JP3541048B2 - 自動変速機の油圧制御回路 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自動変速機の油圧制御回路に係り、特に、変速時における摩擦係合手段の過渡油圧制御およびロックアップクラッチのスリップ制御を単一の油圧調整バルブで行う油圧制御回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機を有するオートマチック車両においては、トルクコンバータ等の流体式伝動装置を介して自動変速機に機関出力を伝達するようになっているが、流体式伝動装置と並列にロックアップクラッチを設け、燃費向上やトルク変動の吸収等を目的としてそのロックアップクラッチを完全係合若しくはスリップ係合させることが、例えば特開平2−80857号公報等に記載されている。ロックアップクラッチをスリップ係合させる場合、ロックアップクラッチの係合側油室および解放側油室に対する油路を切り換えてロックアップクラッチを係合,解放するロックアップリレーバルブと、そのロックアップリレーバルブを切り換えるロックアップ切換手段と、信号油圧が高圧となるに従ってロックアップクラッチの係合時における前記係合側油室の油圧と前記解放側油室の油圧との差圧を増大させるロックアップコントロールバルブと、ロックアップクラッチが所定のスリップ状態となるように前記信号油圧を調整するロックアップ制御用の油圧調整バルブとを備えて構成されるのが一般的である。
【0003】
また、上記自動変速機が複数の変速段を有し、クラッチやブレーキ等の油圧式摩擦係合手段の係合,解放によって変速段が切り換えられる場合、変速時のショックを軽減するためにそれ等の油圧式摩擦係合手段の係合時や解放時の過渡油圧を制御する過渡油圧コントロールバルブを備えており、過渡油圧制御用の油圧調整バルブによって調整される信号油圧に従って過渡油圧を制御するようになっている。シフトレバーがP(駐車)レンジからR(後進)レンジへ操作される場合や、N(ニュートラル)レンジからD(ドライブ)レンジへ操作される場合など、シフトレバー操作によって上記油圧式摩擦係合手段の係合状態が切り換えられる時にも、変速時と同様に過渡油圧コントロールバルブによって過渡油圧を制御することにより、シフトショックを軽減することが行われている。その場合に、過渡油圧制御用の油圧調整バルブと前記ロックアップ制御用の油圧調整バルブは従来別々に設けられており、上記特開平2−80857号公報に記載の油圧制御回路もそのようになっているが、このように油圧調整バルブを別々に設けると油圧制御回路が複雑で大掛かりになるとともに高価となる。油圧調整バルブとしては、リニアソレノイドバルブやデューティソレノイドバルブなどが用いられるが、リニアソレノイドバルブを用いた場合には、高精度の油圧調整が可能な反面、バルブ自体が大型で且つ高価なため上記問題が一層顕著となる。
【0004】
これに対し、1本の油圧調整バルブを用いて過渡油圧制御およびロックアップクラッチのスリップ制御を行うことが、例えば特開平2−253049号公報で提案されている。その場合に、アップシフト時には機関の不要な吹き上がりを防止する上で、過渡油圧制御およびロックアップクラッチの係合制御を一時的に重複して行う必要があるため、過渡油圧制御を行う必要がない最高速段においてのみロックアップクラッチのスリップ制御を行うようになっている。すなわち、油圧調整バルブから出力される信号油圧を過渡油圧コントロールバルブおよびロックアップコントロールバルブの双方に常時作用させるが、ロックアップコントロールバルブは、最高速段の場合にのみロックアップクラッチに接続されて解放側油室の油圧制御を行うのであり、他の変速段ではロックアップクラッチとの油路が遮断されてロックアップコントロールバルブの調圧動作が不能となり、過渡油圧コントロールバルブの調圧制御が可能とされるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように最高速段以外の変速段でスリップ制御が不能であると、スリップ制御による燃費向上効果が十分に得られないとともに、最高速段以外ではロックアップクラッチが解放状態と完全係合状態との間で直接切り換えられるため、機関回転数や伝達トルクが急激に変化してショックを生じることがある。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、単一の油圧調整バルブにより複数の変速段でロックアップクラッチのスリップ制御を行うことができるとともに変速時やシフトレバー操作時における摩擦係合手段の過渡油圧制御が可能で、且つロックアップクラッチ係合状態でのアップシフト時にはロックアップクラッチを係合させたまま過渡油圧制御を開始できる油圧制御回路を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a)自動変速機の変速段を切り換える複数の油圧式摩擦係合手段と、(b)流体式伝動装置と並列に設けられて前記自動変速機に機関出力を伝達するロックアップクラッチと、(c)そのロックアップクラッチの係合側油室および解放側油室に対する油路を切り換えてロックアップクラッチを係合,解放するロックアップリレーバルブと、(d)そのロックアップリレーバルブを切り換えるロックアップ切換手段と、(e)信号油圧が高圧となるに従って前記ロックアップクラッチの係合時における前記係合側油室の油圧と前記解放側油室の油圧との差圧を増大させるロックアップコントロールバルブと、(f)信号油圧に従って前記油圧式摩擦係合手段の過渡油圧を制御する過渡油圧コントロールバルブとを備えた自動変速機の油圧制御回路であって、(g)前記ロックアップコントロールバルブおよび前記過渡油圧コントロールバルブに供給される前記信号油圧を調整する単一の油圧調整バルブと、(h)前記信号油圧が供給される第1入力ポート、前記信号油圧の替わりに前記ロックアップコントロールバルブへ出力されることにより前記ロックアップクラッチを係合させることが可能な代替油圧が供給される第2入力ポート、前記ロックアップコントロールバルブに接続される第1出力ポート、前記過渡油圧コントロールバルブに接続される第2出力ポート、および前記第1入力ポートと前記第2出力ポートとを連通させるとともに前記第2入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第1位置と前記第1入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子を備えている信号油圧リレーバルブと、(i)その信号油圧リレーバルブの切換弁子を前記第1位置または第2位置へ選択的に移動させる信号油圧切換手段とを有することを特徴とする。
【0008】
【作用】
このような油圧制御回路においては、信号油圧切換手段によって信号油圧リレーバルブの切換弁子が第2位置に保持されると、油圧調整バルブによって調整された信号油圧はロックアップコントロールバルブへ出力される。したがって、この状態においては信号油圧に基づいてロックアップクラッチをスリップ係合させることが可能であり、所定の変速段でロックアップクラッチの完全係合条件やスリップ係合条件を満足する場合に、ロックアップ切換手段によってロックアップリレーバルブがクラッチ係合側へ切り換えられることにより、ロックアップクラッチを完全係合させたりスリップ係合させたりすることができる。
【0009】
一方、自動変速機の変速段を切り換える変速時には、信号油圧切換手段によって信号油圧リレーバルブの切換弁子を第1位置へ移動させることにより、油圧調整バルブによって調整された信号油圧を過渡油圧コントロールバルブへ供給できる。これにより、油圧式摩擦係合手段の係合時や解放時の過渡油圧を徐々に変化させ、変速時のショックを防止できる。その場合に、上記信号油圧リレーバルブの切換弁子が第1位置へ移動させられると、ロックアップコントロールバルブにはロックアップクラッチを係合させることが可能な代替油圧が供給されるため、ロックアップリレーバルブがクラッチ係合側に保持されている限り、信号油圧リレーバルブの切換弁子が第1位置へ移動させられてもロックアップクラッチは係合状態に維持される。このため、ロックアップクラッチの係合時にアップシフトが行われる場合には、ロックアップリレーバルブをクラッチ係合側に保持したまま信号油圧リレーバルブの切換弁子を第1位置へ移動させることにより、ロックアップクラッチを係合させたまま過渡油圧制御を開始でき、ロックアップクラッチ解放による機関の不要な吹き上がりを回避できる。過渡油圧が変化して摩擦係合手段が所定のスリップ状態となった段階で、ロックアップ切換手段によりロックアップリレーバルブをクラッチ解放側へ切り換えれば、その時点でロックアップクラッチは解放され、変速に伴う機関回転数の急激な変化を流体式伝動装置によって軽減することができる。
【0010】
また、シフトレバーがPレンジからRレンジへ操作される場合など、シフトレバー操作によって上記油圧式摩擦係合手段の係合状態が切り換えられる時にも、ロックアップクラッチをスリップ係合させる必要はないため、上記変速時と同様に過渡油圧コントロールバルブによって過渡油圧を制御することにより、シフトショックを軽減することができる。
【0011】
【第1発明の効果】
このように第1発明によれば、単一の油圧調整バルブにより複数の変速段でロックアップクラッチのスリップ制御を行うことができるとともに変速時やシフトレバー操作時における摩擦係合手段の過渡油圧制御が可能で、且つロックアップクラッチ係合状態でのアップシフト時にはロックアップクラッチを係合させたまま過渡油圧制御を開始できる。
【0012】
【課題を解決するための第2の手段】
前記目的を達成するために、第2発明は、(a)自動変速機の変速段を切り換える複数の油圧式摩擦係合手段と、(b)流体式伝動装置と並列に設けられて前記自動変速機に機関出力を伝達するロックアップクラッチと、(c)そのロックアップクラッチの係合側油室および解放側油室に対する油路を切り換えてロックアップクラッチを係合,解放するロックアップリレーバルブと、(d)そのロックアップリレーバルブを係合側へ切り換える第1リレー油圧をON,OFFする第1リレー油圧切換手段と、(e)信号油圧が高圧となるに従って前記ロックアップクラッチの係合時における前記係合側油室の油圧と前記解放側油室の油圧との差圧を増大させるロックアップコントロールバルブと、(f)信号油圧に従って前記油圧式摩擦係合手段の過渡油圧を制御する過渡油圧コントロールバルブとを備えた自動変速機の油圧制御回路であって、(g)前記ロックアップコントロールバルブおよび前記過渡油圧コントロールバルブに供給される前記信号油圧を調整する単一の油圧調整バルブと、(h)前記信号油圧が供給される第1入力ポート、前記信号油圧の替わりに前記ロックアップコントロールバルブへ出力されることにより前記ロックアップクラッチを係合させることが可能な代替油圧が供給される第2入力ポート、前記ロックアップコントロールバルブに接続される第1出力ポート、前記過渡油圧コントロールバルブに接続される第2出力ポート、前記第1入力ポートと前記第2出力ポートとを連通させるとともに前記第2入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第1位置と前記第1入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子、その切換弁子を前記第1位置側へ付勢する付勢手段、前記第1リレー油圧が供給されることにより前記付勢手段の付勢力に抗して前記切換弁子を前記第2位置側へ移動させる第1リレー油室、および第2リレー油圧が供給されることにより前記第1リレー油圧の存在に拘らず前記切換弁子を前記第1位置へ移動させる第2リレー油室を備えている信号油圧リレーバルブと、(i)前記ロックアップクラッチを係合させる連続する複数の前進変速段のうち高速側変速段を成立させる際に出力される高速段油圧が供給される第1入力ポート、後進変速段を成立させる際に出力される後進段油圧が供給される第2入力ポート、前記信号油圧リレーバルブの第2リレー油室に接続される第1出力ポート、前記後進段油圧を出力して前記複数の油圧式摩擦係合手段のうち後進変速段を成立させるものを係合させる第2出力ポート、前記第1入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させるとともに前記第2入力ポートと前記第2出力ポートとを遮断する第1位置とその第2入力ポートと第2出力ポートとを連通させるとともに第1入力ポートと第1出力ポートとを遮断する第2位置とへ移動させられる切換弁子、その切換弁子を前記第1位置側へ付勢する付勢手段、前記第1リレー油圧が供給されることにより前記切換弁子を前記第1位置側へ付勢する第1リレー油室、前記高速側変速段および前記後進変速段を成立させる際に出力されるとともに所定の条件下でその後進変速段の成立を阻止する際に出力が停止させられる第3リレー油圧が供給されて前記切換弁子を前記第2位置側へ付勢する第2リレー油室、および前記切換弁子が前記第1位置に保持されている場合に前記第3リレー油圧が供給されてその切換弁子をその第1位置側へ付勢する第3リレー油室を備え、第1リレー油室に第1リレー油圧が供給されて切換弁子が第1位置に保持されている状態では、前記高速側変速段への変速に伴って第2リレー油室および第3リレー油室に第3リレー油圧が供給されてもその切換弁子が第1位置に保持され、前記高速段油圧を前記第2リレー油圧として前記信号油圧リレーバルブの第2リレー油室に出力するが、その高速側変速段で前記第1リレー油圧の供給が停止すると、前記第2リレー油室および第3リレー油室における前記切換弁子の受圧面積差に基づいてその切換弁子が前記付勢手段の付勢力に抗して前記第2位置へ移動させられ、且つ、その高速側変速段でその切換弁子がその第2位置に保持されている状態では、前記第1リレー油室に前記第1リレー油圧が供給されても前記第2リレー油室に供給されている第3リレー油圧に基づいてその切換弁子がその第2位置に保持される一方、前記後進変速段への変速時には前記第3リレー油圧および前記付勢手段の付勢力に基づいて前記切換弁子が移動させられるシーケンス・リバースコントロールバルブとを有することを特徴とする。
【0013】
【作用】
このような油圧制御回路においては、第1リレー油圧切換手段により第1リレー油圧がOFF状態とされている時には、ロックアップリレーバルブはクラッチ解放側に保持されてロックアップクラッチが解放状態にされるとともに、信号油圧リレーバルブの切換弁子は付勢手段の付勢力に従って第1位置に保持され、油圧調整バルブによって調整される信号油圧は過渡油圧コントロールバルブに出力される。したがって、この状態においては油圧式摩擦係合手段の係合時や解放時の過渡油圧を制御することが可能で、変速時やシフトレバー操作時のショックを軽減できる。また、所定の変速段でロックアップクラッチの完全係合条件やスリップ係合条件を満足する場合には、第1リレー油圧切換手段によって第1リレー油圧をON状態とすることにより、ロックアップリレーバルブがクラッチ係合側へ切り換えられるとともに、信号油圧リレーバルブの切換弁子は付勢手段の付勢力に抗して第2位置へ移動させられ、油圧調整バルブによって調整される信号油圧はロックアップコントロールバルブへ導かれるようになり、その信号油圧に基づいてロックアップクラッチを完全係合させたりスリップ係合させたりできる。
【0014】
一方、ロックアップクラッチを係合させる連続する複数の前進変速段のうち低速側変速段でロックアップクラッチが完全係合またはスリップ係合の時に高速側変速段へアップシフトが行われる場合、シーケンス・リバースコントロールバルブの切換弁子は第1リレー油圧および付勢手段の付勢力に基づいて第3リレー油圧の供給に拘らず第1位置に保持されるため、高速段油圧がそのシーケンス・リバースコントロールバルブを経て第2リレー油圧として信号油圧リレーバルブの第2リレー油室に導かれる。これにより、信号油圧リレーバルブの切換弁子は第1位置へ移動させられ、油圧調整バルブによって調整された信号油圧は過渡油圧コントロールバルブへ供給されるようになり、油圧式摩擦係合手段の過渡油圧を制御して変速時のショックを軽減できる。この時、ロックアップコントロールバルブにはロックアップクラッチを係合させることが可能な代替油圧が供給されるため、ロックアップリレーバルブがクラッチ係合側に保持されている限り、ロックアップクラッチは係合状態に維持される。すなわち、ロックアップクラッチを係合させたまま過渡油圧制御を開始できるのであり、ロックアップクラッチ解放による機関の不要な吹き上がりを回避できる。過渡油圧が変化して摩擦係合手段が所定のスリップ状態となった段階で、第1リレー油圧切換手段により第1リレー油圧をOFFすれば、ロックアップリレーバルブがクラッチ解放側へ切り換えられてロックアップクラッチが解放され、変速に伴う機関回転数の急激な変化を流体式伝動装置によって軽減することができる。
【0015】
上記のように第1リレー油圧がOFFされると、シーケンス・リバースコントロールバルブの切換弁子は第3リレー油圧に基づいて第2位置へ移動させられ、前記高速段油圧の信号油圧リレーバルブへの供給が停止されるとともに、その状態においては再び第1リレー油圧が供給されるようになっても切換弁子は第2位置に保持される。したがって、第3リレー油圧が供給される高速側変速段に維持されている限り、シーケンス・リバースコントロールバルブの切換弁子は第1リレー油圧のON,OFFに拘らず第2位置に保持され、高速段油圧が第2リレー油圧として信号油圧リレーバルブに供給されなくなり、信号油圧リレーバルブの切換弁子は第1位置側へ付勢する付勢手段により第1位置に保持されており、信号油圧リレーバルブの切換弁子は専ら第1リレー油圧のON,OFFに従って第2位置または第1位置へ移動させられる。これにより、この高速側変速段においても、他の変速段と同様に第1リレー油圧切換手段による第1リレー油圧のON,OFFでロックアップクラッチを係合,解放制御できるとともに、クラッチ係合時には油圧調整バルブによってスリップ係合させることが可能である。
【0016】
上記シーケンス・リバースコントロールバルブは、シフトレバーがR(後進)レンジへ操作されて第3リレー油圧が供給されると、切換弁子が第2位置へ移動させられ、後進段油圧を出力して後進変速段を成立させるが、第3リレー油圧が供給されないと切換弁子は付勢手段の付勢力に従って第1位置に保持され、後進段油圧の出力を禁止して後進変速段の成立を阻止する。第3リレー油圧は、例えば前進車速が予め定められた設定車速以上である場合など所定の条件下では、シフトレバーがRレンジへ操作されても出力されず、これにより、シフトレバーの誤操作などで後進変速段が成立することが防止される。
