JP3533914B2 - 車両用サスペンション装置のための制御装置 - Google Patents

車両用サスペンション装置のための制御装置

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JP3533914B2
JP3533914B2 JP31554897A JP31554897A JP3533914B2 JP 3533914 B2 JP3533914 B2 JP 3533914B2 JP 31554897 A JP31554897 A JP 31554897A JP 31554897 A JP31554897 A JP 31554897A JP 3533914 B2 JP3533914 B2 JP 3533914B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エアばね装置を備えた
車両用サスペンション装置のための制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ばね上部材とばね下部材との
間に介装されてなり内部に封入した気体の圧力によって
ばね上部材をばね下部材に対し弾性的に支承する主チャ
ンバと、同主チャンバの近傍に配設された副チャンバ
と、同両チャンバを選択的に連通するバルブとを備えた
エアばね装置を備え、バルブにより両チャンバを連通状
態と非連通状態とで切換えてエアばね装置のばね特性を
切換えるようにした車両用サスペンション装置はよく知
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来装置
においては、ばね上部材の振動に対し、同装置に別途組
付けたショックアブソーバのみによって減衰力を付与す
るようにしていた。この場合、同ショックアブソーバが
発生する減衰力はばね上部材のばね下部材に対する相対
速度に比例するため、図7に示すように、ばね上部材の
振動の周波数が高くなって同相対速度が大きくなるにつ
れて大きくなっていた。なお、図7は、ばね上部材のば
ね下部材に対する相対位置とショックアブソーバの発生
する減衰力との関係を表したものである。同図におい
て、横軸はばね上部材のばね下部材に対する相対位置を
表し、原点を振動の中心となる位置として、正の値によ
り上方向への変位量を表すとともに、負の値により下方
向への変位量を表している。また、縦軸はショックアブ
ソーバの発生する減衰力の大きさを表しており、正の値
により下向きの力を表すとともに、負の値により上向き
の力を表している。したがって、上記従来装置において
は、ばね上部材の高周波振動時にショックアブソーバに
より過度な減衰力が付与されて車両の乗り心地が悪化す
るという問題が生じていた。一方、これに対処すべくシ
ョックアブソーバの減衰係数(ばね上部材の相対速度に
対する減衰力の比例定数)を低く設定すると、ばね上部
材の低周波振動を充分に抑制できず車両の操安性が低下
するという問題が生じていた。
【0004】また、ばね上部材の振動時、一般にばね上
部材の絶対速度の変化はばね下部材に対する相対速度の
変化に対して位相が遅れるものであるが、ショックアブ
ソーバが発生する減衰力はこの相対速度に比例したもの
であるため、ばね上部材の絶対速度に対して位相が遅れ
ていた。これにより、ばね上部材の路面に対する振動を
的確に抑制することができず、車両の乗り心地が悪化す
るという問題もあった。
【0005】
【発明の概要】本発明は、上記問題に対処するためにな
されたものであり、その目的は、エアばね装置によって
ばね上部材の振動に対し減衰力を発生させ、これをショ
ックアブソーバと共に又は単独で用いることによって、
常に車両の操安性を高く保った上で、高周波振動時にも
車両の乗り心地を良好に保つ車両用サスペンション装置
のための制御装置を提供することにある。
【0006】上記問題を解決するための本発明の第1の
構成上の特徴は、前記エアばね装置を備えた車両用サス
ペンション装置のための制御装置において、ばね上部材
のばね下部材に対する振動の一周期中でエアばね装置が
最も伸びた状態になったとき及び最も縮んだ状態になっ
たときバルブを制御して両チャンバを非連通状態とする
