JP3711209B2 - 芳香族ポリカーボネート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換法により製造され、結晶化物の混入が少ないため透明性に優れ、かつ色調にも優れた芳香族ポリカーボネートを提供することに関するものである。
【0002】
【従来技術】
芳香族ポリカーボネートは、一般には非晶性ポリマーであり、その特徴を生かして透明材料として用いられている。炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物を重縮合させてポリカ−ボネ−トを製造する、いわゆるエステル交換法は、ホスゲン法(界面重合法)に比べて、工程が比較的単純であり、操作、コスト面で優位性が発揮できるだけでなく、毒性の強いホスゲンや、塩化メチレン等のハロゲン系溶剤を使用しないという点において、環境保全の面からも優れている。
【0003】
しかし、エステル交換法による製造では、用いられる触媒やオリゴマー等が結晶核となり、さらにガラス転位点以上の温度に長時間ポリマーがさらされるため、結晶が容易に成長することがあった。成長した結晶は製造装置を閉塞させたり、製品中へ混入し製品の透明度を低下させ、また光学用途において記録/再生時のエラーを増加させたりする等の問題を生じる原因であった。重合装置の立ち上げ時の結晶生成防止については、特開平10−147637号公報には、重合装置の昇温速度を特定範囲にすることが開示されている。また、特開平6−65365号公報には、ポリマーの着色低減のために、重合槽の加熱熱媒温度を特定温度範囲にすることが開示されている。しかしながら、長時間運転時に発生する結晶の発生を抑制し、かつ良好な色調のポリマーを得るには、これらの提案の方法は不十分なものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換法の製造より、結晶化物の混入が少ないため透明度に優れ、かつ色調にも優れた芳香族ポリカーボネートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、製品中、特には光ディスク等の光学用材料の透明性を低下させたり、記録/再生エラーを引き起こす原因について鋭意検討を行った結果、ポリマー中への微結晶又は結晶核の混入を防止し、ポリマーの結晶化度を特定値以下とすることにより、透明度、色調に優れる芳香族ポリカーボネートが得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換法により製造される数平均分子量5300以上、特には数平均分子量が5300〜9000の芳香族ポリカーボネートであって、220℃、常圧、窒素下、20時間等温結晶化処理後の結晶化度が10%以下である芳香族ポリカーボネートを提供するものである。
【0007】
また本発明は、数平均分子量(Mn)3000以上5300未満の芳香族ポリカーボネートが通過する配管の温度(T:単位℃)を、その分子量(Mn)に応じて、下記式(1)で示される温度範囲内で、しかも240℃以上320℃以下に維持して製造されることを特徴とする芳香族ポリカーボネートを提供するものである。
3.6×105 ≦(−4Mn2 +4.2×104 Mn−5.0×107 )/(T−140)≦5.4×105 ・・・・(1)
【0008】
【発明の実施形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の芳香族ポリカーボネートは、数平均分子量が5300以上であって、しかも、220℃、常圧、窒素下、20時間等温結晶化処理後の結晶化度が10%以下であることが必要である。好ましくは、結晶化度が5%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。このようなポリカーボネートは、結晶化物や結晶核等の異物の混入が著しく少ない。そのため、成形品やシートにした場合、透明性に非常に優れたものが得られる。また、光ディスク基板等に用いると、記録/再生のエラーが著しく低下するため、特に好ましい。このような光学用途用の材料としては、数平均分子量5300〜9000が好ましい。数平均分子量が5300未満では機械的強度が足りず好ましくない。また、光学用途としては、数平均分子量が9000を超すと、流動性が低下したり、複屈折が大きくなるため好ましくない。
【0009】
ここで、結晶化度は、所定の等温結晶化処理後の結晶化度であって、融解熱量を測定し、完全結晶の融解熱量を100%として求めることができる(J.Polym.Sci.Polym.Lett.Ed.,8,645(1970)参照)。また、所定の等温結晶化処理は、窒素シール又は窒素フローの窒素雰囲気下、常圧、220℃の温度に20時間保持することによって行われる。実際には、ポリマーをガラス容器中又はDSC機器の金属パン中に収容し、上記結晶化処理を行うことが一般的である。
【0010】
芳香族ポリカーボネート中に混入する結晶は、結晶核、微結晶、その他の結晶生成を促す異物より発生し、これら異物のうち大きなものは公知の方法により製造工程各部にフィルターを設け、濾過して除去することができる。しかし、特に結晶核は非常に微細であるため、フィルターだけでは十分には濾過できない。見かけ上透明のポリマーが得られたとしても、結晶核が混入している場合、製品に成形後、時間とともに徐々に結晶が成長し、製品の透明性が失われる。
