JP4988099B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法および芳香族ポリカーボネート製造用設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。さらに詳しくは溶融重縮合法による芳香族ポリカーボネートの製造方法に関し、製造時の芳香族ポリカーボネートの色相安定性、熱安定性等に優れるとともに、色相、透明性に優れた芳香族ポリカーボネートを効率よく製造することができる製造方法に関するものである。
【0002】
なお、ここで、本願明細書において、「反応混合物」とは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを主として含む混合物を、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物とよりなるエステル交換触媒等の存在下または非存在下、溶融重縮合反応させ、芳香族ポリカーボネートを得る工程における、その重縮合反応を開始しまたは進行しつつある混合物のことを意味し、その重合度がある程度進んだものは、一般的化学用語で言えば「プレポリマー」の状態にあるものであり、さらに進んだものは、一般的化学用語で言えば「ポリマー」の状態にあるものである。
【0003】
また、「反応器」とは、連続的もしくは間歇的に、原料混合物もしくは反応混合物を受入れ、所定量の反応混合物を内部に滞留させ、重縮合を実施し、所定の重合度の反応混合物を作成する槽であり、撹拌機構を有し、その内部は、所定温度、所定圧力が維持されるよう制御された設備を意味する。
【0004】
また、[ポンプ」とは、[反応器」で生成した反応混合物を、隣接して設置された設備や系外に、連続的もしくは間歇的に移送する目的で設置された設備であり、耐熱性、耐圧性、定量性が求められる場合が多く、一般にはギヤポンプが使用される。
【0005】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、透明性等に優れた特性を有するため、非常に有用な樹脂として広く一般に知られている。この芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する方法としては、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを、有機溶媒およびアルカリ水溶液の混合液中で反応させる界面法と、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、触媒の存在下、高温・減圧下において反応させ、発生するフェノールを系外に除去する溶融重縮合法とがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この溶融重縮合法においては反応混合物は高温の溶融状態で反応装置内に供給され、所定時間滞留する間に反応が進行し、ついで反応装置から排出される。反応装置内で溶融状態にある反応混合物は、高温に晒されることによって着色したり、異物を発生することがあり、芳香族ポリカーボネートの透明性等の優れた特性を損なうことになる。特に、コンパクトディスクのような光学用途に用いられる芳香族ポリカーボネートにおいては、着色、異物は製品品質上好ましくない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、上記の問題を解決するためのものである。
【0008】
本願発明の一つの局面は、溶融重縮合して芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、回転部分を有する特定の設備の回転軸の軸封部に、1以上の物質(供給物質A)を、その供給口において気体および/または液体状態で、連続的あるいは間歇的に供給する芳香族ポリカーボネートの製造方法、である。
【0009】
芳香族ポリカーボネートの溶融重縮合は、通常、触媒の存在下あるいは非存在下に、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを主として含む混合物を加熱減圧下に置くことにより行われ、連続式と、非連続式(バッチ式)がある。本願発明は、そのいずれにも適用できるが、なかんずく、長期間生産を中止せずに続行する連続式の場合に特に効果が大きい。
【0010】
上記において、「特定の」としたのは、該当する回転部分を有する設備のすべてに本願発明を適用する必要はないことを明確にするためである。どの設備に適用するかは、試行錯誤で定めることができる。ただし、設備内に滞留する反応混合物の着色、分解は、反応混合物の重合度がある程度に達した後に顕著になるので、その粘度平均分子量が1000以上であることが望ましい。
【0011】
本願発明の他の局面は、回転部分を有する設備であって、その回転軸の軸封部に、気体および/または液体状態の1以上の物質(供給物質A)を連続的あるいは間歇的に供給する1以上の供給口を有する設備を含んでなる、溶融重縮合による芳香族ポリカーボネートの製造用設備である。
【0012】
なお、以下に説明する発明の実施の形態や実施例の中で、本願発明の更なる特徴が明らかにされる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明にかかる芳香族ポリカーボネートの製造方法について、図、実施例等により具体的に説明する。なお、これらの説明は本願発明を例示するものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。本願発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本願発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0014】
