JP2020029155A - 走行区間判別方法及び鉄道車両の走行制御方法 - Google Patents

走行区間判別方法及び鉄道車両の走行制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 追加的な高価なセンサ類を設けることなく、正確に直線区間と円弧区間との間の緩和区間を走行していることを車上で計測される情報だけで検知可能とする走行区間判別方法及び鉄道車両の走行制御方法の提供。【解決手段】 輪軸と略平行に一対のまくらバネを備えた複数の台車の上に車体本体を支持させた鉄道車両において、一定の曲率を有する円弧区間と直線区間との間に位置する緩和区間を走行していることを判別する走行区間判別方法、及び制御プログラムを切り替えて走行制御する鉄道車両の走行制御方法である。車体本体の長手方向に離間して配置された前後の台車にそれぞれ設けられたまくらバネを構成する個々のバネ要素の高さ方向の変位による出力信号に基づいて、車体本体の台車に対する傾きを検出して鉄道車両が緩和区間を走行しているかを判別する。また、緩和区間を走行していると判別された場合に、制御プログラムを切り替える。【選択図】図5

Description

本発明は、車上で計測される情報だけで走行区間を判別する方法及びこれを用いた鉄道車両の走行制御方法に関し、特に、一定の曲率を有する円弧区間と直線区間との間に位置する緩和区間を走行していることを判別する走行区間判別方法及び鉄道車両の走行制御方法に関する。
鉄道車両の高速走行性の安定化や乗客の乗り心地(快適性)の向上などを目的として、走行する線路の線形(例えば、直線区間と円弧区間)に応じて各種の制御を切り替えたいとの要望がある。このうち、鉄道車両が直線区間及び円弧区間のいずれを走行しているのかを判別し、各種制御を行いたいとする場合がある。かかる判別においては、特定の区間において発せられる位置信号を車両側で検知し走行区間を判別する方法や、GPSから得た車両の位置情報を地図情報と照合する方法など、何らかの外部からの信号を受けて走行区間の判別を行う方法が提案されている。一方で、車上で計測される情報だけで走行区間の判別を行おうとする方法も提案されている。
例えば、特許文献1には、鉄道車両の車速を検出する車速センサと、ジャイロセンサ等で構成される鉄道車両の旋回角速度を検出するヨーレートセンサと、を車上に備えたシステムにより、鉄道車両の車速V及び旋回角速度ωから算出される軌道の曲率k(=ω/V)に基づいて、曲線の存在及びその曲がり方向を検出する方法が開示されている。このような方法によれば、走行区間に信号を発生させる設備を設けることなく、また、地図情報がなく、衛星電波による位置情報を外部から得難いトンネル内のような場所であっても、車上で計測される情報だけで曲線を検知できる。
また、特許文献2には、鉄道車両の車体に左右方向の加速度を検出する加速度センサと、車体の左右の高さ位置を検出する高さセンサとを設け、これらの検出値から車体に作用する左右方向の定常的横加速度αを算出することにより、この加速度から曲線に入ったことを判断する方法が開示されている。これによれば、車上で計測される情報だけで、車体傾斜制御における異常傾斜を高精度に検出できる。
特開2015−160466号公報 特開2004−182000号公報
特許文献1及び2に開示されているような方法で曲線区間を走行していることを検出する場合、車上のセンサ情報から計算される曲率情報や加速度情報をもってその判断を行う。具体的には、直線区間と曲率が一定な円弧区間との間に位置する緩和区間を走行時に増加(又は減少)する値が予め定めた閾値を超えたか否かで判断する。しかしながら、緩和曲線は、直線区間から円弧区間あるいは円弧区間から直線区間への曲率を漸次変化させて繋ぐものであるから、車両の動揺等の影響を考慮すると、この閾値を必ずしも小さな値に設定することができず、速やかな曲線検出が難しい場合がある。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、追加的な高価なセンサ類を設けることなく、速やかに直線区間と円弧区間との間の緩和区間を走行していることを車上で計測される情報だけで検知可能とする走行区間判別方法及び鉄道車両の走行制御方法を提供することにある。
