JP3932044B2 - 吸放湿性が改善されたポリウレタン系弾性繊維およびこの繊維を用いた布帛 - Google Patents

吸放湿性が改善されたポリウレタン系弾性繊維およびこの繊維を用いた布帛 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸湿性に優れかつ耐熱性及び後加工通過性が良好なポリウレタン系弾性繊維およびそれを用いた織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維やナイロン繊維、更にはポリウレタン弾性繊維といった合成繊維は、綿や羊毛、絹といった天然繊維とは異なり、親水性官能基含有量が少ないため一般に吸湿性に乏しい。そのため、合成繊維の親水化技術が長年研究され、様々な親水加工が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
ポリウレタン系弾性繊維の吸水性を向上する技術は知られており(例えば、特許文献1参照。)、高い吸水性と高い生体親和性と優れた物理強度とを合わせ持ち、加工性が良好な水不溶性、非イオン性吸水性ポリウレタン糸および溶融紡糸による製造方法が開示されている。しかし、水吸収率が200%以上で、かつ繊維構成高分子自体が高吸水性能を有するため、該繊維は洗濯時や、汗吸水時に繊維表面が膨潤しヌルミ感を呈するため、衣料用途として使用するには問題が生じる。
【0004】
また、ポリマーのポリオール成分に親水性ポリオールである水溶性ポリアルキレンエーテルポリオールを用いることで、ポリウレタン系弾性繊維の吸湿性を高める技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。これによると、前記の問題点は解消され、衣料用途に用いた場合でも風合いに影響しないレベルまで膨潤の影響を低減できることが開示されているが、次のような問題が残る。
【0005】
ポリウレタン系弾性繊維の透湿性を高める技術に、高吸水性ポリマーを混合する方法においては、高吸水性ポリマーとしては、例えばポリアクリル酸系ポリマー、ポリビニール系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、高吸水性ポリウレタンポリマーなどがあるが、これらの高吸水性ポリマーが局在化するため物性低下や紡糸安定性が損なわれるといった問題がある。さらに、該高吸水性ポリマーは一般に架橋されていないため、吸水による膨潤が生じ前記親水性ポリオールを導入するのと同様、ポリウレタン系弾性繊維を膨潤させ、カバリングや編成工程における接糸ガイドなどへのスカム付着に伴う断糸や品位不良といった後加工上の問題を誘発する。なによりも吸湿性能が不十分なものしかできず、20℃×65%RHでの吸湿率は高々4.0重量%程しか得られない。吸湿性を高めようとして高吸水性ポリマーの混合割合を高めると糸の強伸度物性、特に伸度が低下する問題が解決できていない。
【0006】
一方、近年ポリウレタン系弾性繊維への耐熱性の要求が高まっており、特に高温高圧染色が必要なポリエステル繊維との交編織が可能なポリウレタン系弾性繊維が古くから望まれてきた。こういった要求に対し、ポリウレタン溶液よりポリウレタン重合体を成型後熱処理により高分子量化する技術がポリウレタン系弾性繊維の耐熱性を高める技術として知られている(例えば、特許文献3及び4参照。)。しかし、これらの技術によるポリウレタン系弾性繊維は、後加工での熱処理への耐熱性は高まるものの、目的に応じた生地性量にコントロールすることが難しく、歩留まりが悪く後加工通過性に問題があった。
【0007】
更に、先に述べた親水性をポリオール成分に導入すると、後加工で受ける熱処理への耐熱性が低下し、高温高圧染色が必要なポリエステル繊維との交編織が困難になるといった問題がある。
【0008】
【非特許文献1】
染色工業,Vol.47,No.10,491
【特許文献1】
特開平11−81046号公報(請求項1など)
【特許文献2】
特開2001−98423号公報(特許請求の範囲など)
【特許文献3】
特開平5−186557号公報(請求項1、0006、0031など)
【特許文献4】
