JP3544927B2 - 防水シートおよびそれを用いた防水部材、防水構造、防水施工方法ならびに防水シートの製造方法 - Google Patents

防水シートおよびそれを用いた防水部材、防水構造、防水施工方法ならびに防水シートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建築物の陸屋根やベランダに敷設される防水シート、およびそれを用いた防水部材、防水構造、防水施工方法ならびに防水シートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の防水シートとしては、ポリ塩化ビニル樹脂等の軟質合成樹脂からなるものが最も一般的であるが、諸物性の向上を図るために、内部に、表裏樹脂層とは異なる材質の中間層を介装させた積層構造のものが提案されている。
【0003】
従来より、この積層構造の防水シートとしては、例えば、中間層として、不織布、織布、金属箔、合成樹脂フィルムなどを用いたものが知られている(例えば、特公昭62−6504号公報、特開昭58−211449号公報、特開平7−251482号公報、特開平11−333958号公報、実公昭61−203号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の防水シートのうち、中間層として金属箔や合成樹脂フィルムを用いた防水シートの場合、層間剥離を生じやすくなるといった不都合を有する。
【0005】
また、中間層として不織布や織布を用いた防水シートの場合、表面層側および裏面層側の合成樹脂が中間層に含浸して互いに連続一体化するため、裏面層中に含まれる可塑剤成分が表面層側に移行して大気中に揮発されることとなり、表面層だけではなく裏面層まで耐候劣化しやすくなる。表面層側に発生したクレージングやクラックが裏面層側まで達することとなる。したがって、このような防水シートは、いささか耐久性に劣り、十分な防水性能を長期間維持できないという不都合を有することとなる。
【0006】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、各層間の接着強度を十分に確保しつつ、裏面層中の可塑剤成分が表面層側へ移行することを防止でき、十分な防水性能を長期間維持し、耐久性に優れた防水シート、およびそれを用いた防水部材、防水構造、防水施工方法ならびに防水シートの製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の防水シートは、合成樹脂からなる表面層および裏面層の間に、不織布からなる中間層が介装された防水シートにおいて、中間層内に、表面層側および裏面層側の樹脂が含まれない可塑剤移行防止用の遮断層が形成されるように、目付け80〜200g/m 、厚さ0.3〜1.5mmの不織布の表裏面に、ポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルが100〜250g/m の塗布量で塗布含浸されてなるものである。
【0008】
また、上記防水シートにおいて、表面層および裏面層と接する中間層の境界部分に、表面層および裏面層と同種の樹脂が含浸された表面接着層および裏面接着層が設けられ、中間層における表面接着層および裏面接着層の樹脂が含浸されない領域が遮断層として構成されるとともに、表面接着層および裏面接着層が表面層および裏面層に融着接合一体化されてなるものである。
【0009】
上記防水シートは、中間層が、ポリエステル繊維の不織布をもって構成されてなるものであってもよい。上記防水シートは、表面層および裏面層が、ポリ塩化ビニル樹脂をもって構成されてなるものであってもよい。
【0010】
また、上記課題を解決するための本発明の防水部材は、上記防水シートを用いて構成されたものである。
【0011】
さらに、上記課題を解決するための本発明の防水構造は、上記防水シートを用いて構成されたものである。
【0012】
さらに、上記課題を解決するための本発明の防水施工方法は、上記防水シートを用いたものである。
【0014】
また、上記課題を解決するための本発明の防水シートの製造方法は、目付け80〜200g/m 、厚さ0.3〜1.5mmの不織布からなる中間層用シートの上下両面にポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルを100〜250g/m の塗布量で塗布する樹脂塗布工程と、ポリ塩化ビニル樹脂からなる表面層用シートおよび裏面層用シートの間に、前記中間層用シートを挟み込んだ状態で、表面層用シートおよび裏面層用シートをペーストゾルに融着させることにより、これら各シートを積層化する積層工程とを含み、前記樹脂塗布工程を行うにあたって、中間層用シートの厚さ方向の中間に、ペーストゾルが含浸しない非含浸層を形成しておき、その非含浸層を、可塑剤移行防止用の遮断層として残存させるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1は防水シート1の全体構成の概略を示している。
