JP2000219735A - 芳香族ポリカーボネート - Google Patents
芳香族ポリカーボネートInfo
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Abstract
ポリカーボネートを提供する。 【解決手段】炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合
物とのエステル交換法で製造した芳香族ポリカーボネー
トであって、微量のアルカリ金属及び/又はアルカリ土
類金属成分並びにイオウ含有酸性化合物成分を含有し、
しかも、硫酸イオンの量が該ポリカーボネートの重量に
対し0.3ppm以下であることを特徴とする芳香族ポ
リカーボネート。
Description
芳香族ジヒドロキシ化合物とから得られる、いわゆるエ
ステル交換法ポリカーボネートに関する。詳しくは、色
相、耐熱性、耐加水分解性等に優れた芳香族ポリカーボ
ネートの安定提供に関する。
合物とを重縮合させ、芳香族ポリカーボネートを製造す
るいわゆるエステル交換法は、ホスゲン法(界面重合
法)に比べて工程が比較的単純であり、操作、コスト面
で優位性が発揮できるだけでなく、毒性の強いホスゲン
や塩化メチレン等のハロゲン系溶剤を使用しないという
点において、環境保護の面からも最近注目されている。
しかし、エステル交換法による製造では、触媒を使用
し、溶融状態の反応で長時間高温に曝されるため、得ら
れるポリカーボネートが着色したり、残存触媒により製
品ポリカーボネートの耐熱性、耐加水分解性が低下する
という問題があった。
アルカリ土類金属化合物を用いる場合、活性が高く高重
合度のポリマーを得易い反面、ポリマー中の残存触媒に
よる物性低下も大きいという欠点があった。触媒を用い
る際の周知技術として、重合時の活性と得られるポリマ
ー物性とのバランスを取るために、触媒量を適宜定め最
適化することがあるが、それでも残存触媒による物性低
下は避けられなかった。そこで、残存触媒を失活するた
めに、中和量の酸性化合物を添加する方法が知られてい
る(Chemistry and Physics of Polycarbonates by SCH
NELL(1964), p49:特開昭53−64262号公報等参
照)。さらに、触媒量や、中和のために用いる失活剤量
を特定の範囲で用いれば、物性向上が計れるという提案
もなされているが(特開平4−328124号公報等参
照)、それでも製品ポリカーボネートの耐熱性、耐加水
分解性等を十分に満足することはできなかった。前述の
ように、触媒量や失活剤量を適宜最適量採用する程度の
ことは、ポリカーボネートに限らずポリマーの製造にお
いて従来より当然に行われてきた周知技術であり、それ
にも関わらず物性が満足できるポリカーボネートが得ら
れなかったのは、単なる量の最適化だけでは物性の良い
ポリマーが得られないという技術的課題があることを示
していた。
相、耐熱性、耐加水分解性に優れたエステル交換法芳香
族ポリカーボネートを提供することにある。
題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、単に触媒や失
活剤の量を変化させて製造するだけではなく、ポリマー
中に残る微量成分である触媒や失活剤の状態、特に失活
剤の状態に着目し、特定構造のイオンが特定量以上に残
存することを防ぐことにより、各種物性に優れたポリマ
ーが得られることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換法で製造した芳
香族ポリカーボネートであって、イオウ含有酸性化合物
が添加されており、しかも、硫酸イオンの量が該ポリカ
ーボネートの重量に対し0.3ppm以下であること、
好ましくは0.1ppm以下であることにより、又は、
硫酸イオン中のイオウ重量が、ポリマー中の全イオウ重
量の50重量%以下であることにより、色相、耐熱性、
耐加水分解性等の物性に優れた芳香族ポリカーボネート
を提供するものである。
明する。本発明に係わる芳香族ポリカーボネートを製造
する原料として、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ
化合物とが用いられる。炭酸ジエステルは、下記の式
(1)で表される。
の、置換基を有していてもよい、脂肪族基又は芳香族基
であり、AとA’とは、同一であっても異なっていても
よい。)
は、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボ
ネート及びジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカ
ーボネート等が挙げられるが、好ましくはジフェニルカ
ーボネート、置換ジフェニルカーボネートであり、特に
ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエ
ステルは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
に、好ましくはその50%以下、さらに好ましくは30
モル%以下の量で、ジカルボン酸又はジカルボン酸エス
テルを併用してもよい。このようなジカルボン酸又はジ
カルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニ
ル等が用いられる。このようなカルボン酸又はカルボン
酸エステルを、炭酸ジエステルと併用した場合には、ポ
リエステルカーボネートが得られる。
化合物は、式(2)で示される。
化水素基、炭素数1〜15の2価のハロゲン置換炭化水
素基、−O−基又は−CO−基を示し、Xは、ハロゲン
原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜18の
アリール基、炭素数1〜8のオキシアルキル基又は炭素
数6〜18のオキシアリール基を示す。mは、0又は1
であり、yは、0〜4の整数である。なお、複数のX及
びyは、それぞれ、同一でも異なってもよい。)
合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエ
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメ
タン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジ
ヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、
4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニ
ルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェ
ノールAが好ましい。また、これらの芳香族ジヒドロキ
シ化合物は、単独又は2種以上を混合して用いることが
できる。
物との混合比率は、所望する芳香族ポリカーボネートの
分子量と末端ヒドロキシル基量により決められる。末端
ヒドロキシル基量は、製品ポリカーボネートの熱安定性
と加水分解安定性に大きな影響を及ぼし、実用的な物性
を持たせるためには、ポリカーボネートの重量に対して
1,000ppm以下にすることが必要となる。従っ
て、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジ
エステルを等モル量以上の割合で用いるのが一般的であ
り、1.01〜1.30モル、好ましくは1.01〜
1.20モルの割合で用いるのが望ましい。
ートを製造する際には、通常エステル交換触媒が使用さ
れる。エステル交換触媒としては、主として、アルカリ
金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用さ
れ、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合
物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の
塩基性化合物を併用することも可能である。これらの触
媒は、1種類で使用してもよく、2種以上を組み合わせ
て使用してもよい。
1モルに対して、1×10-8〜1×10-5モルの範囲で
用いられる。この量より少なければ、所定の分子量、末
端ヒドロキシル基量のポリカーボネートを製造するの
に、長時間必要な重合活性が得られず、この量より多い
場合は、ポリマー色相が悪化し、ゲルの発生による異物
量も増大する傾向となる。特に、アルカリ金属化合物及
び/又はアルカリ土類金属化合物を用いる場合、それら
の金属量として1×10-8〜2×10-6モルの範囲が好
ましく、0.5×10-7〜1×10-6モルの範囲が特に
好ましい。
ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸化
物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸水素塩、フェ
ニルリン酸塩等の無機アルカリ金属化合物や、ステアリ
ン酸、安息香酸等の有機酸類、メタノール、エタノール
等のアルコール類,石炭酸、ビスフェノールA等のフェ
ノール類との塩等の有機アルカリ金属化合物等が挙げら
れる。
ウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バ
リウムの水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩等の無
機アルカリ土類金属化合物や、有機酸類、アルコール
類、フェノール類との塩等の有機アルカリ土類金属化合
物等が挙げられる。
トラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピ
ルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ
素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホ
ウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホ
ウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジル
ホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホ
ウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニ
ルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素、等の水素化物、
ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム
塩、マグネシウム塩、バリウム塩、或いはストロンチウ
ム塩等が挙げられる。
エチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、ト
リイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、
又は四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
ば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエ
チルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモ
ニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロ
キシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、
トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメ
チルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメ
チルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルア
ンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニ
ウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒ
ドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキ
シド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベン
ジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルト
リフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェ
ニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
ミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル
−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、
2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−
メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、
2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカ
プトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキ
ノリン等が挙げられる。
の多段工程で実施される。具体的には、第1段目の反応
は、減圧下に140〜260℃、好ましくは180〜2
40℃の温度で、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜
3時間反応させる。反応圧力は、800Torr以下の
条件で行い、減圧度を上げながら、副生するモノフェノ
ール化合物をラインから連続的に除去しながら反応を行
う。このとき、必要に応じて、窒素等の不活性ガスを流
通させることもできる。また、モノフェノール化合物に
同伴する原料を反応槽に戻すために、分留塔を反応器に
付設することもできる。最終的には、2mmHg以下の
減圧下、240〜320℃の温度で重縮合反応を行う。
チ式と連続式との組合せの、いずれでもよい。使用する
装置は、槽型、管型又は塔型の、いずれの形式であって
もよく、各種の攪拌翼を具備した、縦型重合槽、横型1
軸タイプの重合槽及び/又は横型2軸タイプの重合槽等
を使用することができる
が好ましく、例えば、運転開始前に原料調整槽、反応装
置及び配管内を窒素ガス等の不活性ガスで置換してお
く。通常、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル
との溶融混合物を、縦型反応装置に供給する。触媒は、
原料とは別のラインで第1反応槽に直接供給してもよい
し、第1反応槽に入る手前の配管内でスタティックミキ
サー等により原料と混合した状態で供給させてもよい。
必要に応じて、触媒を溶解又は懸濁するための溶媒が用
いられる。好ましい溶媒としては、水、アセトン、フェ
ノール等が挙げられる。
り、抜き出し口は、反応槽底部にあるのが好ましい。ま
た、各槽から反応液を連続して抜き出す方法は、落差を
利用する方法、圧力差を利用する方法、ギアポンプ等の
送液ポンプを用いる方法等、反応液の物性に適応した方
法で行うのが好ましい。