本発明による、輪軸と略平行に一対のまくらバネを備えた複数の台車の上に車体本体を支持させた鉄道車両において、一定の曲率を有する円弧区間と直線区間との間に位置する緩和区間を走行していることを判別する走行区間判別方法は、前記車体本体の長手方向に離間して配置された前後の台車にそれぞれ設けられた前記まくらバネを構成する個々のバネ要素の高さ方向の変位による出力信号に基づいて、前記車体本体の前記台車に対する傾きを検出して走行中の区間の判別を行うことを特徴とする。
また、本発明による、輪軸と略平行に一対のまくらバネを備えた複数の台車の上に車体本体を支持させた鉄道車両において、一定の曲率を有する円弧区間と直線区間とで制御プログラムを切り替えて走行制御する鉄道車両の走行制御方法は、前記車体本体の長手方向に離間して配置された前後の台車にそれぞれ設けられた前記まくらバネを構成する個々のバネ要素の高さ方向の変位による出力信号に基づいて、前記車体本体の前記台車に対する傾きを検出して前記円弧区間と前記直線区間との間に位置する緩和区間を走行しているかの判別を行い、前記緩和区間を走行していると判別された場合に、前記制御プログラムを切り替えることを特徴とする。
これらの発明によれば、ジャイロセンサや加速度センサ等の追加的なセンサ類を設けることなく、緩和区間を正確に特定することが可能となる。
また、上記した発明において、前記鉄道車両の速度をさらに計測し、前記速度が所定の閾値を越えている場合にのみ、前記制御プログラムの切り替えを実施することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、より安定した姿勢制御動作が可能となる。
本発明による鉄道車両の走行制御方法が適用される鉄道車両の代表的な一例を示す模式図であって、図1(a)は側面図であり、図1(b)は図1(a)に示す車体本体の下面位置で切断したときの上面図である。 図1で示した鉄道車両が曲線状の線路上を走行する状態を模式的に示す上面図である。 図1に示した鉄道車両が図2に示す直線区間に位置する場合の車体本体と台車との関係を示す模式図であって、図3(a)は鉄道車両の後方からみた側面図であり、図3(b)は図3(a)の領域Aの近傍におけるバネ要素136Rの挙動を示す部分拡大図である。 図1に示した鉄道車両が、高速走行時(カント不足の状態)に図2に示す位置P2乃至P5に位置する場合の車体本体と台車との関係を示す模式図であって、図4(a)は位置P2での状態を示し、図4(b)は位置P3での状態を示し、図4(c)は位置P4での状態を示し、図4(d)は位置P5での状態をそれぞれ示す。 図2に示した曲線状の線路(左カーブ)上を鉄道車両が走行した場合に、本発明の代表的な一例による走行区間判別方法の一例を示すグラフであって、図5(a)はキロ程に対する(式1)の車体姿勢評価関数による出力値を示し、図5(b)は別に取得した同一のキロ程に対する曲率を示す。
以下、本発明による走行区間判別方法及び鉄道車両の走行制御方法の具体的な実施態様について、図1乃至図5を用いて説明する。
図1は、本発明による鉄道車両の走行制御方法が適用される鉄道車両の代表的な一例を示す模式図であって、図1(a)は側面図であり、図1(b)は図1(a)に示す車体本体の下面位置で切断したときの上面図である。
図1(a)に示すように、本発明による走行区間判別方法あるいは鉄道車両の走行制御方法が適用される代表的な一例において、鉄道車両100は、路盤(あるいはバラスト)10上に敷設されたレール20の上面を走行するように構成され、長手で略直方体の車体本体110と、当該車体本体110を支持する複数の台車120、130と、を含む。また、台車120と台車130とは、それぞれの台車の長手方向中心間の距離がLとなるように配置されている。