第1制御手段と、エアばね装置が前記各状態間を移行す
る途中の所定状態になったときバルブを制御して両チャ
ンバを連通状態とする第2制御手段とを設けたことにあ
る。
【0007】上記本発明の第1の構成上の特徴を有する
車両用サスペンション装置のための制御装置によれば、
ばね上部材の振動時、エアばね装置は、ばね上部材のば
ね下部材に対する相対変位に対し、図4(a)にて実線
により示すように、ヒステリシスを有するばね力を発生
する。なお、図4(a)及び後述する図4(b)は、ば
ね上部材のばね下部材に対する相対位置とエアばね装置
の発生するばね力との関係を表したものである。各図に
おいて、横軸は前記図7における場合と同様にばね上部
材のばね下部材に対する相対位置を表している。また、
縦軸はエアばね装置が発生するばね力を表しており、正
の値により下向きの力を表すとともに、負の値により上
向きの力を表している。また、図4(a)中のa点は第
1制御手段によって両チャンバが非連通状態に切換えら
れる点であり、b点は第2制御手段によって両チャンバ
が連通状態に切換えられる点である。上記ヒステリシス
を有するばね力は、見かけ上、両チャンバが常時連通状
態であった場合に同エアばね装置が発生するばね力(図
4(a)中の破線)に対して、図4(b)に示したよう
な、ばね上部材の変位方向と逆向きの力、すなわち減衰
力を加えたものと同等となる。このようにしてエアばね
装置が発生する見かけ上の減衰力の大きさは、各チャン
バに封入された気体のばね作用によるため、ばね上部材
のばね下部材に対する相対位置にのみ依存し、相対速度
によらない。したがって、常に車両の操安性を高く保っ
た上で、上記従来装置で問題となったばね上部材の高周
波振動時にも過度な減衰力を付与することなく、車両の
乗り心地を良好に保つことが可能となる。
【0008】また、本発明の第2の構成上の特徴は、前
記エアばね装置を備えた車両用サスペンション装置のた
めの制御装置において、ばね上部材がばね下部材に対し
所定長より大きい振幅で振動している場合に、同振動の
一周期中でエアばね装置が最も伸びた状態になったとき
及び最も縮んだ状態になったときバルブを制御して両チ
ャンバを非連通状態とする第1制御手段と、エアばね装
置が各状態間を移行する途中の所定状態になったときバ
ルブを制御して両チャンバを連通状態とする第2制御手
段とを設けたことにある。
【0009】上記本発明の第2の構成上の特徴を有する
車両用サスペンション装置のための制御装置によれば、
ばね上部材が上記所定長より大きい振幅で振動している
とき、前記第1の構成上の特徴を有するものと同様に、
エアばね装置によって減衰力が発生される。したがっ
て、これによっても、前記第1の構成上の特徴を有する
ものと同様に、常に車両の操安性を高く保った上で、車
両の乗り心地を良好に保つことが可能となる。また、一
般にばね上部材の振動は高周波になるほど振幅が小さく
なる傾向があるため、上記所定長を大きくすることによ
り、ばね上部材の高周波振動時におけるエアばね装置の
減衰力の発生を抑制することができて車両の乗り心地を
より良好に保つことも可能となるとともに、バルブの切
換え制御の頻度を抑制してエアばね装置の耐久性を向上
させることも可能となる。
【0010】また、本発明の第3の構成上の特徴は、前
記第1の構成上の特徴及び第2の構成上の特徴のうちの
いずれかを有する車両用サスペンション装置のための制
御装置において、前記エアばね装置の所定状態を、前記
最も伸びた状態及び縮んだ状態からそれぞればね上部材
が振動の中心位置にあるときの状態に移行する途中の状
態としたことにある。
【0011】上記本発明の第3の構成上の特徴を有する
車両用サスペンション装置のための制御装置によれば、
ばね上部材の振動中、図5に示すように、同振動の一周
期中でばね上部材のばね下部材に対する相対速度が最大
となるよりも早く、前記エアばね装置の発生する見かけ
上の減衰力は最大となる。したがって、同減衰力が最大
となるタイミングをばね上部材の絶対速度が最大になる
タイミングに近づけることが可能となるため、ばね上部
材の路面に対する振動を的確に抑制して車両の乗り心地
を良好に保つことが可能となる。
【0012】また、上記本発明の第1乃至第3の構成上