ネートは、通常、ペレットとして回収されるが、その
際、ポリマー中に残存するモノマーや副生物等の低分子
量成分を除去するため、ベント式押出機を通すことも可
能である。
ウ含有酸性化合物が添加されている。イオウ含有酸性化
合物は、得られるポリマー中の触媒、特にアルカリ金属
及び/又はアルカリ土類金属触媒を中和する目的で用い
られるため、触媒金属に対して、0.5〜10当量、好
ましくは1〜5当量を添加される。すなわち、通常、ポ
リカーボネートの重量に対して0.01〜20ppm、
好ましくは0.1〜10ppm、さらに好ましくは3〜
7ppm添加する。
スルホン酸、スルフィン酸又はそれらのエステル等の誘
導体が挙げられる。具体的には、p−トルエンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン
酸、それらのメチル、エチル、ブチル、t−ブチル、オ
クチル、ドデシル、フェニル、ベンジル、フェネチル等
のエステル類、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフ
ィン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。これら
の化合物の内、スルホン酸又はその誘導体が好ましく、
p−トルエンスルホン酸のエステル又はベンゼンスルホ
ン酸のエステルが特に好ましい。また、これらの化合物
を2種以上使用してもよい。さらに、これらの化合物の
アルカリ金属塩を、これらの化合物と併用すると、分散
性が向上し失活効果が高まるので好ましい。併用する量
としては、非アルカリ金属塩に対してアルカリ金属塩
を、重量比で0.3〜3程度の量用いることが好まし
い。
への添加方法は、任意の方法により行うことができる。
例えば、イオウ含有酸性化合物を、直接又は希釈剤で希
釈して、溶融又は固体状態にあるポリカーボネートに添
加し、分散させることができる。具体的には、重縮合反
応器中、反応器からの移送ライン中、押出機中に供給し
て混合することができ、通常は押出機中に供給される。
イオウ含有酸性化合物を溶液で押出機に添加、混練させ
る際には、添加位置の押出機内部の樹脂圧力よりも上流
側に添加位置よりも圧力を高めるスクリュー構成にする
と、イオウ含有酸性化合物の上流側への逃散を防止し、
少量で効率良く反応し、触媒を中和させることができる
ので好ましい。また、ミキサー等で、ポリカーボネート
や他種ポリマーのペレット、フレーク、粉末等と混合
後、サイドフィーダー等を用いて、押出機に供給して混
練することもできる。以上の中では、ポリカーボネート
のフレークにイオウ含有酸性化合物の原液を添加し、ミ
キサー等で混合後、マスターバッチとして添加すること
が好ましい。さらに、重量フィーダー等を用いて添加量
を精度良く制御することも好ましい。
効果から、押出機に水を添加することは好ましい。さら
に、副生物のモノヒドロキシ化合物や、原料の炭酸ジエ
ステル、芳香族ジヒドロキシ化合物、添加した余剰の添
加剤及びその分解物等の低沸点物、さらには酸素や水分
を除去し、色相等をさらに向上させるため、押出機にベ
ントを設け、減圧することも好ましい。最終的に、押出
機のベント等よりポリマー中の炭酸ジエステルを脱揮す
る際、そのポリマー中の残留量を、ポリカーボネートの
重量に対して200ppm、さらには150ppm以下
とすることが好ましく、100ppm以下とすることが
特に好ましい。
行う場合、又は、水、熱安定剤、離型剤、染料、顔料、
紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、有機・無機充填剤
等を添加する場合は、これらの添加及び処理は、イオウ
含有酸性化合物の添加と同時に行ってもよいが、イオウ
含有酸性化合物を最初に添加混練した後に行うのが好ま
しい。
イオンの量は、ポリカーボネートの重量に対して0.3
ppm以下である。さらには、0.1ppm以下とする
ことが好ましい。硫酸イオン量が0.3ppmより多い
と、ポリマーの熱分解や加水分解を促進し、成形時の色
相悪化や、著しい耐加水分解性低下を引き起こす。さら
に、硫酸イオン中のイオウ重量が、ポリマー中の全イオ
ウ重量の50重量%を超えないことが好ましく、30重
量%以下であることが特に好ましい。50重量%を超え
ると、不要な硫酸イオン量の割合が増え、色相や耐加水
分解性の低下を導く。硫酸イオンがどの様な機構で生成
し、どの様な状態でポリマー中に存在するかは必ずしも
明確ではないが、硫酸又はフリーの硫酸イオンとして容
易に反応し得る形で存在するものと考えられる。例え
ば、スルホン酸基含有化合物より硫酸が生じた場合、ポ
リマー中での分散が悪くなり、失活剤としての効果は低
下し、逆にポリマー主鎖の酸触媒による分解を促進し、
着色や、分子量低下を引き起こすものと考えられる。
た後、イオンクロマト法での測定や、高速液体クロマト
グラフィー−マススペクトル(LCMS)法での測定等
ができる。ポリマー中の全イオウ重量は、紫外蛍光法や
イオンクロマト法等で測定できる。また、硫酸イオン中
のイオウ重量は、上記硫酸イオン量から、下記式(3)
により算出できる。 [硫酸イオン中のイオウ重量]=[硫酸イオン量]×0.3338 ・・(3)
含有化合物又はその誘導体等は、容易に熱分解し、硫酸