特開平7−102035号公報(請求項1、0003、0025など)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、運動時の発汗で発生した水蒸気を速やかに肌から除き、蒸れないストレッチ衣料に適した、耐熱性に優れ、後加工通過性が良好なポリウレタン系弾性繊維と、前記ポリウレタン系弾性繊維を用いた織編物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意努力の結果、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は以下の構成よりなる。
1.ジメチルアセトアミドに不溶の高吸放湿性有機物を含有し、前記高吸放湿性有機物がアクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有する高吸放湿性有機微粒子であり、20℃×65%RHでの吸湿率が4.5重量%以上であることを特徴とする吸放湿性が改善されたポリウレタン系弾性繊維。
2.繊維表面積が0.110m2/g以上であることを特徴とする上記第1に記載の吸放
湿性が改善されたポリウレタン系弾性繊維。
3.繊維断面が異形度1.3以上の異形断面であることを特徴とする上記第1または第2に記載の吸放湿性が改善されたポリウレタン系弾性繊維。
4.破断伸度が450%以上であることを特徴とする上記第1から第3のいずれかに記載の吸放湿性が改善されたポリウレタン系弾性繊維。
5.ポリウレタン系弾性繊維が、高吸放湿性微粒子を含有し、該高吸放湿性微粒子が平均粒径20μm以下であり、膨潤度が200%以下、且つ20℃×65%RHにおける水分率が30%以上であり、該高吸放湿性微粒子が繊維重量に対し0.2〜50重量%含有していることを特徴とする上記第1から第4のいずれかに記載の吸放湿性が改善されたポリウレタン系弾性繊維。
6.上記第1から第5のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維を少なくとも一部に用いたことを特徴とする織編物。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき詳述する。
まず、吸湿性を付与する方策として、吸放湿性化合物をポリウレタン系弾性繊維の原料であるポリウレタン重合体またはそのポリウレタン重合体溶液に添加混合し、紡糸することが有効である。吸湿性の高い剤等を布帛表面にバインダーを用いてパディング等により付着させたり、又は表面に露出する繊維に含有せしめる方法も考えられるが、風合いを損ねやすい難点がある他、パディング等においては洗濯耐久性が不十分になり易いという問題があり、あまり好ましくない。ポリウレタン弾性繊維は、通常の使用方法において布帛表面に露出することが少なく、風合いを損ねないという利点があり、ポリウレタン弾性繊維の内部に吸湿性の高い剤を含有せしめることが好ましい態様と言える。紡糸は乾式紡糸、湿式紡糸、溶融紡糸のいずれの方法によっても実施できる。吸放湿性化合物としては、例えばポリアクリル酸系ポリマー微粒子、ポリビニール系ポリマー微粒子、ポリアミド系ポリマー微粒子、ポリウレタン系ポリマー微粒子、多孔質シリカ微粒子などの高吸放湿性微粒子であり、物性低下を防ぎ、紡糸操業性および加工通過性を良好にするためには、該微粒子の粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下、5μm以下であることが更に好ましい。最も好ましくは2μm以下である。これは、前述した目的を達成するために、紡糸過程において高吸放湿性微粒子を繊維に分散させる必要があるからである。粒径が20μmより大きいと、紡糸糸切れや後加工での断糸の原因となる。但し、あまりにも平均粒径が小さ過ぎると、微粒子間の凝集が起こりやすくなり、かえってポリウレタン系弾性繊維内での分散性が悪くなるので、0.1μm以上であることが好ましい。
【0012】
高吸放湿性微粒子のポリウレタン系弾性繊維に対する含有量は0.2重量%以上であることが好ましい。更に好ましくは0.5重量%以上である。0.2重量%より小さいと、吸湿性が乏しくなり好ましくない。但し、あまりにも含有量が大きくなり過ぎると紡糸段階での曳糸性が低下し、断糸が多くなるので、50重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは48重量%以下である。
【0013】
