JP2017528616A - リヨセルクリンプ繊維 - Google Patents

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Abstract

本発明は、セルロースパルプ及びN−メチルモルホリン−N−オキシド(N−methylmorpholine−N−oxide;NMMO)水溶液を含むリヨセル紡糸ドープを紡糸して製造されたリヨセルマルチフィラメントをクリンピングして製造され、ブルーミング指数が800〜2,000であることを特徴とするリヨセルクリンプ繊維に関する。

Description

本発明は、リヨセル繊維に係り、より具体的には、リヨセルクリンプ繊維に関する。
繊維は、形状的に見たとき、柔軟で細く、太さに対する長さの比、すなわち繊度が非常に大きい線形の物体を意味する。このような繊維は、形態によっては長繊維、準長繊維及び短繊維に分けることができ、原料によっては天然繊維と人造繊維に分けることができる。
昔から、繊維は人間の生活と密接な関係を持ってきたが、初期の繊維は綿、麻、ウール、絹繊維などの天然繊維形態であって、主に被服のための原料として使用された。ところが、産業革命以来、科学技術の発展に伴い、繊維は、被服材料だけでなく、工業用へもその用途が拡大したとともに、文化の発達と人口の増加により急増した需要を満たすために人造繊維分野が新たに開拓された。
人造繊維の場合、風合い及び着心地が天然繊維に負けないだけでなく、強度に優れかつ迅速な水分吸収及び排出機能が卓越して多くの人から愛され続けている。特に、人造繊維の中でも、木材パルプなどの天然素材から合成した再生繊維の場合、天然繊維とほぼ同等の風合いを実現し、人体に無害なものと認識されることにより、益々再生繊維への関心は継続的に増加している。
再生繊維の中で、ビスコースレーヨンは、シルクに匹敵する優れた光沢性及び発色性を持っている繊維であって、過去に広く使用された。しかし、ビスコースレーヨンは、製造過程がやや複雑であり、木材パルプなどを溶かす過程で多くの化学薬品が使用されることにより、環境問題や廃水処理などに対する議論が絶えなかった。このため、キュプラレーヨン、リヨセルなどの既存のビスコースレーヨン繊維を代替するレーヨン系再生繊維、及びセルロースアセテートなどの再生繊維が頭角を現し始めた。
特に、天然パルプ及びアミンオキシド水和物から製造されるリヨセル繊維の場合、既存の再生繊維に比べて優れた引張特性及び風合いを示し、リヨセル繊維の製造時に使用されるアミンオキシド系溶媒は、再利用が可能であり、廃棄の際にも生分解されるなど、生産工程で一切の汚れ物質を発生させないため、最近、環境にやさしい再生繊維としてリヨセル繊維に関する研究がより盛んに行われているのが実情である。
このようなリヨセル繊維の製造方法は、例えば、米国特許第4,416,698号及び同第4,246,221号に記載されているように、アミンオキシド(NMMO)にセルロースが溶解された紡糸ドープを紡糸し、これを凝固させてフィラメントを製造した後、水洗、乾燥し、加工などを経る方式である。また、リヨセル繊維は、自然に捲縮しないため、これを有用に使用するためには、ヨーロッパ公開特許第797,696号に記載された方法に基づいて濡れた繊維を圧縮するか、或いはヨーロッパ公開特許第703,997号に記載された方法に基づいて乾燥蒸気を用いるスタッファーボックス捲縮加工によってクリンプを付与することができる。
但し、従来のリヨセル繊維の場合は、クリンプ形成によるブルーミング性が大きく優れていない。また、ほとんどのリヨセル繊維に関する研究が強度向上などの物理的性質を改善するためだけに止まるので、リヨセル繊維のブルーミング性を効果的に向上させることができる技術研究は引き続き求められている。
そこで、本発明は、クリンプ数及びクリンプ安定性に優れてブルーミング特性がより向上したリヨセルクリンプ繊維を提供しようとする。
