JP3544623B2 - 光学用ポリカーボネートの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるエステル交換法による光学用ポリカーボネートの製造方法に関する。詳しくは芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとから色相が優れ、異物の少ない光学用の芳香族ポリカーボネートを、安価な装置を用いて効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを重縮合させ芳香族ポリカーボネートを製造するいわゆるエステル交換法は、ホスゲン法(界面重合法)に比べて工程が比較的単純であり、操作、コスト面で優位性が発揮できるだけでなく、毒性の強いホスゲンや塩化メチレン等のハロゲン系溶剤を使用しないという点において環境保護の面からも最近見直されている。
【0003】
また、近年になり、コンパクトディスク、情報ファイル用ディスク基板、光学レンズなど、いわゆる光学用の材料としてポリカーボネートの用途が拡大しているが、そのような光学用途においては、材料中のコンタミネーションや揮発分を極力少なくすることが要求されており、溶媒を使用しないエステル交換法は品質面でも注目されている。
【0004】
しかし、塊状重合型のエステル交換法は、芳香族ポリカーボネートの分子量の上昇に伴い反応混合物の溶融粘度が高くなるため、副生するフェノールの除去が困難となり、併せて、重合後期では、反応点となるポリマー末端のヒドロキシ基量が少なくなるため分子量が上がりにくいという問題点があった。
【0005】
この問題点を解決するため、前重合工程として竪型撹拌反応装置で低分子量のプレポリマーを製造した後、後重合工程として横型撹拌重合装置や2軸ベント式押出機を用いて重合を完結する方法が提案されている(特許第2628905号公報、特公平6−99552号公報、特開平8−239465号公報、特開平8−325374号公報、特開平9−12703号公報、特開平9−52035号公報、特開平9−52946号公報、特開平9−155175号公報)。
【0006】
しかしながら、横型撹拌重合装置を用いる方法では、部分的に樹脂が滞留しやすいという装置構造上の問題から、ヤケによる着色、不溶なゲルや結晶化物の発生等により物性や品質の低下を引き起こすという欠点があり、特に、異物のコンタミネーションを嫌う光学用途では問題となる。
【0007】
また、2軸ベント式押出機を用いる方法では、ホールドアップが小さいため単位容積あたりの処理量が少なく、生産性、スケールアップの点で不利となり、かつ、高せん断力が掛かるためポリマーの着色やゲル化等の変質が激しいという欠点があり、横型重合機と同様、光学用ポリカーボネートの製造には不向きであった。さらに、これらの装置は特殊な重合装置であり、竪型の反応装置と比較して装置コストが非常に高く、運転操作性や洗浄などのメンテナンス性も悪いという欠点を有している。
【0008】
そのような特殊な重合装置を使用せずに、一般に使用されている安価な竪型撹拌反応装置のみで最終製品を製造する方法に関しては、バッチ重合方式の技術しか知られていない。しかし、バッチ重合方式では、生産性が悪いのみならず、重合終了後、反応器中から樹脂を抜き出すのに長時間を要するために、滞留している間に樹脂の着色や分子量変化が発生したり、反応器から抜けきれない多量の樹脂が反応器内に残留するなどの問題があり、高品質を要求される光学用ポリカーボネートを製造するには適した製造方法ではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色相が優れ、異物の少ない光学用ポリカーボネートを、安価な竪型撹拌反応装置のみを用いて連続的に製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の問題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、分子量が比較的低い光学用のポリカーボネートであれば、直列に配した3〜5槽の竪型撹拌反応装置のみで連続的に製造することができ、さらに好ましくは、少なくとも最終槽の撹拌翼にシングルヘリカルリボン翼またはダブルヘリカルリボン翼を具備した重合装置を使用することにより、色相が優れ、異物の少ない高品質の芳香族ポリカーボネートが得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料に、触媒としてアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10‐8〜1×10‐5モル量使用し、エステル交換反応により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、直列に配した3〜5槽の竪型撹拌反応装置のみを用い、連続的に、粘度平均分子量が10,000〜20,000で、かつ末端ヒドロキシ基量が1,000ppm以下である光学用のポリカーボネートを製造する方法に係わるものである。