図1(b)に示すように、台車120は、台車枠122と、この台車枠122の下面側に配置され前後に離間し一対の車輪140を回転自在に保持する軸箱支持装置124と、台車枠122の上面側に取り付けられたまくらバネ126(図1(a)参照)と、により構成されている。ここで、まくらバネ126は、左右一対のバネ要素126R、126Lと、により構成されている。また、軸箱支持装置124は、図示しない軸受やダンパ等を内蔵しており、前後一対の車輪140の変位や荷重等を受ける構造を有している。
左右一対のバネ要素126R、126Lは、その上面で車体本体110の下面を支持するように構成され、車体本体110と台車枠122との間の相対的な運動を吸収する。このようなバネ要素126R、126Lとしては、例えば、コイルバネ等の金属バネやゴム製バネ、空気バネ等が例示できるが、図1(b)においては、その一例として空気バネのものを示している。
また、左右一対のバネ要素126R、126Lは、その上面(すなわち車体本体110の下面との結合部)の高さ方向の位置を検出できる変位センサ(図示せず)をそれぞれ備えている。これらの変位センサから得られる出力は、走行中常に車両の走行を制御する制御装置(図示せず)に送られ、当該制御装置と併設されるメモリに保存される。
なお、本明細書及び図面においては、必要に応じて、一対のレール20R、20Lに対して、図示上右側に位置する右レール20R側のバネ要素を右バネ要素126Rと称し、左側に位置する左レール20L側のバネ要素を左バネ要素126Lと称することとする。また、台車130についても、台車枠132と、この台車枠132の下面側に配置された軸箱支持装置134と、台車枠132の上面側に取り付けられた左右一対のまくらバネ136と、により構成されているが、これらの構成は台車120のものと同一であるため、再度の説明を省略する。
図2は、図1で示した鉄道車両が曲線状の線路上を走行する状態を模式的に示す上面図である。なお、図2においては、走行中の線路上の位置関係の理解を助けるために、図1に示した台車120、130のうちの一方のみを鉄道車両100の下面位置で上面視したものを示している。
図2に示すように、鉄道車両100が走行する曲線状の線路は、その一例として、レール20R、20Lが直線状に延びる直線区間S1、S5と、一定の曲率kを有する円弧区間S3と、これら直線区間S1、S5と円弧区間S3との間に位置し、曲率が0からkに徐々に変化する緩和区間S2、S4と、で構成されている。なお、図2に示すK1は直線区間S1と緩和区間S2との境界、K2は緩和区間S2と円弧区間S3との境界、K3は円弧区間S3と緩和区間S4との境界、K4は緩和区間S4と円弧区間S5との境界であり、それぞれのキロ程を表している。
図2に示す曲線状の線路を走行する台車120は、まず初めに直線区間S1内の位置P1にあり、続いて入側の緩和区間S2内の位置P2、円弧区間S3内の位置P3に移動する。さらに、台車120は、円弧区間S3内で位置P4に移動し、その後、出側の緩和区間S4内の位置P5から直線区間S5内の位置P6に移動する。
図3は、図1に示した鉄道車両が図2に示す直線区間に位置する場合の車体本体と台車との関係を示す模式図であって、図3(a)は鉄道車両の後方からみた側面図であり、図3(b)は図3(a)の領域Aの近傍におけるバネ要素136Rの挙動を示す部分拡大図である。
図3(a)に示すように、鉄道車両100が例えば図2の区間S1やS5に示す直線区間を走行している(すなわち、位置P1あるいはP6に位置する)場合、一対のレール20R、20Lには高低差がないため、これらの上を走行する台車130及び当該台車130上に支持される車体本体110は、それぞれほぼ水平を維持した状態となる。