本発明で好ましく用いられる高吸放湿性微粒子の膨潤度は200%以下が好ましく、100%以下であることが更に好ましい。膨潤度が200%を超えると、ポリウレタン系弾性繊維自体が水分による膨潤を生じるため、カバリングや編成でのスカム付着による断糸や、品位不良の原因となる。高吸放湿性微粒子の膨潤度は小さい程よい。本発明のポリウレタン系弾性繊維においては、吸湿による膨潤は高吸放湿性有機微粒子のみに小さく起こるだけで、繊維を形成しているポリウレタン系ポリマーはほとんど吸湿による膨潤を起こさないため、接糸ガイドなどへのスカムの付着に伴う断糸や品位不良の後加工上の問題が少ない。
【0014】
本発明で好ましく用いられる高吸放湿性有機微粒子はその20℃65%RHにおける水分率の大きさから、非生体系ポリマーの高吸放湿性有機微粒子であることが好ましく、特に好ましい化学組成は後述するが、20℃×65%RHでの高吸放湿性有機微粒子の水分率は30%以上であることが好ましい。更に好ましくは35%以上、最も好ましくは40%以上である。従来、吸湿性があるとされる微粒子の中で、最も吸湿性が高いと考えられるものはウールパウダーやケラチンのパウダーであるが、20℃×65%RHでの水分率は高々15%である。そのほか、デンプンやセルロース、シルク、コラーゲンなどの多糖類系微粒子や蛋白質系微粒子は前記のウールパウダーやケラチンパウダーより小さい8〜12%程度である。その他尿素樹脂系やメラミン樹脂系のパウダーもあるが、20℃×65%RHでの水分率は30%に遠く及ばないと考えられ、好ましくない。
【0015】
本発明のポリウレタン系弾性繊維は、20℃×65%RHにおける吸湿率が4.5%以上であることが好ましい。20℃×65%RHにおける吸湿率は5.0%以上であることが更に好ましく、20℃×65%RHにおける吸湿率が6.0以上であることが最も好ましい。4.5%未満では快適な吸湿特性は得られず、好ましくない。但し、あまりにも吸湿率が高くなると繊維表面にヌルミ感が現れるので、9.0%以下であることが好ましい。また9.0%を越えると破断伸度が450%未満となりやすく、いろいろな用途に対応する弾性繊維とはなりにくい。なお破断伸度は500%以上であると風合いが良好であるため特に好ましく、織編物のストレッチ性のコンロールのし易さから800%以下であることが好ましい。
【0016】
本発明のポリウレタン系弾性繊維は、繊維表面積が0.110m2/g以上であることが好ましい。繊維表面積を大きくすると高吸放湿微粒子が繊維表面に現れやすく、その分吸放湿性が向上する。0.500m2/g以上になると破断伸度が450%未満と言った小さい値になりやすいため好ましくない。より好ましい範囲は0.130〜0.400m2/gである。
【0017】
本発明のポリウレタン系弾性繊維は、異形度が1.3以上の異形断面であることが好ましい。これは繊維表面積と大きく関係があるが、また、破断伸度とも関係があることがわかった。単糸繊度を小さくすることでも繊維表面積を大きくすることはできるが、その場合は破断伸度が450%未満となりやすく、多様な用途に使用することが困難な糸になる。しかし、異形度を1.3以上にして繊維表面積を大きくすると破断伸度は450%以上としやすくなる為好ましい。より好ましくは異形度1.5以上の異形断面である。しかし異形度が10を越えると紡糸糸切れが多発しやすくなるので好ましくない。
【0018】
本発明のポリウレタン系弾性繊維に用いるポリウレタン重合体とは、ポリオールと過剰モルのジイソシアネート化合物とを反応させて得られる両末端がイソシアネート基である重合中間体を、N,N‘−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶剤に溶解し、この重合体溶液を冷却後、ジアミン化合物を反応させて得ることができる。
【0019】
上記ポリオールとしては特に制限はないが、例えばポリマージオールなどが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコールおよびポリオキシプロピレンテトラメチレングリコールなどのポリエーテルジオール、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸およびマロン酸などの二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコールおよびジエチレングリコールなどのグリコール一種または二種以上とから得られるポリエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンおよびポリバレロラクトンなどのポリラクトンジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどから選択することができる。またはこれらの混合したものでもよい。