【0017】
【第2発明の効果】
このように第2発明によれば、単一の油圧調整バルブにより複数の変速段でロックアップクラッチのスリップ制御を行うことができるとともに変速時やシフトレバー操作時における摩擦係合手段の過渡油圧制御が可能で、且つロックアップクラッチ係合状態でのアップシフト時にはロックアップクラッチを係合させたまま過渡油圧制御を開始できる。特に、ロックアップクラッチ係合状態で高速側変速段へアップシフトが行われる際には、その高速側変速段を成立させる高速段油圧が第2リレー油圧として信号油圧リレーバルブに供給され、第1リレー油圧の存在に拘らず信号油圧リレーバルブの切換弁子を強制的に第1位置へ移動させるようになっているため、信号油圧リレーバルブを切り換えるための特別な制御が不要であるとともに、その第2リレー油圧を出力するシーケンス・リバースコントロールバルブは、所定の条件下で後進変速段の成立を阻止する機能を兼ね備えているため、バルブ本数が少なくて済み、油圧制御回路をコンパクトに構成し得る利点がある。
【0018】
【課題を解決するための第3の手段】
第3発明は、上記第1発明または第2発明の自動変速機の油圧制御回路において、(a)前記信号油圧リレーバルブの第2出力ポートに接続される第1入力ポート、所定のフェール代替油圧が供給される第2入力ポート、前記過渡油圧コントロールバルブに接続される出力ポート、および前記第1入力ポートと出力ポートとを連通させる第1位置と前記第2入力ポートと出力ポートとを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子を備えて、前記信号油圧リレーバルブと前記過渡油圧コントロールバルブとの間に配設されたフェールリレーバルブと、(b)そのフェールリレーバルブの切換弁子を前記第1位置または第2位置へ選択的に移動させるフェール切換手段とを有することを特徴とする。
【0019】
【作用】
このような油圧制御回路においては、通常はフェールリレーバルブの切換弁子はフェール切換手段によって第1位置に保持され、信号油圧リレーバルブの第2出力ポートから出力される信号油圧はフェールリレーバルブを介して過渡油圧コントロールバルブに供給され、油圧式摩擦係合手段の過渡油圧が油圧調整バルブによって調整される信号油圧に従って調圧制御される。一方、信号油圧の調整が不能若しくは供給停止など、油圧調整バルブや信号油圧リレーバルブ,それ等の駆動制御回路等に異常が発生した場合には、フェール切換手段によってフェールリレーバルブの切換弁子を第2位置へ移動させることにより、過渡油圧コントロールバルブには信号油圧に替えて所定のフェール代替油圧が供給され、そのフェール代替油圧に基づいて過渡油圧が調圧制御される。したがって、異常発生時にも過渡油圧は所定の油圧に調整され、摩擦係合手段の急係合によるショックや係合遅れによる摩擦材の寿命低下等が可及的に回避される。異常発生の有無は、自動変速機各部の回転速度や機関回転数、油圧制御回路各部の油圧などによって検出できる。
【0020】
なお、異常発生時におけるロックアップクラッチの制御については、第1発明ではロックアップ切換手段により、第2発明では第1リレー油圧切換手段により、それぞれ信号油圧とは無関係にロックアップリレーバルブを解放側へ切り換えてロックアップクラッチを解放できる。
【0021】
【第3発明の効果】
このように第3発明によれば、第1発明または第2発明と同じ効果が得られるのに加えて、信号油圧の調整が不能若しくは供給停止など、油圧調整バルブや信号油圧リレーバルブ,それ等の駆動制御回路等に異常が発生した場合には、信号油圧に替えてフェール代替油圧を過渡油圧コントロールバルブに供給し、摩擦係合手段の過渡油圧をそのフェール代替油圧に基づいて調圧できるようになっているため、異常発生時でも摩擦係合手段の急係合によるショックや係合遅れによる摩擦材の寿命低下等が可及的に回避される。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1において、内燃機関であるエンジン10の出力は、流体式伝動装置としてのトルクコンバータ12および自動変速機14から、図示しない差動歯車装置などを経て駆動輪へ伝達される。トルクコンバータ12は、エンジン10のクランク軸16と連結されているポンプ翼車18と、自動変速機14の入力軸20に連結されたタービン翼車22と、一方向クラッチ24を介して非回転部材であるハウジング26に固定されたステータ翼車28と、ダンパを介して上記入力軸20に連結されたロックアップクラッチ32とを備えている。ロックアップクラッチ32は、トルクコンバータ12内の係合側油室34よりも解放側油室36内の油圧が高められると非係合状態となり、トルクコンバータ12の入出力回転速度比に応じた増幅率でトルクが伝達される一方、解放側油室36よりも係合側油室34内の油圧が高められると係合状態となり、ロックアップクラッチ32を介してクランク軸16から入力軸20へエンジン出力が伝達される。
【0023】
自動変速機14は、同軸上に配設された3組のシングルピニオン型遊星歯車装置40,42,44と、前記入力軸20と、遊星歯車装置42のキャリヤおよび遊星歯車装置44のリングギヤに連結された出力軸46とを備えている。遊星歯車装置40,42,44の構成要素の一部は互いに一体的に連結されているとともに、他の一部は3つのクラッチC0 ,C1 ,C2 によって互いに選択的に連結され、或いは4つのブレーキB0 ,B1 ,B2 ,B3 によってハウジング26に選択的に連結されるようになっている。また、3つの一方向クラッチF0 ,F1 ,F2 によってその回転方向により相互に若しくはハウジング26と係合させられるようになっている。なお、トルクコンバータ12および自動変速機14は軸線に対して対称的に構成されているため、図1では下側を省略して示してある。
【0024】
上記クラッチC0 〜C2 およびブレーキB0 〜B3 (以下、特に区別しない場合にはクラッチC,ブレーキBという)は、多板式のクラッチやバンドブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合手段であり、その油圧アクチュエータには、油圧制御回路50から作動油が供給されるようになっている。油圧制御回路50は多数の切換バルブ等を備えており、図2に示されているように、「D」レンジではソレノイドS1,S2の励磁,非励磁がそれぞれ切り換えられることにより、1stからO/Dまでの前進4段のうちの何れかの変速段が成立させられる。これ等の変速段の変速比(=入力軸20の回転速度Nt /出力軸46の回転速度No )は、1st変速段からO/D変速段に向かうに従って小さくなり、3rd変速段では1である。シフトポジション「P」,「R」,「N」,「D」,「2」,「L」は運転席のシフトレバーの操作レンジであり、「2」レンジでは1stから3rdまでの3段で変速制御が行われ、「L」レンジでは1stおよび2ndの2段で変速制御が行われる。また、シフトレバーの操作に従ってマニュアルシフトバルブが切り換えられることにより、「2」レンジおよび「L」レンジの2nd、「L」レンジの1stでは、それぞれブレーキB1 ,B3 が係合させられてエンジンブレーキが効くようになっているとともに、「R」レンジでは後進変速段が成立させられる。「R」レンジでも、前進車速Vが予め定められた一定車速α以上の場合には、ソレノイドS2が励磁されることにより後進変速段の成立が阻止される。ソレノイドの欄の「○」はON(励磁)、「×」はOFF(非励磁)、「◎」はロックアップ制御時のON(励磁)を意味しており、それぞれコントロールユニット52によって制御される。また、クラッチ,ブレーキの欄の「○」は係合、「×」は解放を意味している。本実施例では連続する3rd変速段およびO/D変速段でロックアップクラッチ32の係合制御が行われる。なお、ソレノイドSLは、上記クラッチCやブレーキBのアキュムレータの背圧制御も行うもので、図2には示されていないが、変速時やシフトレバー操作時にも励磁される。
【0025】
上記油圧制御回路50は、図3〜図5に示すロックアップ制御用およびアキュムレータ背圧制御用の回路を備えている。図3のロックアップリレーバルブ54は、ソレノイドバルブ55のソレノイドS3が励磁されることによって出力される第1リレー油圧PR1がリレー油室56に作用させられることにより、図の右半分に示すON状態となり、エンジン10の出力トルクに対応して変化するように調圧されるセカンダリ油圧PL2を、入力ポート58からポート60を介して前記係合側油室34に供給する一方、解放側油室36をポート62,64を介してロックアップコントロールバルブ66のポート68に連通させる。ロックアップコントロールバルブ66は、係合側油室34内の係合油圧Ponが供給される第1油室70、解放側油室36内の解放油圧Poff が供給される第2油室72、信号油圧Pslが供給される信号油室74、およびスプール弁子76を油室72,74側へ付勢するスプリング77を備えており、それ等の油圧やばね力が釣り合うようにスプール弁子76が移動させられ、前記ポート68がドレーンポート78またはセカンダリ油圧PL2が供給される加圧ポート80に連通させられて解放油圧Poff が調圧されることにより、係合油圧Ponと解放油圧Poff との差圧ΔPが信号油圧Pslに応じて調整される。すなわち、信号油圧Pslが十分に高い場合には、解放油圧Poff が低圧とされて差圧ΔPが大きくなり、ロックアップクラッチ32は完全係合状態となるが、信号油圧Pslが低くなると、それに伴って解放油圧Poff は高圧となり、差圧ΔPが小さくなってロックアップクラッチ32はその差圧ΔPに対応する係合力でスリップ係合させられる。また、ソレノイドS3が非励磁で第1リレー油圧PR1がOFFの場合には、ロックアップリレーバルブ54は図の左半分に示すOFF状態となり、入力ポート58とポート62とが連通してセカンダリ油圧PL2が解放側油室36に作用させられる一方、前記ポート60と排出ポート82とが連通して係合側油室34内の作動油がオイルクーラー等へ排出され、ロックアップクラッチ32は解放状態となる。上記第1リレー油圧PR1は、ブレーキB2 を係合させるB2 油圧をオリフィス83(図4参照)を介して導いたもので、図2から明らかなように2nd,3rd,またはO/D変速段の場合にのみ第1リレー油圧PR1は出力可能となる。B2 油圧の値は、エンジン10の出力トルクなどに応じて調圧されるプライマリ油圧PL1と同じである。上記第1リレー油圧PR1の出力をON,OFFするソレノイドバルブ55は、第1発明のロックアップ切換手段、第2発明の第1リレー油圧切換手段に相当する。なお、図3〜図5の各部に記載してある「EX」は、タンクへのドレーンを表している。
【0026】
上記信号油圧Pslは、図4のリニアソレノイドバルブ84によって調圧される。このリニアソレノイドバルブ84は油圧調整バルブに相当するもので、信号油圧Pslの元圧として一定のモジュレータ油圧Pmが供給される入力ポート86、信号油圧Pslを出力する出力ポート88、ドレーンポート90、信号油圧Pslが作用させられるフィードバック油室92、およびスプール弁子94をソレノイドSL側へ付勢するスプリング96を備えており、スプール弁子94をスプリング96側へ付勢するソレノイドSLに供給される励磁電流が前記コントロールユニット52によってデューティ制御され、スプール弁子94が移動させられて出力ポート88が入力ポート86またはドレーンポート90に連通させられることにより、励磁電流のデューティ比SLUに対応して連続的に変化する信号油圧Pslが出力される。すなわち、かかるリニアソレノイドバルブ84は、スプール弁子94に作用する油圧やばね力,ソレノイドSLによる付勢力が釣り合うように、励磁電流に応じて信号油圧Pslを調圧制御するもので、この実施例では励磁電流のデューティ比SLUが大きい程信号油圧Pslは高くなる。
【0027】
上記リニアソレノイドバルブ84とロックアップコントロールバルブ66との間には信号油圧リレーバルブ100が配設されている。信号油圧リレーバルブ100は、前記信号油圧Pslが供給される第1入力ポート102、信号油圧Pslの替わりにロックアップコントロールバルブ66へ出力されることによりロックアップクラッチ32を係合させることが可能な代替油圧として、信号油圧Pslの元圧であるモジュレータ油圧Pmが供給される第2入力ポート104、ロックアップコントロールバルブ66の信号油室74に接続される第1出力ポート106、図5のアキュムレータコントロールバルブ130に接続される第2出力ポート110、ドレーンポート112、図の右半分に示すように第1入力ポート102と第2出力ポート110とを連通させるとともに第2入力ポート104と第1出力ポート106とを連通させる第1位置と、図の左半分に示すように第1入力ポート102と第1出力ポート106とを連通させるとともに第2出力ポート110とドレーンポート112とを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子としてのスプール弁子114、スプール弁子114を上記第1位置側へ付勢する付勢手段としてのスプリング116、前記第1リレー油圧PR1が供給されることによりスプリング116の付勢力に抗してスプール弁子114を第2位置へ移動させる第1リレー油室118、およびシーケンス・リバースコントロールバルブ150から第2リレー油圧PR2が供給されることにより第1リレー油圧PR1の存在に拘らずスプール弁子114を第1位置へ移動させる第2リレー油室120を備えている。上記第2リレー油圧PR2は第1リレー油圧PR1と同様にプライマリ油圧PL1と同じ油圧で、第1リレー油室118および第2リレー油室120におけるスプール弁子114の受圧面積は同じであり、両油室118,120にリレー油圧PR1,PR2がそれぞれ供給される場合は、スプリング116の付勢力に従ってスプール弁子114は第1位置に保持されるのである。したがって、スプール弁子114は第1リレー油圧PR1がONで第2リレー油圧PR2がOFFの場合にのみ第2位置に保持され、その状態では信号油圧Pslはロックアップコントロールバルブ66に供給されるため、ロックアップクラッチ32を信号油圧Pslに応じて完全係合またはスリップ係合させることができる。第1リレー油圧PR1がOFFの場合、或いは第1リレー油圧PR1がONであっても第2リレー油圧PR2がONの場合には、スプール弁子114は第1位置に保持され、信号油圧Pslはアキュムレータコントロールバルブ130に供給されるとともにロックアップコントロールバルブ66にはモジュレータ油圧Pmが供給されるため、第1リレー油圧PR1がONでロックアップリレーバルブ54がON状態であればロックアップクラッチ32は完全係合させられる。第1リレー油圧PR1をON,OFFする前記ソレノイドバルブ55は、第2リレー油圧PR2をON,OFFするシーケンス・リバースコントロールバルブ150と共に第1発明の信号油圧切換手段を構成している。ソレノイドバルブ55は、第1発明のロックアップ切換手段と信号油圧切換手段とを兼ねている。
【0028】
図5のアキュムレータコントロールバルブ130は、前記クラッチC1 ,C2 ,ブレーキB0 ,B2 の油圧アクチュエータに対応してそれぞれ配設された図示しないアキュムレータの背圧Pacc を、前記リニアソレノイドバルブ84によって調整される信号油圧Pslに応じて調圧制御するものである。アキュムレータは、変速時やシフトレバー操作時に上記クラッチC,ブレーキBが係合または解放される際の過渡油圧を、スプリングおよび上記背圧Pacc に応じて調整し、変速ショックやシフトショックを緩和するためのもので、背圧Pacc を調圧制御するアキュムレータコントロールバルブ130は過渡油圧コントロールバルブに相当する。かかるアキュムレータコントロールバルブ130は、背圧Pacc の元圧としてプライマリ油圧PL1が供給される入力ポート132、アキュムレータ背圧Pacc を出力する出力ポート134、ドレーンポート136、出力ポート134と入力ポート132およびドレーンポート136との連通状態を変化させるスプール弁子138、エンジン10の吸入空気量を調整するスロットル弁の開度θに対応して調圧されるスロットル油圧Pthが供給されてスプール弁子138を図の下方、すなわち出力ポート134と入力ポート132との連通を拡大する方向へ付勢する第1油室140、アキュムレータ背圧Pacc が供給されてスプール弁子138を図の上方へ付勢するフィードバック油室142、前記信号油圧リレーバルブ100の第2出力ポート110に接続されて信号油圧Pslが供給されスプール弁子138を上方へ付勢する信号油室144、およびスプール弁子138を図の下方へ付勢するスプリング146を備えており、それ等の油圧やばね力が釣り合うようにスプール弁子138が移動させられることにより、アキュムレータ背圧Pacc が信号油圧Pslおよびスロットル油圧Pthに応じて調圧制御される。図6は、このアキュムレータコントロールバルブ130によって調圧されるアキュムレータ背圧Pacc の油圧制御範囲の一例で、前記リニアソレノイドバルブ84に供給される励磁電流のデューティ比SLUが大きくなる程、言い換えれば信号油圧Pslが高圧になる程アキュムレータ背圧Pacc は低下し、スロットル油圧Pthが高くなるに従ってアキュムレータ背圧Pacc は高くなる。
【0029】
