JP3529366B2 - 鉄道車両の車体傾斜制御装置 - Google Patents

鉄道車両の車体傾斜制御装置

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JP3529366B2
JP3529366B2 JP2001175925A JP2001175925A JP3529366B2 JP 3529366 B2 JP3529366 B2 JP 3529366B2 JP 2001175925 A JP2001175925 A JP 2001175925A JP 2001175925 A JP2001175925 A JP 2001175925A JP 3529366 B2 JP3529366 B2 JP 3529366B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両において
曲線路走行中に、乗客が遠心力に起因した横方向の力を
感じないように車体を傾斜させて、乗心地の悪化を防
ぎ、曲線通過速度の向上を図ることができる鉄道車両の
車体傾斜制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両の高速化を図るためには、列車
の最高速度、曲線通過速度および加減速度の向上を図ら
なければならない。特に曲線の多い走行区間では曲線通
過速度の向上が高速化を図る上で大きな影響を及ぼす。
車両が曲線路を通過するときには、遠心力が働いて乗客
が曲線路の外側に押し出される方向の力が作用して乗心
地が悪化する。これを防止するために、曲線路の外軌側
レールは内軌側レールよりも高く付設したカントが設け
られ、このカント量は列車の通常走行速度で生じる遠心
力の大きさに基づいて設定されている。列車の走行速度
がカント量に対応する設計値よりも高くなると、上記の
ように乗客には外側に向かって遠心力が作用し、車体内
の乗客が、横方向加速度、すなわち横方向の力を感じる
ことになる。この遠心力は、曲線路の曲率をρとしたと
き、曲率半径1/ρに反比例し、走行速度vの2乗に比
例するので、急曲線路を高速度で走行しようとすると、
乗客には大きな遠心力が作用し、乗心地が極端に悪化す
るため、従来からカントによる車体の傾斜角度の不足分
は、車体を台車に対してさらに傾斜することによって解
消する車体傾斜制御装置の開発が進められている。
【0003】典型的な従来の技術は、特開平7−309
234号公報に示されている。この従来の技術では、予
見信号として目標傾斜角の微分値を用いると、緩和曲線
の距離が短くなると予見信号が急峻でかつ過大となり、
制御信号の飽和などによって制御効果が低下し、また車
体を台車上に支持する流体圧作動機構が積分特性を有す
るため、流体の圧縮性によって目標傾斜角に対して定常
偏差が発生するという問題を解決するために、この従来
の技術の車体傾斜制御装置は、車両の現走行位置から一
定時間先の位置までの軌道の曲線データを出力する曲線
情報装置と、車両の走行速度を検出する速度検出装置
と、曲線データおよび走行速度を用いて前記車両の現走
行位置から一定時間先の位置までの車体の目標傾斜角を
出力する目標傾斜角予見装置と、車両の傾斜角を検出す
る傾斜角検出装置と、積分器およびゲインによって構成
され、前記目標傾斜角予見装置から得られた現走行位置
での目標傾斜角に対して前記傾斜角検出装置で得られた
傾斜角の定常偏差を補償する定常偏差補償装置と、ゲイ
ンおよび加算器によって構成され、前記目標傾斜角予見
装置で得られた現走行位置から一定時間先の位置までの
目標傾斜角の線形和を出力する予見フィードフォワード
制御装置と、傾斜角検出装置で得られた傾斜角から前記
車両の内部状態を推定する状態推定器と、ゲインおよび
加算器によって構成され、車両の内部状態の線形和を出
力する状態フィードバック制御装置とを備える。
【0004】このような構成によって、曲線情報装置で
現時点での曲率半径R(k)とカント量C(k)、およ
び現時点からjΔt秒後(Δtは制御周期、j=1,
2,…,N)の曲率半径R(k+j)とカント量C(k
+j)を出力する。次に、目標傾斜角予見装置によっ
て、曲線半径R(k+j)、カント量C(k+j)およ
び速度検出装置によって検出された現時点での走行速度
V(k)を用いて、目標傾斜角度φ(k+j)を、
【数3】 ここに、j=0,1,…,Nによって求める。
【0005】前記予見フィードフォワード制御装置で
は、予見信号uf(k)を目標傾斜角度φ(k+j)の
線形和で求める。ここで、Ffjをフィードフォワードゲ
インとすると、
【数4】 である。
【0006】前記定常偏差補償装置は、積分器と定常偏
差補償ゲインFeとによって構成され、現時点の傾斜目
標値φ(k)と傾斜角検出装置によって検出した傾斜角
度θ(k)との偏差から定常偏差補償信号ue(k)
を、 ue(k) = ue(k−1) + Fe{φ(k)−θ(k)} …(3) によって求める。また状態フィードバック制御装置で
は、まず状態推定器によって、車両、流体圧作動機構、
制御弁および傾斜角検出装置によって構成されるn個の
制御対象の内部状態x(k)を、 x(k) ={x1(k),x2(k),…,xn(k)}T …(4) を傾斜角度θ(k)および制御入力u(k)から推定す
る。
【0007】次に、状態フィードバック制御信号U
b(k)を内部状態の線形和として求める。ここで、Fb
は状態フィードバックゲインである。 Ub(k) = Fbx(k) …(5)
【0008】このようにして求められる制御入力u
(k)は、予見信号uf(k)、定常偏差補償信号u
e(k)および状態フィードバック制御信号ub(k)の
和として求められ、このような制御入力u(k)は、制
御弁が制御される。
【0009】前記流体圧作動機構は、車体と台車との間
の左右両側に設けられる空気ばね、空気圧シリンダまた
は油圧シリンダなどによって実現され、上記のように予
見フィードフォワードによって目標傾斜角度の未来値を
積極的に予見信号に取込み、滑らかでかつ小さな予見信
号を用いて傾斜角度を目標値に追従するように、前記制
御弁による空気および作動油の供給および排出を制御し
て、車体を傾斜するための上記の流体圧作動機構の積分
特性が満足されない場合であっても良好な追従性が得ら
れるように構成されている。
【0010】また他の従来の技術は、特開平6−107
172号公報に示されている。この従来の技術では、軌
道上を車両が少なくとも2回走行することによって、軌
道上の絶対距離に対する床面左右定常加速度a(x)、
走行速度V(x)、車体傾斜角度θ(x)、曲率半径R
(x)およびカント量C(x)の関係式、
【数5】 を導く。ここに、gは重力加速度、Gは軌道幅を用い
て、前記少なくとも2回走行して得られた各走行毎の軌
道上の絶対距離に対する曲率半径R(x)およびカント
量C(x)を算出して求め、こうして求めた曲率半径R
(x)、カント量C(x)および上記の走行速度V
(x)に基づいて車体傾斜角度θ(x)を算出し、これ
らを用いて軌道上を走行する車体の傾斜制御を行い、前
記曲率半径R(x)およびカント量C(x)を実際に測
定することなく車体の傾斜量を先行制御して、曲線路走
行時の乗心地を向上することができるように構成されて
いる。
【0011】さらに他の従来の技術は、特開平8−17
5385号公報に示されている。この従来の技術では、
編成車両においては、1車両に1台の制御器を設置して
制御が行われ、その編成車両を構成する車両の台数の制
御器が必要となり、制御器の数が多くなってしまうとい
う問題を解決するために、車両の走行地点を検出する検
出装置部分を親局、制御出力を演算する演算装置部分を
