JP3545072B2 - 電子機器用ダンパー装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、振動吸収機構を必要とする車載用などの電子機器に係り、特に被支持体を弾性支持するダンパー側とベース側との間に凹凸嵌合部を設けることにより、組立工程の簡易化を可能とした電子機器用ダンパー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の車載用CDプレーヤに用いられているダンパー装置を示し、同図(a)が正面図、同図(b)が平面図である。
図6に示すダンパー装置は、ダンパー本体Aとホルダー4とに分かれている。ダンパー本体Aは、ダンパー部1と円筒部2と台座部3とが一体に形成されている。円筒部2と台座部3とは合成樹脂により一体に形成され、図6(b)に示すように、台座部3は、円筒部2の基端周囲にフランジ状に形成されている。ダンパー部1は薄い合成ゴムの中にシリコンオイルなどが封入されたものであり、この袋状のダンパー部1が円筒部2の内部に固着されている。ホルダー4は、ダンパー本体Aを固定する部材であり、ダンパー本体Aの円筒部2の外周に嵌合される。ホルダー4には突片5とネジ孔7とが形成されている。ダンパー装置を固定するベース10側には、ベース10の一部が垂直に折曲げられた折曲片に孔が形成された折曲孔6を有し、この折曲孔6に前記突片5が嵌合するものとなっている。
【0003】
このダンパー装置の取付作業は、前記ホルダー4をダンパー部1の上方から円筒部2の外周で且つ台座部3上に挿嵌する。さらに、ホルダー4に設けられた突片5を折曲孔6に嵌合させてダンパー本体Aとホルダー4の底面をベース10上に密着させ、ネジ孔7に挿入したネジ8をドライバー等のネジ回しで締め回しベース10に螺着する。
被支持体となる浮上ベース31上には、CDを保持するターンテーブル、クランプ機構、ターンテーブルを回転駆動するスピンドルモータ、さらにディスクに記録された信号を読み出す光ヘッドなど(図示せず)の振動から守るべき部品が搭載されている。前記浮上ベース31には、シャフト33の一端がカシメ32により固定されており、シャフト33の下端は、ダンパー本体Aのダンパー部1に形成されたシャフト挿入孔9に挿入される。これによって浮上ベース31がベース10上に浮上状態で支持され、浮上ベース31が防振支持される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記のダンパー装置の場合、ベース10に固定する組立時に、ネジ8を締め付けるネジ回しの作業が必要になり、工程が一つ増えてしまうという点が問題となる。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ネジ締め作業を不要にして組立工程を削減し作業効率の向上を図れる電子機器用ダンパー装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による電子機器用ダンパー装置は、ベースに設置される弾性変形可能なホルダー部と、このホルダー部と一体または別体に設けられ被支持体を弾性支持するダンパー部とから成るダンパーが使用される電子機器用ダンパー装置において、
前記ホルダー部とベースとの間には、ホルダー部をベースに平行に移動させたときに二ヶ所以上で差し込み嵌合する第1の凹凸嵌合部が設けられ、前記ホルダー部の底面とベースの表面との間には、一方に形成された凸部と他方に形成された穴または凹部とが互いに嵌り合う第2の凹凸嵌合部が設けられており、
前記第1の凹凸嵌合部で差し込み嵌合が行われるときに、前記ホルダー部の底面とベースの表面との間に前記凸部が介在して前記ホルダー部が前記ベースから離れる方向に弾性変形し、その後に前記第2の凹凸嵌合部の嵌合が行われて前記弾性変形が復元することを特徴とするものである。
【0007】
上記において、第1の凹凸嵌合部では、ベース側に折曲片が形成されて、この折曲片に水平に向く凹部が形成され、ホルダー部がベースに接した状態で水平に移動する際に、ホルダー部に形成された凸部が前記凹部に差し込み嵌合される。ただし、ホルダー部側に水平に向く凹部が形成され、ベース側にこの凹部に差し込み嵌合される凸部が設けられてもよい。
【0008】
第2の凹凸嵌合部では、ホルダー部の底面とベース上面のいずれか一方に凸部が、他方に穴または凹部が形成され互いに凹凸嵌合される。
被支持体は、例えば車載用CDプレーヤにて、光ヘッドなどが搭載されている浮上ベースであり、またはCDプレーヤ以外の車載用電子機器の浮上シャーシであってもよい。
【0009】
【作用】