本発明に係る好適な実施形態は、セルロースパルプ及びN−メチルモルホリン−N−オキシド(N−methylmorpholine−N−oxide;NMMO)水溶液を含むリヨセル紡糸ドープを紡糸して製造されたリヨセルマルチフィラメントをクリンピングして製造され、下記式1で定義されるブルーミング指数が800〜2,000であることを特徴とするリヨセルクリンプ繊維を提供する。
(式1)ブルーミング指数=ブルーミング因数(BF)×インチあたりのクリンプ数(CN)
式中、ブルーミング因数は下記式2で定義される。
(式2)ブルーミング因数={(永久変形前後の繊維の幅変化)÷(永久変形前後の繊維の長さ変化)}×100
前記実施形態によるリヨセル紡糸ドープは、紡糸ドープの総重量を基準に、セルロースパルプ6〜16重量%、及びN−メチルモルホリン−N−オキシド水溶液84〜94重量%を含むことができる。
この際、前記セルロースパルプは、パルプの総重量を基準に、α−セルロースの含有量が85〜97重量%であり、重合度(DPw)が600〜1700であり得る。
また、前記実施形態によるリヨセルクリンプ繊維は、インチあたりのクリンプ数(CN)が25〜39個/inchであり、前記式2で定義されるブルーミング因数(BF)が30〜50であり得る。
前記実施形態によるリヨセルマルチフィラメントは、引張強度2.0〜3.5g/dのリヨセルモノフィラメントからなることができる。
この際、前記リヨセルモノフィラメントは、繊度が1.0〜8.0デニールであり、伸度が5〜13%であり得る。
本発明によれば、ブルーミング性が向上したリヨセルクリンプ繊維を提供することができる。本発明に係るリヨセルクリンプ繊維は、従来よりもボリューム感向上の効果に優れるとともに、クリンプの形態安定性に優れる。これにより、衣類及び産業素材としての適用時に少量の繊維でも、従来のものと比較したときに同等レベル以上の物性を期待することができる。
本発明の一態様によれば、セルロースパルプ及びN−メチルモルホリン−N−オキシド(N−methylmorpholine−N−oxide;NMMO)水溶液を含むリヨセル紡糸ドープを紡糸して製造されたリヨセルマルチフィラメントをクリンピングして製造され、下記式1で定義されるブルーミング指数が800〜2,000であることを特徴とするリヨセルクリンプ繊維を提供することができる。
(式1)ブルーミング指数=ブルーミング因数(BF)×インチあたりのクリンプ数(CN)
式中、ブルーミング因数は下記式2で定義される。
(式2)ブルーミング因数={(永久変形前後の繊維の幅変化)÷(永久変形前後の繊維の長さ変化)}×100
[ブルーミング因数及びブルーミング指数]
一般に、フィラメントにクリンプを付与する工程を指し示すクリンピング(crimping)とは、捲縮加工とも呼ばれ、人為的に繊維状に紡糸して製造する人造繊維に天然繊維のような質感を与えるために皺を形成する加工法のことをいう。クリンピングされた繊維は、繊維束の間に空気の存在しうる空間が確保されるので、同じ重量であっても大きな体積を形成することができ、これにより、ふんわりとした感触と保温性を確保することができる。さらに、通気性を確保することができ、通気性の確保による抗菌効果をも発揮することができる。しかも、繊維の素材自体が本発明のリヨセルのように生分解性の環境調和型素材であれば、その効果は倍になることができる。
これにより、クリンプが付与されたリヨセル繊維は、アウトドアウェア、インナーウェア、帽子、スポーツソックス、下着類などを含む冬用衣類や布団、衣料用繊維、衛生用品などの繊維素材として使用することもでき、建築や自動車分野などの産業素材としてタイヤコード、各種フィルター、ホース補強材などのMRG(Mechanical Rubber Good)、セメント補強材、自動車内装材補強材などに有用に使用することもできる。
