JP3831999B2 - 再生セルロース繊維およびその製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、N−メチルモルホリン−N−オキシド(以下、NMMOと略記する)を含む溶媒にセルロースを溶解した紡糸原液を用いて得られる再生セルロース繊維およびその製法に関し、特に再生セルロースに指摘されるフィブリル化の問題を改善し、高品質の再生セルロース繊維を得る技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
NMMOを含む溶媒を用いた再生セルロース繊維の製法は、例えば特公昭57−11566号や同60−28848号などにも記載されている如く古くから知られている。ところが、上記溶媒を用いた従来の製法では、得られる再生セルロース繊維がフィブリル化を起こし易いという大きな欠点を有しており、汎用化の障害となっていた。ところがこの方法は、環境に与える悪影響が少なく且つ経済的にも無駄のない方法であり、また得られる再生繊維の物性もある程度良好であるところから、最近再び注目を集めている。
【0003】
一方、上記フィブリル化の問題についても改良研究が進められ、例えば特表平8−501356号、同7−508320号、特開平8−49167号に見られる如く幾つかの特許出願もなされているが、現実には実用規模で満足のいく効果を得るまでには至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の様な従来技術の問題点に着目してなされたものであって、その目的は、前述したNMMOを含む溶媒を用いた再生セルロース繊維の欠点であるフィブリル化の問題を改善し、高品質の再生セルロース繊維を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明の再生セルロース繊維は、NMMOを含む溶剤にセルロースを溶解した紡糸原液を用いて製造された再生セルロース繊維であって、該繊維中に含まれるセルロースの平均重合度が400以下であり、且つ該セルロースのうち5〜30重量%が重合度500以上であるところに要旨が存在する。
【0006】
また本発明に係る製法は、NMMOを含む溶剤にセルロースを溶解した紡糸原液を用いて再生セルロースを製造するに当たり、紡糸原液中のセルロースの平均重合度を400以下に抑えると共に、該セルロースのうち5〜30重量%を重合度500以上とするところに特徴を有している。この方法を実施するに当たっては、紡糸原液中のセルロース濃度を10〜25重量%の範囲に調整することが望ましく、しかも、紡糸には乾湿式紡糸法を採用し、紡糸口金から吐出された紡出フィラメントが凝固浴に浸入するまでの間に、該紡出フィラメントを冷却気体によって冷却する方法を採用すると、フィブリル化の一層抑えられた高品質の再生セルロース繊維を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者らは前述の様な従来技術の欠点、特にNMMOを含む溶媒を用いた再生セルロース繊維に指摘されるフィブリル化を防止すべく、様々の角度から改良研究を進めてきた。その結果、上記溶媒を用いて再生セルロースを製造する際に、紡糸工程で疑似液晶化現象を起こす様な紡糸原液を使用すると、得られる再生セルロース繊維はフィブリル化の極めて少ないものになるという、これまで何人も認識していなかった新たな事実を見出した。そして更に研究を進めたところ、紡糸工程で上記の様な疑似液晶化を生じさせるには、紡糸原液中に溶解しているセルロースの重合度が極めて重要であり、該セルロースの平均重合度を特定すると共に、高重合度のセルロースと低重合度のセルロースを特定の比率で含有するものを使用すればよく、その様な混合セルロース溶液を紡糸原液として用いて紡糸を行なうと、フィブリル化の極めて少ない良質の再生セルロース繊維が確実かつ容易に得られることをつきとめた。ここで「疑似液晶化現象」とは、紡糸時の流動場や伸長場においてセルロースが液晶状の転移を生じる現象を言う。
【0008】
従って本発明では、特にNMMOを含む溶媒を用い、これにセルロースを溶解した紡糸原液を用いて紡糸を行なって再生セルロースを製造するに際し、紡糸原液中に溶解しているセルロースの平均重合度を規定すると共に、高重合度のセルロースの含有比率を特定し、紡糸工程で疑似液晶化現象を生じさせるところにその特徴を有している。
【0009】
具体的には、紡糸原液に溶解しているセルロースの平均重合度は400以下であることが必要であり、且つ該セルロース中に占める重合度500以上の高重合度セルロースの含有比率が5〜30重量%を占めるものでなければならない。そしてこの様に重合度の異なるセルロース混合物を使用すると、紡糸工程で高重合度のセルロース成分が相分離により伸び切り鎖を主体とする構造を形成し、その隙間を低重合度のセルロース成分が埋め、得られる再生セルロース繊維はあたかもコンポジット状の構造を形成することになり、フィブリル化が抑えられるものと思われる。
