JP3544924B2 - 特に振動減衰器のための、圧力に依存して反応する弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1の上位概念部分に記載の圧力に依存して反応する弁、特に調整可能な振動減衰器(振動ダンパ、Schwingungsdaempfer)のための圧力に依存して反応する弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドイツ特許第4401393号明細書(DE 44 01 393 C1)により、減衰液体で満たされたシリンダ筒内に軸方向に可動に配置されているピストン棒をもっている調整可能な振動減衰器のための圧力に依存して反応する弁が知られている。その際、前記シリンダ筒が、圧力付勢された調節装置によって制御される当該圧力依存性の弁への接続部を有している。その際、前記調節装置が軸方向に可動な弁体を有し、当該弁体が、圧力空間において浮遊するように支持された圧力増強装置(増圧器)によって制御される。その際、当該圧力増強装置は、少なくとも一つのばねによって支持される。圧力増強装置にプレストレスを与える当該ばねが、与えられた弁横断面での上述の弁の開放特性曲線の傾斜の度合いを定める。問題は、圧力接続部に由来する圧力増強装置における非密封性(密閉されていないこと、Undichtigkeit)が圧力に依存して効力のある弁の場合の誤調整(Fehleinstellung)をひき起こすことを効果的に阻止しなければならないことにある。
【0003】
さらに、当該弁は熱による比較的に高い負荷を受ける。このことから、当該弁への圧力空気供給(圧縮空気供給)を実現するのにかなり大きい構造上の経費を要するという問題がでてくる。なぜならば、商慣習上の合成物質ホースは燃えるだろうからである。金属管は、振動減衰器における当該弁の使用に投入可能でない、あるいは条件付きでしか投入可能でない。なぜならば、振動減衰器は、当該金属管に負荷を与えるかなり大きな弾性偏位運動(弾性走入運動、Einfederungsbewegungen)を行うからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、圧力に依存して反応する弁を、一方では上記の非密封性が当該弁の作用に不利な影響を及ぼさないように、また当該弁の全ての構成要素の熱による負荷が永続的に克服されるように、さらに発展させることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明により、非密封性に関しては、圧力増強装置(増圧器、Druckuebersetzer)が、圧力接続部開口部を向いていない側(圧力接続部開口部とは反対の側)で低圧空間に境を接し当該低圧空間がさらにより低い圧力レベルへの排気連通部(換気連通部、Entlueftungsverbindung)を有し、当該排気連通部が流入抑制要素(流入絞り要素、Einstroemdrosselelement)によって少なくとも部分的におおわれること、上方の開放した深なべ形状のインサートが弁全体を収容する筒状接続部材内に配置されており、当該インサート内にて前記圧力増強装置が軸方向に可動に案内されており、前記インサート内を上下方向に密封状態で移動する前記圧力増強装置と前記インサートの底部との間に前記低圧空間が形成されていて、前記排気連通部が前記低圧空間から前記インサートの壁部及び前記筒状接続部材の壁部を通って延在すること、及び、前記排気連通部の、前記筒状接続部材における部分及び前記インサートにおける部分が重なり合いを有するように、前記インサートが組み込み方向づけマークを有することによって解決される。
【0006】
前記流入抑制要素は、漏れ空気(Leckluft)として低圧空間に流れ込む圧力空気(圧縮空気)をこれからのがれ出させて、低圧空間において前記増強装置への押圧力が発生しないことをもたらすが、しかしながら、水飛沫(Spritzwasser)あるいは塵埃が妨げられずに当該弁内に侵入することは可能でない。
【0007】
前記流入抑制要素がキャップによって形成されることが考慮に入れられ得る。当該キャップは、例えばのがれ出る漏れ空気についての放射方向(半径方向)の流れ去り方向だけを自由にするシールドを形成する。
【0008】