の特徴における前記第1制御手段を、ばね上部材のばね
下部材に対する相対速度を検出する相対速度検出手段を
含み、前記検出された相対速度が所定速度以下になった
ことによりエアばね装置が最も伸びた状態になったとき
及び最も縮んだ状態になったこと検出して、同各状態の
検出に応答してバルブを制御するものとし、第2制御手
段を、ばね上部材のばね下部材に対する相対位置を検出
する相対位置検出手段を含み、前記検出された相対位置
に基づいて前記所定状態を検出して、同所定状態の検出
に応答してバルブを制御するものとするとよい。
【0013】これによれば、エアばね装置が最も伸びた
状態になったとき及び最も縮んだ状態ではばね上部材の
ばね下部材に対する相対速度は極めて小さくなるととに
(理想的には零になり)、またばね上部材のばね下部材
に対する相対位置はエアばね装置の前記2状態の移行状
態を表しているので、前記第1及び第2制御手段による
制御を実現できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
用いて説明する。図1は、車両のサスペンション装置1
0及び同装置10を電気的に制御する電気制御装置20
を概略的に示している。
【0015】サスペンション装置10は、車両の前後左
右位置にそれぞれ組付けられるものであり、ショックア
ブソーバ11及びエアばね装置12を備えている。ショ
ックアブソーバ11は、下端にてロアアーム13に固定
されたシリンダ11aと、同シリンダ11a内に上方か
ら侵入して上端にて車体BD(ばね上部材)を支持する
ピストンロッド11bとを備えている。ロアアーム13
の外端には車輪WHが結合され、同ロアアーム13及び
車輪WHが本発明のばね下部材を構成する。ピストンロ
ッド11bの下端には、シリンダ11a内を上下の油室
に区画するピストン11cが固定されている。ピストン
ロッド11dの上端には、アクチュエータ14が組付け
られている。アクチュエータ14は、ピストンロッド1
1d及びピストン11cを介してシリンダ11aの上下
室を連通させる油路を切換えることにより、ショックア
ブソーバ11の減衰係数を切換えるものである。
【0016】エアばね装置12は、車体BDをロアアー
ム13に対して支持するものであり、シリンダ11aの
上部に設けた主チャンバ12a及び副チャンバ12bを
備えている。主チャンバ12aは、可撓性外壁により囲
まれていて、その体積を変更可能としている。副チャン
バ12bは、両チャンバ12a,12bを仕切る隔壁1
2cとケーシング12dとにより体積一定に保たれるよ
うになっている。隔壁12cには、電磁バルブ15が組
付けられている。電磁バルブ15は、非通電状態にて、
両チャンバ12a,12bを連通状態にしてエアばね装
置12のばね特性をソフトすなわちばね定数を小さく設
定する。また、通電状態にて、両チャンバ12a,12
bを非連通状態にしてエアばね装置12のばね特性をハ
ードすなわちばね定数を大きく設定する。
【0017】電気制御装置20は、位置検出手段として
のストロークセンサ21を備えている。ストロークセン
サ21は、車体BD側に組付けられるとともにロアアー
ム13にも連結されてなり、ロアアーム13及び車輪W
Hに対する車体BDの相対位置を基準位置からの変位量
であるストローク値hとして検出し、同ストローク値h
を表す検出信号を出力する。ストロークセンサ21は、
マイクロコンピュータ22に接続されている。マイクロ
コンピュータ22は、図2のフローチャートに対応した
メインプログラムを所定の短時間毎に繰返し実行し、ス
トロークセンサ21による検出に基づいて電磁バルブ1
5を切換え制御する。
【0018】次に、上記のように構成した実施形態の動
作を、図2,3のフローチャートに沿って説明する。マ
イクロコンピュータ22は、メインプログラムの実行を
図2のステップ100にて開始した後、まずステップ1
02にてストロークセンサ21からストローク値hを入
力する。そして、ステップ104にて同入力したストロ
ーク値hの時間微分値をロアアーム13及び車輪WHに
対する車体BDの相対速度h’として算出し、ステップ
106にて、図3に詳細に示す中立ストローク値演算処
理を実行する。
【0019】この中立ストローク値演算処理は、所定時