このような結晶核は、特定分子量のポリマーが特定温度範囲で長時間熱履歴を受けると成長しやすい。製造プロセス中、ポリマーが最も滞留しやすい配管類の温度を、数平均分子量に応じて特定の値に制御することにより、結晶の生成を抑制し、かつポリマーの色調を良好に保つことができる。すなわち、数平均分子量(Mn)3000以上5300未満の芳香族ポリカーボネートが通過する配管温度(T:単位℃)を、その数平均分子量に応じて、下記式(1)で示される温度範囲内で、しかも240℃以上320℃以下に維持することが好ましい。
3.6×105 ≦(−4Mn2 +4.2×104 Mn−5.0×107 )/(T−140)≦5.4×105 ・・・・(1)
【0011】
式(1)において、「(−4Mn2 +4.2×104 Mn−5.0×107 )/(T−140)」の値が、5.4×105 を超えると、配管温度がその数平均分子量に対して低くなりすぎ、結晶が生成し易くなり、製品の透明度の低下や、配管の閉塞を引き起こしやすくなる。3.6×105 未満では、相対的に配管温度が高くなりすぎ、ポリマー着色の原因となるため好ましくない。「(−4Mn2 +4.2×104 Mn−5.0×107 )/(T−140)」の下限値は、3.9×105 以上が好ましく、4.1×105 以上が特に好ましい。また上限値は、5.1×105 以下が好ましく、4.7×105 以下が特に好ましい。
数平均分子量が3000未満のオリゴマーは、高温では結晶が生成しないか、又は生成してもその後の重合過程で結晶が融解する。数平均分子量が5300以上では結晶成長速度が遅いため、結晶が生成しないか、高融点化する前にその後の重合過程で結晶が融解する。しかし、数平均分子量が3000以上5300未満の芳香族ポリカーボネートでは、結晶成長速度が速いため、式(1)を満たす範囲の配管温度に維持しないと、結晶が著しく発生したり、ポリマーが着色したりする。
【0012】
本発明において温度制御すべき配管は、最初の反応器と最後の反応器との間を、必要に応じて、他の反応器及び/又は予熱槽、ホールドタンク(一時貯槽)等の中間槽を介して、連結している配管のうち、数平均分子量3000以上5300未満のポリマーが通過する配管である。また、本発明では、上記の配管自体だけでなく、該配管途中に設けられたバルブ、ポンプ類、分析や非常用に設けられたバイパス配管類、圧力計、流量計等測定装置類等の、上記通過するポリマーと接触する部分も、上記配管自身と同様に考え、温度制御の対象とするのが好ましい。さらに、本発明において配管の温度とは、内部をポリマーが通過する配管の外壁面の温度を言う。配管を熱媒で加熱している場合は、一般には、熱媒温度にほぼ等しくなる。温度の測定は通常に使用される方法で容易に測定できる。
【0013】
配管類は、通常強制的な攪拌設備がなく流路も複雑となり易いので、攪拌設備を有する反応槽と比較しポリマーが滞留し易く、特には周辺部より低温の配管内壁面に、結晶が発生し易い。従って、配管類は極力滞留部ができないように、径、長さ、表面粗度、曲率等を考慮して設計し、低温部が存在しないように、配管表面が均一に加熱、保温される構造のものを採用し、結晶や結晶核の発生を抑制、消失するようにすることが好ましい。
【0014】
配管の加熱法は、公知のいかなる方法であってもよく、例えば、オイル、スチームによる熱媒加熱や、鋳込みヒーター等の電気加熱等が挙げられる。また、配管温度を維持できるのであれば、保温のみでもよい。これらの配管の材質は、特に限定されないが、ステンレス製であることが一般的であり、例えばSUS304、SUS304L、SUS310S、SUS316、SUS316L等が挙げられる。また、該配管表面は各種処理を行ってもよく、例えばバフ研磨、電解研磨、酸処理、加熱処理、各種メッキ、コーティング処理等により表面処理を行ってもよい。
【0015】
本発明に係わる芳香族ポリカーボネートを製造する原料として、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とが用いられる。
炭酸ジエステルは、式(2)で表される。
【0016】
【化1】
Figure 0003711209
【0017】
(式中、A及びA’は、炭素数1〜18の、置換されていてもよい、脂肪族基又は芳香族基であり、AとA’とは、同一でも異なってもよい。)
【0018】
式(2)で表される炭酸ジエステルの具体例としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート及びジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等があるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートがあり、特にジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
また、上記のような炭酸ジエステルと共に、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量でジカルボン酸、あるいはジカルボン酸エステルを使用してもよい。このようなジカルボン酸あるいはジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が用いられる。このようなカルボン酸、あるいはカルボン酸エステルを炭酸ジエステルと併用した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
