JPH10158924A - 異形断面再生セルロース繊維およびその製法 - Google Patents

異形断面再生セルロース繊維およびその製法

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JPH10158924A
JPH10158924A JP31110096A JP31110096A JPH10158924A JP H10158924 A JPH10158924 A JP H10158924A JP 31110096 A JP31110096 A JP 31110096A JP 31110096 A JP31110096 A JP 31110096A JP H10158924 A JPH10158924 A JP H10158924A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 N−メチルモルホリン−N−オキシド含有溶
剤を用いた再生セルロース繊維の製法の特徴を活かし、
その繊維特性を、その横断面形状を異形化することによ
って更に改善すると共に、その欠点として指摘されるフ
ィブリル化の問題を解消し、衣料用等として優れた物性
と風合い等を備えた再生セルロース繊維を提供するこ
と。 【解決手段】 N−メチルモルホリン−N−オキシドを
含む溶剤にセルロースを溶解した紡糸原液を用いて再生
セルロースを製造するに当たり、異形断面の紡糸口金を
用いて、乾湿式紡糸法によって紡糸を行ない、横断面の
異形度が1.2以上である再生セルロース繊維を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、N−メチルモルホ
リン−N−オキシド(以下、NMMOと略記する)を含
む溶媒にセルロースを溶解した紡糸原液を用いて得られ
る異形断面の再生セルロース繊維、およびその製法に関
し、特に光沢や染色性、風合いに優れると共に、耐フィ
ブリル性の高められた高品質の再生セルロース繊維を得
る技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】NMMOを含む溶剤を用いた再生セルロ
ース繊維の製法は、例えば特公昭57−11566号や
同60−28848号などにも記載されている如く古く
から知られている。ところが上記溶媒を用いた従来の製
法では、得られる再生セルロース繊維がフィブリル化を
起こし易いという大きな欠点を有しており、汎用化の障
害となっていた。ところがこの方法は、環境に与える悪
影響が少なく且つ経済的にも無駄のない方法であり、ま
た得られる再生繊維の物性もある程度良好であるところ
から、最近再び注目を集めている。
【0003】一方、上記フィブリル化の問題についても
改良研究が進められ、例えば特表平8−501356
号、同7−508320号、特開平8−49167号に
見られる如く幾つかの特許出願もなされているが、現実
には実用規模で満足のいく効果を得るまでには至ってい
ない。
【0004】また、上記溶剤を用いて得られる再生セル
ロース繊維を衣料分野等に適用する場合、繊維そのもの
或は織・編物としたときの光沢や染色性等を含めた風合
いを高める上で、横断面を略真円状のものから異形にす
ることが有効と考えられるが、NMMO含有溶剤を用い
た異形横断面形状の再生セルロース繊維については現在
のところ全く検討されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の様な
状況に着目してなされたものであって、その目的は、前
述したNMMO含有溶剤を用いた再生セルロース繊維の
製法の特徴を活かし、その繊維特性を、その横断面形状
を異形化することによって更に改善すると共に、その欠
点として指摘されるフィブリル化の問題を解消し、衣料
用を始めとして優れた物性と風合いなどの外観に優れた
再生セルロース繊維を提供すると共に、その様な繊維を
安定して製造することのできる製法を確立しようとする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の異形断面再生セルロース繊維とは、N
