JP3542279B2 - 空気循環式電気掃除機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動送風機が内蔵された掃除機本体を持って動かすためのハンドルを備える空気循環式電気掃除機に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気循環式電気掃除機は、掃除機本体内の電動送風機の動作により、掃除機本体の接続口に連通された吸込み口体の吸気口から空気を吸込み、この吸込んだ空気をフィルタに通して塵埃を捕捉し、フィルタを通過して電動送風機から排出された空気を吸気口に戻して、この戻された空気を回収し、循環させながら掃除をするものである。
【0003】
この種の電気掃除機では、電動送風機により加熱された空気が循環するので、掃除機本体の温度が上昇し易く、それに伴い掃除機本体に設けられたハンドルの温度も上昇し易い。しかし、従来において商品化できる程度に開発された空気循環式電気掃除機はいまだ提供されていないので、ハンドルの温度上昇を抑制できるようにした工夫は、従来提案されている空気循環式電気掃除機では知られていない。
【0004】
また、空気循環式電気掃除機の中には、電動送風機から排出された空気の一部を掃除機本体外に放出するものが提案されており、こうした放出を行う場合には掃除機本体ひいてはハンドルの温度を低下させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、掃除機本体は複数の合成樹脂製ケース部材をねじ止めして形成されるので、そのハンドルも当然合成樹脂製であって、内部は中空に作られる。そのため、空気循環式電気掃除機において、その電動送風機から排出された温度が高い空気がハンドル内を通るようになると、ハンドルの温度が高まってしまうので、使用者の手が握ったハンドルを熱く感じてしまうとともに、手の平に汗をかいた場合にはハンドルから手が滑るおそれも高まり易くなる。そこで、商品化にあたり、こうした点を改善することが望まれている。特に、掃除中殆どの期間にわたりハンドルを握って使用されるハンディ形の空気循環式電気掃除機においては、前記の要請が強い。一方、既述のように電動送風機から排出された温度が高い空気の一部を排出するもので、その排出空気量を増加させれば、ハンドル等の温度上昇を抑制できる。しかし、その代りに循環によって吸込み口体に戻されてその吸気口側に吹出される風の勢いが弱まってしまうので、吸塵能力が低下してしまうという問題がある。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、吸塵能力の低下を伴うことなく簡単な構成でハンドルを握った手が熱さを感じることを少なくできる空気循環式電気掃除機を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、掃除機本体内の電動送風機の動作により、吸込み口体の吸気口から空気を吸込み、この吸込んだ空気をフィルタに通して塵埃を捕捉し、前記フィルタを通過して前記電動送風機から排出された空気を前記吸気口に戻して、この戻された空気を回収し循環させながら掃除をするとともに、前記電動送風機の上方位置に中空のハンドルが設けられた空気循環式電気掃除機を前提とする。
【0008】
そして、前記課題を解決するために、請求項1の発明は、前記ハンドルの根元部内に仕切り壁を複数設けて、これら仕切り壁間に遮熱層を形成したことを特徴とするものである。
【0009】
この請求項1の発明において、中空のハンドルの根元部内の複数の仕切り壁は、掃除機本体内とハンドル内との連通を断つので、掃除機本体内に電動送風機から排出される温度が高い空気がハンドル内へ入り込んで対流することを防止する。しかも、これら仕切り壁間に形成された遮熱層は、掃除機本体内の温度が高い空気とハンドル内の空気との熱交換を防止する。したがって、ハンドルの温度上昇を抑制できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図10を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。図1〜図3に示されるように第1の実施の形態に係るハンディ型の空気循環式電気掃除機11は、掃除機本体12と、吸込み口体13とを備えている。
【0013】
