JP3540580B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上部に冷凍室、下部に冷蔵室を備える冷凍冷蔵庫に係り、特に冷凍室の底面の強度を高める構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、独身用などとして利用されている小型の冷凍冷蔵庫(以下、冷蔵庫と総称する)にあっては、冷凍室の奥部に冷却器と送風機とが配設され、冷却器にて冷却された冷気が、冷凍室に吹き出されると共に、ダクトにより冷蔵室に送られて冷蔵室の冷却が行われるものとなっている。
【0003】
ここで、冷蔵庫の本体は、成形により冷凍室部と冷蔵室部とが一体に区画形成された樹脂製の内箱と金属製の外箱との間に、発泡ウレタンを充填して断熱箱体を形成するものとなっている。
【0004】
この結果、内箱の冷凍室部と冷蔵室部との間には、両室を上下に区画する断熱仕切壁が形成される。この場合、発泡ウレタンの節約を考えて、仕切壁内には発泡スチロールなどから成る中仕切断熱材を挿入して、発泡する製造方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、中仕切断熱材を断熱仕切壁内に挿入することで、断熱材の節約が図れる一方、中仕切断熱材は強度的に十分でない発泡スチロールで形成されるので、仕切壁の強度が弱まる懸念がある。断熱仕切壁は冷凍室にとって底部の支承部ともなるので、冷凍室底面がぺこついたりしないように支えられる強度を持つ断熱仕切壁であることが要求される。
【0006】
また、発泡成形時に内外箱間の空気(ガス)がスムーズに抜かれるようにしないと、不十分な充填となるので、ガス抜き路を如何にして確保するかも大事となる。そして、その発泡ウレタンの充填状態の良否は、仕切壁が冷凍室の底部をぺこつかないように支える構造的強度にも影響する。
【0007】
本発明は、上述のような課題に鑑みて成されたもので、中仕切断熱部材の冷凍室の底部に対応する部分を凹ませ、そこに発泡ウレタンを充填する構造として、冷凍室の底部の強度を向上することができるように図り、かつ、ガス抜きも構成部品を利用してスムーズに行えるように構成した冷蔵庫を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、内箱に成形した冷凍室部と冷蔵室部との間に、発泡スチロール等の成形断熱材よりなる中仕切断熱材を後方より挿入し、前記内箱に外箱を組み合わせ、内外箱間に発泡ウレタン等の現場発泡方式の断熱材を充填して本体を形成する冷蔵庫において、前記中仕切断熱材の上面側に、前記冷凍室部の底面と対応する広さの凹面部を形成すると共に前記凹面部と隣接して突縁部と除霜水の排水口を設け、この凹面部の前端部には内外箱間に充填した発泡ウレタン等の断熱材が回り込み流入する断熱材流入部を設け、前記凹面部を発泡ウレタン等の断熱材により充填させ、この充填する断熱材により凹面部から追い出されるガスは前記突縁部を乗り越えて前記排水口から抜かれるようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
【0010】
また、本発明は、前記凹面部は約10mmの深さに形成されているものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様を、図面に基づき説明する。
【0012】
図1は冷蔵庫の断面図であり、図2は冷気吐出ダクトで冷却室から冷蔵室への冷気送給の様相を説明する冷蔵庫の正面図であり、また図3は樹脂成形により冷凍室部と冷蔵室部とに区画形成されている内箱とその上下室区画用に用いられる中仕切断熱材との分解斜視図である。
【0013】
各図において、先ず冷蔵庫10は、発泡ウレタン等の現場発泡方式の断熱材16が充填され、前方に開口した断熱箱体17内を断熱仕切壁18にて上下に区画することにより、断熱仕切壁18の上方に冷凍室1を、下方に冷蔵室5を構成したものであり、冷凍室1および冷蔵室5の前方開口は回動式の断熱扉19a、19bによって、開閉自在に閉塞されている。
