JP6510906B2 - ポリ塩化ビニル系樹脂シート - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ塩化ビニル系樹脂を含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物に関する。また、本発明は、上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を成形することにより得られるポリ塩化ビニル系樹脂成形体に関する。また、本発明は、上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を成形することにより得られるシートを備えるポリ塩化ビニル系樹脂シートに関する。
従来、ポリ塩化ビニル系樹脂に塑性を与えるために、又はポリ塩化ビニル系樹脂の塑性を高めるために、可塑剤が用いられている。しかしながら、ポリ塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物の成形体では、長期にわたる使用において、可塑剤の移行によって機械的特性(引張特性、柔軟性、耐寒性等、可塑剤によって付与される特性)が損なわれるという欠点がある。
このような欠点を補うために、上記成形体の1つであるポリ塩化ビニル系樹脂防水シートにおいては、フタル酸エステル系可塑剤とともに、可塑剤が比較的移行しにくいポリメリック可塑剤を用いられている。しかし、これらの可塑剤を用いても、可塑剤の移行を充分に抑えることはできない。結果として、機械的特性を高く維持することは困難である。
下記の特許文献1には、アクリル系共重合体(D)30〜60重量%に、主成分が塩化ビニル又は塩化ビニルであるビニルモノマー(E)70〜40重量%がグラフト重合してなる防水シート用樹脂が開示されている。この防水シート用樹脂では、上記アクリル系共重合体(D)は、単独重合体のガラス転移温度が−140〜−40℃であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)80重量%以上を含むアクリル系モノマー成分(B)100重量部と、多官能性モノマー(C)0.01〜30重量部とが共重合してなる重合体である。
特開2000−234005号公報
特許文献1に記載の防水シート用樹脂を用いた場合にも、長期間に渡り、高い機械的特性を維持することができないことがある。
また、特許文献1に記載の防水シートでは、有機溶剤、接着剤や熱による接着性が悪く、シート同士の接着が困難であるという問題もある。
本発明は、長期間に渡り高い機械的特性を維持することが可能であるシート等の成形体を得ることができるポリ塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を用いたポリ塩化ビニル系樹脂成形体及びポリ塩化ビニル系樹脂シートを提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、平均重合度が400以上、2500以下であるポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、熱可塑性エラストマー10重量部以上、200重量部以下とを含み、アクリル系粒子を含まないか、又はアクリル系粒子を80重量部以下で含み、前記ポリ塩化ビニル系樹脂は、アクリル系共重合体35重量部以上、80重量部以下と、塩化ビニルモノマー20重量部以上、65重量部以下とを共重合させることにより得られるか、又は、アクリル系共重合体35重量部以上、80重量部以下と、塩化ビニルモノマー及び塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーを合計20重量部以上、65重量部以下とを共重合させることにより得られ、前記アクリル系共重合体は、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上、−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー50重量%以上、100重量%以下及び前記アルキル(メタ)アクリレートモノマーとは異なる第2の(メタ)アクリレートモノマー0重量%以上、50重量%以下を含む(メタ)アクリル系モノマー成分100重量部と、多官能モノマー0.01重量部以上、30重量部以下とを反応させることにより得られる、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が提供される。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物のある特定の局面では、前記熱可塑性エラストマーが、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体、又は、塩素化ポリエチレンである。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物のある特定の局面では、前記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記熱可塑性エラストマーの含有量が40重量部以上、200重量部以下である。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物のある特定の局面では、前記アクリル系粒子が、シリコーンアクリル系粒子とは異なるアクリル系粒子である。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物のある特定の局面では、前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物100重量%中、無機フィラーを2重量%以上、80重量%以下で含む。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物のある特定の局面では、前記無機フィラーの平均粒径が10nm以上、3μm以下である。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物のある特定の局面では、前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、シート状に成形して、厚みが5mm以下であるシートを得るために用いられる。
本発明の広い局面によれば、上述したポリ塩化ビニル系樹脂組成物を成形することにより得られる、ポリ塩化ビニル系樹脂成形体が提供される。
