JP3775489B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車に採用される自動変速機の変速制御装置に関し、例えば4速から3速へというように高速段から低速段に変速するダウンシフト時の吹き上がりによる変速ショックを抑えることができるようにした変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の摩擦係合要素(クラッチあるいはブレーキ)を備え、これら摩擦係合要素に油圧を供給することによって何れか1つ又は複数の摩擦係合要素を選択的に係合させ、もって複数の変速段を実現するようにした自動変速機が知られている。
【0003】
この種の自動変速機において、例えば4速から3速にダウンシフトする場合には例えば1つのブレーキを解放しつつタービン回転数が同期回転数になると1つのクラッチを係合させることとなる。このようなダウンシフト時にクラッチの係合が遅れるとタービン回転数が吹き上がることになるが、この場合にも正常な場合と同じ処理が行われるため、吹き上がりを急激に押さえこむことによるショックが発生するといった問題がある。
【0004】
上述のようなダウンシフト時の問題に対応するようにした制御方法として、従来例えば特開平11−198682号公報に記載されているものがある。これはダウンシフト時の吹き上がりを防止するために、小オリフィス通路と大オリフィス通路を切り換えてクラッチの係合開始時期を調整するようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来装置の場合、オリフィス径が予め決められており、吹き上がり度合によって制御が適切になるとは限らず、ショックを十分に低減できない場合が生じる恐れがある。
【0006】
また上記従来装置では、切り換え制御のために入力回転率の変化を検出するようにしており、この方法ではスロットル開度により入力回転数が変化するので、誤判定が発生する可能性がある。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、入力回転数に変化があっても吹き上がりを確実に検出でき、吹き上がりを抑える制御に移行できる自動変速機の変速制御装置を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、複数の摩擦係合要素の係合・開放の切り換えによって変速を行なうとともに、低速段側への変速中にはタービン回転数が所定速度で増加するように摩擦係合要素への油圧を制御するようにした自動変速機の変速制御装置において、低速段側の係合時タービン回転数を算出し、該係合時タービン回転数より所定回転数低く設定された同期回転数を検出してから所定時間内におけるタービン回転数の上昇状況によりが吹き上がりの発生を検出し、吹き上がりの発生を検出したときには係合側の摩擦係合要素に供給する油圧の上昇割合を上記所定時間内における上昇割合より大きくし、上昇割合を大きくした後に、タービン回転数の降下を検出したときには上記上昇割合を上記吹き上がり検出時の上昇割合より小さくすることを特徴としている。
【0010】
【発明の作用効果】
請求項1の発明によれば、係合時タービン回転数より低い同期回転数を検出してから所定時間(吹き上がり判定時間)内におけるタービン回転数の上昇状況により、例えば上記所定時間内におけるタービン回転数の上昇量が所定値(吹き上がり判定回転数)以上のときには吹き上がりが発生したと判断するようにしたので、仮に入力回転数に変化があっても吹き上がりの発生を確実に検出できる。
【0011】
また吹き上がりの発生を検出したときには係合側の摩擦係合要素に供給する油圧の上昇割合を上記所定時間内における上昇割合より大きくしたので、吹き上がりが発生した場合には、係合側の摩擦係合要素がより早く係合することとなり、タービン回転数の吹き上がり量を抑制できる。
【0012】
