JP3545201B2 - グリル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、注水されたグリルパンを焼き網の下方に備えると共に、該グリルパンの外周面の温度を検知してグリルパン内の水が所定量以下に減少したことを検知する温度センサを有するグリル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記従来のグリル装置として、例えば実開平3−88432号公報により知られるものでは、グリル庫の底面奥に、上方に向かって付勢された温度センサを配設している。一方、グリル庫の底面上を摺動して出し入れ自在のグリルパンを設け、該グリルパンの底面奥側の一部を隆起させて、グリルパンをグリル庫に格納した状態でセンサが下方から当接するセンサ当接部を形成している。このようなグリル装置ではグリルパンに注水してグリル調理を行うが、調理中に水が蒸発して減水していく。センサ当接部はグリルパンの底面の他の部分より隆起しているので、減水してくると、まずセンサ当接部の上面が冠水しなくなる。すると、温度センサの検知温度の上昇速度はセンサ当接部が冠水しなくなった時点から増速し、検知温度が所定温度を超えることにより、グリルパン内の水が完全になくなる前に、グリルパン内の水が所定量以下に減水したことを知ることができる。
【0003】
ところで、グリルパンに注水する理由は、グリルパン内での焼き汁の焦げ付き防止や調理中におけるグリル庫内の温度上昇の抑制のためであるが、蒸発による水蒸気が調理物の周囲に充満すると、調理物が蒸し焼き状態になり、調理物の種類によっては味が損なわれるという問題がある。そのため、例えば実開昭57−144307号公報により知られるように、グリルパン内の水を覆う上皿を設けて水蒸気が調理物の周囲に充満しないようにしたものが知られている。
【0004】
また、グリル庫の天井面に赤外線の上火バーナを設けると共に、グリル庫の左右両側に前後方向に長手の下火バーナを配設し、左右からグリル庫中央へ向けて噴出された炎で焼き網に載置された調理物を下方から加熱するようにしたグリル庫が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
温度センサによりグリルパン内の減水を検知する上記従来のものでは、減水しセンサ当接部が冠水しない状態になっても、センサ当接部のすぐそばに水があるのでセンサ当接部から周囲の水に熱が逃げる。そのため、センサ当接部が冠水しなくなった状態から更にある程度減水しないと、減水したことを検知できないという不具合がある。尚、センサ当接部の面積を広くすれば冠水しなくなった状態以降の温度上昇速度を大きくすることはできるが、グリルパン内の注水容量が減少して好ましくない。また、左右から噴出された下火バーナからの炎はグリル庫の中央で相互に干渉することなくスムーズに流れるようにしなければ焼きむらができる。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、グリルパン内の水が所定量以下に減水したことを直ちに検知できると共に、下火バーナによる焼きむらが生じないグリル装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、グリル庫内で調理物を保持する焼き網の下方に設置され、内部に注水されるグリルパンとグリルパン内の水面を覆う上皿とを備えると共に、該グリルパンの外周面の温度を検知する温度センサを有し、該温度センサの検知温度からグリルパン内の水が所定量以下に減少したことを検知するグリル装置において、グリル庫の左右両側に前後方向に長手の下火バーナを配設し、上皿の底面の内の左右両側部を水面との間に所定間隔の隙間を形成する水平な平坦部を形成すると共に平坦部に挟まれた中央部を平坦部より高く形成し、かつ上記温度センサが当接するセンサ当接部をグリルパン内の水面より高い位置に設定し、上記平坦部のいずれか一方をセンサ当接部の内周面に接触させたことを特徴とする。
【0008】
