JP3545356B2 - 食器洗い機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食器洗い機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に食器洗い機では、洗浄槽内に溜めた洗浄水(洗剤が溶けた水)をヒータによって加熱するとともに、この加熱した洗浄水をポンプによってノズルへ送り、ノズルによって食器に洗浄水を噴きつけて食器を洗うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、食器の洗いにおいて用いられる洗浄水の加熱温度は60℃程度であった。このため、乾いて固まった飯粒が食器にこびりついている場合、このようなご飯粒を十分にとかす(糊化する)ことができず、ご飯粒が完全に落ちないという虞があった。
【0004】
本発明は、食器洗い機に関し、このような課題を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
本発明の請求項1に係る食器洗い機は、食器を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽の底部に溜めた水を食器に噴きつける水噴射手段と、前記洗浄槽内へ給水する給水手段と、前記洗浄槽の底部に溜めた水を加熱する加熱手段と、前記水噴射手段及び加熱手段の動作を制御して、食器を洗う洗い行程、食器をすすぐすすぎ行程を順次行う制御手段とを備え、
前記制御手段の制御の下、前記洗い行程において、
前記給水手段の動作により蛋白質の凝固温度よりも低い温度の水を供給して前記洗浄槽の底部に溜め、前記加熱手段の動作により前記洗浄槽底部の水が蛋白質の凝固温度に至るまでにおいて、前記水噴射手段の動作により蛋白質の凝固温度よりも低い温度の水を食器に噴きつけて食器を洗う初期洗いを行い、
その後、前記加熱手段及び水噴射手段の動作を停止したまま前記洗浄槽内に蒸気を充満させて食器の予備むらしを行い、
次に、前記加熱手段の動作により、米の澱粉の糊化がすすむ約75℃以上のむらし温度まで加熱し、この温度の水から出た蒸気によって食器をむらし、前記水噴射手段の動作によりむらした食器に水を噴きつけて食器を洗う本むらし洗浄を行う
ことを特徴とするものである。
【0008】
米の澱粉は水と熱を加えることにより糊化できるが、73℃〜75℃で糊化がすすみ、ドロドロにとけることが判明している。
【0009】
本発明の食器洗い機では、洗浄槽内に溜めた水をむらし温度、例えば80℃まで加熱する。このむらし温度は、米に加えた水の温度が75℃以上であれば、米の澱粉の糊化がすすむことを考慮し、75℃以上の温度として設定した温度である。こうして、むらし温度になった水から出た蒸気を洗浄槽内に充満させ食器をむらす。このときの蒸気の温度はむらし温度あるいはそれに近い温度となっているので、食器にこびりついたご飯粒が十分にとける。こうして、とけたご飯粒は、食器に噴きつけられた水によって洗い流される。
【0010】
従って、乾いて固まった飯粒が食器にこびりついているような場合であっても、十分に食器からご飯粒を洗い落とすことができる。
【0011】
ところで、食器には蛋白質の汚れも付着している可能性がある。蛋白質の凝固温度は約60℃であり、食器に蛋白質汚れが付着している状態で上記のような高温の蒸気を当てると、蛋白質が凝固してしまう虞がある。こうなると、今度は食器に蛋白質汚れが残ってしまう虞がある。
【0012】
特に本発明の請求項1に係る食器洗い機では、むらし温度まで加熱する過程において、加熱された水が蛋白質の凝固温度になるまでの段階で食器に水を噴きつけて食器を洗い、蛋白質汚れを落とすようにしている。
【0013】
従って、高温の蒸気でむらしを行う構成としても、蛋白質汚れが残ってしまうのを防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による食器洗い機の一実施形態について、各図面を参照して説明する。なお、左右の表現は食器洗い機の正面視によるものとする。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の食器洗い機1は、いわゆる卓上型であり、流し台100のシンク101の横のスペースA(壁とシンクとの間)に設置される。