イオンを生成する。またその生成は、残存する触媒種・
量、原料種・量等の影響や、最終的に最も高温にさらさ
れる装置内での影響を大きく受ける。従って、硫酸イオ
ンの生成を防ぐためには、例えばスルホン酸基含有化合
物又はその誘導体を押出機に添加する場合に、適切な押
出機条件を設定することが重要である。すなわち、触媒
と失活剤との反応が遅いと、未反応の失活剤の分解が促
進されるので、失活剤の素早い分散や触媒との反応の促
進が重要となり、失活剤の分散、反応を促進し、かつ、
あまりせん断発熱のないスクリュー構造、回転数、それ
に応じた適度な加熱温度を選ぶべきである。これらの値
は種々の条件で変化し、相互に関連する事項のため一義
的に定まるものではないが、最高樹脂温度は250〜3
30℃程度にすることが好ましい。さらに、硫酸イオン
は、使用する原料、添加剤、触媒、重合雰囲気等、種々
の環境より混入するので、それらの混入量の総計を、ポ
リカーボネートの重量に対し0.3ppm以下とするこ
とが必要である。特に、ビスフェノールA等の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物の製造には、縮合剤として硫酸が使用
されるので、たとえ上記イオウ含有酸性化合物を用いな
くとも、0.3ppm以上の硫酸イオンが混入する可能
性があるので、原料芳香族ジヒドロキシ化合物には、高
度に精製されたものを使用する必要がある。
安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、
スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤、天
然油、合成油、ワックス、有機系充填剤、無機系充填剤
等の添加剤が配合されたものでもよい。このような添加
剤は、溶融状態にある芳香族ポリカーボネート樹脂に添
加することもできるし、また、一旦ペレット化した後、
必要に応じて芳香族ポリカーボネート樹脂を再溶融し
て、添加することもできる。
発明は、これら実施例に限定されるものではない。本発
明により得られた芳香族ポリカーボネートの分析は、以
下の測定法により行った。
の塩化メチレン中20℃の極限粘度[η]を測定し、以
下の式より求めた。 [η]=1.23×10-4×(Mv)0.83
6時間乾燥した後、(株)日本製鋼所製J−100射出
成形機で3mm厚の射出成形片を280℃で製作し、ス
ガ試験機株式会社製SC−1により透過法でYI値を測
定した(このYI値が大きいほど着色していることを示
す)。
mlに溶解後、2.8%アンモニア水40mlで抽出
し、水層を濃縮、濾過後、脱塩水5mlの溶液を調製
し、イオンクロマト法(Dionex社 DX−12
0、カラム:Dionex IonPac AS12
A)で定量した。
を、紫外蛍光法による硫黄分析計(三菱化学(株)製T
S−100)を用いて定量測定した。標準試料としてジ
ブチルジスルフィドのトルエン溶液を用いた。
6時間乾燥した後、(株)日本製鋼所製J−100射出
成形機を用いて3mm厚成形片を、360℃、10分間
滞留で5ショット目の条件で製作し、スガ試験機株式会
社製SC−1により透過法でYI値を測定した。
6時間乾燥した後、(株)日本製鋼所製J−100射出
成形機を用いて3mm厚成形片を、280℃で製作し、
オートクレーブ内、120℃、100%RHの条件で1
00時間放置し、試験前後の粘度平均分子量変化(△M
v)を測定した。
に溶解し、アセトンにより再沈した。これを濾過後、濾
液を蒸発乾燥し残留物をクロロホルムに溶解しこれを試
料として、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所
製GC−14PF100V)にてジフェニルカーボネー
ト(DPC)の定量を行った。
槽(1)において、窒素ガス雰囲気下、130℃で、ビ
スフェノールAとジフェニルカーボネートとを一定のモ
ル比(DPC/BPA=1.040)で溶融混合した。
管(8)を介して、常圧、窒素雰囲気下、210℃、2
00rpmに制御した、第1縦型攪拌重合槽(2)内に
連続供給し、平均滞留時間が60分になるように、槽底
部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御
しつつ、液面レベルを一定に保った。また、上記原料混
合物の供給を開始すると同時に、触媒として水溶液とし
た炭酸セシウムを、ビスフェノールA1モルに対し、
0.5×10-6モルの割合で、触媒導入管(7)から連
続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き第
2、3、4の縦型重合槽(2)並びに第5の横型重合槽
(5)に、逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均
滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、ま
た同時に副生するフェノールを、副生物排出管(4)か
ら留去した。第1重合槽以外の各反応槽の重合条件は、
それぞれ、次の通りであった。 第2重合槽(210℃、100Torr、200rp
m) 第3重合槽(240℃、 15Torr、100rp
