泡小片を成形型内に圧縮率が特定範囲となるように充填し、スチームにより加熱成型することによっても、冷却時間を従来の方法に比較して短縮化することができる。
【0082】
本発明の方法によって得られる熱可塑性樹脂発泡小片成型体は、空隙率が0〜11体積%、透水係数が0cm/secなので従来の発泡粒子成型体と同様に、緩衝材、包装資材、各種容器等として好適な発泡体である。
【0083】
本発明においては、熱可塑性樹脂発泡小片が内部に貫通孔を有する筒状体、又は肢状部を有する柱状体であれば、嵩密度Db(g/cm3)に対する見掛け密度Dt(g/cm3)の比(Dt/Db)が特定範囲内の熱可塑性樹脂発泡小片となるように調整し易い。又、かかる熱可塑性樹脂発泡小片から得られる熱可塑性樹脂発泡小片成型体は、発泡小片相互の融着性において特に優れているものとなり、十分な機械的物性を発揮できるものとなる。
【0084】
本発明においては、熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂としてポリプロピレン系樹脂、又はポリエチレン系樹脂を選択した場合、発泡小片の見掛け密度Dtに対応して高温側ピーク熱量HHと全ピーク熱量HTとの比(HH/HT)を特定範囲内に調節することにより、外観、寸法安定性、発泡小片相互の融着性において優れた熱可塑性樹脂発泡小片成型体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡小片の好ましい形状の一例を示す図である。
【図2】本発明の発泡小片の好ましい形状の他の例を示す図である。
【図3】ポリオレフィン系樹脂発泡小片のDSC曲線の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 発泡小片
2 貫通孔
3 肢状部
a 固有吸熱ピーク
b 高温側ピーク

Claims (6)

  1. 嵩密度D(g/cm)に対する見掛け密度D(g/cm)の比(D/D)が1.6〜3の熱可塑性樹脂発泡小片に1.3〜7kgf/cmの内圧を付与し、該内圧が付与された熱可塑性樹脂発泡小片を成形型内に充填し、スチームにより加熱成型することにより、空隙率が0〜11体積%、透水係数が0cm/secの成型体を得る方法であって、該熱可塑性樹脂発泡小片が下記(a)〜(c)のいずれかであることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法。
    (a)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.018g/cm 〜0.11g/cm であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.07〜0.5である。
    (b)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリエチレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.018g/cm 〜0.8g/cm であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.07〜0.5である。
    (c)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.11g/cm を超え0.8g/cm 以下であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.03〜0.5である。
    (但し、前記熱可塑性樹脂発泡小片の「見掛け密度」は、23℃のエタノールが入ったメスシリンダー中に重量W1(g)の発泡小片群を沈め、エタノールのメニスカスの上昇分より該発泡小片群の体積V1(cm )を読み取り、該発泡小片群の重量W1を体積V1で除した値である。また「嵩密度」は、空のメスシリンダー中に重量W2(g)の発泡小片群を入れて、該発泡小片群の体積V2(cm )を読み取り、該発泡小片群の重量W2を体積V2で除した値である。)
  2. 前記熱可塑性樹脂発泡小片が前記(a)又は(b)の熱可塑性樹脂発泡小片であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法。
  3. 嵩密度D (g/cm )に対する見掛け密度D (g/cm )の比(D /D )が1.6〜3の熱可塑性樹脂発泡小片を成形型内に充填し、スチームにより加熱成型することにより、空隙率が0〜11体積%、透水係数が0cm/secの成型体を得る方法であって、該熱可塑性樹脂発泡小片を成形型内に圧縮率が5〜40体積%となるように充填することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法。
    (但し、前記熱可塑性樹脂発泡小片の「見掛け密度」は、23℃のエタノールが入ったメスシリンダー中に重量W1(g)の発泡小片群を沈め、エタノールのメニスカスの上昇分より該発泡小片群の体積V1(cm )を読み取り、該発泡小片群の重量W1を体積V1で除した値である。また「嵩密度」は、空のメスシリンダー中に重量W2(g)の発泡小片群を入れて、該発泡小片群の体積V2(cm )を読み取り、該発泡小片群の重量W2を体積V2で除した値である。)
  4. 前記熱可塑性樹脂発泡小片が下記(a)〜(c)のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法。
    (a)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.018g/cm 〜0.11g/cm であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.07〜0.5である。
    (b)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリエチレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.018g/cm 〜0.8g/cm であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.07〜0.5である。
    (c)該熱可塑性樹脂発泡小片の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂発泡小片の見掛け密度D が0.11g/cm を超え0.8g/cm 以下であると共に、示差走査熱量分析における該熱可塑性樹脂発泡小片の高温側ピーク熱量H と80℃以上の吸熱ピークの全ピーク熱量H との比(H /H )が0.03〜0.5である。
  5. 熱可塑性樹脂発泡小片が内部に貫通孔を有する筒状体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂発泡小片が肢状部を有する柱状体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡小片成型体の製造方法。
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