本願発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、たとえば触媒の存在下に連続的に溶融重縮合して芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、溶融重縮合反応を実施する反応器において、反応器の内側から軸封部に入り込んでくる反応混合物を、回転軸の軸封部に対し連続的あるいは間歇的にモノヒドロキシ化合物を供給することによって、反応装置内に洗い戻し、軸封部での反応混合物の滞留をなくすることを特徴としている。
【0015】
本願発明によれば、溶融重縮合反応を実施する反応器において、回転軸の軸封部に、たとえばモノヒドロキシ化合物を供給し、反応器側から軸封部に入り込んでくる反応混合物を、反応装置内に洗い戻すことで、軸封部における反応混合物の滞留箇所をなくすことができ、色相に優れ、異物のない芳香族ポリカーボネートを製造することができる。
【0016】
本願発明で言う、芳香族ポリカーボネートとは、主に、芳香族ジオール化合物(芳香族ジヒドロキシ化合物ともいう)と、炭酸ジエステルとを、たとえば塩基性窒素化合物とアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物よりなるエステル交換触媒等の存在下、溶融重縮合させた芳香族ポリカーボネートである。
【0017】
このような芳香族ジオール化合物としては例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキサイド、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)オキサイド、P,P’−ジヒドロキシジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0018】
本願発明に用いられる炭酸ジエステル化合物としては、例えばジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが用いられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0019】
モノヒドロキシ化合物としては、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等が挙げられるが、特にフェノールが好ましい。
【0020】
本願発明に用いられる2種類の原料の使用比率は、炭酸ジエステル化合物の使用モル数を芳香族ジヒドロキシ化合物の使用モル数で除した値であらわした原料モル比において、1.00から1.10の範囲の中から選択することが好ましい。
【0021】
さらに、本願発明の芳香族ポリカーボネートは、必要に応じて、脂肪族ジオールとして、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,10−デカンジオール等を、ジカルボン酸類として、例えば、コハク酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、シクロヘキサンカルボン酸、テレフタル酸等;オキシ酸類例えば、乳酸、P−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等を含有していても良い。
【0022】
本願発明に用いられる触媒は特に限定されないが、塩基性窒素化合物とアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物よりなるエステル交換触媒を使用することができる。
【0023】
本願発明で使用されるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物についても、得られる芳香族ポリカーボネートの色相を低下させるものでなければ特に制限はなく種々の公知のものを使用することができる。
【0024】
触媒として用いられるアルカリ金属化合物としては、例えばアルカリ金属の水酸化物・炭酸水素化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホウ素塩、安息香酸塩、リン酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
【0025】
具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。
【0026】
触媒として用いられるアルカリ土類金属化合物としては、例えばアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
【0027】
具体例としては、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸ストロンチウム、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸バリウム、亜硫酸ストロンチウム、シアン酸カルシウム、シアン酸バリウム、シアン酸ストロンチウム、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸バリウム、チオシアン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸ストロンチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素バリウム、水素化ホウ素ストロンチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸バリウム、安息香酸ストロンチウム、ビスフェノールAのカルシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩、フェノールのカルシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩などが挙げられる。
【0028】
本願発明においては所望により、触媒のアルカリ金属化合物として、(a)周期律表第14族の元素のアート錯体のアルカリ金属塩または(b)周期律表第14族の元素のオキソ酸のアルカリ金属塩を用いることができる。ここで周期律表第14族の元素とは、ケイ素、ゲルマニウム、スズのことをいう。
【0029】
(a)周期率表第14族元素のアート錯体のアルカリ金属塩としては、特開平7−268091号公報に記載のものをいうが、具体的には、ゲルマニウム(Ge)の化合物;NaGe(OMe)5,NaGe(○Et)3,NaGe(OPr)5,NaGe(○Bu)5,NaGe(○Ph)5,LiGe(OMe)5,LiGe(OBu)5,LiGe(OPh)5を挙げることができる。
【0030】
スズ(Sn)の化合物としては、NaSn(OMe)3,NaSn(OMe)2(○Et)、NaSn(OPr)3,NaSn(O−n−C6H13)3,NaSn(○Me)5,NaSn(OEt)5,NaSn(○Bu)5,NaSn(O−n−C12H25)5,NaSn(OEt)、NaSn(OPh)5,NaSnBu2(○Me)3を挙げることができる。
【0031】
また(b)周期律表第14族元素のオキソ酸のアルカリ金属塩としては、例えばケイ酸(silicic acid)のアルカリ金属塩、スズ酸(stannic acid)のアルカリ金属塩、ゲルマニウム(II)酸(germanous acid)のアルカリ金属塩、ゲルマニウム(IV)酸(germanic acid)のアルカリ金属塩を好ましいものとして挙げることができる。
【0032】
ケイ酸のアルカリ金属塩は、例えばモノケイ酸(monosilicic acid)またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その例としては、オルトケイ酸モノナトリウム、オルトケイ酸ジナトリウム、オルトケイ酸トリナトリウム、オルトケイ酸テトラナトリウムを挙げることができる。
【0033】
スズ酸のアルカリ金属塩は、例えばモノスズ酸(monostannic acid)またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その例としてはモノスズ酸ジナトリウム塩(Na2SnO3・XH2O,X=0〜5)、モノスズ酸テトラナトリウム塩(Na4SnO4)を挙げることができる。
【0034】
ゲルマニウム(II)酸(germanous acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲルマニウム酸またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その例としてはゲルマニウム酸モノナトリウム塩(NaHGeO2)を挙げることができる。
【0035】
ゲルマニウム(IV)酸(germanic acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲルマニウム(IV)酸またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その例としてはオルトゲルマニウム酸モノリチウム酸(LiH3GeO4)、オルトゲルマニウム酸ジナトリウム塩、オルトゲルマニウム酸テトラナトリウム塩、ジゲルマニウム酸ジナトリウム塩(Na2Ge2O5)、テトラゲルマニウム酸ジナトリウム塩(Na2Ge4O9)、ペンタゲルマニウム酸ジナトリウム(Na2Ge5O11)を挙げることができる。
【0036】
触媒としてのアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、当該触媒中のアルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素が芳香族ジオール化合物1モル当り1×10-8〜5×10-5当量となる場合で好ましく使用される。より好ましい割合は同じ基準に対し5×10-7〜1×10-5当量となる割合である。
【0037】
当該触媒中のアルカリ金属元素量またはアルカリ土類金属元素量が芳香族ジオール化合物1モル当り1×10-8〜5×10-5当量の範囲を逸脱すると、得られる芳香族ポリカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、また、エステル交換反応が充分に進行せず高分子量の芳香族ポリカーボネートが得られない等の問題があり好ましくない。
【0038】
また、触媒としての含窒素塩基性化合物としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(φ−CH2(Me)3NOH)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するアンモニウムヒドロオキシド類、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシルジメチルアミンなどの3級アミン類、あるいはテトラメチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NBH4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)などの塩基性塩を挙げることができる。
【0039】