【0020】
ジイソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族および芳香族のジイソシアネート化合物であれば特に制限されない。例えば、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)、メチレン−ビス(3−メチル−4−フェニルイソシアネート)、1,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、m−およびp−キシリレンジイソシアネート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−および1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0021】
鎖延長剤としてのジアミン化合物は特に制限されるものではないが、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミンおよびヒドラジンなどが挙げられる。またこれらの混合したものでもよい。さらにジアミン以外にジオール例えば、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、水などでも良い。
【0022】
本発明のポリウレタン系弾性繊維に好ましく使用できる高吸放湿性微粒子は非生体系ポリマーからなる高吸放湿性有機微粒子であることが好ましく、アクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有することが好ましい。限定されるものではないが、より具体的には、(a)アクリロニトリルを85重量%以上含有するアクリロニトリル系重合体に、窒素含有量の増加が1.0〜15.0となるようヒドラジン処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有するアクリル系金属変換粒子、(b)ジビニルベンゼンまたはトリアリルイソシアヌレートによる架橋構造が導入され、かつ、アクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体において、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を2.0mmol/g以上有するアクリル系金属変換粒子などが挙げられる。塩型カルボキシル基量の上限は通常15mmol/g以下である。
【0023】
これら金属変換粒子は架橋アクリル系重合体微粒子であるが、その出発微粒子であるアクリロニトリル系重合体において、アクリロニトリルと併用するモノマーとしては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、p−スチレンスルホン酸などのスルホン酸含有モノマーおよびその塩、アクリル酸などのカルボン酸含有モノマー及びその塩、アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0024】
乾式紡糸法によりポリウレタン系弾性繊維を紡糸する際に、有機溶媒に不溶な高級放湿性有機物を添加することでその理由、機構はよく解析できないが、高級放湿性有機物が相対的に繊維表面に多く存在するため、吸放湿性に優れた繊維となりやすい。有機溶媒に可溶な有機物では、通常の紡糸条件の変更範囲内であった場合、吸放湿性を有する有機物は繊維断面内でほぼ均等に存在しやすくなる。しかし本発明のように有機溶媒に不溶の高級放湿性有機物であればノズル内の流体速度の比較的遅い繊維表面側への偏在が進みやすくなる。これは吸放湿性を効率よく発揮するばかりでなく、繊維の強伸度物性の低下を防ぐことから、本発明の弾性繊維においては特に、ポリウレタンの有機溶媒であるジメチルアセトアミドに不溶の有機微粒子が好ましく採用される。
【0025】
次に本発明のポリウレタン系弾性繊維と交編織する相手素材について述べる。交編織素材は熱可塑性合成繊維、天然繊維、再生繊維の何れであってもよいが、熱可塑性合成繊維にあってはポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートに代表されるポリエステル繊維、ナイロン6やナイロン66に代表されるポリアミド繊維等のいずれかを、天然繊維においては綿、羊毛、再生繊維にあっては、レーヨン、ポリノジック繊維を採用することが望ましい。