子局、各車両の状態を検出する各種のセンサの検出時の
伝達および車体傾斜装置部分を孫局とし、1編成中の1
車両に設けた親局で検出した地点データを、1編成中の
複数車両おきに配置した子局に伝送し、各子局で親局か
らの地点データと孫局からの各種センサの検出位置に基
づいて各子局に属する複数車両への制御出力を演算し、
全車両の各台車毎に配置した孫局に制御出力を伝達し、
この制御出力に基づいて空気ばねに対して吸排気弁を開
閉し、各車体を曲線路で最適に傾斜させるように構成さ
れる。
【0012】このようにしてこの従来の技術では、車体
傾斜制御に必要な走行地点の検出装置部分、制御出力の
演算装置部分および各種センサの検出時の伝達と傾斜操
作を行う車体傾斜装置部分を1つの制御器とし、1編成
に対して走行地点の検出を行う主制御装置を1つとし、
複数車両毎に演算装置部分と各台車毎に車体傾斜装置部
分とを分担させることによって、1編成全体で必要な制
御器の数を削減している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開平7−30
9234号公報に示される従来の技術では、傾斜角検出
装置から出力される傾斜角度θ(k)を定常偏差補償装
置の前段へフィードバックし、目標傾斜角予見装置から
の目標傾斜角度φ(k)との偏差を求め、この偏差から
定常偏差補償装置によって定常偏差補償信号ue(k)
を求め、この定常偏差補償信号ue(k)と予見フィー
ドフォワード制御装置からの予見信号uf(k)と状態
フィードバック制御装置からの状態フィードバック制御
信号ub(k)との線形和を用いて、空気ばねなどによ
って実現される流体圧作動機構を制御している。
【0014】このようにして車体の曲線走行時における
傾斜量をフィードバック制御して、小さな予見信号で傾
斜角度を目標位置に追従させるとともに、車体傾斜機構
として具備される流体圧作動機構の積分特性が満足され
ない場合であっても良好な追従性が得られるように構成
されるが、このように追従性を向上するためには、前記
予見フィードフォワード制御装置のゲインFfj、定常偏
差補償装置の定常偏差補償ゲインFeおよび状態フィー
ドバック制御装置の状態フィードバックゲインFbを必
要な追従性が得られるように調整する必要があり、これ
らのゲインの調整作業が繁雑であり、制御装置の構成が
複雑であるという問題を有する。
【0015】また特開平6−107172号公報に示さ
れる従来の技術では、走行状態記憶手段に記憶された床
面左右定常加速度a(x)、走行距離V(x)、車体傾
斜角度θ(x)に基づき、曲線情報算出手段によって、
曲率半径R(x)とカント量C(x)が算出され、傾斜
角度算出手段によって、曲率半径R(x)、カント量C
(x)および走行速度V(x)に基づき車体傾斜角度θ
(x)を算出し、こうして求めた車体傾斜角度θ(x)
に基づいて傾斜アクチュエータを制御することによっ
て、曲率半径R(x)とカント量C(x)を実際に測定
することなく、したがって電線敷設後の曲線情報の収集
および路線の補修などで一部のデータが変更した場合の
データの再収集を行う必要がなくなり、曲線情報を予め
必要とすることなく車体傾斜の先行制御が可能である
が、曲線情報を算出するにあたって加速度計による床面
左右定常加速度および傾斜角度センサによる傾斜角度を
走行状態記憶手段に予め取込むために、これらの床面左
右定常加速度および傾斜角度を測定するための複数回の
走行が必要であり、データを収集するために手間を要す
るという問題がある。複数回の測定データに基づいて算
出される曲率半径R(x)およびカント量C(x)を求
めるための演算を測定回数に相当する回数だけ行わなけ
ればならず、演算量が多いという問題を有する。
【0016】さらに特開平8−175385号公報に示
される従来の技術では、編成車両における制御器の数を
低減して構成を簡略化するものであるが、この制御器自
体の構成を簡略化するものではなく、むしろ複数台の車
両の傾斜量を演算しなければならないために演算量が増
加し、制御器の構成が大形化および複雑化してしまうと
いう問題を有する。
【0017】本発明の目的は、車体傾斜角度の指令値を
作成するための加速度系フィードバック制御装置のゲイ
ン調整を不要とし、この車体傾斜角度の指令値を求める
ための演算量を少なくして構成の簡略化を図ることがで
きるようにした鉄道車両の車体傾斜制御装置を提供する
ことである。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、台車の車軸に平行な横方向加速度Xを検出する加速
度検出手段と、車両の走行速度vを検出する速度検出手
段と、車体のヨーイング方向の角速度ωを検出する角速
度検出手段と、走行速度vおよび角速度ωに基づいて、
走行路の曲率半径rを演算して求める曲率半径算出手段
と、横方向加速度X、走行速度vおよび曲率半径rに基
づいて付設カント角度αを演算して求めるとともに、走
行速度vおよび曲率半径rに基づいて水平面に対する車
体の傾斜角度θを演算して求め、この傾斜角度θおよび
前記付設カント角度αに基づいて、車体の超過遠心力を
打消すために必要な台車に対する車体の指令傾斜角度β
を演算して求める制御手段と、制御手段からの指令傾斜
角度βに応答して、車体を台車に対して傾斜させる傾斜
駆動手段とを含み、前記制御手段は、重力加速度をgと
するとき、付設カント角度αを、
【数6】
【数7】 によって求め、指令傾斜角度βを、 β = θ−α によって求めることを特徴とする鉄道車両の車体傾斜制
御装置である。
【0019】本発明に従えば、加速度検出手段は台車の
車軸に平行な横方向加速度Xを検出し、速度検出手段は
車両の走行速度vを検出し、さらに角速度検出手段は、
車体のヨーイング方向の角速度ωを検出し、曲率半径検
出手段は検出した走行速度vおよび角速度ωに基づいて
走行路の曲率半径rを演算して求める。前記速度検出手
段は、たとえば車軸の回転数を検出して走行速度vを求
める速度発電機などによって実現される。また角速度検
出手段は、たとえば車体に設けられるヨーレートジャイ
ロなどによって実現される。
【0020】この曲率半径算出手段は、上記の走行速度
vおよび角速度ωによって予め定める演算式、たとえば
曲率ρ=角速度ω/走行速度vを演算して走行中の曲線
路の曲率ρを算出することができる。こうして得られた
曲率ρによって、たとえば右曲線を正、左曲線を負とし
たときの予め定める弁別レベル±th1,±th2でレ
ベル弁別することによって、走行中の路線が曲線である
かまたは直線であるかを判別し、曲率半径rを、r=1
/曲率ρを演算することによって求めることができる。
このようにして走行速度vの大小にかかわらず、リアル
タイムで精度よく走行路の曲率半径rを算出することが
できる。
【0021】このようにして求められた横方向加速度
X、走行速度vおよび曲率半径rは制御手段に入力され
る。制御手段は、上記のようにして求められた横方向加
速度X、走行速度vおよび曲率半径rに基づいて、予め
定める演算式によって付設カント角度αを演算して求め
るとともに、前記走行速度vおよび曲率半径rに基づい
て、水平面に対する車体の傾斜角度θを予め定める演算
式によって求め、これらの傾斜角度θおよび付設カント
角度αに基づいて、車体の超過遠心力を打消すために必
要な台車に対する車体の指令傾斜角度βを求める。この
ような制御手段からの指令傾斜角度βに従って、たとえ
ば空気ばね、この空気ばねに圧縮空気を供給するための
空気圧源、空気圧源からの圧縮空気を空気ばねに供給/
遮断する吸気弁、および空気ばね内の空気を排出/遮断
する排気弁などによって実現される傾斜駆動手段を制御