本発明において、前記式1のように定義されたブルーミング指数は、数式から分かるように、リヨセル繊維に形成されたインチあたりのクリンプ数及び永久変形前後の長さの変化率に対する幅の変化率であるブルーミング因数によって決定される値であって、その値が大きくなるほどブルーミング因数またはインチあたりのクリンプ数が多いことを意味する。これにより、ブルーミング指数を用いてリヨセル繊維のブルーミング程度を容易に把握することができ、ブルーミング指数が800未満である場合にはクリンプ数とブルーミング因数との両方を十分なレベルで満たし難く、ブルーミング指数が2000超過である場合には技術的な限界が存在するおそれがあるので、ブルーミング指数は上記の範囲を満足することが好ましい。
本発明では、このようなブルーミング指数の範囲を満たすために、より好ましくは、前記式2のように永久変形前後の繊維の長さ変化に対する幅変化率の百分率値で定義されるブルーミング因数(Blooming Factor)が30〜50を満足することが好ましく、インチあたり測定されるクリンプ数(CN)は25〜39個/inchを満たすことが好ましい。
この際、本発明で定義する「永久変形」とは、クリンプが形成された繊維を引っ張ってから放したときにクリンプが元の形態に回復しない時点を意味し、本発明では実験によってリヨセルクリンプ繊維が4kg.fの荷重で永久変形の挙動を示したので、本発明は荷重4kg.fでの引張を永久変形の基準とすることができる。
もし、クリンプがまともに形成された繊維であれば、インチあたりのクリンプ数が十分であるので、これにより永久変形が起こる前にはクリンプによって繊維がよく膨らまされているが、永久変形が起こった後は、膨らまされた程度が著しく減少してその分だけ幅変化率がかなり大きく観察される。これに対し、クリンプがまともに形成されていない繊維であれば、永久変形前、後のクリンプによる膨らまし(Blooming)程度の差があまり生じない。このようにブルーミング因数が大きいほど、十分なクリンプによってブルーミング性に優れたものと解釈することができ、結果的に満足すべきレベルのブルーミング指数値を得ることができる。
但し、インチあたりのクリンプ数とブルーミング因数は、概念上、反比例的な挙動を示すことができないので、少なくとも確保しなければならないクリンプ数(25個/inch)を考慮すると、ブルーミング因数は30以上であり、クリンプ数を無限に増やすことはできないので、ブルーミング因数も50を超えることは困ることがある。
一方、上述したブルーミング特性を有する本発明のリヨセルクリンプ繊維は、下記(S1)乃至(S5)の段階を経て製造できる。
[(S1)段階]
(S1)段階は、セルロースパルプ及びN−メチルモルホリン−N−オキシド(N−methylmorpholine−N−oxide;NMMO)水溶液を含むリヨセル紡糸ドープを紡糸する段階である。この際、本発明の好適な態様によれば、前記リヨセル紡糸ドープは、セルロースパルプ6〜16重量%、及びN−メチルモルホリン−N−オキシド水溶液84〜94重量%を含むものであり、前記セルロースパルプは、α−セルロースの含有量が85〜97重量%であり、重合度(DPw)が600〜1700であり得る。
前記セルロースパルプの含有量が6重量%未満である場合には、繊維的形態及び特性を実現し難く、16重量%超過である場合には、水溶液に溶解し難く、引張強度が無駄に高くなるおそれがある。また、前記N−メチルモルホリン−N−オキシド水溶液の含有量が84重量%未満であれば、溶解粘度が大幅に高くなって好ましくなく、94重量%超過であれば、紡糸粘度が大幅に低くなって紡糸段階で均一な繊維を製造することが難しいおそれがある。
また、前記紡糸ドープを用いて紡糸口金から吐出させる段階は、80〜130℃の紡糸温度下で行われ得る。前記紡糸口金は、フィラメント状の紡糸ドープをエアギャップ区間を介して凝固槽内の凝固液へ吐出させる役目をするものであって、前記紡糸温度から外れた場合、紡糸ドープの流れ性が不良であるか或いは紡糸ドープの粘度が低くなって吐出量を制御し難いおそれがある。