図2〜図4に示されるように掃除機本体12は、左右一対の合成樹脂製ケース部材をねじ止め等で連結してなる本体ケース21を有し、この本体ケース21の前部にはその前傾した前端面に一端が露出する接続口22が取付けられている。接続口22は大径部と小径部とを連ねて段付き円筒状をなしている。この接続口22には吸込み口体13が着脱自在に挿入して取付けられる。接続口22の小径部と大径部との境をなす壁面には複数の通気口22aが周方向に間隔的に設けられている。
【0014】
前記両ケース部材の内面にはこれらの部材の連結に伴って先端が互いに当接される所要の仕切りリブが一体に設けられており、これらリブによって本体ケース21内は、前部の集塵室24と、後部の排気室25と、これら集塵室24、排気室25の下側にわたって設けられて戻し風路をなす本体ケース21下部の還流室26とに仕切られている。
【0015】
排気室25の前側に位置された集塵室24の上面は開口され、この開口は本体ケース21の前部上側部分に着脱可能に取付けられるケース蓋27により気密的に閉じられている。ケース蓋27は、その前端の爪27aを本体ケース21に設けた爪受孔28に挿入した状態で、この爪受孔28を支点に下向きに回動させて、後端部に設けた係合凸部27bを、本体ケース21に設けた半球状の係合凸部受け29の下側にこの受け29を上方から乗り越えさせて引掛けることにより、閉蓋状態に取付け保持される。このケース蓋27は、気密シール用の環状シール30を有しているとともに、複数本の指を差し入れることができる手掛け孔31を有している。手掛け孔31は差し入れた指とともにケース蓋27を引き上げることにより、この蓋27を上方に引き外すことができる。
【0016】
集塵室24の前壁はフィルタ取付け部32として形成され、このフィルタ取付け部32の上端近傍には手動によりばね33aの力に抗して図2中矢印方向に回動操作されるフィルタ押さえ33が取付けられている。集塵室24に出し入れ可能に収容されるフィルタとしての紙パック製の集塵袋34は、その口枠34aをフィルタ押さえ33によりフィルタ取付け部32に取付けることにより集塵室24に収容されている。集塵室24の後部には多数の細長い通気孔を有したフィルタ支え35が収容され、このフィルタ支え35は掃除動作に伴い膨張した集塵袋34の後面を支持する。
【0017】
排気室25には電動送風機41がその吸込み口を集塵室24側に向けて設置されている。なお、42、43は電動送風機41の前後に嵌合された防振パッキンである。排気室25と集塵室24との境界部に位置されるリブには前記吸込み口に対向する開口44が開けられており、それによって集塵室24内の集塵袋34を通過した空気が電動送風機41に吸込まれる。更に、排気室25には電動送風機41の後方に位置してユニット化されたコードリール装置45が収容されている。このコードリール装置45から本体ケース21外に引き出される電源コードを介して電動送風機41等への給電が行われる。
【0018】
図2〜図4に一部が示されるように電動送風機41は、固定子と、この固定子の鉄心の一端面にねじ止めされたディフューザと、このディフューザの周部に嵌合して取付けられて前記吸込み口を有したファンカバー50と、固定子鉄心の他端面にねじ止めされた軸受ブラケット51と、この軸受ブラケット51と前記ディフューザとに夫々取付けられた図示しない軸受にわたって回転自在に支持された回転子と、この回転子の回転子軸52の一端部に連結されて前記ファンカバー50で覆い隠される遠心ファンと、回転子52が有する図示しない整流子に弾性的に押付けられるカーボンブラシを有した一対のブラシ装置とを有している。ファンカバー50の外周面には前記防振パッキン42が嵌合されている。図4に示されるように軸受ブラケット51は例えば4本の柱51aと、これらにわたって一体に設けられて軸受51bを支持する軸受サポート部51cと、前記柱51aの他端部に設けられた固定子鉄心への取付け部とからなり、そのうちの2本の柱51aに前記ブラシ装置が取付けられている。
【0019】
この電動送風機41の運転時には、その吸込み口から遠心ファンに吸込まれた空気が、このファンの周囲から吐出された後、ファンカバー50の内面で案内されながらディフューザ内にその外周部の入口から流入し、そして、このディフューザにより静圧化されながら固定子の周囲に向けて流出されるようになっている。
【0020】