し、車体を傾斜駆動して曲線走行時に乗客が外軌側に向
けて体感する遠心力の発生を可及的に少なくし、あるい
は無くすことができる。
【0022】また前記制御手段は、傾斜駆動手段をオー
プンループ制御するので、上記の特開平7−30923
4号公報に示される従来の技術のように、フィードフォ
ワードゲインFfjおよび状態フィードバックゲインFb
などのゲイン調整が不要であり、これらのゲイン設定作
業を省略することができる。またこの従来の技術のよう
にフィードバック制御によって遅れ補償をしても空気ば
ねによる積分特性によって車体の傾斜制御に常に応答遅
れが伴い、前記フィードバック制御による遅れ補償が無
駄になる場合が多いのに対し、本発明ではオープンルー
プ制御を用い、これによって演算量を格段に少なくする
ことができ、制御手段の構成の簡略化を図ることができ
る。
【0023】また加速度検出手段は、台車の車軸に平行
な横方向加速度Xを検出するように構成されるので、こ
の台車に空気ばねを介して支持される車体の横方向加速
度を検出する場合に比べて台車から直接に横方向加速度
Xを検出することができ、空気ばねによる影響を除いて
横方向加速度の変化を早期に検出することができ、横方
向加速度Xに対する検出時間を短縮することができる。
【0024】このような台車の横方向加速度Xの検出信
号には、台車と線路との不整合および車体を支持する心
皿の軸線に関して回転方向の振動などに起因するノイズ
が混入するが、このノイズはローパスフィルタ、ハイパ
スフィルタ、バンドパスフィルタおよびバンドストップ
フィルタなどの各種のフィルタを用いて信号を処理し、
横方向加速度成分だけを抽出することが可能である。
【0025】このようにして、台車の横方向加速度Xを
用いて指令傾斜角度βを求め、空気ばねなどの傾斜駆動
手段を制御することができるので、車体傾斜角度を求め
るための演算量を格段に少なくし、制御手段の構成を簡
略化することができる。
【0026】
【0027】さらに上記の演算式によって付設カント角
度α、車体の傾斜角度θおよび指令傾斜角度βを時系列
的に演算して求め、この指令傾斜角度βによって傾斜駆
動手段が制御される。このようにして時系列的に求めら
れる指令傾斜角度βによって傾斜駆動手段が制御される
ので、前記特開平6−107172号公報に示される従
来の技術のように、曲線情報を測定するためにオフライ
ンで車両を走行する必要がなく、直接、指令傾斜角度β
を求めることができ、空気ばねなどの積分特性によって
相殺される無駄な遅れ補償のための演算処理を行う必要
がなく、制御手段の構成を格段に簡略化することができ
る。
【0028】しかも制御手段は、指令傾斜角度βを加速
度検出手段によって検出された台車の横方向加速度X、
速度検出手段によって検出された走行速度vならびに、
曲率半径検出手段によって検出されたヨーイング方向の
角速度ωおよび演算によって求めた曲率半径rに基づい
て、時系列的に指令傾斜角度βを算出するので、指令傾
斜角度βは予め定める制御周期で検出直後の値を用いて
更新され、これによって無駄な計算を行うことなく傾斜
制御に対する応答性を向上することができる。
【0029】請求項2記載の本発明は、加速度検出手段
は、台車に設けられ、この台車の横方向の加速度成分を
検出する加速度センサと、加速度センサの出力に含まれ
るノイズを除去して前記横方向加速度Xを導出するフィ
ルタとを含むことをことを特徴とする。
【0030】本発明に従えば、加速度センサによって横
方向加速度Xが検出される。このような加速度センサの
出力は、線路の曲線形状および走行速度vによって異な
り、しかもヨーイング方向の台車の固有周波数の成分お
よびその他のノイズが混入している。そのため、加速度
センサからの出力は、フィルタによって前記ノイズが除
去されたものが用いられ、こうして加速度センサの出力
からノイズを除去することによって、曲率半径検出手段
は正確に曲線路の曲率半径を算出することができる。
【0031】前記台車のヨーイング方向の固有周波数
は、たとえば走行速度v=100km/hであるとき、
約0.1Hzであり、また前記その他のノイズは約10
Hz以上の範囲である。そのため前記フィルタは、車体
のヨーイング方向の固有周波数成分による約1Hzのノ
イズおよびその他のノイズによる約10Hz以上のノイ
ズを遮断することができるローパスフィルタ+バンドス
トップフィルタなどによって実現されてもよい。このよ
うなフィルタを用いることによって、その時定数に起因
して加速度センサの出力が遅延されて制御手段に与えら
れるが、このような遅延はたとえば空気ばねによって実
現される傾斜駆動手段の応答性に比べて格段に小さいた
めに、実際上、遅れ時間を補償する必要はなく、車両の
傾斜駆動を最適に行うことができる。
【0032】請求項3記載の本発明は、前記フィルタ
は、約0.1Hz〜約0.5Hzの加速度センサからの
出力を導出し、台車の約10Hz〜約20Hzの振動加
速度によるノイズを遮断することを特徴とする。
【0033】本発明に従えば、加速度センサからの出力
はフィルタによって約0.1Hz〜約0.5Hzの帯域
の周波数成分が導出され、これによって約0.01〜
0.15Gの横方向加速度に対応する周波数成分だけが
取出され、台車の振動による約10Hz〜約20Hzの
加速度ノイズ成分が除去され、高精度で横方向加速度X
を検出することができる。このような横方向加速度Xを
用いて制御手段は付設カント角度αを演算して求め、実
走行時の付設カントに対する誤差を少なくして、指令傾
斜角度βを正確に求めることができる。
【0034】請求項4記載の本発明は、傾斜駆動手段
は、台車の左右両側に設けられ、車体を昇降駆動する空
気ばねと、空気ばねに圧縮空気を供給しかつ空気ばね内
の空気を排出する電磁弁と、制御手段からの指令傾斜角
度βに応答して、前記電磁弁を制御する車高制御手段と
を含むことを特徴とする。
【0035】本発明に従えば、制御手段からの指令傾斜
角度βに応答して車高制御手段は電磁弁を吸排気制御
し、この電磁弁によって台車の左右両側に設けられる空
気ばねへの圧縮空気の供給および空気ばねからの排気が
制御されて、台車上の車体は曲線走行時における超過遠
心力が打消される方向に傾斜される。このように車体は
空気ばねによって台車上で左右方向の傾斜量が制御され
るので、制御手段がオープンループ制御によって、実測
値である横方向加速度X、走行速度v、曲率半径rに基
づいて短いアクセス時間で演算して求めた指令傾斜角度
βによって時系列的に連続して前記車高制御手段を制御
して各空気ばねの伸縮量を変化させ、前述の各従来の技
術のように、ゲイン調整および遅れ補償によるフィード
バック制御によって高い周期で敏感に制御しても各空気
ばねの動作が追従しないという、このような無駄な制御
を行わずに、本発明のオープンループ制御によって、実
走行時に受ける各検出値に基づいて指令傾斜角度βを変
化させて速く指令値を上げ、または下げた方がよく、こ
うして無駄な演算を格段に少なくして、簡単な構成で空
気ばねの応答特性に適した傾斜制御を行うことが可能と
なる。
【0036】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
全体の構成を簡略化して示すブロック図である。鉄道車
両(以下、車両と略記する)1は、台車2上に車体3が
旋回することができるようにして支持されて構成され
る。台車2は、左右の車輪4,5と、これらを支持する
台車枠6と、台車枠6の枕梁7上で左右両側に設けら
れ、車体3を支持する左右一対の空気ばね8,9とを備
える。車体3は、各空気ばね8,9によって緩衝されて
台車2上に支持されるとともに、各空気ばね8,9を左
