JP3069574B2 - 車両懸架装置 - Google Patents

車両懸架装置

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JP3069574B2
JP3069574B2 JP19680191A JP19680191A JP3069574B2 JP 3069574 B2 JP3069574 B2 JP 3069574B2 JP 19680191 A JP19680191 A JP 19680191A JP 19680191 A JP19680191 A JP 19680191A JP 3069574 B2 JP3069574 B2 JP 3069574B2
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浩行 清水
誠 木村
哲 高橋
順一 江村
忍 柿崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のばね上−ばね下
間に設けられたショックアブソーバの減衰係数を制御す
る車両懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、このような車両懸架装置として
は、例えば、特開昭64−60411号公報に記載され
ているものが知られている。
【0003】この車両懸架装置は、ショックアブソーバ
で発生している減衰力を検出し、その信号強度より相対
変位を推定し、この相対変位が所定のしきい値を越える
時の周期より良路,悪路の判定を行なって、良路と判定
した時には所定のインターバルのあいだ低減衰係数側に
制御し、悪路判定時には所定のインターバルのあいだ高
減衰係数側に制御するようにしたものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の車両懸架装置にあっては、ばね上成分とばね
下成分が混ざった信号(ショックアブソーバの発生減衰
力)により減衰力制御を行っていたため、制振制御すべ
き時なのか、振動を吸収して乗り心地を良くする制御を
すべき時なのかの判定を正しく行うことができず、不適
切な制御が成されて、乗り心地が悪化したり操縦安定性
が悪化したりすることがあるという問題があった。
【0005】加えて、路面状態を判断するためのインタ
ーバル時間が必要になることから、減衰係数制御に遅れ
が生じ、これによっても、乗り心地や操縦安定性の悪化
を招いていた。
【0006】本発明は、このような問題に着目して成さ
れたもので、ばね上・ばね下状態を正確に検出して、適
切な減衰係数制御を行うことを可能とすると共に、制御
応答性を高めて乗り心地と操縦安定性を共に高めること
のできる車両懸架装置を提供することを目的とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、図1のクレーム対応図に示すように、車両の車輪と
車体との間に設けられ、減衰係数変更手段aにより圧側
を所定の低減衰係数に固定した状態で、伸側を所定の高
減衰係数範囲内で多段階に変更可能な伸側ハード特性、
および伸側を所定の低減衰係数に固定した状態で、圧側
を所定の高減衰係数範囲内で多段階に変更可能な圧側ハ
ード特性とに変更可能に構成されたショックアブソーバ
bと、車両のばね上加速度を検出するばね上加速度検出
手段cおよびばね上速度を検出するばね上速度検出手段
dと、前記ばね上加速度検出手段dから得られる信号の
中から、ばね上共振周波数を含む低周波成分をカットす
るハイパスフィルタeと、該ハイパスフィルタeを通過
した加速度信号値が所定のしきい値未満である時には、
前記減衰係数変更手段aに対して、ばね上速度方向と同
一の行程方向を高減衰係数とする特性に制御する信号を
減衰係数変更手段aに出力するとともに、減衰係数をば
ね上速度に応じてばね上速度が大きいほど減衰係数が大
きくなるよう変更し、さらに、前記加速度信号値が所定
のしきい値以上である時には、ばね上速度方向が逆転す
るまでの間、前記各特性において、ばね上速度方向と同
一方向の減衰係数を所定の低減衰係数に制御する信号を