図2及び図3に示されるように電動送風機41には、その固定子及び軸受ブラケットを覆い隠して合成樹脂等からなる円筒状のモータカバー53が前記ディフューザの外周部に嵌合して取付けられている。このモータカバー53の底壁には前記ブラケット51の軸受サポート部51cが貫通され、このサポート部51cの外面に前記防振パッキン43が嵌合されている。モータカバー53の周部には短い筒状の還流ポート54が外方に向けて一体に突設され、この還流ポート54は前記両室24、25と還流室26との境界をなした仕切りリブ55に設けた孔56に挿通されている。そのため、還流ポート54を介してモータカバー53内と還流室26とは連通されている。図2〜図4に示されるようにモータカバー53の外周面には減音部材57が巻き付けられているとともに、これらモータカバー53と減音部材57とには互いに連通する1以上の排気通孔53a、57aが開けられている。これらの通孔53a、57aを介してモータカバー53内と排気室25とが連通されている。
【0021】
図2及び図3中67は電動送風機41への通電をオン・オフするスイッチである。又、66は、電動送風機41の吸込み側に位置する集塵室24内の真空圧が所定の値をより下がった時に開いて外気を集塵室24内に導入するためのリーク弁である。リーク弁66は本体ケース21の上部に集塵室24と本体ケース21外とを連通する通気路に設けられている。図2中68はリーク弁66の上流側に設けられて前記通気路の一部をなす外気取入れ口であり、これは前記手掛け孔31を介して本体ケース21の外部と連通されている。
【0022】
図5等に示されるように排気室25に臨んだ本体ケース21の後部側壁には、例えば複数の排気孔を並設してなる排気部62が設けられ、この排気部62を通して電動送風機41から排出される空気の一部を本体ケース21の外部に逃がすようになっている。排気部62を通って掃除機本体12に逃される空気量は、リーク弁66による最大外気取込み量より多く、言い換えれば、掃除機本体12外に逃される空気量よりもリーク弁66による最大外気取込み量が少なくなるように設定されている。
【0023】
前記本体ケース21の後部上側には電動送風機41の上方に位置してハンドル23が設けられ、このハンドル23を握持することにより電気掃除機11全体を片手で持ち動かすことができるとともに、前記握持状態で前方のスイッチ67を親指で操作できるようになっている。ハンドル23は、前記ケース部材に一体に形成され、内部は中空に形成されている。
【0024】
このハンドル23は、握持部分23aと、これから排気室62にわたる第1、第2の根元部23b、23cとを有している。前側位置の第1根元部23bと後側位置の第2根元部23cの内部には、排気室62内に排出される温度が高い空気を原因とする握持部分23aの温度上昇を抑制するために以下の昇温抑制手段が夫々講じられている。
【0025】
すなわち、図2及び図9に示されるように第1根元部23b内には、複数例えば2枚の仕切り壁111、112が設けられているとともに、遮熱層113が形成されている。同様に、図2及び図10に示されるように第2根元部23c内には、複数例えば2枚の仕切り壁114、115が設けられているとともに、遮熱層116が形成されている。
【0026】
仕切り壁111は夫々前記一対のケース部材から一体に突設されて先端が互いに当接し合うリブ状の壁部111a、111bからなり、仕切り壁112も夫々一対のケース部材から一体に突設されて先端が互いに当接し合うリブ状の壁部112a、112bからなる。壁部111a、112a間にはこれらにわたってねじ受けボス117が一体に形成されているとともに、壁部111b、112bにもこれらにわたって連結ボス118が一体に形成されている。第1根元部23bの外面に開口する連結ボス118の先端部にはねじ受けボス117が嵌合され、この連結ボス118を通してねじ受けボス117にねじ119をねじ込むことにより、前記一対のケース部材は第1根元部23bにおいて連結されている。
【0027】
同様に、仕切り壁114は夫々前記一対のケース部材から一体に突設されて先端が互いに当接し合う壁部114a、114bからなり、仕切り壁115も夫々一対のケース部材から一体に突設されて先端が互いに当接し合う壁部115a、115bからなる。壁部115aの中央部にはねじ受けボス120が一体に形成されているとともに、壁部115bの中央部には連結ボス121が一体に形成されている。第2根元部23cの外面に開口する連結ボス121の先端部にはねじ受けボス120が嵌合され、この連結ボス118を通してねじ受けボス120にねじ122をねじ込むことにより、前記一対のケース部材は第2根元部23bにおいても連結されている。