間(例えば、30秒)内におけるストローク値hの平均
を、車体BDの振動の中心位置を表す中立ストローク値
hcとして算出する処理である。マイクロコンピュータ
22は、ステップ200にてこの中立ストローク値演算
処理の実行を開始する毎に、ステップ202にて上記入
力したストローク値hを累積ストローク値h0に加算す
るとともに、ステップ204にてカウント値CNTに値
“1”を加算する。これにより、このメインプログラム
の繰返し実行中、新たに入力されたストローク値hが累
積ストローク値h0に順次加算され続けるとともに、同
加算毎にカウント値CNTが値“1”づつ増加し続け
る。なお、この累積ストローク値h0及びカウント値C
NTは、共に図示しない初期設定によって最初は値
“0”に設定されている。これら各処理後、マイクロコ
ンピュータ22は、ステップ206にて上記加算したカ
ウント値CNTが所定値nに達しているか否かを判定す
る。この所定値nは、上記所定時間内にこの中立ストロ
ーク値演算処理が実行される回数に予め設定されてい
る。このとき、カウント値CNTが所定値nに達してい
なければ、「NO」との判定のもとに、ステップ214
にてこの中立ストローク値演算処理の実行を一旦終了す
る。
【0020】一方、このメインプログラムの繰返し実行
中、上記各処理の繰返し実行によりカウント値CNTが
所定値nに達すると、マイクロコンピュータ22は、ス
テップ206における「YES」との判定のもとに、プ
ログラムをステップ208以降へ進める。ステップ20
8においては、累積ストローク値h0を所定値nで除算
した値h0/n、すなわち上記所定時間に渡って入力さ
れたn個のストローク値hの平均を中立ストローク値h
cとして設定する。ステップ210,212において
は、累積ストローク値h0及びカウント値CNTをそれ
ぞれ値“0”にリセットする。このような中立ストロー
ク値演算処理の繰返し実行により、このメインプログラ
ムの繰返し実行中、所定時間毎に、同所定時間内におけ
るストローク値hの平均が、中立ストローク値hcとし
て繰返し算出され続ける。
【0021】上記中立ストローク値演算処理の実行後、
マイクロコンピュータ22は、ステップ108にて、フ
ラグFLGが値“0”であるか否かを判定する。フラグ
FLGは、値“0”にてエアばね装置12のばね特性が
ソフトであることを表すとともに、値“1”にて同ばね
特性がハードであることを表すものである。
【0022】エアばね装置12のばね特性がソフトに設
定されていてフラグFLGが値“0”に設定されている
場合、マイクロコンピュータ22は、上記ステップ10
8における「YES」との判定のもとに、プログラムを
ステップ110以降へ進める。この場合、マイクロコン
ピュータ22は、前記ステップ102にて入力したスト
ローク値hと前記ステップ106にて算出した中立スト
ローク値hcとの差の絶対値が所定値a(例えば、20
mm)より大きく、かつ、前記ステップ104にて算出
したロアアーム13及び車輪WHに対する車体BDの相
対速度h’の絶対値が微小の所定値b(例えば、0.0
2m/s)より小さくなったとき、ステップ110,1
12におけるそれぞれ「YES」との判定のもとに、ス
テップ114にて両チャンバ12a,12bを非連通状
態に切換えてエアばね装置12のばね特性をハードに切
換えるとともに、ステップ116にてフラグFLGを値
“1”に設定する。これにより、エアばね装置12のば
ね特性は、ロアアーム12及び車輪WHに対し車体BD
が所定値aより大きい振幅で振動しており、かつ、同振
動の一周期中でエアばね装置12が最も伸びた状態又は
縮んだ状態となったとき、ソフトからハードに切換えら
れることになる。また、このとき、ステップ118に
て、エアばね装置のばね特性をソフトに戻す制御に用い
るしきい値cを設定する。このしきい値cは、このとき
のストローク値h及び中立ストローク値hcに基づい
て、常に正の値(例えば、ストローク値hと中立ストロ
ークhcとの差の3分の1の絶対値|h−hc|/3)
に設定される。
【0023】一方、上記ステップ114,116の各処
理によってエアばね装置12のばね特性がハードに設定
されていてフラグFLGが値“1”に設定されていると