出力する減衰係数制御手段fと、を備えている。
【0008】なお、前記減衰係数制御手段fは、加速度
信号値が所定のしきい値以上であるときに、ばね上速度
と同一方向を所定の低減衰係数に制御するにあたり該低
減衰係数を車速に応じて車速が高いほど高減衰側に変更
するよう構成してもよい
【0009】
【作用】本発明の作用について説明する。尚、説明中の
符号は、図1に対応している。車両が走行すると、それ
に伴なってショックアブソーバbに対しばね下およびば
ね上の両方から入力があってショックアブソーバbの行
程が行われる。
【0010】この時、ばね下の振動がさほど激しくない
場合には、ハイパスフィルタeを通過してばね上周波数
成分を取り除いた加速度信号値も小さく、所定のしきい
値を越えない。したがって、減衰係数制御手段fは、
ョックアブソーバbをばね上 速度の方向に応じて伸側ハ
ード特性あるいは圧側ハード特性に変更し、かつ、ばね
上速度方向と同一のショックアブソーバbの行程方向側
の減衰係数をばね上速度に応じて高める制御を行い、ば
ね上の振動を抑制する。
【0011】すなわち、悪路・良路を問わず、ばね下の
振動が激しくない場合(ばね下のばた付きがない場合)
には、ショックアブソーバbがばね上速度方向と同一の
方向の行程を行うのを抑制してばね上の振動を抑える制
振制御を行い、操縦安定性を得
【0012】一方、悪路走行等によりばね下の振動が激
しい場合(ばね下がばた付く場合)には、ハイパスフィ
ルタeを通過してばね上周波数成分を取り除いた加速度
信号値が大きくなり、所定のしきい値を越えることにな
る。この場合、ばね上速度方向が逆転するまで、減衰係
数制御手段fは、ばね上速度方向と同一のショックアブ
ソーバの行程側の減衰係数を所定の低減衰係数とする。
なお、請求項2に記載の発明では、この低減衰係数の値
は、車速に応じて変更するもので、車速が高くなるほど
高減衰係数に制御して操縦安定性の確保を図ることがで
きる
【0013】すなわち、ばね下の振動が激しい場合に
は、ばね下の振動をショックアブソーバbで吸収して、
ばね上への伝達を抑制し、乗り心地の向上を図る。
【0014】また、上述の制御を行うにあたり、ばね上
速度方向およびばね上加速度信号値の入力に応じて随時
減衰係数制御を行うもので、所定のインターバルをあけ
た入力により良路・悪路を判定することがないので、高
い制御応答性が得られる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により詳述す
る。まず、実施例の構成について説明する。図2は、本
明実施例の車両懸架装置を示す全体図であり、図にお
いて1は減衰力可変型のショックアブソーバ、2はアク
チュエータ、3はばね上加速度センサ、4はハイパスフ
ィルタ、5はコントローラ、8は車速センサを示してい
る。
【0016】前記ショックアブソーバ1は、4つの車輪
のそれぞれと車体との間に、合計4つ設けられている。
そして、このショックアブソーバ1は、ピストンロッド
7内に設けられた減衰係数変更手段を構成する調整子6
が多段階にステップ回動して伸側,圧側の減衰係数ポジ
ションを多段階に変更可能に形成されている。即ち、大
きく分けて、伸側が高減衰係数で圧側が所定の低減衰係
数となる方向のポジションと、伸側及び圧側が共に所定
の低減衰係数となるポジションと、伸側が所定の低減衰
係数で圧側が高減衰係数となる方向のポジションとを有
している。
【0017】前記アクチュエータ2は、調整子6を回動
させることにより、ショックアブソーバ1の減衰係数ポ
ジションを切り換えるもので、パルスモータが用いられ
ていて、ステップ駆動により調整子6の回動位置を多段
階(この実施例では説明を簡略化するために11段階で
示す)に変えることができ、それにより、ショックアブ
ソーバ1の減衰係数ポジションを多段階(11段階)に
変化させる。
【0018】さらに詳述すると、このショックアブソー
バ1は、図3に示すように、シリンダ30の内部がピス
トン31により上部室Aと下部室Bとに画成されてい
て、伸行程で流体が流通可能な流路として、伸側内側溝