且つ、食器洗い機1の前面、即ち扉2が、流し台100の正面を向くように設置されており、使用者が食器洗い機1への食器の出し入れを容易に行なうことができる。
【0016】
この食器洗い機1は、外形寸法が従来の卓上型の食器洗い機と異なり、横幅の寸法が奥行の寸法に比べてかなり小さく、横幅:奥行=1:1.5以上となっている。具体的には、横幅Wが約335mm、奥行Dが約520mm、高さHが約520mmである。(図1から図3を参照)
キャビネット3の底面には前後左右に4つの脚4が設けられている。左右の脚4の幅Xは約190mmである。また、キャビネット3の一側面とこの一側面に遠い側の脚4の底面の一番外側との寸法Y(以下、側面−脚寸法という)は約280mmである。
【0017】
一般に、市販されている流し台においては、シンク横のスペースAで一番狭いものは150mmである。食器洗い機では270mmの大皿が洗浄できる必要があるため、このスペースに設置できる食器洗い機の実現は極めて難しい。シンク横のスペースAで次に狭いものは300mmである。したがって、片側が壁となる300mmのスペースに設置できるためには、上述の側面−脚寸法を300mm以下とする必要がある。
【0018】
横幅Wを大きくすれば、側面−脚寸法との関係から左右の脚4の幅Xが縮まってきて、食器洗い機1を安定して支持できなくなる。したがって、安定した支持を確保するため、横幅Wは350mm以下とするのが好ましい。さらに、270mmの大皿を収容するためには、設計上、横幅Wは300mm以上にする必要がある。したがって、本発明の卓上型の食器洗い機1では、横幅Wは300mm以上350mm以下とするのが好ましい。
【0019】
上記のような寸法構成とすることにより、シンク101の横のスペースAが十分にない流し台においても、扉2が流し台100の正面を向いた(同方向を向いた)状態で設置することが可能となる。
【0020】
キャビネット3内には洗浄タンク5が配置されている。この洗浄タンク5は、前面に食器投入口6が形成された樹脂タンク7と、樹脂タンク7の上部内壁を覆うように取り付けられた、耐腐食性の金属、例えばステンレス製のパネル8とからなる。
【0021】
前記樹脂タンク7は、前面及び下面が開放する上タンク7aと上面が開放する下タンク7bとを結合して作られている。前記パネル8は、天面及びこの天面の後縁から垂下した後面及び天面の両側縁から垂下した側面を有している。パネル8の下端8aは上タンク7aと下タンク7bとの継ぎ目部よりも下方に位置する。即ち、継ぎ目部はパネル8によって覆われており、洗浄時に継ぎ目部から水が漏れ難いようにしている。前記洗浄タンク5は、キャビネット3の外形に合わせて、やはり奥行の寸法に比べて横幅の寸法が小さくなっている。具体的には、横幅が約290mm、奥行が約450mm、高さ約460mmである
前記洗浄タンク5の底面には、一部の底を深くして貯水槽9を形成している。この貯水槽9は底面前部の左寄りに形成されている。この貯水槽9は、洗浄兼排水ポンプ10(以後、洗浄ポンプと略す)につながっている。この貯水槽9の上部には食器から出た残滓を回収する残滓フィルタ11が着脱可能に備えられている。残滓フィルタ11の前側には取っ手11aが設けられている。
【0022】
前記洗浄タンク5の底面において、前記貯水槽9の後方部分、即ち右側の中央から後方にかけての部分は、左側の部分に比べて高く隆起させ、隆起部12を形成している。この隆起部12には、長尺なノズルベース13を長手方向(前後方向)に配置している。ノズルベース13は、流路を構成するために中空となっており、前記洗浄ポンプ10の吐出し側につながっている。なお、前記洗浄ポンプ10は洗浄タンク5の外底面であって隆起部12の裏面に取り付けられている。
【0023】
前記ノズルベース13の先端部の上面には前ノズル軸14が形成されており、この前ノズル軸14には前ノズルアーム15が回転自在に支持されている。また、ノズルベース13の中央やや後ろ側の上面には後ノズル軸16が形成されており、この後ノズル軸16には後ノズルアーム17が回転自在に支持されている。前ノズルアーム15は、主に前記洗浄タンク5内の前側に収容された食器を洗浄するためのものであり、上面には噴射口を備えたノズル15aが複数設けられている。後ノズルアーム17は、主に洗浄タンク5内の後側に収容された食器を洗浄するためのものであり、上面には噴射口を備えたノズル17aが複数設けられている。