図4に戻って、前記シーケンス・リバースコントロールバルブ150は、ロックアップクラッチ32の係合制御が行われる3rd変速段およびO/D変速段のうち高速側のO/D変速段を成立させる際にブレーキB0 の油圧アクチュエータに出力される高速段油圧としてのO/D段油圧PO/D が供給される第1入力ポート152、後進変速段を成立させる際にマニュアルシフトバルブから出力される後進段油圧としてのRレンジ油圧PR が供給される第2入力ポート154、前記信号油圧リレーバルブ100の第2リレー油室120に接続される第1出力ポート156、後進変速段を成立させるクラッチC2 およびブレーキB3 の油圧アクチュエータに接続される第2出力ポート158、ドレーンポート160、図の左半分に示すように第1入力ポート152と第1出力ポート156とを連通させるとともに第2入力ポート154と第2出力ポート158との連通を遮断して第2出力ポート158をドレーンポート160に連通させる第1位置と、図の右半分に示すように第2入力ポート154と第2出力ポート158とを連通させるとともに第1入力ポート152と第1出力ポート156との連通を遮断して第1出力ポート156をドレーンポート160に連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子としてのスプール弁子162、そのスプール弁子162を上記第1位置側へ付勢する付勢手段としてのスプリング164、前記第1リレー油圧PR1が供給されることによりスプール弁子162を上記第1位置側へ付勢する第1リレー油室166、3rd変速段からO/D変速段への変速時に前記ソレノイドS2が非励磁とされることによって出力される第3リレー油圧PR3が供給されてスプール弁子162を上記第2位置側へ付勢する第2リレー油室168、およびスプール弁子162が上記第1位置に保持されている場合に第3リレー油圧PR3が供給されてスプール弁子162を上記第1位置側へ付勢する第3リレー油室170を備え、第1リレー油室166に第1リレー油圧PR1が供給されてスプール弁子162が第1位置に保持されている状態では、3rd変速段からO/D変速段へのアップシフトに伴って第2リレー油室168および第3リレー油室170に第3リレー油圧PR3が供給されてもスプール弁子162が第1位置に保持され、前記O/D段油圧PO/D を前記第2リレー油圧PR2として信号油圧リレーバルブ100の第2リレー油室120に出力するが、O/D変速段で第1リレー油圧PR1の供給が停止すると、第2リレー油室168および第3リレー油室170におけるスプール弁子162の受圧面積差に基づいてスプール弁子162はスプリング164の付勢力に抗して第2位置へ移動させられ、且つ、O/D変速段でスプール弁子162が第2位置に保持されている状態では、第1リレー油室166に第1リレー油圧PR1が供給されても第2リレー油室168に供給されている第3リレー油圧PR3に基づいてスプール弁子162は第2位置に保持されるようになっている。第3リレー油圧PR3は、第1リレー油圧PR1と同様にプライマリ油圧PL1と同じ油圧であり、第2リレー油室168におけるスプール弁子162の受圧面積は、第1リレー油室166におけるスプール弁子162の受圧面積より大きくされている。また、上記第3リレー油圧PR3は、後進変速段でもソレノイドS2の非励磁によって供給され、スプール弁子162が第2位置に保持されることによりRレンジ油圧PR がクラッチC2 およびブレーキB3 の油圧アクチュエータに出力されて後進変速段が成立させられるが、前進車速Vが一定車速α以上でソレノイドS2が励磁されて第3リレー油圧PR3がOFFの場合には、スプール弁子162はスプリング164の付勢力に従って第1位置へ移動させられ、Rレンジ油圧PR の出力が阻止されて後進変速段の成立が阻止される。
【0030】
上記O/D段油圧PO/D は、3−4シフトバルブ180から出力されるようになっている。3−4シフトバルブ180は、プライマリ油圧PL1が供給される入力ポート182、前記クラッチC0 の油圧アクチュエータに接続される第1出力ポート184、前記ブレーキB0 の油圧アクチュエータおよびシーケンス・リバースコントロールバルブ150の第1入力ポート152に接続される第2出力ポート186、図の右半分に示すように入力ポート182と第1出力ポート184とを連通させるとともに入力ポート182と第2出力ポート186とを遮断する第1位置と、図の左半分に示すように入力ポート182と第2出力ポート186とを連通させるとともに入力ポート182と第1出力ポート184とを遮断する第2位置とへ移動させられるスプール弁子188、そのスプール弁子188を上記第1位置側へ付勢するスプリング190、「D」レンジ以外の時にマニュアルシフトバルブから出力される各レンジ油圧が供給されるとともに「D」レンジでは1st変速段の成立時に1st段油圧が供給され、プライマリ油圧PL1と同じそれらの各油圧に基づいてスプール弁子188を第1位置側へ付勢する第1リレー油室192、前記第3リレー油圧PR3が供給されてスプール弁子188を第2位置側へ付勢する第2リレー油室194を備えている。第1リレー油室192および第2リレー油室194におけるスプール弁子188の受圧面積は同じで、第1リレー油室192に油圧が供給される「D」レンジ以外の各レンジ、および「D」レンジの1st変速段では、第3リレー油圧PR3のON,OFFすなわちソレノイドS2のOFF,ONに拘らずスプール弁子188はスプリング190の付勢力に従って第1位置に保持され、プライマリ油圧PL1がクラッチC0 の油圧アクチュエータに出力されてクラッチC0 が係合させられる。第1リレー油室192に油圧が供給されない「D」レンジの2nd,3rd,およびO/D変速段については、ソレノイドS2がONで第3リレー油圧PR3がOFFとなる2ndおよび3rd変速段では、同じくスプール弁子188は第1位置に保持されてクラッチC0 が係合させられるが、ソレノイドS2がOFFで第3リレー油圧PR3がONとなるO/D変速段では、スプリング190の付勢力に抗してスプール弁子188は第2位置へ移動させられ、プライマリ油圧PL1がO/D段油圧PO/D としてブレーキB0 の油圧アクチュエータおよびシーケンス・リバースコントロールバルブ150に出力され、ブレーキB0 が係合させられる。ブレーキB0 へ向かう流路にはオリフィス196が設けられており、ブレーキB0 の係合油圧PB0はアキュムレータの存在と相まって徐々に上昇させられる。
【0031】
図1に戻って、前記コントロールユニット52は、CPU,RAM,ROM,入出力インタフェース回路,水晶発振子等のクロック信号源などを備えており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、前記ソレノイドS1,S2の励磁,非励磁を切り換えて自動変速機14の変速段を変更したり、ソレノイドS3を励磁するとともにソレノイドSLに供給する励磁電流をデューティ制御してロックアップクラッチ32を完全係合またはスリップ係合させたり、或いはソレノイドSLに供給する励磁電流をデューティ制御してアキュムレータ背圧Pacc 、すなわちクラッチCやブレーキBの係合時や解放時における過渡油圧を調整したりする。コントロールユニット52には、回転速度センサ200,202,204から入力軸20すなわちタービン翼車22の回転速度Nt,出力軸46の回転速度No,クラッチC0 のハウジングすなわち遊星歯車装置40のサンギヤの回転速度NC0を表す回転速度信号SNt,SNo,SNC0がそれぞれ供給されるとともに、マニュアルシフトバルブに配設されたニュートラルスタートスイッチ206から前記「P」,「R」,「N」,「D」等のシフトレンジを表すシフトレンジ信号SRが供給される。また、エンジン10に設けられた回転速度センサ208からエンジン回転速度NEを表す回転速度信号SNEが供給されるとともに、エンジン10の吸入空気量を調整するスロットル弁に設けられたスロットルセンサ210からスロットル弁開度θを表すスロットル弁開度信号Sθが供給されるようになっている。
【0032】
上記コントロールユニット52による変速制御は、シフトレバーが「D」,「2」,または「L」の前進レンジへ操作されている場合に、例えば図7に示すようにスロットル弁開度θおよび車速V(出力軸回転速度Noに対応)をパラメータとして予めRAM等に記憶された変速マップに従って行われる。後進変速段は、シフトレバーが「R」レンジへ操作されることにより、マニュアルシフトバルブからRレンジ油圧PR が出力され、前記シーケンス・リバースコントロールバルブ150を経てクラッチC2 およびブレーキB3 の油圧アクチュエータに供給されることにより、それ等のクラッチC2 およびブレーキB3 がクラッチC0 と共に係合させられることによって成立させられる。「R」レンジでは、ロックアップクラッチ32を係合制御するソレノイドS3がON、すなわち第1リレー油圧PR1がONされることはないため、上記シーケンス・リバースコントロールバルブ150は専ら第3リレー油圧PR3に従って制御され、通常はソレノイドS2がOFFで第3リレー油圧PR3がONであることから、スプール弁子162が第2位置に保持されて後進変速段が成立させられる。しかし、シフトレンジが「R」で且つ前進車速Vが予め定められた一定車速α以上の場合には、コントロールユニット52によりソレノイドS2がON(励磁)されることによって第3リレー油圧PR3の出力は停止し、スプール弁子162がスプリング164の付勢力に従って第1位置へ移動させられることにより、後進変速段の成立が阻止される。これにより、シフトレバーの誤操作などで後進変速段が成立することが防止される。
【0033】
コントロールユニット52によるアキュムレータの背圧制御は、シフトレバーの操作時や上記変速時に行われる。例えば、シフトレバーが「P」から「R」レンジへ操作されるとクラッチC2 が係合させられ、シフトレバーが「R」から「N」レンジへ操作されるとクラッチC2 が解放され、シフトレバーが「N」から「D」レンジへ操作されるとクラッチC1 が係合させられるが、リニアソレノイドバルブ84の励磁電流をデューティ制御して信号油圧Pslを調圧することにより、アキュムレータコントロールバルブ130から出力されるアキュムレータ背圧Pacc を調圧して、上記クラッチC1 ,C2 の係合時,解放時の過渡油圧を制御し、それ等の係合,解放に伴うシフトショックを軽減する。また、1st変速段から2nd変速段への変速時にはブレーキB2 が係合させられ、2nd変速段から3rd変速段への変速時にはクラッチC2 が係合させられるが、その場合にもリニアソレノイドバルブ84の励磁電流をデューティ制御してアキュムレータ背圧Pacc を調圧し、ブレーキB2 ,クラッチC2 の係合過渡油圧を制御して変速ショックを軽減する。このようなシフトレバー操作時や1stおよび2nd変速段では、ロックアップクラッチ32を係合制御するソレノイドS3がON、すなわち第1リレー油圧PR1がONされることはないため、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114はスプリング116の付勢力に従って第1位置に保持され、リニアソレノイドバルブ84から出力される信号油圧Pslは信号油圧リレーバルブ100を経てアキュムレータコントロールバルブ130へ供給される。
【0034】
一方、3rd変速段およびO/D変速段では、例えば図8に示されているようにスロットル弁開度θおよび出力軸回転速度Noをパラメータとして予めRAM等に記憶されたデータマップに従って、ロックアップクラッチ32を完全係合させたりスリップ係合させたりする。すなわち、上記スロットル弁開度θおよび出力軸回転速度No等の車両の走行状態が完全係合領域またはスリップ係合領域であるか否かを判断し、それ等の係合領域である場合には、ソレノイドS3をON(励磁)して第1リレー油圧PR1を出力させる。これにより、ロックアップリレーバルブ54がON状態になるとともに、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114が第2位置へ移動させられ、信号油圧Pslがロックアップコントロールバルブ66へ供給されるようになる。したがって、その状態でリニアソレノイドバルブ84のソレノイドSLの励磁電流をデューティ制御して信号油圧Pslを調圧すれば、その信号油圧Pslに従ってロックアップコントロールバルブ66により係合油圧Ponと解放油圧Poff との差圧ΔP、すなわちロックアップクラッチ32の係合力が調整され、所定のスリップ係合状態或いは完全係合状態となる。このスリップ制御は、例えばエンジン回転速度NEとタービン回転速度Ntとの回転速度差ΔNが予め定められた所定の回転速度差となるように、ソレノイドSLの励磁電流のデューティ比SLUをフィードバック制御することによって行われる。
【0035】
また、3rd変速段でロックアップクラッチ32が完全係合またはスリップ係合の時にO/D変速段へアップシフトする際には、例えば図9および図10に示すようにして変速制御,ロックアップ制御,およびアキュムレータの背圧制御が行われる。図9のステップS1では、前記図7に示すような変速マップに従って3rdからO/D変速段への変速判断が為されたか否かを判断し、YESの場合には、ステップS2において上記変速判断が為された後に予め定められた時間Ta を経過したか否かを判断する。図10の時間t0 は3→O/Dの変速判断が為された時間で、時間t1 は時間Ta が経過した時間である。この時間Ta は、例えば短時間で変速を繰り返す多重変速を防止することなどを目的として定められる。
【0036】
時間Ta を経過すると、続いてステップS3を実行し、3rd変速段からO/D変速段へ切り換えるためにソレノイドS2の励磁を解除する。このソレノイドS2の励磁解除により第3リレー油圧PR3がONとなり、その第3リレー油圧PR3の油圧上昇に伴って3−4シフトバルブ180のスプール弁子188がスプリング190の付勢力に抗して第1位置から第2位置へ移動させられ、クラッチC0 へのプライマリ油圧PL1の供給が停止してクラッチC0 が解放されるとともに、O/D段油圧PO/D がブレーキB0 の油圧アクチュエータおよびシーケンス・リバースコントロールバルブ150へ出力される。この時、シーケンス・リバースコントロールバルブ150のスプール弁子162は、第1リレー油圧PR1およびスプリング164の付勢力に基づいて第1位置に位置させられているため、O/D変速段への変速出力に伴う第3リレー油圧PR3の供給に拘らず第1位置に保持され、上記O/D段油圧PO/D はシーケンス・リバースコントロールバルブ150を経て第2リレー油圧PR2として信号油圧リレーバルブ100の第2リレー油室120に導かれる。これにより、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114は第1位置へ移動させられ、リニアソレノイドバルブ84によって調整される信号油圧Pslはアキュムレータコントロールバルブ130へ供給されるとともに、ロックアップコントロールバルブ66にはモジュレータ油圧Pmが供給されるようになり、ロックアップクラッチ32は完全係合させられる。図10の3−4シフトバルブ,信号油圧リレーバルブ,シーケンス・リバースコントロールバルブに示されている「上」,「下」は、図4における各スプール弁子の上下位置であり、3−4シフトバルブの「上」は第1位置,「下」は第2位置に相当し、信号油圧リレーバルブの「上」は第2位置,「下」は第1位置に相当し、シーケンス・リバースコントロールバルブの「上」は第1位置,「下」は第2位置に相当する。
【0037】
次のステップS4では、ソレノイドS2をOFFした後に予め定められた時間Tb を経過したか否かを判断し、YESになると、ステップS5においてリニアソレノイドバルブ84の励磁電流をデューティ制御することにより、アキュムレータ背圧Pacc のフィードバック制御を開始する。上記時間Tb は、ソレノイドS2のOFFに伴って信号油圧リレーバルブ100が切り換えられ、アキュムレータコントロールバルブ130に信号油圧Pslが供給されるようになるまでの遅れ時間より長い時間で、且つブレーキB0 の係合に伴うイナーシャ相の開始前の時間であるが、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114の移動やアキュムレータコントロールバルブ130の信号油室144内の油圧などを検出して、ステップS5の背圧制御を開始するようにしても良い。また、ステップS5の背圧フィードバック制御は、例えばクラッチC0 のハウジングの回転速度NC0が所定の変化速度で低下するように、ソレノイドSLの励磁電流のデューティ比SLUをフィードバック制御することによって行われ、ブレーキB0 の係合油圧PB0はアキュムレータ背圧Pacc と逆の特性で変化させられる。
【0038】
ステップS6では、変速に伴うイナーシャ相が始まったか否かを、例えばブレーキB0 の係合に伴って回転停止する回転速度NC0の変化や回転速度NtとNoとの比Nt/Noが1より小さくなったか否かなどによって判断し、イナーシャ相が始まったらステップS7でソレノイドS3の励磁を解除することにより、第1リレー油圧PR1の出力を停止してロックアップリレーバルブ54をOFF状態とし、ロックアップクラッチ32を解放する。図10の時間t2 はソレノイドS3の励磁が解除された時間であり、このようにイナーシャ相が始まってからロックアップクラッチ32が解放されることにより、エンジン10の不要な吹き上がりが回避されるとともに、変速に伴うエンジン回転速度NEの急激な変化がトルクコンバータ12によって吸収される。第1リレー油圧PR1の出力が停止すると、シーケンス・リバースコントロールバルブ150のスプール弁子162は第3リレー油圧PR3に基づいて第2位置へ移動させられるとともに、以後は第1リレー油圧PR1のON,OFFに拘らずスプール弁子162は第2位置に保持され、信号油圧リレーバルブ100に対する第2リレー油圧PR2の出力が阻止される。すなわち、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114は専ら第1リレー油圧PR1のON,OFFに従って第2位置または第1位置へ移動させられるようになるのであり、第1リレー油圧PR1のON,OFFでロックアップクラッチ32を係合,解放制御できるとともに、クラッチ係合時にはリニアソレノイドバルブ84によってスリップ係合させることが可能である。
【0039】
ステップS8では、イナーシャ相が略終了したか否かを、例えば回転速度NC0が略零となったか否か、或いは回転速度NtとNoとの比Nt/NoがO/D変速段の変速比と略一致するか否かなどにより判断し、イナーシャ相が略終了したらステップS9でソレノイドS3をON(励磁)して第1リレー油圧PR1を出力させる。図10の時間t3 はソレノイドS3がONされた時間であり、これにより、ロックアップリレーバルブ54が再びON状態とされるとともに、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114が第2位置へ移動させられ、リニアソレノイドバルブ84によって調整される信号油圧Pslはロックアップコントロールバルブ66へ供給されるようになる。そして、ロックアップクラッチ32が完全係合或いは所定のスリップ係合状態となるように、リニアソレノイドバルブ84の励磁電流のデューティ比SLU、すなわち信号油圧Pslを徐々に増大させる。その後は、図8のデータマップに基づいて通常のロックアップ制御を行えば良い。前記ステップS5で開始したアキュムレータ背圧Pacc のフィードバック制御は、ステップS9でソレノイドS3がONされた時点で終了する。