本発明の広い局面によれば、上述したポリ塩化ビニル系樹脂組成物をシート状に成形することにより得られるシートを備える、ポリ塩化ビニル系樹脂シートが提供される。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂シートのある特定の局面では、前記シートの厚みが5mm以下である。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂シートのある特定の局面では、前記ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、前記シートの表面上に配置された被覆層を備え、前記被覆層の材料が、アクリル系樹脂又はポリ塩化ビニル系樹脂である。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂シートのある特定の局面では、前記ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、ガラスクロス、ガラス不織布、ポリエステルクロス又はポリエステル不織布を備える。
前記ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、防水シートとして屋外に設置して用いられる。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、平均重合度が400以上、2500以下であるポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、熱可塑性エラストマー10重量部以上、200重量部以下とを含み、アクリル系粒子を含まないか、又はアクリル系粒子を80重量部以下で含み、上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、アクリル系共重合体35重量部以上、80重量部以下と、塩化ビニルモノマー20重量部以上、65重量部以下とを共重合させることにより得られるか、又は、アクリル系共重合体35重量部以上、80重量部以下と、塩化ビニルモノマー及び塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーを合計20重量部以上、65重量部以下とを共重合させることにより得られ、上記アクリル系共重合体は、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上、−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー50重量%以上、100重量%以下及び上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーとは異なる第2の(メタ)アクリレートモノマー0重量%以上、50重量%以下を含むモノマー成分100重量部と、多官能モノマー0.01重量部以上、30重量部以下とを反応させることにより得られるので、長期間に渡り高い機械的特性を維持することが可能であるシート等の成形体を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(ポリ塩化ビニル系樹脂組成物)
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、平均重合度が400以上、2500以下であるポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、熱可塑性エラストマー10重量部以上、200重量部以下とを含み、アクリル系粒子を含まないか、又はアクリル系粒子を80重量部以下で含む。本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、アクリル系粒子を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物では、アクリル系粒子を用いる場合に、上記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、アクリル系粒子は、0重量部を超え、80重量部以下で用いられる。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物において用いられる上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、アクリル系共重合体35重量部以上、80重量部以下と、塩化ビニルモノマー20重量部以上、65重量部以下とを共重合させることにより得られるか、又は、アクリル系共重合体35重量部以上、80重量部以下と、塩化ビニルモノマー及び塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーを合計20重量部以上、65重量部以下とを共重合させることにより得られる。本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂組成物において用いられる上記アクリル系共重合体は、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上、−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー50重量%以上、100重量%以下及び上記アルキル(メタ)アクリレートとは異なる第2のアクリル系モノマー0重量%(未使用)以上、50重量%以下を含む(メタ)アクリル系モノマー成分100重量部と、多官能モノマー0.01重量部以上、30重量部以下とを反応させることにより得られる。上記(メタ)アクリル系モノマー成分は、上記第2のアクリル系モノマーを含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。上記(メタ)アクリル系モノマー成分が上記第2のアクリル系モノマーを含む場合に、上記第2のアクリル系モノマーの含有量は0重量%を超え、50重量%以下である。
本発明では、上述した構成が備えられているので、長期間に渡り高い機械的特性を維持することが可能であるシートを得ることができる。例えば、機械的特性として、引張特性、柔軟性及び耐寒性などの性能を高めることができる。さらに、本発明では、上述した構成が備えられているので、上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を用いたシート(成形体)の接着性や熱融着性を高めることができる。例えば、上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を用いたシート同士の接着性が高くなり、シート間の剥離が抑えられる。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、上記ポリ塩化ビニル系樹脂が特定の上記アクリル系共重合体と塩化ビニルモノマーを少なくとも含むモノマーとを共重合させて得られているので、比較的ガラス転移温度が低いアクリル成分を含む。このため、本発明における上記ポリ塩化ビニル系樹脂を用いることで、一般的なポリ塩化ビニル系樹脂を用いる場合と比べて、低温での柔軟性が高くなる。
さらに、上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物では、上記熱可塑性エラストマーが用いられている場合には、引張特性及び接着性及び熱融着性が高くなる。