MMOを含む溶剤にセルロースを溶解した紡糸原液を用
いて製造された再生セルロース繊維であって、その横断
面の異形度が1.2以上であるところにその特徴が存在
する。
【0007】このセルロース繊維の中でも、該繊維中に
含まれるセルロースの平均重合度が400以下であり、
且つ該セルロースのうち5〜30重量%が重合度500
以上であるものは、優れた物性と風合い等の外観特性を
有しているばかりでなく耐フィブリル性においても非常
に優れたものであり、衣料用途等に広く利用することが
できる。
【0008】また本発明の製法は、上記特性を備えた異
形断面再生セルロース繊維を製造する方法であって、N
MMOを含む溶剤にセルロースを溶解した紡糸原液を用
いて再生セルロースを製造するに際し、異形断面の紡糸
口金を用いて、乾湿式紡糸法によって紡糸を行ない、横
断面の異形度が1.2以上の再生セルロース繊維を製造
するところに要旨が存在する。この方法を実施する際に
も、紡糸原液中のセルロースの平均重合度を400以下
に抑えると共に、該セルロースのうち5〜30重量%を
重合度500以上に調整すれば、異形度の調整と共に得
られる繊維の耐フィブリル性を高めることができるので
好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは前述の様な従来技術
の欠点、特にNMMOを含む溶媒を用いた再生セルロー
スに指摘されるフィブリル化を防止すべく、様々の角度
から改良研究を進めてきた。その結果、上記溶媒を用い
て再生セルロースを製造する際に、紡糸工程で疑似液晶
化現象を起こす様な紡糸原液を使用すると、得られる再
生セルロース繊維はフィブリル化の極めて少ないものに
なるという、これまで何人も認識していなかった新たな
事実を見出した。
【0010】しかも、上記の様な疑似液晶化現象を生じ
る紡糸原液を使用し、異形断面の紡糸口金を用いて乾湿
式紡糸を行なうと、横断面形状が異形で光沢や染色性、
風合い等の非常に優れた再生セルロース繊維が容易に得
られることを知った。
【0011】そして更に研究を進めたところ、紡糸工程
で上記の様な疑似液晶化現象を生じさせるには、紡糸原
液中に溶解しているセルロースの重合度が極めて重要で
あり、該セルロースの平均重合度を特定すると共に、高
重合度のセルロースと低重合度のセルロースを特定の比
率で含有するものを使用すればよく、その様な混合セル
ロース溶液を紡糸原液として用いて紡糸を行なうと、フ
ィブリル化が極めて少なく、しかも異形断面を有する良
質の再生セルロース繊維が確実かつ容易に得られること
をつきとめた。ここで「疑似液晶化現象」とは、紡糸時
の流動場や伸長場においてセルロースが液晶状の転移を
生じる現象を言う。
【0012】なお、NMMO含有溶剤を用いて得られる
公知の再生セルロース繊維は、いずれも横断面形状が略
円形であり、異形断面のものは知られていない。そこで
本発明では、従来技術と差別化する意味から、断面異形
度を1.2以上に規定するが、この様な異形度の再生セ
ルロース繊維は、従来の断面略円形の再生セルロースに
比べると、再生セルロース繊維自身およびこれを用いた
織編物としての光沢や染色性、風合い等において非常に
優れたものとなり、それら特性面からしても従来の再生
セルロース繊維とは明確に区別することのできる新たな
発明として認識すべきものである。
【0013】上記の様な特性の異形断面再生セルロース
繊維は、NMMOを含む溶媒を用い、これにセルロース
を溶解した紡糸原液を使用すると共に、異形断面の紡糸
口金を用いて乾湿式紡糸することによって得られるが、
この際紡糸原液中に溶解しているセルロースの平均重合
度と高重合度セルロースの含有比率を適正に調整してや
れば、紡糸工程で疑似液晶化現象を起こし、耐フィブリ
ル性においても非常に優れた再生セルロース繊維を得る
ことが可能となる。
【0014】即ち上記再生セルロース繊維を製造するに
当たっては、紡糸原液に溶解しているセルロースの平均