【0010】
つまり、紡糸原液中の高重合度セルロースが疑似液晶化現象を起こす主体となって長手方向に収斂して力学的特性を担い、一方、低重合度セルロースはその隙間を埋めて風合いなど衣料としての要求特性を高める作用を担い、それらの相加的乃至相乗的作用効果によって、優れた強度特性や風合いを備えると共に、コンポジット状に複合された繊維構造によりフィブリル化を可及的に抑えることが可能となるのである。
【0011】
こうしたコンポジット状構造を確保すると共に、紡糸作業を円滑に行なうには、紡糸原液中に溶解しているセルロースの平均重合度を400以下に抑えることが必要であり、また紡糸工程で疑似液晶化現象を確実に生じさせ、得られる再生セルロース繊維として十分な長手方向の力学的特性を確保するには、上記セルロース中に占める重合度500以上の高重合度セルロースの含有比率を5重量%以上にすることが不可欠の要件となる。該高重合度セルロースの含有率が5重量%未満では、紡糸工程で上記の様な疑似液晶化現象が起こり難くなり、相分離によるフィブリル化防止効果が得られなくなるばかりでなく、長手方向の力学的特性も乏しくなる。一方、重合度500以上の高重合度セルロースの含有比率が30重量%を超えると、紡糸工程で疑似液晶化現象は発生するものの相分離が起こらず、本発明で意図する様なフィブリル化防止効果が得られなくなる。上記の観点から、重合度500以上の高重合度セルロースのより好ましい含有比率は5〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%の範囲である。
【0012】
この様に本発明では、NMMO含有溶媒を用いた紡糸原液中のセルロースの重合度を規定したところに特徴を有しているが、適正な紡糸条件を採用する限り、得られる再生セルロース繊維中のセルロースの重合度は殆んど変わらないので、本発明では、該再生セルロース中のセルロースが前記紡糸原液中のセルロースの重合度の要件、即ち平均重合度が400以下で且つそのうち5〜30重量%が重合度500以上、という要件を満たすものは、再生セルロース繊維そのものの特性として特徴付けられることになる。
【0013】
本発明で使用する高重合度セルロースは、紡糸原液としたときの重合度が500以上を示すものであればその種類は特に制限されないが、最も一般的なのは木材パルプを原料とする重合度750以上のセルロースである。しかし、上記重合度の要件を満たすものであれば、リンタや木綿繊維等であっても勿論構わない。一方低重合度のセルロースとしては、レーヨン繊維の回収物等が好ましく用いられるが、このほか古紙や回収された古木綿等の回収品から得られるセルロース等を使用することができる。これらの原料セルロースは、エタノール等を用いて湿潤させてから粉砕もしくは裁断し、乾燥して用いられる。
【0014】
そして紡糸原液を調製するに当たっては、該原液中のセルロースの平均重合度が400以下で且つ重合度500以上の高重合度セルロースの含有比率が5〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%の範囲となる様に、上記高重合度セルロースと低重合度セルロースの配合比率を調整すればよい。
【0015】
なお、上記の様に低重合度セルロースの配合比率を多めにした本発明においては、得られる再生セルロースの強度がやや低めになる傾向があるが、本発明の再生セルロース繊維が主として用いられる繊維用途では、産業資材用途の如くそれぼど高レベルの繊維強度は要求されず、むしろ繊維の風合いや耐フィブリル性等の方が重視されるので、実用化に当たり強度不足が問題とされることはない。
【0016】
紡糸原液の調製に用いられる溶媒としてはNMMOを含む溶媒が使用されるが、好ましいのはNMMOと水の混合溶媒であり、中でも特に好ましいのはNMMO/水の混合比率が90/10〜40/90重量比の混合物である。
【0017】
そしてこれらの溶媒に、前記セルロースの濃度が好ましくは10〜25重量%となる様に添加し、通常80〜135℃程度の温度でシアーミキサー等により溶解することにより紡糸原液の調製が行なわれる。紡糸原液のセルロース濃度が低過ぎると、前述の様な疑似液晶化現象が起こらなくなって本発明で意図する目的が達成できなくなり、逆に高過ぎると粘度が高くなり過ぎて紡糸が困難になるので、紡糸原液のセルロース濃度は、上記の様に10〜25重量%、より好ましくは15〜20重量%の範囲となる様に調整することが望ましい。
【0018】
原料セルロースは、該溶解工程で若干の重合度低下を起こすので、本発明で規定するセルロースの前記重合度は、該溶解工程を経た後の状態で測定し、その平均重合度と高重合度物の含有比率が前述の要件を満たす様に、溶解原料として用いる高重合度セルロースと低重合度セルロースの配合量を調整すればよい。このとき、溶解時におけるセルロースの重合度低下やNMMOの分解を抑える為、例えば過酸化水素、修酸またはその塩、没食子酸、メチルジ没食子酸、グリコシド等の安定剤を添加することは好ましい態様として推奨される。