台車130は、レール20R、20L上を転動する車輪140を保持する軸箱支持装置134と、この軸箱支持装置134の上面に取り付けられた台車枠132と、この台車枠132の上面にさらに取り付けられた左右一対のバネ要素136R、136Lと、により構成され、これらのバネ要素136R、136Lの上面により、車体本体110が支持されている。このとき、車体本体110と台車120とはいずれもほぼ水平であるため、バネ要素136R、136Lにはそれぞれ均等に車体本体110からの重力荷重のみが負荷されている。
ここで、図3(b)に示すように、バネ要素136Rが例えば蛇腹状の空気バネで構成される場合、バネ要素136Rにおける車体本体110を支持する上面は、高さPSの状態で平衡状態(図中実線)となる。そして、この高さ位置を基準高さPSと定義し、基準高さPSにおける変位センサの出力がゼロとなるように調整される。
一方、図3(b)に示すように、図3(a)に示す車体本体110及び台車130の一方あるいは両方が上下方向に変位すると、バネ要素136Rが縮む方向(図中一点鎖線)に変位した高さPLと、バネ要素136Rが伸びる方向(図中二点鎖線)に変位した高さPUに位置することとなる。このとき、変位センサの出力は、バネ要素136Rが伸びる方向(PU側)を正方向とし、バネ要素136Rが縮む方向(PL側)を負方向とするように調整される。
このように、本実施例においては、台車120、130に設けられた個々のバネ要素の高さ方向の変位をパラメータとして取得し、後述する走行区間判別方法に適用する。ここで、上記した代表的な一例においては、バネ要素の上面の高さを出力信号としているが、バネ要素の高さ方向の変位を模擬できるものであれば、例えばバネ要素を空気バネとした場合に、その内圧を検出して出力信号としてもよい。
図4は、図1に示した鉄道車両が、高速走行時(カント不足の状態)に図2に示す位置P2乃至P5に位置する場合の車体本体と台車との関係を示す模式図であって、図4(a)は位置P2での状態を示し、図4(b)は位置P3での状態を示し、図4(c)は位置P4での状態を示し、図4(d)は位置P5での状態をそれぞれ示している。なお、図4においては、図3の場合と同様に、それぞれの区間における鉄道車両100を後方からみた側面図として示している。
図4(a)に示すように、鉄道車両100が図2に示す直線区間S1から緩和区間S2に移動して位置P2に至ると、線路においてレール20Rと20Lとの間に高低差(カントC1)が設けられているため、台車130がカントC1に追従して傾斜する。
一方、台車枠132に対して一対のバネ要素136R、136Lを介して支持されている車体本体110には、緩和区間S2において徐々に曲率kが増大することにより、図示上右方向の遠心力CFと回転モーメントによる傾斜力IFとが作用する。このとき、車両は高速で走行しており、カント不足の状態にあるため、車体本体110には、右端側に下向き荷重LR2が、左端側に上向き荷重LL2が、それぞれ負荷される。そして、これらの結果として、右バネ要素136Rは縮む方向(負方向)に変形し、左バネ要素136Lは伸びる方向(正方向)に変形する。
続いて、図4(b)に示すように、鉄道車両100が緩和区間S2から円弧区間S3に移動して位置P3に至ると、円弧区間S3では緩和区間S2よりも曲率kが大きくなることにより、レール20Rと20Lとの間のカントC2がC1よりも大きくなるように設定される。このため、台車130がカントC2に追従してさらに傾斜することとなる。
次に、図4(c)に示すように、鉄道車両100が円弧区間S3内の位置P3から位置P4に至ると、線路のカントC2が一定であることにより、台車枠132の傾きも一定に維持される。一方、車体本体110には、空気バネに付随する自動高さ調整弁等の姿勢調整機能により、遠心力CFと傾斜力IFとを打ち消す方向の内向力と回転モーメントが付与される。これにより、車体本体110には、図4(b)に示した場合と同様の遠心力CF及び傾斜力IFが作用しているが、同時に、上向き荷重LR2及び下向き荷重LL2がそれぞれ負荷されることにより、右バネ要素136Rが伸びる方向(正方向)に変形し、左バネ要素136Lは縮む方向(負方向)に変形する。