11の位置から伸側減衰バルブ12の内側及び外周部を
開弁して下部室Bに至る伸側第1流路Dと、第2ポート
13,縦溝23及び第4ポート14を経由して伸側外側
溝15位置から伸側減衰バルブ12の外周部を開弁して
下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第2ポート13,縦
溝23及び第5ポート16を経由して伸側チェックバル
ブ17を開弁して下部室Bに至る伸側第3流路Fと、第
3ポート18,第2横孔25及び中空部19を経由して
下部室Bに至るバイパス流路Gとの4つの流路があり、
また、圧行程で流体が流通可能な流路として、圧側減衰
バルブ20を開弁して上部室Aに至る圧側第1流路H
と、中空部19,第1横孔24及び第1ポート21を経
由して圧側チェックバルブ22を開弁して上部室Aに至
る圧側第2流路Jと、中空部19,第2横孔25及び第
3ポート18を経由して上部室Aに至る前記バイパス流
路Gとの3つの流路がある。
【0019】また、調整子6は、そのステップ回動に基
づいて減衰係数のポジションを図4〜図6に示す3つの
ポジション間で多段階(11段階)に切り換え可能とな
っている。
【0020】つまり、図4に示す第1ポジションでは、
伸側第1流路Dと、圧側第1流路Hと、圧側第2流路J
とが流通可能となっていて、これにより、図7のに示
すように、伸側が高減衰係数でその逆行程の圧側が所定
の低減衰係数となる。
【0021】次に、図5に示す第2ポジションでは、前
記圧行程の4つの流路D,E,F,Gと、圧行程の3つ
の流路H,J,Gのすべてが流通可能となっていて、こ
れにより、図7のに示すように、伸側及び圧側が共に
所定の低減衰係数となる。
【0022】次に、図6に示す第3ポジションでは、伸
側第1〜第3流路D,E,Fおよび圧側第1流路Hが流
通可能となっていて、これにより、図7のに示すよう
に、圧側が高減衰係数でその逆行程の伸側が所定の低減
衰係数となる。そして、前記第1および第3ポジション
側は、調整子6のステップ回転角度に応じてそれぞれ5
段階に切り換え可能となっていて、そのステップ回転角
度に応じて高減衰力係数側の減衰係数のみを比例的に変
化可能となっている。尚、図8にショックアブソーバ1
のストロークスピードに対する11段階の各ポジション
の減衰力特性を示している。
【0023】図2に戻り、前記ばね上加速度センサ3
は、ばね上の車体に取り付けられ、ばね上の上下方向加
速度を計測して検出加速度に応じた電気信号を出力す
る。そして、このばね上加速度センサ3も、各ショック
アブソーバ1毎に1つづつ設けられている。
【0024】前記ハイパスフィルタ4は、前記ばね上加
速度信号から低周波数のばね上共振周波数成分をカット
するもので、この実施例では3ヘルツのものが用いら
れ、それ以上の高周波成分、即ち、ばね下共振周波数成
分を示す信号がコントローラ5に入力される。
【0025】前記コントローラ5は、減衰係数制御手段
を構成するもので、ばね上加速度センサ3からの入力信
号及びハイパスフィルタ4を通過したばね上加速度信号
に基づいて、ショックアブソーバ1を最適の減衰力係数
とすべく、アクチュエータ2に制御信号を出力する。
【0026】次に、図9に示すフローチャートに基づ
き、コントローラ5の作動流れについて説明する。
【0027】ステップ201では、ばね上加速度センサ
3からのばね上加速度G0 と、ハイパスフィルタ4から
の加速度信号値G1 (図10の(ロ) )と、車速センサ8
からの車速信号V1 を読み込み、ステップ202へ進
む。
【0028】ステップ202では、ばね上加速度G0 か
らばね上速度V0 [図10の(イ) ]を演算し、車速信号
V1 からしきい値(a,−a)及び所定の低減衰係数P
の値を演算する。即ち、この実施例では、図11に示す
ように、しきい値a及び所定の低減衰係数Pの値を、車
速信号V1 の値に比例して3段階に変化させるようにな
っている。したがって、ばね上加速度センサ3および、
この演算を行う部分は、請求の範囲のばね上速度検出手
段を構成している。