上記含窒素塩基性化合物は、含窒素塩基性化合物中のアンモニウム窒素原子が芳香族ジオール化合物1モル当り1×10-5〜5×10-3当量となる割合で用いるのが好ましい。より好ましい割合は同じ基準に対し2×10-5〜5×10-4当量となる割合である。特に好ましい割合は同じ基準に対し5×10-5〜5×10-4当量となる割合である。
【0040】
なお、本願明細書において、仕込み芳香族ジオール化合物に対するアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素塩基性化合物の割合いを、「芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し金属または塩基性窒素としてW(数値)当量のZ(化合物名)量」として表現したが、これは、例えば、Zがナトリウムフェノキシドや2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンモノナトリウム塩のようにナトリウム原子が一つであり、またはトリエチルアミンのように塩基性窒素が一つであれば、Zの量がWモルに相当する量であることを意味し、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジナトリウム塩のように二つであれば、W/2モルに相当する量であることを意味する。
【0041】
本願発明の重縮合反応には、上記触媒と一緒に、必要により、周期律表第14族元素のオキソ酸および同元素の酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の助触媒を共存させることができる。
【0042】
これら助触媒を特定の割合で用いることにより、末端の封鎖反応、重縮合反応速度を損なうことなく、重縮合反応中に生成し易い分岐反応や、成形加工時における装置内での異物の生成、やけといった好ましくない副反応をより効果的に抑制することができる。
【0043】
溶融重合は、ホスゲンやハロゲン化溶剤を使用しない、環境問題の少ないポリカーボネートの製造方法であり、かつ、コスト面の利点も期待されるため、注目を集めているが、得られるポリマーの品質、特に色相やゲルの面で界面重合法によって得られるポリカーボネートに劣ると言う問題を有しており、これを解決するために様々な提案がなされてきた。しかしながら未だに満足できる方法は見出されていないのが現状であり、特に溶融重合法では、設備のスケールアップにより、得られるポリカーボネートの品質が変化し、小スケールで得られた良好な品質が再現できないという問題があった。
【0044】
この現状に鑑み、本願発明者らは使用する設備面の検討を行った結果、反応装置内における反応混合物の滞留に注目し、反応装置の回転軸の軸封部における反応混合物の滞留が、得られるポリカーボネートの品質に大きな影響を及ぼすことに着目した。
【0045】
本願発明者らは、回転軸の軸封部に、モノヒドロキシ化合物を連続的あるいは間歇的に供給することで、当該軸封部における反応混合物の滞留がなくなり、良好な品質が維持できることを見出し、本願発明に到達した。
【0046】
本願発明者らの検討によると、芳香族ポリカーボネート製造においては、一方では反応混合物が、通常高い溶融粘度を有するため、回転軸の軸封部に侵入した場合、その部分がデッドスペースを構成すると考えられること、他方では芳香族ポリカーボネートが、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの他の重縮合のポリマーとは異なり、酸素などの他の要因を完全に排除しても、長時間加熱することにより、それ自身が分岐し、架橋構造を形成してゲル化して行く特徴を有していること、の二つの特徴により、ポリマー品質に大きな影響を及ぼしていると考えられる。本願発明は、上記のデッドスペースを極力排除することで構成される。
【0047】
本願発明にかかる芳香族ポリカーボネートの製造方法では、溶融重縮合反応を実施する反応器において、回転軸の軸封部にたとえばモノヒドロキシ化合物を供給し、反応器側から軸封部に入り込んでくる反応混合物を、反応装置内に洗い戻すことで、軸封部における反応混合物の滞留をなくすことができ、色相に優れ、異物のない芳香族ポリカーボネートを製造することができる。
【0048】
本願発明にかかる芳香族ポリカーボネートの製造方法において、回転部分を有する設備とは、芳香族ポリカーボネートの溶融重縮合に使用される設備の内、撹拌機や、送液装置の送り羽根のような回転部分を有する設備を意味する。たとえば、竪型反応器、横型反応器の撹拌機や反応混合物を移送するポンプが、これに該当する。さらに反応器からの反応混合物の取り出し装置(たとえばスクリュー状のもの)もこれに該当する。
【0049】
このような回転軸は、メカニカルシール、スクリューラビリンス、Oリング、グランドシールによって、反応混合物が設備外に流出し、設備外の空気等が設備内に侵入しないようにシールされているのが普通である。本願明細書においては、このように、反応混合物が設備外に流出し、設備外の空気等が設備内に侵入しないように回転軸をシールする部分を軸封部と呼んでいる。
【0050】
この軸封部では、上記のごとく種々の手段によって、いわば外界と内部とを遮断している。しかしながら、ポリカーボネートの溶融重合のような高温、高真空下で操作される設備においては反応混合物がこの軸封部に侵入することを完全に阻止することはきわめて困難である。そこで、本願発明はこの侵入してきた反応混合物が分解等により着色し、あるいは高結晶化した後、何らかの理由により再び、反応混合物中に混入し、結果としてその品質を劣化させることを阻止するため、侵入物を洗い戻すことを可能とするものである。
【0051】
