JP2953675B2 - 車両懸架装置 - Google Patents

車両懸架装置

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JP2953675B2
JP2953675B2 JP2883891A JP2883891A JP2953675B2 JP 2953675 B2 JP2953675 B2 JP 2953675B2 JP 2883891 A JP2883891 A JP 2883891A JP 2883891 A JP2883891 A JP 2883891A JP 2953675 B2 JP2953675 B2 JP 2953675B2
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浩行 清水
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の懸架装置に関
し、特に、減衰係数を可変のショックアブソーバを有し
たものに関する。
【従来の技術】従来、減衰係数可変のショックアブソー
バを有した車両懸架装置として、例えば、特開昭64−
60411号公報に記載されているものが知られてい
る。この従来装置は、減衰係数を変更可能なショックア
ブソーバと、センサからの入力信号に基づき路面の状態
を判定する路面状態判定手段と、路面状態判定手段の判
定結果に基づきショックアブソーバの減衰係数を切り換
える減衰力切換手段とを備えたもので、路面の状態を悪
路と判定した時にはショックアブソーバの減衰係数を高
減衰係数に制御していた。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来装置では、悪路走行時に常に高減衰係数に制御して
いたため、ばね上共振周波数及びばね下共振周波数以外
の振動周波数帯では、路面入力に対するばね上振動伝達
率が悪化し、乗り心地を悪化させる。すなわち、図5
は、周波数を横軸として高減衰係数時と低減衰係数時の
ばね上及びばね下伝達率特性図であって、点線が低減衰
係数時を示し実線が高減衰係数時を示している。この図
に示すように悪路走行状態の高減衰係数制御時には、ば
ね下共振周波数f を中心とした所定幅のばね下共振
周波数帯Fでばね下伝達率を低下させることによってば
ね下のばたつきを抑えて車輪の接地性を向上させること
ができるが、ばね下共振周波数帯F及びばね上共振周波
数f 以外の周波数域では、ばね上伝達率が増加して
低減衰係数時に比べて乗り心地が悪化する。尚、図5に
おいて斜線部分が乗り心地が悪化する領域を示してい
る。本発明は上記のような問題に着目してなされてもの
であり、乗り心地を悪化させることなくばね下のばたつ
きを抑えて車輪の接地性を向上させることのできる車両
懸架装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】本発明では、ばね上への
伝達特性が、特にばね下共振周波数付近においてはショ
ックアブソーバの減衰係数に影響を受けることなくほぼ
一定の伝達率であることを利用し、ばね上振動周波数が
ばね下共振周波数に近い場合のみショックアブソーバを
高減衰係数に制御するようにして上記目的を達成するよ
うにした。即ち、本発明の車両懸架装置では、車両のば
ね上とばね下間に設けられ、減衰係数を変更可能に形成
されたショックアブソーバと、車両のばね上振動周波数
を検出する周波数検出手段と、通常は、前記ショックア
ブソーバを低減衰係数に制御し、かつ、前記周波数検出
手段で得られるばね上振動周波数が、ばね下共振周波数
に近い場合のみ、ショックアブソーバを高減衰係数に制
御する減衰係数制御手段とを設け、周波数検出手段が、
ばね上速度検出手段を有し、かつ、このばね上速度検出
手段で得られるばね上速度が、0から速度ピークとなる
までもしくは速度ピークから0となるまでの時間をばね
上振動周波数の1/4周期の時間として計測し、この時
間により周波数を求める手段としている。また、請求項
記載の発明は、減衰係数制御手段が、前記周波数検出
手段により検出したばね上振動周波数に基づき、ばね上
振動周波数を検出するのに計測した1/4周期の次の1
/4周期の減衰係数を制御する制御を連続的に行う手段
としている。
【作用】車両の走行に伴なう路面入力等により車両のば
ね上が振動すると、その振動周波数は周波数検出手段に
より検出される。尚、このばね上振動周波数は、ばね上
速度検出手段により得られるばね上速度が、0から速度
ピークとなるまでもしくは速度ピークから0となるま
で、すなわち、1行程の1/4周期の時間を計測し、こ
の時間を4倍した逆数から求める。このようにして得ら
れたばね上振動周波数が、ばね下共振周波数に近い場合
には、減衰係数制御手段がショックアブソーバの減衰係
数を高減衰係数に制御し、それ以外では低減衰係数に制
御する。従って、常時は、ショックアブソーバを低減衰
係数に制御してばね上伝達率を低くすることで、良好な
乗り心地が得られる。また、ばね上振動周波数がばね下
振動周波数に近くなってばね下のばたつきにより車輪の
接地性が悪化する状態になった場合には、ショックアブ
ソーバが高減衰係数に制御して路面からばね上の伝達特
性を高くし、それによりばね下のばたつきを抑制して車
輪の接地性が向上する。ちなみに、この振動周波数域で