さらに、図4(d)に示すように、鉄道車両100が円弧区間S3から緩和区間S4に移動して位置P5に至ると、レール20Rと20Lとの間のカントがC1と小さくなるため、台車130の傾斜がカントC1に追従して小さくなる。一方、車体本体110には、上述のとおり、位置P4におけるものと同様の遠心力CF及び傾斜力IFと、上向き荷重LR2及び下向き荷重LL2と、がそれぞれ負荷されている。
このような外力の負荷により、右バネ要素136Rはやや伸びる方向(正方向)に変形し、左バネ要素136Lは縮む方向(負方向)に変形する。その結果として、車体本体110は、バネ要素136R、136Lの反発力により、傾斜状態から水平状態に徐々に戻る方向に変位する。
続いて、鉄道車両100が緩和区間S4から直線区間S5に移動して位置P6に至ると、車体本体110と台車130との関係は、図3(a)に示した水平状態に戻る。
図3及び図4に示したとおり、車体姿勢制御や操舵制御等の走行制御を行う場合、直線区間S1、S5では直線走行用の制御プログラムが実行され、円弧区間S3では円弧走行用の制御プログラムが実行される。このため、これらの間の緩和区間S2、S4を、正確かつ速やかに検知して制御プログラムを切り替えることができれば、より応答性の高い走行制御を行うことが可能となる。
そこで、本願発明者は、図1(b)に示した前後の台車120、130に設けられたバネ要素126R、126L、136R、136Lにおける個々の高さ方向の変位を取得し、これを所定の車体姿勢評価関数に入力して演算を行い、その出力結果に基づいて車体本体が台車に対してどの程度傾斜しているかを検出することにより、鉄道車両が緩和区間S2、S4を走行していることを正確に判別できることを見出した。以下に、図5を用いて、本発明の代表的な一例による走行区間判別方法及びこれを用いた鉄道車両の走行制御方法の具体的な実施例を説明する。
本発明の代表的な一例による走行区間判別方法においては、現在の鉄道車両が走行する区間を判別する動作として、上記した4つのバネ要素126L、126R、136L、136Rのそれぞれの出力信号に基づいて実行される。すなわち、上記した4つのバネ要素126L、126R、136L、136Rのそれぞれの高さを計測する変位センサの出力信号値をそれぞれD1、D2、D3、D4とし、これらの数値を以下の(式1)に示す車体姿勢評価関数に代入して演算を行う。

(式1) X(K)={(D1−D2)−(D3−D4)}

ここで、Kはキロ程を示す。
図5は、図2に示した曲線状の線路(左カーブ)上を鉄道車両が走行した場合に、本発明の代表的な一例による走行区間判別方法の一例を示すグラフであって、図5(a)はキロ程に対する(式1)の車体姿勢評価関数による出力値を示し、図5(b)は別に取得した同一のキロ程に対する曲率を示している。なお、横軸に示すキロ程は、図2に示したものと同一のものを示している。
図5(a)に示すように、キロ程が0からK1までの区間では、4つのバネ要素からの出力信号D1乃至D4に基づく評価関数の出力値もほぼ0である。これにより、キロ程K1までの区間S1は、直線区間であると判別できる。
続いて、キロ程がK1からK2までの区間では、図5(a)に示す評価関数の出力値がいったん正側(+側)に増加した後に、所定の一定期間を経てから負側(−側)に転じて0に戻るような挙動を示している。この挙動は、次のように考えることができる。
初めの正側への増加区間では、前方の台車120だけが緩和曲線上にあり、後方の台車130は直線区間上にある。このとき、車両の走行に伴って、前方の台車120の位置におけるカントだけが増加していくため、式1の(D1−D2)の値は増加する一方で、(D3−D4)の値は一定である。このため、式1の出力値が増加する。
次に、式1の出力値が一定になる区間では、前方の台車120と後方の台車130の両方が緩和曲線上にあることにより、両方の台車120、130の位置でのカントが一様に増加していく。このため、式1における(D1−D2)と(D3−D4)の増分が同一となり、式1の出力値が一定となる。