圧空間はインサート(Einsatz)によって画成され、当該インサート内では圧力増強装置が軸方向に可動に案内されている。その際、当該インサートは、弁全体を収容する筒状接続部材内に配置されており、排気接続部が部分ごとに低圧空間から当該インサートの壁部及び筒状接続部材の壁部を通って延在する。
【0009】
要求される機能信頼度(確実に機能すること、Funktionssicherheit)を顧慮して、前記排気接続部の前記筒状接続部材における部分及び前記インサートにおける部分がオーバーラップ(重なり合い、Ueberdeckung)を形成するように、前記インサートが組み込み方向づけマーク(Einbauorientierungsmarkierung)を有する。
【0010】
それに対して、筒状接続部材が半径方向内側に向かって前記インサートの方へ方向づけられた回転防止装置(相対回転防止装置)を有し、当該回転防止装置が組み込み方向づけマークに食い込む。
【0011】
組み込み方向づけマークに関しての構造上の経費が限度内にとどまるように、回転防止装置が筒状接続部材を貫くピンによって形成される。第二機能において、当該ピンによって、キャップとして構成された流入抑制要素が固定される。
【0012】
別の形態では、組み込み方向付けマークが軸方向の溝によって形成される。キャップを備えるピンがすでに筒状接続部材に固定されていることが可能であり、且つインサートの回転によってピンがインサートの軸方向の溝に食い込んでそれによってインサートを周方向において固定させるに至るまでは、インサートが筒状接続部材内でピンの内側の端部上に接触するという利点が得られる。ピンは、ねじ、リベット、あるいはまたグルーブドピン(Kerbnagel)、あるいは筒状接続部材の壁部を貫く別の任意の要素によって形成され得る。
【0013】
凝縮した水分あるいは流入抑制要素にもかかわらず侵入した水分が弁から流れ出ることができるように、圧力空気の排気接続部は、筒状接続部材の組み込み位置に関して最も深い点の少なくとも近傍(すなわち、筒状接続部材が取り付けられた状態で最も低い位置となる場所もしくはその近傍)に配置されている。さらに、残りの水分が弁内に引き止められ得ないように、インサートが漏斗形状に広がる内壁を備える底部を有する。
【0014】
別の熱問題に関しては、圧力接続部が別の弁部材に対する熱に関する絶縁体を有し、それによって、単純な合成物質ホース(例えばプラスチックホース)およびまた合成物質製接続要素(例えばプラスチック製接続要素)が、比較的わずかな耐熱性(熱強度、Waermefestigkeit)しかもたないが持続的に弾力のある圧力供給部のために使用され得るということが達成され得る。
【0015】
別の有利な形態では、絶縁体が、弁を閉鎖する蓋体によって形成される。当該蓋体が合成物質(例えばプラスチック等)からなるととりわけ有利であるとわかった。
【0016】
蓋体が比較的に大きい制御圧力にも耐えるように、当該蓋体が蓋体固定リングによって固定されている。蓋体固定リングは、大きな面で蓋体をおおい、且つそれによって蓋体を確実に支持する。
【0017】
合成物質製蓋体のかわりに、絶縁体が蓋体の内側のスリーブからなってもよい。絶縁体として合成物質(例えばプラスチック等)あるいはまた比較的に小さい熱伝導度を備える金属、例えばV2A(ステンレス合金)、が考えられる。
【0018】
それに加えて、スリーブが、焼きばめ輪のように、蓋体を周縁側で囲む(縁取りする)ことも可能である。そのかわりに、スリーブが圧力接続部開口部だけを取り囲んでもよい。
【発明の実施の形態】
【0019】
次の図面の説明をもとにして、本発明を詳細に説明する。
図1は、圧力に依存して反応する弁を備える振動減衰器を示し、
図2は、弁を断面で示し、
図3は、圧力依存性の弁の力特性曲線を示す。
【0020】