さらに、上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物では、上記アクリル系粒子が用いられているため、低温での柔軟性が高くなる。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物100重量%中、上記ポリ塩化ビニル系樹脂と上記熱可塑性エラストマーと上記アクリル系粒子との合計の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、好ましくは100重量%(全量)以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、上記ポリ塩化ビニル系樹脂と上記熱可塑性エラストマーと上記アクリル系粒子とに加えて、無機フィラーを更に含むことが好ましい。無機フィラーの使用により、比較的原料コストが高い上記ポリ塩化ビニル系樹脂と上記熱可塑性エラストマーと上記アクリル系粒子との使用量を少なくすることができ、これらの使用量を少なくしても接着性を高くすることができる。また、無機フィラーは、光を遮るので、無機フィラーの使用により、シートの耐候性を高めることができ、シートの高い機械的特性をより一層長期間に渡り維持したり、より一層高く維持したりすることができる。
以下、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を構成する材料について説明する。
ポリ塩化ビニル系樹脂:
上記ポリ塩化ビニル系樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は400以上、2500以下である。上記ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は好ましくは640以上、好ましくは1300以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、物理的強度がより一層良好になる。上記平均重合度が上記上限以下であると、成形性がより一層良好になる。
ポリ塩化ビニル系樹脂を得るために用いるアクリル系重合体:
上記アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル系モノマー成分と、多官能モノマーとを反応させることにより得られる。上記(メタ)アクリル系モノマー成分は、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上、−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含み、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上、−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートモノマーとは異なる第2の(メタ)アクリレートモノマーを含まないか又は含む。上記多官能モノマーは、上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーとは異なり、かつ上記第2の(メタ)アクリレートモノマーとは異なる。
上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーの単独重合体のガラス転移温度は−140℃以上、−20℃以下である。モノマー成分として上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーを単独で重合させた単独重合体のガラス転移温度は−140℃以上、−20℃以下である。
上記単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上、−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、及びラウリルメタクリレート等が挙げられる。これら以外のアルキル(メタ)アクリレートモノマーを用いてもよい。上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリロイル基を1個有することが好ましく、単官能のアルキル(メタ)アクリレートモノマーであることが好ましい。上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーとは異なる上記第2の(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、クミルアクリレート、n−ヘプチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−メチルヘプチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、2−メチルオクチルメタクリレート、2−エチルヘプチルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、2−メチルノニルメタクリレート、2−エチルオクチルメタクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら以外の第2の(メタ)アクリレートモノマーを用いてもよい。上記第2の(メタ)アクリレートモノマーの単独重合体のガラス転移温度は、−140℃以上、−20℃以下であってもよい。上記第2の(メタ)アクリレートモノマーの単独重合体のガラス転移温度は、−140℃未満であってもよく、−20℃を超えていてもよい。上記第2の(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル基を有していなくてもよい。上記第2の(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリロイル基を1個有することが好ましく、単官能の(メタ)アクリレートモノマーであることが好ましい。上記第2の(メタ)アクリレートモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記多官能モノマーとしては、例えば、ジ(メタ)アクリレート及びトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ジ(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記トリ(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記多官能モノマーの他の例としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジアリル化合物もしくはトリアリル化合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられる。これら以外の多官能モノマーを用いてもよい。上記多官能モノマーは、不飽和二重結合を2個以上有することが好ましい。