【0024】
こうして、洗浄時、洗浄ポンプ10が洗浄動作を行うと、洗浄タンク5底部に溜められた水は、洗浄ポンプ10によって、ノズルベース13へ送られ、ノズルベース13を通って前ノズルアーム15及び後ノズルアーム17へと送られる。これにより、ノズルアーム15、17は回転しながら上方に向かって水を噴射し、食器カゴ(後述する)に収容された食器に水が掛けられ、食器が洗浄される。
【0025】
また、排水時、洗浄ポンプ10が排水動作を行うと、洗浄タンク5底部の水が排水ホース18を通って機外へ排出される。卓上型の食器洗い機の場合には、排水ホース18の先はシンク101内に入れられるので、シンク101内に排水されることになる。
【0026】
さて、前記ノズルベース13の先端部13aは少し中央側に曲がっており、後ノズル軸が形成されている部位13bは少し中央側に張り出している。これにより、前ノズルアーム15の中心(前ノズル軸14)及び後ノズルアーム17の中心(後ノズル軸16)を前記洗浄タンク5内の左右方向における中心部に位置するようにしている。また、ノズルベース13の先端部13aは、残滓フィルタ11の上方に張り出している。且つ、残滓フィルタ11とノズルベース13との間には、残滓フィルタ11を取り外すための空間Bを開けている。より具体的には、前記隆起部12にノズルベース13を配置することで前記空間Bが確保されている。
【0027】
縦長であり横幅が狭い洗浄タンク5の場合、横幅で規制されるためノズルアーム15、17はあまり長くできない。このため、前ノズルアーム15を十分に前に配置しないと前側の食器を十分に洗浄できない。また、残滓フィルタ11の着脱のしやすさを考えると、貯水槽9は洗浄タンク5の前部に配置しなければならない。上記構成では、ノズルベース13を、残滓フィルタ11の取り外し空間Bを確保した上で、残滓フィルタ11、即ち貯水槽9の上方まで張り出させているので、前ノズル軸14を、即ち前ノズルアーム15を十分前側に配置させることができ、前側の食器を十分に洗浄することができる。しかも、残滓フィルタ11を容易に着脱することができる。
【0028】
前記隆起部12において、前記ノズルベース13の後端部の左隣には給水ノズル19が設けられている。この給水ノズル19は、前記洗浄タンク5と一体成形された給水口20と、給水口20を覆う給水カバー21とからなる。この給水ノズル19は、給水ホース22に接続されており、給水ホース22から送られてきた水はこの給水ノズル19から洗浄タンク5内へ供給される。これにより、洗浄タンク5内に水が溜められる。
【0029】
前記洗浄タンク5の底部における、右側の部分(ノズルベース13の右隣の位置)には、後部から中央やや前部にかけて、前後方向に長く延びたヒータ23(シーズヒータ)が配置さている。このヒータ23は、洗浄時には前記洗浄タンク5の底部に貯められた水を温める。また、乾燥時には洗浄タンク5内、及び送風装置(後述する)よって洗浄タンク5内に送られてきた風を温める。このヒータ23は、加熱面積を大きくするため、外ループ23aと内ループ23bとからなる二重ループ形状をなし、後端部23cは右に曲げられており、端子部23dは洗浄タンク5の後部側壁からタンク外に出るようにしている。横幅が狭い洗浄タンク5では、後壁側に比べて側壁側のほうがスペースに余裕があり、余裕のある側壁側に端子部23dを出しているので、端子部23dが他の構成部材の邪魔になりにくい。
【0030】
前記ヒータ23の後方であって前記洗浄タンク5の後壁下部近傍には、吸気室24が設けられている。この吸気室24の前面下部には、洗浄タンク5内への吸気口24aが設けられている。洗浄タンク5の外底面における右側後部の位置(洗浄ポンプの隣)には、送風ファン25aを備えた送風装置25が設けられている。送風装置25の動作によって外気が取り込まれて吸気室24へと送られ、乾燥風として吸気口24aから洗浄タンク5内へ送出される。吸気室24の内天面24bは球面状をなし、下方から上方に向かって吸気室24内に吹出した風がスムーズに吸気口24aに送られる(図7参照)。また、外天面24cも球面状に形成されているので、洗浄後にこの外天面24cに水が残りにくい。なお、前記ヒータ23の端子部23dは、上述したように、洗浄タンク5の側壁からタンク外へ出ているので、ヒータ23の後方に吸気室24があっても邪魔にならない。