上記手段では、被支持体を弾性支持するダンパーが、合成樹脂などで形成されたホルダー部に、ダンパー部が一体または別体に設けられたものである。ダンパー部は、ホルダー部に一体または別体に形成された袋状の薄いゴムの内部に、シリコンオイルなどの高粘性流体またはエアなどが封入されて構成されている。ダンパーの取付作業では、ホルダー部をベース上に接触させながらベースに平行に移動させる。この動作で第1の凹凸嵌合部にて差し込み嵌合がなされる。第1の凹凸嵌合部による差し込み嵌合が完了したときに、ホルダー部の底面とベースとの間の第2の凹凸嵌合部が嵌合される。第1と第2の凹凸嵌合部にて嵌合された結果、ホルダー部がベースに固定される。すなわち、第1の凹凸嵌合部にてホルダー部とベースとが離れないように拘束され、第2の凹凸嵌合部により、ホルダー部がベース上にて水平に動かないように拘束されることになる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施例として車載用CDプレーヤに用いられるダンパー装置の構成を示す斜視図、図2は一体型ダンパーがベースに嵌合し固定された状態を示し、同図(a)は図1のII矢視方向より見た側面図、同図(b)はその平面図、図3は一体型ダンパーとベースが分離した状態を示す平面図、図4は一体型ダンパーがベースに嵌合する際の第2の凹凸嵌合部の状態を示す図1のIV方向矢視図、同図(b)は嵌合直前の状態を示している。図5は第2の凹凸嵌合部の他の実施例をII方向から示す拡大図である。この実施例では、一体型ダンパーBが使用されている。
【0011】
図1に示すように一体型ダンパーBは、ホルダー部11とダンパー部12が一体に形成されたものである。ホルダー部11は硬質の樹脂製であり、円筒部11aと、この円筒部11aの基部からフランジ状に延びる台座11bとが一体に形成されている。ダンパー部12は、上記円筒部11aに対し二色成型工程により一体に形成された合成ゴムなどの薄膜可撓性の袋体12aと、この袋体12a内および円筒部11aの内側に封入されたシリコンオイルなどの高粘性流体により構成されている。ダンパー部12の上面には被支持体が挿入される挿入孔12bが凹状に形成されている。
【0012】
上記ホルダー部11の外周には、第1の凹凸嵌合部の凸側となる3個の突片13a,13b,13bが一体に形成されている。またホルダー部11の底面には第2の凹凸嵌合部の凸側となる円柱状の突起14が一体に形成されている。
上記一体型ダンパーBのホルダー部が固定されるベース20は、車載用CDプレーヤの機構シャーシの一部である。ベース20には折曲片21a,21b,21bが折曲げ形成されている。折曲片21aには孔22aが開口し、折曲片21b,21bにはベース10の上面と平行に向く凹部22b,22bが形成されている。この孔22aと凹部22b,22bが第1の凹凸嵌合部の凹部側となる。またベース20には、嵌合孔23が穿設されている。この嵌合孔23は第2の凹凸嵌合部の凹部側となり、ホルダー部11の底面の前記突起14が隙間なく嵌合される。
【0013】
被支持体となる浮上ベース31は、図6に示した従来例と同様に、CDを駆動するターンテーブルおよびスピンドルモータ、さらには光ヘッドが搭載されたものである。浮上ベース31にはシャフト33がカシメ32により固定されており、このシャフト33が前記ダンパー部12の挿入孔12b内に挿入されて弾性的に支持される。
【0014】
次に一体型ダンパーBをベース20に固定する作業を説明する。
一体型ダンパーBはホルダー部11の底面をベース20上に設置し、図3に示すようにベース20の上を滑るようにY方向へスライドさせて装着する。この際、ホルダー部11の底面とベース20との間には突起14が介在するため、底面はベース20に密着できない。従って、ホルダー部11の台座11bの上部より少し力を加えて図4に示すように台座11bを少し撓ませながらスライドさせる。Y方向へのスライド動作により、前記突片13aおよび突片13b,13bが、ベース20の孔22aと凹部22b,22bに差し込まれて嵌合される。この第1の凹凸部での差し込み嵌合が完了したときに、ホルダー部11の底面の突起14がベース20の嵌合孔23に嵌合し、第2の凹凸部にて嵌合が完了する。一度嵌合すると、前述した嵌合部により一体型ダンパーBは動けない状態となる。すなわち、突片13a,13b,13bと孔22a,凹部22b,22bの差し込み嵌合によりホルダー部11bがベース20から離れないように拘束され、突起14と嵌合孔23との嵌合により、Y方向へ動かないように拘束される。よって車体の振動によって一体がダンパーBがベース20から抜脱するようなことは生じにくい。
【0015】
また、図5に示すようにホルダー部11の底面に設けられている突起14を点線で示した部分をカットするように成形しておけば、Y方向からのスライドが容易となり装着がさらに簡単となる。