上皿に形成した上記平坦部は水面に接していないが、グリル調理が開始され所定時間が経過しグリルパン内の水が沸騰する水面は大きく揺れ、あるいは沸騰により生じる泡の破裂時に飛沫が飛び散り、平坦部の下面に湯がかかる。湯は100度以上にならないので、該平坦部はかかった湯によって冷却され100度に保たれる。一方、センサ当接部の内周面に接触する上皿の接触部分は該平坦部に連なっているため、センサ当接部の温度が100度を超えようとしても平坦部が放熱板として作用し、接触部分を介してセンサ当接部を冷却しセンサ当接部の温度が100度を超えることはない。グリルパン内の水の蒸発が進みグリルパン内の水量が所定量以下に減少すると、平坦部の下面と水面との間隔が大きくなり、平坦部の下面に湯がかからなくなる。すると、平坦部は湯がかからなくなった瞬間から逆に集熱板として作用し、集熱した熱をセンサ当接部に伝導する。そのためセンサ当接部の温度は上皿を取り付けていない場合より遙かに急速に温度上昇し、温度センサの検知温度は急速に上昇する。このように上皿の平坦部は湯が平坦部の下面にかからなくなる時点を境にセンサ当接部に対して放熱板として機能していたものが集熱板として機能するように切り替わるため、温度センサの検知温度の変化が急変し該切り替わりの時点を顕著に知ることができる。また、左右に形成した平坦部より中央部を高く形成しているので、左右の下火バーナから噴出された炎は平坦部に沿ってグリル庫の中央に向かって進み、中央で相互に衝突する前に中央部に沿って炎が上方へ曲げられる。従って、左右の下火バーナから噴出された炎は正面衝突せず、上方に曲げられる。そのため、中央部分で両側からの炎が乱れずグリル庫の左右全域に均等に炎が分布して焼きむらが生じない。
【0009】
ところで、温度センサをグリル庫内の底面に上向きに配設すると、グリルパンの上端縁を水面に近づけることができるためグリルパンの高さを低くすることができる。また、温度センサをグリル庫内の側面に内向きに配設し、グリルパンの側壁の一部に形成したセンサ当接部に温度センサを当接させるようにすると、グリルパンの上端縁と水面との間にセンサ当接部となる部分を確保しなければならないためグリルパンの高さは温度センサを底面に配設した場合より高くなるが、例えば調理途中にグリルパンをグリル庫から一時的に取り出しても上火からの輻射熱が温度センサに直接作用しないようにできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、1はカウンタトップCTに開設された開口Wに懸下されたガスこんろに内蔵のグリルである。該グリル1は耐熱性のガラス板11が嵌め込まれたグリル扉12を備えており、該グリル扉12によって、グリル1の内部に設けられたグリル庫13が前方から開閉される。該グリル扉12を図示の状態から手前に引くと焼き網14を載置した状態でグリルパン2がグリル扉12と共に手前に引き出される。尚、グリル庫13の底面奥左側には上方に付勢された温度センサ15が取り付けられている。該温度センサ15は内部にサーミスタを内蔵しており、グリルパン2をグリル庫13内に格納した状態でグリルパン2の底面の所定位置に当接し、該グリルパン2の底面の温度を検知するものである。また、該グリル庫13の左右両側には焼き網14より下方に位置する前後方向に長手の1対の下火バーナ16が、グリル庫13の左右両側壁13aに形成された開口13bを介して、炎孔16aがグリル庫13内に臨むように取り付けられている。尚、13cは庇である。また天井面には赤外線式の上火バーナ17が取り付けられている。そして、下火バーナ16や上火バーナ17からの熱気等はグリル庫13の奥壁上部に開口する排気ダクト18を通って外部に排気される。尚、上火バーナ17を備えず下火バーナ16のみを備えるようにしてもよい。本発明ではグリルパン2に上皿3を重ねた。尚、12aはグリル扉12に結着されている略水平状の枠体であり、該枠体12a上にグリルパン2が載置されてグリル扉12の開閉に伴ってグリルパン2はグリル庫13に対して出し入れされる。但し、グリルパン2はグリル扉12から分離させて単独でグリル庫13に対して出し入れするようにしてもよい。
【0011】
図2に示すように、グリルパン2の左奥角には従来のグリルパンと同様に底面を1段高く成形しセンサ当接部21が形成されている。上述のようにグリル扉12を押してグリルパン2をグリル庫13内に格納すると、温度センサ15は該センサ当接部21の底面に当接する。一方、上皿3はグリルパン2と略同一の大きさを有している。該上皿3の底面には、左右方向の中央に向かって高くなる山形形状に成形された前後方向に長手の中央部32と該中央部32の左右両側に平坦部31が形成されている。該中央部32は必ずしも図示のごとく山形である必要はなく、平坦部より高い平面状に形成しても良い。そして、上皿3には前開口33と後開口34とが開設されている。該前開口33及び後開口34は少なくとも中央部32に連接している。
