JP3518686B1 - ポリウレタン系弾性繊維およびそれを用いた織編物 - Google Patents

ポリウレタン系弾性繊維およびそれを用いた織編物

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JP3518686B1 JP2003110521A JP2003110521A JP3518686B1 JP 3518686 B1 JP3518686 B1 JP 3518686B1 JP 2003110521 A JP2003110521 A JP 2003110521A JP 2003110521 A JP2003110521 A JP 2003110521A JP 3518686 B1 JP3518686 B1 JP 3518686B1
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Abstract

【要約】 【課題】 後加工通過性が良好で、優れた耐熱性を有
し、かつ運動時の発汗で発生した水蒸気を速やかに肌か
ら除き、蒸れないストレッチ衣料に適したポリウレタン
系弾性繊維およびそれを用いた織編物を提供すること。 【解決手段】 吸放湿性化合物を含有し、20℃×65
%RHにおける吸湿率が0.5%以上、20℃×95%
RHにおける吸湿率が1.5%以上、前記2つの条件に
おける吸湿率の差が1.0%以上であり、かつPSDが
60%以上、PSWが75%以下を満足するポリウレタ
ン系弾性繊維、及び、上記のポリウレタン系弾性繊維を
少なくとも一部に用いた織編物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、後加工通過性が良
好でかつ耐熱性および吸湿性に優れたポリウレタン系弾
性繊維およびそれを用いた織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維やナイロン繊維、更に
はポリウレタン弾性繊維といった合成繊維は、綿や羊
毛、絹といった天然繊維とは異なり、親水性官能基含有
量が少ないため一般に吸湿性に乏しい。そのため、合成
繊維の親水化技術が長年研究され、例えば染色工業,V
ol.47,No.10,491に概説されるように、
様々な親水加工が提案されている。
【0003】ポリウレタン系弾性繊維の吸水性を向上す
る技術は、特開平11−81046号公報に開示されて
いる。高い吸水性と高い生体親和性と優れた物理強度と
を合わせ持ち、加工性が良好な水不溶性、非イオン性吸
水性ポリウレタン糸および溶融紡糸による製造方法が開
示されている。しかし、水吸収率が200%以上で、か
つ繊維構成高分子自体が高吸水性能を有するため、該繊
維は洗濯時や、汗吸水時に繊維表面が膨潤しヌルミ感を
呈するため、衣料用途として使用するには問題が生じ
る。
【0004】特開2001−98423号公報には、マ
トリックスポリマーのポリオール成分に親水性ポリオー
ルである水溶性ポリアルキレンエーテルポリオールを用
いることで、ポリウレタン系弾性繊維の吸湿性を高める
技術が開示されている。これによると、特開平11−8
1046号公報の問題点は解消され、衣料用途に用いた
場合でも風合いに影響しないレベルまで膨潤の影響を低
減できることが開示されているが、次のような問題が残
る。
【0005】ポリウレタン系弾性繊維の透湿性を高める
技術に、高吸水性ポリマーを混合する方法においては、
高吸水性ポリマーとしては、例えばポリアクリル酸系ポ
リマー、ポリビニール系ポリマー、ポリアミド系ポリマ
ー、高吸水性ポリウレタンポリマーなどがあるが、これ
らの高吸水性ポリマーが局在化するため物性低下や紡糸
安定性が損なわれるといった問題がある。さらに、該高
吸水性ポリマーは一般に架橋されていないため、吸水に
よる膨潤が生じ前記親水性ポリオールを導入するのと同
様、ポリウレタン系弾性繊維を膨潤させ、カバリングや
編成工程における接糸ガイドなどへのスカム付着に伴う
断糸や品位不良といった後加工上の問題を誘発する。
【0006】一方、近年ポリウレタン系弾性繊維への耐
熱性の要求が高まっており、特に高温高圧染色が必要な
ポリエステル繊維との交編織が可能なポリウレタン系弾
性繊維が古くから望まれてきた。こういった要求に対
し、例えば特開平5−186557、特開平7−102
035に開示されるように、ポリウレタン溶液よりポリ
ウレタン重合体を成型後熱処理により高分子量化する技
術がポリウレタン系弾性繊維の耐熱性を高める技術とし
て知られている。しかし、これらの技術によるポリウレ
タン系弾性繊維は、後加工での熱処理への耐熱性は高ま
るものの、目的に応じた生地性量をにコントロールする