なお、一体型ダンパーBの底面部には、凸型突起14を設けたが予め射出成形によりホルダー部11の底面に凹部を形成しておき、ベース20の上面に凸部を設け第2の凹凸嵌合を構成させておいてもよい。また、本発明では第1の凹凸嵌合部を三ヶ所に設けたが、一体型ダンパー装置の大きさ、装着の位置、振動の程度などにより二ヶ所の凹凸嵌合部を備えてもよい。
【0016】
また、第1の凹凸嵌合部として、ベース20側の折曲片21b,21bに凸部を設け、ホルダー部11に、この凸部差し込まれる凹部を形成してもよい。
また、図の実施例では、ホルダー部11とダンパー部12とが一体化された一体型ダンパーBを使用したものを示しているが、ホルダー部11ととダンパー部12とが別体のものであって、ホルダー部11とダンパー部12を組合せたものが第1と第2の凹凸嵌合部によりベース20に取付けられてもよい。ただし、上記実施例のように、一体型ダンパーBを使用することにより、構成部品数を少なくできる。
【0017】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、例えば組立時にドライバー等のネジ回し作業を必要としないため、構造上において取り付けが難しい箇所においても容易に、且つ短時間で設置でき作業効率の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例として車載用CDプレーヤに用いられる一体型ダンパーとベースとの取付状態を示す斜視図
【図2】一体型ダンパーがベースに嵌合し固定された状態を示し、同図(a)は図1のII方向より見た側面図、同図(b)はその平面図
【図3】一体型ダンパーがベースに取付けられる状態を示す平面図
【図4】一体型ダンパーがベースに嵌合する際の凹凸嵌合部の状態を示す図1のIV矢視図
【図5】一体型ダンパーのホルダー部に形成される他の突起を示す図1のII方向から見た拡大図
【図6】従来の車載用CDプレーヤに用いられているダンパー装置を示し、同図(a)は正面図、同図(b)は平面図
【符号の説明】
B 一体型ダンパー
11 ホルダー部
11a 円筒部
11b 台座
12 ダンパー部
12a 袋体
12b 挿入孔
13a,13b 第1の凹凸嵌合部を構成する突片
14 第2の凹凸嵌合部を構成する突起
20 ベース
22a 第1の凹凸嵌合部を構成する孔
22b 第1の凹凸嵌合部を構成する凹部
23 第2の凹凸嵌合部を構成する嵌合孔
31 支持体となる浮上ベース
32 カシメ
33 シャフト
Claims (1)
- ベースに設置される弾性変形可能なホルダー部と、このホルダー部と一体または別体に設けられ被支持体を弾性支持するダンパー部とから成るダンパーが使用される電子機器用ダンパー装置において、
前記ホルダー部とベースとの間には、ホルダー部をベースに平行に移動させたときに二ヶ所以上で差し込み嵌合する第1の凹凸嵌合部が設けられ、前記ホルダー部の底面とベースの表面との間には、一方に形成された凸部と他方に形成された穴または凹部とが互いに嵌り合う第2の凹凸嵌合部が設けられており、
前記第1の凹凸嵌合部で差し込み嵌合が行われるときに、前記ホルダー部の底面とベースの表面との間に前記凸部が介在して前記ホルダー部が前記ベースから離れる方向に弾性変形し、その後に前記第2の凹凸嵌合部の嵌合が行われて前記弾性変形が復元することを特徴とする電子機器用ダンパー装置。
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JP29214394A JP3545072B2 (ja) | 1994-11-01 | 1994-11-01 | 電子機器用ダンパー装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP29214394A JP3545072B2 (ja) | 1994-11-01 | 1994-11-01 | 電子機器用ダンパー装置 |
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JPH08129868A JPH08129868A (ja) | 1996-05-21 |
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JP29214394A Expired - Fee Related JP3545072B2 (ja) | 1994-11-01 | 1994-11-01 | 電子機器用ダンパー装置 |
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1994
- 1994-11-01 JP JP29214394A patent/JP3545072B2/ja not_active Expired - Fee Related
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