JP2003155338A - 芳香族ポリカーボネートの製造方法および装置 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法および装置

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JP2003155338A
JP2003155338A JP2001355465A JP2001355465A JP2003155338A JP 2003155338 A JP2003155338 A JP 2003155338A JP 2001355465 A JP2001355465 A JP 2001355465A JP 2001355465 A JP2001355465 A JP 2001355465A JP 2003155338 A JP2003155338 A JP 2003155338A
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water
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Osamu Nakamoto
税 中本
Eiji Ito
栄二 伊藤
Toru Sawaki
透 佐脇
Katsuji Sasaki
勝司 佐々木
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色相に優れ、異物の少ない芳香族ポリカーボ
ネートを製造する技術を提供する。 【解決手段】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
テルとを触媒の存在下または非存在下に溶融重縮合して
芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、実質的に水
と芳香族モノヒドロキシ化合物とよりなり、当該水と当
該芳香族モノヒドロキシ化合物との合計に対する当該水
の重量割合が0/100〜20/100の間にあるシー
ル液を使用したメカニカルシールを有する少なくとも1
基以上の回転部分を有する装置を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は芳香族ポリカーボ
ネートの製造方法に関する。さらに詳しくは溶融重縮合
法による芳香族ポリカーボネートの製造に関し、製造時
の芳香族ポリカーボネートの色相安定性、熱安定性等に
優れるとともに、色相、透明性に優れた芳香族ポリカー
ボネートを効率よく製造することができる製造技術に関
するものである。
【0002】なお、ここで、本願明細書において、「反
応混合物」とは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエ
ステルとを主として含む混合物を、含窒素塩基性化合物
とアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属
化合物とよりなるエステル交換触媒等の存在下または非
存在下、溶融重縮合反応させ、芳香族ポリカーボネート
を得る工程における、その重縮合反応を開始しまたは進
行しつつある混合物のことを意味し、その重合度がある
程度進んだものは、一般的化学用語で言えば「プレポリ
マー」の状態にあるものであり、さらに進んだものは、
一般的化学用語で言えば「ポリマー」の状態にあるもの
である。
【0003】また、「反応器」とは、連続的もしくは間
歇的に、原料混合物もしくは反応混合物を受入れ、所定
量の反応混合物を内部に滞留させ、重縮合を実施し、所
定の重合度の反応混合物を作成する槽であり、撹拌機構
を有し、その内部は、所定温度、所定圧力が維持される
よう制御された設備を意味する。
【0004】また、[ポンプ」とは、[反応器」で生成
した反応混合物を、隣接して設置された設備や系外に、
連続的もしくは間歇的に移送する目的で設置された設備
であり、耐熱性、耐圧性、定量性が求められる場合が多
く、一般にはギヤポンプが使用される。
【0005】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネートは、耐衝撃性、
透明性等に優れた特性を有するため、非常に有用な樹脂
として広く一般に知られている。この芳香族ポリカーボ
ネートを製造する方法としては、芳香族ジヒドロキシ化
合物とホスゲンとを、有機溶媒およびアルカリ水溶液の
混合液中で反応させる界面法と、芳香族ジヒドロキシ化
合物と炭酸ジエステルとを、触媒の存在下または非存在
下、高温・減圧下においてエステル交換反応させ、発生
するフェノールを系外に除去する溶融重縮合法とがあ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この溶融重縮合法にお
いては反応混合物は高温の溶融状態で反応装置内に供給
され、真空下で所定時間滞留する間に反応が進行し、つ
いで反応装置から排出される。反応装置内で溶融状態に
ある反応混合物は、高温に晒されることによって着色し
たり、異物を発生することがある。更に、反応が高度な
真空下で実施されるため、シールが不十分な場合は外部
より空気を吸引し一層激しい着色や異物発生を生じ、芳
香族ポリカーボネートの透明性等の優れた特性を損なう
ことになる。特に、コンパクトディスクのような光学用
途に用いられる芳香族ポリカーボネートにおいては、着
色、異物は製品品質上好ましくない。このため、特にシ
ールが難しい回転部には従来からメカニカルシールを用
い厳密な外気とのシールが実施されてきた。しかし、メ
カニカルシールはシール液が必要であり、芳香族ポリカ
ーボネートの溶融重合のような高温で操作される設備の
メカニカルシール液としては流動パラフィンや流動性を
持つ高沸点のオイル等限られたものしか使用に耐えるこ
とができず、更にこれらのシール液はメカニカルシール
の構造上、装置内部に僅かに漏れこむことが避けられな
いと言う問題を有していた。従って、溶融重合で得られ
る芳香族ポリカーボネートはこのようなメカニカルシー
ル液を僅かに含むことになり、芳香族ポリカーボネート
の要求特性の高まりと共に適切なメカニカルシール液が
求められてきた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明は、上記の問題
を解決するためのものである。
【0008】本願発明の1態様は、芳香族ジヒドロキシ
化合物と炭酸ジエステルとを触媒の存在下または非存在
