JP4329017B2 - カバリング弾性糸 - Google Patents

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本発明は摩擦特性に優れた緯段が発生し難いポリウレタン弾性繊維(以下、単に弾性繊維と表記することがある。)のカバリング糸に関し、外観品位に優れるだけではなく、吸湿性を具備した快適性に優れる布帛およびパンティーストッキング、肌着等の繊維製品を提供できるカバリング弾性糸に関する。
ポリウレタン系弾性繊維とポリアミド系合成繊維とからなる伸縮性布帛は、主にファンデーション、ソックス、水着、スポーツウエア、レオタード等、多分野の衣料に伸縮機能素材として使用されている。
中でも被覆弾性糸(例えばシングル又はダブルカバリングしたいわゆるカバリング糸、流体交絡による交絡加工糸)と非弾性糸とで構成された混用布帛、例えば交編パンティストッキングは、弾性糸に仮撚加工糸や原糸をカバリングした被覆弾性糸と非弾性糸とを交編したものであるが、染色するといわゆる緯段が発生し、その改善が要求されていた。
経編地においても経筋等の欠点を減少させる為に、編立て及び検査工程において、厳しい生産管理が必要になり、歩留まりが大幅に低下していた。加えて、染色加工工程において経筋の目立ち易い色調や無地染めを避け、欠点の目立ちにくいプリント染色を行うことを余儀なくされていた。
またナイロン6、ナイロン66繊維に代表されるポリアミド繊維との交編織物においても、ポリウレタン系弾性繊維が染まらないことにより、弾性繊維が伸縮性布帛の外側に露出する、いわゆる、目むきによって布帛の外側にちらちらとポリアミド繊維とは異色の弾性繊維が顔をのぞかせたり、弾性繊維特有のぎらぎらとした光沢、いわゆる、ぎらつきという現象が起こり、著しく布帛の品位を落としているのが現状である。
上記のような問題はポリウレタン弾性繊維は他の衣料用繊維に比べてヤング率が低く、非常に伸びやすいことが原因となっており、よって整経、編み立て等の加工工程におけるガイド等の摩擦抵抗は小さくしなければならない。また、糸同士の粘着性が大きいので粘着防止を有する油剤を付与しなければチーズ上で糸が互いに粘着して解舒性が悪くなり、後加工工程で糸切れが多発する欠点を有している。従って、糸の摩擦抵抗を低下させ(いわゆる平滑性を良くし)、更に解舒性を向上させることが重要であり、そのためにポリウレタン弾性繊維は他の合繊に比べるとかなり多くの油剤を紡糸工程で付着させるのが常である。
特に近年、ポリウレタン弾性繊維は400〜1000m/分という大きな速度で使用されることから、高速走行時における摩擦抵抗を特に小さくすることが要望されている。ところが油剤付着率が高いと、糸が接触する編み機のガイドや編み針等に油剤やスカム(油剤成分によって抽出された糸中のオリゴマーや油剤中の固体または高粘度成分が固体またはペースト状になって分離したもの)が多量に付着するから、製品汚損や風綿吸着による目詰まり等を生じる欠点があり、たびたび掃除する必要が生じる。また、チーズやビームから油剤のしみ出しを起こして、器具、機械等を汚染する欠点も有している。
従来、糸の粘着性と摩擦抵抗を小さくするため、平滑剤としてタルクを用いたり、鉱物油を主体として、これに種々の高級脂肪酸エステル、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、高級脂肪酸のエチレンオキシド付加物、金属石鹸、変成シリコーン等を配合した配合油剤をもちいることが試みられている(例えば、特許文献1、2)。しかし、これらの方法も充分な粘着防止効果が得られなかったり、平滑剤が紡糸機、整経機、編み機等に重大な磨耗を生じさせたり、整経、編み立ての工程のスカムを発生し、糸切れ、製品品位低下等を惹起するなどの欠点を有している。この方法では膠着防止効果が不十分であったり、あるいは高級脂肪酸のマグネシウム塩の凝集は抑制されるが、弾性糸同志の摩擦が低下しすぎて、巻糸体の形状が不良となったり、巻糸体から解舒する際に巻糸体の形状が崩れて糸切れが発生するという問題がある。また、この方法は、弾性糸表面にアミノ基が多数存在すると糸の黄変の原因となったり、これを身につけると皮膚障害を起こす。これを改善するため、アミノ変性シリコーンの量を減少させると高級脂肪酸のマグネシウム塩の凝集による糸切れ等が多発する。
特公昭63−8233号公報 特開平10−259577号公報
また、製糸を構成する合成繊維糸条の単繊維表面に微細な凹凸を形成させることにより、糸と糸、或いは単繊維と単繊維が接触した時の摩擦抵抗を小さくしタオル目の発生のない、高品位の縫製品が得られることが開示されている。(例えば、特許文献3参照)これは、表面がフラットな鏡面ガラスと鏡面ガラスを接触させた時にはピタリとくっついて移動させにくい(摩擦抵抗が大きい)のに比べ、表面に微細な凹凸を有するスリガラスとスリガラスを接触させた時には楽々と移動出来る(摩擦抵抗が小さい)のと同じ現象を利用したものとされている。
特開平6−170707号公報
しかし上記の発明においてはリン化合物とアルカリ土類金属化合物とを反応させることにより析出させた内部析出系微粒子を、0.1重量%以上0.5重量%未満均一に分散含有するポリエステルであって、該糸条をアルカリ化合物の水溶液で減量し微細孔を形成させるものであることから、加工処理を必要とするだけでなく、ポリウレタンでは減量加工をしてもポリエステルみたいに凹凸が形成されないといった課題があり、それはアルカリ溶出性無機微粒子であるシリカゾル、微粒子状シリカ、アルミナゾル、粒子状アルミナ、極微粒酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン等を用いた場合でも同様である。さらに布帛ではなく糸の状態で凹凸を形成させるためには巻き取られたチーズ状態で加工する必要があるが、弾性を有するポリウレタンは巻取硬度が高く、弾性を有しないポリエステルのようにソフトに巻き取ることができないため、チーズ処理をすることでチーズ内部まで均一に凹凸を形成することができないといった問題が残されていた。
主にポリエステルの深色化を目的に様々な方法などが開示されている(例えば、特許文献4〜6、非特許文献1)が、弾性繊維を用いた布帛の品位を改善するために繊維表面に微細な凹凸を設けることを利用したことはなかった。
特公昭59−11709号公報 特公昭46−26887号公報 特開昭52−99400号 繊維工学Vol.22(No.5)p360〜368(May、1969)
本発明はこのような現状を鑑み、前記従来技術の問題を解決し、これらの粘着防止と平滑性の向上を合わせ持つスパンデックス弾性糸を用いたカバリング弾性糸を提供し、品位の優れた布帛提供を可能にするものである。
ポリウレタン弾性繊維を芯糸に、かつ少なくとも1種以上の非弾性繊維を鞘糸に用いたカバリング弾性糸であって、