【0031】
前記ヒータ23の上方及び前方はヒータカバー26で覆われている。このヒータカバー26の材質は、耐腐食性の金属、例えば、ステンレスとする。ヒータカバー26の後端は、前記吸気口24aに接続されている。ヒータカバー26の上面26aには、下側に張り出すルーバー27が2列になって多数設けられている。また、ヒータカバー26の前面26bには小さな丸孔28が多数開いている。従来、ヒータカバー26の上面26aには、前面26bと同様の小さな丸孔が多数形成されていたが、箸の先端部分などが丸孔からヒータカバー26内に入ってしまいヒータ23と接触してしまう虞があった。ここでは、ルーバー27を形成することにより箸の先端部分などの侵入を防止することができる。
【0032】
乾燥時には、送風装置25及びヒータ23が動作する。送風装置25の動作によって、洗浄タンク5内に送り込まれた風は、ヒータ23を通って温められて上昇し、上方にある食器に当たって、食器から水分を奪った後、扉2に設けた排気口(後述する)から機外へ排出される。
【0033】
前記ルーバー27の開口方向は、吸気口24aからの風の流れ方向と同じ方向としている。即ちルーバー27の開口が風の流れ方向に向かないようにしている。ルーバー27の開口方向が風の流れ方向に向いていると、ルーバー27に沿って風が流れ、風の前方への勢いが増し、暖かい風が洗浄タンク5内の食器に当たらずに前面の排気口(後述する)から排気されてしまう。この点、ルーバー27の開口が風の流れ方向に向かないようにしているので、上記のような現象を防止することができる。
【0034】
前記洗浄タンク5の前側において、右壁面の外側には水位検知室29が設けられている。この水位検知室29は、接続ホース(図示せず)を介して前記貯水槽9につながっている。この水位検知室29内には、フロート(図示せず)が配置されており、洗浄タンク5内の水位上昇に伴うフロートの水位上昇を検知することにより、洗浄タンク5内の水位を検知される。横幅が狭い洗浄タンク5の場合には、後壁側に比べて側壁側のほうがスペースに余裕があり、余裕のある側壁側に水位検知室29を設けているので、水位検知室29が他の構成部材の邪魔になりにくい。また、この水位検知室29は、貯水槽9から遠い方の壁面の外側に設けているので、洗浄タンク5内で発生した泡が水位検知室29に侵入し難く、泡の影響による水位検知精度の低下を防止できる。
【0035】
さて、前記洗浄タンク5内に収容された食器は、食器カゴ30にて保持される。この食器カゴ30は、複数の線材にてカゴ状に形成されたものである。食器カゴ30は、主に皿や碗を保持する下カゴ31と、下カゴ31の後部の上方に設け、主にコップ、湯のみなどを保持する上カゴ32(棚状になっている)とから構成される。この食器カゴ30は、洗浄タンク5の外形に合わせてスリム形状となっている。即ち、奥行の寸法に比べ横幅の寸法がかなり小さくなっている。
【0036】
本実施形態の食器洗い機1のように、奥行に対してかなり横幅の狭い、スリム型の食器洗い機の場合、上カゴ32を下カゴ33の後部上方に設けるのが好ましい。即ち、食器カゴ30は、後部の一部をキャビネット3内に残した状態で大部分が扉2の裏面に引き出されるが、食器カゴ30が縦長の場合には、後の方まで食器を入れやすくするために引き出し量が多くなるので、食器の重みで食器洗い機1本体が前に転倒しやすくなる。ここでは、上カゴ32を後部に配置することにより、食器が収容された状態の食器カゴ30の重心をより後にすることができ、食器を収容した状態で食器カゴ30を引き出したときの食器洗い機1本体の転倒を防止できる。また、上カゴ32が設置状態のままであっても、下カゴ31に食器を入れやすい。
【0037】