図1には、シリンダ3を有する振動減衰器(振動ダンパ)1が示されている。前記シリンダ内にはピストン棒5が軸方向に可動に配置されている。前記シリンダは、下方へ向かって底部7によって閉ざされている。ピストン棒5は、ガイド兼シールユニット9を通って前記シリンダの上側端部から外へ案内されている。シリンダ3内で、ピストン棒5に、ピストン弁装置13を備えるピストンユニット11が固定されている。シリンダ3の底部は、底部弁装置15を備えている。シリンダ3は、リザーバ筒(貯蔵筒、Behaelterrohr)17によって覆われている。リザーバ筒17とシリンダ3との間にはリング状空間19が形成されている。当該リング状空間は補償室である。シリンダ3の内部の空間は、ピストンユニット11によって第一の作業室21aと第二の作業室21bとに区分されている。作業室21a及び21bは、圧力液体で満たされている。補償室19は、レベル19aまで液体で満たされており、それより上方は気体で満たされている。補償室19内には、第一の導管区間、すなわち高圧部区間23aが中間筒23によって形成される。当該高圧部区間は、シリンダ3の孔25を経て第二の作業室21bと連通状態にある。この高圧部区間には、リザーバ筒17に横に取り付けられた圧力に依存して反応する弁27が接続している。これから、第二の導管区間、すなわち低圧部区間、が補償室19へ通じている(不図示)。
【0021】
ピストン棒5がシリンダ3から上方へ向かって走出する(繰り出される)ときには、上側の作業室21bが縮小される。上側の作業室21bにおいて過圧が生じ、当該過圧が、圧力に依存して反応する弁27が閉じられているあいだは、ピストン弁装置13によって下側の作業室21aへ緩和され得る。圧力に依存して反応する弁27が開かれていると、同時に液体が上側の作業室21bから高圧部区間23a及び圧力に依存して反応する弁27を通って補償室19へ流れる。従って、ピストン棒5が走出する場合の振動減衰器の減衰特性(減衰特性曲線)は、圧力に依存して反応する弁27が開いているか閉じられているかに依存する。
【0022】
ピストン棒5がシリンダ3内へ走入する(引っ込められる)ときには、下側の作業室21aにおいて過圧が生じる。液体は、下側の作業室21aからピストン弁装置13を通って上方に向かって上側の作業室21b内へあふれ得る。シリンダ3内でのピストン棒体積の増加によって押しのけられる液体は、底部弁装置15を通って補償室19へ追い出される。ピストン弁装置13の貫流抵抗が底部弁装置15の貫流抵抗よりも小さいので、上側の作業室21bにおいて同様に圧力増大が生じる。この増大する圧力は、圧力に依存して反応する弁27が開かれている場合には高圧部区間23aを通って補償室19へあふれ出ることができる。これは、ショックアブソーバ(振動減衰器)が走入の場合にもピストン棒の走出の場合と全く同様に、圧力に依存して反応する弁27が開かれているときにはよりソフトな特性(特性曲線)をもち、圧力に依存して反応する弁が閉じられているときにはよりハードな特性(特性曲線)をもつことを意味する。心にとめておくべきことは、ピストン棒が走入するか走出するかにかかわらず、バイパスの高圧部区間23aを通る流れ方向が常に同一であるということである。
【0023】
図2は、単独の構成要素として圧力依存性の弁27の実施例を示す。リザーバ筒17に外側に配置される筒状接続部材29の内部に、ポット形状(深なべ形状)のインサート(挿入体)31が取り付けられている。当該インサートは、振動減衰器の高圧部区間23aへの接続部33を有する。接続部33の底部には、弁面(弁座)35と補償室19への少なくとも一つの流出開口部37とが設けられている。
【0024】
前記弁面上で、弁体39がこれの作動位置においてプレストレスを与えられている。当該弁体は、圧力増強装置(増圧器)43の中央の貫通口41において半径方向についてガイドされる。その際、弁体パッキング39aが弁体前側を弁体後ろ側から隔離する。弁体39には、延長部分45が連結している。当該延長部分は、圧力増強装置を完全に貫き且つ蓋体49における圧力接続部開口部47内にて終わる。当該圧力接続部開口部は、不図示の圧力源、例えば空気ばね、と連通させられている。
【0025】
前記圧力接続部開口部における圧力(以下では制御圧力と呼ばれる)が、軸方向に浮遊するようにしてポット形状のインサート31内にて案内されている圧力増強装置43に作用する。圧力増強装置は、ディスク体によって形成される。当該ディスク体は、それの外径部にパッキング51を担持している。それに対して、蓋体49から出発して第一の支持面53までの筒形状のインサート部の内径部がガイド面55として形成されている。
【0026】