ポリウレタン弾性繊維は、その表面に凹部および/または凸部を有し、凹部および/または凸部が、ポリウレタンの乾式紡糸時に、ポリウレタンを溶媒で溶解した溶液に、膨潤性を有する有機微粒子、あるいはポリウレタン溶液に使用する溶媒で分散した前記の有機微粒子、を混合して膨潤させた有機微粒子を含む紡糸液を用いて、口金から吐出した後、熱風乾燥することによって形成されてなり、
下記の評価方法で測定される、捲き取り速度10m/minにおける弾性繊維同士の摩擦が3.5g以上20g以下であることを特徴とするカバリング弾性糸。
(弾性繊維同士の摩擦の評価方法)
弾性糸を20℃65%RHの環境にある測定室にて12時間シーズニングする。編成張力測定機(杉原計器株式会社製)を用い、弾性糸を図6のように通し、捲き取りローラーに捲きつける。弾性糸を捲き取りローラーに捲きつけ、捲き取りローラーを10m/minの速度で回転させる。T1を2.0gに合わせて、T2を2分間測定し、レコーダーに記録したチャートから、平均値(f1)を読み取る。続けてフリーローラー2、3をそれぞれ水平方向に360°回転し、弾性糸同士が接触するようにする。捲き取りローラーを、10m/minの速度で回転させる。T2を2分間測定し、レコーダーに記録したチャートから、平均値(f2)を読み取り、下記式から弾性糸/弾性糸の摩擦を算出する。
摩擦(弾性糸/弾性糸)=f2−f1
.凹部および/または凸部は繊維長手方向に連続したものではないことを特徴とする上記1に記載のカバリング弾性糸
.繊維表面上の凸部の最大高さが1μm以上10μm以下であることを特徴とする上記1または2に記載のカバリング弾性糸
4.ポリウレタン溶液の溶媒がジメチルアセトアミドであり、有機微粒子がジメチルアセトアミドに不溶で、かつジメチルアセトアミドに対して10〜200%の膨潤性を有することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のカバリング弾性糸
.有機微粒子が親水性基を有するアクリレート系架橋体であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のカバリング弾性糸
6.親水性基を有するアクリレート系架橋体が、アクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有するアクリレート系架橋体であることを特徴とする上記に記載のカバリング弾性糸。
弾性繊維の摩擦特性を最適化することで取り扱い性に優れ、製品の品位が向上し、さらには吸湿性に優れるため衣料に使用した場合快適なものとなる。
本発明の弾性繊維は繊維表面に凹部および/または凸部を有することが好ましい。弾性繊維の繊維表面に形成された凹部および/または凸部が動摩擦に影響し、それが布帛の品位の向上に大きく寄与することを本発明者らは発見した。弾性繊維の繊維表面に凹部および/または凸部を形成することで、テンション変動の原因の一つであった編成時におけるガイドや編み針とのスティックスリップ現象が解消し、編地の品位が著しく向上するのである。凹部および/または凸部を有さない弾性繊維はガイドや編み針との接触面積が大きいため摩擦力が大きく働き、時に糸長手方向の摩擦変動から編段やストリークといった品位欠点が発生しやすかった。
また、その繊維表面の凹部および/または凸部は繊維長手方向に連続したものでない方が好ましい。繊維長手方向に連続したもはガイド等との接触面積が小さくなり、摩擦力低減には効果はあるが、連続しているよりも非連続な凹部および/または凸部であるほうが相手糸との摩擦が低減し、編成時のテンション歪みを分散し、均一化しているのではないかと推定している。繊維表面の凹部および/または凸部は繊維長手方向に連続したものとしては、特開平11−279897のような歯形断面が例としてあげられる。
さらに繊維表面の凸部の最大高さが1μm以上であることが好ましい。凸部の最適な高さは繊維表面の曲率にも影響するとは予想されるが、通常の衣料に用いる弾性繊維であれば上記範囲の高さで製品品位の向上が図れる。1μm未満であると凹部および/または凸部の個数次第では繊維表面の摩擦が低くならず製品品位が悪くなりやすい。より好ましくは2μm以上であり、さらには3μm以上が一層好ましい。但し、あまりにも凸部の最大高さが高すぎると、摩擦時に凸部が脱落し易くなるので、10μm以下であることが好ましい。
本発明の弾性繊維は油剤付着量が8重量%以下で有ることが好ましい。8重量%を越える場合、例えば繊維表面摩擦を低下させるためにシリコン系のオイルを8重量%を越えて付着させた場合、ガイド等に油剤カスがたまり、そのままにしておくとテンションがだんだん高くなり、あるところで油剤カスが落ちたり糸に引っ付いて布帛に付着することで品位が低下したり、それを防止するために頻繁に清掃することで操業性が低下しやすいといった問題があった。本発明の弾性繊維は繊維表面に凹部および/または凸部を設けることで繊維表面摩擦を低下させることができ、その分油剤付着量を低減できるのも大きな特徴の一つであり、そうすることで、品位や操業性が向上する。より好ましくは6重量%以下であり、さらには4重量%以下が一層好ましい。
本発明の弾性繊維は100m/minにおけるナイロン繊維との摩擦が8g以下で有ることが好ましい。弾性繊維はとくにナイロン繊維と組み合わせて使用される場合が多く、その場合、上記記載のように編成時のテンション歪みを分散し均一化するためナイロン繊維との摩擦特性が製品品位に影響するのである。8gを越えるとわずかなテンションの変化でもそれに対応する弾性繊維の伸張率の変化割合が大きく製品品位に影響しやすい。換言すればテンションの絶対値が低い方が多少のテンション変動があっても、それに対応する弾性繊維の伸張率の変化割合が小さく製品品位にはあまり影響しない。より好ましくは6g以下であり、さらには4g以下が一層好ましい。
また、摩擦特性として100m/minにおけるナイロン繊維との摩擦の変動幅が2g以下であることが好ましい。2gを越えると糸長手方向の摩擦変動幅が大きすぎ、品位が安定しにくくなる。摩擦の変動幅はずばり製品品位に影響し、できるかぎり変動幅が小さい方が製品品位が良くなり、編段やストリークが低減される。この理由としては本発明の弾性繊維の繊維表面には全体的にランダムに凹部および/または凸部を有するために糸条走行時には摩擦力の変動が少なくなるためであると考えている。より好ましくは1g以下であり、さらには0.7g以下が一層好ましい。
本発明の弾性繊維は単糸断面の異形度が1.2以上であることが好ましい。異形断面であることで肌との接触面積が低減しサラサラ感が向上するが、1.2未満であると繊維表面の凹部及び/または凸部の数が少ない場合、サラサラ感が確認しづらくなることがある。異形度は単糸断面の外接円の半を内接円の半径で除した比で表され、より好ましくは1.5以上であり、さらには2以上が一層好ましい。但し、あまりにも異形度が大きいと紡糸操業性が悪くなる場合があり、10以下であることが好ましい。