【0014】
また、前記断熱箱体17は詳しくは、塗装鋼板等金属製の外箱20と、冷凍室部1Bと冷蔵室部5Bとが一体形成されている図3に示すような、ABS等合成樹脂製の内箱21とが所要空間を隔てて組み合わされ、それら内外箱間に形成される空間29に発泡ウレタン等の断熱材16が発泡充填されて形成される。その場合に、冷凍室部1Bと冷蔵室部5Bとの間に存在する前記断熱仕切壁18中には、該断熱仕切壁18内に充填された発泡ウレタン等とともに断熱作用を果たす発泡スチロール等にて成形された中仕切断熱材22が収納され、断熱仕切壁18を形成する一部材として介挿された構成となっている。また、後述するが、該中仕切断熱材22には、冷凍室1からの冷気を冷蔵室5に送る冷気通路や冷却器からの除霜水を排出する排水路などが形成されている。
【0015】
さて、前記冷凍室1の後部には冷却室2が画成され、そこには冷却器3が下部に、送風機4が上部に位置させて設けれられており、さらに、冷却器3の下方には除霜時に冷却器3から滴下する除霜水を容易に受けられるように樋状の形をした上部露受け部19が設けられており、露はその底部に設けた排水口19aから中仕切断熱材22中の排水通路およびドレンパイプ50により、冷蔵室5内から庫外に排水されるようになっている。
【0016】
そして、冷凍室1では、冷却器3にて冷却された冷気が図1の矢印に示すように、冷気の吹出口15aから吹出し、吸込口15bから冷却室2に戻るように前記送風機4により送風循環され、冷凍室1が冷却される。
【0017】
一方、冷却器3により冷却された冷気は、図2に示すように、冷凍室1へ送風される冷気と分流して、冷蔵室5へ延びている冷気送給用ダクト23により冷蔵室5にも送られている。そして、この冷気送給用ダクト23は、冷蔵室5内に設けた冷気吹出部26に開口し、その下方吹出口27aと前方吹出口27bから冷気が冷蔵室5へ吹き出す。この場合に前記冷気吐出ダクト23と冷気吹出部26との間は、前記中仕切断熱材22内に形成した上下方向に貫通する角孔形状の冷気導入口30で連絡し、また冷蔵室5からの冷気も中仕切断熱材22内に形成した冷気戻り通路28で、冷却室2に戻るような構造となっている。これにより、冷却室2からの冷気が冷蔵室5に、矢印のように吹出し循環して冷却される。
【0018】
図4は、前記中仕切断熱材22と共に除霜水の排水口を兼ねる冷気戻し口や冷気吹出口および冷気戻り通路28等を形成する構造部品を示し、中仕切断熱材22の上側には、その後端部において片側部に、上下方向に貫通する角孔形状の冷気導入口30が設けられ、この冷気導入口30と前記冷気送給用のダクト23の下端部とが連結されるようになっている。また冷気導入口30と並んで、冷却器3からのドレン水を受けるように底面を両側から中央に向けて低くなるように傾斜させた樋状の露受け部31が設けられ、この露受け部31の中央部には角孔32が形成されて、露の流出口となると共に、冷蔵室5から冷気が冷却室2に戻る上部冷気戻り口ともなっている。また、露受け部31の上面は、アルミ製の露受け板33を被せて設けている。
【0019】
また、35は、材質が中仕切断熱材22と同じ発泡スチロールから成り、上方の開放口を前記冷気導入口30と連絡する冷気入口36とするとともに、冷蔵室5へ冷気を下方と前方に吹き出させる下方吹出口37aと前方吹出口37bを設けた吹出ダクトであり、該吹出ダクト35は、前記中仕切断熱材22の冷気導入口30と対応する下部に設けた凹所に下から嵌合して取付けられるようになっている。この結果、発泡成形する前に、中仕切断熱材22を内箱21の冷凍室部1Bと冷蔵室部5Bとの間29に挿入したとき、この冷気吹出ダクト35は、中仕切断熱材22の下部に出っ張った突出部として存在するため、この突出する吹出ダクト35を受け入れできるように、内箱21の方にはその冷蔵室部5Bの表側を段状に凹ませて設けた前記吹出ダクト35と合致する形状の受篏部60を冷蔵室5の内側に突出するように一体形成している。