[(S2)段階]
(S2)段階は、前記(S1)段階で紡糸されたリヨセル紡糸ドープを凝固させてリヨセルマルチフィラメントを得る段階であって、前記(S2)段階の凝固は、冷却空気を紡糸ドープに供給して凝固させるエアクエンチング(Air Quenching、Q/A)による一次凝固段階と、1次凝固した紡糸ドープを凝固液に浸して凝固させる2次凝固段階とを含んで行われ得る。
前記(S1)段階で紡糸口金から紡糸ドープを吐出させた後は、これを前記紡糸口金と凝固槽との間の空間であるエアギャップ区間に通過させることができる。このようなエアギャップ区間には、ドーナツ形の口金内側に位置した空冷部から、口金の内側から外側へ冷却空気が供給されるが、このような冷却空気を紡糸ドープに供給するエアクエンチングによって1次凝固が行われ得る。
この際、(S2)段階で得られるリヨセルマルチフィラメントの物性に影響を与える要因は、エアギャップ区間での冷却空気の温度及び風速であり、(S2)段階の凝固は、4〜15℃の温度及び5〜50m/sの風速を有する冷却空気を紡糸ドープに供給して凝固させることであり得る。前記1次凝固の際に冷却空気の温度が4℃未満である場合には、口金の表面がすぐに冷えてしまい、リヨセルマルチフィラメントも不均一に凝固して紡糸工程性も良くなくなり、15℃超過である場合には、冷却空気による1次凝固が十分に行われないため、これも紡糸工程性に不利な影響を及ぼすおそれがある。
また、1次凝固の際に冷却空気の風速が5m/s未満であれば、冷却空気による1次凝固が十分に行われないため、紡糸工程性が良くなくなって糸切れが発生し、50m/s超過であれば、口金から吐出される紡糸ドープが空気によって揺れながら紡糸工程性が低下するおそれがある。
エアクエンチングによる1次凝固の後、前記紡糸ドープは、凝固液入りの凝固槽に供給されて2次凝固が行われ得る。適切な2次凝固の進行のために、前記凝固液の温度は30℃以下であることが好ましいが、凝固温度が必要以上に高くなくて凝固速度を適切に制御することができる。前記凝固液は、本発明の属する技術分野における通常の組成で製造して使用することができるので、特に限定されない。
[(S3)段階]
(S3)段階は、前記(S2)段階で得られたリヨセルマルチフィラメントを水洗する段階である。具体的には、前記(S2)段階で得られたリヨセルマルチフィラメントを牽引ローラーに導入した後、水洗浴に導入して水洗することができる。前記フィラメントの水洗段階では、水洗後の溶剤の回収及び再利用の容易性を考慮して温度0〜100℃の水洗液を使用することができ、前記水洗液としては水を用いることができ、必要に応じてその他の添加成分をさらに含ませることもできる。
[(S4)段階]
(S4)段階は、前記(S3)段階で水洗されたリヨセルマルチフィラメントをエマルション処理する段階であって、エマルジョン処理の後に乾燥を行うことが好ましい。エマルジョン処理は、マルチフィラメントがエマルジョン中に完全に浸されて埋められる形態で行われ得る。エマルション処理装置の進入ロールと紡出ロールに取り付けられた絞りローラーによってエマルジョンがフィラメントにくっ付く量を一定に維持する。前記エマルジョンは、フィラメントが乾燥ローラー及びガイド、クリンプ段階での接触時に発生する摩擦を減らすことで、クリンプがまともに形成されるように貢献する。
本発明の好適な態様によれば、前記(S1)乃至(S4)段階を経て製造されたリヨセルマルチフィラメントを構成するリヨセルモノフィラメントは、その強度が2.0g/d乃至3.5g/dであることが好ましい。ここで、モノフィラメントとは、紡糸口金の多数のホールから吐出され、凝固、水洗、エマルジョン処理段階を経て繊維化されたマルチフィラメントから分離された一本のフィラメントを意味し、モノフィラメントの強度は、繊維化されたマルチフィラメントから分離された一本のフィラメントの強度を意味することができる。