重合度を400以下とすると共に、該セルロース中に占
める重合度500以上の高重合度セルロースの含有比率
を5〜30重量%の範囲に納めるのがよく、この様に重
合度の異なるセルロース混合物を使用すると、紡糸工程
で高重合度のセルロース成分が相分離により伸び切り鎖
を主体とする構造を形成し、その隙間を低重合度のセル
ロースが埋め、得られる再生セルロース繊維はあたかも
コンポジット状の構造を形成することになり、フィブリ
ル化が抑えられるものと思われる。
【0015】つまり、高重合度セルロースが疑似液晶化
現象を起こす主体となって長手方向に収斂して力学的特
性を担い、一方、低重合度セルロースはその隙間を埋め
て風合いなど衣料としての要求特性を高める作用を担
い、それらの相加的乃至相乗的作用効果によって、紡糸
口金の形状に応じた異形度が与えられると共に、優れた
強度特性や風合いが与えられ、コンポジット状に複合さ
れた繊維構造によりフィブリル化を可及的に抑えること
が可能となるのである。
【0016】こうしたコンポジット状構造を確保すると
共に、紡糸作業を円滑に行なうには、紡糸原液中に溶解
しているセルロースの平均重合度を400以下に抑える
のがよく、また紡糸工程で疑似液晶化現象を確実に生じ
させ、得られる再生セルロース繊維として十分な長手方
向の力学的特性を確保するには、上記セルロース中に占
める重合度500以上の高重合度セルロースの含有比率
を5重量%以上にすることが極めて有効となる。即ち、
高重合度セルロースの含有率が5重量%未満では、紡糸
工程で上記の様な疑似液晶化現象が起こり難くなり、相
分離によるフィブリル化防止効果が不十分になるばかり
でなく、長手方向の力学的特性も乏しくなり、一方、重
合度500以上の高重合度セルロースの含有比率が30
重量%を超えると、紡糸工程で疑似液晶化現象は発生し
ても相分離が起こらず、本発明で意図する様な異形断面
の再生セルロースが得られ難くなるばかりでなく、フィ
ブリル化防止効果も得られ難くなる。上記の観点から、
重合度500以上の高重合度セルロースのより好ましい
含有比率は5〜25重量%、更に好ましくは5〜20重
量%の範囲である。
【0017】なお本発明では、上記の様に低重合度セル
ロースの使用比率が多く、それにつれて再生セルロース
の強度はやや低めになる傾向があるが、本発明の主たる
用途である衣料用途では、産業資材用途の如くそれほど
高レベルの繊維強度は要求されず、むしろ風合いや耐フ
ィブリル性等が重視されるので、実用化に当たり強度不
足が問題となることはない。
【0018】本発明で使用する高重合度セルロースは、
紡糸原液としたときの重合度が500以上を示すもので
あればその種類は特に制限されないが、最も一般的なの
は木材パルプを原料とする重合度750以上のセルロー
スである。しかし、上記重合度の要件を満たすものであ
れば、リンタや木綿繊維等であっても勿論構わない。一
方低重合度のセルロースとしては、レーヨン繊維の回収
物等が好ましく用いられるが、このほか古紙や回収され
た古木綿等の回収品から得られるセルロース等を使用す
ることができる。これらの原料セルロースは、エタノー
ル等を用いて湿潤させてから粉砕もしくは裁断し、乾燥
して用いられる。
【0019】そして紡糸原液を調製するに当たっては、
該原液中のセルロースの平均重合度が400以下で且つ
重合度500以上の高重合度セルロースの含有比率が5
〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%、更に好
ましくは5〜20重量%の範囲となる様に、上記高重合
度セルロースと低重合度セルロースの配合比率を調整す
ればよい。
【0020】紡糸原液の調製に用いられる溶媒としては
NMMOを含む溶媒が使用されるが、好ましいのはNM
MOと水の混合溶媒であり、中でも特に好ましいのはN
MMO/水の混合比率が90/10〜40/90重量比
の混合物である。
【0021】そしてこれらの溶媒に、前記セルロースの
濃度が好ましくは10〜25重量%となる様に添加し、