下カゴ31には、食器の種類に対応して各種保持部が設けられている。前部中央には大皿保持部33が設けられている。大皿保持部33は、上部が逆ハの字に拡がった一対のピン34を前後方向に複数並べたものであり、隣接する一対のピン34の間に皿を挟むことにより、皿を立設保持する。大皿保持部33の後方右寄りには茶碗保持部35が設けられている。茶碗保持部は、中央部を椀形にかたどったゲート36を前後方向に複数並べたものであり、隣接するゲート36間に茶碗を挟んで立設保持する。この茶碗保持部35は、通常は茶碗を保持するが、どんぶりも保持できるよう構成されている。大皿保持部33の後方左寄りには汁椀保持部37が設けられている。この汁椀保持部37は、やや後方に傾いた方形のゲート38を前後方向に複数並べたものであり、隣接するゲート38間に汁椀を挟んで立設保持する。大皿保持部33の前方及び側方、即ち下カゴにおけるの前部周縁部は、小皿保持部39となっている。小皿保持部39には、カゴの外枠との間で小皿を保持するゲート40が備えられている。
【0038】
大皿保持部33と汁椀保持部37との間には、箸やスプーンなどを収容する樹脂製のスタンド41が着脱可能に取り付けられる。このスタンド41の左側面は、下カゴ31の左の外枠に近接しており、この外枠には、スタンド41に対応してスタンド41よりも背が高く、スタンド41の奥行よりも若干幅が広いゲート42を形成している。このゲート42により、スタンド41に収容した箸などが下カゴ31の外に倒れるのを防止している。
【0039】
前記下カゴ31の後部には、上カゴ32の後部を囲むように枠体43が設けられている。枠体43は、右枠43a、左枠43b及び後枠43cからなる。上カゴ32は、上カゴ32の前部を構成する前カゴ44と後部を構成する後カゴ45とからなる。後カゴ45は、後枠43cから形成された支持部材46により、設置状態では後ろ側が低くなるようやや傾いた状態で支持される。また支持部材46を支点にして設置状態から上方へ回動可能である。前カゴ44は、後カゴ45の前端に設けられた支持部47によって支持され、設置状態では後カゴ45と同じように後ろ側が低くなるようやや傾いた状態となる。また、支持部47を支点にして上方に回動可能である。
【0040】
前記上カゴ32の下方に大きな食器を入れるときには、上カゴ32が邪魔になる場合がある。この場合には上カゴ32をしまうことができる。即ち、まず、前カゴ44を回動させて後カゴ45の上に重ねる。次に前カゴ44が重なった状態で後カゴ45を回動させ後枠43cにもたれさせる。このように、上カゴ32を二つに折りたたんだ後、後枠43cへもたれさせて立設保持するのである。
【0041】
前記上カゴ32の右端と右の外枠(右枠43a)との間には、隙間Cが設けられている。この隙間Cは、下カゴ31の右端にまな板を立てた状態で収容したときに、まな板の上部を逃がすものである。
【0042】
上カゴのうち、後カゴ45には、コップが2列にして並べられ、1列に4個の標準的なコップが並べられる。後カゴ45には合計8個の標準的なコップを収容できる。各列の一番右端のコップは、コップの一部が隙間Cにはみ出す状態となるが、コップの側面部を右枠43aで支えることができるので、安定的に支えられる。なお、隙間Cにまな板が収容された場合は、一番右端のコップは置くことができず、収容できるコップは6個になる。
【0043】
一方、前カゴ44の左右には枠体43がないため、前カゴ44の両側端に枠部48を設けている。このため、この前カゴ44では、まな板が収容されてなくても隙間Cは利用できない。よって、このままでは後カゴ45と同じようにコップを4つ置くことができない。ここでは、前カゴ44の右端部を前側に少し張り出すように延長させ、張出部49を設けている。そして、一番右側のコップを左隣りのコップよりも少し前にずらして収容できるようにしている(図4参照)。こうして、隙間C部分を使わなくてもコップを4つ並べられるようにしている。
【0044】
本実施形態の食器洗い機1では、前記扉2を開いた状態で、扉2の裏側へ前記食器カゴ30を引き出せる構造としている。このため、前記下カゴ31の底部の四隅にはローラ50が設けられている。また、前記洗浄タンク5の両側壁下部には、食器カゴ30を洗浄タンク5内に支持すると共に、ローラ50が転がるレール部51が設けられている。扉2側の構造については後述する。
【0045】