通常、クリンプを付与する繊維の場合、風合い、ボリューム感、保温性、吸収性などの物性を向上させる場合がほとんどであるため、最小限の強度は確保するが、あまり強度が優れる必要はない。すなわち、前記リヨセルモノフィラメントの強度が2.0g/d未満である場合には、紡糸工程性が低下するおそれがあり、3.5g/d超過である場合には、クリンプ形成後に開繊によるブルーミング付与の際にあまり高い荷重を加えなければならないので、工程効率上好ましくない。
また、前記リヨセルモノフィラメントは、ブルーミング性を考慮して繊度が1.0〜8.0deであることが好ましい。モノフィラメントの繊度が1.0de(デニール)よりも低い場合には、クリンプ形成後の開繊の際に隣接するモノフィラメント間の撚り現象が発生することがあって開繊率が低下するおそれがあり、モノフィラメントの繊度が8.0deよりも高い場合には、クリンプ数を増加させるためにより多くのスチーム及び圧力を与えなければならないので、エネルギー効率上好ましくなく、同じ膨らまし(Blooming)にも相対的に最終製品の重量が増加するおそれがある。
さらに、前記リヨセルモノフィラメントは、5〜13%の伸度を有することができる。その伸度が5%未満である場合には、クリンプ形成後の開繊の際に繊維が容易に切断されて歩留まりが低下するおそれがあり、工程の特性上、モノフィラメントの伸度が13%を超えるように制御することは難しいだけでなく、クリンプを付与する繊維の適用分野を考慮すると、それ以上の優れた伸度を満たす必要はない。
[(S5)段階]
本発明において、(S5)段階は、前記(S4)段階でエマルション処理されたリヨセルマルチフィラメントをクリンピング(crimping)する段階である。本発明のリヨセルクリンプ繊維の場合、(S5)段階でブルーミング性が決定でき、リヨセルマルチフィラメントにスチームを供給し、圧力を加えてクリンプを形成することができる。具体的なクリンピング手段はスタッファーボックス(stuffer box)であり、前記スタッファーボックスはスチームボックス(steam box)及びプレスローラー(Press Roller)を含む手段であり得る。
具体的には、クリンプ方法を考察すると、まず、前記リヨセルマルチフィラメントをスチームボックスに通過させて0.1〜1.0kgf/cmでスチームを付与することにより、フィラメントの温度を上げることが好ましい。この際、スチームボックスのスチーム供給量が0.1kgf/cm未満であれば、プレスローラーでクリンプがスムーズに形成されないか、或いはクリンプが形成されても熱固定が行われないため、形態が維持できず、1.0kgf/cm超過であれば、スタッファーボックス内の温度が120℃以上に上昇してフィラメントが互いにくっ付いてしまうので、スタッファーボックスを通過しなくなる。
スチームボックスを通過した後は、リヨセルマルチフィラメントをプレスローラー(Press Roller)に供給して1.5〜2.0kgf/cmの圧力で圧着することにより、クリンプを形成することができる。この際、プレスローラーを押圧する圧力が1.5kgf/cm未満であれば、所望のクリンプ数が形成されず、2.0kgf/cm超過であれば、押圧力があまりにも強いため、これもフィラメントがスタッファーボックスを通過しなくなることがある。
本発明において、スタッファーボックスを通過しながら形成されたクリンプ数は非常に重要であり、クリンプ数はインチあたり25〜39個/inchであることが好ましい。クリンプ数が25個/inch未満である場合、開繊が容易ではないため、前記式1で定義されるブルーミング因数が30に及ばず、その分だけ幅方向へのブルーミング特性が低調に現れるおそれがあり、プレスローラーの圧力を増加させてもクリンプ数を39個/inch超過にして形成させることは限界がありうる。
[実施例]