本発明の弾性繊維は10m/minにおける弾性繊維同士の摩擦が3.5g以上で有ることが好ましい。低速走行時の弾性繊維同士の摩擦は弾性繊維の巻き形状体の崩れやすさと相関があり、3.5g未満の場合、チーズの取扱い時、あるいは糸を解舒する時などに綾落ちと呼ばれるパッケージ側面からの端部の糸崩れが発生しやすくなる。より好ましくは4.5g以上であり、さらには5g以上が一層好ましい。但し、あまりにも弾性繊維同士の摩擦が大き過ぎると、この場合にも解舒性が悪くなるので、20g以下であることが好ましい。
本発明の弾性繊維は有機微粒子を含有する。理由は定かではないが、無機微粒子よりも有機微粒子の方が編地の品位が良い。推測ではあるが、有機微粒子の方がモース硬度が低く、ナイロン等の相手糸を引っかけることなく滑らせているせいではないかと思われる。
有機微粒子の弾性繊維に対する含有量は1重量%以上であることが好ましい。更に好ましくは4重量%以上、一層好ましくは8重量%以上である。1重量%より小さいと、繊維表面に凹部及び/または凸部を形成しにくく、また吸湿性が乏しくなり好ましくない。但し、あまりにも含有量が大きくなり過ぎると紡糸段階での曳糸性が低下し、断糸が多くなるので、40重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは20重量%以下である。
本発明で好ましく用いられる有機微粒子はその20℃65%RHにおける水分率の大きさから、非生体系ポリマーの有機微粒子であることが好ましく、特に好ましい化学組成は後述するが、20℃×65%RHでの有機微粒子の水分率は30%以上であることが好ましい。更に好ましくは35%以上、最も好ましくは40%以上である。従来、吸湿性があるとされる微粒子の中で、最も吸湿性が高いと考えられるものはウールパウダーやケラチンのパウダーであるが、20℃×65%RHでの水分率は高々15%である。そのほか、デンプンやセルロース、シルク、コラーゲンなどの多糖類系微粒子や蛋白質系微粒子は前記のウールパウダーやケラチンパウダーより小さい8〜12%程度である。その他尿素樹脂系やメラミン樹脂系のパウダーもあるが、20℃×65%RHでの水分率は30%に遠く及ばないと考えられ、好ましくない。
本発明の弾性繊維は膨潤性を有する有機微粒子を含有する。乾式紡糸は繊維となる成分を溶解した溶液をノズルから吐出したのちに熱風で乾燥させるが、その時にあらかじめ溶媒あるいはその他の液体で有機微粒子を膨潤させその溶液に混合して吐出、乾燥することで、脱溶媒された繊維の表面に凹部及び/または凸部を形成しやすくなることが分かった。無機微粒子のような膨潤性のないものを添加した場合では繊維の表面にできる凹凸はあまり顕著でなく、従来で有ればポリエステルの場合では減量加工をしてはじめて凹凸が顕著に現れる。しかし本発明の場合は熱風による乾燥で繊維内の溶媒が除去され、一方、それとはおそらく同時ではないタイミングで有機微粒子内の溶媒あるいは液体が除去されることで顕著な凹凸を形成しているものと推測している。
上記のような製法を採用する場合、一般的なウレタン弾性繊維の製造時に溶媒として採用されているジメチルアセトアミドに対して上記有機微粒子は不溶であることが好ましく採用される。有機微粒子がこれらの溶媒に溶解してしまう場合、通常の乾式紡糸においては有機微粒子は形状をとどめず完全な溶液となるため、繊維の表面に顕著な凹部及び/または凸部を形成しない。これはポリエチレングリコール等のポリマーをウレタンと混合し、溶媒を用いて乾式紡糸した過去の発明からも知ることができる。ウレタンの溶媒として採用されているジメチルアセトアミドに対して有機微粒子が不溶であることで、従来設備を用いて繊維の表面に凹部及び/または凸部を有する弾性繊維を容易に製造できる。
また、本発明の弾性繊維に好ましく含有されている有機微粒子がジメチルアセトアミドに対して10%から200%の膨潤性を有することが好ましい。一般的なウレタン弾性繊維の製造時に溶媒として採用されているジメチルアセトアミドに対して膨潤性を有していれば、従来設備をそのまま転用し、重合を完了させた後の任意の段階で、有機微粒子あるいはポリウレタン溶液に使用している溶媒で分散した有機微粒子を添加し、紡糸することができる。膨潤性が10%未満であると顕著な凹部及び/または凸部を形成しにくく、200%を越えると、乾式紡糸の時に溶媒を十分除去できず繊維の強力が著しく低下したり、あるいは紡糸糸切れが発生しやすいため好ましくない。より好ましくは20〜100%であり、さらには30〜70%が一層好ましい。
本発明の弾性繊維に好ましく含有されている有機微粒子の水分膨潤度が150%以下で有ることが好ましい。膨潤度が150%を超えると、ポリウレタン系弾性繊維に含まれる微粒子自体が水分による膨潤を生じるため、繊維に変形が生じ、カバリングや編成での断糸や、品位不良の原因となる。高吸放湿性微粒子の膨潤度は小さい程よい。より好ましくは100%以下である。本発明のポリウレタン系弾性繊維においては、吸湿による膨潤は有機微粒子のみに小さく起こるだけで、繊維を形成しているポリウレタン系ポリマーはほとんど吸湿による膨潤を起こさないため、断糸や品位不良の後加工上の問題が少ない。
本発明の弾性繊維に好ましく含有されている有機微粒子が親水性基を有するアクリレート系架橋体、つまり非生体系ポリマーからなる高吸放湿性有機微粒子であることが好ましく、アクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有することが好ましい。限定されるものではないが、より具体的には、(a)アクリロニトリルを85重量%以上含有するアクリロニトリル系重合体に、窒素含有量の増加が1.0〜15.0となるようヒドラジン処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有するアクリル系金属変換粒子、(b)ジビニルベンゼンまたはトリアリルイソシアヌレートによる架橋構造が導入され、かつ、アクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体において、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を2.0mmol/g以上有するアクリル系金属変換粒子などが挙げられる。
これら金属変換粒子は架橋アクリル系重合体微粒子であるが、その出発微粒子であるアクリロニトリル系重合体において、アクリロニトリルと併用するモノマーとしては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、p−スチレンスルホン酸などのスルホン酸含有モノマーおよびその塩、アクリル酸などのカルボン酸含有モノマー及びその塩、アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニルなどが挙げられる。