通常80〜135℃程度の温度でシアーミキサー等で溶
解することにより紡糸原液の調製が行なわれる。紡糸原
液のセルロース濃度が低過ぎると、疑似液晶化現象が起
こらなくなって本発明で意図する様な効果が得られなく
なり、逆に高過ぎると粘度が高くなり過ぎて紡糸が困難
になるので、紡糸原液のセルロース濃度は、上記の様に
10〜25重量%、より好ましくは15〜20重量%の
範囲となる様に調整することが望ましい。
【0022】原料セルロースは、該溶解工程で若干の重
合度低下を起こすので、本発明で規定するセルロースの
前記重合度は、該溶解工程を経た後の状態で測定し、そ
の平均重合度と高重合度物の含有比率が前述の要件を満
たす様に、溶解原料として用いる高重合度セルロースと
低重合度セルロースの配合量を調整すればよい。このと
き、溶解時におけるセルロースの重合度低下やNMMO
の分解を抑える為、例えば過酸化水素、修酸またはその
塩、没食子酸、メチルジ没食子酸、グリコシド等の安定
剤を添加することは好ましい態様として推奨される。
【0023】セルロース原料をNMMOと水の混合溶媒
に溶解した溶液は、比較的低粘度であって高濃度の溶液
が得られ易く、その粘性も湿式紡糸に好適なものになる
ことは、例えば「繊維学会誌」51,423(199
5)にも記載されている通りである。
【0024】こうして得られる高粘度(溶解温度での零
剪断粘度が5,000ポイズ程度以上)の溶液は、薄膜
エバポレータで脱泡した後、濾過してから紡糸部へ供給
される。高粘度の紡糸原液は紡糸ヘッドへ送られ、ギア
ポンプで計量されてスピンパックへ供給される。紡糸温
度は90〜135℃の範囲が好ましく、90℃未満では
ドープ粘度が高過ぎるため紡糸が困難となり、また13
5℃を超えて過度に高温になるとセルロースの分解によ
り重合度が低下し、得られる再生繊維の物性、殊に引張
強力が乏しくなる。
【0025】紡糸に用いるオリフィスは、ドープの安定
性を高めるためL/Dを長くすることも有効であるが、
そうすると紡糸背圧が高くなるという問題が生じてくる
ので、好ましくは導入角の小さいテーパ状のオリフィス
を使用し、乱流の発生を抑制することが望ましい。
【0026】このとき、横断面形状が異形の再生セルロ
ース繊維を得るには、紡糸口金として例えば図1(A)
〜(D)に示す様な異形口金が使用されるが、この様な
異形口金を使用すると紡糸ドープの曳糸性が悪くなるた
め、通常の形状の紡糸ノズルでは、紡糸口金を出てから
凝固液に浸入するまでのエアーギャップ中で十分な紡糸
延伸倍率が得られ難くなり、前述の様に重合度を調整し
たセルロースを用いた紡糸原液を使用した場合でも疑似
液晶化現象が起こりにくく、断面異形度の調整や耐フィ
ブリル性の向上効果が有効に発揮され難くなる。
【0027】そこで、上記の様な異形口金を用いた場合
でも十分な紡糸延伸倍率を確保することのできる手段に
ついて検討を続けた結果、例えば図2に示す如く紡糸口
金におけるノズル先端部への導入部のテーパ−角度αを
十分に小さくすれば、オリフィス内で生じる乱流を抑制
でき、口金先端形状が異形状であっても十分な延伸倍率
を確保することができ、それにより疑似液晶現象が発現
して異形断面化が達成されると共に耐フィブリル化も効
果的に高められることが確認された。こうした効果を得
るには、前記導入部のテーパー角度αを好ましくは45
度以下、より好ましくは35度以下にすることが望まし
いが、デーパー角αを余りに小さくすることは機械加工
上困難であるばかりでなく、該導入部への入口部で乱流
が生じ易くなり却って曳糸性を阻害する傾向が生じてく
るので、10度程度までに止めることが望ましい。曳糸
性や加工性等を総合的に考慮してより好ましいテーパー
角度は15〜30度の範囲である。
【0028】口金から吐出されたドープは、所謂エアー
ギャップ(吐出部から吐出したドープが凝固液に浸入す
るまでの区間)で引き伸ばされるが、上記の様なテーパ
状オリフィスを使用すると、十分な紡糸ドラフトを与え
ることができ、その結果として疑似液晶化現象が確実に