さらにまた、係合側の摩擦係合要素に供給する油圧の上昇割合を大きくした後に、タービン回転数の降下を検出したときには上記上昇割合を上記吹き上がり検出時の上昇割合より小さくしたので、タービン回転数が降下に転じた場合に係合側摩擦係合要素を必要以上に速く係合させるのを防止でき、係合側の摩擦係合要素の係合ショックを小さくでき、その結果、変速ショックを抑えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1〜図8は本発明の一実施形態を説明するための図である。本実施形態の自動変速機を搭載した車両のシステムを示す図1において、エンジン1の出力は、自動変速機2のトルクコンバータ3を経て変速機構4に伝達され、さらに該変速機構4から出力軸5を介して車輪(図示せず)に伝達される。
【0015】
上記自動変速機2はエンジン1によりトルクコンバータ3を介して駆動されるオイルポンプ6を備えており、このオイルポンプ6の吐出圧は油圧制御回路7に送られる。この油圧制御回路7はB1ブレーキ用,C2クラッチ用,C3クラッチ−B2ブレーキ用の3つの電磁弁32〜34を備えており、これら電磁弁32〜34をコントローラ35で開閉制御することにより、変速機構4に内蔵されている各種摩擦係合要素(クラッチ又はブレーキ)への油圧を走行状態に応じた各種の信号a〜fに応じて制御している。なお、ここでは上記コントローラ35にシフトポジション,タービン回転数,車速,スロットル開度,ATF油温,エンジン回転数などの信号a〜fが入力されているが、この他の信号を入力してもよい。
【0016】
図2は変速機構4の一例の模式図、図3はその断面側面図、図4は要部の拡大図である。この変速機構4は、エンジン動力がトルクコンバータ3のポンプ羽根車3aからタービン羽根車3bを介して伝達される入力軸10と、摩擦係合要素である3個のクラッチC1〜C3,2個のブレーキB1,B2,ワンウエイクラッチFからなる入力経路切替機構15と、ラビニヨウ型遊星歯車機構11と、差動装置14等とを備えている。
【0017】
上記遊星歯車機構11は以下の構造を備えている。
上記入力軸10と同一軸線上にかつ相対回転可能に配置された中間軸19の図示左部(後部)上に後サンギヤ11bが回転自在に配設され、該後サンギヤ11bに一体形成されて中間軸19の図示右部(前部)に延びる筒状のボス部11b′上に前サンギヤ11aが回転自在に配設されている。
【0018】
また上記中間軸19の図示左端部(後端部)にはキャリア11cが該中間軸15と共に回転するようにスプライン嵌合等により装着され、該キャリア11cに植設されて前側に延びる後ピニオン軸11gにより回転自在に支持された軸長の短い後ピニオン11eは上記後サンギヤ11bに噛合し、前ピニオン軸11hにより回転自在に支持された軸長の長い前ピニオン11dの前部は上記前サンギヤ11aに噛合し、さらに該前ピニオン11dの後部はリングギヤ11fの内歯に噛合している。なお、リングギヤ11fの回転はプライマリーリダクションドライブギヤ12からドリブンギヤ13を経て上記差動装置14に伝達される。
【0019】
上記入力経路切替機構15は以下の構造を有している。
上記クラッチC1は、上記入力軸10と上記前サンギヤ11aとを接断するためのもので、上記入力軸10にこれと共に回転するように装着されたカップ状のクラッチアウタ16aと、上記前サンギヤ11aに結合固定されたカップ状のクラッチインナ16bと、該クラッチインナ16b,クラッチアウタ16aとの間に配設された複数のクラッチ板16cと、該クラッチ板16cを軸方向に移動させて互いに圧接させるカップ状のピストン16dとを備えている。このピストン16dは上記クラッチアウタ16a内にこれと共に回転するように、かつ軸方向移動可能に配設され、該クラッチアウタ16aとピストン16dとの間の空間(クラッチC1用油圧室)16に油圧が供給されると、上記クラッチ板16cを圧接させて該クラッチC1を接続状態にする。
【0020】
上記クラッチC2は、上記入力軸10と上記後サンギヤ11bとを接断するためのもので、上記クラッチC1のピストン16dが兼用されているクラッチアウタ17aと、上記後サンギヤ11bのボス部11b′にこれと共に回転するようスプライン嵌合等で結合されたカップ状のクラッチインナ17bと、該クラッチインナ17b,上記クラッチアウタ17aとの間に配設された複数のクラッチ板17cと、該クラッチ板17cを軸方向に移動させて互いに圧接させるカップ状のピストン17dとを備えている。このピストン17dは上記ピストン16d内にこれと共に回転しかつ軸方向に移動可能に配設され、該ピストン16dと17dとの間の空間(クラッチC2用油圧室)17に油圧が供給されると、上記クラッチ板17cを互いに圧接させて該クラッチC2を接続状態にする。なお、16eはピストン16d,17dを後退端位置に付勢するリターンスプリングである。