半径方向外側で第一の支持面53に且つ圧力増強装置43の下側部における段部57に第一の弾性要素(ばね要素)59が配置されている。当該第一の弾性要素は、層状に積み重ねられた複数の平ディスク(面板、平板、Planscheiben)からなると有利である。第二の弾性要素(ばね要素)61は、圧力増強装置43の別の段部63と第二の支持面65との間にて緊張させられている(応力を与えられている)。第二の支持面65は、締めつけリング(固定リング、ロックリング、Spannring)67によって与えられている。当該締めつけリングの外径は、ガイド面55に対して、これらの面の間にプレスフィット(プレスばめ、圧入、Presspassung)が存在するようにディメンジョニングされている(大きさを定められている)。
【0027】
パッキング51に由来して、ガイド面55が圧力増強装置43の上側部及び蓋体49とともに高圧空間69を形成する。当該高圧空間に制御圧力が印加される。圧力接続部開口部47から制御媒体が直接に当該圧力空間に達するわけではない。なぜならば、延長部分45が外側で圧力接続部開口部47に対してパッキング45aによって密封されている(すきまをなくされている)からである。当該延長部分は、スロットル流入路(絞り流入路、Drosselzulaufkanal)71を有する。当該スロットル流入路は、ほぼ弁体まで達する。そこから圧力媒体が圧力増強装置と前記延長部分との間のわずかな隙間を通って、調整装置73を形成するねじ連結部(Gewindeverbindung)まで流れる。当該ねじ連結部は、スロットル流入路71の継続部分(Fortsetzung)である。別のパッキング45bが、高圧空間から低圧空間89への圧力空気漏れ(圧縮空気漏れ、Druckluftleckagen)を妨げる。
【0028】
前記調整装置ないし前記ねじ連結部があそびなしに働くように、圧力増強装置の上側部と前記延長部分との間にプレストレスばね75が配置されており、当該プレストレスばねが、ねじ連結部の前述の両方の部材に、常にそれらのねじフランク(ねじ山の斜面、Gewindeflanken)が係合している(かみあっている)ようにプレストレスを与える。プレストレスばね75のためのストッパとして支持ディスク77が用いられる。
【0029】
組み立ての際には、まず第一に、ポット形状のインサート31における第一の支持面53上に第一の弾性要素59についてのいくつかの平ディスクが置かれる。その後、パッキング51を備える圧力増強装置がポット形状のインサート31内に挿入される。その後、弁体39の延長部分45が前記インサートを通って圧力増強装置43内へねじ込まれて取り付けられる。引き続いて、接続部33が端部側で筒形状のインサート31に押しつけられる。別の作業ステップで、第二の弾性要素61が段部63上に置かれる。そのように準備された基礎組立体(Unterbaugruppe)が、周期的に増大する力を下から弁体に与える装置につながれる(取り付けられる)。力導入は、タペットによって機械的にあるいは圧力媒体によって液体力学的にあるいは気体力学的に行われ得る。
【0030】
決められた弁調整のために、弁体に厳密に定められた開放力が与えられる。同時に、圧力増強装置43が挿入された締めつけリング67及び第二の弾性要素61によって押し下げられる。圧力増強装置への予定された力勾配(Kraftgradient)が達成されたならば、弁体及び圧力増強装置への力導入のための手段が運転(作動)を中止され得る。それによって、前記弾性要素が予定されたばね定数に調整されている。前記締めつけリングは、ガイド面55に対してのそれのプレスフィットによって前記弾性要素の調整された位置を維持する。前記弾性要素、圧力増強装置における段部などにおける許容差は、この種の調整によって補償される。
【0031】
その後、プレストレス弾性体75が支持ディスク77とともに取り付けられねばならない。別の作業ステップにおいて、弁体と弁面35との間の弁通路横断面を調整するために、調整装置73を用いて圧力増強装置43に対して相対的な弁体39の位置が固定される。すでに弁通路横断面が与えられていることが考慮にいれられてもよい。その代わりに、開放方向にて弁体が力なしに弁面35にのっていてもよいし、あるいは、弁体が圧力増強装置から外へ出るように回転させられる調整運動によって、プレストレスが弁体に作用してもよい。当該調整運動のために、延長部分45がそれの端部に少なくとも一つの工具面79をもっている。調整装置によって作動点(Betriebspunkt)が圧力増強装置の力特性曲線上で調整され得る。