き、マイクロコンピュータ22は、上記ステップ108
における「NO」との判定のもとに、プログラムをステ
ップ120以降へ進める。この場合、マイクロコンピュ
ータ22は、前記ステップ102にて入力したストロー
ク値hと前記ステップ106にて算出した中立ストロー
ク値hcとの差の絶対値が上記ステップ118にて設定
したしきい値cより小さくなったとき、ステップ120
における「YES」との判定のもとに、ステップ122
にて両チャンバ12a,12bを連通状態に切換えてエ
アばね装置12のばね特性をソフトに切換えるととも
に、ステップ124にてフラグFLGを値“0”に設定
する。これにより、上記ソフトからハードに切換えられ
たエアばね装置12のばね定数は、車体BDが中立スト
ローク値hcによって表される上記振動の中心位置に戻
る途中に、しきい値cの値に基づいて、ハードからソフ
トに戻されることになる。
【0024】上述のようなメインプログラムの繰返し実
行によると、車体BDの振動時、エアばね装置12は、
ロアアーム13及び車輪WHに対する車体BDの相対変
位に対し、前述した図4(a)にて実線により示すよう
に、ヒステリシスを有するばね力を発生する。このヒス
テリシスを有するばね力は、見かけ上、両チャンバ12
a,12bが常時連通状態であった場合に同エアばね装
置12が発生するばね力(図4(a)中の破線)に対し
て、図4(b)に示したような、車体BDの変位方向と
逆向きの力、すなわち減衰力を加えたものと同等とな
る。このようにしてエアばね装置12が発生する見かけ
上の減衰力の大きさは、ロアアーム12及び車輪WHに
対する車体BDの相対位置にのみ依存するため、相対速
度によらない。したがって、常に車両の操安性を高く保
った上で、車体BDの高周波振動時にも過度な減衰力を
付与することなく、車両の乗り心地を良好に保つことが
可能となる。
【0025】また、上記実施形態においては、エアばね
装置12をソフトからハードに切換えるとき、車体BD
の振動の振幅が所定値aより大きいことをその条件の一
つとして採用している。したがって、一般に車体BDの
振動は高周波になるほど振幅が小さくなる傾向があるた
め、上記所定値aを大きく設定することにより、車体B
Dの高周波振動時におけるエアばね装置12の減衰力の
発生を抑制することができて車両の乗り心地をより良好
に保つことが可能であるとともに、バルブ15の切換え
制御の頻度を抑制してエアばね装置12の耐久性を向上
させることが可能である。
【0026】また、上記実施形態においては、エアばね
装置12のばね特性を、ソフトからハードに切換えた
後、車体BDが中立ストローク値hcによって表される
上記振動の中心位置に戻る途中に、しきい値cの値に基
づいて、再びソフトに戻すようにしている。これによ
り、車体BDの振動中、図5に示すように、同振動の一
周期中でロアアーム13及び車輪WHに対する車体BD
の相対速度が最大となるよりも早く、前記エアばね装置
12の発生する見かけ上の減衰力は最大となる。したが
って、同減衰力が最大となるタイミングを、車体BDの
絶対速度が最大になるタイミングに近づけることが可能
となるため、車体BDの路面に対する振動を的確に抑制
して車両の乗り心地を良好に保つことが可能となる。
【0027】上述のような上記実施形態による効果を実
験によって確認すると次の通りである。図6は、上記実
施形態と同様にエアばね装置12及びショックアブソー
バ11を備えた4輪車両モデルに対し振動力を加えた場
合における、同振動の周波数に対する車体BDの重心加
速度のゲイン特性を示したものである。同図6中のA
は、上記実施形態において、ショックアブソーバ11の
減衰係数を低レベル一定に設定し、前記所定値a、所定
値b及びしきい値cはそれぞれ20mm、0.02m/
s、ストローク値hと中立ストロークhcとの差の3分
の1の絶対値|h−hc|/3に設定したモデルの上記
ゲイン特性を示している。Bは、エアばね装置12のば
ね特性をソフト一定に設定するとともに、ショックアブ
ソーバ11の減衰係数を既知のスカイフック理論に基づ
き制御したモデルにおける上記ゲイン特性を示してい
る。Cは、エアばね装置12のばね定数をソフト一定に