下に溶融重縮合して芳香族ポリカーボネートを製造する
に際し、実質的に水と芳香族モノヒドロキシ化合物とよ
りなり、当該水と当該芳香族モノヒドロキシ化合物との
合計に対する当該水の重量割合が0/100〜20/1
00の間にあるシール液を使用したメカニカルシールを
有する少なくとも1基以上の特定の回転部分を有する装
置を用いて製造を行う芳香族ポリカーボネートの製造方
法である。
【0009】本願発明方法によれば、色相に優れ、異物
の少ない芳香族ポリカーボネートを製造することができ
る。
【0010】本願発明の他の態様は、実質的に水と芳香
族モノヒドロキシ化合物とよりなり、当該水と当該芳香
族モノヒドロキシ化合物との合計に対する当該水の重量
割合が0/100〜20/100の間にあるシール液を
使用したメカニカルシールを有する、芳香族ポリカーボ
ネートの溶融重合用の回転部分を有する装置であり、更
に他の態様は、このような回転部分を有する特定の装置
を少なくとも1基以上有する芳香族ポリカーボネートの
溶融重合製造設備である。
【0011】本願発明の装置や設備を使用すれば、色相
に優れ、異物の少ない芳香族ポリカーボネートを製造す
ることができる。
【0012】芳香族ポリカーボネートの溶融重縮合は、
通常、触媒の存在下あるいは非存在下に、芳香族ジヒド
ロキシ化合物と炭酸ジエステルとを主として含む混合物
を作成し、この混合物を加熱減圧下に置くことにより行
われ、連続式と、非連続式(バッチ式)がある。本願発
明は、そのいずれにも適用できるが、なかんずく、長期
間生産を中止せずに続行する連続式の場合に特に効果が
大きい。
【0013】上記において、「特定の」としたのは、該
当する回転部分を有する設備のすべてに本願発明を適用
する必要はないことを明確にするためである。どの設備
に適用するかは、試行錯誤で定めることができる。ただ
し、常圧近傍で操作される設備ではメカニカルシールに
よる厳密なシールが必要とされないため、その操作圧力
が200Torr(26600Pa)以下の設備である
ことが望ましい。
【0014】本願発明では、シール液の成分の内、芳香
族モノヒドロキシ化合物は、反応系中に洩れ込んだ場
合、ポリカーボネート重合体の分子鎖を切断するが、そ
の分子鎖の再構成を妨げるものではない。
【0015】特に、この芳香族モノヒドロキシ化合物
が、溶融重縮合で副生する芳香族モノヒドロキシ化合物
を少なくとも1部含む場合には、その副成物について
は、反応系中に洩れ込んだとしても、その反応系内にあ
る反応混合物にとっては、別異の物質ではない点でメリ
ットが大きい。特に、原料としてフェノールエステルが
使用され、フェノールが副成物となることが多いことか
ら、メカニカルシールのシール液中の芳香族モノヒドロ
キシ化合物がフェノールを含むことが好ましい。
【0016】一方、水は、分子鎖の切断への寄与と言う
観点からはより活性が低く、また芳香族ポリカーボネー
トの製造において副成物となることが多いが、沸点が低
いために、シール液として保つためにはシール液を加圧
する必要がある。
【0017】従って、水と芳香族モノヒドロキシ化合物
との合計に対する当該水の重量割合が実質的に0/10
0であることが好ましい場合がある。
【0018】一方、芳香族モノヒドロキシ化合物は融点
が高い場合が多く、これを液状とするためにはある程度
の水を含む方が良い場合がある。
【0019】このため、水と芳香族モノヒドロキシ化合
物との合計に対する当該水の重量割合が0/100を超
え20/100以下の間にあることが好ましい場合があ
る。なお、上記において、「水と芳香族モノヒドロキシ
化合物とよりなる」とは、水と芳香族モノヒドロキシ化
合物との合計に対する当該水の重量割合が0/100の
場合も含む。
【0020】前記回転部分を有する装置については、竪
型撹拌槽、横型撹拌槽、ギアポンプから選ばれた少なく
とも1種であることが好ましい。得られた芳香族ポリカ
ーボネートの色相、異物の点で効果が大きいからであ
る。
【0021】また本願発明において、「実質的に水と芳
香族モノヒドロキシ化合物とよりなる」とは、他の物質
の共存を完全に排除するものではないことを意味する。
具体的には、10重量%程度までの他の物質の共存は問
題ない場合が多い。
【0022】また「実質的に0/100」とは、不純物
レベルの他の物質の共存を排除するものではないことを
意味する。具体的には、数百重量ppm程度の水の共存
を排除するものではない。
【0023】なお、以下に説明する発明の実施の形態や
実施例の中で、本願発明の更なる特徴が明らかにされ
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本願発明にかかる芳香族ポ
リカーボネートの製造方法について、実施例等により具
体的に説明する。なお、これらの説明は本願発明を例示
するものであり、本願発明の範囲を制限するものではな
い。
【0025】本願発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と
炭酸ジエステルとを、たとえば触媒の存在下に連続的に
溶融重縮合して芳香族ポリカーボネートを製造するに際
し、溶融重縮合反応を実施する設備等において、実質的
に芳香族モノヒドロキシ化合物をシール液に使用したメ
カニカルシールを有する少なくとも1基以上の装置を用
いて製造を行うことを一つの特徴としている。
【0026】本願発明によれば、シール液に用いた芳香
族モノヒドロキシ化合物は僅かに設備内部に漏れこみ、
反応混合物と混合するものの、速やかに反応混合物と同
化し、品質に何ら影響することが無く、色相に優れ、異
物のない芳香族ポリカーボネートを製造することができ
る。
【0027】本願発明で言う、芳香族ポリカーボネート
とは、主に、芳香族ジオール化合物(芳香族ジヒドロキ
シ化合物ともいう)と、炭酸ジエステルとを、たとえば
塩基性窒素化合物とアルカリ金属化合物および/または
アルカリ土類金属化合物よりなるエステル交換触媒等の
存在下、溶融重縮合させた芳香族ポリカーボネートであ
る。
【0028】このような芳香族ジオール化合物としては
例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパ
ン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)オキサイド、ビス(3,5−ジクロロ
−4−ヒドロキシフェニル)オキサイド、P,P’−ジ
ヒドロキシジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’
−ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,
4−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4
−ジヒドロキシ−3−メチルベンゼン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホキシド等が挙げられるが、特に2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0029】本願発明に用いられる炭酸ジエステル化合
物としては、例えばジフェニルカーボネート、ジトリー
ルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネー
ト、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネー
ト、ジシクロヘキシルカーボネートなどが用いられる。
これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0030】芳香族モノヒドロキシ化合物としては、具
体的にはフェノール、o−クレゾール、m−クレゾー
ル、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−
キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレ
ノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール
等が挙げられるが、特にフェノールが好ましい。
【0031】本願発明に用いられる2種類の原料の使用
比率は、炭酸ジエステル化合物の使用モル数を芳香族ジ
ヒドロキシ化合物の使用モル数で除した値であらわした
原料モル比において、1.00から1.10の範囲の中
から選択することが好ましい。
【0032】さらに、本願発明の芳香族ポリカーボネー
トは、必要に応じて、脂肪族ジオールとして、例えば、
エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール、1,10−デカンジオ
ール等を、ジカルボン酸類として、例えば、コハク酸、
イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジ
ピン酸、シクロヘキサンカルボン酸、テレフタル酸等;
オキシ酸類例えば、乳酸、P−ヒドロキシ安息香酸、6
−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等を含有していても良
い。
【0033】本願発明に用いられる触媒は特に限定され
ないが、塩基性窒素化合物とアルカリ金属化合物および
/またはアルカリ土類金属化合物よりなるエステル交換
触媒を使用することができる。
【0034】本願発明で使用されるアルカリ金属および
/またはアルカリ土類金属化合物についても、得られる
芳香族ポリカーボネートの色相を低下させるものでなけ
れば特に制限はなく種々の公知のものを使用することが
できる。
【0035】触媒として用いられるアルカリ金属化合物
としては、例えばアルカリ金属の水酸化物・炭酸水素化
物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シ
アン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホ
ウ素塩、安息香酸塩、リン酸水素化物、ビスフェノー
ル、フェノールの塩等が挙げられる。
【0036】具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カ
リウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウ
ム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウ
ム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カ
リウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、
チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、ステア
リン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン
酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カ
リウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ酸ナト
リウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息
香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジ
カリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAの
ジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、フェノ
ールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙
げられる。
【0037】触媒として用いられるアルカリ土類金属化
合物としては、例えばアルカリ土類金属の水酸化物、炭
酸水素化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫
酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、
安息香酸塩、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げ
られる。
【0038】具体例としては、水酸化カルシウム、水酸
化バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウ
ム、炭酸水素バリウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸
カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、酢酸
カルシウム、酢酸バリウム、酢酸ストロンチウム、硝酸
カルシウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム、亜硝
酸カルシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ストロンチウ
ム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸バリウム、亜硫酸ストロ
ンチウム、シアン酸カルシウム、シアン酸バリウム、シ
アン酸ストロンチウム、チオシアン酸カルシウム、チオ
シアン酸バリウム、チオシアン酸ストロンチウム、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリ
ン酸ストロンチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化
ホウ素バリウム、水素化ホウ素ストロンチウム、安息香
酸カルシウム、安息香酸バリウム、安息香酸ストロンチ
ウム、ビスフェノールAのカルシウム塩、バリウム塩、
ストロンチウム塩、フェノールのカルシウム塩、バリウ
ム塩、ストロンチウム塩などが挙げられる。
【0039】本願発明においては所望により、触媒のア
ルカリ金属化合物として、(a)周期律表第14族の元
素のアート錯体のアルカリ金属塩または(b)周期律表
第14族の元素のオキソ酸のアルカリ金属塩を用いるこ
とができる。ここで周期律表第14族の元素とは、ケイ
素、ゲルマニウム、スズのことをいう。
【0040】(a)周期率表第14族元素のアート錯体
のアルカリ金属塩としては、特開平7−268091号
公報に記載のものをいうが、具体的には、ゲルマニウム
(Ge)の化合物;NaGe(OMe)5,NaGe
(OEt)3,NaGe(OPr)5,NaGe(OB
u)5,NaGe(OPh)5,LiGe(OMe)5
LiGe(OBu)5,LiGe(OPh)5を挙げるこ
とができる。
【0041】スズ(Sn)の化合物としては、NaSn
(OMe)3,NaSn(OMe)2(○Et)、NaS
n(OPr)3,NaSn(O−n−C6133,Na
Sn(OMe)5,NaSn(OEt)5,NaSn(O
Bu)5,NaSn(O−n−C12255,NaSn
(OEt)、NaSn(OPh)5,NaSnBu2(O
Me)3を挙げることができる。
【0042】また(b)周期律表第14族元素のオキソ
酸のアルカリ金属塩としては、例えばケイ酸(sili
cic acid)のアルカリ金属塩、スズ酸(sta
nnic acid)のアルカリ金属塩、ゲルマニウム
(II)酸(germanous acid)のアルカ
リ金属塩、ゲルマニウム(IV)酸(germanic
acid)のアルカリ金属塩を好ましいものとして挙
げることができる。
【0043】ケイ酸のアルカリ金属塩は、例えばモノケ
イ酸(monosilicic acid)またはその
縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その
例としては、オルトケイ酸モノナトリウム、オルトケイ
酸ジナトリウム、オルトケイ酸トリナトリウム、オルト
ケイ酸テトラナトリウムを挙げることができる。
【0044】スズ酸のアルカリ金属塩は、例えばモノス
ズ酸(monostannic acid)またはその
縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その
例としてはモノスズ酸ジナトリウム塩(Na2SnO3
・XH2O,X=0〜5)、モノスズ酸テトラナトリウ
ム塩(Na4SnO4)を挙げることができる。
【0045】ゲルマニウム(II)酸(germano
us acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲル
マニウム酸またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカ
リ金属塩であり、その例としてはゲルマニウム酸モノナ
トリウム塩(NaHGeO2)を挙げることができる。
【0046】ゲルマニウム(IV)酸(9german
ic acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲル
マニウム(IV)酸またはその縮合体の酸性あるいは中
性アルカリ金属塩であり、その例としてはオルトゲルマ
ニウム酸モノリチウム酸(LiH3GeO4)、オルトゲ
ルマニウム酸ジナトリウム塩、オルトゲルマニウム酸テ
トラナトリウム塩、ジゲルマニウム酸ジナトリウム塩
(Na2Ge25)、テトラゲルマニウム酸ジナトリウ
ム塩(Na2Ge49)、ペンタゲルマニウム酸ジナト
リウム(Na2Ge511)を挙げることができる。
【0047】触媒としてのアルカリ金属化合物またはア
ルカリ土類金属化合物は、当該触媒中のアルカリ金属元
素またはアルカリ土類金属元素が芳香族ジオール化合物
1モル当り1×10-8〜5×10-5当量となる場合で好
ましく使用される。より好ましい割合は同じ基準に対し
5×10-7〜1×10-5当量となる割合である。
【0048】当該触媒中のアルカリ金属元素量またはア
ルカリ土類金属元素量が芳香族ジオール化合物1モル当
り1×10-8〜5×10-5当量の範囲を逸脱すると、得
られる芳香族ポリカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼ
したり、また、エステル交換反応が充分に進行せず高分
子量の芳香族ポリカーボネートが得られない等の問題が
あり好ましくない。
【0049】また、触媒としての含窒素塩基性化合物と
しては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド
(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキ
シド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒド
ロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモ
ニウムヒドロキシド(φ−CH2(Me)3NOH)、ヘ
キサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの
アルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する
アンモニウムヒドロオキシド類、トリエチルアミン、ト
リブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシ
ルジメチルアミンなどの3級アミン類、あるいはテトラ
メチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NB
4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド
(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフ
ェニルボレート(Me4NBPh4)、テトラブチルアン
モニウムテトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)な
どの塩基性塩を挙げることができる。
【0050】上記含窒素塩基性化合物は、含窒素塩基性
化合物中のアンモニウム窒素原子が芳香族ジオール化合
物1モル当り1×10-5〜5×10-3当量となる割合で
用いるのが好ましい。より好ましい割合は同じ基準に対
し2×10-5〜5×10-4当量となる割合である。特に
好ましい割合は同じ基準に対し5×10-5〜5×10 -4
当量となる割合である。
【0051】なお、本願明細書において、仕込み芳香族
ジオール化合物に対するアルカリ金属化合物、アルカリ
土類金属化合物、含窒素塩基性化合物の割合いを、「芳
香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し金属または塩基性
窒素としてW(数値)当量のZ(化合物名)量」として
表現したが、これは、例えば、Zがナトリウムフェノキ
シドや2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ンモノナトリウム塩のようにナトリウム原子が一つであ
り、またはトリエチルアミンのように塩基性窒素が一つ
であれば、Zの量がWモルに相当する量であることを意
味し、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ンジナトリウム塩のように二つであれば、W/2モルに
相当する量であることを意味する。
【0052】本願発明の重縮合反応には、上記触媒と一
緒に、必要により、周期律表第14族元素のオキソ酸お
よび同元素の酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも
1種の助触媒を共存させることができる。
【0053】これら助触媒を特定の割合で用いることに
より、末端の封鎖反応、重縮合反応速度を損なうことな
く、重縮合反応中に生成し易い分岐反応や、成形加工時
における装置内での異物の生成、やけといった好ましく
ない副反応をより効果的に抑制することができる。
【0054】溶融重合は、ホスゲンやハロゲン化溶剤を
使用しない、環境問題の少ないポリカーボネートの製造
方法であり、かつ、コスト面の利点も期待されるため、
注目を集めているが、得られるポリマーの品質、特に色
相やゲルの面で界面重合法によって得られるポリカーボ
ネートに劣ると言う問題を有しており、これを解決する
ために様々な提案がなされてきた。しかしながら未だに
満足できる方法は見出されていないのが現状であり、特
に溶融重合法では、設備のスケールアップにより、得ら
れるポリカーボネートの品質が変化し、小スケールで得
られた良好な品質が再現できないという問題があった。
【0055】この現状に鑑み、本願発明者らは使用する
設備面の検討を行った結果、反応装置に用いられるメカ
ニカルシールに注目し、このシール液の混入が、得られ
るポリカーボネートの品質に大きな影響を及ぼすことに
着目した。
【0056】メカニカルシール液の混入を完全に無くす
ことはメカニカルシールの構造上無理があるため、本願
発明者らは、反応混合物に混入しても品質に影響を及ぼ
さないシール液を探索した結果、メカニカルシールのシ
ール液として実質的に芳香族モノヒドロキシ化合物より
なるシール液を用いることにより良好な品質が維持でき
ることを見出し、本願発明に到達した。
【0057】本願発明者らの検討によると、溶融重縮合
法による芳香族ポリカーボネート製造は高い温度と真空
度の下で実施されるが、芳香族ポリカーボネートは酸素
存在下で加熱すると極めて短時間でゲル化、着色が生じ
る。従って、溶融重縮合の過程で反応混合物が酸素と接
触することは厳密に避ける必要がある。また、芳香族ポ
リカーボネートは一般に非晶性ポリマーとして知られて
いるが、溶融温度以上の比較的低い温度でポリマーを保
持した場合、結晶化による異物を生じる。従って、溶融
重縮合の過程で反応混合物の温度を高温に維持する必要
がある。
【0058】一方、製造に用いられる装置は高い真空度
で操作されるため、空気の漏れこみを生じやすく、特に
回転部を有する装置では回転部分より空気の漏れこみが
発生しやすい。これを防ぐために回転部分にメカニカル
シールを設置して外部と内部を完全にシールすることが
一般に実施されている。
【0059】メカニカルシールは回転軸に取り付けられ
た回転環と容器本体に取り付けられた固定環を両者の滑
らかな面を接触させてシールを行う構造を持ち、接触面
の潤滑を行うためにシール液が使用される。このため、
シール液は接触面を通して必然的に容器内部に流入す
る。この漏れこみ量は僅かであるが反応混合物への混入
は避けられない。
【0060】従って、メカニカルシールのシール液とし
ては反応混合物に対して化学的に不活性な物質を用いる
ことが好ましく、また、結晶化異物の生成を防止するた
めにシール部分がかなり高温になることを考慮して熱的
に安定な物質を用いることが好ましい。
【0061】しかし、通常使用される水は反応混合物に
対し活性が小さく、熱的に安定であるものの、沸点が低
いためにメカニカルシールおよびシール液循環系に高圧
が掛かり溶融重縮合法による芳香族ポリカーボネートの
製造には使用できない。
【0062】また、流動パラフィン等は沸点が高く、耐
熱性も有しているが、反応混合物に溶解せず混入した場
合は異物として挙動する。
【0063】更に、ポリエステルの溶融重合設備のシー
ル液として用いられているエチレングリコールやトリエ