【0020】
さらに、38は同じく発泡スチロール等から成り、中仕切断熱材22の中央部下部に形成した前後方向の取付け凹所に下から嵌着され、中仕切断熱材22中に冷蔵室5からの冷気を冷却室2に戻す冷気戻りダクト28を形成する冷気戻りダクト断熱材である。そして、冷気戻りダクト断熱材38はその前端部に冷蔵室5からの冷気吸込口28aが設けられ、また後端部には、前記中仕切断熱材22aに設けた上部冷気戻り口(角孔)32と連通する下部冷気戻り口39が樋状に凹ませて形成されている。なおこの下部冷気戻り口39は前記上部冷気戻り口32より大きい開口面積の角孔となっていると共に、そこには合成樹脂製の露受け板40が嵌着されるようになっている。ここでも、この露受け板40の上方開放口は除霜水の受け口であると共に、冷蔵室5からの冷気を前記上部冷気戻り口32から冷却室2へ戻すための冷気戻り口ともなっている。
【0021】
そして、前記露受け板40にはその内底面に排水孔41が有るとともに、底部からは、ドレンパイプ50の先端が接続されるドレンパイプ結合筒42が突出しており、該結合筒42は冷気戻りダクト断熱材38における下部冷気戻り口39の中央に穿設した受け孔43に差し込まれるようになっている。
【0022】
さてここで、前記中仕切断熱材22において、内箱21の冷凍室部1Bの底面1dと対応するその上面部に、前端部が開放した一様の深さの平たい凹面部44が形成されている。この凹面部44の深さは、例えば、約10mm程度の深さとすることができる。この凹面部44は周囲に堰状に突縁部46が残り、隣接する露受け部31とも突縁部46bで一段低くくなって区切られて存在する。
【0023】
従って、発泡成形する前に、内箱21の冷凍室部1Bと冷蔵室部5Bとの間29には、中仕切断熱材22を後方から挿入されるが、その時に、中仕切断熱材22の凹面部44の上面開口に冷凍室部1Bの底面、即ち実質的に冷凍室1の底面1dが当接し、中仕切断熱材22と冷凍室部1Bの底面1dとの間に約10mmの空所が作られる。
【0024】
そして、冷凍室1の底面1dとの間のこの凹面部44には、その前端部の開放部から、内箱1と外箱5との間に充填する発泡ウレタン16が回り込んで充填されるようになる。そこで、発泡ウレタンが流入するように、凹面部44の前端部の片側の堰状の突縁部46の先端部を切開して、発泡ウレタン流入部47を形成する。また、中仕切断熱材22を図3に示すように、内箱1の冷凍室部1Bと冷蔵室部5Bとの間29に挿入したときにその前端部22cと内箱裏面部21cとの間に生じる構造上の隙間48からも、図5等に示すように、発泡ウレタンは流入する。
【0025】
ところで、発泡ウレタンの注入は、図8に示すように、発泡上治具51と発泡内治具52とで、組み合わせた内箱21と外箱20をそのドア開口側を下にして押さえ、そして、図7に示すように、その箱体の端部、例えば冷蔵室部5B側の底部付近に設けた注入口58などから行われる。そこから注入されたウレタンは、発泡しながら、矢印に示す如く、箱体の左右側面に沿いまた背面に回り込むようにして、全体的には天部の方へと向かって流れて充填されて行く。その途中で発泡ウレタンは、図5および図6に示すように、中仕切断熱材22の右側の発泡ウレタン流入部47および左側の発泡ウレタン流入部である隙間部48から左右から回り込むようにして流入し、中仕切断熱材22の上面の凹面部44を充填する。
【0026】
この結果、発泡ウレタン16が充填固化すると、冷凍室部1の底面1dの裏側に、一様な厚みの発泡ウレタンで形成した固い面が当たるようになり、冷凍室1の底面1dを裏側から頑丈に支えられるという堅牢な構造にすることができるようになり、冷凍室1に多量に貯蔵しても、冷凍室1の底面1dがぺこついたりしないようになる。
【0027】