物性低下を防ぎ、紡糸操業性および加工通過性を良好にするため、粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下、5μm以下であることが更に好ましい。最も好ましくは2μm以下である。これは、前述した目的を達成するために、紡糸過程において高吸放湿性微粒子を繊維に分散させる必要があるからである。粒径が20μmより大きいと、添加混合後に粒子が偏析するとともに、繊維表面にブリードアウトするため、紡糸糸切れや後加工でのスカム付着による断糸の原因となる。但し、あまりにも平均粒径が小さ過ぎると、微粒子間の凝集が起こりやすくなり、かえってポリウレタン系弾性繊維内での分散性が悪くなるので、0.1μm以上であることが好ましい。
出発アクリロニトリル(AN)系重合体微粒子を得る方法としては、特に限定はなく利用される用途に応じて、必要とされる粒子径に基づき適宜選択することができる。例えば、ミクロンオーダー以下の極微粒子を得ようとする場合、乳化重合、懸濁沈殿重合、マイクロエマルジョン重合などを用いることができる。また、数100μm前後、あるいはそれ以下の粒子を得ようとする場合には懸濁重合などにより該微粒子を得ることができる。なお、吸湿速度を速くし、また添加剤として使用した時に、被添加物の外観・物性に影響を与えないという点からは粒子径が10μm以下であるものが好ましい。
出発AN系重合体微粒子に、ヒドラジン架橋を導人する方法としては、窒素含有量の増加が 1.0〜15.0重量%となる手段である限り特に限定はないが、ヒドラジン濃度 1%〜80%,温度50〜120 ℃で 0.2〜10 時間処理する手段が工業的に好ましい。ここで、窒素含有量の増加とは原料AN系重合体微粒子の窒素含有量(重量%対微粒子)とヒドラジン架橋AN系重合体微粒子の窒素含有量(重量%対微粒子)との差をいう。なお、窒素含有量の増加が下限に満たない場合は、次工程のカルボキシル基導入のための加水分解により微粒子が水に溶解してしまい、好ましくない。また、上限を超える場合には、次工程で1.0 m mol/g 以上のカルボキシル基を導入すること困難となり、好ましくない。本発明である該増加が 1.0〜15.0重量%となる条件については、反応の温度、濃度、時間等の反応因子と窒素含有量の増加の関係を実験で明らかにすることにより、容易に決定できる。ここに使用するヒドラジンとしては、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硝酸ヒドラジン、臭素酸ヒドラジン等が例示される。
次に、加水分解反応により、ヒドラジン架橋されずに残存しているニトリル基を実質的に消失させ、1.0m mol/g以上の塩型カルボキシル基を導入する方法としては、アルカリ金属水酸化物、アンモニア等の塩基性水溶液、或いは硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸または、蟻酸、酢酸等の有機酸を添加し、加熱処理する手段が挙げられる。本発明である塩型カルボキシル基量が1.0m mol/g以上となる条件については、反応の温度、濃度、時間等の反応因子と導入される塩型カルボキシル基量の関係を実験で明らかにすることにより、容易に決定できる。なお、前記架橋結合の導入と同時に加水分解反応を行うことも出来る。ここにおいて、酸で加水分解した場合にはカルボキシル基を塩型に変換することが好ましい。
カルボキシル基を塩型にする方法としては、上述した加水分解粒子を下記に例示する各種の塩型の水酸化物又は塩で処理する方法が好適である。カルボキシル基の塩型としては、Li,Na,K 等のアルカリ金属、Be,Mg,Ca,Ba等のアルカリ土類金属、Cu,Zn,Al,Mn,Ag,Fe,Co,Ni等の他の金属、NH4 ,アミン等の有機の陽イオンを挙げることか出来る。なお、塩型カルボキシル基が上記下限に満たない場合には高吸放湿性が得づらいので好ましくない。塩型は2種以上を混合しても良いことは勿論である。
本発明で用いるポリウレタン弾性繊維としては、特にポリウレタンウレア弾性繊維が弾性回復特性に優れ、様々な用途に展開することができるため一層好ましい。
ここでいうポリウレタン弾性繊維に用いるポリウレタン重合体は、ポリオールと過剰モルのジイソシアネート化合物からなる両末端がイソシアネート基である中間重合体を、N,N‘−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶剤に溶解し、ジアミン化合物を反応させて得ることができる。
上記ポリオールとしては特に制限はないが、例えばポリマージオールなどが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコールおよびポリオキシプロピレンテトラメチレングリコールなどのポリエーテルジオール、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸およびマロン酸などの二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコールおよびジエチレングリコールなどのグリコール一種または二種以上とから得られるポリエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンおよびポリバレロラクトンなどのポリラクトンジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどから選択することができる。
ジイソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族および芳香族のジイソシアネート化合物であれば特に制限されない。例えば、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)、メチレン−ビス(3−メチル−4−フェニルイソシアネート)、1,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、m−およびp−キシリレンジイソシアネート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−および1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
鎖延長剤としてのジアミン化合物は特に制限されるものではないが、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミンおよびヒドラジンなどが挙げられる。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、20℃×65%RHにおける吸湿率が5%以上であることが好ましい。5%未満であると吸湿性が低すぎるためむれを感じやすくなる。より好ましくは5.5%以上であり、さらには6%以上が一層好ましい。但し、高い吸湿率を得ようと微粒子含有量をあまりにも増やし過ぎると、紡糸操業性が低下するので、20℃×65%RHにおける吸湿率は20%以下としておくことが好ましい。