ことが難しく、歩留まりが悪く後加工通過性に問題があ
った。
【0007】更に、先に述べた親水性をポリオール成分
に導入すると、後加工で受ける熱処理への耐熱性が低下
し、高温高圧染色が必要なポリエステル繊維との交編織
が困難になるといった問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、後加
工通過性が良好で、優れた耐熱性を有し、かつ運動時の
発汗で発生した水蒸気を速やかに肌から除き、蒸れない
ストレッチ衣料に適したポリウレタン系弾性繊維とそれ
を用いた織編物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意努力の結果、本発明をなすに至っ
た。すなわち、本発明は以下の構成よりなる。1.重量
平均分子量250,000以下で、分子量分布(MW/
MN)が2.0〜3.0のポリウレタン系重合体から形
成され、平均粒径が20μm以下のアクリル系金属変換
粒子からなる高吸放湿性有機微粒子を繊維重量に対し、
0.2〜50重量%含有するポリウレタン系弾性繊維で
あって、20℃×65%RHにおける吸湿率が0.5%
以上、20℃×95%RHにおける吸湿率が1.5%以
上、前記2つの条件における吸湿率の差が1.0%以上
であり、かつ下記式(1)および(2)を満足すること
を特徴とするポリウレタン系弾性繊維。 (但し、PSDは100%伸長下、乾熱190℃で1分
間処理した後の乾熱セット率を、PSWは100%伸長
下、60分かけて湿熱で40℃から130℃へ昇温した
後、連続して湿熱130℃で60分間熱処理した後の湿
熱セット率をそれぞれ示す。)2.高吸放湿性微粒子が
アクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリ
ル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリア
リルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残
存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシ
ル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシ
ル基を1.0mmol/g以上有する高吸放湿性有機微
粒子であることを特徴とする上記第1に記載のポリウレ
タン系弾性繊維。3.上記第1又は第2に記載のポリウ
レタン系弾性繊維を少なくとも一部に用いたことを特徴
とする織編物。
【0010】以下、本発明につき詳述する。まず、吸湿
性を付与する方策として、吸放湿性化合物をポリウレタ
ン系弾性繊維の原料であるポリウレタン重合体に添加混
合し、紡糸することが有効である。吸湿性の高い剤等を
布帛表面にバインダーを用いてパディング等により付着
せしめたり、又は表面に露出する繊維に含有せしめる方
法も考えられるが、風合いを損ねやすい難点がある他、
パディング等においては洗濯耐久性が不十分になり易い
という問題があり、あまり好ましくない。ポリウレタン
弾性繊維は、通常の使用方法において布帛表面に露出す
ることが少なく、風合いを損ねないという利点があり、
ポリウレタン弾性繊維の内部に吸湿性の高い剤を含有せ
しめることが好ましい態様と言える。紡糸は乾式紡糸、
湿式紡糸、溶融紡糸のいずれの方法によっても実施でき
る。吸放湿性化合物としては、例えばポリアクリル酸系
ポリマー微粒子、ポリビニール系ポリマー微粒子、ポリ
アミド系ポリマー微粒子、ポリウレタン系ポリマー微粒
子、多孔質シリカ微粒子などの高吸放湿性微粒子がある
が、物性低下を防ぎ、紡糸操業性および加工通過性を良
好にするため、粒径が20μm以下、好ましくは10μ
m以下、5μm以下であることが更に好ましい。最も好
ましくは2μm以下である。これは、前述した目的を達
成するために、紡糸過程において高吸放湿性微粒子を繊
維に分散させる必要があるからである。粒径が20μm
より大きいと、添加混合後に粒子が偏析するとともに、
繊維表面にブリードアウトするため、紡糸糸切れや後加
工でのスカム付着による断糸の原因となる。但し、あま
りにも平均粒径が小さ過ぎると、微粒子間の凝集が起こ
りやすくなり、かえってポリウレタン系弾性繊維内での
分散性が悪くなるので、0.1μm以上であることが好
ましい。
【0011】高吸放湿性微粒子のポリウレタン系弾性繊
維に対する含有量は0.2重量%以上であることが好ま
しい。更に好ましくは0.5重量%以上である。0.2
重量%より小さいと、吸湿性が乏しくなり好ましくな
い。但し、あまりにも含有量が大きくなり過ぎると紡糸