チレングリコールは反応混合物に対し化学的に活性であ
り芳香族ポリカーボネート分子鎖に異種構造として組み
込まれ、芳香族ポリカーボネートの特性を悪化させる。
【0064】このようにメカニカルシールのシール液と
して適切な物質は知られておらず、ポリマー品質に大き
な影響を及ぼしていると考えられる。
【0065】本願発明は、芳香族ポリカーボネートの溶
融重合設備に用いられるメカニカルシールのシール液と
して最適な物質を提供することで構成される。
【0066】本願発明にかかる芳香族ポリカーボネート
の製造方法では、溶融重縮合反応を実施する装置のメカ
ニカルシールのシール液として実質的に芳香族モノヒド
ロキシ化合物よりなるシール液を用いることで、上述の
ような問題を解決し、色相に優れ、異物のない芳香族ポ
リカーボネートを製造することができる。
【0067】本願発明にかかる芳香族ポリカーボネート
の製造方法において、回転部分を有する装置とは、芳香
族ポリカーボネートの溶融重縮合に使用される設備の
内、撹拌機や、送液装置の送り羽根のような回転部分を
有する設備を意味する。たとえば、竪型反応器、横型反
応器や反応混合物を移送するポンプが、これに該当す
る。さらに反応器からの反応混合物の取り出し装置(た
とえばスクリュー状のもの)もこれに該当する。
【0068】このような回転軸は、メカニカルシールの
他、スクリューラビリンス、Oリング、グランドシール
等を併設することができる。
【0069】本願発明において、シール液に使用される
芳香族モノヒドロキシ化合物は反応混合物に混入する
と、反応混合物中のポリカーボネート重合体の分子鎖を
切断し、その末端にヒドロキシフェニル末端およびフェ
ニルカーボネート末端として組み込まれる。
【0070】この意味では芳香族ヒドロキシ化合物は反
応混合物に対し化学的に活性な物質であるが、溶融重合
法で生成するポリカーボネート重合体は本来ヒドロキシ
フェニル末端とフェニルカーボネート末端を有しており
異質な構造がポリマー分子鎖に組み込まれ、芳香族ポリ
カーボネートの諸特性を低下させることはない。
【0071】また、切断された分子鎖は引き続く重合操
作により他の分子鎖と変わることなく重合でき芳香族ポ
リカーボネートを与える。
【0072】すなわち、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭
酸ジエステルとをエステル交換させて芳香族ポリカーボ
ネートを製造する方法(溶融重合法)は可逆反応であ
り、重合反応と平行し、副生した芳香族モノヒドロキシ
化合物による逆反応が常に生じている。
【0073】メカニカルシールから混入した芳香族モノ
ヒドロキシ化合物は僅かであり、この逆反応を僅かに助
長させるだけであり全体に及ぼす影響は無視できる。
【0074】上記観点から、本願発明のシール液に使用
される芳香族モノヒドロキシ化合物としては芳香族ジヒ
ドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの溶融重合で副生す
る芳香族モノヒドロキシ化合物と同一の化合物が最も好
ましく、このようにすることにより、シール液の混入に
よる反応混合物への影響は完全に防止できる。
【0075】例えば、具体的対応を挙げれば、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸
ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用い、溶融
重合法で芳香族ポリカーボネートを製造する設備におい
ては、メカニカルシールのシール液としてフェノールを
用いることが最も好ましい。
【0076】本願発明において、溶融重合で副生した芳
香族モノヒドロキシ化合物を循環して使用して実施する
場合、捕集した副生物をそのまま、あるいは簡単な濾過
を介して使用することができるが、捕集した副生物は僅
かなオリゴマーや原料として使用したモノマーを含むた
め、蒸留などで精製して使用することが、シール液の耐
熱性を高める観点から好ましい。
【0077】芳香族モノヒドロキシ化合物は室温より高
い融点を持つ場合が多く、シール液取り扱い設備に加熱
が必要となり、ハンドリングが煩雑になる場合がある。
このような場合は少量の水を加え、融点を下げることに
より設備を簡略化し、ハンドリングを容易にすることが
でき、好ましい場合も多い。
【0078】この場合、水の含有量は、シール液に使用
される芳香族モノヒドロキシ化合物との合計に対する当
該水の重量割合で20/100以下、好ましくは10/
100以下とする。このようにすることにより、混合液
の沸点を過度に引き下げることなく、融点を室温付近ま
で低下することが可能となる。
【0079】本願発明において、芳香族モノヒドロキシ
化合物をシール液に使用する温度に特に制限は無く、融
点以上の温度から使用条件における沸点より低い温度の
範囲で用いることができる。また、使用する圧力にも特
に制限は無く、使用温度における沸騰圧より高い圧力で
好ましく使用することができる。
【0080】本願発明にかかる芳香族ポリカーボネート
の製造方法および設備は、取り扱われる反応混合物の分
子量で特に制限を受けることは無く、如何なる分子量の
反応混合物に対しても適用できるが、一般には最初の反
応槽で生成される反応混合物の粘度平均分子量である1
000以上のものに対して好ましく使用される。
【0081】なお、本願発明で得られたポリカーボネー
トに触媒失活剤を添加することもできる。
【0082】本願発明に使用する触媒失活剤としては、
公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもス
ルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好まし
く、更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の上記塩類
やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩
等のパラトルエンスルホン酸の上記塩類が好ましい。ま
たスルホン酸のエステルとしてベンゼンスルホン酸メチ
ル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブ
チル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン
酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトル
エンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチ
ル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンス
ルホン酸フェニル等が好ましく用いられ、就中、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最
も好ましく使用される。
【0083】これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金
属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選
ばれた前記重合触媒1モル当たり0.5〜50モルの割
合で、好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ま
しくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
【0084】これらの触媒失活剤は直接、または適当な
溶剤に溶解または分散させて溶融状態のポリカーボネー
トに添加、混練する。このような操作を実施するのに用
いられる設備に特に制限は無いが、例えば2軸ルーダー
等が好ましく、触媒失活剤を溶剤に溶解または分散させ
た場合はベント付きの2軸ルーダーが特に好ましく使用
される。
【0085】また本願発明においては、本願発明の目的
を損なわない範囲でポリカーボネートに添加剤を添加す
ることができる。この添加剤は触媒失活剤と同様に溶融
状態のポリカーボネートに添加することが好ましく、こ
のような添加剤としては例えば、耐熱安定剤、エポキシ
化合物、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、スリップ剤、
アンチブロッキング剤、滑剤、有機充填剤、無機充填剤
等をあげることができる。
【0086】これらの内でも耐熱安定剤、紫外線吸収
剤、離型剤、着色剤等が特に一般的に使用され、これら
は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0087】本願発明に用いられる耐熱安定剤として
は、例えば、燐化合物、フェノール系安定剤、有機チオ
エーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等を挙げ
ることができる。
【0088】また、紫外線吸収剤としては、一般的な紫
外線吸収剤が用いられ、例えば、サリチル酸系紫外線吸
収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収
剤等を挙げることができる。
【0089】また離型剤としては一般的に知られた離型
剤を用いることができ、例えば、パラフィン類などの炭
化水素系離型剤、ステアリン酸等の脂肪酸系離型剤、ス
テアリン酸アミド等の脂肪酸アミド系離型剤、ステアリ
ルアルコール、ペンタエリスリトール等のアルコール系
離型剤、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリ
トールのステアレート等の脂肪酸エステル系離型剤、シ
リコーンオイル等のシリコーン系離型剤等を挙げること
ができる。
【0090】着色剤としては有機系や無機系の顔料や染
料を使用することができる。
【0091】これらの添加剤の添加方法に特に制限はな
いが、例えば、直接ポリカーボネートに添加してもよ
く、マスターペレットやマスターパウダーを作成して添
加してもよい。
【0092】
【発明の効果】本願発明によれば、色相に優れ、異物の
少ない芳香族ポリカーボネートを製造することができ
る。
【0093】
【実施例】以下実施例によって説明する。なお実施例中
の%および部は特に断らない限り重量%または重量部で
ある。なお、以下の実施例において得られた反応混合物
およびポリカーボネートの物性は、以下のようにして測
定した。
【0094】[固有粘度および粘度平均分子量]0.7
g/dLの塩化メチレン溶液をウベローデ粘度計を用い
固有粘度を測定し、次式により粘度平均分子量を求め
た。
【0095】[η]=1.23×10-40.83 [色調(b値)]ポリカーボネートペレット(短径×長
径×長さ(mm)=2.5×3.3×3.0)のLab
値を日本電色工業製ND−1001DPを用い、反射法
で測定し黄色度の尺度としてb値を用いた。
【0096】[異物量]ポリカーボネートペレット1K
gを5Lの塩化メチレンに溶解した後、目開き30μm
のフィルターを用いてろ過し、フィルター上に捕集され
た異物の個数をカウントした。
【0097】[実施例1]初期重合設備と後期重合設備
とよりなる連続重合設備を使用して、芳香族ポリカーボ
ネートの溶融重縮合を実施した。初期重合設備は、精留
塔を有する竪型撹拌槽を2基直列に配置することにより
構成されており、後期重合設備は1基の横型の撹拌槽よ
り構成されていた。後期重合設備で得られた重合生成物
は、連続的にダイスより押出し、冷却バスでストランド
とした後、カッターによってペレットとした。
【0098】2基直列に設置された竪型撹拌槽は、各々
1ヶ所にメカニカルシールによる撹拌軸の軸受け部を持
ち、それぞれのメカニカルシール部にはシール液として
フェノールを循環できるノズルを有していた。
【0099】フェノールは、60℃に温調された常圧、
窒素雰囲気下の貯槽に貯留されており、渦巻きポンプに
よってそれぞれのメカニカルシールに連続的に供給され
た。
【0100】後期重合槽は、1軸の横型撹拌槽であり、
軸封部の外側から内側(反応槽側)にかけてメカニカル
シールとグランドシールとスクリューラビリンスとを順
次配置して構成された軸受け部を持ち、メカニカルシー
ル部にはシール液としてフェノールを循環できるノズル
を有していた。
【0101】フェノールは、60℃に温調された上記と
同一の貯槽に貯留されており、同様にしてメカニカルシ
ール部に連続的に供給された。
【0102】また、第1の竪型撹拌槽で生成した反応混
合物を第2の竪型撹拌槽に移送する配管、第2の竪型撹
拌槽で生成した反応混合物を横型1軸撹拌槽に移送する
配管には、各々、メカニカルシールを有するギアポンプ
が設置され上記と同様にしてシール液として60℃に温
調されたフェノールが循環されていた。