右個別 吸排気制御し台車2に対する傾斜量および車高
を制御することができる。
【0037】このような車両1が走行する軌道には、一
対のレール10,11が敷設され、各レール10,11
は線路12の曲線路ではカントC1を有し、付設カント
角度αは、水平面に対するレール面傾斜角度として示さ
れている。これらのレール10,11によって車両1の
各車輪4,5が案内され、曲線走行時には台車2が付設
カント角度αだけ水平面に対して傾斜した状態で走行し
ている。このような車両1の車体傾斜制御を行うため
に、車両1には本発明に従う車体傾斜制御装置13が搭
載される。
【0038】この車体傾斜制御装置13は、台車2に設
けられ、この台車2の車軸に平行な横方向加速度Xを検
出する加速度検出手段である加速度センサ17と、各車
輪4,5の回転速度に対応した電圧を導出する速度発電
機などによって実現され、車両の走行速度vを検出する
速度検出手段である速度センサ18と、車体3に設けら
れ、この車体3のヨーイング方向Aの角速度ωを検出す
る角速度検出手段、たとえばヨーレートジャイロなどに
よって実現されるヨーレートセンサ19、ならびにこの
ヨーレートセンサ19からライン20に導出される角速
度ω、および前記速度センサ18からライン21に導出
される走行速度vとに基づいて走行路の曲率半径rを演
算して求める曲率半径算出手段である曲率半径算出回路
22と、加速度センサ17からライン51に導出される
横方向加速度X、走行速度vおよび曲率半径算出回路2
2からライン52に導出される曲率半径rに基づいて付
設カント角度αを演算して求めるとともに、走行速度v
および曲率半径rに基づいて車体3の超過遠心力を打消
すために必要な水平面に対する車体3の傾斜角度θを演
算して求め、この傾斜角度θおよび前記付設カント角度
αに基づいて車体3の超過遠心力を打消すために必要な
台車2に対する車体3の指令傾斜角度βを演算して求め
る制御手段24と、制御手段24からライン53に導出
される指令傾斜角度βに応答して、車体3を台車2に対
して傾斜させる前記一対の空気ばね8,9を有する傾斜
駆動手段25とを含む。
【0039】台車枠6と車体3との間には、車体3の台
車2に対する車高を左右両側でそれぞれ検出する車高検
出手段26,27が設けられ、これらの車高検出手段2
6,27からの車高情報はライン28を介して車高制御
手段29に与えられる。前記傾斜駆動手段25は、各車
高検出手段26,27、車高制御手段29および各電磁
弁55,56;57,58を含む。吸気弁としての各電
磁弁55,56は、各空気ばね8,9への空気圧源89
からの圧縮空気を供給/遮断制御し、排気弁としての各
電磁弁57,58は、各空気ばね8,9内の空気を排出
/遮断制御する。
【0040】加速度センサ17からの出力は、フィルタ
30を介して制御手段24に与えられる。このフィルタ
30によって加速度センサ17からの出力に含まれる約
10Hz〜約20Hzの振動加速度によるノイズが除去
され、台車2の各レール10,11との不整合などに起
因する台車の振動によるノイズを除去することができ
る。
【0041】またフィルタ30によって加速度センサ1
7の出力から台車2のヨーイング方向Aの固有周波数、
たとえば走行速度v=100km/hのとき、0.1H
zのノイズ成分も除去することができ、約0.1Hz〜
約0.5Hzの周波数帯域の検出信号だけを取出すこと
ができる。フィルタ30は、たとえばローパスフィルタ
+バンドストップフィルタなどによって実現される。
【0042】またライン20には、フィルタ31が介在
される。ヨーレートセンサ19の出力にも、加速度セン
サ17からの出力と同様に、台車2の振動に伴う車体3
の振動、車体3の固有周波数のノイズ成分などが含まれ
ており、これらのノイズをフィルタ31によって除去す
ることができる。
【0043】図2は、車両1の曲線走行状態を示す簡略
化した断面図である。同図において仮想線で示される車
体3の姿勢50は傾斜制御が行われた状態を示してお
り、このとき床面34上の乗客には遠心力F=M・r・
ω2=M・v2/rの床面平行成分F1が作用する。ここ
に、Mは乗客3の質量である。
【0044】
【数8】
【0045】重力加速度をgとすると、乗客には重力の
床面平行成分F2=M・g・sin(α+β)が作用
し、走行中に乗客が横方向の力を感じないようにして乗
心地を向上するにはF1−F2=0が成立する必要があ
る。ここで車体3の床面34に平行な横方向に対する運
動方程式は、曲線路の外側を正とし、加速度をaとする
とき、
【数9】 である。
【0046】傾斜角度β=0のとき、横方向加速度の加
速度センサ17による検出値がXであるとすると、
【数10】 が成立し、左辺および右辺から質量Mを除去すると、 v2・cosα − r・g・sinα = r・x …(10) となる。この式10において、cosαの係数v2およ
びsinαの係数r・gを消去するために、左辺に√
(v4+r2・g2)を乗じると、
【0047】
【数11】 に変形され、計算の便宜上、底辺をr・gとし、この底
辺に直角な辺の高さをv 2とし、底辺に対して角度γを
なす斜線を√(v4+r2・g2)とする直角三角形を仮
定すると、
【0048】
【数12】 であるため、これを式11に代入すると、
【0049】
【数13】 のように変形できる。角度γは上記の式12aから求め
ると、
【0050】
【数14】 であるため、この式14を上記の式13に代入すると、
【0051】
【数15】 のように変形できるため、
【0052】
【数16】 であり、したがって、
【0053】
【数17】 として傾斜角度β=0であるときの付設カント角度αが
求められる。
【0054】次に、傾斜角度β=β0(β0>0)である
とき、横方向加速度の検出値Xが0であるとすると、式
8に示される車体3の横方向に対する運動方程式は、
【数18】 が成立し、したがって、
【0055】
【数19】 に変形することができる。この式19を整理すると、
【0056】
【数20】 となり、したがって
【0057】
【数21】 となる。この式21に上記の式17を代入すると、
【0058】
【数22】 となる。このように指令傾斜角度βは横方向加速度X、
走行速度v、曲率半径rによって演算して求めることが
できる。したがって前記制御手段24は、重力加速度を
gとするとき、付設カント角度αを、
【0059】
【数23】 によって求め、前記水平面に対する車体3の傾斜角度θ
を、
【0060】
【数24】 によって求め、指令傾斜角度βを、 β = θ−α …(25) によって求めることができる。
【0061】図3は、曲率半径算出回路22による曲率
半径rの算出手順を説明するための図である。車両1に
は、この車両1のヨーイング方向Aの角速度ωを検出す
るためのヨーレートセンサ19と、車両1の走行速度v
を検出するための速度センサ18と、角速度ωおよび走
行速度vに基づいて線路12の曲率ρを算出して曲線状
態を判断するとともに、さらに曲率半径を算出する曲率
算出回路22とが搭載される。
【0062】曲線半径算出回路22は、得られた角速度
ωおよび走行速度vに基づいて所定の演算式、ρ=ω/
vに代入して演算することによって、線路12の曲率ρ
を算出する。また得られた曲率ρを時間微分することに
よって曲率微分、dρ/dtを算出し、これらの曲率ρ
および曲率微分dρ/dtの大きさおよび正負を判定す
ることによって、走行位置における線路の状態、たとえ
ば直線、右曲線、左曲線、入口緩和曲線、本曲線、およ
び出口緩和曲線などを判別することができる。また曲率
半径算出回路22は、求めた曲率ρの逆数である曲率半
径γを演算式γ=1/ρに代入して演算することによっ