【0012】
図3及び図4を参照して、グリルパン2に上方から上皿3をセットすると、グリルパン2と上皿3とで挟まれた空間が形成される。該空間は前開口33と後開口34とを介して外部に連通する。従って、前開口33及び後開口34の少なくとも一方から水を注げば該空間内に水が充填される。ところで、図5に示すように、グリルパン2に上皿3を重ねた状態では、前方から見て左側の平坦部31(図5は後方からの図であるため左右反転している)がセンサ当接部21に接触していなければならない。また、上記のように水を注入する場合には、図5に示すように平坦部31の下面に水面が接触しない水量にする。下火バーナ16や上火バーナ17に点火してグリル調理を開始すると、グリルパン2と上皿3とで挟まれた空間内の水は加熱され水温が上昇し所定時間後には沸騰する。沸騰により生じた水蒸気は主に中央部32と水面との間に形成される隙間を通って前開口33及び後開口34から排出され、内部の沸騰した湯が水蒸気に押されて噴き出すことはない。前開口33から排出された水蒸気は焼き網14の前脚板14aに開設された開口14bを通ってグリル扉12のガラス板11に達し、該ガラス板11を冷却する。水蒸気は空気より軽いのでガラス板11を冷却した後の水蒸気はグリル庫13の比較的上部を通って排気ダクト18に導かれ、焼き網14に載置されている魚等の調理物に接することはない。また、後開口34から排出された水蒸気はグリル庫13内に流れず、そのまま排気ダクト18を通って排出され、やはり焼き網14に載置された調理物に接することはない。また、左右の下火バーナ16からグリル庫13の中央に向かって噴出された炎は平坦部31に沿って略水平に進み、左右からの両炎がぶつかりあう前に中央部32に沿って両炎は上向きに曲げられる。そのため両炎は中央でぶつかりあって流れが乱れることなく、焼き網14の下面全域に均等に広がり、焼きむらが生じない。
【0013】
上記のようにセンサ当接部21に平坦部31を接触させている。そのため該接触部分を介して両者の間に熱の流れが生じる。平坦部31は所定の条件下では集熱板として機能し、あるいは放熱板として機能する。図6を参照して、グリル調理を開始すると下火バーナ16からの炎にあぶられ、また上火バーナ17からの輻射熱を受け、平坦部31は集熱板として機能し、急速に温度が上昇する。そして、平坦部31で集熱された熱はセンサ当接部21に伝導され、温度センサ15の検知温度は急激に上昇する(図6のa)。グリル調理開始からt1時間経過するとグリルパン2内の水が沸騰し始める。すると、水面は沸騰により揺れ、あるいはしぶきが立ち、水面のすぐ上方に位置する平坦部31の下面に湯がかかる。沸騰していても湯は100度以上にはならないので、平坦部31は沸騰の開始と共に瞬間的に100度まで温度が下がる。沸騰が継続し、常に平坦部31の下面に湯がかかる状態では平坦部31は放熱板として機能し、先ほどとは逆にセンサ当接部21の温度が上昇しようとしても平坦部31側に熱が伝導されセンサ当接部21の温度も100度以上にはならない、そのため温度センサ15の検知温度は100度のまま一定状態になる(図6のb)。更に時間が経過し、グリルパン2内の湯が沸騰し水蒸気となって上記のごとく外部に排出され続けると水面が徐々に下がり、調理開始からt2時間経過時に、湯が平坦部31の下面にかからなくなる。すると、平坦部31は再び集熱板として機能し、温度センサ15の検知温度は100度から急速に上昇する(図6のc)。図示しない制御装置は温度センサ15の検知信号を常時監視しており、検知温度が所定温度(本実施の形態では150度)に到達した時点で、グリルパン2内の水が少なくなったと判断して、その旨をランプ等により報知する。尚、ランプ等による報知と共に下火バーナ16及び上火バーナ17へのガス供給量を減少させ、あるいは遮断するようにしてもよい。ところで、調理中は調理物から上皿3上に油等が落ちる。該油は中央部32が山形であるため左右の平坦部31に集められるが、平坦部31の温度は上述のごとく調理中は略100度に保たれるので該油から発煙することはない。尚、減水すると平坦部31の温度は100度を超えるが所定温度まで温度上昇するまでの時間が短時間であるため、油から発煙される前に減水状態であることが報知され、あるいは燃焼量の減少や消火が行われる。