【0021】
上記クラッチC3は、上記入力軸10と上記中間軸19ひいてはキャリア11cとを接断するためのもので、上記入力軸10に固定されたクラッチアウタ18aと、上記中間軸19に固定されたクラッチインナ18bと、該クラッチインナ,アウタ18b,18a間に配設された複数のクラッチ板18cと、該クラッチ板18cを軸方向に移動させて互いに圧接させるカップ状のピストン18dとを備えている。このピストン18dはアウタクラッチ18a内にこれと共に回転しかつ軸方向に移動可能に配設され、該アウタクラッチ18aとピストン18dとの間の空間(クラッチC3用油圧室)18に油圧が供給されると、上記クラッチ板18cを互いに圧接させて該クラッチC3を接続状態にする。なお、18eはピストン18dを後退端位置に付勢するリターンスプリングである。
【0022】
上記ブレーキB1は、上記前サンギヤ11aの回転を止めるためのものであり、ケーシング9側に固定されたブレーキアウタ20aと上記前サンギヤ11aに固定され上記クラッチC1のクラッチインナ16bが兼用されているブレーキインナ20bとの間に複数のブレーキ板20cを配設するとともにピストン20dにより該ブレーキ板20cを互いに圧接させるように構成されている。上記ピストン20dは、上記ケーシング9側に固定された環状のシリンダ部材20e内に軸方向に移動可能に配置されており、該シリンダ部材20eとピストン20dとの間の空間(ブレーキB1用油圧室)20に油圧を供給することにより上記ブレーキ板20c同士を圧接させて該ブレーキB1を作動状態とする。
【0023】
上記ブレーキB2は、上記キャリア11cの回転を止めるためのものであり、ケーシング9側に固定されたブレーキアウタ21aと上記キャリア11cに固定されたブレーキインナ21bとの間に複数のブレーキ板21cを配設するとともにピストン21dにより該ブレーキ板21c同士を互いに圧接させるように構成されている。上記ピストン21dは、上記ケーシング9に形成された環状のシリンダ部9a内に軸方向に移動可能に配置されており、該シリンダ部9aとピストン21dとの間の空間(ブレーキB2用油圧室)21に油圧を供給することにより上記ブレーキ板21c同士を圧接させて該ブレーキB2を作動状態とする。
【0024】
また、上記ワンウェイクラッチFは、上記キャリヤ11cに固定され上記ブレーキインナ21bが兼用されたクラッチインナと上記ケーシング9の内面との間に配設され、キャリヤ11cの正転(エンジン回転方向)のみを許容するようになっている。
【0025】
上記変速機構4は、クラッチC1,C2,C3、ブレーキB1,B2およびワンウェイクラッチFの作動によって、図5に示すように、前進4段、後退1段の変速段を実現している。図5において、●は油圧が作用していることを示している。なお、ブレーキB2は後退時とLレンジの第1速時のみ作動する。また、図5には上記3つの電磁弁32〜34の作動状態も示されている。○は通電状態、×は非通電状態、△は一時的な通電状態を示す。なおこの作動表は定常状態の作動を示している。
【0026】
図6は上記自動変速機2に用いられる油圧制御回路7の一例を示す。この油圧制御回路は、オイルポンプ6,レギュレータバルブ22,マニュアルバルブ23,ソレノイドモジュレータバルブ24,ソレノイドリレーバルブ36,シーケンスバルブ25,フェイルセールバルブ26,B1圧制御バルブ27,C2圧制御バルブ28,C2ロックバルブ29,C3圧制御バルブ30,B2圧制御バルブ31,B1電磁弁32,C2電磁弁33,C3−B2電磁弁34等を備えている。なお、このC3−B2電磁弁34は、ブレーキB2とクラッチC3とが同時に作動することはないことから、クラッチC3制御用とブレーキB2制御用とを兼ねている。
【0027】