【0017】
すなわち、この防水シート1は、表面層2と裏面層3との間に不織布からなる中間層4を有しており、中間層4内における厚さ方向中間に、表面接着樹脂20および裏面接着樹脂30が含浸していない可塑剤移行防止用の遮断層41が設けられている。
【0018】
表面層2および裏面層3は、合成樹脂であれば、材質は特に限定されるものではなく、例えばポリ塩化ビニル樹脂の他、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂も採用することができるが、汎用性や接着性の面からポリ塩化ビニル樹脂を採用するのが望ましい。
【0019】
表面層2および裏面層3の厚さは、上記防水シート1や中間層4の厚さを考慮して、適宜定められる。表面層2および裏面層3の厚さは、同じである必要はなく、異なる厚さとすることもできる。
【0020】
中間層4は、不織布からなり、厚さ方向の中間に遮断層41が形成され、この遮断層41の両面が、それぞれ表面接着層42、裏面接着層43となされている。表面接着層42および裏面接着層43は、表面層2および裏面層3と接することとなる中間層4の表面および裏面に、表面層2および裏面層3と同種の表面接着樹脂20および裏面接着樹脂30を、一部含浸させることによって形成され、この樹脂20、30を含浸させなかった中間層4の厚さ方向の中間部は、遮断部41となされる。
【0021】
この中間層4に用いられる不織布の材質は、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等が適用されるが、製造コストの面から汎用的なポリエステル繊維が好ましい。
【0022】
また、不織布の結着タイプも特に限定されず、例えばニードルパンチタイプ、レジンボンドタイプ、スパンボンドタイプ等のものを用いることができるが、中でも強度の高いスパンボンドタイプのものを用いるのが好ましい。
【0023】
中間層4として用いられる不織布は、目付量が80〜200g /m程度のものを使用するのが好ましい。 すなわち、80g /m未満のものを使用すると、繊維密度が低下して、合成樹脂が不織布内に過度に含浸し、表面層2側の樹脂20と裏面層3側の樹脂30が連続一体化する恐れが大きくなり、遮断層41が形成されなくなる可能性があるため好ましくない。 一方、200g /mを超えるものを使用すると、嵩高くなって中間層4の厚みが厚くなり、それに伴いシート全体の厚みも厚くなるため、所定サイズに巻回した状態でのシート長さが短くなる。つまり施工単位としての防水シート一本あたりのシート長さが短くなり、所定の施工面積に対する防水シートの使用本数が増カロするので、施工に手間がかかる可能性がある。さらにシート厚みが厚くなると、折り曲げるのが困難になり、折り曲げ溶着部分の角だし等に不便であり、一段と施工が困難になる可能性があるため好ましくない。本発明において、最も好ましい上記目付量は、100g /m〜180g /mである。
【0024】
防水シート1は、中間層4の表面接着層42および裏面接着層43に介在する表面接着樹脂20および裏面接着樹脂30を、表面層2および裏面層3と融着一体化することにより、これら表面層2および裏面層3と中間層4との間に十分高い接着強度が得られ、例えば層間剥離の発生を有効に防止することができることとなる。
【0025】
なお、本発明において、防水シート1の厚さは、1.0〜2.5mmの範囲とすることが好ましい。この厚さが1.0mm未満であると、防水シート1の強度、耐久性が低下する恐れがあることから好ましくない。
【0026】
また、その厚さが2.5mmを超えると、コスト面の不利に加えて、防水シート1の取り扱いが困難となるから好ましくない。最も好ましくは、上記防水シート1の厚さは、1.3mm〜2.3mmにするのが良い。
【0027】
また、中間層4の厚さは、0.3〜1.5mmの範囲とするのが好ましい。
【0028】
その厚さが0.3mm未満であると、表面層2側の表面接着樹脂20と裏面層3側の裏面接着樹脂30が連続一体化し、遮断層41が形成されない恐れがあることから好ましくない。
【0029】
一方、その厚さが1.5mmを超えると、製造が困難となり施工の際に取り扱いが困難になるばかりか、中間層4の内部に形成される遮断層41も厚くなり、その遮断層内での凝集破壊が生じる恐れがあることからも、好ましくない。