【0029】続くステップ203では、所定の低減衰係
数Pに制御中か否かを判定し、YESであればステップ
204へ進み、NOであればステップ205へ進む。
【0030】前記ステップ204では、ばね上速度V0
の符号(ばね上速度V0 の方向が上向きで+,下向きで
−)が前回データVB と異符号か否かを判定し、YES
であればステップ205へ進み、NOであればステップ
212へ進んでばね上速度の前回データVB をV0 に更
新して一回の制御フローを終了する。
【0031】前記ステップ205では、加速度信号値G
1 が所定のしきい値aより大が否かを判定し、YESで
あればステップ207へ進み、NOであればステップ2
06へ進む。
【0032】前記ステップ207では、伸・圧行程が共
に所定の低減衰係数Pとなる第2ポジションに切り換え
るべくアクチュエータ2に切り換え信号を出力した後、
前記ステップ210へ進み、ばね上速度の前回データV
B をV0 に更新して一回の制御フローを終了する。
【0033】前記ステップ206では、ばね上速度V0
の符号が+(ばね上速度V0 の方向が上向き)か否かを
判定し、YESであればステップ208へ進んで、伸行
程側の高減衰係数PT を演算し、続くステップ210で
は伸行程側を高減衰係数PTに切り換えるべくアクチュ
エータ2に切り換え信号を出力する。また、NOであれ
ばステップ209へ進んで圧行程側の高減衰係数PC を
演算し、続くステップ211では圧行程側を高減衰係数
PC に切り換えるべくアクチュエータ2に切り換え信号
を出力する。そして、その後ステップ212へ進み、ば
ね上速度の前回データVB をV0 に更新して一回の制御
フローを終了する。
【0034】次に、前記高減衰係数PT ,PC の算出方
法を図12に基づいて説明する。即ち、この図に示すよ
うに、ばね上速度V0 に比例領域b〜−bを設定し、ば
ね上速度V0 がこの比例領域b〜−b内にある時は、こ
の比例領域b〜−bを最大限として調整子6の減衰係数
可変段数分(この実施例では図8に示すように伸・圧各
6段階)で等分割し、ばね上速度V0 に比例して減衰係
数を段階的に切り換える一方、ばね上速度V0 がこの比
例領域b〜−bを越える時は、ばね上速度V0の上昇方
向に関しては最高減衰係数で固定し、その後、ばね上速
度V0 が変曲点Qから下降方向に向かう時は、該変曲点
Q時のばね上速度VQ を調整子6の減衰係数可変段数分
で等分割し、ばね上速度VQ に比例して減衰係数を段階
的に減少させる。
【0035】また、この実施例では、図13に示すよう
に、前記比例領域b〜−bを車速信号V1 に逆比例して
段階的に変化させる。
【0036】次に、実施例の作動を図10に基づいて説
明する。 即ち、図10は車両走行時の作動を説明する
タイムチャートであり、同図(イ) はばね上速度V0 、同
図(ロ) は加速度信号値G1 、同図(ハ) は減衰力、同図
(ニ) の実線は減衰係数ポジションをそれぞれ示してい
る。
【0037】(イ)加速度信号値が所定のしきい値未満
である時 ばね上加速度G0 からばね上共振周波数を含む低周波成
分をカットした加速度信号値G1 (ばね下の周波数成
分)が所定のしきい値(a〜−a)未満である時は、ば
ね下の振動が激しくないと判定し、その時のばね上速度
方向と同一のショックアブソーバ1の行程方向側が高減
衰係数となるように減衰係数の切り換え制御が成され
る。即ち、 a) ばね上速度V0 の方向が上向き(+)である時は、
ばね上速度V0 の方向と同一方向である伸側が高減衰係
数で、その逆の圧側が所定の低減衰係数Pとなる第1ポ
ジション(図7の)方向に切り換える。 b) ばね上速度V0 の方向が下向き(−)である時は、
ばね上速度V0 の方向と同一方向である圧側が高減衰係
数で、その逆の伸側が所定の低減衰係数Pとなる第3ポ
ジション(図7の)方向に切り換える。
【0038】そして、前記高減衰係数側は、ばね上速度
V0 の変化に比例して減衰ポジションの段階的な切り換
え制御が成される。
【0039】したがって、ばね上共振周波数を取り除い
た加速度信号値G1 によりばね下の状態を的確に把握