上記レギュレータバルブ22はオイルポンプ6の吐出圧を所定のライン圧に調圧するためのバルブであり、マニュアルバルブ23,ソレノイドモジュレータバルブ24,B2圧制御バルブ31にライン圧を供給している。
【0028】
上記マニュアルバルブ23は、シフトレバーの手動操作に応じてスプールがL,2,D,N,R,Pの各レンジに切り換えられ、入力ポートから入力されたライン圧を前進用の出力ポート又は後退用の出力ポートから選択的に出力する。
【0029】
上記ソレノイドモジュレータバルブ24はライン圧を減圧して上記各電磁弁32〜34に一定の元圧を供給するバルブである。該ソレノイドモジュレータバルブ24の入力ポートにはレギュレータバルブ22からライン圧が入力され、出力ポートからソレノイドモジュレータ圧が上記各電磁弁32〜34及びC2ロックバルブ29の信号ポートに出力される。
【0030】
B1圧制御バルブ27は、ブレーキB1の圧力を制御する調圧バルブである。左端ポートには上記B1電磁弁32からのソレノイド圧が入力されており、該ソレノイド圧に比例した油圧を上記ブレーキB1に供給する。
【0031】
フェイルセーフバルブ26はDレンジで走行中に、クラッチC2,C3及びブレーキB1が同時に係合する多重噛み合い(インタロック)を防止するためのバルブである。
【0032】
シーケンスバルブ25は上記C2電磁弁33又はC2圧制御バルブ28の作動不良時に第1速を保証する機能を有する。また上記C3−B2電磁弁34をクラッチC3とブレーキB2の制御に兼用するためにB2圧制御バルブ31とC3圧制御バルブ30の元圧を切り換える機能、後退レンジへの切替過渡時にフェイルセーフバルブ26の右端ポートへRレンジ圧を導く機能、ブレーキB2圧を作用させるときにB1ブレーキ圧とクラッチC3圧の元圧をドレーンさせる機能等を有する。
【0033】
B2圧制御バルブ31は、B2ブレーキ圧を制御する調圧バルブであり、左端ポートには上記C3−B2電磁弁34からRレンジ時にソレノイド圧が入力されており、中央ポートはフェイルセーフバルブ26のポートと接続されている。また右端ポートはシーケンスバルブ25を介してブレーキB2と接続され、Lレンジの1速時及びRレンジへの切替過渡時にB2ブレーキへの油圧を供給する。
【0034】
C2圧制御バルブ28は、C2クラッチ圧を制御するためのバルブである。入力ポートには前進時のライン圧が入力され、出力ポートからC2クラッチ圧が出力される。左端ポートにはC2ロックバルブ29を介してC2電磁弁33のソレノイド圧が入力され、C2クラッチ圧はソレノイド圧に比例する。
【0035】
C2ロックバルブ29はC2圧制御バルブ28の左端ポートに対して、発進時にはC2電磁弁33のソレノイド圧を供給し、走行中(1〜3速)は最大油圧を供給するように切り換えるバルブである。
【0036】
C3圧制御バルブ30は、C3クラッチ圧を制御するためのバルブであり、左端ポートにはC3−B2電磁弁34のソレノイド圧が入力される。
【0037】
次に、本実施形態における高速段から低速段への変速制御について、例えば4速から3速にダウンシフトする場合を、主として図7,及び図8に基づいて説明する。
【0038】
図7(a)はタービン回転数(エンジン回転数であっても同様の特性を示す)の時間変化を、同図(b),(c)はクラッチC2用電磁弁33,ブレーキB1用電磁弁32への供給電流値を示しており、1A,0Aは最大値(100%),最小値(0%)を示す。また同図(d)はブレーキB1用油圧室,クラッチC2用油圧室への供給油圧を示す。
【0039】
4速から3速への切替は、図5から明らかなように、ブレーキB1を開放しつつクラッチC2を係合させることによって行なわれる。なお、ブレーキB1用電磁弁32はノーマルクローズ(常閉)弁であり、非通電時閉で供給電流を増大することにより開度が増加し、4速状態では全開、3速状態では全閉となる。一方、クラッチC2用電磁弁33はノーマルオープン(常開)弁であり、供給電流を減少させることにより開度が増加して非通電時全開となり、4速状態では全閉、3速状態では全開となる。
【0040】