【0030】
最も好ましくは上記中間層4の厚さは、0.5mm〜1.0mmにするのが良い。
【0031】
次に、上記防水シート1の製造方法について述べる。
【0032】
まず、中間層4としての不織布シートの表裏面に、表面接着樹脂20および裏面接着樹脂30となるポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルを塗布する。
【0033】
このポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルの塗布量は、100〜250g /mに設定するのが好ましい。この塗布量が250g /mを超えると、このペーストゾルが中間層4全体に含浸され、遮断層41を形成し得なくなる可能性があるため好ましくない。逆に塗布量が100g /m未満の場合、所望の表面接着層42および裏面接着層43を形成できないことがあり、表面層2および裏面層3と中間層4との接着強度を十分確保できない恐れが生じる。本発明において、最も好ましいペーストゾルの塗布量は、150g /m〜200g /mである。
【0034】
ここで、本発明において、ペーストゾルの塗布量は、固形成分での塗布量を示すものであり、後述するように、ペーストゾルを塗布して乾燥固化させた状態での塗布量を示すものである。
【0035】
また、ポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルを塗布する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター方式、ロールコーター方式等を好適に用いることができるが、不織布シートへの塗布量の調整を精度良く行えるナイフコーター方式を用いるのが好ましい。
【0036】
中間層4としての不織布シートにペーストゾルを塗布して含浸させた後、このペーストゾルを乾燥固化させて表面接着層42および裏面接着層43を形成する。
【0037】
こうして表面処理された不織布シートを、表面層2および裏面層3としての軟質ポリ塩化ビニル樹脂シートの間に挟み込み、加圧加熱下にてラミネーティングを行う。これにより表面接着層42および裏面接着層43を構成する表面接着樹脂20および裏面接着樹脂30と、表面層2および裏面層3としてのポリ塩化ビニル樹脂シートとが融着一体化して防水シート1が形成される。
【0038】
このように各層の積層前にポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルを不織布シートに塗布しておくことにより、ポリ塩化ビニル樹脂の含浸量を調節することができる。このため、過剰な含浸による表面層2側の樹脂と裏面層3側の樹脂との連続一体化を防止して、シート全域にわたって、確実に遮断層41を形成しつつ、中間層4に表面層2と裏面層3とを十分な接着強度で積層することができる。
【0039】
なお、本発明において、積層一体化方法は、上記の方法だけに限られず、例えば、中間層4としての不織布シートをあらかじめポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルで表面処理することなく、表面層2および裏面層3としての軟質ポリ塩化ビニル樹脂シートの間に挟み込み、上記と同様に加熱加圧ラミネート等を用いて積層するようにしても良い。この場合、表面層2および裏面層3の樹脂を中間層4に含浸させて所定の接着強度を確保するようにしても良く、さらに表面層2および裏面層3の樹脂を中間層4に含浸させずに、中間層4の表裏面の毛羽に付着させて所定の接着強度を確保するようにしても良い。
【0040】
このように、本発明の防水シート1によれば、中間層4として不織布を用いているため、表面層2、裏面層3および中間層4の各層間の接着性を向上できる。
【0041】
また、防水シート1は、経時的使用によって表面層2内の可塑剤成分が減少してきても、中間層4としての不織布内に遮断層41を設けているため、裏面層3内の可塑剤成分が表面層2内に移行するのを防止できることとなる。
【0042】
さらに、防水シート1は、経時的使用による表面層2の耐候劣化によって、表面層2にクラックが発生しても、中間層4としての不織布内に遮断層41を設けているので、このクラックが裏面層3にまで伝播されるのを防止できることとなる。
【0043】
したがって、防水シート1は、層間剥離を防止したり、裏面層3の可塑剤成分が減少するのを防止したり、裏面層3にクラックが発生するのを防止して長期にわたり耐久性を発揮でき、十分な防水性能を長期間維持することができる。