段階での曳糸性が低下し、断糸が多くなるので、50重
量%以下であることが好ましく、更に好ましくは48重
量%以下である。
【0012】本発明で好ましく用いられる高吸放湿性微
粒子の膨潤度は200%以下が好ましく、100%以下
であることが更に好ましい。膨潤度が200%を超える
と、ポリウレタン系弾性繊維自体が水分による膨潤を生
じるため、カバリングや編成でのスカム付着による断糸
や、品位不良の原因となる。高吸放湿性微粒子の膨潤度
は小さい程よい。本発明のポリウレタン系弾性繊維にお
いては、吸湿による膨潤は高吸放湿性有機微粒子のみに
小さく起こるだけで、繊維を形成しているポリウレタン
系ポリマーはほとんど吸湿による膨潤を起こさないた
め、接糸ガイドなどへのスカムの付着に伴う断糸や品位
不良の後加工上の問題が少ない。
【0013】本発明で好ましく用いられる高吸放湿性有
機微粒子はその20℃65%RHにおける水分率の大き
さから、非生体系ポリマーの高吸放湿性有機微粒子であ
ることが好ましく、特に好ましい化学組成は後述する
が、20℃×65%RHでの高吸放湿性有機微粒子の水
分率は30%以上であることが好ましい。更に好ましく
は35%以上、最も好ましくは40%以上である。従
来、吸湿性があるとされる微粒子の中で、最も吸湿性が
高いと考えられるものはウールパウダーやケラチンのパ
ウダーであるが、20℃×65%RHでの水分率は高々
15%である。そのほか、デンプンやセルロース、シル
ク、コラーゲンなどの多糖類系微粒子や蛋白質系微粒子
は前記のウールパウダーやケラチンパウダーより小さい
8〜12%程度である。その他尿素樹脂系やメラミン樹
脂系のパウダーもあるが、20℃×65%RHでの水分
率は30%に遠く及ばないと考えられ、好ましくない。
【0014】本発明のポリウレタン系弾性繊維は、20
℃×65%RHにおける吸湿率が0.5%以上、20℃
×95%RHにおける吸湿率が1.5%以上であること
が好ましい。20℃×65%RHにおける吸湿率が1.
0〜5.0%、20℃×95%RHにおける吸湿率が
2.0〜15.0%であることが更に好ましい。
【0015】本発明のポリウレタン系弾性繊維は、20
℃×65%RHと20℃×95%RHにおける吸湿率の
差が1.0%以上であることが好ましく、更に好ましく
は2.0%以上である。この数値は、汗を吸収する能力
を表し、この数値が大きいほどその能力の高いことを意
味する。
【0016】次に、本発明のポリウレタン系弾性繊維の
耐熱性について説明する。まず、本発明のポリウレタン
系弾性繊維の乾熱セット性は、後記の測定法によるPS
D(100%伸長下、乾熱190℃で1分間処理した後
の乾熱セット率)が40%以上であることが好ましい。
この数値が40%より小さい場合、プレセット工程での
生地の寸法安定性悪くなり、好ましくない。より好まし
くは60%以上である。
【0017】次に、本発明のポリウレタン系弾性繊維の
湿熱セット性は、後記の測定法によるPSW(100%
伸長下、60分かけて湿熱で40℃から130℃へ昇温
した後、連続して湿熱130℃で60分間熱処理した後
の湿熱セット率)が80%以下であることが好ましい。
この数値は、染色工程における耐熱性を表すものであ
り、この数値が大きいほど耐熱性が優れることを意味す
る。つまり、PSWが80%より大きいと高温高圧染色
が必要なポリエステル繊維との交編が困難となるととも
に、弾性回復性が低下するため好ましくない。より好ま
しくは75%以下である。
【0018】前記のようなPSDとPSW値を有するポ
リウレタン系弾性繊維は、例えば下記のような方法によ
って得ることができる。重量平均分子量250,000
以下で、分子量分布(MW/MN)が2.0〜3.0の
ポリウレタン系重合体を用い、熱的に平衡に近い状態で
繊維構造を形成させることによって、達成することがで
きる。重量平均分子量が250,000を超え、(MW
/MN)が3.0を超えるような大きな分子量分布を有
するポリウレタン系重合体を用いると、PSDが40%
未満となるか、又はPSWが80%を超えることが起こ
り易く、あまり好ましくない。
【0019】本発明のポリウレタン系弾性繊維に用いる
ポリウレタン重合体は、ポリオールと過剰モルのジイソ
シアネート化合物からなる両末端がイソシアネート基で
ある中間重合体を、N,N‘−ジメチルアセトアミド、
ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶剤に溶解
し、ジアミン化合物を反応させて得ることができる。
【0020】上記ポリオールとしては特に制限はない
が、例えばポリマージオールなどが挙げられる。具体的
