JP3007603B2 - 防水通気緩衝シートおよびそれを用いた複合被覆防水工法 - Google Patents

防水通気緩衝シートおよびそれを用いた複合被覆防水工法

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JP3007603B2
JP3007603B2 JP10119391A JP11939198A JP3007603B2 JP 3007603 B2 JP3007603 B2 JP 3007603B2 JP 10119391 A JP10119391 A JP 10119391A JP 11939198 A JP11939198 A JP 11939198A JP 3007603 B2 JP3007603 B2 JP 3007603B2
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英博 鈴木
佳之 杉原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防水通気緩衝シー
トおよびそれを用いた複合被覆防水工法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】建築物の屋上等を防水する工法として
は、従来から、工場で予め成形された防水シートを接着
剤を用いて下地表面に貼着する方法(シート防水工法)
と、液状組成物を、防水すべき下地表面に塗布し、その
乾燥もしくは硬化によって防水塗膜を形成する方法(塗
膜防水工法)の2種類がよく知られている。そして、い
ずれの方法においても、アスファルト防水層等の既設防
水層上に設けたモルタル,コンクリート保護層上に、新
たな防水層を直接形成して改修する(密着工法)場合、
保護層中に滞留している水蒸気が気化して新防水層(シ
ート防水工法における防水シート、塗膜防水工法におけ
る防水塗膜)に膨れを生じさせたり、また下地であるモ
ルタル,コンクリート保護層中のひび割れが新防水層の
破断を引き起こす例が多いため、最近、これらの工法に
おいて、新防水層と旧保護層の間に、通気性および緩衝
性を備えた緩衝材(下張り緩衝材)を設けることが行わ
れている。
【0003】上記シート防水工法によれば、均一な防水
層を画一的に得ることができ、防水効果が高い反面、下
地表面自身が複雑な形状であったり、その上に固定障害
物が設置されていたりすると、施工時に、それらの形状
に合わせて防水シートを切断し、あるいは接合して貼着
しなければならないため、非常に煩雑な手間を有すると
いう問題がある。また、シートに充分な防水性をもたせ
たものは重量が重くなるため、取扱いにくいという問題
もある。一方、上記塗膜防水工法によれば、複雑な形状
の下地面に対しても容易に施工することができる反面、
不地不陸(下地に凹凸が生じていること)等によって塗
膜厚が均一にならず、場所によっては塗膜が非常に薄い
部分が形成されるおそれがあり、その部分において塗膜
が破断し水漏れを生じやすいという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、上記塗膜防水
工法の欠点を解消するために、塗膜と下地表面の間に設
けられる下張り緩衝材自身に防水機能をもたせることが
提案され、郵政省による「建築工事標準仕様書」におい
ても、下張り緩衝材として、単独でも防水性能を有する
ものを用いる旨が明示されている(平成3年版)。この
ような、通気性と緩衝性と防水性を兼ね備えた下張り緩
衝材としては、例えば図4に示す構造のものや、図5に
示す構造のものが知られている。
【0005】図4に示す下張り緩衝材は、防水層として
EPDM等からなるゴム層1を備え、その裏面に、通気
緩衝用の不織布2が設けられている。また、上記ゴム層