し、ばね下の振動が激しくない時には、その時のばね上
速度V0 の方向と同一のショックアブソーバ1の行程方
向側を高減衰係数として、ばね上(車体)の振動を抑制
して、操縦安定性の向上を図ることができると共に、そ
の時のばね上速度V0 の方向とは逆方向のショックアブ
ソーバ1の行程側を所定の低減衰係数Pとして、制振制
御時に行程方向とは逆方向の路面入力を吸収して、車体
への伝達を阻止して乗り心地を向上させることができる
という特徴を有している。
【0040】また、以上のように、ばね上速度V0 の変
化に比例して減衰ポジションを段階的に切り換え制御す
ることで、減衰力が過大となるのを防止して制振制御時
の車両の乗り心地を更に向上させることができるという
特徴を有している。
【0041】(ロ)加速度信号値が所定のしきい値を越
えた時 加速度信号値G1 (ばね下の周波数成分)が所定のしき
い値(a〜−a)以上となった時は、ばね下の振動が激
しい状態(ばね下のばたつきが大きい状態)であると判
定し、この場合は、ばね上速度V0 の方向が逆転するま
での間(ばね上速度波形の半周期)、伸側及び圧側が共
に所定の低減衰係数Pとなる第2ポジション(図7の
)側に切り換える。
【0042】このように、この実施例では、ばね下のば
たつきの大きい時には、ばね上速度V0 の方向が逆転す
るまでの間だけ所定の低減衰係数に制御して、ばね下振
動の車体側への伝達を防止して乗り心地を確保すること
ができるという特徴を有している。
【0043】また、この実施例では、加速度信号値G1
がしきい値±a以上となったか否かで路面判断を行なう
ため、今回のデータと前回のデータと比較するものと比
べ、インターバル時間が不要であり制御応答性を高める
ことができるという特徴を有している。
【0044】また、しきい値a及び低減衰係数Pの値を
それぞれ車速信号V1 に比例して変化させることで、車
速が高くなるほど高減衰係数に制御するようにして操縦
安定性の確保を図ることができるという特徴を有してい
る。
【0045】以上、本発明の実施例を図面により詳述し
てきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等が
あっても本発明に含まれる。
【0046】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の車両
懸架装置では、ばね上加速度センサから得られる信号の
中から、ばね上共振周波数を含む低周波成分カットする
ハイパスフィルタと、該ハイパスフィルタを通過した加
速度信号値が所定のしきい値未満である時には、減衰係
数変更手段に対して、ばね上速度方向と同一の行程方向
を高減衰係数とする特性に制御する信号を出力するとと
もに、減衰係数をばね上速度に応じてばね上速度が大き
いほど減衰係数が大きくなるように変更し、さらに、
記加速度信号値が所定のしきい値以上である時には、ば
ね上速度方向が逆転するまでの間、ばね上速度方向と同
一のショックアブソーバの行程側の減衰係数を所定の低
減衰係数に制御する信号を減衰係数変更手段に出力する
減衰係数制御手段とを設けた構成としたために、ばね下
の振動が激しくない時には、ばね上速度に応じてばね上
振動を制振する制御を行う一方、ばね下振動が激しい時
には、それを正確に把握してばね下振動がばね上へ伝達
しないように、乗り心地向上制御を行うもので、これに
より、操縦安定性と乗り心地とを共に向上させることが
できるという効果が得られ、さらに、この減衰係数制御
を行うにあたり、ばね上速度の方向および大きさ、加え
ばね上の加速度信号値の入力に応じて随時減衰係数制
御を行うから、高い制御応答性が得られるという効果も
得られる。
【0047】さらに、請求項2記載の発明では、ばね下
の振動が激しいときに低減衰係数にして入力を吸収する
にあたり、この低減衰係数を車速に応じて変更すること
により、高速走行時の操縦安定性向上を図ることができ
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両懸架装置を示すクレーム対応図で