には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロ
ピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコー
ル、ポリオキシペンタメチレングリコールおよびポリオ
キシプロピレンテトラメチレングリコールなどのポリエ
ーテルジオール、アジピン酸、セバシン酸、マレイン
酸、イタコン酸、アゼライン酸およびマロン酸などの二
塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレング
リコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、ヘキサメチレングリコールおよびジエチレングリコ
ールなどのグリコール一種または二種以上とから得られ
るポリエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンお
よびポリバレロラクトンなどのポリラクトンジオール、
ポリエステルアミドジオール、ポリエーテルエステルジ
オール、ポリカーボネートジオールなどから選択するこ
とができる。
【0021】ジイソシアネート化合物としては、脂肪
族、脂環族および芳香族のジイソシアネート化合物であ
れば特に制限されない。例えば、メチレン−ビス(4−
フェニルイソシアネート)、メチレン−ビス(3−メチ
ル−4−フェニルイソシアネート)、1,4−トリレン
ジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネー
ト、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、m−
およびp−キシリレンジイソシアネート、メチレン−ビ
ス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−お
よび1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリ
メチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0022】鎖延長剤としてのジアミン化合物は特に制
限されるものではないが、例えばエチレンジアミン、プ
ロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,
3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサン
ジアミンおよびヒドラジンなどが挙げられる。
【0023】本発明のポリウレタン系弾性繊維に好まし
く使用できる高吸放湿性微粒子は非生体系ポリマーから
なる高吸放湿性有機微粒子であることが好ましく、アク
リロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系
重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリル
イソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存し
ているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基
に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基
を1.0mmol/g以上有することが好ましい。限定
されるものではないが、より具体的には、(a)アクリ
ロニトリルを85重量%以上含有するアクリロニトリル
系重合体に、窒素含有量の増加が1.0〜15.0とな
るようヒドラジン処理により架橋構造を導入し、残存し
ているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基
に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基
を1.0mmol/g以上有するアクリル系金属変換粒
子、(b)ジビニルベンゼンまたはトリアリルイソシア
ヌレートによる架橋構造が導入され、かつ、アクリロニ
トリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体
において、残存しているニトリル基を加水分解により塩
型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩
型カルボキシル基を2.0mmol/g以上有するアク
リル系金属変換粒子などが挙げられる。
【0024】これら金属変換粒子は架橋アクリル系重合