【0040】
このように、本実施例の油圧制御回路50は、単一のリニアソレノイドバルブ84により3rd変速段およびO/D変速段でロックアップクラッチ32のスリップ制御を行うことができるとともに変速時やシフトレバー操作時にアキュムレータ背圧Pacc の制御が可能で、且つロックアップクラッチ32が完全係合またはスリップ係合時に3rdからO/D変速段へアップシフトを行う際は、ロックアップクラッチ32を係合させたままアキュムレータの背圧制御を開始できる。
【0041】
また、ロックアップクラッチ32の係合時に3rdからO/D変速段へアップシフトを行う際には、O/D段油圧PO/D が第2リレー油圧PR2として信号油圧リレーバルブ100に供給され、第1リレー油圧PR1の存在に拘らず信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114が強制的に第1位置へ移動させられるようになっているため、信号油圧リレーバルブ100を切り換えるための特別な制御が不要であるとともに、その第2リレー油圧PR2を出力するシーケンス・リバースコントロールバルブ150は、所定の条件下で後進変速段の成立を阻止する機能を兼ね備えているため、バルブ本数が少なくて済み、油圧制御回路50をコンパクトに構成し得る利点がある。
【0042】
また、ロックアップクラッチ32は、ソレノイドバルブ55を非励磁として第1リレー油圧PR1の出力を停止し、ロックアップリレーバルブ54をOFF状態とすることにより、信号油圧Pslとは無関係に解放できるため、リニアソレノイドバルブ84やロックアップコントロールバルブ66,モジュレータ油圧Pmを出力するモジュレータバルブのバルブスティック、ソレノイドSLの断線やショートなどによる信号油圧Pslの調整不良,供給停止等の異常発生時には、ソレノイドバルブ55を非励磁としてロックアップクラッチ32を解放すれば良い。異常発生の有無は、例えばソレノイドSLの断線やショートを電気的に検出したり、ロックアップ制御時におけるエンジン回転速度NE,タービン回転速度Ntの回転速度差ΔNが所定の許容範囲内か否かをモニタしたりすることなどで判断できる。
【0043】
上記実施例は第1発明,第2発明の一実施例を成すものであり、次に第3発明の実施例を説明する。図11の実施例は、上記実施例の信号油圧リレーバルブ100とアキュムレータコントロールバルブ130との間にフェールリレーバルブ220を配設したものである。このフェールリレーバルブ220は、信号油圧リレーバルブ100の第2出力ポート110に接続されて前記信号油圧Pslが供給される第1入力ポート222、モジュレータバルブ240からフェール代替油圧として一定のモジュレータ油圧Pmfが供給される第2入力ポート224、アキュムレータコントロールバルブ130の信号油室144に接続される出力ポート226、図の右半分に示すように第1入力ポート222と出力ポート226とを連通させる第1位置と、図の左半分に示すように第2入力ポート224と出力ポート226とを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子としてのスプール弁子228、スプール弁子228を第2位置側へ付勢するスプリング230、およびソレノイドバルブ232のソレノイドS4がOFF(非励磁)の場合にオリフィス236を介してプライマリ油圧PL1が供給されスプール弁子228をスプリング230の付勢力に抗して第1位置へ移動させるリレー油室234を備えている。上記ソレノイドS4は、前記コントロールユニット52によりON,OFFされるようになっており、OFFの場合にはスプール弁子228はスプリング230の付勢力に抗して第1位置に保持され、信号油圧リレーバルブ100から供給される信号油圧Pslがアキュムレータコントロールバルブ130へ出力され、前記実施例と同様に信号油圧Pslに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。また、ソレノイドS4がONされてリレー油室234に対するプライマリ油圧PL1の供給が停止すると、スプール弁子228はスプリング230の付勢力に従って第2位置へ移動させられ、モジュレータ油圧Pmfがアキュムレータコントロールバルブ130へ出力されるようになり、そのモジュレータ油圧Pmfに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。上記ソレノイドバルブ232はフェール切換手段に相当する。
【0044】
上記モジュレータバルブ240は、プライマリ油圧PL1が供給される入力ポート242、モジュレータ油圧Pmfを出力する出力ポート244、ドレーンポート246、出力ポート244と入力ポート242およびドレーンポート246との連通状態を変化させるスプール弁子248、スプール弁子248を入力ポート242と出力ポート244との連通が拡大する側へ付勢するスプリング250、およびモジュレータ油圧Pmfが導かれてスプール弁子248をスプリング250側へ付勢するフィードバック油室252を備えており、スプリング250のばね力とモジュレータ油圧Pmfとが釣り合うようにスプール弁子248が移動させられ、ばね力に対応する一定のモジュレータ油圧Pmfが出力される。このモジュレータ油圧Pmfは、信号油圧Pslの替わりにアキュムレータコントロールバルブ130に供給されることにより、例えば図6に破線で示されているように、前記リニアソレノイドバルブ84のソレノイドSLを励磁する励磁電流のデューティ比SLUが0%の場合と100%の場合との間の中間的な油圧特性が得られるように、信号油圧Pslの調圧範囲内の中間の油圧に設定される。
【0045】
このような油圧制御回路においては、通常はソレノイドバルブ232のソレノイドS4がOFF状態とされ、信号油圧リレーバルブ100から供給される信号油圧Pslがアキュムレータコントロールバルブ130へ出力されることにより、その信号油圧Pslに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。一方、リニアソレノイドバルブ84やモジュレータ油圧Pmを出力するモジュレータバルブのバルブスティック、ソレノイドSLの断線やショートなどによる信号油圧Pslの調整不良,供給停止等の異常発生時には、ソレノイドバルブ232のソレノイドS4をON(励磁)することにより、信号油圧Pslの替わりにモジュレータ油圧Pmfがアキュムレータコントロールバルブ130に供給されるようになり、そのモジュレータ油圧Pmfに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。したがって、異常発生時にもアキュムレータ背圧Pacc はモジュレータ油圧Pmfに対応する所定の油圧に調整され、クラッチCやブレーキBの急係合によるショックや係合遅れによる摩擦材の寿命低下等が可及的に回避される。異常発生の有無は、例えばソレノイドSLの断線やショートを電気的に検出したり、変速過渡時におけるエンジン回転速度NE,タービン回転速度Nt等の回転速度変化をモニタしたりすることなどで判断できる。
【0046】
図12の実施例は同じく第3発明の一実施例を成すものであり、過渡油圧コントロールバルブとしてのアキュムレータコントロールバルブ260は、前記入力ポート132,出力ポート134,ドレーンポート136,スプール弁子138,第1油室140,フィードバック油室142,信号油室144,スプリング146の他、補助油室262と、その補助油室262に供給された油圧をスプール弁子138に伝達するプランジャ264とを備えている。また、フェールリレーバルブ270は、信号油圧リレーバルブ100の第2出力ポート110に接続されて前記信号油圧Pslが供給される第1入力ポート272、信号油圧Pslの元圧である前記モジュレータ油圧Pmがフェール代替油圧として供給される第2入力ポート274、アキュムレータコントロールバルブ260の信号油室144に接続される第1出力ポート276、アキュムレータコントロールバルブ260の補助油室262に接続される第2出力ポート278、ドレーンポート280、図の左半分に示すように第1入力ポート272と第1出力ポート276とを連通させるとともに第2出力ポート278とドレーンポート280とを連通させる第1位置と、図の右半分に示すように第2入力ポート274と第2出力ポート278とを連通させるとともに第1出力ポート276とドレーンポート280とを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子としてのスプール弁子282、スプール弁子282を第2位置側へ付勢するスプリング284、および前記ソレノイドバルブ232のソレノイドS4がOFF(非励磁)の場合にプライマリ油圧PL1が供給されてスプール弁子282をスプリング284の付勢力に抗して第1位置へ移動させるリレー油室286を備えている。
【0047】
したがって、ソレノイドS4がOFFの場合には、フェールリレーバルブ270のスプール弁子282は第1位置に保持されて、信号油圧リレーバルブ100から供給される信号油圧Pslがアキュムレータコントロールバルブ260の信号油室144へ供給され、その信号油圧Pslに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。また、異常発生時にソレノイドS4がONされると、フェールリレーバルブ270のスプール弁子282はスプリング284の付勢力に従って第2位置へ移動させられ、モジュレータ油圧Pmがアキュムレータコントロールバルブ260の補助油室262へ供給されるようになり、そのモジュレータ油圧Pmに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。補助油室262内の油圧をスプール弁子138に伝達するプランジャ264の断面積は、所望の背圧特性が得られるように定められる。本実施例においても前記図11の実施例と同様の効果が得られる。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することもできる。
【0049】
例えば、前記実施例では信号油圧リレーバルブ100を切り換える信号油圧切換手段がソレノイドバルブ55およびシーケンス・リバースコントロールバルブ150によって構成されていたが、ソレノイドバルブ55をロックアップリレーバルブ54の切換え専用とし、これとは別に信号油圧リレーバルブ100を独立に切り換えるソレノイドバルブ等を設けることも可能である。
【0050】
また、前記実施例ではシーケンスコントロール機能およびリバースコントロール機能を兼ね備えたシーケンス・リバースコントロールバルブ150が用いられていたが、変速時に信号油圧リレーバルブ100を切り換えるシーケンスコントロール機能のみを備えたバルブを用いることもできる。
【0051】
また、前記実施例では油圧調整バルブとしてリニアソレノイドバルブ84が用いられていたが、デューティソレノイドバルブなど油圧制御が可能な他のバルブを採用することもできる。
【0052】
また、前記実施例ではアキュムレータ背圧Pacc を調圧して過渡油圧を制御するようになっていたが、摩擦係合手段の過渡油圧を直接制御するコントロールバルブを用いることもできる。
【0053】
また、前記実施例では3rdおよびO/D変速段でロックアップ制御を行う場合について説明したが、3段以上の変速段でロックアップ制御を行うことも可能で、2以上のアップシフト時に、それぞれロックアップクラッチ32を係合させたまま過渡油圧制御を開始するように構成することもできる。
【0054】
また、前記実施例ではイナーシャ相でロックアップクラッチ32を解放するようになっていたが、スロットル弁開度θや車速Vが所定値以下であるなど所定の条件下ではロックアップクラッチ32を係合させたまま変速を行うようにしても良いなど、ロックアップ制御や過渡油圧制御の内容は適宜変更できる。なお、前記シーケンス・リバースコントロールバルブ150を用いた場合には、第1リレー油圧PR1をOFFしてロックアップクラッチ32を一旦解放した後でなければ、ロックアップクラッチ32のスリップ制御を行うことはできない。
【0055】
また、前記図3〜図5,図11,図12に示す油圧回路やバルブの構成はあくまでも一例で、必要に応じて適宜変更することが可能である。
【0056】
また、前記実施例ではトルクコンバータ12が用いられていたが、フルードカップリングなどの他の流体式伝動装置を用いることもできる。
【0057】
また、前記実施例では前進4段の自動変速機14を備えていたが、この自動変速機14はあくまでも一例で変速段の数や構成は適宜変更され得る。
【0058】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明および第2発明の一実施例である油圧制御回路を備えた車両用動力伝達装置の一例を示す図である。
【図2】図1の自動変速機の各変速段を成立させるためのクラッチおよびブレーキの係合状態を説明する図である。
【図3】図4および図5と共に、図1の油圧制御回路の要部を具体的に示す回路図である。
【図4】図3および図5と共に、図1の油圧制御回路の要部を具体的に示す回路図である。
【図5】図3および図4と共に、図1の油圧制御回路の要部を具体的に示す回路図である。
【図6】図5のアキュムレータコントロールバルブによって制御されるアキュムレータ背圧の油圧特性を示す図である。
【図7】図1の実施例において自動変速機の変速段を切り換える変速マップの一例を説明する図である。
【図8】図1の実施例におけるロックアップクラッチの係合領域を説明する図である。
【図9】図1の実施例においてロックアップクラッチ係合状態で3→O/D変速が行われる際の作動を説明するフローチャートである。
【図10】図9のフローチャートに従ってロックアップ制御および背圧制御が行われた場合の各部の作動状態を説明するタイムチャートである。
【図11】第3発明の一実施例を説明する油圧回路図である。
【図12】第3発明の別の実施例を説明する油圧回路図である。
【符号の説明】
10:エンジン(機関)
12:トルクコンバータ(流体式伝動装置)
14:自動変速機
32:ロックアップクラッチ
50:油圧制御回路
54:ロックアップリレーバルブ
55:ソレノイドバルブ(ロックアップ切換手段,第1リレー油圧切換手段,信号油圧切換手段)
66:ロックアップコントロールバルブ
84:リニアソレノイドバルブ(油圧調整バルブ)
100:信号油圧リレーバルブ
130,260:アキュムレータコントロールバルブ(過渡油圧コントロールバルブ)
150:シーケンス・リバースコントロールバルブ(信号油圧切換手段)
220,270:フェールリレーバルブ
232:ソレノイドバルブ(フェール切換手段)
C0 〜C2 :クラッチ(油圧式摩擦係合手段)
B0 〜B3 :ブレーキ(油圧式摩擦係合手段)
Psl:信号油圧
Pm:モジュレータ油圧(代替油圧)
Pmf:モジュレータ油圧(フェール代替油圧)
PR1:第1リレー油圧
PR2:第2リレー油圧
PR3:第3リレー油圧
PO/D :O/D段油圧(高速段油圧)
PR :Rレンジ油圧(後進段油圧)
【産業上の利用分野】
本発明は自動変速機の油圧制御回路に係り、特に、変速時における摩擦係合手段の過渡油圧制御およびロックアップクラッチのスリップ制御を単一の油圧調整バルブで行う油圧制御回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機を有するオートマチック車両においては、トルクコンバータ等の流体式伝動装置を介して自動変速機に機関出力を伝達するようになっているが、流体式伝動装置と並列にロックアップクラッチを設け、燃費向上やトルク変動の吸収等を目的としてそのロックアップクラッチを完全係合若しくはスリップ係合させることが、例えば特開平2−80857号公報等に記載されている。ロックアップクラッチをスリップ係合させる場合、ロックアップクラッチの係合側油室および解放側油室に対する油路を切り換えてロックアップクラッチを係合,解放するロックアップリレーバルブと、そのロックアップリレーバルブを切り換えるロックアップ切換手段と、信号油圧が高圧となるに従ってロックアップクラッチの係合時における前記係合側油室の油圧と前記解放側油室の油圧との差圧を増大させるロックアップコントロールバルブと、ロックアップクラッチが所定のスリップ状態となるように前記信号油圧を調整するロックアップ制御用の油圧調整バルブとを備えて構成されるのが一般的である。
【0003】
また、上記自動変速機が複数の変速段を有し、クラッチやブレーキ等の油圧式摩擦係合手段の係合,解放によって変速段が切り換えられる場合、変速時のショックを軽減するためにそれ等の油圧式摩擦係合手段の係合時や解放時の過渡油圧を制御する過渡油圧コントロールバルブを備えており、過渡油圧制御用の油圧調整バルブによって調整される信号油圧に従って過渡油圧を制御するようになっている。シフトレバーがP(駐車)レンジからR(後進)レンジへ操作される場合や、N(ニュートラル)レンジからD(ドライブ)レンジへ操作される場合など、シフトレバー操作によって上記油圧式摩擦係合手段の係合状態が切り換えられる時にも、変速時と同様に過渡油圧コントロールバルブによって過渡油圧を制御することにより、シフトショックを軽減することが行われている。その場合に、過渡油圧制御用の油圧調整バルブと前記ロックアップ制御用の油圧調整バルブは従来別々に設けられており、上記特開平2−80857号公報に記載の油圧制御回路もそのようになっているが、このように油圧調整バルブを別々に設けると油圧制御回路が複雑で大掛かりになるとともに高価となる。油圧調整バルブとしては、リニアソレノイドバルブやデューティソレノイドバルブなどが用いられるが、リニアソレノイドバルブを用いた場合には、高精度の油圧調整が可能な反面、バルブ自体が大型で且つ高価なため上記問題が一層顕著となる。
【0004】