さらに、式1の出力値が0に戻るように減少する区間では、前方の台車120はカントが一定である円弧区間上に位置し、後方の台車130のみが緩和区間上に位置する。これにより、式1における(D1−D2)が一定値となる一方で(D3−D4)が減少していくため、式1の出力値も減少することになる。
このとき、上記式1の出力値がいったん正方向に変位した後に負方向に戻るような挙動を示す場合は、図4に示すように、車体本体が台車枠に対して右側(バネ要素126R、136R側)に傾斜したものと考えられる。同様に、上記式1の出力値がいったん負方向に変位した後に正方向に戻る場合は、車体本体が台車枠に対して左側(バネ要素126L、136L側)に傾斜したものと認識できる。
次に、キロ程がK2からK3までの区間では、図5(a)に示すように、上記式1の出力値がほぼ0のまま推移する。これは、2つの台車120、130が、いずれも図4(c)示したような曲線区間に進入し、両台車の位置でのカントの大きさが同一となるため、2つの台車120、130の傾きが同一となること、及び両台車の位置での曲率の大きさが同一となるため、2つの台車120,130の位置において車体に作用する遠心力CFと傾斜力IFとが同一となることにより、式1における(D1−D2)の値と(D3−D4)の値とが等しくなるためである。
さらに、キロ程がK3からK4までの区間では、図5(a)に示す式1の出力値がいったん負側(−側)に低下した後に、所定の一定期間を経てから正側(+側)に転じて0に戻るような挙動を示している。この挙動は、キロ程がK1からK2までの区間と同様に、次のように考えることができる。
初めの負側への減少区間では、前方の台車120だけが緩和曲線上にあり、後方の台車130は円弧区間上にある。このとき、車両の走行に伴って、前方の台車120の位置におけるカントだけが減少していくため、式1の(D1−D2)の値は減少する一方で、(D3−D4)の値は一定である。このため、式1の出力値が減少する。
次に、式1の出力値が一定になる区間では、前方の台車120と後方の台車130の両方が緩和曲線上にあることにより、両方の台車120、130の位置でのカントが一様に減少していく。このため、式1における(D1−D2)と(D3−D4)の減分が同一となり、式1の出力値が一定となる。
さらに、式1の出力値が0に戻るように増加する区間では、前方の台車120は直線区間上にあり、後方の台車130のみが緩和区間上に位置する。これにより、式1における(D1−D2)が一定値となる一方で(D3−D4)が漸減していくため、式1の出力値は増加していくことになる。
このとき、上記式1の出力値がいったん負方向に変位した後に正方向に戻るような挙動を示す場合は、図4に示すように、車体本体が台車枠に対して右側(バネ要素126R、136R側)に傾斜したものと考えられる。同様に、上記式1の出力値がいったん正方向に変位した後に負方向に戻る場合は、車体本体が台車枠に対して左側(バネ要素126L、136L側)に傾斜したものと認識できる。
そして、キロ程K4以降の挙動については、キロ程0からK1までの区間と同様となる。このため、ここでは再度の説明を省略する。
かかる構成及び動作を含む本発明による走行区間判別方法によれば、鉄道車両の台車の幅方向に一対で配列されたバネ要素の個々の高さ方向の変位による出力信号を上記式1に示すような車体姿勢評価関数に入力して演算することにより、演算後の式1の出力値に基づいて、複数の線形のうち、円弧区間と直線区間との間に位置する緩和区間を走行していることを判別するため、ジャイロセンサや加速度センサ等の追加的なセンサ類を設けることなく、緩和区間を正確に特定することが可能となる。
また、本発明による走行区間判別方法を採用した鉄道車両の走行制御方法によれば、走行中の線形(円弧区間、緩和区間、直線区間)の区別が可能となることにより、緩和区間に入ったことを認識でき、曲線区間走行中に切り替える必要がある姿勢制御等のプログラムを速やかに実行することができる。