体微粒子であるが、その出発微粒子であるアクリロニト
リル系重合体において、アクリロニトリルと併用するモ
ノマーとしては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリ
デン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、p
−スチレンスルホン酸などのスルホン酸含有モノマーお
よびその塩、アクリル酸などのカルボン酸含有モノマー
及びその塩、アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニルな
どが挙げられる。
【0025】次に本発明のポリウレタン系弾性繊維と交
編織する相手素材について述べる。交編織素材は熱可塑
性合成繊維、天然繊維、再生繊維の何れであってもよい
が、熱可塑性合成繊維にあってはポリエステル繊維、ポ
リアミド繊維のいずれかを、天然繊維においては綿、羊
毛、再生繊維にあってはポリノジック繊維を採用するこ
とが望ましい。
【0026】相手素材とポリウレタン系弾性繊維を交編
織する上で特に大きな制約を受けるものではないが、例
えば交織する場合はポリウレタン系弾性繊維に相手素材
を被覆する場合、ポリエステル繊維をポリウレタン系弾
性繊維にカバリングして経糸及び/又は緯糸に用いるの
が一般的である。又、相手素材と交編する場合、直接相
手素材と引き揃えてニットインすることも、カバリング
糸でニットインすることも可能である。
【0027】かかる方法にて得られた伸縮性織編物の染
色加工については、生機をリラックス・精練後プレセッ
トし、染色、乾燥、風合処理を行い、仕上げセットする
一般的な加工工程の採用が可能である。
【0028】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。尚、測定方法、評価方法などは以下の通りである。 (A)微粒子の膨潤度 105℃に設定した乾燥器中に24時間入れて絶乾した
試料約1gを10mlスクリュー管に入れ、垂直に保持
し、試料上面をなるべく平らにして、目盛りからその時
の体積V1(ml)を読み取る。スクリュー管に吸水後
も試料上面より水面が高くなる量の純水を入れ、6時間
垂直に放置後、試料上面の体積V2(ml)を目盛りか
ら読み取る。微粒子の膨潤度は下記式(3)によって求
める。 膨潤度(%)= {(V2−V1)/V1}×100…………(3)
【0029】(B)吸湿率 ポリウレタン系弾性繊維5gを石油エーテル100ml
で洗浄した後、絶乾状態での重量W1(g)を測定す
る。20℃×65%RHの雰囲気下で24時間放置した
後の重量W2(g)を測定し下記式(4)によって、2
0℃×65%RHにおける吸湿率を求める。 20℃×65%RH、吸湿率(%)={(W2−W1)/W1}×100 ……………………………(4) 更に、20℃×95%RHの雰囲気下で24時間放置し
た後の重量W3(g)を測定し、下記式(5)によっ
て、20℃×95%RHにおける吸湿率を求める。 20℃×95%RH、吸湿率(%)={(W3−W1)/W1}×100 ……………………………(5)
【0030】(C)乾熱セット率(PSD) 初期長22.5cm(L1)のポリウレタン系弾性繊維
を100%伸張下で乾熱190℃で1分間処理したあ
と、室温で10分間放縮、冷却させた後の糸長(L2)
を測定し、下記式(6)にて算出した。 PSD(%)={(L2−L1)/L1}×100…………(6)
【0031】(D)湿熱セット率(PSW) 初期長9.5cm(L3)のポリウレタン系弾性繊維を
100%伸張下で湿熱40℃から130℃への昇温60
分後、連続して湿熱130℃で60分処理した後、室温
下で10分間放縮、冷却させた後の糸長(L4)を測定
し、下記式(7)にて算出した。 PSW(%)={(L4−L3)/L3}×100…………(7)
【0032】(E)微粒子の水分率 試料約2gを洗浄し絶乾したシャーレに採取し、部分的
に小さな穴をあけたアルミホイルをかぶせ、微粒子が飛
び散らないように留意して、20℃×65%RHに設定
した恒温恒湿器中に24時間入れた後のシャーレの重量
W4を測定する。その後105℃に設定した乾燥機の中
に24時間入れた後のシャーレの重量W5(g)を測定
する。20℃×65%RHにおける微粒子の水分率は下
記式(8)により求める。 水分率(%)={(W4−W5)/W5}×100……………(8)
【0033】(F)微粒子中の塩型カルボキシル基濃度 十分乾燥した供試微粒子約1gを精秤し(X(g))、
これに200gの水を加えた後、50℃に加温しながら
1N塩酸水溶液を添加してpH2に調整し、次いで0.