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
製造例1
重合度(DPw)820、アルファセルロース含有量93.9%のセルロースパルプをプロピレート含有量0.01重量%のNMMO/HO混合溶剤(重量比90/10)に混合して、濃度12重量%のリヨセル繊維製造用紡糸ドープを製造した。
まず、前記紡糸ドープを紡糸口金の紡糸ノズルから、紡糸温度110℃に維持し且つフィラメントの単繊度が3.37デニールとなるように紡糸ドープの吐出量と紡糸速度を調節して紡糸した。前記紡糸ノズルから吐出されたフィラメント状の紡糸ドープをエアギャップ区間を経て凝固槽内の凝固液に供給した。この際、前記エアギャップ区間における冷却空気は8℃の温度及び10m/sの風速で紡糸ドープを1次凝固させる。
前記凝固液は、25℃の温度と、水85重量%及びNMMO15重量%の濃度とを有するものを使用した。この際、前記凝固液の濃度はセンサーと屈折計を用いて連続的にモニタリングした。牽引ローラーを介して空気層において延伸がなされたフィラメントは、水洗装置からスプレーされた水洗液によって水洗されて残存のNMMOを除去し、フィラメントにエマルジョンが均一にくっ付くようにした後、再び絞ってフィラメントに対するエマルジョン含有量が0.2%を維持するようにし、乾燥ローラーによって150℃で乾燥させてリヨセルフィラメントを製造した。
こうして製造されたリヨセルマルチフィラメントをスタッファーボックス(stuffer box、プレスローラー(Press Roller)圧力1.5kgf/cm)に通過させながら、別のスチーム処理はせず、プレスローラー(Press Roller)のみでクリンプ(Crimp)を付与することにより、最終的にリヨセルクリンプ繊維を製造した。
前記製造されたリヨセルクリンプ繊維を張力のない(tension free)状態で200mmの長さに切断した後、最初地点(0mm位置)と中間地点(100mm位置)をそれぞれ固定した。そして、200mm地点で引張力を加えて長さを50%(50mm)引張し、伸びた位置で終点を固定した。次いで、100mm地点の固定を解除して張力を分散させ、顕微鏡写真を撮って、10mmあたり形成されているクリンプ数(Crimp Number、CN)を求め、CPI(counts per inch)に換算した結果、 製造例1のクリンプ数は7(ea/inch)と測定された。
製造例2〜6
製造例1と同様の方法を適用してリヨセルクリンプ繊維を製造するが、プレスローラー(Press Roller)の圧力を変化させ、クリンプ数がそれぞれ15(ea/inch)、20(ea/inch)、25(ea/inch)、30(ea/inch)及び39(ea/inch)である製造例2〜6を製造した。但し、プレスローラーの圧力を変化させても、クリンプ数はもはや増加しないため、製造例はクリンプ数39ea/inchのものまでのみ製造した。
実施例1〜3
スタッファーボックス内でリヨセル繊維をプレスローラーに通過させる前に熱固定(heat setting)させるために、スチームボックスで圧力1.0kgf/cmのスチーム(120℃)を付与した以外は、製造例4〜6と同様の方法をそれぞれ適用してクリンプ数25(ea/inch)、30(ea/inch)及び39(e/inch)のリヨセルクリンプ繊維(実施例1〜3)を製造した。
比較例1〜3
実施例1〜3のようにスタッファーボックス内でスチーム処理を施した以外は、それぞれ製造例1〜3と同様の方法を適用してクリンプ数7(ea/inch)、15(ea/inch)及び20(ea/inch)のリヨセルクリンプ繊維(比較例1〜3)を製造した。
測定例
