JP3550737B2 - 通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は通信網に接続された通信装置に関し、特に多重周波信号を送信する機能を備えた通信装置における信号制御方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、DTMF(デュアルトーンマルティプルフレケンシー:多重周波)信号、即ちいわゆるPB信号を使用した多くの装置が提案されている。例えばファクシミリ装置では、相手装置と接続された後に、DTMF信号を使用して相手装置を制御し、親展ポーリングや親展送信、中継同報などを指示可能である(特開昭63−104572号公報、特開昭63−300669号公報、特開平2−50560号公報、特開平3−260875号公報等参照)。これらのほとんどはオペレータによる手動送出であるが、自動的にDTMF信号を送出する技術も提案されている(特開平4−168862号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のファクシミリ装置においては、電話網(交換機)に対するダイヤル時と、相手装置に対するDTMF信号の送信時において、信号送出時間、信号休止時間、信号送出レベル等のパラメータとして、同じ仕様のパラメータを用いて信号を送出していた。例えば日本の電話網に対する一般的な信号送出時間およびミニマムポーズ(信号休止時間)がそれぞれ60ミリ秒であったとすれば、この規格を満たすように信号を送出すれば、ダイヤル信号は正しく受信されるであろう。しかし接続された相手装置のDTMF信号受信能力(仕様)によってはDTMF信号を正しく検出できない可能性がある。このことは、相手装置が海外に存在する(海外の仕様に従って設計、製造された相手装置)場合には顕著である。例えばドイツでは信号の送出時間および信号休止時間をそれぞれ80〜100ミリ秒と規定している。従って、ドイツ仕様のファクシミリ装置においては、前記したような、信号送出時間および信号休止時間がそれぞれ60ミリ秒である信号は検出されず、DTMFによる制御が不可能であるという問題点があった。
【0004】
また送出したDTMF信号が減衰や劣化、雑音により相手装置まで正しく伝送されない場合もある。図2は通信網の一例を示すブロック図である。ダイヤル信号は発呼端末20から加入者回線を介して、該端末が収容されている交換機A21に伝送され、受信される(区間1)。しかし、着呼端末を制御するためのDTMF信号は、交換機A21から網内を通過して交換機Z22に伝送され、更に着呼端末23に伝送される。また着呼端末23から発呼端末20へ応答信号等を伝送する場合も同様である(区間2)。従って、制御用のDTMF信号はダイヤル信号に較べて、より大きな減衰や劣化を受けることになり、着呼端末23側において正常に受信できない場合があるというという問題点もあった。
本発明の目的は、前記のような従来技術の問題点を解決し、DTMF信号を確実に伝送可能な通信装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、通信装置において、コード情報を入力する手段と、入力されたコードに基づき多重周波信号を送出する送信手段と、通信網に対するダイヤル時と通信網に対するダイヤル以外の時とで、多重周波信号の信号送出時間および信号休止時間の内の少なくとも一方を異なる値とする送信制御手段を備えたことを特徴とする。また、第2の発明は、通信装置において、コード情報を入力する手段と、入力されたコードに基づき多重周波信号を送出する送信手段と、通信網に対するダイヤル時と通信網に対するダイヤル以外の時とで、多重周波信号の信号送出レベルを異なる値とする送信制御手段を備えたことを特徴とする。第3の発明は、第1あるいは第2の発明において、更に、信号送出時間、信号休止時間、信号送出レベルの内の少なくとも1つのパラメータからなるパラメータセットを複数組記憶するパラメータセット記憶手段と、使用するパラメータセットを選択するパラメータセット選択手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
【作用】
第1の発明においては、例えば外国(仕様)の装置に対して、ダイヤル時と異なる外国仕様のパラメータを用いて多重周波信号を送出可能であり、多重周波信号を確実に相手装置に検出させることができる。第2の発明においては、伝送路の品質の悪い通信網を経由する通信に対しても、適切なレベルで信号を送出することにより、受信側装置に多重周波信号を確実に検出させることが可能となる。第3の発明においては、着信側の複数の装置に対応する複数のパラメータセットを記憶し、使用するパラメータを選択可能としたので、任意の端末に最適なパラメータで多重周波信号を送出可能となる。