4速から3速への変速指令が発せられると(ステップS1)、まずB1電磁弁32への電流値が最大値1A(全開時電流値)から一段低い開放開始時電流値B1Aaに低減されて保持される(ステップS2)。またC2電磁弁33への電流値は、変速指令から時間t1が経過したとき、つまり上記B1電磁弁32への電流値低減から僅かに遅れて最大値1A(全閉時電流値)から最小値0A(全開時電流値)に低減されて一定時間(時間t1まで)保持され、その後、最大値1Aから一段低い所定の待機電流値C2Aaに一定時間(時間t2まで)保持され(ステップS3〜S5)、さらに待機電流値C2Aaより一段低いオフセット電流値C2Abに低減保持される(ステップS6)。
【0041】
上記ステップS2のB1電流の減少により、ブレーキB1用油圧室の油圧はライン圧Pから一段低い開放開始時圧B1Paに低下する。すると変速機構4は作用する負荷が減少してニュートラル近似状態となり、これによりタービン回転数が4速所定速度時の回転数T4から上昇し始める。
【0042】
また上記ステップS4,S5における電流値制御により、クラッチC2の油圧室への油圧は、該油圧室に作動油が充満するがピストン17 dが移動しない程度の値に設定された待機圧C2Paに一定時間保持され、これにより油圧経路が作動油で充満され、僅かな油圧上昇によりピストン17dが移動開始する状態、即ち図4においてピストン17dの先端とクラッチ板17cとの間に隙間Sが確保されている状態に保持される。
【0043】
さらにまた上記ステップS6における電流値制御により、クラッチC2の油圧室への油圧は、ピストン17dが移動するもののクラッチ板17c同士が当接して動力を伝達するまでには至らない程度の値に設定されたオフセット圧C2Pbに保持される。これにより図4においてピストン17dとクラッチ板17cとの隙間Sはなくなり、さらにクラッチ板17c同士の隙間も略無くなった状態となっている。
【0044】
このようにクラッチC2用油圧を待機圧C2Paに一定時間保持した後、オフセット圧C2Pbに保持するようにしたので、後述する係合油圧C2Pcを供給すると直ちにクラッチ板17c同士の係合を開始させることができ、もって係合開始までの時間を短縮でき、変速タイムラグを小さくして応答性を向上できる。
【0045】
また上記タービン回転数が所定の割合で増加するように上記B1電磁弁32への電流値B1Ab、ひいてはブレーキB1への油圧B1Pbがフィードバック制御される(ステップS8)。そしてステップS9において、タービン回転数が3速所定速度時の係合時回転数T3より所定回転数(例えば30〜50rpm)低く設定された同期回転数に達したことが検出された場合には、係合側の摩擦係合要素、つまりクラッチC2用電磁弁33への電流がC2Abから、これより一段小さくかつ所定割合で減少するC2Acに制御され(ステップS10)、これによりクラッチC2の油圧室への油圧は所定割合で増加する係合油圧C2Pcとなる。
【0046】
そして上記同期回転数が検出されてクラッチC2への係合油圧C2Pcの出力が開始された後から、所定の吹き上がり判定時間が経過するまでの間におけるタービン回転数の上昇状況により吹き上がりが発生したか否かが検出される(ステップS11)。具体的には、上記同期回転数が検出された後、時間t4が経過するまでにタービン回転数が所定の吹き上がり判定回転数Tj(例えば100rpm)より大きく上昇した場合には吹き上がりが発生したと判定される。なお、上記ブレーキB1用電磁弁32への電流値は、上記判定時間経過後においては0Aとされ、該電磁弁32は全閉となる。
【0047】
上記ステップS11でタービン回転数の吹き上がりが検出されたときには、係合側の摩擦係合要素であるクラッチC2用電磁弁33への電流値が上記判定時間内におけるC2Acからこれより減少割合の大きいC2Adに変更される(ステップS12)。これによりクラッチC2に供給される油圧が上記吹き上がり判定時間内におけるC2Pcからこれより上昇割合の大きいC2Pdに変更される。その結果、図7(a)に実線で示すように、上昇割合を変更しない場合(同図に破線で示されている)よりタービン回転数の増加割合が減少される。なお、同図(a)における一点鎖線は、吹き上がりの発生しない正常時を示している。
【0048】