さらに本発明は、上記の製造方法において、少なくとも最終槽の撹拌翼にシングルヘリカルリボン翼またはダブルヘリカルリボン翼を具備した重合装置を用いる光学用のポリカーボネートを製造する方法に係わるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0013】
本発明に係わる芳香族ポリカーボネートを製造する原料として、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとが用いられる。
炭酸ジエステルは、下記の一般式(1)で表される。
【0014】
【化1】
【0015】
(式中AおよびA’は炭素数1〜18の脂肪族基あるいは置換脂肪族基、または芳香族基あるいは置換芳香族基であり、AおよびA’は同一であっても異なっていてもよい。)
【0016】
上記一般式(1)で表される炭酸ジエステルは、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート及びジトリルカーボネートなどの置換ジフェニルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートであり、特にジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは単独、あるいは2種以上を混合してもよい。
【0017】
また、上記のような炭酸ジエステルと共に、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量でジカルボン酸、あるいはジカルボン酸エステルを使用してもよい。このようなジカルボン酸あるいはジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が用いられる。このようなカルボン酸、あるいはカルボン酸エステルを炭酸ジエステルと併用した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
【0018】
もう一つの原料である芳香族ジヒドロキシ化合物は、一般式(2)で示される。
【0019】
【化2】
【0020】
(式中、Bは1〜15の炭素数を有する炭化水素基、ハロゲン置換の炭化水素基または、−S−、−S2 −、−SO2 −、−SO−、−O−、および−CO−の基を示し、Xはハロゲン原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜8のオキシアルキル基および炭素数6〜18のオキシアリール基を示す。mは0または1であり、yは0〜4の整数である。)
【0021】
上記一般式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物は例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル等が例示される。これらの中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。また、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができ、必要に応じて共重合体とすることもできる。
【0022】
炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率は、所望する芳香族ポリカーボネートの分子量と末端ヒドロキシ基量により決められる。末端ヒドロキシ基量は製品ポリカーボネートの熱安定性と加水分解安定性に大きな影響を及ぼし、光学用として実用的な物性を持たせるためには1,000ppm以下にすることが必要となる。従って、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して炭酸ジエステルを等モル量以上用いるのが一般的であり、1.01〜1.30モル、好ましくは1.01〜1.20モルの量で用いられるのが望ましい。
【0023】
エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する際には、通常エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒としては、主として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用され、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物あるいはアミン系化合物等の塩基性化合物などを併用することも可能である。これらの触媒は、1種類で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
本発明で使用される触媒量は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1×10‐8〜1×10‐5モルの範囲で用いられる。この量より少なければ、所定の分子量、末端ヒドロキシ基量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られず、この量より多い場合は、ポリマー色相が悪化し、ゲルの発生による異物量も増大してしまう。