m) 第4重合槽(270℃、0.5Torr、 37rp
m) 第5重合槽(280℃、0.5Torr、 10rp
m) また、ポリマー導出管(9)から得られる、ポリカーボ
ネートの製造速度は、50kg/Hrとし、48時間運
転を行った。
示す押出機(20)に供給した。使用した(株)神戸製
鋼所製2軸押出機(スクリュー径0.046m、L/D
=40.2)は、11個のバレル(図中にはバレルの番
号を示す)で構成され、各バレルの中心及び押出機出口
(27)に内部温度測定用の温度計を設置し、3段ベン
ト口(23)〜(25)を具備し、樹脂供給口(21)
に最も近い第一ベント口(23)の手前のバレル3に、
酸性化合物圧入孔(22)を有する。
あるが、イオウ含有酸性化合物としては、p−トルエン
スルホン酸ブチルを圧入孔(22)から連続的に添加し
た。なお、p−トルエンスルホン酸ブチルは、原液をフ
レーク状のポリカーボネートにミキサーを用いて分散さ
せマスターバッチを作成し、重量フィーダーを用いて、
窒素下、上記押出機に供給した。また、第1ベント口
(23)と第2ベント口(24)の間のバレル6に設け
た注水孔(26)から、ポリマーに対して1重量%の割
合で注水し、各ベント口で脱揮しながらペレット化し
た。押出機内での樹脂温度が最高となったのは、混練す
るためのニーディングゾーンであるバレル3の位置であ
った。
平均分子量は22400であり、ポリマー中のDPC残
存量は、120ppmであった。その他の分析値は、表
−1に示した。
(注水の有無、回転数、最高樹脂温度等)を表−1に示
すように変更した以外は、実施例1と同様に実施し、表
−1に示すポリカーボネートを得た。なお、いずれの例
においても、押出機内での樹脂温度が最高となったの
は、実施例1と同じく、酸性化合物を混練するためのニ
ーディングゾーンであるバレル3の位置であった。
相、耐熱性、耐加水分解性等に優れる。
法の1例を示したフローシート。
Claims (7)
- 【請求項1】炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合
物とのエステル交換法で製造した芳香族ポリカーボネー
トであって、イオウ含有酸性化合物が添加されており、
しかも、硫酸イオンの量が該ポリカーボネートの重量に
対し0.3ppm以下であることを特徴とする芳香族ポ
リカーボネート。 - 【請求項2】硫酸イオン中のイオウ重量が、ポリマー中
の全イオウ重量の50重量%以下であることを特徴とす
る請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート。 - 【請求項3】添加されたイオウ含有酸性化合物が、スル
ホン酸化合物又はその誘導体であることを特徴とする請
求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート。 - 【請求項4】硫酸イオンの量が、該ポリカーボネートの
重量に対し0.1ppm以下であることを特徴とする請
求項1ないし3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネ
ート。 - 【請求項5】添加されたイオウ含有酸性化合物の量が、
該ポリカーボネートの重量に対し0.01〜20ppm
であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに
記載の芳香族ポリカーボネート。 - 【請求項6】未反応で残存する炭酸ジエステルの量が、
該ポリカーボネートの重量に対し200ppm以下であ
ることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載
の芳香族ポリカーボネート。 - 【請求項7】アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属
を、芳香族ジヒドロキシ化合物単位1モルに対して、1
0-8〜2×10-6モル含むことを特徴とする請求項1な
いし6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP11024620A JP2000219735A (ja) | 1999-02-02 | 1999-02-02 | 芳香族ポリカーボネート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11024620A JP2000219735A (ja) | 1999-02-02 | 1999-02-02 | 芳香族ポリカーボネート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=12143204
Family Applications (1)
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2000219735A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1999
- 1999-02-02 JP JP11024620A patent/JP2000219735A/ja active Pending
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