【0032】
図3は、従来技術に対する相違点を明らかにしている。一点鎖線で示された特性曲線は、ディスクスプリングの典型的なばね特性曲線を示す。弾性力と弁通路横断面ないし弁体の行程(変位)sとの必然的な関係がある。それによって一点鎖線で示された特性曲線だけしか達成され得ない。その際これらはさらに大きく許容差をしょいこんでもいる。
【0033】
第一の弾性要素及び第二の弾性要素の異なるプレストレスによって閉鎖力Fのところでの異なる傾斜が達成される。調整装置は、特性曲線場における直線上での作動点の移動、例えば弁面からの弁体の開放点の移動を可能にする。それによって、弁体が弾性要素によって弁体への力導入なしにもすでに弁面から浮揚させられている(持ち上げられている)作動点も、特性図(特性場、Kennfeld)の第三象限においてセットされ得る。閉鎖力Fは、圧力増強装置に作用する合力(結果として生じる力)、すなわち圧力空間における閉鎖方向に働く制御力と第二の弾性要素のプレストレス力とから第一の弾性要素の開放力を差し引いたものである。力ダイアグラムの水平軸は、圧力増強装置/弁体ユニットの行程を示す。その際、原点は、弁体が弁面に閉鎖力なしにのっているときの状態を示す。
【0034】
引き続いての説明のために再び図2を参照する。これまでに記載された構造ユニットにおける力調整が完了すると、ポット形状のインサート31が筒状接続部材29に挿入される。その後、蓋体がポット形状のインサート31に当接するまで、蓋体49がそれの外側にある蓋体パッキング81を伴って筒状接続部材内へ押し込まれる。前記蓋体パッキングは、圧力空間69を弁27の領域にて周囲(環境)に対して密閉する。蓋体固定リング83が蓋体を閉じられたポジションにて維持する。その際、蓋体自体は、不図示の供給導管を弁27に対しての所望のポジションに方向づけることができるように回転させられ得る。
【0035】
減衰器の運転中、減衰液体が高圧部区間23aを経て弁27の接続部33へ押しのけられる。所望の減衰力特性曲線に依存して減衰媒体が弁体39のリーディング面(流れ寄せ面、流れ方向前面、Anstroemungsflaeche)87にぶつかる。リーディング面への圧力にそれの面積を乗じたものが弁体に効力のある開放力であり、当該開放力が、両方の弾性要素59;61の結果として生じる弾性力(合成された弾性力)と圧力増強装置43への圧力空間69内の制御圧力とから結果として生じる閉鎖力(合成された閉鎖力)に抗して働く。開放力が閉鎖力より大きいと、弁体が浮揚する(持ち上げられる)、ないしは、無圧の状態ですでに弁通路横断面を許容するすでに開かれている弁体がさらに浮揚する。減衰媒体は、流出開口部37を経て補償室19内へ流れ得る。
【0036】
振動減衰器におけるガスプレストレスに基づく静圧力(固定した圧力、Stationaerdruck)は、弁体のリーディング面87にも作用するが、しかし、同時に弁体背面95にも作用する。その結果、リーディング面から当該弁体背面を差し引いた差面(差面積、Differenzflaeche)だけが静圧力についての作用面として残る。圧力増強装置についての圧力空間における圧力付勢される面と弁体における圧力付勢される面との間に相応の大きさの違いがある場合には静圧力の影響が無視され得る。
【0037】
これまでの説明は、理想的な場合に関するものである。しかし、圧力増強装置におけるパッキング51と弁体の延長部分におけるパッキング45bとがもはやそれらの要求されるシール機能を果たさないということは排除され得ない。高圧空間69から低圧空間89への漏れが開放力を圧力増強装置ないしは弁体に及ぼさないように、低圧空間は、低圧空間89とより低い圧力レベル、通例は弁を取り巻いている雰囲気(大気)、との間の排気連通部(Entlueftungsverbindung)97をもっている。当該排気連通部は、インサート31における部分97aと筒状接続部材29における部分97bとからなる。溶接装置が部分97bにくい込むポジショニングピンを有することによって、容器23への筒状接続部材29の溶接の際にすでに筒状接続部材の方向づけられた(方向を正された)取り付け位置が顧慮される。それによって、ほぼ鉛直に立っている振動減衰器の場合に部分97bが、下側部にて、従って最も深い(低い)点にて筒状接続部材から流れ出すことが達成される。