て算出する。
【0063】図4(a)は右曲線の線路12の平面形状
の1例を示す平面図であり、図4(b)は図4(a)に
対応する曲率ρを示すグラフであり、図4(c)は図4
(a)に対応する曲率微分dρ/dtを示すグラフであ
る。図4(a)において、車両1が線路12を地点P1
〜P4の順番で通過しており、線路12は図4(b)に
示すように、(1)地点P1から手前は曲率ρ=0であ
る部分、(2)地点P1〜地点P2の範囲は曲率ρが0
から徐々に変化する部分、(3)地点P2〜地点P3の
範囲は、一定の曲率ρを有する部分、(4)地点P3〜
地点P4の範囲は、曲率ρが一定位置から0に向けて徐
々に変化する部分、(5)地点P4から以降は曲率ρ=
0である部分、となる線路12の平面線形を例示してい
る。
【0064】図4(b)に示すように、右曲線の線路形
状に応じた区間を特定するために、入口側の曲率閾値と
して、閾値th1(地点P1〜地点P2の範囲に存在)
が設定され、出口側の曲率閾値として閾値th2(地点
P3〜地点P4の範囲に存在)が設定されている。
【0065】図4(c)は図4(b)のグラフに示され
る曲率ρを時間微分したものであり、曲率ρが時間変化
しない範囲、すなわち地点P1の手前、地点P2〜地点
P3の範囲、および地点P4以降において曲率微分dρ
/dt=0となる。また地点P1〜地点P2において上
方に凸のピークが表れ、地点P3〜地点P4において下
方に凸のピークが表れる。このような図4(c)におい
ても同様に、線路12に応じた区間を特定するために、
入口側の曲率部分閾値として閾値th3(地点P1〜地
点P2の範囲に存在)が設定され、出口側の曲率部分閾
値として、閾値th4(地点P3〜地点P4の範囲に存
在)が設定されている。
【0066】図5(a)は左曲線の線路12の平面形状
の1例を示す平面図であり、図5(b)は図5(a)に
対応する曲率ρを示すグラフであり、図5(c)は図5
(a)に対応する曲率微分dρ/dtを示すグラフであ
る。図5(a)において、車両1が線路12を前述と同
様に地点P1〜地点P4の順番で通過する。
【0067】図5(b)に示すように、左曲線の線路状
態に応じた区間を特定するために、入口側の曲率閾値と
して閾値−th1(地点P1〜地点P2の範囲に存在)
が設定され、出口側の曲率閾値として閾値−th2(地
点P3〜地点P4の範囲に存在)が設定されている。
【0068】図5(c)は図5(b)の曲率ρを時間t
で微分した値を示し、曲率ρが時間変化しない範囲、す
なわち地点P1の手前、地点P2〜地点P3、および地
点P4以降において曲率微分dρ/dt=0となる。ま
た、地点P1〜地点P2において下方に凸のピークが表
れ、地点P3〜地点P4において上方に凸のピークが表
れる。このような図5(c)においても同様に、線路状
態に応じた区間を特定するために、入口側の曲率微分閾
値として閾値−th3(地点P1〜地点P2の範囲に存
在)が設定され、出口側の曲率微分閾値として閾値−t
h4(地点P3〜地点P4の範囲に存在)が設定されて
いる。
【0069】図6は、横軸に曲率ρ、縦軸に曲率微分d
ρ/dtを取って2次元表示したグラフである。曲率ρ
に関して、正および負の閾値th1,th2がそれぞれ
設定されており、これらの閾値th1,th2は必ずし
も同一値に選ばれるものではなく、入口と出口の緩和曲
線の相違によって相違する場合がある。また曲率微分d
ρ/dtに関しては、各閾値th3,th4が設定さ
れ、これらの閾値th3,th4もまた、入口および出
口の緩和曲線の相違に応じてそれぞれ個別に設定され
る。
【0070】同図において、(1)−th1<ρ<th
1、または−th2<ρ<th2の領域は直線部分、
(2)ρ≧th1、およびdρ/dt≧th3の領域は
右入口緩和曲線部分、(3)ρ≧th1、ρ≧th2、
およびth3<dρ/dt<th4の領域は右本曲線部
分、(4)ρ≧th2、およびdρ/dt≦th4の領
域は、右出口緩和曲線部分、(5)ρ≦−th1、およ
びdρ−dt≧th3の領域は、左入口緩和曲線部分、
(6)ρ≦−th1、ρ≦−th2、およびth3<d
ρ/dt<th4の領域は、左本曲線部分、(7)ρ≦
−th2、およびdρ/dt≦th4の領域は、左出口
緩和曲線部分をそれぞれ分類して示されている。
【0071】具体的に述べると、図4(a)の線路上を
車両1が走行する場合を想定したとき、線路状態を示す
座標(ρ,dρ/dt)は、地点P1から手前でρ=
0、dρ/dt=0の原点に位置しており、地点P1に
進入すると次第に右斜め上方に移動して、閾値th1と
交差する点aで右入口緩和曲線部分の領域に入って右回
りに回転し、次に閾値th3と交差する点bで右本曲線
部分の領域に入る。さらに車両1が右本曲線部分を走行
している間は、座標(ρ,dρ/dt)は、曲率ρ=一
定で、曲率微分dρ/dt=0に止まり、地点P3に差
しかかると閾値th4と交差する点cで右出口緩和曲線
部分の領域に入って右回りに回転し、次に閾値th2と
交差する点dで直線領域に入ってから地点P4を通過す
る時点で、原点に戻る。
【0072】こうして線路状態が示す座標(ρ,dρ/
dt)の軌跡を調べることによって、線路の状態を認識
することが可能になる。このようにして、図4(a)に
示すような右曲線の線路12において、地点P11より
手前の直線部分、地点P11から地点P12より手前の
入口緩和曲線部分、地点P12から地点P13までの本
曲線部分、地点P13より先の地点P14までの出口緩
和曲線部分、および地点P14より先の直線部分を特定
し、認識することができる。
【0073】このことは、図5に示される左曲線走行時
についても同様である。つまり、図5(a)に示すよう
な左曲線の線路12において、地点P21より手前の直
線部分、地点P21から地点P22より手前の入口緩和
曲線部分、地点P22から地点P23までの本曲線部
分、地点P23より先の地点P24までの出口緩和曲線
部分、および地点P24より先の直線部分を特定し、記
載することができる。
【0074】図7は、曲率半径算出回路22の動作を示
すフローチャートである。ヨーレートセンサ19からの
角速度ωおよび速度センサ18からの走行速度vに基づ
いて線路12の曲率ρを算出し、その時間微分である曲
率微分dρ/dtを演算した後、まずステップs1にお
いて、曲率ρ≧0か否かを判定し、すなわち線路12が
右曲線か左曲線かを判定する。ここで、右曲線のときに
は曲率ρが正の値となり、左曲線のときには曲率ρが負
の値となる場合を想定して説明する。
【0075】曲率ρ≧0であればステップs2に移り、
曲率微分dρ/dt≧0か否かを判定し、これによって
線路12が緩和曲線であるか否かを判定する。この曲率
微分dρ/dt≧0であれば、ステップs3に移り、曲
率ρ≧th1か否かを判定し、曲率ρが閾値th1より
も小さければ現在位置の線路は直線部分であると判断し
た後、次の測定のためにスタートへ戻る。ステップs3
において、曲率ρが閾値th1以上であれば、次のステ
ップs4に移り、曲率微分dρ/dt≧th3か否かを
判定し、曲率微分dρ/dtが閾値th3よりも小さけ
れば現在位置の線路が右本曲線であると判断し、次の測
定のためにスタートへ戻る。また、曲率微分dρ/dt
が閾値th3以上であれば、右入口緩和曲線であると判
断してスタートへ戻る。
【0076】ステップs2において、曲率微分dρ/d
tが負の値であればステップs5へ移り、曲率ρ≧th
2か否かを判定し、曲率ρが閾値th2よりも小さけれ
ば、現在位置の線路は直線部分であると判断した後、次
の測定のためにスタートへ戻る。また、曲率ρが閾値t
h2以上であれば、次のステップs6へ移り、曲率微分