さて、下カゴ31において、汁椀保持部37には、食器が比較的密な状態で収容されている。これは、汁椀保持部37では、底の深い汁椀が隙間少なく並べられるためである。一方、茶碗保持部35には食器が比較的疎な状態で収容されている。これは、汁椀に比べて底の浅い茶碗がある程度余裕(隙間)を持った状態で並べられているからである。茶碗保持部35では、どんぶりを収容することを考慮し、余裕を持たせているのである。
【0046】
よって、上カゴ32において、茶碗保持部35の上方、即ち右側に収容されたコップには、後ノズルアーム17から噴射された水が十分に届くが、汁椀保持部37の上方、即ち左側に収容されたコップには水が十分に届かない虞がある。
【0047】
本実施形態の食器洗い機1では、上カゴ32の左側に収容されたコップを洗浄すべく、洗浄タンク5の左側壁の内面下部に補助ノズル体52を設けている。この補助ノズル体52は前後方向に延びた長尺な形状を有し、前面には噴射口を有する4つのノズル52aが設けられている。これらノズル52aは上カゴ32の左側に収容されたコップに向かって水を噴射する。この補助ノズル体52の後端部には接続口53が設けられており、送水管54の一端が接続される。この送水管54の他端は前記ノズルベース13の後端上面に接続されている。この送水管54は、ノズルベース13との接続口から洗浄タンク5の後壁内面に沿って一旦上方へ延びた後、左方向に水平に延び、洗浄タンク5の左後コーナー部分で補助ノズル体52の接続口53に接続される構成となっている。
【0048】
こうして、下カゴ31の食器の収納状態が密であり、この領域の上方であるがために後ノズルアーム17からの水が当たりにくい上カゴ32の領域(左側の領域)に補助ノズル体52によって水を噴射するようにしているので、この部分に配置されたコップを十分に洗浄することができる。
【0049】
また、送水管54は、洗浄タンク5内に配置されているので、万一、補助ノズル体52やノズルベース13との接続やシールが不十分で、この部分から水が漏れ出したとしても、洗浄タンク5内に漏れるだけであり、機外に漏れることはない。しかも、洗浄タンク5の側壁にある補助ノズル体52に対して、送水管54を洗浄タンク5の後壁から回し込むようにして接続しているので、送水管54が前記レール51を横切るようなことがなく、送水管54によって食器カゴ30の引き出しや収納の動作を妨げられることがない。
【0050】
なお、送水管54のノズルベース13との接続位置は、前記給水ノズルの近傍になるようにすると共に、送水管54と前記給水カバー21とを共に樹脂製として一体成形している。
【0051】
キャビネット3の前面、即ち前記食器投入口6を覆う前記扉2は、下端が開閉自在に支持されており、下端を軸に前方に開く。この扉2の前面の上部中央には取っ手55が設けられており、取っ手55の両側には、排気口56が設けられている。
【0052】
前記扉2の裏面における両端部分には、扉の開放時に前記食器カゴ30を扉2の裏面に引き出した際、前記ローラ51を受けるローラ受け57が設けられている。このローラ受け57は、扉2の上下方向に延びている。このローラ受け57は扉2の端部の裏面を中央部よりも後方に隆起させて形成している。
【0053】
図12に示すように、食器カゴ30を完全に引き出した状態では、食器カゴ30の前のローラ50がローラ受け57に載っており、後のローラ50はレール部51上に載っている。
【0054】
前記扉2の裏面上部には、扉2の裏面と排気カバー58とにより前記排気口56への排気風路59を形成している。この排気風路59は、両方の排気口56を結ぶ略U字型をなし、中央下面には洗浄タンク5からの風の導出口60が設けられている。洗浄タンク5内からの排気は、この導出口60から排気風路59内に入り、排気風路59内を通って両方の排気口56から機外へ排出される。
【0055】
ここで、排気口56からは、乾燥時に高温の蒸気が排出されるため、安全性の面から排気口56と取っ手55との間にはある程度の距離を設けなければならない。このため、横幅が狭い本実施形態の食器洗い機1の場合、扉2の横幅が狭いため、排気口56がどうしても扉2の端部に寄ってしまう。こうなると、図11に示すように、扉2の裏面では、排気カバー58の両端58aはローラ受け57の部分にはみだしてしまう。本実施形態では、排気カバー58の表面とローラ受けの表面とが略面一になるようにし、排気カバー58の端部58aがローラ受け57を兼ねるようにしたので、食器カゴ30の扉2の裏面への引き出しに支障をきたさない。