上記多官能モノマーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記(メタ)アクリル系モノマー成分は、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上、−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー50重量%以上、100重量%以下及び上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーとは異なる第2の(メタ)アクリレートモノマー0重量%(未使用)以上、50重量%以下を含む。上記(メタ)アクリル系モノマー成分は、上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーのみを含んでいてもよく、上記第2の(メタ)アクリレートモノマーを含んでいなくてもよく、上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーと上記第2の(メタ)アクリレートモノマーとの双方を含んでいてもよい。例えば、2種の(メタ)アクリレートモノマーを用いる場合に、上記(メタ)アクリル系モノマー成分は、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上、−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートモノマーを50重量%以上、100重量%未満で含有し、上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーとは異なる第2の(メタ)アクリレートモノマーを0重量%を超え、50重量%以下で含む。
樹脂の低温での柔軟性をより一層良好にする観点からは、上記(メタ)アクリル系モノマー成分は、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上、−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー60重量%以上、100重量%以下及び上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーとは異なる第2の(メタ)アクリレートモノマー0重量%(未使用)以上、40重量%以下を含むことが好ましい。
上記アクリル系共重合体は、上記(メタ)アクリル系モノマー成分100重量部と、多官能モノマー0.01重量部以上、30重量部以下とを反応させることにより得られる。樹脂の製造効率をより一層良好にする観点からは、上記アクリル系共重合体は、上記(メタ)アクリル系モノマー成分100重量部と、多官能モノマー0.1重量部以上、10重量部以下とを反応させることにより得られることが好ましい。
ポリ塩化ビニル系樹脂を得るために用いる塩化ビニルモノマー及び塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマー:
上記ポリ塩化ビニル系樹脂を得る際に、上記塩化ビニルモノマーのみを用いてもよく、上記塩化ビニルモノマーと上記共重合性モノマーとを用いてもよい。上記共重合性モノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記共重合性モノマーとしては、スチレン化合物、ジエン化合物、(メタ)アクリル酸アミド、ビニル化合物、不飽和ジカルボン酸ジエステル及びグリシジル化合物等が挙げられる。
上記スチレン化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tertブトキシスチレン及びクロロメチルスチレン等が挙げられる。上記ジエン化合物としては、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン及びイソプレン等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アミドとしては、(メタ)アクリル酸−アミド、N,N−ジメチルアミド及びN,N−プロピルアミド等が挙げられる。上記ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸−アニリド、(メタ)アクリロニトリル、アクロレイン、塩化ビニリデン、N−ビニルピロリドン及び酢酸ビニル等が挙げられる。上記不飽和ジカルボン酸ジエステルとしては、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル及びイタコン酸ジエチル等が挙げられる。上記グリシジル化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−n−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−n−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,4−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,5−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,6−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,4−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン、3,4,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、及び2,4,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン等が挙げられる。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、アクリル系共重合体35重量部以上、80重量部以下と、塩化ビニルモノマー20重量部以上、65重量部以下とを共重合させることにより得られるか、又は、アクリル系共重合体35重量部以上、80重量部以下と、塩化ビニルモノマー及び塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーを合計20重量部以上、65重量部以下とを共重合させることにより得られる。
低温でのより一層優れた柔軟性とより一層優れた成形性とを両立する観点からは、上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、アクリル系共重合体40重量部以上、75重量部以下と、塩化ビニルモノマー25重量部以上、60重量部以下とを共重合させることにより得られるか、又は、アクリル系共重合体40重量部以上、75重量部以下と、塩化ビニルモノマー及び塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーを合計25重量部以上、60重量部以下とを共重合させることにより得られることが好ましい。但し、この好ましい含有量の範囲外であっても、本発明の効果は発揮される。
ポリ塩化ビニル系樹脂の他の詳細:
上記(メタ)アクリレート系重合体を得る際に、並びに上記(メタ)アクリレート系重合体と上記塩化ビニルモノマー等とを重合させる際に、重合開始剤を用いることが好ましい。上記重合開始剤は特に限定されない。上記重合開始剤は、モノマー成分に可溶である油溶性のフリーラジカルを発生する化合物であることが好ましい。上記重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。上記重合開始剤としては、有機パーオキサイド化合物及びアゾ化合物等が挙げられる。これら以外の重合開始剤を用いてもよい。上記有機パーオキサイド化合物としては、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート及びα−クミルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル及び2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート系重合体を得る際に、並びに上記(メタ)アクリレート系重合体と上記塩化ビニルモノマー等とを重合させる際に、分散剤を用いることが好ましい。該分散剤は、モノマー成分の液滴を懸濁及び分散させ、分散を安定化させる役割を有する。上記分散剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記分散剤は特に限定されない。上記分散剤の好ましい例としては、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩/アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル及びその部分けん化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、並びに無水マレイン酸/スチレン共重合体等が挙げられる。上記分散剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
重合に用いる成分(重合可能な成分)100重量部に対して、上記分散剤の使用量(含有量)は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
熱可塑性エラストマー:
上記熱可塑性エラストマーの使用により、破断伸び及び柔軟性が良好になる。上記熱可塑性エラストマーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記熱可塑性エラストマーは、アクリル系粒子とは異なる。
エラストマーの持つ機械的物性の付与効果をより一層良好に発揮する観点からは、上記熱可塑性エラストマーは、上記ポリ塩化ビニル系樹脂と相溶可能であることが好ましい。本明細書において、「相溶可能」とは、上記ポリ塩化ビニル系樹脂に対して、加熱成形時に均一分散することを意味する。
上記熱可塑性エラストマーとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体、塩素化ポリエチレン及びポリウレタン等が挙げられる。接着性、柔軟性、及び引張破断伸びをより一層良好にする観点からは、上記熱可塑性エラストマーは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体、又は、塩素化ポリエチレンであることが好ましい。これらの好ましい熱可塑性エラストマーを用いる場合に、好ましい熱可塑性エラストマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
常温(23℃)での柔軟性、及び引張破断伸びをより一層良好にする観点からは、上記熱可塑性エラストマーは、塩素化ポリエチレンであることが好ましい。接着性、常温(23℃)での柔軟性、低温(例えば0℃以下)での柔軟性、及び引張破断伸びをより一層良好にする観点からは、上記熱可塑性エラストマーは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、又は、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体であることが好ましい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物において、上記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記熱可塑性エラストマーの含有量は10重量部以上、200重量部以下である。上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物において、上記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記熱可塑性エラストマーの含有量は好ましくは20重量部以上、より好ましくは40重量部以上、好ましくは150重量部以下である。上記熱可塑性エラストマーの含有量が上記下限以上であると、エラストマーによる柔軟性、接着性及び引張破断伸びなどの物理的性質の改質効果がより一層良好になる。上記熱可塑性エラストマーの含有量が上記上限以下であると、上記ポリ塩化ビニル系樹脂による低温での柔軟性がより一層良好になる。
アクリル系粒子:
上記アクリル系粒子の使用により、低温での柔軟性が良好になる。上記アクリル系粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記アクリル系粒子とは、アクリル化合物を用いて得られる粒子を意味する。アクリル化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する。
上記アクリル系粒子は、シリコーンアクリル系粒子(シリコーン化合物とアクリル化合物とを用いて得られる粒子)、及びシリコーンアクリル系粒子とは異なるアクリル系粒子等が挙げられる。
上記アクリル系粒子の具体例としては、シリコーンアクリル系粒子、及びシリコーンアクリル系粒子とは異なるアクリル系粒子等が挙げられる。低温での柔軟性をより一層良好にする観点からは、上記アクリル系粒子は、ガラス転移温度の低い成分が多い方が好ましい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物において、上記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記アクリル系粒子の含有量は0重量部(未使用)以上、80重量部以下である。上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物において、上記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記アクリル系粒子の含有量は好ましくは0重量部を超え、より好ましくは20重量部以上、好ましくは60重量部以下である。上記アクリル系粒子の含有量が上記下限以上であると、低温での柔軟性がより一層良好になる。上記熱アクリル系粒子の含有量が上記上限以下であると、引張破断伸びがより一層良好になる。
無機フィラー:
上記無機フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック及び酸化マグネシウム等が挙げられる。コストを低減し、接着性をより一層良好にする観点からは、上記無機フィラーは、炭酸カルシウムであることが好ましい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物100重量%中、上記無機フィラーの含有量は好ましくは0重量%(未使用)以上、より好ましくは2重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは50重量%以下、更に好ましくは35重量%以下である。
また、無機フィラーの平均粒径は好ましくは10nm以上、好ましくは3μm以下である。平均粒径が上記下限以上であると、無機フィラーによってシート等の遮光性が低下し難い。上記平均粒径はモード径である。上記平均粒径は、体積粒径の最大頻度値である。平均粒径が上記上限以下であると、カレンダー成型性における樹脂ダマリの発生などが抑えられ、樹脂の加工性がより一層高くなる。また、無機フィラーは表面処理されていてもよく、表面処理されていなくてもよい。
その他成分:
上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は可塑剤を含んでいなくてもよい。上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が可塑剤を含む場合には、可塑剤の含有量が少なくても良好な機械的物性が得られる。上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は可塑剤を含まないか、又は可塑剤を30重量%以下で含むことが好ましい。上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が可塑剤を含む場合に、上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物100重量%中、上記可塑剤の含有量は好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
(ポリ塩化ビニル系樹脂成形体及びポリ塩化ビニル系樹脂シート)
上述したポリ塩化ビニル系樹脂組成物を成形することによりポリ塩化ビニル系樹脂成形体を得ることができる。
また、上述したポリ塩化ビニル系樹脂組成物をシート状に成形することによりシートを得ることができる。本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂シートは、上述したポリ塩化ビニル系樹脂組成物をシート状に成形することにより得られるシートを備える。上述したポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、上記ポリ塩化ビニル系樹脂成形体を得るために好適に用いられ、上記シートを得るために好適に用いられる。上記ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、上記シートのみであってもよく、上記シートと他の構成物(被覆層、並びにガラスクロス、ガラス不織布、ポリエステルクロス又はポリエステル不織布など)とを備えていてもよい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、上記シートの表面上に配置された被覆層を備えることが好ましい。上記被覆層の材料が、アクリル系樹脂又はポリ塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。これらの場合には、紫外線による劣化(樹脂の酸化、分子開裂)を防ぐことができ、長期的に耐候性がより一層良好になる。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、ガラスクロス、ガラス不織布、ポリエステルクロス又はポリエステル不織布を備えることが好ましい。この場合には、引張破断強度がより一層良好になる。ガラスクロス、ガラス不織布、ポリエステルクロス又はポリエステル不織布は、上記シート内に含まれていてもよく、上記シートの表面上に配置されていてもよく、上記シートと上記被覆層との間に配置されていてもよい。
取扱い性を高くし、良好な機械的特性が得る観点からは、上記シートの厚みは、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.2mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1.8mm以下である。上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、シート状に成形して、上記の厚みのシートを得るために好適に用いられる。
なお、上記シート内に上記ガラスクロス、ガラス不織布、ポリエステルクロス又はポリエステル不織布が含まれる場合には、上記シートの厚みは、ガラスクロス、ガラス不織布、ポリエステルクロス又はポリエステル不織布を含むシートの厚みを意味する。上記シートの厚みには、上記被覆層の厚みは含まれない。
耐候性をより一層良好にする観点からは、上記被覆層の厚みは、好ましくは50μm以上、より好ましくは150μm以上、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、防水シート、床材及び壁材等として用いることができる。長期間に渡り高い機械的特性を維持することが可能であるので、上記ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、防水シートとして屋外に設置して用いられることが特に好ましい。上記ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、太陽光に晒される位置に設置して用いられることが好ましい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、複数の上記ポリ塩化ビニル系樹脂シートを接着して用いられることが好ましい。複数の上記ポリ塩化ビニル系樹脂シートが接着した接着体では、上記ポリ塩化ビニル系樹脂シート間の接着性に優れている。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)アクリル系重合体(a)の製造
撹拌機及び還流冷却器を備えたステンレス製の反応器に、イオン交換水200重量部を入れ、反応器内の酸素を窒素により置換した。その後、撹拌下でイオン交換水の温度を70℃まで昇温した。昇温終了後、反応器内に過硫酸アンモニウム0.2重量部と、上記コアを形成するための乳化モノマーのうち40重量部とを入れ、重合を開始した。
重合が開始したところで、上記コアを形成するための乳化モノマー121重量部を滴下し、滴下終了に続いて、シェルを形成用するための乳化モノマーの残りを順次滴下した。
全ての乳化モノマーの滴下を3時間で終了した。乳化モノマーの滴下を終了してから1時間経過した後、重合を終了して、下記の表1に示す固形分濃度のアクリル系共重合体(a)を得た。