【0019】
セルロース原料をNMMOと水の混合溶媒に溶解した溶液は、比較的低粘度であって高濃度の溶液が得られ易く、その粘性も湿式紡糸に好適なものになることは、例えば「繊維学会誌」51,423(1995)にも記載されている通りである。
【0020】
こうして得られる高粘度(溶解温度での零剪断粘度が5,000ポイズ程度以上)の溶液は、薄膜エバポレータで脱泡した後、濾過してから紡糸部へ供給される。高粘度の紡糸原液は紡糸ヘッドへ送られ、ギアポンプで計量されてスピンパックへ供給される。紡糸温度は90〜135℃の範囲が好ましく、90℃未満ではドープ粘度が高過ぎるため紡糸が困難となり、また135℃を超えて過度に高温になるとセルロースの分解により重合度が低下し、得られる再生繊維の物性、殊に引張強力が乏しくなる。
【0021】
紡糸に用いるオリフィスは、ドープの安定性を高めるためL/Dを長くすることも有効であるが、そうすると紡糸時の背圧が高くなるという問題が生じてくるので、好ましくは導入角の小さいテーパ状のオリフィスを使用し、乱流の発生を抑制することが望ましい。口金から吐出されたドープは、所謂エアーギャップ(吐出部から吐出したドープが凝固液に浸入するまでの区間)で引き伸ばされるが、この様なテーパ状オリフィスを使用すると、高い紡糸ドラフトを得ることが可能となる。
【0022】
そこで本発明を実施する際には、高粘度の紡糸原液の溶液粘度を下げるため高温で紡糸し、且つ紡糸温度よりも低い温度で凝固させるため、例えば特表平8−500863号公報に記載されている如く、紡糸ノズルから出た吐出ドープが凝固浴に浸入するまでの間にエアーギャップを設けた乾湿式紡糸法を採用することが好ましい。即ち、本発明を実施する際にこの様な乾湿式防止法を採用すると、上記の様な高重合度セルロースと低重合度セルロースを含む高濃度溶液中の高重合度セルロースが、上記エアギャップ部に形成される流動場ないし伸長場で相転移と相分離を引き起こし、この部分で疑似液晶化現象を生じて高重合度セルロースが繊維骨格を形成するため、最終的に得られる再生セルロースは、低重合度のセルロースを多量含むものであっても、十分な強度を示すものとなる。なお紡糸速度は特に制限されないが、通常は50m/分以上、好ましくは100m/分以上で行なうことが望ましい。
【0023】
該エアギャップは、通常の空気の如く非凝固性の気体が存在するだけのエアギャップであれば、分子緩和を抑えつつ大きな変形速度が得られる様に、口金と凝固液面との間隔を5〜50mm程度に設定すれば良い。あるいは、クエンチチャンバー等を用いて吐出糸条を積極的に冷却する方式を採用すると、分子緩和が起こらないので、該エアギャップは長くてもよく、高速紡糸を採用する場合はむしろこの方が好ましい。
【0024】
凝固浴としてはNMMO水溶液を使用するのがよく、好ましくはNMMO濃度が10〜50重量%の水溶液を使用することが望まれる。しかしてNMMO濃度が10重量%未満では、蒸発するNMMOの回収率が低くなって不経済になるし、逆に50重量%を超えて過度に高濃度にするとフィラメントが凝固不足になるからである。凝固浴のより好ましいNMMO濃度は15〜40重量%の範囲である。また、凝固浴の好ましい温度は−20〜20℃、より好ましくは−10〜15℃の範囲であり、20℃を超えると凝固不足となって繊維性能が悪くなり、一方凝固浴を−20℃を下回る温度にまで過度に冷却してもそれ以上に繊維性能が高められる訳ではないので、それ以上に冷却することは経済的に無駄である。
【0025】
凝固浴を通過した糸条は、引き続いて水洗・乾燥工程へ送られるが、このとき、ネットコンベア等の捕集装置を用いて糸条を捕集して処理することは、設備を簡素化する上で極めて有効である。さらに、ネットコンベアによる捕集を一層容易にするため、例えば特公昭47−29926号に開示されている様な公知のダブルキックバックロールやアスピレータ等を使用することも、好ましい方法として推奨される。また、得られる再生セルロース繊維を短繊維として使用する場合、クリンパーを工程中に設けて捲縮を付与することも有効である。クリンパーとしては所謂スタッフィングボックス型のクリンパーが好ましいが、ギアークリンパーであっても勿論構わない。ボックス型のクリンパーを使用する場合は、ネットコンベアの捕集装置としても用いることができる。
【0026】
ネットコンベアを用いて水洗・乾燥された繊維束は、長繊維として得る場合はワインダーで所定繊度の糸条として巻き上げられ、短繊維として得る場合は束ねられた長繊維を直ちに若しくは別途カッターで切断して得ればよい。カッターとしては、ロータリカッターやギロチンカッター等が一般的に用いられる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、下記実施例、比較例で採用した各性能の測定法は次の通りである。
【0028】