【0056】
前記洗浄タンク5の右側壁下部の外面であって前記水位検知室29の後方の位置には、温度センサ61が配置されている(図5参照)。この温度センサ61は、例えばサーミスタであり、洗いやすすぎ時に洗浄タンク5の底部に溜められた水の温度を検知するためのものである。また、乾燥時に洗浄タンク5内の雰囲気温度を検知するためのものでもある。
【0057】
図13は本実形態の食器洗い機の電気系構成図である。制御部62は、CPU、ROM、RAMなどを含むマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROMには後述のような動作を行うための制御プログラムが格納されている。この制御プログラムに従ってCPUが各種演算や処理を実行することにより後述の機能が達成される。
【0058】
制御部62には各種の操作スイッチ63から操作信号が入力される。また、扉2の開閉を検知する開閉検知スイッチ64、前記温度センサ61等から構成される温度検知部65、洗浄タンク5内の水位を検知する水位スイッチ66などから検知信号が入力される。また、制御部62は、これら操作信号及び検知信号に基づき、前記洗浄ポンプのポンプモータ67、給水弁68、前記送風ファン25aのファンモータ69、ヒータ23、設定された洗浄コースや行程の進行を示す表示部70、異常や運転終了などを報知するブザー71の動作を制御する。
【0059】
この食器洗い機1は、洗浄コースの一つとして蒸気コースを備えたことを特徴としている。この蒸気コースは、洗い行程において高温の蒸気で食器をむらし、食器にこびりついたご飯粒を十分にとかすことにより、ノズルアームから噴射した水によって十分にご飯粒を洗い流すことができるようにした洗浄コースである。以下のこの蒸気コースにおける動作を、図14のフローチャートに従って説明する。
【0060】
使用者により蒸気コースが選ばれた後、スタートスイッチ(図示しない)が押されると、蒸気コースが開始される。
【0061】
最初に洗い行程を実行する。制御部62は、まず、給水弁68を動作して所定の洗浄水位まで洗浄タンク5内に給水する(ステップS1)。このとき、供給される水は、通常、蛋白質の凝固温度(約60℃)よりも低い温度である。洗浄タンク5内には、使用者によって予め洗剤が投入されており、供給された水に洗剤がとけ込んで洗剤を含んだ水(洗浄水)となる。
【0062】
次に、給水が完了すると、制御部62は、ヒータ23を動作するとともに、洗浄ポンプ10を動作する(ステップS2、S3)。洗浄タンク5内の水が加熱されるとともに、前ノズルアーム15及び後ノズルアーム17から水が食器に噴きつけられ、食器が洗われる。制御部62は、温度センサ61によって洗浄タンク5内の水の温度を検知しており、水温が60℃に達したことを検知すると、ヒータ23及び洗浄ポンプ10を停止する(ステップS4〜S6)。
【0063】
食器に付着した蛋白質汚れは、水温が60℃に到達するまでの洗い(初期洗い)によって十分に落とされる。しかし、この初期洗いでは、乾いて固まり食器にこびりついたご飯粒を落としきることはできない。このため、以降にむらし洗浄を行う。
【0064】
まず、5分間(予備むらし時間)、ヒータ23及び洗浄ポンプ10を停止したままにし、洗浄タンク5内に溜められた60℃の水から出た蒸気を洗浄タンク5内に充満させて食器の予備むらしを行う。
【0065】
次に、本むらし洗浄に入る。停止から5分後、ヒータ23及び洗浄ポンプ10を再び動作し、ヒータ23によってさらに洗浄タンク5内の水を加熱しながら、前ノズルアーム15及び後ノズルアーム17から食器に水を噴射する(ステップS7〜S9)。こうして、洗浄タンク5内の水の温度が80℃(むらし温度)に到達すると、ヒータ23を停止する(ステップS10、S11)。洗浄ポンプ10は引き続き動作させ、その後5分間(むらし時間)が経過すると、洗浄ポンプ10を停止する(ステップS12、S13)。
【0066】