吸湿性を付与する方策として、吸放湿性化合物をポリウレタン弾性繊維の原料であるポリウレタン重合体に添加混合し、紡糸することが有効である。吸湿性の高い剤等を布帛表面にバインダーを用いてパディング等により付着せしめたり、又は表面に露出する繊維に含有せしめる方法も考えられるが、風合いを損ねやすい難点がある他、パディング等においては洗濯耐久性が不十分になり易いという問題があり、好ましくない。ポリウレタン弾性繊維は、通常の使用方法において布帛表面に露出することが少なく、風合いを損ねないという利点があり、ポリウレタン弾性繊維の内部に吸湿性の高い剤を含有せしめることが好ましい態様である。紡糸は、表面に凹部及び/または凸部を形成しやすいところから乾式紡糸が採用される。
本発明のポリウレタン系弾性繊維は、20℃×65%RHと20℃×95%RHにおける吸湿率の差が1.0%以上であることが好ましく、更に好ましくは2.0%以上である。この数値は、汗を吸収する能力を表し、この数値が大きいほどその能力の高いことを意味する。
本発明の弾性繊維を芯糸に、かつ少なくとも一種の非弾性繊維を鞘糸として使用されることが好ましい。本発明の弾性繊維は表面に凹部及び/または凸部を有することからカバリング糸にし、編立をしたときには外観がきれいなものとなる。これは上述したとおり、摩擦特性が優れていることから、鞘糸の巻付具合が均整なものとなるためと推定している。
本発明の弾性繊維を使用した布帛の表面粗さSMDの値が3ミクロン以上であることが好ましい。SMDはKESと呼ばれる風合い評価方法の一つであって、その中のSMDは布帛表面の粗さを示し、この値が大きいとドライ感を示し、逆に小さいとウェット感を表していると言われている。3ミクロン未満で有ればドライ感に乏しく、弾性繊維が吸湿性を有していても得られた布帛がべたついたものとなりやすく、快適な製品とはなりにくい。より好ましくは3.5以上であり、さらには4.0以上が一層好ましい。但し、あまりにもSMDが大き過ぎると、ひっかかり易くなるので、20ミクロン以下であることが好ましい。
発明の弾性繊維を芯糸に、かつ少なくとも一種の非弾性繊維を鞘糸としたカバリング糸を使用することにより、布帛の品位が向上することが分かった。一般的にポリウレタン弾性繊維は染まらないので交編織した場合、例えばインナー肌着やダイレクトニットインパンスト、ベア天竺といったベア状態でポリウレタン弾性繊維を使用する布帛においては編段やストリークが発生しやすかった。しかし本発明の弾性繊維は、ベア状態における摩擦特性が優れているため、カバリング糸の品位が良く、それに伴い該カバリング糸を用いた布帛の品位が向上し、当然、裸糸を用いた場合は摩擦が低いことから編テンションの変動が少なくなり、従来の弾性繊維に比べれば布帛品位が顕著に改善されるのである。
ポリウレタン弾性繊維と交編織する相手素材は熱可塑性合成繊維、天然繊維、再生繊維の何れであってもよいが、熱可塑性合成繊維にあってはポリエステル繊維、ポリアミド繊維のいずれかを、天然繊維においては綿、羊毛、再生繊維にあってはポリノジック繊維を採用することが望ましい。
相手素材とポリウレタン系弾性繊維を交編織する上で特に大きな制約を受けるものではないが、例えば交織する場合はポリウレタン系弾性繊維に相手素材を被覆する場合、ポリエステル繊維をポリウレタン系弾性繊維にカバリングして経糸及び/又は緯糸に用いるのが一般的である。又、相手素材と交編する場合、直接相手素材と引き揃えてニットインすることも、カバリング糸でニットインすることも可能である。
かかる方法にて得られた伸縮性織編物の染色加工については、生機をリラックス・精練後プレセットし、染色、乾燥、風合処理を行い、仕上げセットする一般的な加工工程の採用が可能である。
よって本発明の弾性繊維は経編地や緯編地に特に好適に採用でき、さらには裸糸を使用する交編編地において品位向上の効果が顕著である。たとえばそれらを用いた繊維製品としては従来公知のものに使用することができるが、特に編段やストリークといった問題の多かったパンティーストッキング、タイツ、肌着、スポーツ衣類、アウターに好適に採用でき、その中でもパンティーストッキング、肌着、水着に最適である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(評価方法の説明)
(A)凸部の高さ
走査型電子顕微鏡を用いて、繊維の側面を1000〜2000倍に撮影し、繊維軸方向における約100μm間の基底部を結んだ線と凸部の頂点との距離をメジャーで測定し、写真倍率で除して求める。
(B)油剤付着量
試料(弾性糸 )約5グラムを正確にはかりとり、200mlの共栓付三角フラスコに入れる。100mlの石油エーテルを加え、室温で10分間はげしく攪拌しながら浸漬させる。試料を取り出し、再び同温度、同容の新しい石油エーテルを用いて同じ操作を繰り返した後、風乾し、105±2℃の乾燥機中に1時間放置し乾燥する。
油剤付着量(%)=(1−W’/W)×100
ここにW :試料採取時の重さ(グラム)、W’:処理後の試料の乾燥重量(グラム)
(C)摩擦とその変動幅
弾性糸/ナイロン糸の摩擦:弾性糸、ナイロン糸(東洋紡ナイロン50T12F−693)を20℃65%RHの環境にある測定室にて12時間シーズニングする。測定機器として図に示す編成張力測定機(杉原計器株式会社製MODEL KS−2)を用い、弾性糸を図のようにセットし捲き取りローラーに捲きつける。ナイロン糸を弾性糸に対してフリーローラー2−3間で4回捲き付け、一端を固定し、一端に荷重30gを掛ける。捲き取りローラーを、100m/minの速度で回転させる。弾性糸の摩擦体入口の張力(T1)を、テンションメーターで測定し、T1が2.0gとなるよう、コンペンセーターで調整する。弾性糸の摩擦体出口の張力(T2)をロードセル(ORIENTEC Japan製)にて2分間測定し、レコーダーに記録したチャートから、平均値、変動幅(最大値−最小値)を読み取る。
(D)弾性繊維同士の摩擦
弾性糸を20℃65%RHの環境にある測定室にて12時間シーズニングする。測定機器として図に示す編成張力測定機(杉原計器株式会社製)を用い、弾性糸を図のように通し、捲き取りローラーに捲きつける。捲き取りローラーを、10m/minの速度で回転させる。弾性糸/ナイロン糸摩擦測定と同様に、T1を2.0gに合わせて、T2を2分間測定し、レコーダーに記録したチャートから、平均値(f1)を読み取る。続けてフリーローラー2、3をそれぞれ水平方向に360°回転し、弾性糸同士が接触するようにする。捲き取りローラーを、10m/minの速度で回転させる。T2を2分間測定し、レコーダーに記録したチャートから、平均値(f2)を読み取り、下記式から弾性糸/弾性糸摩擦を算出する。
弾性糸/弾性糸摩擦=f2−f1
(E)異形度
走査型電子顕微鏡を用いて、繊維の断面を1000〜2000倍に撮影し、得られた断面写真に対して、繊維一本の断面における外接円の半径を内接円の半径で除した値を異形度とする。
(F)微粒子の水分膨潤度