dρ/dt≦−th4か否かを判定し、曲率微分dρ/
dtが閾値−th4よりも大きければ、現在位置の線路
が右本曲線であると判断した後、次の測定のためにスタ
ートへ戻る。また、曲率微分dρ/dtが閾値th4以
下であれば、右出口緩和曲線であると判断して、次の測
定のためにスタートへ戻る。
【0077】左曲線についても同様に、ステップs1に
おいて、曲率ρ≧0でなければ、すなわちρ<0であれ
ば、ステップs7に移り、曲率微分dρ/dt≦0か否
かを判定し、これによって線路が緩和曲線であるか否か
を判別する。曲率微分dρ/dt≦0であれば、ステッ
プs8に移り、曲率ρ≦−th2か否かを判定し、曲率
ρが閾値−th2よりも大きければ、現在位置の線路は
直線部分であると判断して、次の測定のためにスタート
へ戻る。
【0078】前記ステップs8において、曲率ρが閾値
−th2以下であれば、次のステップs9で曲率微分d
ρ/dt≦−th3か否かを判定し、曲率微分dρ/d
tが閾値−th3よりも大きければ、現在位置の線路が
左本曲線であると判断した後、次の測定のためにスター
トへ戻る。また、曲率微分dρ/dtが閾値−th3以
下であれば、左入口緩和曲線であると判断して、同様に
スタートへ戻る。
【0079】ステップs7において、曲率微分dρ/d
tが0よりも大きければ次のステップs10へ移り、曲
率ρ≦−th1か否かを判定し、曲率ρが閾値−th1
よりも大きければ、現在位置の線路は直線部分であると
判断した後、次の測定のためスタートへ戻る。また、曲
率ρが閾値−th1以下であれば、次のステップs11
で曲率部分dρ/dt≧th4か否かを判定し、曲率部
分dρ/dtが閾値th4よりも小さければ、現在位置
の線路が左本曲線であると判断した後、スタートへ戻
る。さらに、曲率微分dρ/dtが閾値th4以上であ
れば、左出口緩和曲線であると判断して、スタートへ戻
る。
【0080】このようにして曲率ρおよび曲率微分dρ
/dtの値を各閾値th1〜th4,−th1〜−th
4とそれぞれ比較することによって、座標(ρ,dρ/
dt)が図6のグラフのどの領域に位置するかを判断し
て、的確な曲線情報を得ることができる。したがって曲
率半径算出回路22からの出力に基づいて、左右一対の
空気ばね8,9への圧縮空気の供給および排気を制御す
るための電磁弁を個別に開閉制御して、線路状況に応じ
て高い応答性で車体3の傾斜量を制御することができ
る。しかも、制御手段24は、前述したように、横方向
加速度X、走行速度vおよび曲率半径Rに基づいて常に
走行中の傾斜角度θを演算して導出しているため、従来
の技術のようにフィードバック制御する場合に比べて演
算量および演算時間が格段に少なくて済み、これによっ
て制御手段の構成が格段に簡略化され、高精度で車体3
の傾斜量を時系列的に追従制御することができる。
【0081】本実施の形態によれば、この曲率半径算出
回路22は、走行速度vおよび角速度ωによって演算
式、曲率ρ=角速度ω/走行速度vを演算して走行中の
曲線路の曲率ρを算出することができる。こうして得ら
れた曲率ρによって、たとえば右曲線を正、左曲線を負
としたときの予め定める弁別レベル±th1,±th2
でレベル弁別することによって、走行中の路線が曲線で
あるかまたは直線であるかを判別し、曲率半径rを、r
=1/曲率ρを演算することによって求めることができ
る。このようにして走行速度vの大小にかかわらず、リ
アルタイムで精度よく走行路の曲率半径rを算出するこ
とができる。
【0082】制御手段24は、横方向加速度X、走行速
度vおよび曲率半径rに基づいて、車体の超過遠心力を
打消すために必要な台車に対する車体の指令傾斜角度β
を求める。このような制御手段24からの指令傾斜角度
βに従って、空気ばね8,9、この空気ばね8,9に圧
縮空気を供給するための空気圧源59、空気圧源59か
らの圧縮空気を空気ばね8,9に供給/遮断する吸気弁
55,56、および空気ばね8,9内の空気を排出/遮
断する排気弁57,58などによって実現される傾斜駆
動手段25を制御し、車体3を傾斜駆動して曲線走行時
に乗客が外軌側に向けて体感する遠心力の発生を可及的
に少なくし、あるいは無くすことができる。
【0083】また前記制御手段24は、傾斜駆動手段2
8をオープンループ制御するので、上記の特開平7−3
09234号公報に示される従来の技術のように、フィ
ードフォワードゲインFfjおよび状態フィードバックゲ
インFbなどのゲイン調整が不要であり、これらのゲイ
ン設定作業を省略することができる。またこの従来の技
術のようにフィードバック制御によって遅れ補償をして
も空気ばねによる積分特性によって車体の傾斜制御に常
に応答遅れが伴い、前記フィードバック制御による遅れ
補償が無駄になる場合が多いのに対し、本発明ではオー
プンループ制御を用い、これによって演算量を格段に少
なくすることができ、制御手段の構成の簡略化を図るこ
とができる。
【0084】また加速度検出手段17は、台車2の車軸
に平行な横方向加速度Xを検出するように構成されるの
で、この台車2に空気ばね8,9を介して支持される車
体3の横方向加速度を検出する場合に比べて台車2から
直接に横方向加速度Xを検出することができ、空気ばね
8,9による伝達遅れがない状態で、横方向加速度Xの
変化を早期に検出することができ、横方向加速度Xに対
する検出時間を短縮することができる。
【0085】このような台車2の横方向加速度Xの検出
信号には、台車2と線路12との不整合および車体3を
支持する心皿の軸線に関して回転方向の振動などに起因
するノイズが混入するが、上記のように、このノイズは
ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィ
ルタおよびバンドストップフィルタなどの各種のフィル
タを用いて信号を処理し、横方向加速度成分だけを抽出
することが可能である。
【0086】このようにして、台車2の横方向加速度X
を用いて指令傾斜角度βを求め、空気ばね8,9などの
傾斜駆動手段25を制御することができるので、車体傾
斜角度を求めるための演算量を格段に少なくし、制御手
段24の構成を簡略化することができる。
【0087】また本実施の形態によれば、上記の演算式
23〜25によって付設カント角度α、車体の傾斜角度
θおよび指令傾斜角度βを時系列的に演算して求め、こ
の指令傾斜角度βによって傾斜駆動手段が制御される。
このようにして時系列的に求められる指令傾斜角度βに
よって傾斜駆動手段が制御されるので、前記特開平6−
107172号公報に示される従来の技術のように、曲
線情報を測定するためにオフラインで車両を走行する必
要がなく、直接、指令傾斜角度βを求めることができ、
空気ばねの積分特性によって相殺される無駄な遅れ補償
のための演算処理を行う必要がなく、制御手段の構成を
格段に簡略化することができる。
【0088】しかも制御手段24は、指令傾斜角度βを
加速度センサ17によって検出された台車2の横方向加
速度X、速度センサ18によって検出された走行速度v
ならびに、ヨーレートセンサ19によって検出されたヨ
ーイング方向の角速度ωおよび曲率半径算出回路22の
演算によって求めた曲率半径rに基づいて、時系列的に
指令傾斜角度βを算出するので、指令傾斜角度βは予め
定める制御周期で検出直後の値を用いて更新され、これ
によって無駄な計算を行うことなく傾斜制御に対する応
答性を向上することができる。
【0089】さらに本実施の形態によれば、加速度セン
サ17からの出力は、フィルタ30によってノイズが除
去されたものが用いられ、こうして加速度センサ17の
出力からノイズを除去することによって、曲率半径算出