【0026】
相手素材とポリウレタン系弾性繊維を交編織する上で特に大きな制約を受けるものではないが、例えば交織する場合はポリウレタン系弾性繊維に相手素材を被覆する場合、ポリエステル繊維をポリウレタン系弾性繊維にカバリングして経糸及び/又は緯糸に用いるのが一般的である。又、相手素材と交編する場合、直接相手素材と引き揃えてニットインすることも、カバリング糸でニットインすることも可能である。
【0027】
かかる方法にて得られた伸縮性織編物の染色加工については、生機をリラックス・精練後プレセットし、染色、乾燥、風合処理を行い、仕上げセットする一般的な加工工程の採用が可能である。
【0028】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。尚、測定方法、評価方法などは以下の通りである。
【0029】
(A)微粒子の膨潤度
105℃に設定した乾燥器中に24時間入れて絶乾した試料約1gを10mlスクリュー管に入れ、垂直に保持し、試料上面をなるべく平らにして、目盛りからその時の体積V1(ml)を読み取る。スクリュー管に吸水後も試料上面より水面が高くなる量の純水を入れ、6時間垂直に放置後、試料上面の体積V2(ml)を目盛りから読み取る。微粒子の膨潤度は下記式(1)によって求める。
膨潤度(%)= {(V2−V1)/V1}×100…………(1)
【0030】
(B)吸湿率
ポリウレタン系弾性繊維5gを石油エーテル100mlで洗浄した後、絶乾状態での重量W1(g)を測定する。20℃×65%RHの雰囲気下で24時間放置した後の重量W2(g)を測定し下記式(2)によって、20℃×65%RHにおける吸湿率を求める。
Figure 0003932044
【0031】
(C)破断伸度(%)
オリエンテック社製引張試験機テンシロンを使用し、チャック間距離(試料長)50mm、引張速度500mm/分、チャ−ト送り速度250mm/分で引張試験を実施し、破断時の伸度をチャ−トから直読し破断伸度を求める。
【0032】
(D)繊維表面積
光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡による断面拡大写真より画像処理装置にて繊維の断面周囲長L(m)を測定し、繊維表面積を算出した。
繊維表面積(m2/g)=L×10000/(単繊維繊度[dtex])
(尚、単繊維繊度は糸の総繊度[dtex]を断面拡大写真から数えたフィラメント数で割り返して求める。)
【0033】
(E)異形度
繊維断面の切片を作り写真で観察し、単糸断面の最大内接円直径および外接円直径を測定し、最大内接円直径に対する外接円直径の比で単繊維の異形度を算出する。
【0034】
(F)微粒子の水分率
試料約2gを洗浄し絶乾したシャーレに採取し、部分的に小さな穴をあけたアルミホイルをかぶせ、微粒子が飛び散らないように留意して、20℃×65%RHに設定した恒温恒湿器中に24時間入れた後のシャーレの重量W3を測定す
る。その後105℃に設定した乾燥機の中に24時間入れた後のシャーレの重量W4(g)を測定する。20℃×65%RHにおける微粒子の水分率は下記式(3)により求める。
水分率(%)={(W3−W4)/W4}×100……………(3)
【0035】
(G)微粒子中の塩型カルボキシル基濃度
十分乾燥した供試微粒子約1gを精秤し(X(g))、これに200gの水を加えた後、50℃に加温しながら1N塩酸水溶液を添加してpH2に調整し、次いで0.1N苛性ソーダ水溶液で常法に従って滴定曲線を求めた。この滴定曲線からカルボキシル基に消費された水酸化ナトリウム水溶液消費量(Y(cc))を求め、下記式(4)によってカルボキシル基濃度を算出した。
カルボキシル基濃度=0.1×Y/X………………………(4)
別途、上述のカルボキシル基量測定操作において1N塩酸水溶液の添加によるpH2 への調整をすることなく同様に滴定曲線を求めカルボン酸濃度を求めた。これらの結果から下記式(5)により塩型カルボキシル基濃度を算出した。
塩型カルボキシル基濃度=カルボキシル基濃度−カルボン酸濃度 …(5)
【0036】
(H)ポリウレタン重合体の重量平均分子量と分子量分布