【0038】
ポット形状のインサート31も周方向にて位置方向を正されて組み込まれねばならない。そのために、インサートは軸方向に延在する溝101の形での組み込み方向づけマークをもっている。当該溝にピン103のデザイン(構造形状)での回転防止装置(相対回転防止装置)がくい込む。組み立ての際に、筒状接続部材の誤った組み込み位置が同様に認識される。なぜならば、インサートがそれの支持面(保持面、Halteflaeche)105によって前記ピンに接触し、筒状接続部材内へ十分に深く差し込まれ得ないからである。前記ピンが溝101に食い込んでさらなる差込運動が可能になるまでインサートが回転させられる。
【0039】
前記ピンは、第二機能として、流入抑制要素(流入絞り要素)107の保持具(止め具)の役割を担う。このケースでは、流入抑制要素は、曲げられ(直角に曲げられ)ており且つそれによって排気連通部97を部分的にだけおおうキャップからなる。半径方向の流れ通路(Stroemungsweg)109は、なお与えられている。どんな場合にも、低圧空間内への水飛沫(Spritzwasser)あるいは塵埃の直接の侵入は有効に阻止される。空気から水が凝縮されるあるいは水飛沫が侵入し同様に低圧空間にあつまることは排除され得ない。インサート31の底部の内壁の漏斗状の広がり部31aによって水は同様に排気連通部を経て弁27から外へ流れる。流入抑制要素がグルーブドピン(グルーブドドライブスタッド)あるいはダウエルピン(ドエルピン、Spannstift)により形成されるかぎり、これは少なくとも一つの部分ごとに本質的に軸方向に延びる溝あるいはスリットをもつ。このスリットは、低圧空間の排気のために完全に十分である。さらに、当該溝あるいは当該スリットは、水分(湿気)がわずかな確率でしか弁内に侵入しないように方向づけられ得る。そのとき、独立したキャップは設けなくてもよい。
【0040】
減衰器の運転中、容器23は、従って筒状接続部材もきわめてひどく熱くなり得る。鋼部分が熱を蓋体49まで伝える。それによって、不図示の合成物質製供給ホース(例えばプラスチック製供給ホース)と、当該合成物質製ホースのための有利には合成物質(例えばプラスチック)から製造された差込スリーブ(ソケット、Steckhuelse)113とが、熱的に高い負荷を与えられるだろう。この熱的な負荷を低下させるために、蓋体は熱的な絶縁体111をもっている。当該絶縁体は、筒状接続部材と圧力接続部開口部47との間の任意の箇所に配置されていることが可能である。左半分に示す蓋体では、絶縁体111に関しての二つの有利な組み込み場所が示されている。絶縁体は、タイヤのように蓋体にはられてもよい。材料として、合成物質(例えばプラスチック等)あるいは他の伝導性の悪い材料が使用され得る。その代わりに絶縁体は供給ホースのための差込スリーブ113の領域にも配置され得る。両方の場合に、差込スリーブへの熱伝達が少なくとも低下させられる。
【0041】
右半分では、完全に熱伝導性の悪い材料、有利には合成物質、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)、から作られている蓋体49が挿着されている。高圧空間は、もちろん蓋体にも負荷を与える制御圧力が支配する。その理由で、蓋体を押圧力に抗して支持するために、蓋体固定リング83が相対的に大きい環状面を有して構成されている。蓋体固定リングは、一方ではインサートに接する蓋体にプレストレスを与える。しかしインサートにも筒状接続部材27における保持面105によってプレストレスを与える。その結果、インサートがあそびなしに筒状接続部材に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧力に依存して反応する弁を備える振動減衰器の図である。
【図2】弁を断面で示す図である。
【図3】圧力依存性の弁の力特性曲線を示す図である。
【符号の説明】
27 圧力に依存して反応する弁
29 筒状接続部材
31 インサート
31a 漏斗状の広がり部(内壁)
43 圧力増強装置
47 圧力接続部開口部
49 蓋体(絶縁体)
83 蓋体固定リング
89 低圧空間
97 排気連通部