特に、図1に示した鉄道車両100は、車体本体110をまくらバネ126、136で支持する構成であるため、直線区間と緩和区間との間や緩和区間と円弧区間との間でカントの大きさが変化した場合に、車体の慣性によりまくらバネのバネ要素の変化に遅れが生じることがある。このような場合であっても、図5(a)に示すように、車体姿勢評価関数の出力値の推移において前方の台車120による変位と後方の台車130による変位とを分けて認識できることにより、特定された緩和区間S2、S4の範囲内の任意のキロ程の位置で姿勢制御プログラムの切り替え位置を選択することが可能となる。
上述の走行区間判別方法及び鉄道車両の走行制御方法は、鉄道車両が低速で走行しているときには、大きな遠心加速度が作用せず、各まくらバネの変位が想定したように発生しない。このため、本手法は、ある程度の速度以上で走行している鉄道車両に適用されるのが好ましい。実際、曲線区間に応じた姿勢制御プログラム等は、高速走行時の走行安定性や乗り心地を改善する目的で実行されることが多い。
一方、本手法は、カントのついた曲線区間を極低速(例えば10km/h程度)で走行するときにも、緩和区間を判別可能である。特に、極低速時の急な曲線走行においては、潜在的に乗り上がり脱線等のリスクが存在するため、これらを防止する制御プログラムの実行時等にも、本手法は活用可能である。
以上、本発明による代表的な実施例及びこれに伴う変形例について述べたが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、適宜、当業者によって変更され得る。すなわち、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
10 路盤
20、20L、20R レール
100 鉄道車両
110 車体本体
120、130 台車
122、132 台車枠
124、134 軸箱支持装置
126、136 まくらバネ
126L、126R、136L、136R バネ要素
140 車輪


Claims (5)

  1. 輪軸と略平行に一対のまくらバネを備えた複数の台車の上に車体本体を支持させた鉄道車両において、一定の曲率を有する円弧区間と直線区間との間に位置する緩和区間を走行していることを判別する走行区間判別方法であって、
    前記車体本体の長手方向に離間して配置された前後の台車にそれぞれ設けられた前記まくらバネを構成する個々のバネ要素の高さ方向の変位による出力信号に基づいて、前記車体本体の前記台車に対する傾きを検出して走行中の区間の判別を行うことを特徴とする走行区間判別方法。
  2. 前記バネ要素は空気バネであって、前記出力信号は前記空気バネの上面高さを検出したものであることを特徴とする請求項1記載の走行区間判別方法。
  3. 輪軸と略平行に一対のまくらバネを備えた複数の台車の上に車体本体を支持させた鉄道車両において、一定の曲率を有する円弧区間と直線区間とで制御プログラムを切り替えて走行制御する鉄道車両の走行制御方法であって、
    前記車体本体の長手方向に離間して配置された前後の台車にそれぞれ設けられた前記まくらバネを構成する個々のバネ要素の高さ方向の変位による出力信号に基づいて、前記車体本体の前記台車に対する傾きを検出して前記円弧区間と前記直線区間との間に位置する緩和区間を走行しているかの判別を行い、
    前記緩和区間を走行していると判別された場合に、前記制御プログラムを切り替えることを特徴とする鉄道車両の走行制御方法。
  4. 前記バネ要素は空気バネであって、前記出力信号は前記空気バネの上面高さを検出したものであることを特徴とする請求項3記載の鉄道車両の走行制御方法。
  5. 前記鉄道車両の速度をさらに計測し、前記速度が所定の閾値を越えている場合にのみ、前記制御プログラムの切り替えを実施することを特徴とする請求項3又は4に記載の鉄道車両の走行制御方法。

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