【0044】
なお、遮断層41は、裏面層3から表面層2への可塑剤の移行を防止したり、表面層2に発生したクラックが裏面層3へ伝播するのを防止するためには、表面層2と裏面層3との間を完全に遮断するものであることが理想的には好ましいが、実質的には、ラミネート時に溶融した樹脂成分が毛細管現象によって不織布間を流れ、表面層2と裏面層3との間に、極微小ではあるが連続する部位を形成する可能性があることは否めない。しかし、遮断層41は、このような極微小に連続する部位が形成されたからといって、上記した効果が得られなくなるようなものではない。したがって、遮断層41は、表面層2と裏面層3との間を完全に遮断するものに限定されるものではなく、上記した効果が得られる範囲で、実質的に表面層2と裏面層3との間を遮断するものであればよい。
【0045】
このような防水シート1は、図2に示すように、各種立体形状に賦形した防水部材10として構成されたものであってもよい。この防水部材10は、防水シート1を敷設することが困難なコーナー部分などに設けられる。
【0046】
この防水シート1による防水構造としては、主たる用途として建築物の屋上の陸屋根やベランダ等の防水に用いたものが挙げられる。
【0047】
その施工方法としては、例えば、建築物駆体の下地面上の適宜位置に、開脚釘等を用いて、帯板状または円盤状の固定具を固定した後、防水シート1を敷き込み、必要箇所のみ上記固定具に部分的に有機溶剤あるいはホットウェルダーを用いて接合一体化し、他の部分は遊離状態のまま放置して完成させる工法が挙げられる。
【0048】
また、他の施工方法としては、例えば、建築物躯体の下地面上に防水シート1を敷き込んだ後、この防水シート1の上から固定具を取り付け、さらにその上に増し貼り用の防水シート1を接合一体化して固定具を被覆して完成させる工法が挙げられる。
【0049】
さらに、他の施工方法としては、例えば、建築物躯体の下地面に直接接着剤で防水シート1を接着して完成させる工法が挙げられる。
【0050】
〈実施例1〉
実施例1に係る防水シート1は、中間層4として目付量158g /mのポリエステル繊維からなるニードルパンチタイプにより製造した厚さ0.7mmの不織布シートを用いた。この不織布シートを平面に複写し、画像処理により、透孔部の割合(開口率)を測定したところ、透孔部は確認できず、開口率は0%であった。
【0051】
そして、前記不織布シートの表裏両面に、ポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルを150g /m(固形成分)の塗布量でナイフコーター方式により塗布し、一部含浸させた後、乾燥固化させて表面接着層42および裏面接着層43を形成した。
【0052】
次に、表面層2としての厚さ0.7mmの半硬質のポリ塩化ビニル樹脂シ−卜(可塑剤20phr)と、裏面層3としての厚さ0.7mmの軟質のポリ塩化ビニル樹脂シート(可塑剤60phr)との間に、前記不織布シートを中間層4として挟み、これらを加熱加圧下でラミネーティングを行い、各層2、3、4を積層一体化して、厚さ1.7mmの合成樹脂製の防水シート1を作製した。
【0053】
上記防水シート1を観察したところ、シートの全体に渡って一様に表面層2側の樹脂および裏面層3側の樹脂であるポリ塩化ビニル樹脂が、中間層4としての不織布に均一、且つ、適度に含浸し、表面接着層42および裏面接着層43を形成しているのが確認できた。さらに、中間層4の厚さ方向中間に、表面層2側の樹脂および裏面層3側の樹脂であるポリ塩化ビニル樹脂が含浸していない可塑剤移行防止用の遮断層41が、均一に形成しているのが確認できた。
【0054】
〈実施例2〉
実施例2に係る防水シート1は、中間層4として目付量107g /mのスパンボンドタイプにより製造した厚さ0.7mmの不織布シートを用いたものとした以外は、実施例1と全く同様にして厚さ1.7mmの合成樹脂製の防水シート1を作製した。
【0055】
この不織布シートの開口率は、実施例1と同様、0%であった。
【0056】
また、上記で作製された防水シート1について、実施例1と同様に、観察したところ、遮断層41が確認できた。
【0057】
〈実施例3〉
実施例3に係る防水シート1は、中間層4として目付量176g /m、厚さ1.0mm、開口率0%の不織布シートを用い、該不織布シートの表裏両面にポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルを塗布することなく各層2、3、4を積層一体化した以外は、実施例1と全く同様にして厚さ2.0mmの合成樹脂製の防水シート1を作製した。
【0058】