そして上記電流値が減少割合の大きいC2Adに変更された後、例えば時間t5において上記タービン回転数の降下が検出されたときには(ステップS13)、上記クラッチC2用電磁弁33への電流値は、上記C2Adから、該電流値C2Ad及びC2Acより減少割合の小さいC2Aeに変更される(ステップS14)。これによりクラッチC2に供給される油圧が上記上昇割合の大きいC2Pdから該油圧C2Pd及びC2Pcより上昇割合の小さいC2Peに変化する。その結果、タービン回転数の減少割合が必要以上に大きくなるのが回避され、変速ショックが減少される。
【0049】
また上記タービン回転数の降下が検出された後、タービン回転数が3速の係合時回転数T3に略一致すると、クラッチC2用電磁弁33への電流値がC2Aeからこれより減少割合の大きいC2Afに変更され、続いて0Aとされる。これによりC2クラッチ用油圧はC2Peからこれより増加割合の大きいC2Pfを経てライン圧Pとなる。
【0050】
本実施形態によれば、同期回転数が検出され、クラッチC2(係合側の摩擦係合要素)への係合油圧C2Pcの出力が開始された後、係合時タービン回転数T3に達した後の所定時間(t3〜t4)内におけるタービン回転数の上昇量が所定値Tj以上のときには吹き上がりが発生したと判断するようにしたので、仮に入力回転数に変化があっても吹き上がりを確実に検出できる。
【0051】
また吹き上がりの発生を検出したときには、クラッチC2に供給する油圧C2Pdの上昇割合を上記所定時間内における油圧C2Pcの上昇割合より大きくしたので、タービン回転数の吹き上がり量を抑制できる。ちなみに、油圧の上昇割合を変化させない場合には、タービン回転数は図7(a)に破線で示すように大きく上昇することとなる。
【0052】
また、上記クラッチC2に供給する油圧をC2Pcからこれより上昇割合の大きいC2Pdに変化させた後に、タービン回転数の降下を検出したときには、上記クラッチC2への油圧を上記C2Pdから、該油圧C2Pd及びC2Pcより上昇割合の小さいC2Peに変化させたので、上記クラッチC2の係合ショックを小さくでき、変速ショックを抑えることができる。ちなみに係合油圧の上昇割合を、特に図7(a)に破線で示すようにタービン回転数が大きく吹き上がった場合に上記吹き上がり検出後の油圧C2Pdのままにしておくと、タービン回転数が高回転数から3速用係合時回転数T3に急激に降下することとなり、変速ショックが大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による自動変速機の油圧制御装置を備えた車両の模式構成図である。
【図2】上記自動変速機の模式構成図である。
【図3】上記自動変速機の断面側面図である。
【図4】上記自動変速機のクラッチC2部分の拡大断面側面図である。
【図5】上記自動変速機の作動要素の作動一覧図である。
【図6】上記自動変速機の油圧回路の模式図である。
【図7】上記自動変速機の動作を説明するためのタービン回転数,電磁弁電流値,油圧の時間経過を示す特性図である。
【図8】上記自動変速機の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2 自動変速機
B1 ブレーキ(開放側の摩擦係合要素)
C2 クラッチ(係合側の摩擦係合要素)
T3 係合時タービン回転数
Claims (1)
- 複数の摩擦係合要素の係合・開放の切り換えによって変速を行なうとともに、低速段側への変速中にはタービン回転数が所定速度で増加するように摩擦係合要素への油圧を制御するようにした自動変速機の変速制御装置において、低速段側の係合時タービン回転数を算出し、該係合時タービン回転数より所定回転数低く設定された同期回転数を検出してから所定時間内におけるタービン回転数の上昇状況によりが吹き上がりの発生を検出し、吹き上がりの発生を検出したときには係合側の摩擦係合要素に供給する油圧の上昇割合を上記所定時間内における上昇割合より大きくし、上昇割合を大きくした後に、タービン回転数の降下を検出したときには上記上昇割合を上記吹き上がり検出時の上昇割合より小さくすることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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