1N苛性ソーダ水溶液で常法に従って滴定曲線を求め
た。この滴定曲線からカルボキシル基に消費された水酸
化ナトリウム水溶液消費量(Y(cc))を求め、下記
式(9)によってカルボキシル基濃度を算出した。 カルボキシル基濃度=0.1×Y/X………………………(9) 別途、上述のカルボキシル基量測定操作において1N塩
酸水溶液の添加によるpH2 への調整をすることなく
同様に滴定曲線を求めカルボン酸濃度を求めた。これら
の結果から下記式(10)により塩型カルボキシル基濃
度を算出した。塩型カルボキシル基濃度=カルボキシル
基濃度−カルボン酸濃度………(10)
【0034】(G)ポリウレタン重合体の重量平均分子
量と分子量分布 分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)を用い、東ソー(株)製カラムTSKgel
(R) GMHXLを用い、カラム温度40℃、流速0.7
ml/min 検出器RIで行った。重量平均分子量
(MW)と数平均分子量(MN)を求め、その比(MW
/MN)を分子量分布として求めた。
【0035】(実施例1)分子量1800のポリオキシ
テトラメチレングリコール200部とメチレン−ビス
(4−フェニルイソシアネート)45部を80℃で3時
間反応させ、両末端イソシアネート基の中間重合体を得
た。中間重合体を40℃まで冷却した後、N,N−ジメ
チルアセトアミド375部を加え10℃まで冷却した。
エチレンジアミン4.0部、ジエチルアミン0.4部を
N,N−ジメチルアセトアミド147.6部に溶解した
ジエチルアミン溶液を用意し、高速攪拌されている中間
重合体溶液へジエチルアミン溶液を一気に添加し、溶液
濃度32.2重量%、粘度2500ポイズ(30℃)の
ポリウレタン重合体溶液を得た。
【0036】こうして得たポリウレタン重合体溶液に、
n−ブチルアミン/N,N−ジメチルヒドラジン末端封
鎖ポリマー4%、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダ
ードフェノール系化合物を添加混合する。(ポリウレタ
ン重合体の重量平均分子量は200,000、分子量分
布(MW/MN)は2.3であった。)
【0037】引続き、アクリロニトリル、アクリル酸メ
チル、p−スチレンスルホン酸ソーダ及び水からなる原
料微粒子水分散体をヒドラジン架橋し、NaOHにて加
水分解処理した、平均粒径0.5μm(光散乱光度計で
測定)、膨潤度80%、20℃×65%RHでの水分率
が45%の高吸放湿性有機微粒子(ナトリウム塩型カル
ボキシル基量は5.4mmol/gであった。)を5重
量%前記ポリウレタン重合体溶液に添加混合し紡糸原液
とした。
【0038】紡糸原液を脱泡後、孔径0.5mmの口金
から吐出し、235℃の加熱空気を流した紡糸筒内に押
し出し、油剤を5%OWF付与して速度550m/分で
巻き取った。得られた糸条を40℃で72時間加熱処理
し、後加工に供する33dtex、4フィラメントのポ
リウレタン弾性繊維を得た。このポリウレタン弾性繊維
の20℃×65%RHにおける吸湿率は2.0%、20
℃×95%RHにおける吸湿率は4.4%、PSDは6
2%、PSWは63%であった。
【0039】得られたポリウレタン弾性繊維と44dt
exのポリエステルフィラメントで2ウェイトリコット
を編成し、リラックス処理、185℃−45秒のプレセ
ット処理、130℃−30分での分散染色、40秒間の
ファイナルセットを実施し加工生地を得た。この生地を
用いて女性用ショーツを作成し、20名の着用テストを
実施した。被験者20名のうち、蒸れ感の改善を8名が
体感した。
【0040】(実施例2)実施例1と同じ高吸放湿性有
機微粒子15重量%をポリウレタン重合体溶液に添加混
合し、紡糸原液を得た。実施例1と同一条件にて紡糸、
後加工を実施し、2ウェイトリコット生地を得た。この
ポリウレタン弾性繊維の20℃×65%RHにおける吸
湿率は4.0%、20℃×95%RHにおける吸湿率は
8.3%、PSDは70%、PSWは69%であった。
この生地を用いて女性用ショーツを作成し、20名の着
用テストを実施した。被験者20名のうち、蒸れ感の改
善を14名が体感した。
【0041】(実施例3)実施例1と同じ高吸放湿性有
機微粒子30重量%をポリウレタン重合体溶液に添加混
合し、紡糸原液を得た。実施例1と同一条件にて紡糸、
後加工を実施し、2ウェイトリコット生地を得た。この
ポリウレタン弾性繊維の20℃×65%RHにおける吸
湿率は8.0%、20℃×95%RHにおける吸湿率は
13.8%、PSDは73%、PSWは72%であっ
た。この生地を用いて女性用ショーツを作成し、20名
の着用テストを実施した。被験者20名のうち、蒸れ感