[セルロースの重合度の測定]
高分子学会編「高分子材料試験法2」第267頁、共立出版(1965)に記載の銅エチレンジアミン法により測定。
【0029】
[フィブリル化の判定]
300mlの水に、5mmにカットした再生セルロース繊維を5g投入し、市販のミキサーを用いて10分間攪拌し、撹拌後の繊維をランダムに20本採取し、顕微鏡を用いてフィブリル化の程度を観察し、標準サンプル法により5段階評価する(◎、○、△、×、××)。
【0030】
実施例1
高重合度のセルロースとしてレーヨン用パルプを、また低重合度のセルロースとしてレーヨン繊維を使用し、夫々の混合比を変えてそれら混合物の各15重量部を、NMMO:73重量部と水:12重量部の混合液に110℃で減圧溶解した。各成分の重合度は、高重合度セルロースおよび低重合度セルロースの各単独ドープから水で沈殿凝固させて得たセルロースの重合度を測定することによって求め、高重合度セルロースの重合度は750、低重合度セルロースの重合度は300であった。
【0031】
得られた各溶液を紡糸原液として使用し、巻取り速度(Vw )を50m/分に固定し、各セルロース混合比において安定に紡糸できる最低単孔吐出量を求め、その条件を元に、表1に示す条件で紡糸を行なった。なお凝固液としてはNMMO/水=20/80(重量比)の混合液を用いた。
【0032】
得られた各再生セルロース繊維の物性およびフィブリル化の程度を表1に一括して示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003831999
【0034】
表1からも明らかである様に、本発明の規定要件を充足するものでは、フィブリル化が見られず且つ繊維物性も良好である。また、紡糸原液中のセルロースの高重合度成分量が多くなるほど、得られる再生セルロース繊維の強度は高くなるが、高重合度成分の含有比率が20重量%を超えるとフィブリル化を起こし易くなり、また5重量%未満になると強度が劣悪になり、いずれの場合も本発明の目的にそぐわなくなることが分かる。
【0035】
実施例2
上記実施例1と同じ原料と溶媒組成比を採用し、高重合度セルロース成分比が15重量%の場合と100重量%の場合について、200m/分の速度で紡糸を行なった。紡糸に用いた吐出オリフィスとしては、テーパー状の導入孔と直径0.13mmでL/Dが2.0のストレートオリフィスで、導入孔の入口側開口度は20度、中間部分の導入孔の開口度は10度のものを用いた。この紡糸口金からドープを吐出させ、150mmのエアギャップで、20℃のクエンチ風を0.40m/秒の速度でドープフィラメントに直角に吹きつけて糸条の冷却を行ない、NMMO/水=20/80重量比の凝固液に導いて凝固させてから巻取った。
【0036】
得られた繊維を乾燥し、実施例1と同様の試験を行ない、表2に示す結果を得た。表2からも明らかである、高重合度セルロースを低重合度セルロースと併用して得た再生セルロース繊維は、繊維物性が良好でフィブリル化も全く見られないのに対し、高重合度セルロースを単独で用いて得た再生セルロース繊維はフィブリル化を非常に起こし易く、本発明の目的を達成できないことが分かる。
【0037】
【表2】
Figure 0003831999
【0038】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、溶媒としてNMMOを含む溶媒を用いて再生セルロース繊維を製造する際に、原料セルロースとして、高重合度のセルロースと低重合度のセルロースを所定の比率で併用することにより、従来技術で指摘されていた再生セルロース繊維の欠点、特にフィブリル化の問題を解消し、強度的にもまた風合い等においても優れた性能の再生セルロース繊維を製造し得ることになった。

Claims (5)

  1. N−メチルモルホリン−N−オキシドを含む溶剤にセルロースを溶解した紡糸原液を用いて製造された再生セルロースであって、該繊維中に含まれるセルロースの平均重合度が400以下であり、且つ該セルロースのうち5〜30重量%が重合度500以上であることを特徴とする耐フィブリル性に優れた再生セルロース繊維。
  2. N−メチルモルホリン−N−オキシドを含む溶剤にセルロースを溶解した紡糸原液を用いて再生セルロースを製造する方法において、紡糸原液中で平均重合度が400以下であり、且つ5〜30重量%が重合度500以上であるセルロースを用いることを特徴とする耐フィブリル性に優れた再生セルロース繊維の製法。
  3. 紡糸原液中のセルロース濃度を10〜25重量%とする請求項2記載の製法。
  4. 乾湿式紡糸法によって再生セルロース繊維を製造する請求項2または3記載の製法。
  5. 紡糸口金から吐出された紡出フィラメントが凝固浴に浸入するまでの間に、該紡出フィラメントを冷却気体によって冷却する請求項4記載の製法。
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