(2)ポリ塩化ビニル系樹脂(b)の製造
撹拌機及びジャケットを備えた重合器に、塩化ビニルモノマーを除く下記の表1で示す配合成分を下記の表1に示す配合量で入れた。
その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、更に攪拌条件下で塩化ビニルモノマーを下記の表1に示す配合量で入れた。次いで、ジャケット温度の制御により重合温度を下記の表1に示す温度に制御して、グラフト共重合を開始した。
重合器内の圧力が下記の表1に示す圧力まで低下したところで、反応の終了を確認した。消泡剤(東レ社製「東レシリコンSH5510」)を加圧添加した後に、反応を停止した。
その後、未反応の塩化ビニルモノマーを除去し、更に脱水乾燥することによりポリ塩化ビニル系樹脂(b)を得た。
(3)ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)の製造
得られたポリ塩化ビニル系樹脂(b)と、スズ安定剤と、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体(熱可塑性エラストマー)と、炭酸カルシウム1(平均粒径0.08μm、ステアリン酸表面処理、白石カルシウム社製の白艶華CCR)とを、下記の表1に示す配合量で混合して、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)を得た。
(4)ポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)の製造
得られたポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)を、異方向2軸コニカル押出機を用いて下記の表1に示す押出条件で押出成形し、アクリル系樹脂を用いて被覆層を形成し、ポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)を得た。
(実施例2)
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)の製造において、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体をエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体に変更したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系重合体(a)、ポリ塩化ビニル系樹脂(b)、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)及びポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)を得た。
(実施例3)
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)の製造において、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体をエチレン−酢酸ビニル共重合体に変更したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系重合体(a)、ポリ塩化ビニル系樹脂(b)、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)及びポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)を得た。
(実施例4)
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)の製造において、塩素化ポリエチレンを添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系重合体(a)、ポリ塩化ビニル系樹脂(b)、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)及びポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)を得た。
(実施例5)
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)の製造において、塩素化ポリエチレンとアクリル系粒子を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系重合体(a)、ポリ塩化ビニル系樹脂(b)、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)及びポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)を得た。
(比較例1)
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)の製造において、熱可塑性エラストマー、及び炭酸カルシウムを除いたこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系重合体(a)、ポリ塩化ビニル系樹脂(b)、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)及びポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)を得た。
(実施例6)
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)の製造において、塩素化ポリエチレンとアクリル系粒子を添加したこと、並びに、炭酸カルシウム1(平均粒径0.08μm、ステアリン酸表面処理、白石カルシウム社製の白艶華CCR)を、炭酸カルシウム2(平均粒径3.27μm、表面処理なし、丸尾カルシウム社製のスーパー1700)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系重合体(a)、ポリ塩化ビニル系樹脂(b)、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)及びポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)を得た。
(実施例7)
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)の製造において、塩素化ポリエチレンとアクリル系粒子を添加したこと、並びに、炭酸カルシウム1(平均粒径0.08μm、ステアリン酸表面処理、白石カルシウム社製の白艶華CCR)を、炭酸カルシウム3(平均粒径3.85μm、ステアリン酸表面処理、白石カルシウム社製のホワイトン305)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系重合体(a)、ポリ塩化ビニル系樹脂(b)、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)及びポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)を得た。