105℃に設定した乾燥器中に24時間入れて絶乾した試料約1gを10mlスクリュー管に入れ、垂直に保持し、試料上面をなるべく平らにして、目盛りからその時の体積V1(ml)を読み取る。スクリュー管に吸水後も試料上面より水面が高くなる量の純水を入れ、6時間垂直に放置後、試料上面の体積V2(ml)を目盛りから読み取る。微粒子の膨潤度は下記式によって求める。
膨潤度(%)= {(V2−V1)/V1}×100
(G)微粒子の水分率
試料約2gを洗浄し絶乾したシャーレに採取し、部分的に小さな穴をあけたアルミホイルをかぶせ、微粒子が飛び散らないように留意して、20℃×65%RHに設定した恒温恒湿器中に24時間入れた後のシャーレの重量W4を測定する。その後105℃に設定した乾燥機の中に24時間入れた後のシャーレの重量W5(g)を測定する。20℃×65%RHにおける微粒子の水分率は下記式により求める。
水分率(%)={(W4−W5)/W5}×100
(H)微粒子の平均粒径
光散乱光度計(大塚電子社製ELS−800型式)を用いて、光度計の添付仕様書に従って微粒子の平均粒径を求めた。
(I)有機溶媒の膨潤度
20℃の環境下において、有機溶媒としてジメチルアセトアミド100ccの中に有機微粒子5gを投入し、24時間放置する。その後有機微粒子を濾紙で濾過し、濾紙ごと重量J1を測定する。そしてあらかじめ測定していたジメチルアセトアミドで十分濡らした濾紙の重量J2から、下記式に基づいて算出する。
膨潤度(%)=(J1−J2−5)/5×100
(J)有機溶媒に対する不溶性
20℃の環境下において、有機溶媒としてジメチルアセトアミド1リットルの中に
有機物1gを投入し、デシケーターで1時間攪拌する。その後有機物を濾紙で濾過し、
その後20℃65%RHの室内において24時間放置し溶媒を除去する。
有機物が載った濾紙の重量を測定し、当初測定しておいた濾紙のみの重量を引き有機物の重量(x)を算出する。
下記式に基づき、有機物の溶解度が10%以下のものを不溶であるとする。
溶解度(%)=(1−x)×100
(K)弾性繊維の吸湿率
弾性繊維5gを石油エーテル100mlで洗浄した後、絶乾状態での重量W1(g)を測定する。20℃×65%RHの雰囲気下で24時間放置した後の重量W2(g)を測定し下記式(1)によって、20℃×65%RHにおける吸湿率を求める。
20℃×65%RH、吸湿率(%)={(W2−W1)/W1}×100
・・・・・・・・・・・・・(1)
更に、20℃×95%RHの雰囲気下で24時間放置した後の重量W3(g)を測定し、下記式(2)によって、20℃×95%RHにおける吸湿率を求める。
20℃×95%RH、吸湿率(%)={(W3−W1)/W1}×100
・・・・・・・・・・・・・(2)
(L)SMD
特開平06−280125の[0021]〜[0023]に記載されている方法に準拠して測定した。
(実施例1)
主に弾性繊維に関しての実施例を記す。
分子量1800のポリオキシテトラメチレングリコール200部とメチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)45部を80℃で3時間反応させ、両末端イソシアネート基の中間重合体を得た。中間重合体を40℃まで冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド375部を加え10℃まで冷却した。エチレンジアミン4.0部、ジエチルアミン0.4部をN,N−ジメチルアセトアミド147.6部に溶解したジエチルアミン溶液を用意し、高速攪拌されている中間重合体溶液へジエチルアミン溶液を一気に添加し、溶液濃度32.2重量%、粘度2500ポイズ(30℃)のポリウレタン重合体溶液を得た。
こうして得たポリウレタン重合体溶液に、n−ブチルアミン/N,N−ジメチルヒドラジン末端封鎖ポリマー4%、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物を添加混合する。
一方、アクリロニトリル450部、アクリル酸メチル40部、P-スチレンスルホン酸ソーダ16部及び水1181部を2l容量のオートクレイブ内に仕込み、更に重合開始剤としてジ-tert-ブチルパーオキサイドを単量体全量に対して 0.5%添加した後、密閉し、次いで撹拌下において 150℃の温度にて23分間重合せしめた。反応終了後、撹拌を継続しながら約90℃まで冷却し、平均粒子径 0.5μm (光散乱光度計で測定)の原料微粒子Iの水分散体を得た。原料微粒子Iの水分散体に、浴中濃度が35%となるようにヒドラジンを加え、102℃で 2.5時間架橋処理を行った。続いて浴中濃度が10%となるようにNaOHを加え、 102℃で 5時間加水分解処理を行った後、セルロースチューブに入れて流水中で 1週間透析・脱塩し、微粒子の水分散体を得た。平均粒径0.5μm(光散乱光度計で測定)、ジメチルアセトアミドに対する膨潤度および溶解度がそれぞれ60%と2%であり、水分膨潤度80%、20℃×65%RHにおける水分率が45%の高吸放湿性有機微粒子(ナトリウム塩型カルボキシル基量は5.4mmol/gであった)を15重量%前記ポリウレタン重合体溶液に添加し、ミキサーにて3時間混合し紡糸原液とした。
紡糸原液を孔径0.6mmの口金から吐出し、245℃の加熱空気を流した紡糸筒内押し出し、油剤を4%OWF付与して速度550m/分で巻き取った。得られた糸条を40℃で72時間加熱処理し、後加工に供する33dtex、2フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。得られたポリウレタン弾性繊維の断面は繭型で、異形度は2.1であり、高さ3.5μmの凸部を有していた。20℃×65%RHにおける吸湿率は6.5%、20℃×95%RHにおける吸湿率は13.8%であった。弾性繊維の摩擦特性はナイロン繊維との摩擦は2.4gであり、その変動幅は0.5gであった。またウレタン繊維同士の摩擦は5.2gであった。
得られた弾性繊維に、巻き糸としてナイロン6の通常延伸糸10dtex、5filの糸条を用い、カバリングの際の芯糸ドラフトを3.3、下撚り数2900回/m、上撚り数2450回/mにそれぞれ設定し、ダブルカバリング糸を製造した。
上記のカバリング糸とウーリーナイロン(17デシテックス3フィラメント)を交互に4口パンティストッキング編み機(口径4インチ、編み針本数400本)に供給し編立、プリセット、裁断、縫製、染色加工、ファイナルセットの一連の後加工を行いパンティストッキングを得た。表面感の均一性が非常に優れたものであった。
得られたパンティーストッキングの表面粗さは4.7ミクロンで、ドライ感のあるものであった。20名の着用テストを夏季に実施した。その結果、被験者20名のうち、19名が外観品位に優れるとし、また、18名がさらさら感に優れ快適であるとの回答があった。
参考例1