また、上記で作製された防水シート1について、実施例1と同様に、観察したところ、遮断層41が確認できた。
【0059】
〈実施例4〉
実施例4に係る防水シート1は、中間層4としてポリプロピレン繊維のスパンボンドタイプにより構成され、目付量83g /m、厚さ0.6mm、開口率0%の不織布シートを用い、該不織布シートの表裏両面にポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルを塗布することなく、各層2、3、4を積層一体化したものとした以外は、実施例1と全く同様にして厚さ1.7mmの合成樹脂製の防水シート1を作製した。
【0060】
また、上記で作製された防水シート1について、実施例1と同様に、観察したところ、遮断層41が確認できた。
【0061】
〈比較例1〉
比較例1に係る防水シート1は、中間層4として目付量50g /m、厚さ0.2mm、開口率14%の不織布シートを用い、該不織布シートの表裏両面にポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルを塗布することなく各層2、3、4を積層一体化したものとした以外は、実施例1と全く同様にして厚さ1.3mmの合成樹脂製の防水シート1を作製した。
【0062】
また、上記で作製された防水シート1について、実施例1と同様に、観察したところ、該防水シート1の一部において、表面層2側の樹脂と裏面層3側の樹脂とが連続一体化しており、遮断層41を形成していないことが確認できた。
【0063】
〈比較例2〉
比較例2に係る防水シート1は、中間層4として、不織布シートではなく、平織りにより製造した格子状織物シートを用い、該格子状織物シートの表裏両面にポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルを塗布することなく、各層2、3、4を積層一体化したものとした以外は、実施例1と全く同様にして厚さ1.3mmの合成樹脂製の防水シート1を作製した。
【0064】
なお、上記格子状織物シートの開口率は87%であった。
【0065】
また、上記で作製された防水シート1について、実施例1と同様に、観察したところ、シートのほぼ全体おいて表面層2側の樹脂と裏面層3側の樹脂が連続一体化しており、遮断層41を形成していないことが確認できた。
【0066】
〈比較例3〉
比較例3に係る防水シート1は、中間層4として、不織布シートではなく、からみ織りにより製造した格子状織物シートを用い、該格子状織物シートの表裏両面にポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルを塗布することなく各層2、3、4を積層一体化したものとした以外は、実施例1と全く同様にして厚さ1.3mmの合成樹脂製の防水シート1を作製した。
【0067】
なお、上記格子状織物シートの開口率は63%であった。
【0068】
また、上記で作製された防水シート1について、実施例1と同様に、観察したところ、シートの大半において表面層2側の樹脂と裏面層3側の樹脂が連続一体化しており、遮断層41を形成していないことが確認できた。
【0069】
〈比較例4〉
比較例4に係る防水シート1は、中間層4を設けることなく、表面層2および裏面層3を積層一体化したものとした以外は、実施例1と全く同様にして厚さ1.3mmの合成樹脂製の防水シート1を作製した。
【0070】
なお、この場合には、中間層4を設けていないため、開口率は100%である。
【0071】
また、上記で作製された防水シート1について、実施例1と同様に、観察したところ、シートの全域において表面層2側の樹脂と裏面層3側の樹脂が連続一体化してることが確認できた。
【0072】
〈性能比較試験〉
本発明の実施例および比較例の性能比較を行う。性能比較は、実施例1ないし4と比較例1ないし4について可塑剤移行防止性および接着性に関するものである。
【0073】
可塑剤移行防止性の試験は次の条件の下で恒温オーブンで加熱促進試験を実施する事により行われた。
【0074】
試験温度:80°C
試験期間:2週間
試験体:上記実施例および比較例の防水シートを所定サイズに裁断して試験体とした。
【0075】
判定基準:表面層2の可塑剤の濃度が上昇していれば、可塑剤の移行があったものであり、表面層2の可塑剤の濃度に変化がなければ、可塑剤の移行はなかったものと判断する。
【0076】
また、接着性の試験は、可塑剤移行試験の残試料を用い、JIS K 6854『接着剤の剥離接着強さ試験方法」に準じT型剥離試験を行った。
【0077】