【0007】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である電話機の動作を示すフローチャートである。使用者が受話器を取る(オフフック)と、図示しない電話機の制御装置は回線を閉じて発呼する。ステップS1においては、制御装置は選択信号(ダイヤル信号)用のDTMF送出パラメータ(信号送出時間、信号休止時間、信号送出レベル等)を読み出し、DTMF信号送出回路に設定する。図4左には、選択信号用パラメータの一例が示されている。ステップS2においては、制御装置はダイヤルスイッチのいずれかが押下(入力)されたか否かを判定し、判定結果が肯定であればステップS3に移行する。ステップS3においては、DTMF信号送出回路は、設定されたパラメータに基づき、押下されたスイッチに対応するDTMF信号を送出する。ステップS4においては、制御回路は例えば回線の極性が反転したか否かにより相手端末の応答を判定し、判定結果が否定であればステップS2に戻るが、肯定であればステップS5に移行する。
【0008】
ステップS5においては、制御装置はDTMF制御用パラメータを読み出し、DTMF信号送出回路に設定する。図4右にはDTMF制御用パラメータの一例が示されている。ステップS6においては、ダイヤルスイッチの入力があったか否かが判定され、結果が肯定であればステップS7に移行して、設定されたパラメータに基づき、DTMF信号が送出される。ステップS8においては、オンフックあるいは回線断が検出されたか否かが判定され、結果が否定の場合にはステップS6に戻るが、肯定の場合には処理を終了する。なおステップS4の応答ありの判定の代わりに、例えば電話機にパラメータ切り替え用のスイッチを設け、該スイッチが操作されたか否かを判定するようにしてもよい。この場合、使用者はダイヤル終了後に該スイッチを操作し、その後にDTMF制御を行う。以上の構成により、ダイヤル後に異なるパラメータでDTMF信号の送出が可能となり、相手装置にDTMF信号を確実に検出させることができる。
【0009】
図3は本発明の第2の実施例であるファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。CPU1は、ファクシミリ装置全体の制御処理、およびファクシミリ伝送制御手順処理を行う。ROM2はファクシミリ全体を制御するプログラムが格納されている不揮発性メモリであり、RAM3は制御プログラムのワークエリヤとして使用されるメモリである。RTC4は時計回路(リアルタイムクロック)である。キーボード5はパネルに装備されているスイッチからなる入力装置であり、ディスプレイ6は例えば液晶(LCD)を用いた文字、図形の表示装置である。スキャナ7は、例えばCCDイメージセンサ等を用いて送信原稿を読み取る装置であり、プリンタ8は受信画像データ等をプリントする装置である。
画情報メモリ9は、画情報を蓄積する大容量のメモリであり、コーダ/デコーダ10は画情報を符号化(圧縮)、復号化(伸張)する回路である。符号化画情報メモリ11は符号化された画情報を記憶するメモリである。モデム12は、ファクシミリ伝送制御信号用の低速モデム(V21)と画情報の送受信用の高速モデム(V27ter 、V29、V33、V17など)機能を備えた変復調装置である。また、このモデムはDTMF信号(PB信号)の送受信機能を備えており、送出信号レベルも制御可能なものである。この機能はDTMF信号によるコマンドの送受信と共にPB回線へのダイヤル時にも使用される。NCU13は電話網やISDNの回線とのインターフェース回路であり、自動発着信機能を備えている。14は通信網の加入者回線であり、バス15は装置内の各回路間でデータの転送を行うためのものである。なお、図3において太い矢印は画情報の流れを示している。
【0010】
次に動作を説明する。図6は、本発明を適用したファクシミリ装置の発呼処理を示すフローチャートである。ステップS10においては、キーボードからDTMF信号制御用パラメータの指定操作がなされたか否かが判定され、結果が肯定の場合にはステップS11に移行して、選択されたDTMF制御用パラメータセットを記憶する。図5は、予めメモリ内に記憶された複数のパラメータセットの一例を示す説明図であり、オペレータがキーボードによりこの内の1つのパラメータセットを指定、選択することができる。
【0011】
ステップS12においては、ダイヤル番号が入力されたか否かが判定され、結果が肯定であればステップS13に移行して、入力されたダイヤル番号情報を記憶する。入力された番号が短縮番号であれば、短縮ダイヤルリストからダイヤル番号を読み出して記憶する。ステップS14においては、例えばスタートスイッチが押下されたか否かにより、スタートするか否かが判定される。ステップS15においては、NCUが制御され、回線を閉じることによって発呼する。ステップS16においては、回線のダイヤル信号形式がDP(ダイヤルパルス)であるか否かが判定され、結果が肯定であればステップS20に移行し、ステップS13で記憶したダイヤル番号を読み出す。ステップS21においては、該番号に従ってDP信号を送出する。なお回線のダイヤル信号種別は予めオペレータが設定、記憶させてしておく。
【0012】
ステップS16の判定結果が否定の場合にはステップS17に移行し、選択信号用パラメータセットを読み出して、信号送出制御手段に設定する。ステップS18においては、ダイヤル番号を読み出し、ステップS19においては、ステップS17で設定されたパラメータに従ってDTMF信号を送出する。ステップS22においては、相手装置からのNSF/DIS信号の受信を待ち、ステップS23においては、DTMF手順を実行するか否かが判定される。この判定は、例えば図示しないDTMFコード記憶部に送出すべきコードがセットされているか否かによって判定できる。そして結果が否定の場合には通常のファクシミリ手順を実行するが、肯定の場合にはDTMF手順に移行する。