回路22は正確に曲線路の曲率半径rを算出することが
できる。
【0090】フィルタ30を用いることによって、その
時定数に起因して加速度センサ17の出力が遅延されて
制御手段24に与えられるが、このような遅延はたとえ
ば空気ばね8,9などによって実現される傾斜駆動手段
25の応答性に比べて格段に小さいために、実際上、遅
れ時間を補償する必要はなく、車体3の傾斜駆動を最適
に行うことができる。
【0091】さらに本実施の形態によれば、加速度セン
サ17からの出力はフィルタ30によって約0.1Hz
〜約0.5Hzの帯域の周波数成分が導出され、これに
よって約0.01〜0.15Gの横方向加速度Xに対応
する周波数成分だけが取出され、影響の大きな台車の振
動による約10Hz〜約20Hzの加速度ノイズ成分が
除去され、高精度で横方向加速度Xを検出することがで
きる。このような横方向加速度Xを用いて制御手段は付
設カント角度αを演算して求め、実走行時の付設カント
に対する誤差を少なくして、指令傾斜角度βを正確に求
めることができる。
【0092】さらに本実施の形態によれば、制御手段2
4からの指令傾斜角度βに応答して車高制御手段29は
電磁弁55〜58を吸排気制御し、この電磁弁55〜5
8によって台車2の左右両側に設けられる空気ばね8,
9への圧縮空気の供給および空気ばね8,9からの排気
が制御されて、台車2上の車体3は曲線走行時における
超過遠心力が打消される方向に傾斜される。このように
車体3は空気ばね8,9によって台車2上で左右方向の
傾斜量が制御されるので、制御手段24がオープンルー
プ制御によって、実測値である横方向加速度X、走行速
度v、曲率半径rに基づいて短いアクセス時間で演算し
て求めた指令傾斜角度βによって時系列的に連続して前
記車高制御手段を制御して各空気ばね8,9の伸縮量を
変化させ、前述の各従来の技術のように、ゲイン調整お
よび遅れ補償によるフィードバック制御によって高い周
期で敏感に制御しても各空気ばね8,9の動作が追従し
ないという、このような無駄な制御を行わずに、本発明
のオープンループ制御によって、実走行時に受ける各検
出値に基づいて指令傾斜角度βを変化させて速く指令値
を上げ、または下げた方がよく、こうして無駄な演算を
格段に少なくして、簡単な構成で空気ばねの応答特性に
適した傾斜制御を行うことが可能となる。
【0093】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、加速度
検出手段は台車の車軸に平行な横方向加速度Xを検出
し、速度検出手段は車両の走行速度vを検出し、さらに
角速度検出手段は、車体のヨーイング方向の角速度ωを
検出し、曲率半径検出手段は検出した走行速度vおよび
角速度ωに基づいて走行路の曲率半径rを演算して求め
る。前記速度検出手段は、たとえば車軸の回転数を検出
して走行速度vを求める速度発電機などによって実現さ
れる。また角速度検出手段は、たとえば車体に設けられ
るヨーレートジャイロなどによって実現される。
【0094】この曲率半径算出手段は、上記の走行速度
vおよび角速度ωによって予め定める演算式、たとえば
曲率ρ=角速度ω/走行速度vを演算して走行中の曲線
路の曲率ρを算出することができる。こうして得られた
曲率ρによって、たとえば右曲線を正、左曲線を負とし
たときの予め定める弁別レベル±th1,±th2でレ
ベル弁別することによって、走行中の路線が曲線である
かまたは直線であるかを判別し、曲率半径rを、r=1
/曲率ρを演算することによって求めることができる。
このようにして走行速度vの大小にかかわらず、リアル
タイムで精度よく走行路の曲率半径rを算出することが
できる。
【0095】このようにして求められた横方向加速度
X、走行速度vおよび曲率半径rは制御手段に入力され
る。制御手段は、上記のようにして求められた横方向加
速度X、走行速度vおよび曲率半径rに基づいて、予め
定める演算式によって付設カント角度αを演算して求め
るとともに、前記走行速度vおよび曲率半径rに基づい
て、車体の水平面に対する車体の傾斜角度θを予め定め
る演算式によって求め、これらの傾斜角度θおよび付設
カント角度αに基づいて、車体の超過遠心力を打消すた
めに必要な台車に対する車体の指令傾斜角度βを求め
る。このような制御手段からの指令傾斜角度βに従っ
て、たとえば空気ばね、この空気ばねに圧縮空気を供給
するための空気圧源、空気圧源からの圧縮空気を空気ば
ねに供給/遮断する吸気弁、および空気ばね内の空気を
排出/遮断する排気弁などによって実現される傾斜駆動
手段を制御し、車体を傾斜駆動して曲線走行時に乗客が
外軌側に向けて体感する遠心力の発生を可及的に少なく
し、あるいは無くすことができる。
【0096】また前記制御手段は、傾斜駆動手段をオー
プンループ制御するので、上記の特開平7−30923
4号公報に示される従来の技術のように、フィードフォ
ワードゲインFfjおよび状態フィードバックゲインFb
などのゲイン調整が不要であり、これらのゲイン設定作
業を省略することができる。またこの従来の技術のよう
にフィードバック制御によって遅れ補償をしても空気ば
ねによる積分特性によって車体の傾斜制御に常に応答遅
れが伴い、前記フィードバック制御による遅れ補償が無
駄になる場合が多いのに対し、本発明ではオープンルー
プ制御を用い、これによって演算量を格段に少なくする
ことができ、制御手段の構成の簡略化を図ることができ
る。
【0097】また加速度検出手段は、台車の車軸に平行
な横方向加速度Xを検出するように構成されるので、こ
の台車に空気ばねを介して支持される車体の横方向加速
度を検出する場合に比べて台車から直接に横方向加速度
Xを検出することができ、空気ばねによる影響を除いて
横方向加速度の変化を早期に検出することができ、横方
向加速度Xに対する検出時間を短縮することができる。
【0098】このような台車の横方向加速度Xの検出信
号には、台車と線路との不整合および車体を支持する心
皿の軸線に関して回転方向の振動などに起因するノイズ
が混入するが、このノイズはローパスフィルタ、ハイパ
スフィルタ、バンドパスフィルタおよびバンドストップ
フィルタなどの各種のフィルタを用いて信号を処理し、
横方向加速度成分だけを抽出することが可能である。
【0099】このようにして、台車の横方向加速度Xを
用いて指令傾斜角度βを求め、空気ばねなどの傾斜駆動
手段を制御することができるので、車体傾斜角度を求め
るための演算量を格段に少なくし、制御手段の構成を簡
略化することができる。
【0100】さらに上記の演算式によって付設カント角
度α、車体の傾斜角度θおよび指令傾斜角度βを時系列
的に演算して求め、この指令傾斜角度βによって傾斜駆
動手段が制御される。このようにして時系列的に求めら
れる指令傾斜角度βによって傾斜駆動手段が制御される
ので、前記特開平6−107172号公報に示される従
来の技術のように、曲線情報を測定するためにオフライ
ンで車両を走行する必要がなく、直接、指令傾斜角度β
を求めることができ、空気ばねの積分特性によって相殺
される無駄な遅れ補償のための演算処理を行う必要がな
く、制御手段の構成を格段に簡略化することができる。
【0101】しかも制御手段は、指令傾斜角度βを加速
度検出手段によって検出された台車の横方向加速度X、
速度検出手段によって検出された走行速度vならびに、
曲率半径検出手段によって検出されたヨーイング方向の
角速度ωおよび演算によって求めた曲率半径rに基づい
て、時系列的に指令傾斜角度βを算出するので、指令傾
斜角度βは予め定める制御周期で検出直後の値を用いて
更新され、これによって無駄な計算を行うことなく傾斜
制御に対する応答性を向上することができる。