製造例1〜6、実施例1〜3及び比較例1〜3をいずれも恒温恒湿(温度:22℃、湿度:55%)の条件で48時間放置した後、UTM(Universal testing machine、INSTRON、モデル:5566、test mode:Tension test)を用いて引張強度をテストした。引張強度テストの結果、荷重が4kgfであるときにクリンプ繊維の永久変形が現れ始めた。これにより、引張強度テスト前のサンプルの長さ(I.length)及び幅(I.width)と、引張強度テスト後に永久変形が起こったサンプルの長さ(A.length)及び幅(A.width)をそれぞれ下記計算式1に代入してブルーミング因数(Blooming Factor:BF)を計算した。
計算式1)ブルーミング因数={(永久変形前後の繊維の幅変化)÷(永久変形前後の繊維の長さ変化)}×100
ここで、永久変形前後の繊維の長さ変化:ΔL=|(A.length)−(I.length)|であり、永久変形前後の繊維の幅変化:ΔW=|(A.width)−(I.width)|である。
また、下記計算式2に示すように、実施例1〜2及び比較例1〜2それぞれのクリンプ数と前記測定されたブルーミング因数との積によってブルーミング指数を求め、その値を下記表1に反映した。
計算式2)ブルーミング指数=ブルーミング因数(BF)×インチあたりのクリンプ数(CN)
Figure 2017528616
前記表1によってブルーミング因数及びブルーミング指数の結果値を比較すると、インチあたりのクリンプ数が25個以上であるとき、ブルーミング因数及び指数が著しく上昇することを確認することができ、特に熱固定を行う場合、ブルーミング指数が800以上に増加してリヨセルクリンプ繊維のブルーミング性が非常に優れることを確認することができた。
特に、クリンプ数が25個以上であっても、熱固定をしないと、ブルーミング因数が30に及ばないため、ブルーミング指数もそれ以上増加しなかった。熱固定をしても、クリンプ数が25に及ばない場合、ブルーミング因数とブルーミング指数との両方を高いレベルに確保することが困難であった。

Claims (7)

  1. セルロースパルプ及びN−メチルモルホリン−N−オキシド(N−methylmorpholine−N−oxide;NMMO)水溶液を含むリヨセル紡糸ドープを紡糸して製造されたリヨセルマルチフィラメントをクリンピングして製造され、
    下記式1で定義されるブルーミング指数が800〜2,000であることを特徴とする、リヨセルクリンプ繊維。
    (式1)ブルーミング指数=ブルーミング因数(BF)×インチあたりのクリンプ数(CN)
    (式中、ブルーミング因数は下記式2で定義される。)
    (式2)ブルーミング因数={(永久変形前後の繊維の幅変化)÷(永久変形前後の繊維の長さ変化)}×100
  2. 前記リヨセル紡糸ドープは、紡糸ドープの総重量を基準に、セルロースパルプ6〜16重量%、及びN−メチルモルホリン−N−オキシド水溶液84〜94重量%を含むことを特徴とする、請求項1に記載のリヨセルクリンプ繊維。
  3. 前記セルロースパルプは、パルプの総重量を基準に、α−セルロースの含有量が85〜97重量%であり、重合度(DPw)が600〜1700であることを特徴とする、請求項2に記載のリヨセルクリンプ繊維。
  4. 前記リヨセルクリンプ繊維は、インチあたりのクリンプ数(CN)が25〜39個/inchであり、前記式2で定義されるブルーミング因数(BF)が30〜50であることを特徴とする、請求項1に記載のリヨセルクリンプ繊維。
  5. 前記リヨセルマルチフィラメントは、引張強度2.0〜3.5g/dのリヨセルモノフィラメントからなることを特徴とする、請求項1に記載のリヨセルクリンプ繊維。
  6. 前記リヨセルモノフィラメントは1.0〜8.0デニールの繊度を有することを特徴とする、請求項5に記載のリヨセルクリンプ繊維。
  7. 前記リヨセルモノフィラメントは5〜13%の伸度を有することを特徴とする、請求項5に記載のリヨセルクリンプ繊維。
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