これに対し、1本の油圧調整バルブを用いて過渡油圧制御およびロックアップクラッチのスリップ制御を行うことが、例えば特開平2−253049号公報で提案されている。その場合に、アップシフト時には機関の不要な吹き上がりを防止する上で、過渡油圧制御およびロックアップクラッチの係合制御を一時的に重複して行う必要があるため、過渡油圧制御を行う必要がない最高速段においてのみロックアップクラッチのスリップ制御を行うようになっている。すなわち、油圧調整バルブから出力される信号油圧を過渡油圧コントロールバルブおよびロックアップコントロールバルブの双方に常時作用させるが、ロックアップコントロールバルブは、最高速段の場合にのみロックアップクラッチに接続されて解放側油室の油圧制御を行うのであり、他の変速段ではロックアップクラッチとの油路が遮断されてロックアップコントロールバルブの調圧動作が不能となり、過渡油圧コントロールバルブの調圧制御が可能とされるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように最高速段以外の変速段でスリップ制御が不能であると、スリップ制御による燃費向上効果が十分に得られないとともに、最高速段以外ではロックアップクラッチが解放状態と完全係合状態との間で直接切り換えられるため、機関回転数や伝達トルクが急激に変化してショックを生じることがある。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、単一の油圧調整バルブにより複数の変速段でロックアップクラッチのスリップ制御を行うことができるとともに変速時やシフトレバー操作時における摩擦係合手段の過渡油圧制御が可能で、且つロックアップクラッチ係合状態でのアップシフト時にはロックアップクラッチを係合させたまま過渡油圧制御を開始できる油圧制御回路を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a)自動変速機の変速段を切り換える複数の油圧式摩擦係合手段と、(b)流体式伝動装置と並列に設けられて前記自動変速機に機関出力を伝達するロックアップクラッチと、(c)そのロックアップクラッチの係合側油室および解放側油室に対する油路を切り換えてロックアップクラッチを係合,解放するロックアップリレーバルブと、(d)そのロックアップリレーバルブを切り換えるロックアップ切換手段と、(e)信号油圧が高圧となるに従って前記ロックアップクラッチの係合時における前記係合側油室の油圧と前記解放側油室の油圧との差圧を増大させるロックアップコントロールバルブと、(f)信号油圧に従って前記油圧式摩擦係合手段の過渡油圧を制御する過渡油圧コントロールバルブとを備えた自動変速機の油圧制御回路であって、(g)前記ロックアップコントロールバルブおよび前記過渡油圧コントロールバルブに供給される前記信号油圧を調整する単一の油圧調整バルブと、(h)前記信号油圧が供給される第1入力ポート、前記信号油圧の替わりに前記ロックアップコントロールバルブへ出力されることにより前記ロックアップクラッチを係合させることが可能な代替油圧が供給される第2入力ポート、前記ロックアップコントロールバルブに接続される第1出力ポート、前記過渡油圧コントロールバルブに接続される第2出力ポート、および前記第1入力ポートと前記第2出力ポートとを連通させるとともに前記第2入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第1位置と前記第1入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子を備えている信号油圧リレーバルブと、(i)その信号油圧リレーバルブの切換弁子を前記第1位置または第2位置へ選択的に移動させる信号油圧切換手段とを有することを特徴とする。
【0008】
【作用】
このような油圧制御回路においては、信号油圧切換手段によって信号油圧リレーバルブの切換弁子が第2位置に保持されると、油圧調整バルブによって調整された信号油圧はロックアップコントロールバルブへ出力される。したがって、この状態においては信号油圧に基づいてロックアップクラッチをスリップ係合させることが可能であり、所定の変速段でロックアップクラッチの完全係合条件やスリップ係合条件を満足する場合に、ロックアップ切換手段によってロックアップリレーバルブがクラッチ係合側へ切り換えられることにより、ロックアップクラッチを完全係合させたりスリップ係合させたりすることができる。
【0009】
一方、自動変速機の変速段を切り換える変速時には、信号油圧切換手段によって信号油圧リレーバルブの切換弁子を第1位置へ移動させることにより、油圧調整バルブによって調整された信号油圧を過渡油圧コントロールバルブへ供給できる。これにより、油圧式摩擦係合手段の係合時や解放時の過渡油圧を徐々に変化させ、変速時のショックを防止できる。その場合に、上記信号油圧リレーバルブの切換弁子が第1位置へ移動させられると、ロックアップコントロールバルブにはロックアップクラッチを係合させることが可能な代替油圧が供給されるため、ロックアップリレーバルブがクラッチ係合側に保持されている限り、信号油圧リレーバルブの切換弁子が第1位置へ移動させられてもロックアップクラッチは係合状態に維持される。このため、ロックアップクラッチの係合時にアップシフトが行われる場合には、ロックアップリレーバルブをクラッチ係合側に保持したまま信号油圧リレーバルブの切換弁子を第1位置へ移動させることにより、ロックアップクラッチを係合させたまま過渡油圧制御を開始でき、ロックアップクラッチ解放による機関の不要な吹き上がりを回避できる。過渡油圧が変化して摩擦係合手段が所定のスリップ状態となった段階で、ロックアップ切換手段によりロックアップリレーバルブをクラッチ解放側へ切り換えれば、その時点でロックアップクラッチは解放され、変速に伴う機関回転数の急激な変化を流体式伝動装置によって軽減することができる。
【0010】
また、シフトレバーがPレンジからRレンジへ操作される場合など、シフトレバー操作によって上記油圧式摩擦係合手段の係合状態が切り換えられる時にも、ロックアップクラッチをスリップ係合させる必要はないため、上記変速時と同様に過渡油圧コントロールバルブによって過渡油圧を制御することにより、シフトショックを軽減することができる。
【0011】
【第1発明の効果】
このように第1発明によれば、単一の油圧調整バルブにより複数の変速段でロックアップクラッチのスリップ制御を行うことができるとともに変速時やシフトレバー操作時における摩擦係合手段の過渡油圧制御が可能で、且つロックアップクラッチ係合状態でのアップシフト時にはロックアップクラッチを係合させたまま過渡油圧制御を開始できる。
【0012】
【課題を解決するための第2の手段】
前記目的を達成するために、第2発明は、(a)自動変速機の変速段を切り換える複数の油圧式摩擦係合手段と、(b)流体式伝動装置と並列に設けられて前記自動変速機に機関出力を伝達するロックアップクラッチと、(c)そのロックアップクラッチの係合側油室および解放側油室に対する油路を切り換えてロックアップクラッチを係合,解放するロックアップリレーバルブと、(d)そのロックアップリレーバルブを係合側へ切り換える第1リレー油圧をON,OFFする第1リレー油圧切換手段と、(e)信号油圧が高圧となるに従って前記ロックアップクラッチの係合時における前記係合側油室の油圧と前記解放側油室の油圧との差圧を増大させるロックアップコントロールバルブと、(f)信号油圧に従って前記油圧式摩擦係合手段の過渡油圧を制御する過渡油圧コントロールバルブとを備えた自動変速機の油圧制御回路であって、(g)前記ロックアップコントロールバルブおよび前記過渡油圧コントロールバルブに供給される前記信号油圧を調整する単一の油圧調整バルブと、(h)前記信号油圧が供給される第1入力ポート、前記信号油圧の替わりに前記ロックアップコントロールバルブへ出力されることにより前記ロックアップクラッチを係合させることが可能な代替油圧が供給される第2入力ポート、前記ロックアップコントロールバルブに接続される第1出力ポート、前記過渡油圧コントロールバルブに接続される第2出力ポート、前記第1入力ポートと前記第2出力ポートとを連通させるとともに前記第2入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第1位置と前記第1入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子、その切換弁子を前記第1位置側へ付勢する付勢手段、前記第1リレー油圧が供給されることにより前記付勢手段の付勢力に抗して前記切換弁子を前記第2位置側へ移動させる第1リレー油室、および第2リレー油圧が供給されることにより前記第1リレー油圧の存在に拘らず前記切換弁子を前記第1位置へ移動させる第2リレー油室を備えている信号油圧リレーバルブと、(i)前記ロックアップクラッチを係合させる連続する複数の前進変速段のうち高速側変速段を成立させる際に出力される高速段油圧が供給される第1入力ポート、後進変速段を成立させる際に出力される後進段油圧が供給される第2入力ポート、前記信号油圧リレーバルブの第2リレー油室に接続される第1出力ポート、前記後進段油圧を出力して前記複数の油圧式摩擦係合手段のうち後進変速段を成立させるものを係合させる第2出力ポート、前記第1入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させるとともに前記第2入力ポートと前記第2出力ポートとを遮断する第1位置とその第2入力ポートと第2出力ポートとを連通させるとともに第1入力ポートと第1出力ポートとを遮断する第2位置とへ移動させられる切換弁子、その切換弁子を前記第1位置側へ付勢する付勢手段、前記第1リレー油圧が供給されることにより前記切換弁子を前記第1位置側へ付勢する第1リレー油室、前記高速側変速段および前記後進変速段を成立させる際に出力されるとともに所定の条件下でその後進変速段の成立を阻止する際に出力が停止させられる第3リレー油圧が供給されて前記切換弁子を前記第2位置側へ付勢する第2リレー油室、および前記切換弁子が前記第1位置に保持されている場合に前記第3リレー油圧が供給されてその切換弁子をその第1位置側へ付勢する第3リレー油室を備え、第1リレー油室に第1リレー油圧が供給されて切換弁子が第1位置に保持されている状態では、前記高速側変速段への変速に伴って第2リレー油室および第3リレー油室に第3リレー油圧が供給されてもその切換弁子が第1位置に保持され、前記高速段油圧を前記第2リレー油圧として前記信号油圧リレーバルブの第2リレー油室に出力するが、その高速側変速段で前記第1リレー油圧の供給が停止すると、前記第2リレー油室および第3リレー油室における前記切換弁子の受圧面積差に基づいてその切換弁子が前記付勢手段の付勢力に抗して前記第2位置へ移動させられ、且つ、その高速側変速段でその切換弁子がその第2位置に保持されている状態では、前記第1リレー油室に前記第1リレー油圧が供給されても前記第2リレー油室に供給されている第3リレー油圧に基づいてその切換弁子がその第2位置に保持される一方、前記後進変速段への変速時には前記第3リレー油圧および前記付勢手段の付勢力に基づいて前記切換弁子が移動させられるシーケンス・リバースコントロールバルブとを有することを特徴とする。
【0013】
【作用】
このような油圧制御回路においては、第1リレー油圧切換手段により第1リレー油圧がOFF状態とされている時には、ロックアップリレーバルブはクラッチ解放側に保持されてロックアップクラッチが解放状態にされるとともに、信号油圧リレーバルブの切換弁子は付勢手段の付勢力に従って第1位置に保持され、油圧調整バルブによって調整される信号油圧は過渡油圧コントロールバルブに出力される。したがって、この状態においては油圧式摩擦係合手段の係合時や解放時の過渡油圧を制御することが可能で、変速時やシフトレバー操作時のショックを軽減できる。また、所定の変速段でロックアップクラッチの完全係合条件やスリップ係合条件を満足する場合には、第1リレー油圧切換手段によって第1リレー油圧をON状態とすることにより、ロックアップリレーバルブがクラッチ係合側へ切り換えられるとともに、信号油圧リレーバルブの切換弁子は付勢手段の付勢力に抗して第2位置へ移動させられ、油圧調整バルブによって調整される信号油圧はロックアップコントロールバルブへ導かれるようになり、その信号油圧に基づいてロックアップクラッチを完全係合させたりスリップ係合させたりできる。
【0014】
一方、ロックアップクラッチを係合させる連続する複数の前進変速段のうち低速側変速段でロックアップクラッチが完全係合またはスリップ係合の時に高速側変速段へアップシフトが行われる場合、シーケンス・リバースコントロールバルブの切換弁子は第1リレー油圧および付勢手段の付勢力に基づいて第3リレー油圧の供給に拘らず第1位置に保持されるため、高速段油圧がそのシーケンス・リバースコントロールバルブを経て第2リレー油圧として信号油圧リレーバルブの第2リレー油室に導かれる。これにより、信号油圧リレーバルブの切換弁子は第1位置へ移動させられ、油圧調整バルブによって調整された信号油圧は過渡油圧コントロールバルブへ供給されるようになり、油圧式摩擦係合手段の過渡油圧を制御して変速時のショックを軽減できる。この時、ロックアップコントロールバルブにはロックアップクラッチを係合させることが可能な代替油圧が供給されるため、ロックアップリレーバルブがクラッチ係合側に保持されている限り、ロックアップクラッチは係合状態に維持される。すなわち、ロックアップクラッチを係合させたまま過渡油圧制御を開始できるのであり、ロックアップクラッチ解放による機関の不要な吹き上がりを回避できる。過渡油圧が変化して摩擦係合手段が所定のスリップ状態となった段階で、第1リレー油圧切換手段により第1リレー油圧をOFFすれば、ロックアップリレーバルブがクラッチ解放側へ切り換えられてロックアップクラッチが解放され、変速に伴う機関回転数の急激な変化を流体式伝動装置によって軽減することができる。
【0015】
上記のように第1リレー油圧がOFFされると、シーケンス・リバースコントロールバルブの切換弁子は第3リレー油圧に基づいて第2位置へ移動させられ、前記高速段油圧の信号油圧リレーバルブへの供給が停止されるとともに、その状態においては再び第1リレー油圧が供給されるようになっても切換弁子は第2位置に保持される。したがって、第3リレー油圧が供給される高速側変速段に維持されている限り、シーケンス・リバースコントロールバルブの切換弁子は第1リレー油圧のON,OFFに拘らず第2位置に保持され、高速段油圧が第2リレー油圧として信号油圧リレーバルブに供給されなくなり、信号油圧リレーバルブの切換弁子は第1位置側へ付勢する付勢手段により第1位置に保持されており、信号油圧リレーバルブの切換弁子は専ら第1リレー油圧のON,OFFに従って第2位置または第1位置へ移動させられる。これにより、この高速側変速段においても、他の変速段と同様に第1リレー油圧切換手段による第1リレー油圧のON,OFFでロックアップクラッチを係合,解放制御できるとともに、クラッチ係合時には油圧調整バルブによってスリップ係合させることが可能である。
【0016】
上記シーケンス・リバースコントロールバルブは、シフトレバーがR(後進)レンジへ操作されて第3リレー油圧が供給されると、切換弁子が第2位置へ移動させられ、後進段油圧を出力して後進変速段を成立させるが、第3リレー油圧が供給されないと切換弁子は付勢手段の付勢力に従って第1位置に保持され、後進段油圧の出力を禁止して後進変速段の成立を阻止する。第3リレー油圧は、例えば前進車速が予め定められた設定車速以上である場合など所定の条件下では、シフトレバーがRレンジへ操作されても出力されず、これにより、シフトレバーの誤操作などで後進変速段が成立することが防止される。
【0017】
【第2発明の効果】
このように第2発明によれば、単一の油圧調整バルブにより複数の変速段でロックアップクラッチのスリップ制御を行うことができるとともに変速時やシフトレバー操作時における摩擦係合手段の過渡油圧制御が可能で、且つロックアップクラッチ係合状態でのアップシフト時にはロックアップクラッチを係合させたまま過渡油圧制御を開始できる。特に、ロックアップクラッチ係合状態で高速側変速段へアップシフトが行われる際には、その高速側変速段を成立させる高速段油圧が第2リレー油圧として信号油圧リレーバルブに供給され、第1リレー油圧の存在に拘らず信号油圧リレーバルブの切換弁子を強制的に第1位置へ移動させるようになっているため、信号油圧リレーバルブを切り換えるための特別な制御が不要であるとともに、その第2リレー油圧を出力するシーケンス・リバースコントロールバルブは、所定の条件下で後進変速段の成立を阻止する機能を兼ね備えているため、バルブ本数が少なくて済み、油圧制御回路をコンパクトに構成し得る利点がある。
【0018】
【課題を解決するための第3の手段】
第3発明は、上記第1発明または第2発明の自動変速機の油圧制御回路において、(a)前記信号油圧リレーバルブの第2出力ポートに接続される第1入力ポート、所定のフェール代替油圧が供給される第2入力ポート、前記過渡油圧コントロールバルブに接続される出力ポート、および前記第1入力ポートと出力ポートとを連通させる第1位置と前記第2入力ポートと出力ポートとを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子を備えて、前記信号油圧リレーバルブと前記過渡油圧コントロールバルブとの間に配設されたフェールリレーバルブと、(b)そのフェールリレーバルブの切換弁子を前記第1位置または第2位置へ選択的に移動させるフェール切換手段とを有することを特徴とする。
【0019】
【作用】
このような油圧制御回路においては、通常はフェールリレーバルブの切換弁子はフェール切換手段によって第1位置に保持され、信号油圧リレーバルブの第2出力ポートから出力される信号油圧はフェールリレーバルブを介して過渡油圧コントロールバルブに供給され、油圧式摩擦係合手段の過渡油圧が油圧調整バルブによって調整される信号油圧に従って調圧制御される。一方、信号油圧の調整が不能若しくは供給停止など、油圧調整バルブや信号油圧リレーバルブ,それ等の駆動制御回路等に異常が発生した場合には、フェール切換手段によってフェールリレーバルブの切換弁子を第2位置へ移動させることにより、過渡油圧コントロールバルブには信号油圧に替えて所定のフェール代替油圧が供給され、そのフェール代替油圧に基づいて過渡油圧が調圧制御される。したがって、異常発生時にも過渡油圧は所定の油圧に調整され、摩擦係合手段の急係合によるショックや係合遅れによる摩擦材の寿命低下等が可及的に回避される。異常発生の有無は、自動変速機各部の回転速度や機関回転数、油圧制御回路各部の油圧などによって検出できる。
【0020】
なお、異常発生時におけるロックアップクラッチの制御については、第1発明ではロックアップ切換手段により、第2発明では第1リレー油圧切換手段により、それぞれ信号油圧とは無関係にロックアップリレーバルブを解放側へ切り換えてロックアップクラッチを解放できる。
【0021】
【第3発明の効果】