【0013】
図7は、DTMF手順処理を示すフローチャートである。ステップS24においては、ステップS10、11におけるパラメータ指定があったか否かが判定され、結果が肯定であればステップS25に移行して、指定されたパラメータセットを読み出して、信号送出制御手段に設定する。ステップS26においては、DTMF信号制御パラメータセットが、例えば短縮ダイヤルまたは短縮ダイヤル用メモリに登録されている等の手段により、予め設定されているか否かが判定される。そして結果が肯定の場合にはステップS27に移行し、指定されているパラメータセットを信号送出制御手段に設定する。ステップS28においては、通信相手が外国であるか否かが、例えば電話番号により判定され、結果が肯定の場合にはステップS29に移行して、予め記憶されている国−パラメータセット対応テーブルを参照するなどして、国あるいは地域ごとに対応したパラメータセットを設定する。
【0014】
ステップS28の判定結果が否定の場合にはステップS30に移行し、初期値のパラメータセットを設定する。但しこのパラメータセットは例えば図4右に示されているようなものであり、当然選択信号用パラメータとは異なる。ステップS31においては、DTMFコード記憶部から送出すべきDTMFコードデータを読み出し、ステップS32においては、設定されたパラメータに従って、読み出されたデータに対応したDTMF信号を送出する。ステップS33においては、相手装置からの応答信号を待ち、通常のフェーズB手順に移行する。以上の様な処理により、相手装置に最適なパラメータでDTMF信号を送出することが可能となる。
【0015】
以上、実施例を説明したが、本発明は以下に示すような変形例も考えられる。DTMFコード情報はダイヤル番号と別に記憶する例を開示したが、例えば短縮ダイヤルリストに電話番号とDTMFコードとを区切りコードを挟んで直列に記憶し、区切りコードまでをダイヤル番号として読み出し、区切りコード以降をDTMFコードとして読み出すようにしてもよい。本発明は電話機、ファクシミリ装置に限らず、電話回線を利用した遠隔監視制御装置など、通信回線を介して多重周波信号を送受信する装置一般に適用可能である。
【0016】
【発明の効果】
第1の発明においては、例えば外国(仕様)の装置に対して、ダイヤル時と異なる外国仕様のパラメータを用いて多重周波信号を送出可能であり、多重周波信号を確実に相手装置に検出させることができる。第2の発明においては、伝送路の品質の悪い通信網を経由する通信に対しても、適切なレベルで信号を送出することにより、受信側装置に多重周波信号を確実に検出させることが可能となる。第3の発明においては、着信側の複数の装置に対応する複数のパラメータセットを記憶し、使用するパラメータを選択可能としたので、任意の端末に最適なパラメータで多重周波信号を送出可能となる。従って、第1ないし第3発明によれば、多重周波制御の成功率が向上し、無効な通信が減少するので、多重周波制御機能の活用により通信効率が向上し、また通信費用の削減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例である電話機の動作を示すフローチャートである。
【図2】通信網の一例を示すブロック図である。
【図3】第2実施例のファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】各種パラメータセットの一例を示す説明図である。
【図5】複数のパラメータセットの一例を示す説明図である。
【図6】第2実施例であるファクシミリ装置の発呼処理を示すフローチャートである。
【図7】DTMF手順処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…RTC、5…キーボード、6…ディスプレイ、7…スキャナ、8…プリンタ、9…画情報メモリ、10…コーダ/デコーダ、11…符号化画情報メモリ、12…モデム、13…NCU、14…回線、15…バス

Claims (3)

  1. コード情報を入力する手段と、入力されたコードに基づき多重周波信号を送出する送信手段と、通信網に対するダイヤル時と着呼端末に対するダイヤル時とで、前記入力コードに対応した多重周波信号の信号送出時間および信号休止時間の内の少なくとも一方を異なる値とする送信制御手段を備えたことを特徴とする通信装置。
  2. コード情報を入力する手段と、入力されたコードに基づき多重周波信号を送出する送信手段と、通信網に対するダイヤル時と着呼端末に対するダイヤル時とで、前記入力コードに対応した多重周波信号の信号送出レベルを異なる値とする送信制御手段を備えたことを特徴とする通信装置。
  3. 更に、信号送出時間、信号休止時間、信号送出レベルの内の少なくとも1つのパラメータからなるパラメータセットを複数組記憶するパラメータセット記憶手段と、使用するパラメータセットを選択するパラメータセット選択手段とを備えたことを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の通信装置。
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