母材および中間層4が凝集破壊した場合には接着性は良好であると判定し、表面接着層42または裏面接着層43の表面または裏面において界面破壊した場合には接着性は不良であると判定した。
【0078】
これらの可塑剤移行防止性試験および接着性の試験の結果を表1、表2に示す。
【0079】
【表1】
Figure 0003544927
【0080】
【表2】
Figure 0003544927
【0081】
以上の試験から実施例1ないし4は裏面層3から表面層2の可塑剤の移行を有効に抑制するが、比較例1ないし4については可塑剤の移行を十分に抑制することができなかった。
【0082】
一方、接着性の試験については、実施例のものは全て良好であり、中でも特に実施例1および2については最良の接着性が得られた。これは中間層4内に合成樹脂が適度に、且つ、均一に含浸しているためのと考えられ、特に、実施例1および2に係る防水シートは、中間層への樹脂含浸量が最も適切であると考えられる。
【0083】
なお、比較例2ないし4の接着性が向上しているが、これは防水シートの全域にわたって表面層および裏面層の樹脂が、中間層を透過して連続一体化しているためである。
【0084】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の防水シート、防水部材、防水構造および防水施工方法によると、防水層の層間剥離を防止したり、裏面層の可塑剤成分が減少するのを防止したり、裏面層にクラックが発生するのを防止することができるので、長期にわたり耐久性を発揮でき、十分な防水性能を長期間維持することができる。
【0085】
また、本発明の防水シートの製造方法によると、上記の効果を有する防水シートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に係る防水シートの製造過程における積層前段階における部分断面図、(b)は同防水シートの製造完了状態での部分断面図である。
【図2】(a)ないし(l)は、本発明に係る防水部材の各種形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 防水シート
2 表面層
20 表面接着樹脂
3 裏面層
30 裏面接着樹脂
4 中間層
41 遮断層
42 表面接着層
43 裏面接着層

Claims (8)

  1. 合成樹脂からなる表面層および裏面層の間に、不織布からなる中間層が介装された防水シートにおいて、
    中間層内に、表面層側および裏面層側の樹脂が含まれない可塑剤移行防止用の遮断層が形成されるように、目付け80〜200g/m 、厚さ0.3〜1.5mmの不織布の表裏面に、ポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルが100〜250g/m の塗布量で塗布含浸されてなることを特徴とする防水シート。
  2. 表面層および裏面層と接する中間層の境界部分に、表面層および裏面層と同種の樹脂が含浸された表面接着層および裏面接着層が設けられ、中間層における表面接着層および裏面接着層の樹脂が含浸されない領域が遮断層として構成されるとともに、表面接着層および裏面接着層が表面層および裏面層に融着接合一体化されてなる請求項1記載の防水シート。
  3. 中間層が、ポリエステル繊維の不織布をもって構成されてなる請求項1または2記載の防水シート。
  4. 表面層および裏面層が、ポリ塩化ビニル樹脂をもって構成されてなる請求項1ないし4のいずれか一に記載の防水シート。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一に記載の防水シートを用いて構成された防水部材。
  6. 請求項1ないし4のいずれか一に記載の防水シートを用いて構成された防水構造。
  7. 請求項1ないし5のいずれか一に記載の防水シートを用いた防水施工方法。
  8. 目付け80〜200g/m 、厚さ0.3〜1.5mmの不織布からなる中間層用シートの上下両面にポリ塩化ビニル樹脂のペーストゾルを100〜250g/m の塗布量で塗布する樹脂塗布工程と、ポリ塩化ビニル樹脂からなる表面層用シートおよび裏面層用シートの間に、前記中間層用シートを挟み込んだ状態で、表面層用シートおよび裏面層用シートをペーストゾルに融着させることにより、これら各シートを積層化する積層工程とを含み、前記樹脂塗布工程を行うにあたって、中間層用シートの厚さ方向の中間に、ペーストゾルが含浸し ない非含浸層を形成しておき、その非含浸層を、可塑剤移行防止用の遮断層として残存させるものとした防水シートの製造方法。
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