そして、この中仕切断熱材22の凹面部44が発泡ウレタンで充填される過程で、箱体内から追いやられるガス(空気)は、図5乃至図7に示すように、露受け部31との仕切り壁となる突縁部46b(突縁部とこれに当たっている内箱との間の構造上の隙間)を乗り越て露受け部31に抜け出て、その露受け部31の開口部および角孔32からガスが抜かれる。よって、ガス抜きは、露受け部31すなわち除霜水を排水する排水口を利用してガス抜きが行え、別途ガス抜き路を形成せずともよく、簡易な構造となる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、成形により冷凍室部と冷蔵室部とが一体に設けられている内箱と外箱とを組合せ、その間に断熱材を発泡充填して冷凍室と冷蔵室とが断熱仕切り壁で区画形成される構造の冷蔵庫本体において、現場発泡する前に、仕切断熱材の一部構成材として内箱の冷凍室部と冷蔵室部との間に挿入される中仕切断熱材の上面に、冷凍室部の底面と対応させて凹面部を形成し、かつ該凹面部の端部に断熱材流入部を設けて、注入した発泡ウレタンなどの断熱材がこの凹面部にも流入して充填されるようにしたので、断熱材が固化すると、この固い面で冷凍室の底面裏側は一面的に支えられ、堅牢な底面構造となる。よって、冷凍室の底面の強度が向上し、多量に貯蔵してもぺこつきなどの心配の無い冷蔵庫とすることができる。
【0029】
また、断熱材の発泡充填に伴うガス抜きも、中仕切断熱材の前記凹面部に隣設した除霜水の排水口を利用してスムーズに行えるという巧妙な構造になっているので、複雑な構造にもならない。
【0030】
また、中仕切断熱材に作る凹面部の深さは、約10mmとすれば、十分に強度がある支承面を形成でき、冷凍室底面の強化と、断熱仕切壁の構成材であるウレタンなど断熱材の使用料を少なくする材料節減とを効果的に果たせるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冷蔵庫の縦断側面図である。
【図2】冷気がダクトにより冷蔵室に送られて、冷蔵室が冷却される様相を説明した冷蔵庫の正面図である。
【図3】冷凍室部と冷蔵室部とが成形された内箱と、発泡成形前に、内箱のその冷凍室部と冷蔵室部との間に介在される発泡スチロール製の中仕切断熱材とを示す構成要素の分解斜視図である。
【図4】中仕切断熱材と組み合わされ、除霜水を冷蔵室の方へ導出させる排水部などを構成する各種部品の分解斜視図である。
【図5】中仕切断熱材の上部の凹面部に断熱材が発泡充填される様相を示す説明図である。
【図6】内箱全体から見た上記趣旨と同様の凹面部に断熱材が発泡充填される様相を示す斜視図である。
【図7】発泡ウレタンが内外箱間の空間を埋め、さらに中仕切断熱材の上部の凹面部に充填される様相を示す発泡成形の全体図である。
【図8】内箱、外箱を発泡治具にセットした状態の構造図である。
【符号の説明】
1 冷凍室
3 冷却器
4 送風機
5 冷蔵室
16 発泡ウレタン
18 断熱仕切壁
19 露受け部
21 内箱
22 中仕切断熱材
32 露の排水口
44 凹面部
46 突縁部

Claims (2)

  1. 内箱に成形した冷凍室部と冷蔵室部との間に、発泡スチロール等の成形断熱材よりなる中仕切断熱材を後方より挿入し、前記内箱に外箱を組み合わせ、内外箱間に発泡ウレタン等の現場発泡方式の断熱材を充填して本体を形成する冷蔵庫において、
    前記中仕切断熱材の上面側に、前記冷凍室部の底面と対応する広さの凹面部を形成すると共に前記凹面部と隣接して突縁部と除霜水の排水口を設け、この凹面部の前端部には内外箱間に充填した発泡ウレタン等の断熱材が回り込み流入する断熱材流入部を設け、前記凹面部を発泡ウレタン等の断熱材により充填させ、この充填する断熱材により凹面部から追い出されるガスは前記突縁部を乗り越えて前記排水口から抜かれるようにしたことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記凹面部は約10mmの深さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
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