従って、本願発明は、反応混合物の侵入をある程度許容する反面、複雑なシール空間を利用して、非接触で外部と内部との遮断を実現しようとする、いわゆるラビリンスシール機構を採用する軸封部に適用する場合に効果が大きい。ラビリンスシールは耐熱性に優れるものの、その構造上、真空をシールする機能に劣り、グランドシールやメカニカルシールと併用して使用される場合が多い。
【0052】
なお、上記において、特定の設備の回転軸の軸封部に、その供給口において気体および/または液体状態の1以上の物質(供給物質A)としてモノヒドロキシ化合物を供給する場合を例示したが、このモノヒドロキシ化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの溶融重縮合で副生するモノヒドロキシ化合物であることが好ましい。製品品質に対する悪影響がなく、回収も容易になるためである。特にフェノールであることが好ましい。
【0053】
なお、供給物質Aは純粋な物質である必要はなく、混合物であっても良い。従って、重縮合反応で生じたフェノール等を精製せずに、あるいは簡単なストレーナを介して使用することも可能である。
【0054】
これらの供給物質Aは連続して供給しても良いし、間歇的に供給しても良いが、好ましくは連続での供給である。
【0055】
本願発明にかかる芳香族ポリカーボネートの製造方法では、モノヒドロキシ化合物の供給方法は、供給時に安定した流量が達成されるならば、その方法は特に限定されない。例えば、ポンプを用いた強制的な供給方法でも良いし、反応器内部が減圧状態であることを利用した方法でも良い。
【0056】
本願発明にかかる芳香族ポリカーボネートの製造方法では、反応混合物とは、好ましくは粘度平均分子量が1000以上のものである。粘度平均分子量がこの値より小さい場合は効果はより小さくなる。反応混合物自体の着色等が起こりにくいこと、粘度が低いためにデッドスペースの発生が少なくなること等の理由によるものと推察されている。
【0057】
ここで、本願発明に係る軸封部の構造を図1により説明する。
【0058】
図1は、横型反応器の軸封部の構造を示す。図1において、横型反応器1の撹拌軸2の軸封部3は、主にラビリンスシール部4、グランドシール部5、メカニカルシール部6とより成り立っており、ラビリンスシール部4の途中まで反応混合物7が侵入している。この侵入してきた反応混合物7は、供給物質A容器8から、図示されないポンプにより、供給口9を介して供給される供給物質A10により、連続的に洗い戻されている。なお、供給物質A10の温度は、流動性が保たれる温度であれば特に制限はないが、供給口9付近の軸封部の温度に近い温度に、図示されない熱交換機により、予め昇温されても良い。なお、図1は、液体を供給する場合についてのものであるが、気体の場合もほぼ同様にして供給することができる。
【0059】
なお、本願発明で得られたポリカーボネートに触媒失活剤を添加することもできる。
【0060】
本願発明に使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましく、更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の上記塩類やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の上記塩類が好ましい。またスルホン酸のエステルとしてベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられ、就中、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
【0061】
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた前記重合触媒1モル当たり0.5〜50モルの割合で、好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
【0062】
これらの触媒失活剤は直接、または適当な溶剤に溶解または分散させて溶融状態のポリカーボネートに添加、混練する。このような操作を実施するのに用いられる設備に特に制限は無いが、例えば2軸ルーダー等が好ましく、触媒失活剤を溶剤に溶解または分散させた場合はベント付きの2軸ルーダーが特に好ましく使用される。
【0063】
また本願発明においては、本願発明の目的を損なわない範囲でポリカーボネートに添加剤を添加することができる。この添加剤は触媒失活剤と同様に溶融状態のポリカーボネートに添加することが好ましく、このような添加剤としては例えば、耐熱安定剤、エポキシ化合物、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、有機充填剤、無機充填剤等をあげることができる。
【0064】
これらの内でも耐熱安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等が特に一般的に使用され、これらは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0065】
本願発明に用いられる耐熱安定剤としては、例えば、燐化合物、フェノール系安定剤、有機チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等を挙げることができる。
【0066】
また、紫外線吸収剤としては、一般的な紫外線吸収剤が用いられ、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等を挙げることができる。
【0067】