【0028】
第1根元部23bの遮熱層113は互いに隣接した仕切り壁111、112間の空気層により形成されている。同様に、第2根元部23cの遮熱層116も互いに隣接した仕切り壁114、115間の空気層により形成されている。
【0029】
さらに、ハンドル23の握持部分23aにはその表面全体に凹凸125(なお、説明の都合上、図1において2点鎖線の平行斜線を交差して付して示す。)が設けられている。この凹凸125は例えばしぼ付け加工等により設けられる。加工される凹凸125はしぼのように微小であっても、そうでなくてもよく、又、凹凸125は握持部分23aだけではなくハンドル23の全表面に設けてもよい。
【0030】
次に、図6〜図8を参照して前記吸込み口体13について説明する。吸込み口体13は、接続部としての接続管71と、吸込み口体主部72と、還流吹出し口73とを備えている。
【0031】
例えば前記接続口22に着脱可能に挿入して掃除機本体12側に連通される接続管71は、両端が開口された内側接続管75と、この先端部側に一体かつ同軸的に設けられた外側接続管76とを有している。
【0032】
外側接続管76よりも長い円筒形状の内側接続管75は、接続口22の小径部に挿入されて前記口枠34aが有するシール弁(図示しない)に当接されて、塵埃を含んだ空気を前記集塵袋34内に導くようになっている。この内側接続管75の本体ケース21外に突出される先端部の開口縁には上下一対のストッパ突縁77、78が外向きに突出されている。
【0033】
短い円筒形状をなすとともに前記先端部の開口縁側に向かうにしたがって次第に小径となるテーパ部を有した外側接続管76は、接続口22の大径部に挿入されるもので、その軸方向一端において内側接続管75との間に還流空気導入口76aを形成している。この外側接続管76の軸方向他端部には前記軸方向に対して直角で互いに外側方向を向いて開口する左右一対の還流空気導出口76bが形成されている。これら還流空気導出口76bの周壁は円環形の枢軸筒部79をなしている。外側接続管76の還流空気導入口76a側の外周面には合成ゴム製Oリング等の気密シール材80が取付けられている。
【0034】
この接続管71を前記接続口22に挿入する際には、図2に示されるように外側接続管76が接続口22の通気口22aが開けられた壁面に当るまで挿入され、この挿入により外側接続管76が接続口22の内周面に嵌合されて、この内周面との間の気密を気密シール材80により確保して本体ケース21に取付けられる。この取付け状態での外れ止めはゴム製気密シール材80の摩擦係合力でなされる。前記還流室26と外側接続管75の内部とは、接続口22に取付けられた接続管71の還流空気導入口76a及びこれと近接して対向する通気口22aとを介して連通される。
【0035】
吸込み口体主部72は主部上ケース81と主部下ケース82とをねじ止めにより連結して形成されている。主部上下両ケース81、82の内面にはリブ状をなす一対の軸受板が突設されていて、これらにより前記枢軸筒部79が上下から挟まれ回動可能に貫通して支持されている。この支持構造により吸込み口体主部72が接続管71に対して上下方向に回動可能に枢着され、その回動により被掃除面に対して適正な姿勢を吸込み口体主部72が得られるようになっている。なお、図6中85はストッパ突縁77に接離される上部ストッパ、86はストッパ突縁78に接離される下部ストッパであり、これらにより接続管71に対する吸込み口体主部72の上下方向に回動角が規制される。
【0036】
図6に示されるように主部上ケース81と主部下ケース82とには、互いに連続して内側接続管75の先端開口を覆い隠す隔壁87、88が設けられていて、下部の隔壁88の下面は開口されている。吸込み口体主部72内には、隔壁87、88等によって前記内側接続管75に連通する回収室89が区画されているとともに、回収室89をその下面開口を除いて囲む吹出し室90が区画されている。回収室89は次に述べる吸気口92に連通されており、また、吹出し室90には前記還流空気導出口76bが連通されている。
【0037】