【0020】
もう一つの原料である芳香族ジヒドロキシ化合物は、式(3)で示される。
【0021】
【化2】
Figure 0003711209
【0022】
(式中、Bは、1〜15の炭素数を有する2価の炭化水素基、ハロゲン置換の2価の炭化水素基、−S−基、−SO2 −基、−SO−基、−O−基又は−CO−基を示し、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜8のオキシアルキル基又は炭素数6〜18のオキシアリール基を示す。mは、0又は1であり、yは、0〜4の整数である。)
【0023】
式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ピス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ピス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフエニル)スルフイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル等が例示される。これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。また、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で又は2種以上を混合して、用いることができる。
【0024】
炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率は、所望する芳香族ポリカーボネートの分子量と末端ヒドロキシ基量により決められる。末端ヒドロキシ基量は、製品ポリカーボネートの熱安定性と加水分解安定性に大きな影響を及ぼし、実用的な物性を持たせるためには1,000ppm以下にすることが必要となる。従って、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して炭酸ジエステルを等モル量以上用いるのが一般的であり、1.01〜1.30モル、好ましくは1.01〜1.20モルの量で用いられるのが望ましい。
【0025】
エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する際には、通常エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒としては、主として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用され、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物あるいはアミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。これらの触媒は、1種類で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
触媒量は、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1×10-8〜1×10-5モルの範囲で用いられる。この量より少なければ、所定の分子量、末端ヒドロキシ基量のポリカーボネートを製造するのに長時間必要な重合活性が得られず、この量より多い場合は、ポリマー色相が悪化し、ゲルの発生による異物量も増大する傾向となる。特に、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いる場合、それらの金属量として1×10-8〜2×10-6モルの範囲が好ましく、0.5×10-7〜1×10-6モルの範囲が特に好ましい。
【0027】
アルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸水素塩、フェニルリン酸塩等の無機アルカリ金属化合物や、ステアリン酸、安息香酸等の有機酸類、メタノール、エタノール等のアルコール類,石炭酸、ビスフェノールA等のフェノール類との塩等の有機アルカリ金属化合物等が挙げられる。
【0028】
アルカリ土類金属化合物としては、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムの水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩等の無機アルカリ土類金属化合物や、有機酸類、アルコール類、フェノール類との塩等の有機アルカリ土類金属化合物等が挙げられる。
【0029】
塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素、等の水素化物、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、或いはストロンチウム塩等が挙げられる。
【0030】
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
【0031】
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0032】