また離型剤としては一般的に知られた離型剤を用いることができ、例えば、パラフィン類などの炭化水素系離型剤、ステアリン酸等の脂肪酸系離型剤、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド系離型剤、ステアリルアルコール、ペンタエリスリトール等のアルコール系離型剤、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールのステアレート等の脂肪酸エステル系離型剤、シリコーンオイル等のシリコーン系離型剤等を挙げることができる。
【0068】
着色剤としては有機系や無機系の顔料や染料を使用することができる。
【0069】
これらの添加剤の添加方法に特に制限はないが、例えば、直接ポリカーボネートに添加してもよく、マスターペレットやマスターパウダーを作成して添加してもよい。
【0070】
なお、上記においては、反応器の内側から軸封部に入り込んでくる反応混合物を、回転軸の軸封部に対し連続的あるいは間歇的にモノヒドロキシ化合物を供給することによって、反応装置内に洗い戻し、軸封部での反応混合物の滞留をなくするケースを最適な例として取り上げたが、検討の結果、色相に優れ、異物の少ない芳香族ポリカーボネートを製造するために、軸封部における反応混合物の滞留箇所をなくすことは、必ずしも上記の洗い戻す作用のみによるのではないことが判明した。
【0071】
たとえは、単に不活性ガスである窒素を供給する場合や、反応混合物とは反応しない物質、たとえばヘキサンや水のごとき物質を供給する場合にも効果が認められた。さらに、常温で液状となる物質の場合には、その供給口において、液状であり、環境温度と圧力から恐らく軸封部内ではガス化しているであろうと考えられる場合や、はじめからガス状の場合にも、それぞれ効果が認められた。
【0072】
さらに、必要に応じて、軸封部のどのあたりに供給口を設けるか、供給口をいくつ設けるか、供給口の大きさをどの程度にするかも、効果に影響を与える因子であることが判明した。これらの条件の選択は試行錯誤で定めることができる。液体をガスに変えて供給したい場合は、加熱装置を併設することも可能である。軸封部は、急激な温度変化によるひずみの発生を避けるべきであるので場合によっては重要な措置である。
【0073】
すなわち、これらの検討結果から、本願発明の効果は、軸封部に入り込んでくる反応混合物を物理的に押し戻す効果、その際乱流を生じてデッドスペースを起こりにくくする効果、結晶を溶解する効果、解重合等の分解反応を生ぜしめ、洗い戻しやすくする効果等が複雑に絡み合っているものと推察される。
【0074】
なお、供給物質Aとしては、下記の物が例示される。
【0075】
(1)常温常圧で気体状の物:窒素、アルゴン等の不活性ガス、炭酸ガス。
【0076】
(2)常温常圧で液体状または固体状の物:炭化水素類、アルコール類、水、重合反応の原料として用いられる化合物、重合反応で副生する化合物。
【0077】
【発明の効果】
本願発明によれば、軸封部における反応混合物の滞留を防止することができ、色相に優れ、異物の少ない芳香族ポリカーボネートを製造することができる。
【0078】
【実施例】
以下実施例によって説明する。なお実施例中の%および部は特に断らない限り重量%または重量部である。なお、以下の実施例において得られた反応混合物およびポリカーボネートの物性は、以下のようにして測定した。
【0079】
[固有粘度および粘度平均分子量]
0.7g/dLの塩化メチレン溶液をウベローデ粘度計を用い固有粘度を測定し、次式により粘度平均分子量を求めた。
【0080】
[η]=1.23×10-4M0.83
[色調(b値)]
ポリカーボネートペレット(短径×長径×長さ(mm)=2.5×3.3×3.0)のLab値を日本電色工業製ND−1001DPを用い、反射法で測定し黄色度の尺度としてb値を用いた。
【0081】
[異物量]
ポリカーボネートペレット1Kgを5Lの塩化メチレンに溶解した後、目開き30μmのフィルターを用いてろ過し、フィルター上に捕集された異物の個数をカウントした。
【0082】
[実施例1]
2基の初期重合槽と後期重合槽とよりなる連続重合設備を使用して、芳香族ポリカーボネートの溶融重縮合を実施した。初期重合槽は、精留塔を有する竪型撹拌槽であり、後期重合槽は横型の撹拌槽であった。後期重合槽で得られた重合生成物は、連続的にダイスより押出し、冷却バスでストランドとした後、カッターによってペレットとした。
【0083】
2基直列に設置された初期重合槽は、ともに竪型撹拌槽であるため、各々1ヶ所にメカニカルシールによる撹拌軸の軸受け部を持ち、それぞれの軸封部(メカニカルシールより内側にあるスクリューラビリンスシール部分)にフェノールを供給できるノズルを有していた。
【0084】
フェノールは、80℃に温調された貯槽に貯留されており、プランジャーポンプによってそれぞれの軸封部に連続的に供給された。供給速度は、軸封部1ヶ所に対し、4mL/時間であった。
【0085】
後期重合槽は、1軸の横型撹拌槽であり、軸封部の外側から内側(反応槽側)にかけてメカニカルシールとグランドシールとスクリューラビリンスとを順次配置して構成された2ヶ所の軸受け部を持ち、それぞれのスクリューラビリンス部のグランドシールよりの位置にフェノールを供給できるノズルを有していた。フェノールは、80℃に温調された貯槽に貯留されており、プランジャーポンプによってそれぞれの軸封部に連続的に供給された。供給速度は、軸封部1ヶ所に対し、4mL/時間であった。
【0086】
溶融重縮合の運転条件は次のとおりであった。
【0087】
芳香族ジヒドロキシ化合物としてのビスフェノールAと炭酸ジエステルとしてのジフェニルカーボネートとを1対1.01(モル比)の割合で混合し、重合原料として用いた。
【0088】
重合触媒としては、ビスフェノールAのジナトリウム塩を、フェノール溶液として用いた。
【0089】