(評価)
(1)引張破断伸びの評価
ポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)について、JIS3号ダンベルを用いて、200mm/minの速度で引張試験を実施した。破断伸びはチャック間(初期60mm)の伸びとして算出した。
(2)低温柔軟性の評価
ポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)について、JIS K7171にしたがって、試験温度0℃で、曲げ弾性率を測定した。
(3)接着性の評価
(3−1)溶着:幅20mmに切り出したポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)の端部25mmにテトラヒドロフランを塗布し、シート同士を25mm重ねて接着した接着体を常温(23℃)で1日保管した。保管後に、200mm/minの速度で引張試験を実施し、破断の様子を観察した。剥離せずに破断した場合には、接着性に優れている。
(3−2)熱融着:幅20mmに切り出したポリ塩化ビニル系樹脂シート(d)に熱風(220〜300℃)を当て、圧着した圧着体を常温(23℃)に冷却した。冷却後に、100mm/minの速度で引張試験を実施し、破断の様子を観察した。剥離せずに破断した場合には、接着性に優れている。
(4)ポリ塩化ビニル系樹脂シートの加工性評価
得られたポリ塩化ビニル系樹脂組成物(c)を175℃にてロール成型し、樹脂ダマリの発生時間を測定した。樹脂ダマリは発生しないほうがよく、樹脂ダマリの発生時間は長い方がよい。
結果を下記の表1,2に示す。
Figure 0006510906
Figure 0006510906

Claims (12)

  1. ポリ塩化ビニル系樹脂組成物をシート状に成形することにより得られるシートを備え、
    前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、平均重合度が400以上、2500以下であるポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、熱可塑性エラストマー10重量部以上、200重量部以下とを含み、アクリル系粒子を含まないか、又はアクリル系粒子を80重量部以下で含み、
    前記ポリ塩化ビニル系樹脂は、アクリル系共重合体35重量部以上、80重量部以下と、塩化ビニルモノマー20重量部以上、65重量部以下とを共重合させることにより得られるか、又は、アクリル系共重合体35重量部以上、80重量部以下と、塩化ビニルモノマー及び塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーを合計20重量部以上、65重量部以下とを共重合させることにより得られ、
    前記アクリル系共重合体は、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上、−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー50重量%以上、100重量%以下及び前記アルキル(メタ)アクリレートモノマーとは異なる第2の(メタ)アクリレートモノマー0重量%以上、50重量%以下を含む(メタ)アクリル系モノマー成分100重量部と、多官能モノマー0.01重量部以上、30重量部以下とを反応させることにより得られ、
    前記熱可塑性エラストマーが、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、又は、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体を含む、ポリ塩化ビニル系樹脂シート
  2. 前記熱可塑性エラストマーが、塩素化ポリエチレンを含む、請求項1に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート
  3. 前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物において、前記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記熱可塑性エラストマーの含有量が40重量部以上、200重量部以下である、請求項1又は2に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート
  4. 前記アクリル系粒子が、シリコーンアクリル系粒子とは異なるアクリル系粒子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート
  5. 前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が、前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物100重量%中、無機フィラーを2重量%以上、80重量%以下で含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート
  6. 前記無機フィラーの平均粒径が10nm以上、3μm以下である、請求項5に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート
  7. 前記シートの厚みが5mm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  8. 前記シートの表面上に配置された被覆層を備え、
    前記被覆層の材料が、アクリル系樹脂又はポリ塩化ビニル系樹脂である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  9. ガラスクロス、ガラス不織布、ポリエステルクロス又はポリエステル不織布を備える、請求項のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  10. JIS3号ダンベルを用いて、200mm/minの速度で引張試験を実施したときに、破断伸びが180%以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  11. JIS K7171にしたがって、試験温度0℃で、曲げ弾性率を測定したときに、前記曲げ弾性率が、150MPa以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  12. 防水シートとして屋外に設置して用いられる、請求項11のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
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