発現され、所定の異形度が与えられると共に耐フィブリ
ル性も高められることとなる。
【0029】そこで本発明を実施する際には、高粘度の
紡糸原液の溶液粘度を下げるため高温で紡糸し、且つ紡
糸温度よりも低い温度で凝固させるため、例えば特表平
8−500863号公報に記載されている如く、紡糸ノ
ズルから出た吐出ドープが凝固浴に浸入するまでの間に
エアーギャップを設けた乾湿式紡糸法を採用することが
必要となる。即ち、本発明を実施する際にこの様な乾湿
式防止法を採用すると、上記の様な高重合度セルロース
と低重合度セルロースを含む高濃度溶液中の高重合度セ
ルロースが、上記エアギャップ部に形成される流動場な
いし伸長場で相転移と相分離を引き起こし、この部分で
疑似液晶化現象を生じて高重合度セルロースが繊維骨格
を形成し、異形断面の再生セルロース繊維が得られ易く
なるばかりでなく、得られる再生セルロースは、低重合
度のセルロースを多量含むものであっても、十分な強度
を示すものとなる。なお紡糸速度は特に制限されない
が、通常は100m/分以上、好ましくは150m/分
以上で行なうことが望ましい。
【0030】該エアギャップは、通常の空気の如く非凝
固性の気体が存在するだけのエアギャップであれば、分
子緩和を抑えつつ大きな変形速度が得られる様に、口金
と凝固液面との間隔を5〜50mm程度に設定すれば良
い。あるいは、クエンチチャンバー等を用いて吐出糸条
を積極的に冷却する方式を採用すると、分子緩和が起こ
らないので該エアギャップは長くてもよく、特に高速で
紡糸する場合はむしろこの方が好ましい。
【0031】凝固浴としてはNMMOの水溶液を使用す
るのがよく、好ましくはNMMO濃度が10〜50重量
%の水溶液を使用することが望まれる。しかしてNMM
O濃度が10重量%未満では、蒸発するNMMOの回収
率が低くなって不経済になるし、逆に50重量%を超え
て過度に高濃度にするとフィラメントが凝固不足になる
からである。凝固浴のより好ましいNMMO濃度は15
〜40重量%の範囲である。また、凝固浴の好ましい温
度は−20〜20℃、より好ましくは−10〜15℃の
範囲であり、20℃を超えると凝固不足となって繊維性
能が悪くなり、一方凝固浴を−20℃を下回る温度にま
で過度に冷却してもそれ以上に繊維性能が高められる訳
ではないので、それ以上に冷却することは経済的に無駄
である。
【0032】凝固浴を通過した糸条は、引き続いて水洗
・乾燥工程へ送られるが、このとき、ネットコンベア等
の捕集装置を用いて糸条を捕集して処理することは、設
備を簡素化する上で極めて有効である。さらに、ネット
コンベアによる捕集を一層容易にするため、例えば特公
昭47−29926号に開示されている様な公知のダブ
ルキックバックロールやアスピレータ等を使用すること
も、好ましい方法として推奨される。また、得られる再
生セルロース繊維を短繊維として使用する場合、クリン
パーを工程中に設けて捲縮を付与することも有効であ
る。クリンパーとしては所謂スタッフィングボックス型
のクリンパーが好ましいが、ギアークリンパーであって
も勿論構わない。ボックス型のクリンパーを使用する場
合は、ネットコンベアの捕集装置としても用いることが
できる。
【0033】ネットコンベアを用いて水洗・乾燥された
繊維束は、長繊維として得る場合はワインダーで所定繊
度の糸条として巻き上げられ、短繊維として得る場合は
束ねられた長繊維を直ちに若しくは別途カッターで切断
して得ればよい。カッターとしては、ロータリカッター
やギロチンカッター等が一般的に用いられる。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であ
り、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含され
る。なお、下記実施例、比較例で採用した各性能の測定
法は次の通りである。
【0035】[セルロースの重合度の測定]高分子学会
編「高分子材料試験法2」第267頁、共立出版(19