主部下ケース82にはその底壁91に開口する吸気口92が設けられ、この吸気口92の中央部分は隔壁88の下面開口と対向されている。隔壁88の下端部は他の部分より肉厚となっており、この肉厚端部の下面と底壁91の内面との間には、回収室89の一側(本実施の形態では前側)に位置される還流吹出し口73が形成されている。この還流吹出し口73からは吹出し室90内に戻された空気が回収室89側に向けて吹出される。なお、図6及び図8等において符号95は主部下ケース82の前後外側面に夫々取付けられたスペーサ手段をなす回転自在なローラであり、被掃除面と吸気口92との間に所定の狭い吸込み間隙を形成するようになっている。
【0038】
次に、前記構成の電気掃除機11の動作を説明する。この電気掃除機11は図2に示されるように掃除機本体12の接続口22に吸込み口体13の接続管71を差込み接続した状態で、ハンドル23を握持して掃除機11全体を持ったままで電動送風機41を運転することにより使用される。
【0039】
この使用時には、吸込み口体13の内側接続管75を通って集塵袋34に流入した吸気風(図2及び図6中点線矢印で流れ方向示す)中に含まれる塵埃が集塵袋34に捕捉され、この集塵袋34を通った空気は、更にフィルタ支え35を通過して電動送風機41に吸込まれてから、モータカバー53の還流ポート54を通って還流室26に排出されるとともに、その一部は排気通孔53a及び孔57aを通って排気室25に排出される。
【0040】
こうして還流室26に流入した排気は、接続口22の通気口22aから接続管71の外側接続管76内に導入されて、この外側接続管76の還流空気導出口76bから吸込み口体主部72の吹出し室90に導出された後、還流吹出し口73から吸気口92に吹出されて、接続管71の内側接続管75を介して掃除機本体12側に吸込まれる。こうした風の流れを図2及び図6中実線矢印で示す。このように電動送風機41から排出された空気を吸込み口体13で回収し循環させることに伴い、その勢いで吸込み口体13の吸気口92に外部の空気が塵埃とともに吸込まれるので、空気循環式の掃除をすることができる。
【0041】
こうした掃除において電動送風機41から排出される空気の温度は高く、その一部は既述の排気通孔53a、57aを通って排気室25に排出され、さらに排気部62を通って掃除機本体12外に排出される。ところで、掃除作業中殆ど握られている中空のハンドル23は、電動送風機41及び排気室25の上方に設けられているから、これらの熱、取分け排気室25内に排出された温度が高い空気の影響を受け易いと考えられるが、それにも拘らず、このハンドル23の温度上昇を低く保持できる。
【0042】
すなわち、ハンドル23の第1、第2の根元部23b、23c内には夫々2枚の仕切り壁111、112又は114、115を設けたから、これらによって掃除機本体12の排気室25の内部と中空のハンドル23の内部との連通を遮断できる。それにより、電動送風機41で加熱されて排気室25に排出される温度が高い空気がハンドル23内へ入り込んで対流することが防止される。しかも、仕切り壁111、112相互間及び仕切り壁114、115相互間には、夫々空気断熱を行なう遮熱層113及び116が形成されているので、これらによって排気室25内の空気とハンドル23内の空気との熱交換を防止できる。このように排気室25内の空気の熱が直接的にハンドル23に及ぶことが少なく、ハンドル23は掃除機本体12をなす前記ケース部材の熱伝導を通してのみ温度上昇されるが、ケース部材は合成樹脂であるので熱伝導性が悪く、かつ、ハンドル23全体は外気に晒されていて周囲への放熱性がよい。したがって、前記第1、第2の根元部23b、23cの内部構造によりハンドル23の握持部分23aの温度上昇が抑制され、ハンドル23を握った手が熱さを感じることを少なくできる。このような感触を得られることは、掃除中殆どの期間にわたりハンドル23を握って操作をする必要がある本実施形態のハンディ形の空気循環式電気掃除機において、使用時の熱的不快感を低減できる点で特に有効である。
【0043】
その上、握持部分23aに凹凸125を設けたから、この凹凸125によって握持部分23aとこれを握った使用者の手との間に僅かな空気層を形成して、手と握持部分23aとの接触面積を少なくできる。そのため、握持部分23aから手への熱伝導を抑制し、このことによってもハンドル23を握った手が熱さを感じることを少なくできる。
【0044】