洗浄タンク5内の水の温度を80℃まで上げることで洗浄タンク5内には80℃あるいはそれに近い温度の蒸気が充満することになり、この蒸気によって食器がむらされる。また、前ノズルアーム15及び後ノズルアーム17から80℃の水が噴きつけられることによっても食器がむらされる。米に加えた水の温度が75℃以上であれば米の澱粉の糊化がすすむので、この場合、食器に付着したご飯粒は十分にとける。とけたご飯粒は、前ノズルアーム15及び後ノズルアーム17から水が噴きつけられることによって洗い流される。
【0067】
このようにして、上記のようなむらし洗浄が行われることにより食器にこびりついたご飯粒がきれいに落とされる。なお、80℃の水での洗いにより、食器にこびりついた油汚れもよくとけてよく落ちる。
【0068】
こうして、制御部62は、むらし洗浄を終えると洗い行程を終了し、すすぎ行程に移行する。このすすぎ行程では、ヒータ23によって加熱しない水を食器に噴きつけるすすぎを2回行なった後、ヒータ23で70℃まで水を加熱してこの加熱水を食器に噴きつける加熱すすぎを行う。
【0069】
そして、すすぎ行程が終了すると、乾燥行程に移行する。乾燥行程では、ヒータ23及び送風装置25を動作させて、ヒータ23によって温めた風を食器に当て食器を乾燥させる。この乾燥行程が終了すると、蒸気コースの洗浄運転を終了する。
【0070】
以上、本発明の一実施形態の食器洗い機1の構成について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、むらし温度は少なくとも75℃以上であればよい。また、洗浄ポンプ10を停止した状態でむらし温度になった水から出た蒸気によってある程度の時間だけ食器をむらした後に、洗浄ポンプ10を動作させて食器に水を噴きかけるようにしてもよい。その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態よる食器洗い機の流し台への設置状態を示す図である。
【図2】食器洗い機の側面図である。
【図3】食器洗い機の正面図である。
【図4】食器洗い機の内部構成を示す側面縦断面図である。
【図5】食器洗い機の内部構成を示す平面横断面図である。
【図6】食器洗い機の内部構成を示す正面縦断面図である。
【図7】ヒータカバー、吸気室及び乾燥装置の構成を示す要部の断面図である。
【図8】食器カゴの平面図である。
【図9】食器カゴの側面図である。
【図10】上カゴをしまった状態を示す食器カゴの要部の側面図である。
【図11】扉の裏面の構成を示す扉を開いた状態の要部の平面図である。
【図12】食器カゴを引き出した状態を示す食器洗い機の概略図である。
【図13】本実形態の食器洗い機の電気系構成図である。
【図14】蒸気コースにおける動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
5 洗浄タンク(洗浄槽)
10 洗浄兼排水ポンプ(水噴射手段)
15 前ノズルアーム(水噴射手段)
17 後ノズルアーム(水噴射手段)
23 ヒータ(加熱手段)
62 制御部(制御手段)
68 給水弁(給水手段)
Claims (1)
- 食器を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽の底部に溜めた水を食器に噴きつける水噴射手段と、前記洗浄槽内へ給水する給水手段と、前記洗浄槽の底部に溜めた水を加熱する加熱手段と、前記水噴射手段及び加熱手段の動作を制御して、食器を洗う洗い行程、食器をすすぐすすぎ行程を順次行う制御手段とを備え、
前記制御手段の制御の下、前記洗い行程において、
前記給水手段の動作により蛋白質の凝固温度よりも低い温度の水を供給して前記洗浄槽の底部に溜め、前記加熱手段の動作により前記洗浄槽底部の水が蛋白質の凝固温度に至るまでにおいて、前記水噴射手段の動作により蛋白質の凝固温度よりも低い温度の水を食器に噴きつけて食器を洗う初期洗いを行い、
その後、前記加熱手段及び水噴射手段の動作を停止したまま前記洗浄槽内に蒸気を充満させて食器の予備むらしを行い、
次に、前記加熱手段の動作により、米の澱粉の糊化がすすむ約75℃以上のむらし温度まで加熱し、この温度の水から出た蒸気によって食器をむらし、前記水噴射手段の動作によりむらした食器に水を噴きつけて食器を洗う本むらし洗浄を行う
ことを特徴とする食器洗い機。
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