【0025】
アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム,カリウム,リチウム,セシウムのアルコレート,フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩,2カリウム塩,2リチウム塩,2セシウム塩等が挙げられる。
【0026】
また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウムなどが挙げられる。
【0027】
塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素などの水酸化物が挙げられる。
【0028】
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
【0029】
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0030】
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
【0031】
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルをエステル交換反応させて連続的に芳香族ポリカーボネートを製造する重合装置としては、図1に示すように、直列に配した3〜5槽の竪型撹拌反応装置のみから成る装置を使用する。2槽以下では、目的とする分子量、末端ヒドロキシ基量のポリカーボネートを製造することは困難であり、6槽以上では装置コストや運転性の点でのデメリットが大きくなり、また、プロセスが長くなることによる色相悪化や異物混入等の品質低下を招くことになる。
【0032】
通常、反応は実質的に無酸素下で行われ、例えば、運転開始前に原料調整槽、反応装置および配管内を窒素ガス等の不活性ガスで置換しておく。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの溶融混合物はライン1を通って竪型反応装置3に供給する。触媒は、原料とは別のラインで第1反応槽に直接供給してもよいし、第1反応槽に入る手前の配管内でスタティックミキサー等により原料と混合した状態で供給されてもよい。必要に応じて触媒を溶解あるいは懸濁するための溶媒が用いられる。好ましい溶媒としては水、アセトン、フェノール等が挙げられる。
【0033】
各槽の液供給口は反応槽側壁液相部にあり、抜き出し口は反応槽底部にあるのが好ましい。また、各槽から反応液を連続して抜き出す方法は、落差を利用する方法、圧力差を利用する方法、ギアポンプ等の送液ポンプを用いる方法など、反応液の物性に適応した方法で行うのが好ましい。
【0034】
反応温度は140〜320℃、好ましくは180℃〜300℃の範囲で、反応圧力は800Torr以下の条件で行い、しだいに温度、減圧度を上げていき、副生するモノフェノール化合物をライン2から連続的に除去しながら反応を行う。この時、必要に応じて窒素等の不活性ガスを流通させることもできる。また、モノフェノール化合物に同伴する原料を反応槽に戻すために分留塔を反応器に付設することもできる。
【0035】
各反応槽の滞留時間は槽内の液レベルで制御するのが好ましく、例えば、液レベル計と反応液入口あるいは出口に付設するコントロールバルブや送液ポンプとを組み合わせることにより任意の滞留時間での自動制御が可能となる。各槽の滞留時間は通常10〜120分、好ましくは20〜90分で行う。
【0036】
使用される撹拌翼は、各槽の反応液の粘度に応じて任意の形状のものが使用可能であるが、反応混合物の溶融粘度が100ポイズ以下の反応槽においては、プロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼等の使用が好適であり、100ポイズを越す槽においては、パドル翼、アンカー翼、リボン翼、スクリュー翼、ねじり格子翼などの使用が好適となるが、特に、本発明においては、少なくとも最終槽の撹拌翼として表面更新性の高いシングルヘリカルリボン翼またはダブルヘリカルリボン翼を使用することでより高品質のポリカーボネート製造が可能となる。尚、アンカー翼には、マックスブレンド翼やスクリューアンカー翼などの改良アンカー型翼(化学工学便覧、改訂第5版の911項;丸善刊)も含み、また、パドル翼にはフルゾーン翼(商品名)等の特殊形状パドル翼も含まれる。槽撹拌効率を上げる目的で、必要に応じて反応槽内壁にバッフルをもうけてもよい。
【0037】
重合終了後、製造された芳香族ポリカーボネートは通常、ペレットとして回収されるが、その際、樹脂中に残存するモノマーや副生物等の低分量成分を除去するためベント式押出機を通すことも可能である。
【0038】
本発明で得られた芳香族ポリカーボネートに通常の耐熱安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填剤、無機系充填剤などの添加剤を添加してもよい。このような添加剤は、溶融状態にある樹脂に添加することもできるし、また一旦ペレット化された樹脂を再溶融して添加することもできる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。本発明により得られた芳香族ポリカーボネートの分析は、以下の測定法により行った。