分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、東ソー(株)製カラムTSKgel(R) GMHXLを用い、カラム温度40℃、流速0.7ml/min 検出器RIで行った。重量平均分子量(MW)と数平均分子量(MN)を求め、その比(MW/MN)を分子量分布として求める。
【0037】
(I)高吸放湿性有機物のジメチルアセトアミドに不溶であることに確認方法
20℃の環境下において、ビーカー中のジメチルアセトアミド1リットルの中に有機物1gを投入し、1時間攪拌する。その後有機物を濾紙で濾過し、20℃65%RHの環境下に24時間放置して乾燥させる。その後、濾紙の重量を測定し、当初測定しておいた濾紙のみの重量を差引いて有機物の重量W5(g)を算出する。
下記式(6)に基づき、有機物の溶解度が10%以下のものを不溶であるとする。
溶解度(%)=(1−W5)×100………………………(6)
【0038】
(実施例1)
分子量1800のポリオキシテトラメチレングリコール200部とメチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)45部を80℃で3時間反応させ、両末端イソシアネート基の中間重合体を得た。中間重合体を40℃まで冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド375部を加え10℃まで冷却した。エチレンジアミン4.0部、ジエチルアミン0.4部をN,N−ジメチルアセトアミド147.6部に溶解したジエチルアミン溶液を用意し、高速攪拌されている中間重合体溶液へジエチルアミン溶液を一気に添加し、溶液濃度32.2重量%、粘度2500ポイズ(30℃)のポリウレタン重合体溶液を得た。
【0039】
こうして得たポリウレタン重合体溶液に、n−ブチルアミン/N,N−ジメチルヒドラジン末端封鎖ポリマー4%、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物を添加混合する。(ポリウレタン重合体の重量平均分子量は200,000、分子量分布(MW/MN)は2.3であった。)
【0040】
引続き、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、p−スチレンスルホン酸ソーダ及び水からなる原料微粒子水分散体をヒドラジン架橋し、NaOHにて加水分解処理した、平均粒径0.5μm(光散乱光度計で測定)、膨潤度80%、20℃×65%RHでの水分率が45%の高吸放湿性有機微粒子(ジメチルアセトアミドには不溶であり、ナトリウム塩型カルボキシル基量は5.4mmol/gであった。)を10重量%前記ポリウレタン重合体溶液に添加混合し紡糸原液とした。
【0041】
紡糸原液を脱泡後、Y字のスリットを有する口金から吐出し、235℃の加熱空気を流した紡糸筒内に押し出し、油剤を5重量%付与して引き取り速度550m/分で巻き取った。得られた糸条を40℃で72時間加熱処理し、後加工に供する33dtex、3フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。このポリウレタン弾性繊維の20℃×65%RHにおける吸湿率は6.5%、破断伸度は580%、異形度は1.5、繊維表面積は0.15(m2/g)であった。断面写真からは繊維表面側に、吸放湿性微粒子が偏在していることが観察された。
【0042】
得られたポリウレタン弾性繊維と44dtexのポリエステルフィラメントで2ウェイトリコットを編成し、リラックス処理、185℃−45秒のプレセット処理、130℃−30分での分散染色、40秒間のファイナルセットを実施し加工生地を得た。この生地を用いて女性用ショーツを作成し、20名の着用テストを実施した。被験者20名のうち、蒸れ感の改善を16名が体感した。
【0043】
(実施例2)
丸断面のノズルに変更し、33デシテックス4フィラメントの丸断面繊維とした以外は実施例1と同一条件にて紡糸、後加工を実施し、2ウェイトリコット生地を得た。このポリウレタン弾性繊維の20℃×65%RHにおける吸湿率は4.7%、破断伸度は610%、異形度は1.0、繊維表面積は0.118(m2/g)あった。この生地を用いて女性用ショーツを作成し、20名の着用テストを実施した。被験者20名のうち、蒸れ感の改善を14名が体感した。
【0044】
(実施例3)