このように第3発明によれば、第1発明または第2発明と同じ効果が得られるのに加えて、信号油圧の調整が不能若しくは供給停止など、油圧調整バルブや信号油圧リレーバルブ,それ等の駆動制御回路等に異常が発生した場合には、信号油圧に替えてフェール代替油圧を過渡油圧コントロールバルブに供給し、摩擦係合手段の過渡油圧をそのフェール代替油圧に基づいて調圧できるようになっているため、異常発生時でも摩擦係合手段の急係合によるショックや係合遅れによる摩擦材の寿命低下等が可及的に回避される。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1において、内燃機関であるエンジン10の出力は、流体式伝動装置としてのトルクコンバータ12および自動変速機14から、図示しない差動歯車装置などを経て駆動輪へ伝達される。トルクコンバータ12は、エンジン10のクランク軸16と連結されているポンプ翼車18と、自動変速機14の入力軸20に連結されたタービン翼車22と、一方向クラッチ24を介して非回転部材であるハウジング26に固定されたステータ翼車28と、ダンパを介して上記入力軸20に連結されたロックアップクラッチ32とを備えている。ロックアップクラッチ32は、トルクコンバータ12内の係合側油室34よりも解放側油室36内の油圧が高められると非係合状態となり、トルクコンバータ12の入出力回転速度比に応じた増幅率でトルクが伝達される一方、解放側油室36よりも係合側油室34内の油圧が高められると係合状態となり、ロックアップクラッチ32を介してクランク軸16から入力軸20へエンジン出力が伝達される。
【0023】
自動変速機14は、同軸上に配設された3組のシングルピニオン型遊星歯車装置40,42,44と、前記入力軸20と、遊星歯車装置42のキャリヤおよび遊星歯車装置44のリングギヤに連結された出力軸46とを備えている。遊星歯車装置40,42,44の構成要素の一部は互いに一体的に連結されているとともに、他の一部は3つのクラッチC0 ,C1 ,C2 によって互いに選択的に連結され、或いは4つのブレーキB0 ,B1 ,B2 ,B3 によってハウジング26に選択的に連結されるようになっている。また、3つの一方向クラッチF0 ,F1 ,F2 によってその回転方向により相互に若しくはハウジング26と係合させられるようになっている。なお、トルクコンバータ12および自動変速機14は軸線に対して対称的に構成されているため、図1では下側を省略して示してある。
【0024】
上記クラッチC0 〜C2 およびブレーキB0 〜B3 (以下、特に区別しない場合にはクラッチC,ブレーキBという)は、多板式のクラッチやバンドブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合手段であり、その油圧アクチュエータには、油圧制御回路50から作動油が供給されるようになっている。油圧制御回路50は多数の切換バルブ等を備えており、図2に示されているように、「D」レンジではソレノイドS1,S2の励磁,非励磁がそれぞれ切り換えられることにより、1stからO/Dまでの前進4段のうちの何れかの変速段が成立させられる。これ等の変速段の変速比(=入力軸20の回転速度Nt /出力軸46の回転速度No )は、1st変速段からO/D変速段に向かうに従って小さくなり、3rd変速段では1である。シフトポジション「P」,「R」,「N」,「D」,「2」,「L」は運転席のシフトレバーの操作レンジであり、「2」レンジでは1stから3rdまでの3段で変速制御が行われ、「L」レンジでは1stおよび2ndの2段で変速制御が行われる。また、シフトレバーの操作に従ってマニュアルシフトバルブが切り換えられることにより、「2」レンジおよび「L」レンジの2nd、「L」レンジの1stでは、それぞれブレーキB1 ,B3 が係合させられてエンジンブレーキが効くようになっているとともに、「R」レンジでは後進変速段が成立させられる。「R」レンジでも、前進車速Vが予め定められた一定車速α以上の場合には、ソレノイドS2が励磁されることにより後進変速段の成立が阻止される。ソレノイドの欄の「○」はON(励磁)、「×」はOFF(非励磁)、「◎」はロックアップ制御時のON(励磁)を意味しており、それぞれコントロールユニット52によって制御される。また、クラッチ,ブレーキの欄の「○」は係合、「×」は解放を意味している。本実施例では連続する3rd変速段およびO/D変速段でロックアップクラッチ32の係合制御が行われる。なお、ソレノイドSLは、上記クラッチCやブレーキBのアキュムレータの背圧制御も行うもので、図2には示されていないが、変速時やシフトレバー操作時にも励磁される。
【0025】
上記油圧制御回路50は、図3〜図5に示すロックアップ制御用およびアキュムレータ背圧制御用の回路を備えている。図3のロックアップリレーバルブ54は、ソレノイドバルブ55のソレノイドS3が励磁されることによって出力される第1リレー油圧PR1がリレー油室56に作用させられることにより、図の右半分に示すON状態となり、エンジン10の出力トルクに対応して変化するように調圧されるセカンダリ油圧PL2を、入力ポート58からポート60を介して前記係合側油室34に供給する一方、解放側油室36をポート62,64を介してロックアップコントロールバルブ66のポート68に連通させる。ロックアップコントロールバルブ66は、係合側油室34内の係合油圧Ponが供給される第1油室70、解放側油室36内の解放油圧Poff が供給される第2油室72、信号油圧Pslが供給される信号油室74、およびスプール弁子76を油室72,74側へ付勢するスプリング77を備えており、それ等の油圧やばね力が釣り合うようにスプール弁子76が移動させられ、前記ポート68がドレーンポート78またはセカンダリ油圧PL2が供給される加圧ポート80に連通させられて解放油圧Poff が調圧されることにより、係合油圧Ponと解放油圧Poff との差圧ΔPが信号油圧Pslに応じて調整される。すなわち、信号油圧Pslが十分に高い場合には、解放油圧Poff が低圧とされて差圧ΔPが大きくなり、ロックアップクラッチ32は完全係合状態となるが、信号油圧Pslが低くなると、それに伴って解放油圧Poff は高圧となり、差圧ΔPが小さくなってロックアップクラッチ32はその差圧ΔPに対応する係合力でスリップ係合させられる。また、ソレノイドS3が非励磁で第1リレー油圧PR1がOFFの場合には、ロックアップリレーバルブ54は図の左半分に示すOFF状態となり、入力ポート58とポート62とが連通してセカンダリ油圧PL2が解放側油室36に作用させられる一方、前記ポート60と排出ポート82とが連通して係合側油室34内の作動油がオイルクーラー等へ排出され、ロックアップクラッチ32は解放状態となる。上記第1リレー油圧PR1は、ブレーキB2 を係合させるB2 油圧をオリフィス83(図4参照)を介して導いたもので、図2から明らかなように2nd,3rd,またはO/D変速段の場合にのみ第1リレー油圧PR1は出力可能となる。B2 油圧の値は、エンジン10の出力トルクなどに応じて調圧されるプライマリ油圧PL1と同じである。上記第1リレー油圧PR1の出力をON,OFFするソレノイドバルブ55は、第1発明のロックアップ切換手段、第2発明の第1リレー油圧切換手段に相当する。なお、図3〜図5の各部に記載してある「EX」は、タンクへのドレーンを表している。
【0026】
上記信号油圧Pslは、図4のリニアソレノイドバルブ84によって調圧される。このリニアソレノイドバルブ84は油圧調整バルブに相当するもので、信号油圧Pslの元圧として一定のモジュレータ油圧Pmが供給される入力ポート86、信号油圧Pslを出力する出力ポート88、ドレーンポート90、信号油圧Pslが作用させられるフィードバック油室92、およびスプール弁子94をソレノイドSL側へ付勢するスプリング96を備えており、スプール弁子94をスプリング96側へ付勢するソレノイドSLに供給される励磁電流が前記コントロールユニット52によってデューティ制御され、スプール弁子94が移動させられて出力ポート88が入力ポート86またはドレーンポート90に連通させられることにより、励磁電流のデューティ比SLUに対応して連続的に変化する信号油圧Pslが出力される。すなわち、かかるリニアソレノイドバルブ84は、スプール弁子94に作用する油圧やばね力,ソレノイドSLによる付勢力が釣り合うように、励磁電流に応じて信号油圧Pslを調圧制御するもので、この実施例では励磁電流のデューティ比SLUが大きい程信号油圧Pslは高くなる。
【0027】
上記リニアソレノイドバルブ84とロックアップコントロールバルブ66との間には信号油圧リレーバルブ100が配設されている。信号油圧リレーバルブ100は、前記信号油圧Pslが供給される第1入力ポート102、信号油圧Pslの替わりにロックアップコントロールバルブ66へ出力されることによりロックアップクラッチ32を係合させることが可能な代替油圧として、信号油圧Pslの元圧であるモジュレータ油圧Pmが供給される第2入力ポート104、ロックアップコントロールバルブ66の信号油室74に接続される第1出力ポート106、図5のアキュムレータコントロールバルブ130に接続される第2出力ポート110、ドレーンポート112、図の右半分に示すように第1入力ポート102と第2出力ポート110とを連通させるとともに第2入力ポート104と第1出力ポート106とを連通させる第1位置と、図の左半分に示すように第1入力ポート102と第1出力ポート106とを連通させるとともに第2出力ポート110とドレーンポート112とを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子としてのスプール弁子114、スプール弁子114を上記第1位置側へ付勢する付勢手段としてのスプリング116、前記第1リレー油圧PR1が供給されることによりスプリング116の付勢力に抗してスプール弁子114を第2位置へ移動させる第1リレー油室118、およびシーケンス・リバースコントロールバルブ150から第2リレー油圧PR2が供給されることにより第1リレー油圧PR1の存在に拘らずスプール弁子114を第1位置へ移動させる第2リレー油室120を備えている。上記第2リレー油圧PR2は第1リレー油圧PR1と同様にプライマリ油圧PL1と同じ油圧で、第1リレー油室118および第2リレー油室120におけるスプール弁子114の受圧面積は同じであり、両油室118,120にリレー油圧PR1,PR2がそれぞれ供給される場合は、スプリング116の付勢力に従ってスプール弁子114は第1位置に保持されるのである。したがって、スプール弁子114は第1リレー油圧PR1がONで第2リレー油圧PR2がOFFの場合にのみ第2位置に保持され、その状態では信号油圧Pslはロックアップコントロールバルブ66に供給されるため、ロックアップクラッチ32を信号油圧Pslに応じて完全係合またはスリップ係合させることができる。第1リレー油圧PR1がOFFの場合、或いは第1リレー油圧PR1がONであっても第2リレー油圧PR2がONの場合には、スプール弁子114は第1位置に保持され、信号油圧Pslはアキュムレータコントロールバルブ130に供給されるとともにロックアップコントロールバルブ66にはモジュレータ油圧Pmが供給されるため、第1リレー油圧PR1がONでロックアップリレーバルブ54がON状態であればロックアップクラッチ32は完全係合させられる。第1リレー油圧PR1をON,OFFする前記ソレノイドバルブ55は、第2リレー油圧PR2をON,OFFするシーケンス・リバースコントロールバルブ150と共に第1発明の信号油圧切換手段を構成している。ソレノイドバルブ55は、第1発明のロックアップ切換手段と信号油圧切換手段とを兼ねている。
【0028】
図5のアキュムレータコントロールバルブ130は、前記クラッチC1 ,C2 ,ブレーキB0 ,B2 の油圧アクチュエータに対応してそれぞれ配設された図示しないアキュムレータの背圧Pacc を、前記リニアソレノイドバルブ84によって調整される信号油圧Pslに応じて調圧制御するものである。アキュムレータは、変速時やシフトレバー操作時に上記クラッチC,ブレーキBが係合または解放される際の過渡油圧を、スプリングおよび上記背圧Pacc に応じて調整し、変速ショックやシフトショックを緩和するためのもので、背圧Pacc を調圧制御するアキュムレータコントロールバルブ130は過渡油圧コントロールバルブに相当する。かかるアキュムレータコントロールバルブ130は、背圧Pacc の元圧としてプライマリ油圧PL1が供給される入力ポート132、アキュムレータ背圧Pacc を出力する出力ポート134、ドレーンポート136、出力ポート134と入力ポート132およびドレーンポート136との連通状態を変化させるスプール弁子138、エンジン10の吸入空気量を調整するスロットル弁の開度θに対応して調圧されるスロットル油圧Pthが供給されてスプール弁子138を図の下方、すなわち出力ポート134と入力ポート132との連通を拡大する方向へ付勢する第1油室140、アキュムレータ背圧Pacc が供給されてスプール弁子138を図の上方へ付勢するフィードバック油室142、前記信号油圧リレーバルブ100の第2出力ポート110に接続されて信号油圧Pslが供給されスプール弁子138を上方へ付勢する信号油室144、およびスプール弁子138を図の下方へ付勢するスプリング146を備えており、それ等の油圧やばね力が釣り合うようにスプール弁子138が移動させられることにより、アキュムレータ背圧Pacc が信号油圧Pslおよびスロットル油圧Pthに応じて調圧制御される。図6は、このアキュムレータコントロールバルブ130によって調圧されるアキュムレータ背圧Pacc の油圧制御範囲の一例で、前記リニアソレノイドバルブ84に供給される励磁電流のデューティ比SLUが大きくなる程、言い換えれば信号油圧Pslが高圧になる程アキュムレータ背圧Pacc は低下し、スロットル油圧Pthが高くなるに従ってアキュムレータ背圧Pacc は高くなる。
【0029】
図4に戻って、前記シーケンス・リバースコントロールバルブ150は、ロックアップクラッチ32の係合制御が行われる3rd変速段およびO/D変速段のうち高速側のO/D変速段を成立させる際にブレーキB0 の油圧アクチュエータに出力される高速段油圧としてのO/D段油圧PO/D が供給される第1入力ポート152、後進変速段を成立させる際にマニュアルシフトバルブから出力される後進段油圧としてのRレンジ油圧PR が供給される第2入力ポート154、前記信号油圧リレーバルブ100の第2リレー油室120に接続される第1出力ポート156、後進変速段を成立させるクラッチC2 およびブレーキB3 の油圧アクチュエータに接続される第2出力ポート158、ドレーンポート160、図の左半分に示すように第1入力ポート152と第1出力ポート156とを連通させるとともに第2入力ポート154と第2出力ポート158との連通を遮断して第2出力ポート158をドレーンポート160に連通させる第1位置と、図の右半分に示すように第2入力ポート154と第2出力ポート158とを連通させるとともに第1入力ポート152と第1出力ポート156との連通を遮断して第1出力ポート156をドレーンポート160に連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子としてのスプール弁子162、そのスプール弁子162を上記第1位置側へ付勢する付勢手段としてのスプリング164、前記第1リレー油圧PR1が供給されることによりスプール弁子162を上記第1位置側へ付勢する第1リレー油室166、3rd変速段からO/D変速段への変速時に前記ソレノイドS2が非励磁とされることによって出力される第3リレー油圧PR3が供給されてスプール弁子162を上記第2位置側へ付勢する第2リレー油室168、およびスプール弁子162が上記第1位置に保持されている場合に第3リレー油圧PR3が供給されてスプール弁子162を上記第1位置側へ付勢する第3リレー油室170を備え、第1リレー油室166に第1リレー油圧PR1が供給されてスプール弁子162が第1位置に保持されている状態では、3rd変速段からO/D変速段へのアップシフトに伴って第2リレー油室168および第3リレー油室170に第3リレー油圧PR3が供給されてもスプール弁子162が第1位置に保持され、前記O/D段油圧PO/D を前記第2リレー油圧PR2として信号油圧リレーバルブ100の第2リレー油室120に出力するが、O/D変速段で第1リレー油圧PR1の供給が停止すると、第2リレー油室168および第3リレー油室170におけるスプール弁子162の受圧面積差に基づいてスプール弁子162はスプリング164の付勢力に抗して第2位置へ移動させられ、且つ、O/D変速段でスプール弁子162が第2位置に保持されている状態では、第1リレー油室166に第1リレー油圧PR1が供給されても第2リレー油室168に供給されている第3リレー油圧PR3に基づいてスプール弁子162は第2位置に保持されるようになっている。第3リレー油圧PR3は、第1リレー油圧PR1と同様にプライマリ油圧PL1と同じ油圧であり、第2リレー油室168におけるスプール弁子162の受圧面積は、第1リレー油室166におけるスプール弁子162の受圧面積より大きくされている。また、上記第3リレー油圧PR3は、後進変速段でもソレノイドS2の非励磁によって供給され、スプール弁子162が第2位置に保持されることによりRレンジ油圧PR がクラッチC2 およびブレーキB3 の油圧アクチュエータに出力されて後進変速段が成立させられるが、前進車速Vが一定車速α以上でソレノイドS2が励磁されて第3リレー油圧PR3がOFFの場合には、スプール弁子162はスプリング164の付勢力に従って第1位置へ移動させられ、Rレンジ油圧PR の出力が阻止されて後進変速段の成立が阻止される。
【0030】