97a 排気連通部のインサートにおける部分
97b 排気連通部の筒状接続部材における部分
101 溝(組み込み方向づけマーク)
103 ピン(回転防止装置)
107 流入抑制要素
111 絶縁体(スリーブ)

Claims (15)

  1. 減衰液体で満たされたシリンダ筒内に軸方向に可動に配置されているピストン棒をもっている圧力に依存して反応する弁にして、当該弁が圧力接続部開口部を介して圧力付勢される調節装置によって制御され、当該調節装置が弁面に対して軸方向に可動な弁体を有し、当該弁面及び当該弁体が共同して弁通路横断面を決定し、圧力空間に浮遊して装着されており且つ少なくとも一つの弾性手段によって支持される圧力増強装置によって前記弁体が制御される弁において、
    圧力増強装置(43)が、前記圧力接続部開口部(47)側を向いていない側で、低圧空間(89)に境を接し、当該低圧空間がさらにより低い圧力レベルへの排気連通部(97)を有し、当該排気連通部(97)が流入抑制要素(107)によって少なくとも部分的におおわれること、
    上方の開放した深なべ形状のインサート(31)が弁全体を収容する筒状接続部材(29)内に配置されており、当該インサート(31)内にて前記圧力増強装置(43)が軸方向に可動に案内されており、前記インサート(31)内を上下方向に密封状態で移動する前記圧力増強装置(43)と前記インサート(31)の底部との間に前記低圧空間(89)が形成されていて、前記排気連通部(97a;97b)が前記低圧空間(89)から前記インサート(31)の壁部及び前記筒状接続部材(29)の壁部を通って延在すること、及び、
    前記排気連通部(97a;97b)の、前記筒状接続部材(29)における部分及び前記インサート(31)における部分が重なり合いを有するように、前記インサート(31)が組み込み方向づけマーク(101)を有することを特徴とする弁。
  2. 前記流入抑制要素(107)がキャップによって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の弁。
  3. 前記筒状接続部材(29)が半径方向内側に向かってインサートに対して方向付けられている回転防止装置(103)を有し、当該回転防止装置が前記組み込み方向づけマーク(101)に係合することを特徴とする、請求項1に記載の弁。
  4. 前記回転防止装置(103)が前記筒状接続部材(29)を貫くピンによって形成されることを特徴とする、請求項3に記載の弁。
  5. 前記ピン(103)によって、キャップとして構成された前記流入抑制要素(107)が固定されていることを特徴とする、請求項4に記載の弁。
  6. 前記組み込み方向づけマーク(101)が軸方向の溝によって形成されることを特徴とする、請求項3に記載の弁。
  7. 前記排気連通部(97)が前記筒状接続部材(29)の取り付け位置に関して少なくとももっとも低い点の近くに配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の弁。
  8. 前記インサート(31)の底部が、漏斗状に広がる内壁(31a)を有することにより、すり鉢状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の弁。
  9. 圧力接続部が別の弁部材(29;31)に対する熱的な絶縁体(49;111)を有することを特徴とする、請求項1に記載の弁。
  10. 前記絶縁体が、当該弁(27)を閉鎖する蓋体(49)によって形成されることを特徴とする、請求項9に記載の弁。
  11. 前記蓋体(49)がプラスチックからなることを特徴とする、請求項10に記載の弁。
  12. 前記蓋体(49)が蓋体固定リング(83)で固定されていることを特徴とする、請求項10に記載の弁。
  13. 前記絶縁体が前記蓋体(49)の内側のスリーブ(111)からなることを特徴とする、請求項9に記載の弁。
  14. 前記スリーブ(111)が前記蓋体(49)を周縁側で囲むことを特徴とする、請求項13に記載の弁。
  15. 前記スリーブ(111)が前記圧力接続部開口部(47)を取り囲むことを特徴とする、請求項13に記載の弁。
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