そして、ハンドル23の握持部分23aの熱さを極力感じさせない対策として、既述のように根元部23b、23c内に遮熱層113又は116を相互間に形成する仕切り壁111、112又は仕切り壁114、115を設けるだけの簡単な構成で実現できるとともに、握持部分23aの表面全体に凹凸125を設けるだけの簡単な構成でも実現できる。そのため、ハンドル23への温度の波及を少なくするために、電動送風機41から排出された温度が高い空気を多量に掃除機本体12外に放出する必要がないので、それに伴い既述の空気循環に伴う吸込み口体13の吸気口92での吸塵能力の低下を伴うことがない。
【0045】
しかも、握持部分23aの表面全体に凹凸125を設けたことにより手との引っ掛りがよくなるので、掃除中殆どの期間にわたりハンドル23を握って操作をするに伴い、手の平に汗をかいた場合でも、手が握持部分23aに対して不用意に滑ることを防止できる。
【0046】
なお、本発明は前記実施の形態には制約されない。例えば、本発明の昇温抑制手段は、ハンドル23の握持部分23aの凹凸125を省略して根元部内部の前記遮熱手段だけとすることができる。そして、根元部の遮熱手段が有する遮熱層は多層とできることは勿論のこと、隣接した仕切り壁間に断熱材を収容することにより遮熱性能を高めて実施することもできる。
【0047】
更に、本発明においてハンドル23はその両端のうちの一方のみが掃除機本体12に接続されていてもよい。又、ハンドル23には掃除機本体12をなすケース部材とは別体に形成されたものを使用してもよい。
【0048】
又、本発明は、前記実施の形態に係るハンディ型空気循環式電気掃除機に限らず、キャニスタ型、その他の形式の空気循環式電気掃除機に適用できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0050】
請求項1に記載の発明に係る空気循環式電気掃除機によれば、掃除機本体内の電動送風機から排出される温度が高い空気が、中空のハンドル内に入り込んで対流することを防止するとともに、掃除機本体内の空気とハンドル内の空気との熱交換を防止して、ハンドルの温度上昇を抑制できるとともに、こうした抑制を得るために電動送風機から排出された空気を多量に掃除機本体外に放出する必要がないので、吸塵能力の低下を伴うことなくハンドルを握った手が熱さを感じることを少なくでき、しかも、こうしたことを相互間に遮熱層を形成する複数の仕切り壁をハンドル根元部内に設けるだけの簡単な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る空気循環式電気掃除機全体の構成を掃除機本体と吸込み口体とを分離した状態で示す斜視図。
【図2】図1に示された電気掃除機全体の構成を掃除機本体に吸込み口体が接続された状態で示す縦断側面図。
【図3】図1に示された掃除機本体の構成をその一部を取除いて示す斜視図。
【図4】図2中Z−Z線に沿う断面図。
【図5】図1に示された掃除機本体の後部を示す側面図。
【図6】図1に示された吸込み口体の構成を示す縦断側面図。
【図7】図6に示された吸込み口体の構成をその主部上ケースを取除いた状態で一部を断面して示す平面図。
【図8】図6に示された吸込み口体の構成をやや傾けた状態で示す後面図。
【図9】図2中Y−Y線に沿う断面図。
【図10】図2中X−X線に沿う断面図。
【符号の説明】
11…電気掃除機、
12…掃除機本体、
13…吸込み口体、
22…接続口、
22a…通気孔、
23…ハンドル、
23a…ハンドルの握持部分、
23b、23d…ハンドルの根元部分、
24…集塵室、
25…排気室、
26…還流室、
34…集塵袋(フィルタ)、
41…電動送風機、
54…還流ポート、
92…吸気口、
111、112…仕切り壁、
113…遮熱層、
114、115…仕切り壁、
116…遮熱層、
125…凹凸。

Claims (1)

  1. 掃除機本体内の電動送風機の動作により、吸込み口体の吸気口から空気を吸込み、この吸込んだ空気をフィルタに通して塵埃を捕捉し、前記フィルタを通過して前記電動送風機から排出された空気を前記吸気口に戻して、この戻された空気を回収し循環させながら掃除をするとともに、前記電動送風機の上方位置に中空のハンドルが設けられた空気循環式電気掃除機において、
    前記ハンドルの根元部内に仕切り壁を複数設けて、これら仕切り壁間に遮熱層を形成したことを特徴とする空気循環式電気掃除機。
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