【0103】なお、横型1軸撹拌槽で生成したポリカー
ボネートをダイスに移送する配管にはポリマーシールを
有するギアポンプが設置されていた。溶融重縮合の運転
条件は次のとおりであった。
【0104】芳香族ジヒドロキシ化合物としてのビスフ
ェノールAと炭酸ジエステルとしてのジフェニルカーボ
ネートとを1対1.01(モル比)の割合で混合し、重
合原料として用いた。
【0105】重合触媒としては、ビスフェノールAのジ
ナトリウム塩を、フェノール溶液として用いた。
【0106】原料供給量を12.5Kg/hrとし、触
媒溶液供給量を、ビスフェノールAのジナトリウム塩
が、原料として供給されるビスフェノールAの1モルに
対し1×10-6当量となるよう触媒溶液供給ポンプの流
量を調整し、第1の竪型撹拌槽に供給した。
【0107】第1の竪型撹拌槽は内温220℃、内圧1
00Torr(13300Pa)に維持されており、得
られた粘度平均分子量が1500の反応混合物をギアポ
ンプにより第2の竪型撹拌槽に移送した。
【0108】第2の竪型撹拌槽は内温260℃、内圧1
5Torr(1995Pa)に維持されており、得られ
た粘度平均分子量が6000の反応混合物をギアポンプ
により横型1軸撹拌槽に移送した。
【0109】横型1軸撹拌槽は内温270℃、内圧1T
orr(133Pa)に維持されており、得られた粘度
平均分子量が15200±100のポリカーボネートを
連続的にダイスに送りペレットとすることで連続溶融重
縮合を実施した。
【0110】得られたポリカーボネートの色相と異物含
有量を測定した結果、色相b値は−0.5であり、異物
含有量は5個/Kgであった。また目視観察でにごりは
全く認められなかった。
【0111】[実施例2]水とフェノールとの混合液で
あって水とフェノールとの合計に対する水の重量割合が
10/100のものをメカニカルシールに循環するシー
ル液として使用した以外は実施例1と同様にして連続溶
融重合を実施した。
【0112】その結果、品質的に実施例1との差異は認
められなかった。
【0113】[比較例1]実施例1と同じ装置を用い、
メカニカルシールに循環するシール液をトリエチレング
リコールとした以外は実施例1と同様にして連続溶融重
合を実施した。
【0114】得られたポリカーボネートの色相と異物含
有量を測定した結果、色相b値は0.4であり、異物含
有量は15個/Kgであった。目視観察による濁りは認
められなかった。
【0115】[比較例2]実施例1と同じ装置を用い、
メカニカルシールに循環するシール液を流動パラフィン
とした以外は実施例1と同様にして連続溶融重合を実施
した。
【0116】得られたポリカーボネートの色相と異物含
有量を測定した結果、色相b値は−0.3であり、異物
含有量は10個/Kgであった。しかし目視観察により
ペレットに濁りが認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐脇 透 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 佐々木 勝司 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4J029 AA09 AA10 AE05 BB04A BB05A BB05B BB12A BB13A BB13B BF14A BF14B BH02 DB07 DB10 DB13 HC04A HC05A HC05B KE05 LA06 LA08 LA09 LA10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
    テルとを触媒の存在下または非存在下に溶融重縮合して
    芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、 実質的に水と芳香族モノヒドロキシ化合物とよりなり、
    当該水と当該芳香族モノヒドロキシ化合物との合計に対
    する当該水の重量割合が0/100〜20/100の間
    にあるシール液を使用したメカニカルシールを有する少
    なくとも1基以上の回転部分を有する装置を用いて製造
    を行う芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記水と前記芳香族モノヒドロキシ化合
    物との合計に対する当該水の重量割合が実質的に0/1
    00であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポ
    リカーボネートの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記回転部分を有する装置が竪型撹拌
    槽、横型撹拌槽、ギアポンプから選ばれた少なくとも1
    種であることを特徴とする、請求項1または2に記載の
    芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記メカニカルシールのシール液中の芳
    香族モノヒドロキシ化合物が溶融重縮合で副生する芳香
    族モノヒドロキシ化合物を少なくとも1部含むことを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカ
    ーボネートの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記メカニカルシールのシール液中の芳
    香族モノヒドロキシ化合物がフェノールを含むことを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリカ
    ーボネートの製造方法。
  6. 【請求項6】 実質的に水と芳香族モノヒドロキシ化合
    物とよりなり、当該水と当該芳香族モノヒドロキシ化合
    物との合計に対する当該水の重量割合が0/100〜2
    0/100の間にあるシール液を使用したメカニカルシ
    ールを有する、芳香族ポリカーボネートの溶融重合用の
    回転部分を有する装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の回転部分を有する装置
    を少なくとも1基以上有する芳香族ポリカーボネートの
    溶融重合製造設備。
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