【0040】
(1)粘度平均分子量
ウベローデ粘度計を用いて塩化メチレン中20℃の極限粘度[η]を測定し以下の式より求めた。
[η]=1.23×10‐4×(Mv)0.83
【0041】
(2)末端ヒドロキシ基量
四塩化チタン発色法により、四塩化チタン−酢酸−塩化メチレン溶液に溶解させたポリマーの546nmでの吸光度を測定し、ビスフェノールAを用いて作成した検量線より算出した。
【0042】
(3)色相
10%塩化メチレン溶液を直径25mm、高さ55mmのガラス製セルに入れ、カラーテスター(スガ試験機株式会社製SC−1−CH)で色の絶対値である三刺激値XYZを測定し、次の関係式により黄色度の指標であるYI値を計算した。
YI=100/Y(1.28X−1.06Z)
このYI値が大きいほど着色していることを示す。
【0043】
(4)異物量
運転開始20時間後のポリマー中のダスト(5〜10μm)量を光散乱式センサー法により測定した。
【0044】
実施例1
ステンレス製100リットルの竪型撹拌反応装置を3槽直列に接続し、第1反応槽にパドル翼を、第2反応槽にマックスブレンド翼を、第3反応槽にはダブルヘリカルリボン翼を具備した。また、第1、第2槽には分留塔を具備した。これら反応装置はあらかじめ系内を窒素ガスにより置換し、無酸素雰囲気とした。第1、第2槽はレベル計と槽底部の反応液排出ラインに設けられたコントロールバルブ開度により液面を制御し、第3槽はレベル計と槽底部のギアポンプの組み合わせにより液面の制御を行った。
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートをモル比(ジフェニルカーボネート/ビスフェノールA)1.10で調製した溶融混合原料液を91.3kg/時の流量で第1槽に連続的に供給した。また、触媒として炭酸セシウム水溶液をビスフェノールA1モルに対して1.5×10‐6モルの流量で第1槽に連続的に供給した。第1槽の反応液は所定の滞留時間を保ちつつ次の反応槽へ順次送られ、最終的に第3槽から連続的にポリマーを抜き出した。各反応装置の運転条件および結果を表1に示す。
【0045】
実施例2〜7
竪型撹拌反応槽の槽数、翼形状および運転条件を種々変えてポリカーボネートを製造した。各反応装置の運転条件および結果を表1に示す。
【0046】
比較例1
第1反応装置としてパドル翼を具備したステンレス製100リットルの竪型撹拌反応槽、第2反応装置としてマックスブレンド翼を具備したステンレス製100リットルの竪型撹拌反応槽、第3反応装置としてメガネ翼を具備したステンレス製150リットルの横型2軸撹拌重合機を用いポリカーボネートを製造した。各反応装置の運転条件および結果を表2に示す。
【0047】
比較例2
ステンレス製200リットルの竪型撹拌反応槽を2槽直列に接続し、第1反応装置にマックスブレンド翼、第2反応装置にダブルヘリカルリボン翼を具備した重合装置を用いポリカーボネートを製造した。各反応装置の運転条件および結果を表2に示す。
【0048】
比較例3〜4
ステンレス製100リットルの竪型反応装置の槽数、翼形状および運転条件を変えてポリカーボネートを製造した。各反応槽の運転条件および結果を表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用する竪型撹拌反応装置の1例を示す図である。
【符号の説明】
1 原料導入管
2 揮発物排出管
3 竪型反応装置
4 撹拌翼
5 送液配管
6 液レベル計
7 コントロールバルブまたは送液ポンプ
Claims (4)
- 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料に、触媒としてアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10‐8〜1×10‐5モル使用し、エステル交換反応により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、反応装置として直列に配した3〜5槽の竪型撹拌反応装置のみを用い、連続的に、粘度平均分子量が10,000〜20,000で、かつ末端ヒドロキシ基量が1,000ppm以下であるポリカーボネートを製造することを特徴とする光学用ポリカーボネートの製造法。
- 竪型撹拌反応装置の少なくとも最終槽に撹拌翼として、シングルヘリカルリボン翼またはダブルヘリカルリボン翼を使用する請求項1に記載の光学用ポリカーボネートの製造法。
- 竪型撹拌反応装置の少なくとも最終槽に撹拌翼として、ダブルヘリカルリボン翼を使用する請求項1に記載の光学用ポリカーボネートの製造法。
- 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとジフェニルカーボネートである請求項1乃至3のいずれかに記載の光学用ポリカーボネートの製造法。
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