1は、この上に塗工される防水塗膜(通常、ウレタン樹
脂によって形成される)との接着性が乏しいため、これ
を高めるために、その上にスパンボンド式不織布3が貼
着されている。
【0006】また、図5に示す下張り緩衝材も、図4の
ものと同様、ゴム層1とスパンボンド式不織布3とを備
えているが、不織布2の代わりに、通気用として、上記
ゴム層1の裏面に、連通した凹溝4が形成されている。
また、これと同様の構造であって、ゴム層1の代わり
に、ゴムアスファルトを用いたものも知られている。
【0007】これらの下張り緩衝材は、いずれも、防水
層がEPDMやアスファルトといった、比較的重たい素
材(一般に比重は0.70〜1.10)で形成されてい
るため、全体に重く、取扱い性が悪いという問題を有し
ている。また、これらの素材は、柔軟性も不充分で、特
に低温で固くなりやすいため、冬場、非常に使い勝手が
悪いという問題がある。しかも、表面に設けられたスパ
ンボンド式不織布3が吸水しやすいため、現場施工時に
降雨により濡れてしまうと、その上に防水塗膜を塗工す
ることができず、長時間かけて乾燥させなければならな
いという問題もある。さらに、上記スパンボンド式不織
布3の上に防水塗膜を塗工する際、スパンボンド式不織
布3に毛羽立ちが生じ、その一部が取れて防水塗膜表面
に浮いて残るため、仕上がりが美しくならないという問
題もある。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、柔軟で取扱いやすく、防水性を有し、かつその
表面は撥水性に優れているともに、その上に形成される
防水塗膜との接着性にも優れ、最終的な仕上がり具合も
良好となる防水通気緩衝シートおよびそれを用いた複合
被覆防水工法の提供をその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、ポリウレタン系樹脂からなる防水塗膜に
対し、180°ピーリング接着試験において0.8〜
1.7kgf/インチの界面接着力を発現するよう設定
されたウレタンゴムシートと、不織布と、積層接着に
より積層一体化してなる防水通気緩衝シートであって、
上記不織布面が、接着剤層を介して下地面に接合するた
めの面として用いられ、上記ウレタンゴムシート面が、
その上にポリウレタン系樹脂からなる防水塗膜を直接形
成するための面として用いられるようになっている防水
通気緩衝シートを第1の要旨とする。
【0010】また、上記防水通気緩衝シートのなかで
も、特に、上記ウレタンゴムシートが、発泡タイプのウ
レタンゴムで形成されているものを第2の要旨とし、
み1.0〜3.0mmの不織布上に、厚み0.8〜3.
0mmのウレタンゴムシートが積層一体化されており、
上記ウレタンゴムシートの比重が0.036〜0.06
0で、その表面の撥水性が接触角95〜100°に設定
されているものを第の要旨とする。
【0011】そして、ポリウレタン系樹脂からなる防水
塗膜に対し、180°ピーリング接着試験において0.
8〜1.7kgf/インチの界面接着力を発現するよう
設定されたウレタンゴムシートと、不織布とを、積層接
着により積層一体化してなる防水通気緩衝シートを、そ
の不織布面を下にして、下地面上に接着剤層を介して
設したのち、上記防水通気緩衝シートのウレタンゴムシ
ート表面に、ポリウレタン系樹脂からなる防水塗膜を
形成するようにした複合被覆防水工法を第の要旨と
し、そのなかでも、特に、上記防水通気緩衝シートとし
て、そのウレタンゴムシートが発泡タイプのウレタンゴ
ムで形成されたものを用いるようにした複合被覆防水工
法を第5の要旨とする。また、上記防水通気緩衝シート
として、厚み1.0〜3.0mmの不織布上に、厚み
0.8〜3.0mmのウレタンゴムシートが積層一体化
されており、上記ウレタンゴムシートの比重が0.03