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
【0033】
本発明の芳香族ポリカーボネートは、二段階以上の多段工程で製造される。一般的には反応温度140〜320℃、反応時間0.1〜5時間、常圧より減圧度を上げながら副生するモノフェノール化合物をラインから連続的に除去しながら反応を行う。必要に応じて窒素等の不活性ガスを流通させることもできる。また、モノフェノール化合物に同伴する原料を反応槽に戻すために分留塔を反応器に付設することもできる。最終的には2mmHg以下の減圧下、250〜320℃の温度で重縮合反応を行い数平均分子量14000以上に高分子量化する。
【0034】
反応の方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。使用する装置は、槽型、管型又は塔型のいずれの形式であってもよく、例えば、各種の攪拌翼を具備した竪型重合槽、横型1軸タイプの重合槽又は/及び横型2軸タイプの重合槽等を使用することができる。
【0035】
反応は、実質的に無酸素下で行われることが好ましく、例えば、運転開始前に原料調整槽、反応器及び配管内を窒素ガス等の不活性ガスで置換しておく。通常、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの溶融混合物を、竪型反応器に供給する。触媒は、原料とは別のラインで第1反応槽に直接供給してもよいし、第1反応槽に入る手前の配管内で、スタティックミキサー等により原料と混合した状態で供給させてもよい。必要に応じて、触媒を溶解あるいは懸濁するための溶媒が用いられる。好ましい溶媒としては、水、アセトン、フェノール等が挙げられる。
【0036】
液供給口は、反応槽側壁液相部にあり、抜き出し口は、反応槽底部にあるのが好ましい。また、各槽から反応液を連続して抜き出す方法は、落差を利用する方法、圧力差を利用する方法、ギアポンプ等の送液ポンプを用いる方法等、反応液の物性に適応した方法で行うのが好ましい。
【0037】
重合終了後、製造された芳香族ポリカーボネートは、通常ペレットとして回収されるが、その際、樹脂中に残存するモノマーや副生物等の低分子量成分を除去するため、ベント式押出機を通すことも可能である。
【0038】
アルカリ金属化合物等の触媒を用いる場合には、ポリカーボネート中に残存する触媒を中和するために、酸性化合物、特にはイオウ含有酸性化合物を、触媒金属に対して0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量を添加することができる。すなわち通常0.01〜20ppm、好ましくは0.1〜10ppm、さらに好ましくは3〜7ppm添加する。
【0039】
イオウ含有酸性化合物の例としては、スルホン酸、スルフィン酸又はそれらのエステル誘導体であり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸、それらのメチル、エチル、ブチル、t−ブチル、オクチル、ドデシル、フェニル、ベンジル、フェネチル等のエステル類、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。これらの化合物の内、p−トルエンスルホン酸のエステル又はベンゼンスルホン酸のエステルが好ましく、これらの化合物を2種以上使用してもよい。さらに、これらの化合物のアルカリ金属塩を、これらの化合物と併用すると、分散性が向上し失活効果が高まるので好ましい。併用する量としては、非アルカリ金属塩に対してアルカリ金属塩を、重量比で0.3〜3倍程度の量用いることが好ましい。
【0040】
イオウ含有酸性化合物のポリカーボネートへの添加方法は、任意の方法により行うことができる。例えば、イオウ含有酸性化合物を、直接又は希釈剤で希釈して、溶融又は固体状態にあるポリカーボネートに添加し、分散させることができる。具体的には、重縮合反応器中、反応器からの移送ライン中、押出機中に供給して混合することができ、通常は押出機中に供給される。また、ミキサー等で、ポリカーボネートや、他種ポリマーのペレット、フレーク、粉末等と混合後、押出機に供給して混練することもできる。以上の中では、ポリカーボネートのフレークに、イオウ含有酸性化合物の原液を添加し、ミキサー等で混合後、マスターバッチとして添加することが好ましい。さらに、添加の際には、重量フィーダー等を用いて、添加量を精度良く制御することが好ましい。
【0041】
また押出機で、ベントによる減圧処理を行う場合又は水添加、熱安定剤、離型剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、有機・無機充填剤等を添加する場合は、これらの添加及び処理は、イオウ含有酸性化合物と同時に行ってもよいが、イオウ含有酸性化合物を最初に添加、混練することが好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例になんら制限を受けるものではない。なお分析は以下の方法で行った。
【0043】
(1)数平均分子量(Mn)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定を行った。なお、較正曲線は、標準単分散ポリスチレンを用いて作成した。
(測定条件)
GPC:HLC−8020 (東ソー(株)製)
検出器:示差屈折率計RI−8010 (東ソー(株)製)