上記O/D段油圧PO/D は、3−4シフトバルブ180から出力されるようになっている。3−4シフトバルブ180は、プライマリ油圧PL1が供給される入力ポート182、前記クラッチC0 の油圧アクチュエータに接続される第1出力ポート184、前記ブレーキB0 の油圧アクチュエータおよびシーケンス・リバースコントロールバルブ150の第1入力ポート152に接続される第2出力ポート186、図の右半分に示すように入力ポート182と第1出力ポート184とを連通させるとともに入力ポート182と第2出力ポート186とを遮断する第1位置と、図の左半分に示すように入力ポート182と第2出力ポート186とを連通させるとともに入力ポート182と第1出力ポート184とを遮断する第2位置とへ移動させられるスプール弁子188、そのスプール弁子188を上記第1位置側へ付勢するスプリング190、「D」レンジ以外の時にマニュアルシフトバルブから出力される各レンジ油圧が供給されるとともに「D」レンジでは1st変速段の成立時に1st段油圧が供給され、プライマリ油圧PL1と同じそれらの各油圧に基づいてスプール弁子188を第1位置側へ付勢する第1リレー油室192、前記第3リレー油圧PR3が供給されてスプール弁子188を第2位置側へ付勢する第2リレー油室194を備えている。第1リレー油室192および第2リレー油室194におけるスプール弁子188の受圧面積は同じで、第1リレー油室192に油圧が供給される「D」レンジ以外の各レンジ、および「D」レンジの1st変速段では、第3リレー油圧PR3のON,OFFすなわちソレノイドS2のOFF,ONに拘らずスプール弁子188はスプリング190の付勢力に従って第1位置に保持され、プライマリ油圧PL1がクラッチC0 の油圧アクチュエータに出力されてクラッチC0 が係合させられる。第1リレー油室192に油圧が供給されない「D」レンジの2nd,3rd,およびO/D変速段については、ソレノイドS2がONで第3リレー油圧PR3がOFFとなる2ndおよび3rd変速段では、同じくスプール弁子188は第1位置に保持されてクラッチC0 が係合させられるが、ソレノイドS2がOFFで第3リレー油圧PR3がONとなるO/D変速段では、スプリング190の付勢力に抗してスプール弁子188は第2位置へ移動させられ、プライマリ油圧PL1がO/D段油圧PO/D としてブレーキB0 の油圧アクチュエータおよびシーケンス・リバースコントロールバルブ150に出力され、ブレーキB0 が係合させられる。ブレーキB0 へ向かう流路にはオリフィス196が設けられており、ブレーキB0 の係合油圧PB0はアキュムレータの存在と相まって徐々に上昇させられる。
【0031】
図1に戻って、前記コントロールユニット52は、CPU,RAM,ROM,入出力インタフェース回路,水晶発振子等のクロック信号源などを備えており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、前記ソレノイドS1,S2の励磁,非励磁を切り換えて自動変速機14の変速段を変更したり、ソレノイドS3を励磁するとともにソレノイドSLに供給する励磁電流をデューティ制御してロックアップクラッチ32を完全係合またはスリップ係合させたり、或いはソレノイドSLに供給する励磁電流をデューティ制御してアキュムレータ背圧Pacc 、すなわちクラッチCやブレーキBの係合時や解放時における過渡油圧を調整したりする。コントロールユニット52には、回転速度センサ200,202,204から入力軸20すなわちタービン翼車22の回転速度Nt,出力軸46の回転速度No,クラッチC0 のハウジングすなわち遊星歯車装置40のサンギヤの回転速度NC0を表す回転速度信号SNt,SNo,SNC0がそれぞれ供給されるとともに、マニュアルシフトバルブに配設されたニュートラルスタートスイッチ206から前記「P」,「R」,「N」,「D」等のシフトレンジを表すシフトレンジ信号SRが供給される。また、エンジン10に設けられた回転速度センサ208からエンジン回転速度NEを表す回転速度信号SNEが供給されるとともに、エンジン10の吸入空気量を調整するスロットル弁に設けられたスロットルセンサ210からスロットル弁開度θを表すスロットル弁開度信号Sθが供給されるようになっている。
【0032】
上記コントロールユニット52による変速制御は、シフトレバーが「D」,「2」,または「L」の前進レンジへ操作されている場合に、例えば図7に示すようにスロットル弁開度θおよび車速V(出力軸回転速度Noに対応)をパラメータとして予めRAM等に記憶された変速マップに従って行われる。後進変速段は、シフトレバーが「R」レンジへ操作されることにより、マニュアルシフトバルブからRレンジ油圧PR が出力され、前記シーケンス・リバースコントロールバルブ150を経てクラッチC2 およびブレーキB3 の油圧アクチュエータに供給されることにより、それ等のクラッチC2 およびブレーキB3 がクラッチC0 と共に係合させられることによって成立させられる。「R」レンジでは、ロックアップクラッチ32を係合制御するソレノイドS3がON、すなわち第1リレー油圧PR1がONされることはないため、上記シーケンス・リバースコントロールバルブ150は専ら第3リレー油圧PR3に従って制御され、通常はソレノイドS2がOFFで第3リレー油圧PR3がONであることから、スプール弁子162が第2位置に保持されて後進変速段が成立させられる。しかし、シフトレンジが「R」で且つ前進車速Vが予め定められた一定車速α以上の場合には、コントロールユニット52によりソレノイドS2がON(励磁)されることによって第3リレー油圧PR3の出力は停止し、スプール弁子162がスプリング164の付勢力に従って第1位置へ移動させられることにより、後進変速段の成立が阻止される。これにより、シフトレバーの誤操作などで後進変速段が成立することが防止される。
【0033】
コントロールユニット52によるアキュムレータの背圧制御は、シフトレバーの操作時や上記変速時に行われる。例えば、シフトレバーが「P」から「R」レンジへ操作されるとクラッチC2 が係合させられ、シフトレバーが「R」から「N」レンジへ操作されるとクラッチC2 が解放され、シフトレバーが「N」から「D」レンジへ操作されるとクラッチC1 が係合させられるが、リニアソレノイドバルブ84の励磁電流をデューティ制御して信号油圧Pslを調圧することにより、アキュムレータコントロールバルブ130から出力されるアキュムレータ背圧Pacc を調圧して、上記クラッチC1 ,C2 の係合時,解放時の過渡油圧を制御し、それ等の係合,解放に伴うシフトショックを軽減する。また、1st変速段から2nd変速段への変速時にはブレーキB2 が係合させられ、2nd変速段から3rd変速段への変速時にはクラッチC2 が係合させられるが、その場合にもリニアソレノイドバルブ84の励磁電流をデューティ制御してアキュムレータ背圧Pacc を調圧し、ブレーキB2 ,クラッチC2 の係合過渡油圧を制御して変速ショックを軽減する。このようなシフトレバー操作時や1stおよび2nd変速段では、ロックアップクラッチ32を係合制御するソレノイドS3がON、すなわち第1リレー油圧PR1がONされることはないため、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114はスプリング116の付勢力に従って第1位置に保持され、リニアソレノイドバルブ84から出力される信号油圧Pslは信号油圧リレーバルブ100を経てアキュムレータコントロールバルブ130へ供給される。
【0034】
一方、3rd変速段およびO/D変速段では、例えば図8に示されているようにスロットル弁開度θおよび出力軸回転速度Noをパラメータとして予めRAM等に記憶されたデータマップに従って、ロックアップクラッチ32を完全係合させたりスリップ係合させたりする。すなわち、上記スロットル弁開度θおよび出力軸回転速度No等の車両の走行状態が完全係合領域またはスリップ係合領域であるか否かを判断し、それ等の係合領域である場合には、ソレノイドS3をON(励磁)して第1リレー油圧PR1を出力させる。これにより、ロックアップリレーバルブ54がON状態になるとともに、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114が第2位置へ移動させられ、信号油圧Pslがロックアップコントロールバルブ66へ供給されるようになる。したがって、その状態でリニアソレノイドバルブ84のソレノイドSLの励磁電流をデューティ制御して信号油圧Pslを調圧すれば、その信号油圧Pslに従ってロックアップコントロールバルブ66により係合油圧Ponと解放油圧Poff との差圧ΔP、すなわちロックアップクラッチ32の係合力が調整され、所定のスリップ係合状態或いは完全係合状態となる。このスリップ制御は、例えばエンジン回転速度NEとタービン回転速度Ntとの回転速度差ΔNが予め定められた所定の回転速度差となるように、ソレノイドSLの励磁電流のデューティ比SLUをフィードバック制御することによって行われる。
【0035】
また、3rd変速段でロックアップクラッチ32が完全係合またはスリップ係合の時にO/D変速段へアップシフトする際には、例えば図9および図10に示すようにして変速制御,ロックアップ制御,およびアキュムレータの背圧制御が行われる。図9のステップS1では、前記図7に示すような変速マップに従って3rdからO/D変速段への変速判断が為されたか否かを判断し、YESの場合には、ステップS2において上記変速判断が為された後に予め定められた時間Ta を経過したか否かを判断する。図10の時間t0 は3→O/Dの変速判断が為された時間で、時間t1 は時間Ta が経過した時間である。この時間Ta は、例えば短時間で変速を繰り返す多重変速を防止することなどを目的として定められる。
【0036】
時間Ta を経過すると、続いてステップS3を実行し、3rd変速段からO/D変速段へ切り換えるためにソレノイドS2の励磁を解除する。このソレノイドS2の励磁解除により第3リレー油圧PR3がONとなり、その第3リレー油圧PR3の油圧上昇に伴って3−4シフトバルブ180のスプール弁子188がスプリング190の付勢力に抗して第1位置から第2位置へ移動させられ、クラッチC0 へのプライマリ油圧PL1の供給が停止してクラッチC0 が解放されるとともに、O/D段油圧PO/D がブレーキB0 の油圧アクチュエータおよびシーケンス・リバースコントロールバルブ150へ出力される。この時、シーケンス・リバースコントロールバルブ150のスプール弁子162は、第1リレー油圧PR1およびスプリング164の付勢力に基づいて第1位置に位置させられているため、O/D変速段への変速出力に伴う第3リレー油圧PR3の供給に拘らず第1位置に保持され、上記O/D段油圧PO/D はシーケンス・リバースコントロールバルブ150を経て第2リレー油圧PR2として信号油圧リレーバルブ100の第2リレー油室120に導かれる。これにより、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114は第1位置へ移動させられ、リニアソレノイドバルブ84によって調整される信号油圧Pslはアキュムレータコントロールバルブ130へ供給されるとともに、ロックアップコントロールバルブ66にはモジュレータ油圧Pmが供給されるようになり、ロックアップクラッチ32は完全係合させられる。図10の3−4シフトバルブ,信号油圧リレーバルブ,シーケンス・リバースコントロールバルブに示されている「上」,「下」は、図4における各スプール弁子の上下位置であり、3−4シフトバルブの「上」は第1位置,「下」は第2位置に相当し、信号油圧リレーバルブの「上」は第2位置,「下」は第1位置に相当し、シーケンス・リバースコントロールバルブの「上」は第1位置,「下」は第2位置に相当する。
【0037】
次のステップS4では、ソレノイドS2をOFFした後に予め定められた時間Tb を経過したか否かを判断し、YESになると、ステップS5においてリニアソレノイドバルブ84の励磁電流をデューティ制御することにより、アキュムレータ背圧Pacc のフィードバック制御を開始する。上記時間Tb は、ソレノイドS2のOFFに伴って信号油圧リレーバルブ100が切り換えられ、アキュムレータコントロールバルブ130に信号油圧Pslが供給されるようになるまでの遅れ時間より長い時間で、且つブレーキB0 の係合に伴うイナーシャ相の開始前の時間であるが、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114の移動やアキュムレータコントロールバルブ130の信号油室144内の油圧などを検出して、ステップS5の背圧制御を開始するようにしても良い。また、ステップS5の背圧フィードバック制御は、例えばクラッチC0 のハウジングの回転速度NC0が所定の変化速度で低下するように、ソレノイドSLの励磁電流のデューティ比SLUをフィードバック制御することによって行われ、ブレーキB0 の係合油圧PB0はアキュムレータ背圧Pacc と逆の特性で変化させられる。
【0038】
ステップS6では、変速に伴うイナーシャ相が始まったか否かを、例えばブレーキB0 の係合に伴って回転停止する回転速度NC0の変化や回転速度NtとNoとの比Nt/Noが1より小さくなったか否かなどによって判断し、イナーシャ相が始まったらステップS7でソレノイドS3の励磁を解除することにより、第1リレー油圧PR1の出力を停止してロックアップリレーバルブ54をOFF状態とし、ロックアップクラッチ32を解放する。図10の時間t2 はソレノイドS3の励磁が解除された時間であり、このようにイナーシャ相が始まってからロックアップクラッチ32が解放されることにより、エンジン10の不要な吹き上がりが回避されるとともに、変速に伴うエンジン回転速度NEの急激な変化がトルクコンバータ12によって吸収される。第1リレー油圧PR1の出力が停止すると、シーケンス・リバースコントロールバルブ150のスプール弁子162は第3リレー油圧PR3に基づいて第2位置へ移動させられるとともに、以後は第1リレー油圧PR1のON,OFFに拘らずスプール弁子162は第2位置に保持され、信号油圧リレーバルブ100に対する第2リレー油圧PR2の出力が阻止される。すなわち、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114は専ら第1リレー油圧PR1のON,OFFに従って第2位置または第1位置へ移動させられるようになるのであり、第1リレー油圧PR1のON,OFFでロックアップクラッチ32を係合,解放制御できるとともに、クラッチ係合時にはリニアソレノイドバルブ84によってスリップ係合させることが可能である。
【0039】
ステップS8では、イナーシャ相が略終了したか否かを、例えば回転速度NC0が略零となったか否か、或いは回転速度NtとNoとの比Nt/NoがO/D変速段の変速比と略一致するか否かなどにより判断し、イナーシャ相が略終了したらステップS9でソレノイドS3をON(励磁)して第1リレー油圧PR1を出力させる。図10の時間t3 はソレノイドS3がONされた時間であり、これにより、ロックアップリレーバルブ54が再びON状態とされるとともに、信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114が第2位置へ移動させられ、リニアソレノイドバルブ84によって調整される信号油圧Pslはロックアップコントロールバルブ66へ供給されるようになる。そして、ロックアップクラッチ32が完全係合或いは所定のスリップ係合状態となるように、リニアソレノイドバルブ84の励磁電流のデューティ比SLU、すなわち信号油圧Pslを徐々に増大させる。その後は、図8のデータマップに基づいて通常のロックアップ制御を行えば良い。前記ステップS5で開始したアキュムレータ背圧Pacc のフィードバック制御は、ステップS9でソレノイドS3がONされた時点で終了する。
【0040】
このように、本実施例の油圧制御回路50は、単一のリニアソレノイドバルブ84により3rd変速段およびO/D変速段でロックアップクラッチ32のスリップ制御を行うことができるとともに変速時やシフトレバー操作時にアキュムレータ背圧Pacc の制御が可能で、且つロックアップクラッチ32が完全係合またはスリップ係合時に3rdからO/D変速段へアップシフトを行う際は、ロックアップクラッチ32を係合させたままアキュムレータの背圧制御を開始できる。
【0041】
また、ロックアップクラッチ32の係合時に3rdからO/D変速段へアップシフトを行う際には、O/D段油圧PO/D が第2リレー油圧PR2として信号油圧リレーバルブ100に供給され、第1リレー油圧PR1の存在に拘らず信号油圧リレーバルブ100のスプール弁子114が強制的に第1位置へ移動させられるようになっているため、信号油圧リレーバルブ100を切り換えるための特別な制御が不要であるとともに、その第2リレー油圧PR2を出力するシーケンス・リバースコントロールバルブ150は、所定の条件下で後進変速段の成立を阻止する機能を兼ね備えているため、バルブ本数が少なくて済み、油圧制御回路50をコンパクトに構成し得る利点がある。
【0042】
また、ロックアップクラッチ32は、ソレノイドバルブ55を非励磁として第1リレー油圧PR1の出力を停止し、ロックアップリレーバルブ54をOFF状態とすることにより、信号油圧Pslとは無関係に解放できるため、リニアソレノイドバルブ84やロックアップコントロールバルブ66,モジュレータ油圧Pmを出力するモジュレータバルブのバルブスティック、ソレノイドSLの断線やショートなどによる信号油圧Pslの調整不良,供給停止等の異常発生時には、ソレノイドバルブ55を非励磁としてロックアップクラッチ32を解放すれば良い。異常発生の有無は、例えばソレノイドSLの断線やショートを電気的に検出したり、ロックアップ制御時におけるエンジン回転速度NE,タービン回転速度Ntの回転速度差ΔNが所定の許容範囲内か否かをモニタしたりすることなどで判断できる。
【0043】
上記実施例は第1発明,第2発明の一実施例を成すものであり、次に第3発明の実施例を説明する。図11の実施例は、上記実施例の信号油圧リレーバルブ100とアキュムレータコントロールバルブ130との間にフェールリレーバルブ220を配設したものである。このフェールリレーバルブ220は、信号油圧リレーバルブ100の第2出力ポート110に接続されて前記信号油圧Pslが供給される第1入力ポート222、モジュレータバルブ240からフェール代替油圧として一定のモジュレータ油圧Pmfが供給される第2入力ポート224、アキュムレータコントロールバルブ130の信号油室144に接続される出力ポート226、図の右半分に示すように第1入力ポート222と出力ポート226とを連通させる第1位置と、図の左半分に示すように第2入力ポート224と出力ポート226とを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子としてのスプール弁子228、スプール弁子228を第2位置側へ付勢するスプリング230、およびソレノイドバルブ232のソレノイドS4がOFF(非励磁)の場合にオリフィス236を介してプライマリ油圧PL1が供給されスプール弁子228をスプリング230の付勢力に抗して第1位置へ移動させるリレー油室234を備えている。上記ソレノイドS4は、前記コントロールユニット52によりON,OFFされるようになっており、OFFの場合にはスプール弁子228はスプリング230の付勢力に抗して第1位置に保持され、信号油圧リレーバルブ100から供給される信号油圧Pslがアキュムレータコントロールバルブ130へ出力され、前記実施例と同様に信号油圧Pslに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。また、ソレノイドS4がONされてリレー油室234に対するプライマリ油圧PL1の供給が停止すると、スプール弁子228はスプリング230の付勢力に従って第2位置へ移動させられ、モジュレータ油圧Pmfがアキュムレータコントロールバルブ130へ出力されるようになり、そのモジュレータ油圧Pmfに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。上記ソレノイドバルブ232はフェール切換手段に相当する。