の改善を18名が体感した。
【0042】(比較例1)アクリロニトリル、アクリル
酸メチル、p−スチレンスルホン酸ソーダ及び水からな
る原料微粒子水分散体をヒドラジン架橋し、NaOHに
て加水分解処理した、平均粒径22.5μm(光散乱光
度計で測定)、膨潤度240%の高吸放湿性有機微粒子
を5重量%前記ポリウレタン重合体溶液に添加混合し紡
糸原液とし、加熱空気温度を280℃とし、巻き取り速
度を550m/分とする以外は実施例1と同一条件にて
紡糸を行ったが、繊維表面への粒子がブリードアウトし
ており、ガイド磨耗が著しく、紡糸糸切れが多かった。
後加工においてもガイドにスカムが付着し、糸切れが多
く、安定生産出来なかった。
【0043】(比較例2)実施例1と同一の高吸放湿性
有機微粒子を0.1重量%添加混合し、紡糸原液を得
た。実施例1と同一条件にて紡糸及び後加工を行い2ウ
エィトリコット生地を得た。得られたポリウレタン弾性
繊維の20℃×65%RHにおける吸湿率は1.5%、
20℃×95%RHにおける吸湿率は1.8%、PSD
は61%、PSWは62%であった。この生地を用いて
女性用ショーツを作成し、20名の着用テストを実施し
たが蒸れ感の改善を体感した被験者は存在しなかった。
【0044】(比較例3)ポリウレタン重合体を重量平
均分子量:400,000、MW/MN:4.2のもの
に変更した重合体溶液を用いる他は、実施例1と同様に
して、ポリウレタン弾性繊維を得た。このポリウレタン
弾性繊維の20℃×65%RHにおける吸湿率は2.0
%、20℃×95%RHにおける吸湿率は4.4%、P
SDは28%、PSWは92%であった。
【0045】得られたポリウレタン弾性繊維と44dt
exのポリエステルフィラメントで2ウェイトリコット
を編成し、リラックス処理、185℃−45秒のプレセ
ット処理、130℃−30分での分散染色、40秒間の
ファイナルセットを実施し加工生地を得た。プレセット
工程での生地の寸法安定性悪く、また高温高圧染色後の
弾性回復性が実施例1のものに比較して劣る、好ましく
ないものであった。
【0046】
【発明の効果】本発明のポリウレタン系弾性繊維および
それを用いた織編物によれば、後加工通過性が良好で、
優れた耐熱性を有し、かつ運動時の発汗で発生した水蒸
気を速やかに肌から除き、蒸れないストレッチ衣料を提
供することが可能となった。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量250,000以下で、
    分子量分布(MW/MN)が2.0〜3.0のポリウレ
    タン系重合体から形成され、平均粒径が20μm以下の
    アクリル系金属変換粒子からなる高吸放湿性有機微粒子
    を繊維重量に対し、0.2〜50重量%含有するポリウ
    レタン系弾性繊維であって、20℃×65%RHにおけ
    る吸湿率が0.5%以上、20℃×95%RHにおける
    吸湿率が1.5%以上、前記2つの条件における吸湿率
    の差が1.0%以上であり、かつ下記式(1)および
    (2)を満足することを特徴とするポリウレタン系弾性
    繊維。 (但し、PSDは100%伸長下、乾熱190℃で1分
    間処理した後の乾熱セット率を、PSWは100%伸長
    下、60分かけて湿熱で40℃から130℃へ昇温した
    後、連続して湿熱130℃で60分間熱処理した後の湿
    熱セット率をそれぞれ示す。)
  2. 【請求項2】 高吸放湿性微粒子がアクリロニトリルを
    50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラ
    ジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレー
    ト処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル
    基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せし
    めたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmo
    l/g以上有する高吸放湿性有機微粒子であることを特
    徴とする請求項に記載のポリウレタン系弾性繊維。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のポリウレタン系
    弾性繊維を少なくとも一部に用いたことを特徴とする織
    編物。
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