6〜0.060で、その表面の撥水性が接触角95〜1
00°に設定されているものを用いるようにした複合被
覆防水工法を第の要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて説明する。
【0013】本発明の防水通気緩衝シートは、例えば図
1に示すように、不織布10と、その上に積層一体化さ
れたウレタンゴムシート11とで構成されている。
【0014】上記不織布10としては、特に制限はな
く、従来から下張り緩衝材として用いられている各種の
不織布を用いることができる。例えばポリプロピレン繊
維,ポリエチレン繊維等のポリオレフィン系繊維や、ア
クリル繊維,ビニロン繊維、ポリアミド繊維等のいずれ
かからなる不織布や、これらの混紡繊維からなる不織布
があげられる。そして、繊維間の接合形態も、特に限定
するものではなく、樹脂接着,ニードルパンチ,スパン
ボンド等、どのような形態であっても差し支えはない。
ただし、特にポリオレフィン系繊維からなるニードリン
グ不織布が、下地からのアルカリ水に対し長時間耐える
ことができ好適である。なお、フェルトのような、単な
る不織布ではなく、図示のように、比較的繊維構造が緻
密な基布10aと比較的粗いフェルト状の綿部10bと
を有する2重構造の不織布10を用いる方が好ましい。
すなわち、上記基布10aの部分を、上記ウレタンゴム
シート11と接合させることにより、均一かつ充分な界
面接着強度を得ることができる。しかも、上記基布10
aが、得られる防水通気緩衝シートの補強となる点にお
いても好ましい。上記基布10aとしては、スパンボン
ド式不織布や織編地であって、目付が30〜70g/m
2 、なかでも50g/m2 程度のものを用いることが好
適である。また、綿部10bとしては、ニードルパンチ
式のフェルトであって、目付が80〜120g/m2
なかでも100g/m2 程度のものを用いることが好適
である。そして、不織布10全体の目付としては110
〜190g/m2 、なかでも150g/m2 程度のもの
を用いることが好適である。
【0015】なお、上記不織布10の厚みは、施工しよ
うとする下地の挙動に対する緩衝性能および通気性能、
並びに経済性の面から、1.0〜3.0mmに設定する
ことが好適である。すなわち、1.0mm未満では、緩
衝性および通気性がいま一つ不充分であり、3.0mm
を超えるものは、それ以上の効果が得られずコストが高
くなるだけだからである。
【0016】また、上記不織布10の上に積層形成され
るウレタンゴムシート11は、どのようなウレタンゴム
を用いて形成しても差し支えはないが、取扱い性と強度
の兼ね合いから、その比重が0.036〜0.060の
範囲内であるものを用いることが望ましい。すなわち、
比重が0.036よりも小さいと強度的に問題が生じや
すく、逆に比重が0.060よりも大きいと取扱い性が
悪くなるおそれがあり、またコストも高くなるからであ
る。そして、なかでも比重が0.045〜0.050の
ものが特に好適である。
【0017】そして、上記ウレタンゴムシート11は、
そのままでその表面が優れた撥水性を示すものである
が、特に、撥水性の指標となる接触角θ(表面に水滴を
滴下したときの水滴と表面の接する角度、図3参照)が
95〜100°の範囲内であるものを用いることが好適
である。すなわち、95°未満では、撥水性がいま一つ
不充分となるため、ウレタンゴムシート11の表面が水
に濡れてもこれを拭き取るだけで容易に乾燥した表面が
得られる、という効果が得られにくい。また100°を
超えるものは、ウレタンゴムで得ることは困難である。
【0018】しかも、上記ウレタンゴムシート11は、
その取扱い性,作業性の点から、柔軟性が高いものが望
ましく、通常、ショアA硬度(JIS K 6301.