実施例1と同じ高吸放湿性有機微粒子30重量%をポリウレタン重合体溶液に添加混合し、紡糸原液を得た。実施例2と同一条件にて紡糸、後加工を実施し、2ウェイトリコット生地を得た。このポリウレタン弾性繊維の20℃×65%RHにおける吸湿率は7.3%、破断伸度は460%、異形度は1.0、繊維表面積は0.110(m2/g)あった。この生地を用いて女性用ショーツを作成し、20名の着用テストを実施した。被験者20名のうち、蒸れ感の改善を18名が体感した。
【0045】
(比較例1)
平均分子量が6000のポリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアナートとからなる吸水率2000重量%のウレタン系吸水性樹脂(ジメチルアセトアミドに可溶)を5重量%前記ポリウレタン重合体溶液に添加混合し紡糸原液とし、加熱空気温度を280℃とし、巻き取り速度を550m/分とする以外は実施例2と同一条件にて紡糸、後加工を実施し、2ウェイトリコット生地を得た。このポリウレタン弾性繊維の20℃×65%RHにおける吸湿率は2.9%、破断伸度は490%、異形度は1.0、繊維表面積は0.117(m2/g)あった。この生地を用いて女性用ショーツを作成し、20名の着用テストを実施した。被験者20名のうち、蒸れ感の改善は2名しか体感できなかった。
【0046】
(比較例2)
ウレタン系吸水性樹脂を15重量%をポリウレタン重合体溶液に添加混合し紡糸原液とし、44デシテックス4フィラメントとした以外は比較例1と同一条件にて糸切れが多発したが紡糸、後加工を実施し、2ウェイトリコット生地を得た。このポリウレタン弾性繊維の20℃×65%RHにおける吸湿率は4.0%、破断伸度は390%、異形度は1.0、繊維表面積は0.101(m2/g)あった。この生地を用いて女性用ショーツを作成し、20名の着用テストを実施した。被験者20名のうち、蒸れ感の改善は4名しか体感できなかった。
【0047】
(比較例3)
比較例1のウレタン混合溶液を用いたこと以外は実施例1と同一条件にて紡糸、後加工を実施し、2ウェイトリコット生地を得た。このポリウレタン弾性繊維の20℃×65%RHにおける吸湿率は3.9%、破断伸度は310%、異形度は1.5、繊維表面積は0.15(m2/g)あった。この生地を用いて女性用ショーツを作成し、20名の着用テストを実施した。被験者20名のうち、蒸れ感の改善は5名しか体感できなかった。また布帛のストレッチ性の低下が顕著であり、風合いが硬いものとなった。
【0048】
【発明の効果】
本発明によって、後加工通過性が良好で、優れた耐熱性を有し、かつ運動時の発汗で発生した水蒸気を速やかに肌から除き、蒸れない伸縮性に富むポリウレタン系弾性繊維とその織編物の提供が可能となった。

Claims (6)

  1. ジメチルアセトアミドに不溶の高吸放湿性有機物を含有し、前記高吸放湿性有機物がアクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有する高吸放湿性有機微粒子であり、20℃×65%RHでの吸湿率が4.5重量%以上であることを特徴とする吸放湿性が改善されたポリウレタン系弾性繊維。
  2. 繊維表面積が0.110m2/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の吸放湿性
    が改善されたポリウレタン系弾性繊維。
  3. 繊維断面が異形度1.3以上の異形断面であることを特徴とする請求項1または2に記載の吸放湿性が改善されたポリウレタン系弾性繊維。
  4. 破断伸度が450%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の吸放湿性が改善されたポリウレタン系弾性繊維。
  5. ポリウレタン系弾性繊維が、高吸放湿性微粒子を含有し、該高吸放湿性微粒子が平均粒径20μm以下であり、膨潤度が200%以下、且つ20℃×65%RHにおける水分率が30%以上であり、該高吸放湿性微粒子が繊維重量に対し0.2〜50重量%含有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の吸放湿性が改善されたポリウレタン系弾性繊維。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のポリウレタン系弾性繊維を少なくとも一部に用いたことを特徴とする織編物。
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