【0102】請求項2記載の本発明によれば、加速度セ
ンサによって横方向加速度Xが検出される。このような
加速度センサの出力は、線路の曲線形状および走行速度
vによって異なり、しかもヨーイング方向の台車の固有
周波数の成分およびその他のノイズが混入している。そ
のため、加速度センサからの出力は、フィルタによって
前記ノイズが除去されたものが用いられ、こうして加速
度センサの出力からノイズを除去することによって、曲
率半径検出手段は正確に曲線路の曲率半径を算出するこ
とができる。
【0103】前記台車のヨーイング方向の固有周波数
は、たとえば走行速度v=100km/hであるとき、
約0.1Hzであり、また前記その他のノイズは約10
Hz以上の範囲である。そのため前記フィルタは、車体
のヨーイング方向の固有周波数成分による約1Hzのノ
イズおよびその他のノイズによる約10Hz以上のノイ
ズを遮断することができるローパスフィルタ+バンドス
トップフィルタなどによって実現されてもよい。このよ
うなフィルタを用いることによって、その時定数に起因
して加速度センサの出力が遅延されて制御手段に与えら
れるが、このような遅延はたとえば空気ばねによって実
現される傾斜駆動手段の応答性に比べて格段に小さいた
めに、実際上、遅れ時間を補償する必要はなく、車両の
傾斜駆動を最適に行うことができる。
【0104】請求項3記載の本発明によれば、加速度セ
ンサからの出力はフィルタによって約0.1Hz〜約
0.5Hzの帯域の周波数成分が導出され、これによっ
て約0.01〜0.15Gの横方向加速度に対応する周
波数成分だけが取出され、台車の振動による約10Hz
〜約20Hzの加速度ノイズ成分が除去され、高精度で
横方向加速度Xを検出することができる。このような横
方向加速度Xを用いて制御手段は付設カント角度αを演
算して求め、実走行時の付設カントに対する誤差を少な
くして、指令傾斜角度βを正確に求めることができる。
【0105】請求項4記載の本発明によれば、制御手段
からの指令傾斜角度βに応答して車高制御手段は電磁弁
を吸排気制御し、この電磁弁によって台車の左右両側に
設けられる空気ばねへの圧縮空気の供給および空気ばね
からの排気が制御されて、台車上の車体は曲線走行時に
おける超過遠心力が打消される方向に傾斜される。この
ように車体は空気ばねによって台車上で左右方向の傾斜
量が制御されるので、制御手段がオープンループ制御に
よって、実測値である横方向加速度X、走行速度v、曲
率半径rに基づいて短いアクセス時間で演算して求めた
指令傾斜角度βによって時系列的に連続して前記車高制
御手段を制御して各空気ばねの伸縮量を変化させ、前述
の各従来の技術のように、ゲイン調整および遅れ補償に
よるフィードバック制御によって高い周期で敏感に制御
しても各空気ばねの動作が追従しないという、このよう
な無駄な制御を行わずに、本発明のオープンループ制御
によって、実走行時に受ける各検出値に基づいて指令傾
斜角度βを変化させて速く指令値を上げ、または下げた
方がよく、こうして無駄な演算を格段に少なくして、簡
単な構成で空気ばねの応答特性に適した傾斜制御を行う
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の全体の構成を簡略化し
て示すブロック図である。
【図2】車両1の曲線走行状態を示す簡略化した断面図
である。
【図3】曲率半径算出回路22による曲率半径rの算出
手順を説明するためのブロック図である。
【図4】図4(a)は右曲線の線路12の平面形状の1
例を示す平面図であり、図4(b)は図4(a)に対応
する曲率ρを示すグラフであり、図4(c)は図4
(a)に対応する曲率微分dρ/dtを示すグラフであ
る。
【図5】図5(a)は左曲線の線路12の平面形状の1
例を示す平面図であり、図5(b)は図5(a)に対応
する曲率ρを示すグラフであり、図5(c)は図5
(a)に対応する曲率微分dρ/dtを示すグラフであ
る。
【図6】横軸に曲率ρ、縦軸に曲率微分dρ/dtを取
って、これらの曲率ρおよび曲率微分dρ/dtの関係
を示すグラフである。
【図7】曲線検出回路35の動作を示すフローチャート
である。
【符号の説明】
1 車両 2 台車 3 車体 4,5 車輪 6 台車枠 7 枕梁 8,9 空気ばね 10,11 レール 12 線路 13 車体傾斜制御装置 17 加速度センサ 18 速度センサ 19 ヨーレートセンサ 22 曲率半径算出回路 23 曲率半径検出手段 24 制御手段 25 傾斜駆動手段 26,27 車高検出手段 29 車高制御手段 30,31 フィルタ 34 床面 35 曲線検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−310130(JP,A) 特開 平6−107172(JP,A) 特開 平11−198808(JP,A) 特開 平7−309234(JP,A) 特開 平8−175385(JP,A) 特開 平6−156277(JP,A) 特開 平8−26109(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B61F 5/22 B61F 5/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 台車の車軸に平行な横方向加速度Xを検
    出する加速度検出手段と、 車両の走行速度vを検出する速度検出手段と、 車体のヨーイング方向の角速度ωを検出する角速度検出
    手段と、 走行速度vおよび角速度ωに基づいて、走行路の曲率半
    径rを演算して求める曲率半径算出手段と、 横方向加速度X、走行速度vおよび曲率半径rに基づい
    て付設カント角度αを演算して求めるとともに、走行速
    度vおよび曲率半径rに基づいて水平面に対する車体の
    傾斜角度θを演算して求め、この傾斜角度θおよび前記
    付設カント角度αに基づいて、車体の超過遠心力を打消
    すために必要な台車に対する車体の指令傾斜角度βを演
    算して求める制御手段と、 制御手段からの指令傾斜角度βに応答して、車体を台車
    に対して傾斜させる傾斜駆動手段とを含み、 前記制御手段は、重力加速度をgとするとき、付設カン
    ト角度αを、 【数1】 【数2】 によって求め、指令傾斜角度βを、 β = θ−α によって求めることを特徴とする鉄道車両の車体傾斜制
    御装置。
  2. 【請求項2】 加速度検出手段は、台車に設けられ、こ
    の台車の横方向の加速度成分を検出する加速度センサ
    と、加速度センサの出力に含まれるノイズを除去して前
    記横方向加速度Xを導出するフィルタとを含むことを特
    徴とする請求項1記載の鉄道車両の車体傾斜制御装置。
  3. 【請求項3】 前記フィルタは、約0.1Hz〜約0.
    5Hzの加速度センサからの出力を導出し、台車の約1
    0Hz〜約20Hzの振動加速度によるノイズを遮断す
    ることを特徴とする請求項2記載の鉄道車両の車体傾斜
    制御装置。
  4. 【請求項4】 傾斜駆動手段は、台車の左右両側に設け
    られ、車体を昇降駆動する空気ばねと、 空気ばねに圧縮空気を供給しかつ空気ばね内の空気を排
    出する電磁弁と、 制御手段からの指令傾斜角度βに応答して、前記電磁弁
    を制御する車高制御手段とを含むことを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の鉄道車両の車体傾斜制御装
    置。
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