設定するとともに、ショックアブソーバ11の減衰係数
を低レベル一定に設定したモデルにおける上記ゲイン特
性を示している。Dは、エアばね装置12のばね定数を
ソフト一定に設定するとともに、ショックアブソーバ1
1の減衰係数を高レベル一定に設定したモデルにおける
上記ゲイン特性を示している。
【0028】上記図6によれば、Aの減衰効果は、B及
びDのそれと比較して、低周波域においてはやや劣るも
のの、高周波域においては明らかに優れていることがわ
かる。また、Cのそれと比較すると、高周波域において
はほぼ同等であるものの、低周波域において明らかに優
れていることがわかる。したがって、上記実施形態によ
れば、低周波振動時にも適度な減衰力を発生して車両の
操安性を高く保った上で、車体BDの高周波振動時に車
両の乗り心地を良好に保つことができる。
【0029】なお、上記実施形態においてはショックア
ブソーバ11による減衰力制御について説明しなかった
が、マイクロコンピュータ22が図示しないプログラム
の実行によってアクチュエータ14を制御しショックア
ブソーバ11の減衰係数を切換え制御するようにして、
同アブソーバ11によって補助的に車体BDの振動を抑
制制御するようにしてもよい。この場合も、エアばね装
置12によって減衰力が発生していて、同アブソーバ1
1の減衰係数を低く保っておいても車体BDの振動を十
分に抑制することが可能であるため、同アブソーバ11
によって車体BDの高周波振動時に過度な減衰力を付与
することなく、車両の乗り心地を良好に保つことが可能
である。また、エアばね装置12によって必要な減衰力
が十分に得られる場合には、ショックアブソーバ11を
省略することもできる。
【0030】また、上記実施形態においては、ステップ
110にてストローク値hと中立ストローク値hcとの
差の絶対値が所定値aより大きいか否かを判定すること
により、車体BDの振動の振幅が所定値aより大きいこ
とを、エアばね装置12のばね特性をソフトからハード
に切換える条件の一つとして採用していた。しかし、簡
単のため、同ステップ110の判定処理を採用せず、ス
テップ112のロアアーム13及び車輪WHに対する車
体BDの相対速度h’の絶対値が微小の所定値bより小
さいか否かの判定処理のみを採用して、車体BDの振動
の一周期中でエアばね装置12が最も伸びた状態又は縮
んだ状態にあることのみを上記条件として採用するよう
にしても、本発明の効果を相応に期待することができ
る。
【0031】また、上記実施形態においては、エアばね
装置12のばね特性をハードからソフトに戻す制御のた
めのしきい値cを、同ばね特性をソフトからハードに切
換えたときのストローク値h及び中立ストローク値hc
に基づいて決定するようにしたが、同しきい値cを上記
ストローク値h及び中立ストローク値hcに関わらず予
め設定しておくようにしておいても、本発明の効果を相
応に期待することができる。また、上記実施形態におい
ては、上記しきい値cとして常に正の値が設定されるよ
うになっており、ストローク値hと中立ストローク値h
cとの差の絶対値が同しきい値cより小さいということ
を上記ばね特性をハードからソフトに切換える条件とし
ていたため、車体BDが振動の中心位置に戻る途中に、
上記ばね特性はハードからソフトに戻るようになってい
た。しかし、車体BDが振動の中心位置を通過して反動
で逆方向に変位しているとき上記ばね特性のハードから
ソフトへの切換を実行するようにしても、本発明の効果
を相応に期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るサスペンション装
置と同装置を制御するための電気制御装置の概略図であ
る。
【図2】 図1のマイクロコンピュータにより実行され
るメインプログラムを示すフローチャートである。
【図3】 図2の中立ストローク値演算処理の詳細を示
すフローチャートである。
【図4】 本発明に係る車両用サスペンション装置のた
めの制御装置によって車体の振動時にエアばね装置が発
生するばね力を表したグラフである。
【図5】 ばね上部材のばね下部材に対する相対速度と
図4に示したばね力との時間的関係を示したグラフであ
る。
【図6】 4輪車両モデルに対し振動力を加えた場合に