原料供給量を12.5Kg/hrとし、触媒溶液供給量を、ビスフェノールAのジナトリウム塩が、原料として供給されるビスフェノールAの1モルに対し1×10-6当量となるよう触媒溶液供給ポンプの流量を調整し、初期重合槽出で粘度平均分子量を6000、後期重合槽出で粘度平均分子量を15200±100として連続溶融重縮合を実施した。
【0090】
以上の装置、運転条件下で600時間連続運転を行い、所定時間毎に後期重合槽の出口で反応混合物をサンプリングした。採取したサンプルの評価結果を表1に示した。
【0091】
[実施例2]
実施例1と同じ装置を用い、第1槽への原料供給量と触媒溶液供給量とを、実施例1の5倍となるよう原料供給ポンプ、および触媒溶液供給ポンプの流量を調整し、連続溶融重縮合を実施した。
【0092】
各重合槽の運転条件は実施例1と同じとし、600時間の連続運転を行い、所定時間毎に後期重合槽の出口で反応混合物をサンプリングした。
【0093】
採取したサンプルの評価結果を表1に示した。
【0094】
表1より、実施例1に対して約5倍のスケールアップを実施しても、得られるポリカーボネートの品質は、実施例1と同様に良好であった。
【0095】
[実施例3]
初期重合槽については、軸封部へのフェノール供給を中止し、代わりに100℃の窒素ガスを900NmL/時間供給したことと連続運転期間を縮めたこと以外は実施例1と同様にした。
【0096】
採取したサンプルの評価結果を表1に示した。実施例1と同様に良好であった。
【0097】
[実施例4]
初期重合槽については、軸封部へのフェノール供給を中止したことと連続運転期間を縮めたこと以外は実施例1と同様にした。
【0098】
採取したサンプルの評価結果を表1に示した。実施例1より若干色相が低下したが依然良好な範囲内であった。
【0099】
[実施例5]
初期重合槽については、フェノールに代えて、水を使用したことと連続運転期間を縮めたこと以外は実施例1と同様にした。
【0100】
採取したサンプルの評価結果を表1に示した。実施例1と同様に良好であった。
【0101】
[比較例1]
実施例1の装置において、重合槽のすべての回転軸軸封部へのフェノール供給を停止した以外は、実施例2と同じ運転条件で、600時間の連続運転を実施した。所定時間毎に後期重合槽の出口で反応混合物をサンプリングした。
【0102】
採取したサンプルの評価結果を表1に示した。
【0103】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る実施形態の1例としての横型反応器の軸封部の構造を示す。
【符号の説明】
1 横型反応器
2 撹拌軸
3 軸封部
4 ラビリンスシール部
5 グランドシール部
6 メカニカルシール部
7 反応混合物
8 供給物質A容器
9 供給口
10 供給物質A
Claims (8)
- 溶融重縮合して芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、溶融重縮合を実施するための竪型反応器、横型反応器および溶融重縮合における反応混合物を移送するポンプから選ばれる設備の内の少なくとも一つである、回転部分を有する設備の回転軸の軸封部に、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガス、炭化水素類、アルコール類、水、重合反応の原料として用いられる化合物および重合反応で副生する化合物からなる群から選ばれた1以上の物質(供給物質A)を、その供給口において気体および/または液体状態で、連続的あるいは間歇的に、外部から前記回転部分を有する設備の内部に向けて供給する芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 前記溶融重縮合が連続的に行われることを特徴とする、請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 前記回転軸の軸封部がラビリンスシール部を構成要素として有することを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 前記供給物質Aがモノヒドロキシ化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 前記供給物質Aが芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの溶融重縮合で副生するモノヒドロキシ化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 前記供給物質Aがフェノールを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 前記回転部分を有する設備内における反応混合物の粘度平均分子量が1000以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 溶融重縮合による芳香族ポリカーボネートの製造用設備において、回転部分を有する設備であって、その回転軸の軸封部に、気体および/または液体状態の、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガス、炭化水素類、アルコール類、水、重合反応の原料として用いられる化合物および重合反応で副生する化合物からなる群から選ばれた1以上の物質(供給物質A)を連続的あるいは間歇的に、外部から前記回転部分を有する設備の内部に向けて供給する1以上の供給口を有する設備を含んでなり、
前記回転部分を有する設備が、溶融重縮合を実施するための竪型反応器、横型反応器および溶融重縮合における反応混合物を移送するポンプから選ばれる設備の内の少なくとも一つである、
ポリカーボネートの製造用設備。
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