65)に記載の銅エチレンジアミン法により測定。
【0036】[異形度の測定]繊維断面を顕微鏡撮影
し、トレーシング紙を用いて外周長(L)を求め、且つ
外接円の周長(Lo)を測定して、L/Loによって異
形度を求める。
【0037】実施例1 セルロースとしてレーヨン用パルプを使用し、その15
重量部をNMMO:73重量部と水:12重量部の混合
液に110℃で溶解し、紡糸原液とした。この紡糸原液
を使用し、図2(A)〜(C)に示す吐出部の形状およ
び導入角の異なる紡糸口金を使用し、表1に示す条件で
乾湿式紡糸を行ない、得られたフィラメントを水洗・乾
燥して巻き取り、夫々について繊維の物性と異形度を測
定し、表1に示す結果を得た。
【0038】
【表1】
【0039】表1からも明らかである様に、紡糸口金の
導入角αが小さく、エアーギャップ長および冷却風条件
として適切な条件を採用した場合(符号A)に限り、紡
糸が可能で且つ優れた糸質と異形断面の再生セルロース
を得ることができる。
【0040】実施例2 高重合度のセルロースとしてレーヨン用パルプを、また
低重合度のセルロースとしてレーヨン繊維を使用し、前
者対後者を20/80の重量比で配合した混合セルロー
ス15重量部を、NMMO:73重量部と水:12重量
部の混合液に110℃で減圧溶解した。高重合度セルロ
ースおよび低重合度セルロースの各単独ドープから水で
沈殿凝固させて得た各セルロースの重合度は、高重合度
セルロースで重合度750、低重合度セルロースで重合
度300であり、平均重合度は368であった。
【0041】この紡糸原液を使用し、表2に示す条件で
乾湿式紡糸を行ない、得られたフィラメントを水洗・乾
燥して巻き取って物性と異形度を測定した。結果は表2
に併記する通りであり、繊維物性および断面異形度の高
い再生セルロース繊維が得られている。
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、溶
媒としてNMMOを含む溶媒を用いて、これまで提供さ
れたことのない異形断面で光沢、染色性、風合い等に優
れた再生セルロース繊維を提供すると共に、原料セルロ
ースとして、高重合度のセルロースと低重合度のセルロ
ースを所定の比率で併用することによりフィブリル化の
問題も解消し、強度的にもまた風合い等においても優れ
た性能の再生セルロース繊維を提供し得ることになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される紡糸口金の先端形状を例示
する説明図である。
【図2】実験で用いた紡糸ノズルの吐出口の形状を示す
説明図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−メチルモルホリン−N−オキシドを
    含む溶剤にセルロースを溶解した紡糸原液を用いて製造
    された再生セルロース繊維であって、その横断面の異形
    度が1.2以上であることを特徴とする異形断面再生セ
    ルロース繊維。
  2. 【請求項2】 該繊維中に含まれるセルロースの平均重
    合度が400以下であり、且つ該セルロースのうち5〜
    30重量%が重合度500以上である請求項1記載の異
    形断面再生セルロース繊維。
  3. 【請求項3】 N−メチルモルホリン−N−オキシドを
    含む溶剤にセルロースを溶解した紡糸原液を用いて再生
    セルロースを製造するに当たり、異形断面の紡糸口金を
    用いて、乾湿式紡糸法によって紡糸を行ない、横断面の
    異形度が1.2以上である再生セルロース繊維を製造す
    ることを特徴とする異形断面再生セルロース繊維の製
    法。
  4. 【請求項4】 紡糸原液中のセルロースの平均重合度を
    400以下に抑えると共に、該セルロースのうち5〜3
    0重量%を重合度500以上とする請求項3記載の製
    法。
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