は、低減衰係数としても高減衰係数としてもばね上伝達
率はほぼ同じであって乗り心地に差はない。尚、請求項
記載の装置では、1行程の1/4周期の時間を計測し
てばね上振動周波数を求めたら、この検出振動周波数に
基づいて次の1/4周期の減衰係数制御を行う。そし
て、この減衰係数制御を行っている間、それと並行して
実際のばね上振動の1/4周期の時間を計測してばね上
振動周波数を求め、その検出振動周波数に基づいて次の
1/4周期の間の減衰係数制御を行うもので、以上の検
出及び制御を連続的に行う。
【実施例】本発明実施例を図面に基づいて説明する。ま
ず、構成を説明する。図1は本発明実施例の車両懸架装
置1を示す全体図であって、図中1はショックアブソー
バを示している。このショックアブソーバ1は、ピスト
ンロッド1aの上端を車体に支持され、外筒1bの下端
を車輪側に連結されている。そして、このショックアブ
ソーバ1の内部には、コントローラ2から出力される電
圧に応じて減衰係数を高・低の2段階に変更可能に構成
されている。尚、この減衰係数を変更するための構成と
しては、例えば、従来技術で提示した公報に記載されて
いるものを適用して構成することができるので説明は省
略する。前記コントローラ2には、加速度センサ3が接
続されている。この加速度センサ3は、ばね上である車
体の上下加速度Gを検出するもので、ばね上速度の状態
を検出するために設けられている。次に、コントローラ
2の制御内容を図2のフローチャートにより説明する。
ステップ201は、速度がピークかどうかを判定するス
テップであり、YESの場合にはステップ202に進
み、NOの場合にはステップ203に進む。尚、速度ピ
ークの判定は加速度の符号の変化を見ることで行う。ス
テップ202は、タイムカウントをスタートする処理を
行うステップで、この時の時間T を求めた後、次の
ステップ204に進む。ステップ204は、速度が0と
なったかどうかを判定するステップで、NOであれば0
となるまでこの判定を繰り返し、YESであれば次のス
テップ205に進む。尚、速度が0かどうかの判定は、
加速度Gがピークであるかどうかで判定する。ステップ
205は、タイムカウントを終了するステップで、この
時の時間Tを求めた後、次のステップ206に進む。
ステップ206は、ばね上振動周波数H を演算する
ステップであって、H =1/4(T −T )の
演算式により求める。尚、このステップ206による演
算処理は、ステップ201から分れてステップ203に
進む制御流れによっても成される。また、このように、
ばね上振動周波数H は、加速度センサ3で得られた
加速度Gを元にコントローラ2で得られるから、加速度
センサ3及びコントローラ2が、請求の範囲の周波数検
出手段を構成している。また、加速度センサ3は、ばね
上速度の微分値に相当するばね上加速度を得るもので、
ね上速度検出手段を構成している。すなわち、ステッ
プ203では速度0と処理して、ステップ207に進
む。ステップ207は、タイムカウントをスタートする
処理を行うステップで、この時の時間T を求めた
後、ステップ208に進む。ステップ208は、速度が
ピークに達したかどうか判定するステップで、YESと
判定されるまではこの判定を繰り返し、YESの場合に
は次のステップ209に進む。ステップ209は、タイ
ムカウントを終了するステップで、この時の時間T
求めた後、次のステップ206に進む。上述の流れを経
てステップ206の処理を終了した後は、ステップ21
0に進む。ステップ210では、演算で求めたばね上振
動周波数H が、ばね下共振周波数f を中心とした
所定の範囲(本明細書ではこの範囲をばね下共振周波数
帯Fという。尚、f ≦F≦f である。)内に納ま
っているかどうかを判定し(図3及び図4参照)、YE
Sであればステップ211に進み、NOであればステッ
プ212に進む。ステップ211は、ショックアブソー
バ1の減衰係数を高減衰係数とする処理を行い、一方、
ステップ212では、低減衰係数とする処理を行う。こ
のようにコントローラ2がショックアブソーバ1の減衰
係数を制御するから、コントローラ2が請求の範囲の減
衰係数制御手段を構成している。次に、作用について説
明する。図3は、ばね上速度と、上述の制御に基づくシ
ョックアブソーバ1の減衰係数の高低状態と、ばね上振
動周波数H との関係を時間tを横軸にとって示すグ
ラフであって、この図において、縦の線は速度が0及び
ピークとなった時を示しており、すなわち、この縦の線
と間隔Tが1/4周期の間隔を示している。この図に示
すように、ばね上振動周波数H が所定幅のばね下共
振周波数帯Fの範囲内である時には、ばね上速度を検出
した1/4周期T の次の1/4周期Tn+1 の間、
高減衰係数に制御し、ばね上振動周波数H がばね下
共振周波数帯F外である時には、次の1/4周期T
n+1 を低減衰係数に制御している。次に、図4は、
上述の制御を行った際のばね上伝達率とばね下伝達率と
ショックアブソーバの減衰係数との関係を周波数を横軸
にとって示したグラフである。尚、この図において、実
線が本実施例制御による特性であり、点線が低減衰係数
に固定した場合の特性である。この図に示すように、本
実施例の場合と低減衰係数固定の場合とで、ばね上伝達
率がほぼ同一である。従って、本実施例の制御では、低
減衰係数固定の場合に等しい良好な乗り心地が得られ