有機微粒子の含有量を5%にした以外は実施例1に従い、弾性糸を作成した。得られたポリウレタン弾性繊維の断面は繭型で、異形度は2.1であり、高さ2.9μmの凸部を有していた。20℃×65%RHにおける吸湿率は5.3%、20℃×95%RHにおける吸湿率は9.7%であった。弾性繊維の摩擦特性はナイロン繊維との摩擦は4.1gであり、その変動幅は0.8gであった。またウレタン繊維同士の摩擦は4.8gであった。
ポリウレタン弾性糸33デシテックスの糸とナイロン6の56デシテックス−12フィラメントを組合せてカールマイヤー社製トリコット編機(HKS2/180インチ幅・28ゲージ)を使用してハーフ組織ツーウエイトリコットの生地を編成した。この生地を 当業者の知る、通常の染色仕上加工を行ない 経密度100コース/インチ、緯密度58ウェール/インチの表面感の均一性が非常に優れた生地を得た。該生地を身生地に使用してショーツを作製した。20名の着用テストを夏季に実施した。その結果、被験者20名のうち、17名が外観品位に優れるとし、また、14名がさらさら感に優れ快適であるとの回答があった。
(実施例
アクリロニトリル、アクリル酸メチル、p−スチレンスルホン酸ソーダ及び水からなる原料微粒子水分散体をヒドラジン架橋し、NaOHにて加水分解処理した、平均粒径0.5μm(光散乱光度計で測定)、ジメチルアセトアミドに対する膨潤度および溶解度がそれぞれ10%と1%であり、水分膨潤度21%、20℃×65%RHにおける水分率が11%の高吸放湿性有機微粒子(ナトリウム塩型カルボキシル基量は2.4mmol/gであった)を調整作成したものを使用した以外は実施例1に従って弾性繊維を作成した。
得られたポリウレタン弾性繊維の断面は繭型で、異形度は2.1であり、高さ1.2μmの凸部を有していた。20℃×65%RHにおける吸湿率は4.4%、20℃×95%RHにおける吸湿率は7.9%であった。弾性繊維の摩擦特性はナイロン繊維との摩擦は6.5gであり、その変動幅は1.3gであった。またウレタン繊維同士の摩擦は3.8gであった。
さらに実施例1に従ってパンティストッキングを作成した。得られたパンティストッキングの表面粗さは3.1ミクロンで、ドライ感のあるものであった。
20名の着用テストを夏季に実施した。その結果、被験者20名のうち、15名が外観品位に優れるとし、また、14名がさらさら感に優れ快適であるとの回答があった。
参考例2
紡糸原液を孔径0.4mmの口金から吐出し、230℃の加熱空気を流した紡糸筒内押し出し、紡糸速度を200m/minとした以外は実施例1に従い弾性繊維を作成した。得られたポリウレタン弾性繊維の断面は丸形であり、高さ3.5μmの凸部を有していた。20℃×65%RHにおける吸湿率は5.8%、20℃×95%RHにおける吸湿率は12.3%であった。弾性繊維の摩擦特性はナイロン繊維との摩擦は4.3gであり、その変動幅は0.9gであった。またウレタン繊維同士の摩擦は5.1gであった。
さらにこの弾性繊維とナイロンフィラメント(44デシテックス20フィラメント)とを用い丸編地を製造した。表側糸としてナイロンフィラメントを配し弾性糸条を裏側糸となるように配して、28G*38インチφのシングルニット丸編機にて天竺プレーテイング編成を行った。その際の編成性はスムーズで糸切れ等もなかった。得られた生機を公知の方法で精錬、漂白、リラックス、染色、ソーピング、脱水、ファイナルセット(160℃*40秒)工程を通し仕上げ生地を得た。得られた生地の表面粗さは3.7ミクロンで、ドライ感のあるものであった。この生地をランニングシャツとし、20名の着用テストを夏季に実施した。その結果、被験者20名のうち、16名が外観品位に優れるとし、また、18名がさらさら感に優れ快適であるとの回答があった。
(実施例
235℃の加熱空気を流した紡糸筒内押し出し、紡糸速度を300m/minとした以外は実施例1に従い弾性繊維を作成した。得られたポリウレタン弾性繊維の断面は繭型で、異形度は1.5であり、高さ3.3μmの凸部を有していた。20℃×65%RHにおける吸湿率は6.1%、20℃×95%RHにおける吸湿率は13.2%であった。
弾性繊維の摩擦特性はナイロン繊維との摩擦は3.4gであり、その変動幅は0.7gであった。またウレタン繊維同士の摩擦は4.9gであった。
弾性糸を芯糸とし、11デシテックス,5フィラメントのナイロンフィラメントを被覆用糸として、上記芯糸に該被覆用糸をS撚(若しくはZ撚)に一重に被覆し、S撚シングル・カバリング糸(若しくはZ撚シングル・カバリング糸)を得た。このカバリング加工の条件としては、芯糸を総ドラフト3.3倍に伸長し、被覆用糸のカバリング撚数を1500T/mとして行った。次に、このシングル・カバリング糸のみでパンティストッキング編み機(口径4インチ、編み針本数400本)にS撚とZ撚を交互に供給し編立、プリセット、裁断、縫製、染色加工、ファイナルセットの一連の後加工を行いパンティストッキングを得た。得られたパンティストッキングの表面粗さは3.5ミクロンで、ドライ感のあるものであった。20名の着用テストを夏季に実施した。その結果、被験者20名のうち、18名が外観品位に優れるとし、また、18名がさらさら感に優れ快適であるとの回答があった。
参考例3
有機微粒子の含有量を2%にし、油剤付着量を10%にした以外は実施例2に従い、弾性糸を作成した。得られたポリウレタン弾性繊維の断面は繭型で、異形度は2.1であり、高さ1.2μmの凸部を有していた。20℃×65%RHにおける吸湿率は2.0%、20℃×95%RHにおける吸湿率は3.3%であった。弾性繊維の摩擦特性はナイロン繊維との摩擦は7.2gであり、その変動幅は1.8gであった。またウレタン繊維同士の摩擦は3.5gであった。さらに参考例1と同様にハーフ組織ツーウエイトリコットの生地を編成した。編成時に筬にオイルスカムが付着し、断糸が発生したが表面感の均一性がやや優れた生地を得た。該生地を身生地に使用してショーツを作製した。20名の着用テストを夏季に実施した。その結果、被験者20名のうち、10名が外観品位に優れるとし、また、9名がさらさら感に優れるとの回答があった。
参考例4
44dtex、2フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た以外は参考例2に従って弾性繊維を得た。得られたポリウレタン弾性繊維の断面は丸形であり、高さ2.2μmの凸部を有していた。20℃×65%RHにおける吸湿率は5.4%、20℃×95%RHにおける吸湿率は11.5%であった。弾性繊維の摩擦特性はナイロン繊維との摩擦は3.3gであり、その変動幅は1.1gであった。またウレタン繊維同士の摩擦は3.8gであった。さらに参考例1に従いハーフ組織ツーウエイトリコットの生地を編成した。この生地を 当業者の知る、通常の染色仕上加工を行ない 経密度94コース/インチ、緯密度55ウェール/インチの表面感の均一性が非常に優れた生地を得た。該生地を身生地に使用してショーツを作製した。20名の着用テストを夏季に実施した。その結果、被験者20名のうち、16名が外観品位に優れるとし、また、13名がさらさら感に優れ快適であるとの回答があった。