5に従う)が30〜45の範囲内にあるものが好適であ
る。すなわち、上記ショアA硬度が30未満のものは、
柔らかすぎて、その表面にウレタン樹脂等の防水塗膜を
塗工する際、傷がつきやすく、逆に45を超えるもの
は、取扱い性および作業性がよくない。なお、上記ウレ
タンゴムシート11は、従来から下張り緩衝材に用いら
れてきたゴム材やアスファルト材に比べて低温下で固く
なりにくく、上記柔軟性がある程度保たれるので、冬場
でも良好に用いることができるという利点を有する。
【0019】また、上記ウレタンゴムシート11は、そ
の上に形成される防水塗膜との接着力が、一定の範囲と
なるものでなければならない。すなわち、両者の接着力
が弱すぎると、ウレタンゴムシート11と防水塗膜との
間で界面剥離が生じやすく、防水塗膜形成後に、塗膜に
浮きが生じやすい。また、両者の接着力が強すぎると、
下地に亀裂が生じてこれに伴い不織布10およびウレタ
ンゴムシート11が破断した場合に、その上の防水塗膜
までも破断してしまう。そこで、両者の接着力を一定の
範囲内に限定することにより、ウレタンゴムシート11
が破断するような力が働く場合には、両者の間で界面剥
離が生じて、防水塗膜の破断には至らないようにするこ
とが望ましいのである。本発明のウレタンゴムシート1
1を用いる場合、ウレタンゴムシート11と、防水塗膜
として通常用いられるウレタン樹脂防水材(例えば屋根
用塗膜防水材としてJIS A 6021に規定されて
いるウレタン1類)との界面接着力が、180°ピーリ
ング接着試験(JIS K6854、引張速度200m
m/分)において、0.8〜1.7kgf/インチの範
囲となるよう設定されなければならず、特に1.0〜
1.7kgf/インチの範囲となるよう設定されること
が好ましい。
【0020】このようなウレタンゴムシート11となる
ウレタンゴムとしては、各種のポリウレタンエラストマ
ーが用いられ、微細な独立気泡が形成された発泡タイプ
のものであっても、無孔のものであっても差し支えはな
い。ただし、成形性および性能の点から、熱硬化性のも
のを用いることが好適である。そして、発泡タイプのも
のを用いる場合には、その発泡倍率が1.0〜3.3倍
程度に設定されていることが好ましい。また、その表面
は、そのままでも充分に撥水性が確保されていることが
望ましいが、撥水性が不充分な場合には、表面にスキン
層が形成されたものを用いることが望ましい。
【0021】なお、上記ウレタンゴムシート11の厚み
は、シートの耐久性,経済性等の観点から、0.8〜
3.0mmに設定することが好適である。すなわち、
0.8mm未満ではシート11が破れやすく、逆に3.
0mmを超えると、全体が嵩張って取扱いにくくなると
ともに、コストも高くなるからである。
【0022】本発明の防水通気緩衝シートは、例えばつ
ぎのようにして製造することができる。すなわち、ま
ず、前記不織布10を、帯状に繰り出して水平に走行さ
せ、その上に、ウレタンゴムシート11成形用のゴム材
料組成物を所定厚みのシート状に押し出して、不織布1
0上に、ゴム材料組成物がシート状に積層した状態にす
る。このとき、上記ゴム材料組成物は、不織布10表面
から内側に入り込み、アンカー効果を発揮する。したが
って、これを加熱硬化させることにより、不織布10と
ウレタンゴムシート11とが積層一体化されたシートを
簡単に得ることができる。また、不織布10とウレタン
ゴムシート11とを、ともに帯状に繰り出し、両者の界
面に、上記ウレタンゴムシート11と同一材料からなる
ゴム材料組成物を供給し、このゴム材料組成物の加熱硬
化によって両者を接合一体化するようにしても差し支え
はない。あるいは、先にウレタンゴムシート11成形用
のゴム材料組成物を所定厚みのシート状に押し出し、そ
の上に、不織布10を繰り出して重ねたのち、加熱硬化
させて得るようにしても差し支えはない。このように、
本発明において、「積層接着させる」とは、不織布10
とウレタンゴムシート11とを、別途準備した接着剤で
接着するのではなく、ウレタンゴムシート11の材料で
あるゴム材料組成物の加熱硬化を利用して接合一体化さ
せることを意味している。
【0023】なお、不織布10として、図1に示すよう