る。それに対し、ばね下伝達率は、ばね下共振周波数帯
Fにおいて、低減衰係数固定の場合に比べ、本実施例の
方が低減されている。従って、ばね下共振周波数帯Fで
は、低減衰係数固定の場合と比較してばね下のばたつき
を抑えて車輪の接地性を向上させることができる。ちな
みに、ショックアブソーバ1の減衰係数を高減衰係数に
固定した場合には、従来技術で述べたように、本実施例
制御と同様に高い接地性が得られるものの、乗り心地は
悪化する(図5参照)。以上説明してきたように、本実
施例の車両懸架装置にあっては、常時は低減衰係数に制
御して良好な乗り心地を得るようにし、しかも、高減衰
係数に制御した方が高い接地性が得られると共に、低減
衰係数と同様の良好な乗り心地が得られる周波数である
ばね下共振周波数帯Fでは、高減衰係数に制御して乗り
心地を悪化させることなく高い接地性を得ることができ
るという特徴を有している。加えて、本実施例では、ば
ね上振動周波数H を、ばね上速度が0からピークも
しくはピークから0までの時間により検出するようにし
ており、かつ、速度0とピークの状態を加速度センサ3
で検出する加速度Gの値の符号変化及びピークで求める
ようにしてているため、ばね上振動周波数H の検出
が簡単で制御の簡略化を図ることができる。さらに、本
実施例にあっては、ばね上振動周波数H を、ばね上
振動の1行程の1/4周期毎に検出し、かつ、その検出
結果に基づいて次の1/4周期の減衰係数制御を行うた
め、きめの細かな制御を行って、制御遅れのないきめの
細かな制御を行うことができるという特徴を有してい
る。以上、説明してきたが具体的な構成はこの実施例に
限られるものではなく、例えば、実施例では、ばね上振
動周波数がばね下共振周波数帯である時には、単にON
・OFF的に高減衰係数に制御するようにしたが、図4
において2点鎖線で示すように、ばね上振動周波数に対
し比例的に高減衰係数に制御するようにしてもよい。ま
た、ショックアブソーバの減衰係数を変更するための手
段は、実施例で提示した構成に限られるものではなく、
要は減衰係数を変更できる構造であればどのうような構
造を適用してもよい。
【発明の効果】以上説明してきたように本発明の車両懸
架装置にあっては、減衰係数制御手段が、通常は、前記
ショックアブソーバを低減衰係数に制御し、かつ、前記
周波数検出手段で得られるばね上振動周波数が、ばね下
共振周波数に近い場合のみ、ショックアブソーバを高減
衰係数に制御するようにした手段としたため、低減衰係
数に固定しているのと変らない良好な乗り心地を得なが
ら、ばね下がばたつくばね下共振周波数付近での車輪の
接地性の向上させることができるという効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の車両懸架装置を示す全体図であ
る。
【図2】実施例装置のコントローラの作動流れを示すフ
ローチャートである。
【図3】実施例装置のばね上速度,減衰係数,ばね上振
動周波数の関係の一例を時間を横軸にとって示すグラフ
である。
【図4】実施例装置のばね上伝達率特性,ばね下伝達率
特性,減衰係数特性を周波数を横軸にとって示すグラフ
である。
【図5】高減衰係数時と低減衰係数時のばね上伝達率特
性とばね下伝達率特性を周波数を横軸にとって示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 ショックアブソーバ 2 コントローラ(周波数検出手段,減衰係数制御手
段) 3 加速度センサ(周波数検出手段,ばね上速度検出手
段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−57308(JP,A) 特開 昭63−255112(JP,A) 特開 平4−215515(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60G 17/015 B60G 17/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のばね上とばね下間に設けられ、減
    衰係数を変更可能に形成されたショックアブソーバと、 車両のばね上振動周波数を検出する周波数検出手段と、 通常は、前記ショックアブソーバを低減衰係数に制御
    し、かつ、前記周波数検出手段で得られるばね上振動周
    波数が、ばね下共振周波数に近い場合のみ、ショックア
    ブソーバを高減衰係数に制御する減衰係数制御手段と、 を備え、 前記周波数検出手段が、ばね上速度検出手段を有し、か
    つ、このばね上速度検出手段で得られるばね上速度が、
    0から速度ピークとなるまでもしくは速度ピークから0
    となるまでの時間をばね上振動周波数の1/4周期の時
    間として計測し、この時間により周波数を求める手段で
    ある ことを特徴とする車両懸架装置。
  2. 【請求項2】 前記減衰係数制御手段が、前記周波数検
    出手段により検出したばね上振動周波数に基づき、ばね
    上振動周波数を検出するのに計測した1/4周期の次の
    1/4周期の間の減衰係数を制御する制御を連続的に行
    うようにした請求項1記載の車両懸架装置。
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