【0044】
上記モジュレータバルブ240は、プライマリ油圧PL1が供給される入力ポート242、モジュレータ油圧Pmfを出力する出力ポート244、ドレーンポート246、出力ポート244と入力ポート242およびドレーンポート246との連通状態を変化させるスプール弁子248、スプール弁子248を入力ポート242と出力ポート244との連通が拡大する側へ付勢するスプリング250、およびモジュレータ油圧Pmfが導かれてスプール弁子248をスプリング250側へ付勢するフィードバック油室252を備えており、スプリング250のばね力とモジュレータ油圧Pmfとが釣り合うようにスプール弁子248が移動させられ、ばね力に対応する一定のモジュレータ油圧Pmfが出力される。このモジュレータ油圧Pmfは、信号油圧Pslの替わりにアキュムレータコントロールバルブ130に供給されることにより、例えば図6に破線で示されているように、前記リニアソレノイドバルブ84のソレノイドSLを励磁する励磁電流のデューティ比SLUが0%の場合と100%の場合との間の中間的な油圧特性が得られるように、信号油圧Pslの調圧範囲内の中間の油圧に設定される。
【0045】
このような油圧制御回路においては、通常はソレノイドバルブ232のソレノイドS4がOFF状態とされ、信号油圧リレーバルブ100から供給される信号油圧Pslがアキュムレータコントロールバルブ130へ出力されることにより、その信号油圧Pslに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。一方、リニアソレノイドバルブ84やモジュレータ油圧Pmを出力するモジュレータバルブのバルブスティック、ソレノイドSLの断線やショートなどによる信号油圧Pslの調整不良,供給停止等の異常発生時には、ソレノイドバルブ232のソレノイドS4をON(励磁)することにより、信号油圧Pslの替わりにモジュレータ油圧Pmfがアキュムレータコントロールバルブ130に供給されるようになり、そのモジュレータ油圧Pmfに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。したがって、異常発生時にもアキュムレータ背圧Pacc はモジュレータ油圧Pmfに対応する所定の油圧に調整され、クラッチCやブレーキBの急係合によるショックや係合遅れによる摩擦材の寿命低下等が可及的に回避される。異常発生の有無は、例えばソレノイドSLの断線やショートを電気的に検出したり、変速過渡時におけるエンジン回転速度NE,タービン回転速度Nt等の回転速度変化をモニタしたりすることなどで判断できる。
【0046】
図12の実施例は同じく第3発明の一実施例を成すものであり、過渡油圧コントロールバルブとしてのアキュムレータコントロールバルブ260は、前記入力ポート132,出力ポート134,ドレーンポート136,スプール弁子138,第1油室140,フィードバック油室142,信号油室144,スプリング146の他、補助油室262と、その補助油室262に供給された油圧をスプール弁子138に伝達するプランジャ264とを備えている。また、フェールリレーバルブ270は、信号油圧リレーバルブ100の第2出力ポート110に接続されて前記信号油圧Pslが供給される第1入力ポート272、信号油圧Pslの元圧である前記モジュレータ油圧Pmがフェール代替油圧として供給される第2入力ポート274、アキュムレータコントロールバルブ260の信号油室144に接続される第1出力ポート276、アキュムレータコントロールバルブ260の補助油室262に接続される第2出力ポート278、ドレーンポート280、図の左半分に示すように第1入力ポート272と第1出力ポート276とを連通させるとともに第2出力ポート278とドレーンポート280とを連通させる第1位置と、図の右半分に示すように第2入力ポート274と第2出力ポート278とを連通させるとともに第1出力ポート276とドレーンポート280とを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子としてのスプール弁子282、スプール弁子282を第2位置側へ付勢するスプリング284、および前記ソレノイドバルブ232のソレノイドS4がOFF(非励磁)の場合にプライマリ油圧PL1が供給されてスプール弁子282をスプリング284の付勢力に抗して第1位置へ移動させるリレー油室286を備えている。
【0047】
したがって、ソレノイドS4がOFFの場合には、フェールリレーバルブ270のスプール弁子282は第1位置に保持されて、信号油圧リレーバルブ100から供給される信号油圧Pslがアキュムレータコントロールバルブ260の信号油室144へ供給され、その信号油圧Pslに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。また、異常発生時にソレノイドS4がONされると、フェールリレーバルブ270のスプール弁子282はスプリング284の付勢力に従って第2位置へ移動させられ、モジュレータ油圧Pmがアキュムレータコントロールバルブ260の補助油室262へ供給されるようになり、そのモジュレータ油圧Pmに基づいてアキュムレータ背圧Pacc が調圧制御される。補助油室262内の油圧をスプール弁子138に伝達するプランジャ264の断面積は、所望の背圧特性が得られるように定められる。本実施例においても前記図11の実施例と同様の効果が得られる。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することもできる。
【0049】
例えば、前記実施例では信号油圧リレーバルブ100を切り換える信号油圧切換手段がソレノイドバルブ55およびシーケンス・リバースコントロールバルブ150によって構成されていたが、ソレノイドバルブ55をロックアップリレーバルブ54の切換え専用とし、これとは別に信号油圧リレーバルブ100を独立に切り換えるソレノイドバルブ等を設けることも可能である。
【0050】
また、前記実施例ではシーケンスコントロール機能およびリバースコントロール機能を兼ね備えたシーケンス・リバースコントロールバルブ150が用いられていたが、変速時に信号油圧リレーバルブ100を切り換えるシーケンスコントロール機能のみを備えたバルブを用いることもできる。
【0051】
また、前記実施例では油圧調整バルブとしてリニアソレノイドバルブ84が用いられていたが、デューティソレノイドバルブなど油圧制御が可能な他のバルブを採用することもできる。
【0052】
また、前記実施例ではアキュムレータ背圧Pacc を調圧して過渡油圧を制御するようになっていたが、摩擦係合手段の過渡油圧を直接制御するコントロールバルブを用いることもできる。
【0053】
また、前記実施例では3rdおよびO/D変速段でロックアップ制御を行う場合について説明したが、3段以上の変速段でロックアップ制御を行うことも可能で、2以上のアップシフト時に、それぞれロックアップクラッチ32を係合させたまま過渡油圧制御を開始するように構成することもできる。
【0054】
また、前記実施例ではイナーシャ相でロックアップクラッチ32を解放するようになっていたが、スロットル弁開度θや車速Vが所定値以下であるなど所定の条件下ではロックアップクラッチ32を係合させたまま変速を行うようにしても良いなど、ロックアップ制御や過渡油圧制御の内容は適宜変更できる。なお、前記シーケンス・リバースコントロールバルブ150を用いた場合には、第1リレー油圧PR1をOFFしてロックアップクラッチ32を一旦解放した後でなければ、ロックアップクラッチ32のスリップ制御を行うことはできない。
【0055】
また、前記図3〜図5,図11,図12に示す油圧回路やバルブの構成はあくまでも一例で、必要に応じて適宜変更することが可能である。
【0056】
また、前記実施例ではトルクコンバータ12が用いられていたが、フルードカップリングなどの他の流体式伝動装置を用いることもできる。
【0057】
また、前記実施例では前進4段の自動変速機14を備えていたが、この自動変速機14はあくまでも一例で変速段の数や構成は適宜変更され得る。
【0058】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明および第2発明の一実施例である油圧制御回路を備えた車両用動力伝達装置の一例を示す図である。
【図2】図1の自動変速機の各変速段を成立させるためのクラッチおよびブレーキの係合状態を説明する図である。
【図3】図4および図5と共に、図1の油圧制御回路の要部を具体的に示す回路図である。
【図4】図3および図5と共に、図1の油圧制御回路の要部を具体的に示す回路図である。
【図5】図3および図4と共に、図1の油圧制御回路の要部を具体的に示す回路図である。
【図6】図5のアキュムレータコントロールバルブによって制御されるアキュムレータ背圧の油圧特性を示す図である。
【図7】図1の実施例において自動変速機の変速段を切り換える変速マップの一例を説明する図である。
【図8】図1の実施例におけるロックアップクラッチの係合領域を説明する図である。
【図9】図1の実施例においてロックアップクラッチ係合状態で3→O/D変速が行われる際の作動を説明するフローチャートである。
【図10】図9のフローチャートに従ってロックアップ制御および背圧制御が行われた場合の各部の作動状態を説明するタイムチャートである。
【図11】第3発明の一実施例を説明する油圧回路図である。
【図12】第3発明の別の実施例を説明する油圧回路図である。
【符号の説明】
10:エンジン(機関)
12:トルクコンバータ(流体式伝動装置)
14:自動変速機
32:ロックアップクラッチ
50:油圧制御回路
54:ロックアップリレーバルブ
55:ソレノイドバルブ(ロックアップ切換手段,第1リレー油圧切換手段,信号油圧切換手段)
66:ロックアップコントロールバルブ
84:リニアソレノイドバルブ(油圧調整バルブ)
100:信号油圧リレーバルブ
130,260:アキュムレータコントロールバルブ(過渡油圧コントロールバルブ)
150:シーケンス・リバースコントロールバルブ(信号油圧切換手段)
220,270:フェールリレーバルブ
232:ソレノイドバルブ(フェール切換手段)
C0 〜C2 :クラッチ(油圧式摩擦係合手段)
B0 〜B3 :ブレーキ(油圧式摩擦係合手段)
Psl:信号油圧
Pm:モジュレータ油圧(代替油圧)
Pmf:モジュレータ油圧(フェール代替油圧)
PR1:第1リレー油圧
PR2:第2リレー油圧
PR3:第3リレー油圧
PO/D :O/D段油圧(高速段油圧)
PR :Rレンジ油圧(後進段油圧)
Claims (3)
- 自動変速機の変速段を切り換える複数の油圧式摩擦係合手段と、
流体式伝動装置と並列に設けられて前記自動変速機に機関出力を伝達するロックアップクラッチと、
該ロックアップクラッチの係合側油室および解放側油室に対する油路を切り換えて該ロックアップクラッチを係合,解放するロックアップリレーバルブと、
該ロックアップリレーバルブを切り換えるロックアップ切換手段と、
信号油圧が高圧となるに従って前記ロックアップクラッチの係合時における前記係合側油室の油圧と前記解放側油室の油圧との差圧を増大させるロックアップコントロールバルブと、
信号油圧に従って前記油圧式摩擦係合手段の過渡油圧を制御する過渡油圧コントロールバルブと
を備えた自動変速機の油圧制御回路であって、
前記ロックアップコントロールバルブおよび前記過渡油圧コントロールバルブに供給される前記信号油圧を調整する単一の油圧調整バルブと、
前記信号油圧が供給される第1入力ポート、前記信号油圧の替わりに前記ロックアップコントロールバルブへ出力されることにより前記ロックアップクラッチを係合させることが可能な代替油圧が供給される第2入力ポート、前記ロックアップコントロールバルブに接続される第1出力ポート、前記過渡油圧コントロールバルブに接続される第2出力ポート、および前記第1入力ポートと前記第2出力ポートとを連通させるとともに前記第2入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第1位置と前記第1入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子を備えている信号油圧リレーバルブと、
該信号油圧リレーバルブの切換弁子を前記第1位置または第2位置へ選択的に移動させる信号油圧切換手段と
を有することを特徴とする自動変速機の油圧制御回路。 - 自動変速機の変速段を切り換える複数の油圧式摩擦係合手段と、
流体式伝動装置と並列に設けられて前記自動変速機に機関出力を伝達するロックアップクラッチと、
該ロックアップクラッチの係合側油室および解放側油室に対する油路を切り換えて該ロックアップクラッチを係合,解放するロックアップリレーバルブと、
該ロックアップリレーバルブを係合側へ切り換える第1リレー油圧をON,OFFする第1リレー油圧切換手段と、
信号油圧が高圧となるに従って前記ロックアップクラッチの係合時における前記係合側油室の油圧と前記解放側油室の油圧との差圧を増大させるロックアップコントロールバルブと、
信号油圧に従って前記油圧式摩擦係合手段の過渡油圧を制御する過渡油圧コントロールバルブと
を備えた自動変速機の油圧制御回路であって、
前記ロックアップコントロールバルブおよび前記過渡油圧コントロールバルブに供給される前記信号油圧を調整する単一の油圧調整バルブと、
前記信号油圧が供給される第1入力ポート、前記信号油圧の替わりに前記ロックアップコントロールバルブへ出力されることにより前記ロックアップクラッチを係合させることが可能な代替油圧が供給される第2入力ポート、前記ロックアップコントロールバルブに接続される第1出力ポート、前記過渡油圧コントロールバルブに接続される第2出力ポート、前記第1入力ポートと前記第2出力ポートとを連通させるとともに前記第2入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第1位置と前記第1入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子、該切換弁子を前記第1位置側へ付勢する付勢手段、前記第1リレー油圧が供給されることにより前記付勢手段の付勢力に抗して前記切換弁子を前記第2位置側へ移動させる第1リレー油室、および第2リレー油圧が供給されることにより前記第1リレー油圧の存在に拘らず前記切換弁子を前記第1位置へ移動させる第2リレー油室を備えている信号油圧リレーバルブと、
前記ロックアップクラッチを係合させる連続する複数の前進変速段のうち高速側変速段を成立させる際に出力される高速段油圧が供給される第1入力ポート、後進変速段を成立させる際に出力される後進段油圧が供給される第2入力ポート、前記信号油圧リレーバルブの第2リレー油室に接続される第1出力ポート、前記後進段油圧を出力して前記複数の油圧式摩擦係合手段のうち後進変速段を成立させるものを係合させる第2出力ポート、前記第1入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させるとともに前記第2入力ポートと前記第2出力ポートとを遮断する第1位置と該第2入力ポートと該第2出力ポートとを連通させるとともに該第1入力ポートと該第1出力ポートとを遮断する第2位置とへ移動させられる切換弁子、該切換弁子を前記第1位置側へ付勢する付勢手段、前記第1リレー油圧が供給されることにより前記切換弁子を前記第1位置側へ付勢する第1リレー油室、前記高速側変速段および前記後進変速段を成立させる際に出力されるとともに所定の条件下で該後進変速段の成立を阻止する際に出力が停止させられる第3リレー油圧が供給されて前記切換弁子を前記第2位置側へ付勢する第2リレー油室、および前記切換弁子が前記第1位置に保持されている場合に前記第3リレー油圧が供給されて該切換弁子を該第1位置側へ付勢する第3リレー油室を備え、第1リレー油室に第1リレー油圧が供給されて切換弁子が第1位置に保持されている状態では、前記高速側変速段への変速に伴って第2リレー油室および第3リレー油室に第3リレー油圧が供給されても該切換弁子が第1位置に保持され、前記高速段油圧を前記第2リレー油圧として前記信号油圧リレーバルブの第2リレー油室に出力するが、該高速側変速段で前記第1リレー油圧の供給が停止すると、前記第2リレー油室および第3リレー油室における前記切換弁子の受圧面積差に基づいて該切換弁子が前記付勢手段の付勢力に抗して前記第2位置へ移動させられ、且つ、該高速側変速段で該切換弁子が該第2位置に保持されている状態では、前記第1リレー油室に前記第1リレー油圧が供給されても前記第2リレー油室に供給されている第3リレー油圧に基づいて該切換弁子が該第2位置に保持される一方、前記後進変速段への変速時には前記第3リレー油圧および前記付勢手段の付勢力に基づいて前記切換弁子が移動させられるシーケンス・リバースコントロールバルブと
を有することを特徴とする自動変速機の油圧制御回路。 - 前記信号油圧リレーバルブの第2出力ポートに接続される第1入力ポート、所定のフェール代替油圧が供給される第2入力ポート、前記過渡油圧コントロールバルブに接続される出力ポート、および前記第1入力ポートと出力ポートとを連通させる第1位置と前記第2入力ポートと出力ポートとを連通させる第2位置とへ移動させられる切換弁子を備えて、前記信号油圧リレーバルブと前記過渡油圧コントロールバルブとの間に配設されたフェールリレーバルブと、
該フェールリレーバルブの切換弁子を前記第1位置または第2位置へ選択的に移動させるフェール切換手段と
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の自動変速機の油圧制御回路。
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