に、基布10aと綿部10bとを有するタイプのものを
用いる場合には、すでに述べたように、上記基布10a
で形成された面にウレタンゴムシート11を接合するよ
うにすることが好ましい。
【0024】このようにして得られた防水通気緩衝シー
トは、下層の不織布10によって、充分な通気性と緩衝
性が発揮される。また、上層のウレタンゴムシート11
が、比重の軽い、柔軟なシートであるため、全体的にも
軽量かつ柔軟で取扱いやすいシートとなる。そして、上
記ウレタンゴムシート11の表面は、そのままで、上記
防水塗膜と適度に良好な接着性を示し、常態において防
水塗膜と充分に接着するため、従来のように、表面にス
パンボンド式不織布3(図4,図5参照)を貼付する必
要がない。このため、この上に塗工される防水塗膜が、
スパンボンド式不織布3の毛羽立ち等によって損なわれ
ることなく、美麗な外観に仕上がるという利点を有す
る。そして、上記ウレタンゴムシート11と防水塗膜と
の接着力が強すぎず、下地の亀裂等によってウレタンゴ
ムシート11自体が破断した場合には、上記防水塗膜と
ウレタンゴムシート11との間で界面剥離を生じるた
め、上記破断が防水塗膜に影響することがないという利
点を有する。しかも、上記ウレタンゴムシート11の表
面が優れた撥水性を備えているため、この防水通気緩衝
シートを下地上に施工する際、降雨等によってその表面
が濡れても、これを拭き取れば即座に乾いた表面にする
ことができる。したがって、従来のように、湿ったスパ
ンボンド式不織布3(図4,図5参照)を自然乾燥させ
るというような手間が不要で、すぐに防水塗膜の塗工を
開始することができ、作業能率がよい。
【0025】上記防水通気緩衝シートは、例えばつぎの
ようにして複合被覆防水工法に用いることができる。す
なわち、図2に示すように、まず、下地5の上に、プラ
イマー層6を均一に塗工したのち、その上に、接着剤層
7を、くしべら等を用いて筋状に波立たせて塗工する。
なお、この接着剤層7に用いる接着剤は、揺変性を有す
る接着剤であることが好適である。すなわち、揺変性を
有する接着剤を用いると、この上に防水通気緩衝シート
の不織布10を接合する際に、上記接着剤が過度に流動
して不織布10内に浸透して不織布10の通気性を損な
うことがない。しかしその一方で、押圧剪断力によっ
て、上記接着剤は適度の流動性を発現し、そのアンカー
効果によって下地5と不織布10とを強固に接合するこ
とができる。
【0026】そして、上記接着剤層7の上に、不織布1
0とウレタンゴムシート11とからなる、本発明の防水
通気緩衝シート8を貼着する。なお、防水通気緩衝シー
ト8同士の接合部分は、通常、互いの端面を突き合わ
せ、その突き合わせ部をジョイントテープ等で止めるよ
うにする。そして、この防水通気緩衝シート8の上(具
体的にはウレタンゴムシート11の上)に防水塗膜9を
塗工して硬化させたのち、さらにその上に仕上げ層(ト
ップコート)12を塗工し硬化させることにより、複合
被覆防水工法を完了することができる。
【0027】上記工法によれば、防水塗膜9の下に設け
る防水通気緩衝シート8が、すでに述べたような多くの
利点を有するのみならず、そのクッション性が非常に良
好であるため、この上で作業する作業者の足が疲れない
という利点を有する。また、上記防水通気緩衝シート8
のウレタンゴムシート10が、低温下においても柔軟性
を損なわないため、冬場の施工や寒冷地域での施工にお
いても、防水通気緩衝シート8の取扱い性に優れている
という利点を有する。
【0028】なお、上記工法において、プライマー層6
の形成および仕上げ層12の形成は必ずしも必要ではな
く、施工条件に応じて適宜に行われる。
【0029】また、上記工法において、防水通気緩衝シ
ート8の上に塗工される防水塗膜9の形成材料は、従来
公知のどのようなものであっても差し支えはないが、本
発明においては、上記防水通気緩衝シート8に用いられ
るウレタンゴムシート11との接着性を考慮して、ウレ
タン樹脂系防水材を用いる。このようなウレタン樹脂系
防水材としては、ベルウレックスUC(カネボウ化成社
製)、ベルウェザーRC(日本エヌエスシー社製)等が
あげられる。そして、その塗工方法としては、鏝,スプ
レー,ローラー刷毛等、通常よく知られている方法を用