カラム:TSK−GEL GMHHR (東ソー(株)製)
溶媒:テトラハイドロフラン
温度:25℃
流速:1ml/min
換算式:Mpc=0.3591(Mps)1.0388
(Mpc、Mpsは、それぞれ、ポリカーボネート、ポリスチレンの分子量)
【0044】
(2)色相
ポリカーボネート樹脂を窒素雰囲気下、120℃で6時間以上乾燥した後、(株)日本製鋼所製J−100射出成形機で3mm厚の射出成形品を製作し、スガ試験機SC−1によりYI値を測定した。
【0045】
(3)結晶化度
製造後溶融状態のままのポリマー約4gを試験管に入れ、窒素シール下、20時間、アルミブロックバスを用いて220℃に加熱して等温結晶化した。結晶化度は、DSCより得られるサンプル結晶の融解熱量(△H)と、完全結晶の融解熱量(26.2cal/g)(J.Polym.Sci.Polym.Lett.Ed.,8,645(1970))より、下記式にて求めた。
結晶化度(%)=(ΔH/26.2)×100
【0046】
製造例1
窒素ガス雰囲気下、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを一定のモル比(DPC/BPA=1.065)に混合調製した140℃で溶融混合した物を、140℃に加熱した原料導入管を介して常圧、窒素雰囲気下、210℃に制御した第1竪型攪拌重合槽内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として炭酸セシウム水溶液をビスフェノールA1モルに対し、
1×10-6モルの流量で連続供給した。
【0047】
槽底より排出された重合液は、引き続き第2、3、4の竪型重合槽並びに第5の横型重合槽に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。第2〜5間での各反応槽の重合条件は、それぞれ第2重合槽(210℃、100Torr)、第3重合槽(240℃、15Torr)、第4重合槽(260℃、0.5Torr)、第5重合槽(270℃、0.5Torr)で反応の進行とともに高温、高真空、低攪拌速度に条件を設定した。ポリカーボネートの製造は50kg/Hrで、300時間連続運転を行った。
【0048】
製造例2
触媒としてフェニルリン酸2ナトリウムをビスフェノールA1モルに対して1×10ー6モル使用し、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを一定のモル比(DPC/BPA=1.04)に混合調製し、各反応槽条件をそれぞれ第1重合槽(220℃、100Torr)第2重合槽(240℃、15Torr)、第3重合槽(265℃、0.5Torr)、第4重合槽(280℃、0.5Torr)、第5重合槽(280℃、0.2Torr)とした以外は製造例1と同様に反応を行った。
【0049】
実施例1〜6、比較例1〜3
前記製造例1、2の重合を行う際にそれぞれ表−1に従って各反応槽間の配管温度をオイルで制御した。重合100時間後と240時間後に最終製品中に結晶が混入しているかを、100×100×3mmの射出シートを成形して、結晶の混入による白化の程度を目視により観察し、また色相も測定した。また等温結晶化後の結晶化度を示差走査熱量計(DSC)にて融解熱量から測定した。結果を表−1に示した。
【0050】
【表1】
Figure 0003711209
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、製品中への結晶化物の混入を防止し、透明性に優れ、かつ色調にも優れたエステル交換法芳香族ポリカーボネートが得られる。

Claims (3)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換法により製造される数平均分子量5300以上の芳香族ポリカーボネートであって、該芳香族ジヒドロキシ化合物が下記式(3)で示され、かつ、220℃、常圧、窒素下、20時間等温結晶化処理後の結晶化度が10%以下である芳香族ポリカーボネート。
    Figure 0003711209
    (式中、Bは、1〜15の炭素数を有する2価の炭化水素基、ハロゲン置換の2価の炭化水素基、−S−基、−SO −基、−SO基、−O−基又は−CO−基を示し、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜8のオキシアルキル基又は炭素数6〜18のオキシアリール基を示す。mは、0又は1であり、yは、0〜4の整数である。)
  2. 数平均分子量(Mn)3000以上5300未満の芳香族ポリカーボネートが通過する配管の温度(T:単位℃)を、その分子量(Mn)に応じて、下記式(1)で示される温度範囲内で、しかも240℃以上320℃以下に維持して製造されることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネート。
    3.6×105 ≦(−4Mn2 +4.2×104 Mn−5.0×107 )/(T−140)≦5.4×105 ・・・・(1)
  3. 数平均分子量が5300〜9000であることを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート。
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