おける、同振動の周波数に対する車体の重心加速度のゲ
イン特性を示したグラフである。
【図7】 従来装置において車体の振動時にショックア
ブソーバが発生する減衰力を表したグラフである。
【符号の説明】
10…サスペンション装置、11…ショックアブソー
バ、12…エアばね装置、12a…主チャンバ、12b
…副チャンバ、13…ロアアーム、14…アクチュエー
タ、15…バルブ、20…電気制御装置、21…ストロ
ークセンサ、22…マイクロコンピュータ。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ばね上部材とばね下部材との間に介装され
    てなり内部に封入した気体の圧力によって前記ばね上部
    材を前記ばね下部材に対し弾性的に支承する主チャンバ
    と、同主チャンバの近傍に配設された副チャンバと、同
    両チャンバを選択的に連通するバルブとを備え、同バル
    ブによって前記両チャンバを連通状態と非連通状態とに
    切換えることによりばね特性を切換え可能としたエアば
    ね装置を備えた車両用サスペンション装置のための制御
    装置において、 前記ばね上部材の前記ばね下部材に対する振動の一周期
    中で前記エアばね装置が最も伸びた状態になったとき及
    び最も縮んだ状態になったとき前記バルブを制御して前
    記両チャンバを非連通状態とする第1制御手段と、 前記エアばね装置が前記各状態間を移行する途中の所定
    状態になったとき前記バルブを制御して前記両チャンバ
    を連通状態とする第2制御手段とを設けたことを特徴と
    する車両用サスペンション装置のための制御装置。
  2. 【請求項2】ばね上部材とばね下部材との間に介装され
    てなり内部に封入した気体の圧力によって前記ばね上部
    材を前記ばね下部材に対し弾性的に支承する主チャンバ
    と、同主チャンバの近傍に配設された副チャンバと、同
    両チャンバを選択的に連通するバルブとを備え、同バル
    ブによって前記両チャンバを連通状態と非連通状態とに
    切換えることによりばね特性を切換え可能としたエアば
    ね装置を備えた車両用サスペンション装置のための制御
    装置において、 前記ばね上部材が前記ばね下部材に対し所定長より大き
    い振幅で振動している場合に、同振動の一周期中で前記
    エアばね装置が最も伸びた状態になったとき及び最も縮
    んだ状態になったとき前記バルブを制御して前記両チャ
    ンバを非連通状態とする第1制御手段と、 前記エアばね装置が前記各状態間を移行する途中の所定
    状態になったとき前記バルブを制御して前記両チャンバ
    を連通状態とする第2制御手段とを設けたことを特徴と
    する車両用サスペンション装置のための制御装置。
  3. 【請求項3】前記請求項1又は請求項2のうちのいずれ
    かに記載の車両用サスペンション装置のための制御装置
    において、 前記エアばね装置の所定状態は、前記最も伸びた状態及
    び縮んだ状態からそれぞれ前記ばね上部材が振動の中心
    位置にあるときの状態に移行する途中の状態であること
    を特徴とする車両用サスペンション装置のための制御装
    置。
  4. 【請求項4】前記請求項1乃至3のうちのいずれか一つ
    に記載の車両用サスペンション装置において、 前記第1制御手段を、前記ばね上部材の前記ばね下部材
    に対する相対速度を検出する相対速度検出手段を含み、
    前記検出された相対速度が所定速度以下になったことに
    より前記エアばね装置が最も伸びた状態になったとき及
    び最も縮んだ状態になったこと検出して、同各状態の検
    出に応答して前記バルブを制御するものとし、 前記第2制御手段を、前記ばね上部材の前記ばね下部材
    に対する相対位置を検出する相対位置検出手段を含み、
    前記検出された相対位置に基づいて前記所定状態を検出
    して、同所定状態の検出に応答して前記バルブを制御す
    るものとする車両用サスペンション装置。
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