いることができる。
【0030】つぎに、本発明の実施例について比較例と
併せて説明する。
【0031】
【実施例1〜21】まず、後記の表1〜表6に示す条件
の不織布とウレタンゴムシートとを積層一体化した防水
通気緩衝シートを作製し、その引張強度、ウレタンゴム
シート表面の硬度および接触角を測定した。また、上記
ウレタンゴムシートと防水塗膜の間の接着力も測定し
た。さらに、実際の作業性および形成された防水塗膜の
外観についても評価した。これらの測定方法および評価
については、下記のとおりである。これらの結果を後記
の表1〜表6に併せて示した。
【0032】〔引張強度〕防水通気緩衝シートを200
mm×50mmの大きさに裁断したものを試料とし、J
IS A 6022.5.2.7に従って、短手方向
(幅方向)の引張強度を測定した。なお、引張速度は1
00mm/分である。
【0033】〔ウレタンゴムシート表面の硬度〕JIS
K 6301.5のスプリング式硬さ試験(A形)に
従い、ショアA硬度を測定した。
【0034】〔ウレタンゴムシート表面の接触角〕ウレ
タンゴムシート表面に水滴(約0.2cc)を垂らし、
図3に示すように、水滴とウレタンゴムシート表面との
接触角θを測定した。
【0035】〔ウレタンゴムシートと防水塗膜の間の接
着力〕ウレタンゴムシート表面に、2液常温硬化型ウレ
タン樹脂組成物(JIS A6021に規定されている
ウレタン1類)を1mmの厚みで塗工することにより、
防水塗膜を形成した。そして、JIS K 6854に
従って、180°ピーリング接着試験を行い、両者界面
の接着力を測定した。なお、引張速度は200mm/分
である。
【0036】〔実際の作業性および得られた防水塗膜の
外観〕防水通気緩衝シートを巻回した状態で所定の現場
に運搬し、現場において、実際と同様にして、複合被覆
防水工法を施工した。そして、その際の作業性につい
て、官能評価した。また、得られた防水塗膜の外観の美
醜についても、官能評価した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】上記の結果から、実施例品1〜21はいず
れも比較的良好な特性を備えていることがわかる。ま
た、いずれも防水性を有していることはもちろん、表面
の撥水性にも優れており、しかも、実用上、問題のない
引張強度を備えていることがわかる。そして、なかでも
特に、実施例品1〜15が優れた特性を示すことがわか
る。
【0044】
【比較例1】図4に示すタイプの従来の下張り緩衝材を
準備した。
【0045】
【比較例2】図5に示すタイプの従来の下張り緩衝材を
準備した。
【0046】これらの比較例品について、前記と同様に
して、その引張強度、シート表面の硬度および接触角を
測定した。また、シート表面と防水塗膜の間の接着力も
測定した。さらに、実際の作業性および防水塗膜の外観
についても評価した。これらの結果について、下記の表
7に示した。
【0047】
【表7】
【0048】上記の結果から、上記比較例1,2品は、
ともに重量が重くて硬いため、作業性が悪いことがわか
る。また、防水塗膜の外観も美麗でないことがわかる。
【0049】
【発明の効果】以上のように、本発明の防水通気緩衝シ
ートは、不織布上に、比重の軽い、柔軟なウレタンゴム
シートが積層一体化されたものであり、上記不織布によ
って、充分な通気性と緩衝性が発揮され、その上のウレ
タンゴムシートにより、全体が軽量かつ柔軟で取扱いや
すいシートとなっている。そして、上記ウレタンゴムシ
ートの表面が、そのままで、上記防水塗膜と適度に良好
な接着性を示し、常態において防水塗膜と充分に接着す
るため、従来のように、表面にスパンボンド式不織布を
貼付する必要がなく、この上に直接塗工される防水塗膜
が、美麗な外観に仕上がるという利点を有する。そし
て、上記ウレタンゴムシートと防水塗膜との接着力が強
すぎず、下地の亀裂等によってウレタンゴムシート自体
が破断した場合には、上記防水塗膜とウレタンゴムシー
トとの間で界面剥離を生じるため、上記破断が防水塗膜
に影響することがないという利点を有する。しかも、上
記ウレタンゴムシートの表面が優れた撥水性を備えてい
るため、この防水通気緩衝シートを下地上に施工する