(比較例1)
通常のナイロン6をエクストルーダーで溶融する際に実施例1の有機微粒子をパウダーを添加し15%練り込みのマスターバッチレジンを作成した。そのポリマーを公知のの溶融紡糸法で33デシテックス17フィラメントを作成した。ノズル背圧上昇が顕著で断糸も多発し、得られた繊維も表面には凸部及び凹部を有していなかった。20℃×65%RHにおける吸湿率は5.8%、20℃×95%RHにおける吸湿率は9.1%であった。
(比較例2)
有機微粒子を添加せず、油剤付着量を12%にしたこと以外は参考例2に従った。得られたポリウレタン弾性繊維は丸形であり、凸部及び凹部を有していなかった。20℃×65%RHにおける吸湿率は0.5%、20℃×95%RHにおける吸湿率は0.8%であった。弾性繊維の摩擦特性はナイロン繊維との摩擦は4.5gであり、その変動幅は2.2gであった。またウレタン繊維同士の摩擦は2.9gであった。パンティストッキングは部分的に編段の発生が少しある外観の劣ったものであった。また編成時に編み針にオイルスカムが多量に付着し、断糸が発生した。
得られたパンティストッキングの表面粗さは3.8ミクロンで、ドライ感に劣ったものであった。
20名の着用テストを夏季に実施した。その結果、被験者20名のうち、7名が外観品位に優れるとし、また1名のさらさら感に優れ快適であるとの回答があった。
(比較例3)
平均粒径が1.0〜3.5ミクロンであるシリカ微粒子を8%配合した以外は参考例2に従った。得られたポリウレタン弾性繊維は丸形であり、凸部及び凹部を有していなかった。20℃×65%RHにおける吸湿率は0.7%、20℃×95%RHにおける吸湿率は1.2%であった。弾性繊維の摩擦特性はナイロン繊維との摩擦は12.3gであり、その変動幅は3.6gであった。またウレタン繊維同士の摩擦は3.3gであった。パンティストッキングは部分的に編段の発生が少しある外観の劣ったものであった。得られたパンティストッキングの表面粗さは2.6ミクロンで、ドライ感に劣ったものであった。 20名の着用テストを夏季に実施した。その結果、被験者20名のうち、8名が外観品位に優れるとし、また2名のさらさら感に優れ快適であるとの回答があった。
(比較例4)
有機微粒子の替わりに分子量6500のポリエチレングリコールを混合した以外は実施例1に従った。得られたポリウレタン弾性繊維は異形度が2.2の繭型断面であり、凸部及び凹部を有していなかった。20℃×65%RHにおける吸湿率は2.1%、20℃×95%RHにおける吸湿率は12.4%であった。弾性繊維の摩擦特性はナイロン繊維との摩擦は15.2gであり、その変動幅は2.3gであった。またウレタン繊維同士の摩擦は3.4gであった。パンティストッキングは部分的に編段の発生が少しある外観の劣ったものであった。得られたパンティーストッキングの表面粗さは1.6ミクロンで、ドライ感に劣ったものであった。20名の着用テストを夏季に実施した。その結果、被験者20名のうち、3名が外観品位に優れるとし、また1名のさらさら感に優れ快適であるとの回答があった。
(比較例5)
有機微粒子を45%にした以外は実施例1に従って弾性繊維を作成しようと試みたが、断糸が多発し紡糸できなかった。
本発明のカバリング弾性糸は、特に衣料用に好適な弾性繊維であり、これを使用することにより品位に優れたストレッチ性布帛を提供することができる
本発明の弾性繊維の電子顕微鏡写真の一例である。 比較例1の弾性繊維の電子顕微鏡写真である。 本発明の弾性繊維のナイロン繊維との摩擦特性を示すチャート図の一例である。 比較例1の弾性繊維のナイロン繊維との摩擦特性を示すチャート図である。 弾性繊維のナイロン繊維との摩擦特性を評価する装置の模式図である。 弾性繊維同士の摩擦特性を評価する装置の模式図である。
符号の説明
1:フリーローラー
2:フリーローラー
3:フリーローラー
4:フリーローラー
5:フリーローラー
11:弾性糸
12:コンペンセーター
13:荷重30g
14:ナイロン繊維
15:ロードセル
16:巻取ローラー
17:編み針

Claims (6)

  1. ポリウレタン弾性繊維を芯糸に、かつ少なくとも1種以上の非弾性繊維を鞘糸に用いたカバリング弾性糸であって、
    ポリウレタン弾性繊維は、その表面に凹部および/または凸部を有し、凹部および/または凸部が、ポリウレタンの乾式紡糸時に、ポリウレタンを溶媒で溶解した溶液に、膨潤性を有する有機微粒子、あるいはポリウレタン溶液に使用する溶媒で分散した前記の有機微粒子、を混合して膨潤させた有機微粒子を含む紡糸液を用いて、口金から吐出した後、熱風乾燥することによって形成されてなり、
    下記の評価方法で測定される、捲き取り速度10m/minにおける弾性繊維同士の摩擦が3.5g以上20g以下であることを特徴とするカバリング弾性糸
    (弾性繊維同士の摩擦の評価方法)
    弾性糸を20℃65%RHの環境にある測定室にて12時間シーズニングする。編成張力測定機(杉原計器株式会社製)を用い、弾性糸を図6のように通し、捲き取りローラーに捲きつける。弾性糸を捲き取りローラーに捲きつけ、捲き取りローラーを10m/minの速度で回転させる。T1を2.0gに合わせて、T2を2分間測定し、レコーダーに記録したチャートから、平均値(f1)を読み取る。続けてフリーローラー2、3をそれぞれ水平方向に360°回転し、弾性糸同士が接触するようにする。捲き取りローラーを、10m/minの速度で回転させる。T2を2分間測定し、レコーダーに記録したチャートから、平均値(f2)を読み取り、下記式から弾性糸/弾性糸の摩擦を算出する。
    摩擦(弾性糸/弾性糸)=f2−f1
  2. 凹部および/または凸部は繊維長手方向に連続したものではないことを特徴とする請求項1に記載のカバリング弾性糸
  3. 繊維表面上の凸部の最大高さが1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のカバリング弾性糸
  4. ポリウレタン溶液の溶媒がジメチルアセトアミドであり、有機微粒子がジメチルアセトアミドに不溶で、かつジメチルアセトアミドに対して10〜200%の膨潤性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカバリング弾性糸
  5. 有機微粒子が親水性基を有するアクリレート系架橋体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカバリング弾性糸
  6. 親水性基を有するアクリレート系架橋体が、アクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有するアクリレート系架橋体であることを特徴とする請求項に記載のカバリング弾性糸。
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