【0014】
尚、図7は上皿3を重ねずグリルパン2のみでグリル調理を行った場合の温度センサ15の検知温度の変化を示すグラフである。センサ当接部21がグリルパン2の底面より1段高く成形されているので、グリルパン2内の水の量が蒸発により減少すると、他の部分より早く水から露出するため、水が残っている状態でも検知温度が上昇して、検知温度が所定温度(170度程度)になると水が減少したことを検知できる。ところが、図6と図7とを比較すると明らかなように、上皿3を用いた方がより顕著に水の減少を検知することができる。更に上皿3を用いることにより水蒸気が調理物に接しないようにして調理物の味が損なわれることを防止でき、また、グリル扉12のガラス板11を水蒸気で冷却することができる。更には、左右の下火バーナ16から噴出される炎の流れが乱れず焼きむらが生じない。
【0015】
上記実施の形態では、温度センサ15をグリル庫13の底面に取り付けた。このようにグリル庫13の底面に取り付けると温度センサ15の感熱部分が上方に向き、そのため、調理中に一時的にグリルパン2をグリル庫13から引き出すとバーナからの輻射熱が温度センサ15の感熱部に作用し、グリルパン2を引き出したままの状態が長く続くと検知温度が上昇し、水無し状態であると誤判断するおそれが生じる。そのような場合には、図8に示すように、グリル庫13の側面壁13aに、温度センサ15を横方向に向けて取り付ける。そして、グリルパン2の側壁2aの一部であって水面より高い位置をセンサ当接部21とし、上皿3の縦壁部3aをセンサ当接部12の内周面であるグリルパン2の内壁面に当接させた。このように構成すると調理中に一時的にグリルパン2をグリル庫13から引き出しても、バーナからの輻射熱が温度センサ15の先端の感熱部に直接作用しないようにできる。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、グリルパンに上皿を重ねることにより、グリルパン内の水が所定量以下に減少したことを顕著に検知することができる。また上皿の左右方向中央部を両側の平坦部より高く形成したので左右の下火バーナから噴出される炎が均一に分布し焼きむらが生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す断面図
【図2】グリルパンと上皿との形状を示す斜視図
【図3】グリルパンに上皿を装着した状態での平面図
【図4】IV−IV断面図
【図5】V−V断面図
【図6】上皿装着状態での検知温度の変化を示す図
【図7】上皿未装着状態での検知温度の変化を示す図
【図8】他の実施の形態でのV−V断面図
【符号の説明】
1 グリル
2 グリルパン
3 上皿
15 温度センサ
21 センサ当接部
Claims (2)
- グリル庫内で調理物を保持する焼き網の下方に設置され、内部に注水されるグリルパンとグリルパン内の水面を覆う上皿とを備えると共に、該グリルパンの外周面の温度を検知する温度センサを有し、該温度センサの検知温度からグリルパン内の水が所定量以下に減少したことを検知するグリル装置において、グリル庫の左右両側に前後方向に長手の下火バーナを配設し、上皿の底面の内の左右両側部を水面との間に所定間隔の隙間を形成する水平な平坦部を形成すると共に平坦部に挟まれた中央部を平坦部より高く形成し、かつ上記温度センサが当接するセンサ当接部をグリルパン内の水面より高い位置に設定し、上記平坦部のいずれか一方をセンサ当接部の内周面に接触させたことを特徴とするグリル装置。
- 上記温度センサはグリル庫内の底面に上向きに配設され、グリルパンの底面の一部を隆起させて水面より高いセンサ当接部を形成すると共に、上記平坦部の一部を該センサ当接部の内周面である上面に当接させたことを特徴とする請求項1記載のグリル装置。
【請求項3】上記温度センサはグリル庫内の側面に内向きに配設され、グリルパンの側壁の一部であって水面より高い位置を上記センサ当接部とすると共に、上皿に上記いずれか一方の平坦部の側縁から立ち上がる縦壁部を形成し、該縦壁部をグリルパンの内壁面の一部であるセンサ当接部の内周面に当接させたことを特徴とする請求項1記載のグリル装置。
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