際、降雨等によってその表面が濡れても、これを拭き取
れば即座に乾いた表面にすることができ、作業能率がよ
い。
【0050】そして、本発明の複合被覆防水工法によれ
ば、上記特殊な防水通気緩衝シートを用いるため、能率
よく作業を行うことができるだけでなく、美麗な外観の
防水塗膜を形成することができる。そして、上記防水塗
膜は、下地のひび割れ等に影響されることなく、長期に
わたって良好に防水機能を果たす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防水通気緩衝シートの一実施例を示す
説明図である。
【図2】上記防水通気緩衝シートを用いた複合被覆防水
工法の説明図である。
【図3】撥水性の指標となる接触角の説明図である。
【図4】従来の下張り緩衝材の一例を示す説明図であ
る。
【図5】従来の下張り緩衝材の他の例を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
10 不織布 11 ウレタンゴムシート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−9631(JP,A) 特開 昭57−185147(JP,A) 特開 昭62−103134(JP,A) 特開 昭63−89768(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 E04D 5/00 - 5/14 E04D 11/00 - 11/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタン系樹脂からなる防水塗膜に
    対し、180°ピーリング接着試験において0.8〜
    1.7kgf/インチの界面接着力を発現するよう設定
    されたウレタンゴムシートと、不織布と、積層接着に
    より積層一体化してなる防水通気緩衝シートであって、
    上記不織布面が、接着剤層を介して下地面に接合するた
    めの面として用いられ、上記ウレタンゴムシート面が、
    その上にポリウレタン系樹脂からなる防水塗膜を直接形
    成するための面として用いられるようになっていること
    を特徴とする防水通気緩衝シート。
  2. 【請求項2】 上記ウレタンゴムシートが、発泡タイプ
    のウレタンゴムで形成されている請求項1記載の防水通
    気緩衝シート。
  3. 【請求項3】 厚み1.0〜3.0mmの不織布上に、
    厚み0.8〜3.0mmのウレタンゴムシートが積層一
    体化されており、上記ウレタンゴムシートの比重が0.
    036〜0.060で、その表面の撥水性が接触角95
    〜100°に設定されている請求項1または2記載の防
    水通気緩衝シート。
  4. 【請求項4】 ポリウレタン系樹脂からなる防水塗膜に
    対し、180°ピーリング接着試験において0.8〜
    1.7kgf/インチの界面接着力を発現するよう設定
    されたウレタンゴムシートと、不織布とを、積層接着に
    より積層一体化してなる防水通気緩衝シートを、その不
    織布面を下にして、下地面上に接着剤層を介して敷設し
    たのち、上記防水通気緩衝シートのウレタンゴムシート
    表面に、ポリウレタン系樹脂からなる防水塗膜を直接
    成するようにしたことを特徴とする複合被覆防水工法。
  5. 【請求項5】 上記防水通気緩衝シートとして、そのウ
    レタンゴムシートが発泡タイプのウレタンゴムで形成さ
    れたものを用いるようにした請求項4記載の複合被覆防
    水工法。
  6. 【請求項6】 上記防水通気緩衝シートとして、厚み
    1.0〜3.0mmの不織布上に、厚み0.8〜3.0
    mmのウレタンゴムシートが積層一体化されており、上
    記ウレタンゴムシートの比重が0.036〜0.060
    で、その表面の撥水性が接触角95〜100°に設定さ
    れているものを用いるようにした請求項4または5記載
    の複合被覆防水工法。
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