ある。
【図2】本発明実施例の車両懸架装置を示す全体図であ
る。
【図3】施例装置で用いるショックアブソーバの要部
を示す断面図である。
【図4】第1ポジションの状態を示す断面図で、(イ) は
図3のK−K断面図、(ロ) は図3のL−L断面図、(ハ)
は図3のN−N断面図である。
【図5】第2ポジションの状態を示す断面図で、(イ) は
図3のK−K断面図、(ロ) は図3のL−L断面図、(ハ)
は図3のN−N断面図である。
【図6】第3ポジションの状態を示す断面図で、(イ) は
図3のK−K断面図、(ロ) は図3のL−L断面図、(ハ)
は図3のN−N断面図である。
【図7】施例装置のショックアブソーバの減衰係数切
換特性及び各流路の開閉状態を示す図である。
【図8】施例装置のストロークスピードに対する減衰
力可変特性図である。
【図9】施例装置のコントローラの作動流れを示すフ
ローチャートである。
【図10】施例装置の車両走行時の作動を説明するタ
イムチャートである。
【図11】施例装置のコントローラの車速に対するし
きい値及び所定の低減衰係数の特性図である。
【図12】施例装置の高減衰係数の算出方法を示す説
明図である。
【図13】施例装置の車速に対する比例領域特性図で
ある。
【符号の説明】
a 減衰係数変更手段 b ショックアブソーバ c ばね上加速度検出手段 d ばね上速度検出手段 e ハイパスフィルタ f 減衰係数制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江村 順一 神奈川県厚木市恩名1370番地 株式会社 アツギユニシア内 (72)発明者 柿崎 忍 神奈川県厚木市恩名1370番地 株式会社 アツギユニシア内 (56)参考文献 特開 平2−74411(JP,A) 特開 昭63−41220(JP,A) 特開 昭63−284013(JP,A) 特開 平3−42320(JP,A) 実開 昭58−112605(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60G 17/015

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の車輪と車体との間に設けられ、
    衰係数変更手段により圧側を所定の低減衰係数に固定し
    た状態で、伸側を所定の高減衰係数範囲内で多段階に変
    更可能な伸側ハード特性、および伸側を所定の低減衰係
    数に固定した状態で、圧側を所定の高減衰係数範囲内で
    多段階に変更可能な圧側ハード特性とに変更可能に構成
    されたショックアブソーバと、 車両のばね上加速度を検出するばね上加速度検出手段お
    よびばね上速度を検出するばね上速度検出手段と、 前記ばね上加速度検出手段から得られる信号の中から、
    ばね上共振周波数を含む低周波成分をカットするハイパ
    スフィルタと、 該ハイパスフィルタを通過した加速度信号値が所定のし
    きい値未満である時には、前記減衰係数変更手段に対し
    て、ばね上速度方向と同一の行程方向を高減衰係数とす
    る特性に制御する信号を減衰係数変更手段に出力すると
    ともに、減衰係数をばね上速度に応じてばね上速度が大
    きいほど減衰係数が大きくなるよう変更し、さらに、
    記加速度信号値が所定のしきい値以上である時には、ば
    ね上速度方向が逆転するまでの間、前記各特性におい
    て、ばね上速度方向と同一方向の減衰係数を所定の低減
    衰係数に制御する信号を出力する減衰係数制御手段と、 を備えていることを特徴とする車両懸架装置。
  2. 【請求項2】 前記減衰係数制御手段は、加速度信号値
    が所定のしきい値以上であるときに、ばね上速度と同一
    方向を所定の低減衰係数に制御するにあたり該低減衰係
    数を車速に応じて車速が高いほど高減衰側に変更するこ
    を特徴とする請求項1記載の車両懸架装置。
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