JP6535742B2 - タバコフィルター用リヨセル素材及びその製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、タバコフィルター用リヨセル素材及びその製造方法に関する。

タバコフィルターは、その大部分がセルロースアセテート繊維から構成されている。セルローススアセテート繊維は、現在、次の方法で製造されている。まず、原料であるセルロースアセテートのフレーク（Ｆｌａｋｅ）をアセトンなどの溶剤で溶解し、セルロースアセテートの紡糸原液を製造する。前記紡糸原液を紡糸ノズル装置に供給し、高温雰囲気中へ吐出する乾式紡糸法によって紡糸してセルロースアセテート繊維を得る。

特に、タバコフィルター用繊維として使用されるセルロースアセテート繊維は、タバコフィルターの製作を容易にするために、総繊度を適当に設定した後、クリンプが形成された繊維トウとして製造される。タバコフィルターは、このセルロースアセテート繊維トウをタバコフィルタープラグ巻上装置（ｗｉｎｄｉｎｇ ｄｅｖｉｃｅ）により開繊し、可塑剤を添着した後、フィルター巻取紙としてロッド（ｒｏｄ）状に成形した後、これを所定の長さに切断して製作されている。

一般に、セルロースアセテートは、セルロースを酢酸エステル化したもので、本質的には生分解可能な物質として知られている。ところが、セルロースアセテート繊維からなるタバコフィルターは、土壌中に埋設されたものであっても１〜２年間は依然としてその原型を維持しており、土壌中に埋設されたタバコフィルターが完全に生分解されるまではかなり長い時間を要する。

タバコフィルターは、タバコ製品に組み込まれて消費者に流通し、喫煙に供され、最終的にタバコの喫煙後に廃棄される。また、タバコフィルターは、タバコフィルター製造工場から製造残渣として直接廃棄されることもある。これらのタバコフィルター廃棄物は、ゴミとして回収され、その処理のために埋め立てられる。また、タバコの喫煙は、場合によってはゴミとして回収されず、自然環境中に放置されることもある。タバコフィルター廃棄物は、単に視覚的な問題だけに止まるのではなく、使用済みのタバコフィルターに吸着された毒性が環境中に浸出して、潜在的には生物学的リスクを示すことが明らかになった。

このような状況下で、生分解性タバコフィルターを製造することに関する様々な方法が提案されている。このような方法としては、生分解性ポリマーからなるセルロースアセテートの分解速度を増加させるために添加剤を添加することや、生分解性を増加させるための低置換度を有するセルロースアセテートを用いること、フィルタートウ原料としてＰＨＢ（ｐｏｌｙ−ｈｙｄｒｏｘｙｂｕｔｙｒａｔｅ）／ＰＶＢ（ｐｏｌｙｖｉｎｙｌ ｂｕｔｙｒａｌ）及び澱粉のような生分解性の強いポリマーの複合材を用いることなどが提案されている。

しかし、ゴミの問題を克服することができるほどに速く分解され、消費者に許容されるフィルターを生産することが可能な満足すべき商業的解決策は未だ提案されていないのが実情である。その理由は、環境問題を解決することができる程度の十分な生分解性速度を達成しつつ、タバコフィルターとして喫煙時の吸収プロファイル及びタバコ嗜好度の向上などを同時に満たすことができる方法が未だ達成されていないためである。

一方、天然パルプ及びアミンオキシド水和物から製造されるリヨセル繊維の場合、既存の再生繊維に比べて優れた引張特性及び風合いを示すのみならず、リヨセル繊維製造の際に使用されるアミンオキシド系溶媒は、リサイクルが可能であり、廃棄時にも生分解されるなど、生産工程で一切の汚染物質が発生しないため、最近環境にやさしい再生繊維としてリヨセル繊維に関する研究がさらに盛んに行われているのが実情である。

このようなリヨセル繊維の製造方法は、例えば、米国登録特許第４，４１６，６９８号及び同第４，２４６，２２１号に開示されているように、アミンオキシド（ＮＭＭＯ）にセルロースが溶解した紡糸ドープを紡糸し、これを凝固させてフィラメントを製造した後、水洗・乾燥・後加工などを経る方式である。また、リヨセル繊維は自然に捲縮されず、これを有用に使用するためには、欧州公開特許第７９７，６９６号に開示された方法に基づいて、濡れた繊維を圧縮するか、或いは欧州特許第７０３，９９７号に開示された方法に基づいて、乾燥蒸気を用いるスタッファーボックス捲縮加工によってクリンプを付与することができる。

但し、従来のリヨセル繊維の場合には、クリンプ形成によるブルーミング性が著しく優れているわけではなく、殆どの従来技術は、リヨセル繊維の強度向上などの物理的性質を改善するだけに止まっている。ところが、タバコフィルター用素材には優れたクリンプ性が求められるので、生分解特性を有するリヨセル繊維をタバコフィルターに有用に適用するためには、高いクリンプ数を確保してタバコフィルター用素材としての要求物性を満足することができるように、リヨセル素材のクリンプ向上に関する研究開発が継続的に求められているのが実情である。

本発明は、優れた生分解特性を有しながらもクリンプ数が優れており、タバコフィルター用素材として求められる物性を十分に満足することが可能な、タバコフィルター用リヨセル素材及びその製造方法を提供するものである。

上記の課題を解決するための本発明の好適な第１実施形態は、（Ｓ１）セルロースパルプ８〜１３重量％及びＮ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド（Ｎ−ｍｅｔｈｙｌｍｏｒｐｈｏｌｉｎｅ−Ｎ−ｏｘｉｄｅ；ＮＭＭＯ）水溶液８７〜９２重量％を含むリヨセル紡糸ドープを紡糸する段階と、（Ｓ２）前記（Ｓ１）段階で紡糸されたリヨセル紡糸ドープを凝固させてリヨセルマルチフィラメントを得る段階と、（Ｓ３）前記（Ｓ２）段階で得られたリヨセルマルチフィラメントを水洗する段階と、（Ｓ４）前記（Ｓ３）段階で水洗されたリヨセルマルチフィラメントを油剤処理する段階と、（Ｓ５）前記（Ｓ４）段階で得られたリヨセルマルチフィラメントにスチームと圧力を加えて、インチあたり３０〜４０個のクリンプが付与されたクリンプトウ（ｃｒｉｍｐｅｄ ｔｏｗ）を得る段階とを含んでなる、タバコフィルター用リヨセル素材の製造方法を提供する。

前記第１実施形態に係る（Ｓ１）段階のリヨセル紡糸ドープは、セルロースパルプにおける、α−セルロースの含有量が８５〜９９重量％であり、重合度（ＤＰｗ）が６００〜１７００であってもよい。

前記第１実施形態に係る（Ｓ２）段階の凝固は、冷却空気を紡糸ドープに供給して凝固させるエアクエンチング（ａｉｒ ｑｕｅｎｃｈｉｎｇ、Ｑ／Ａ）による１次凝固段階と、１次凝固した紡糸ドープを凝固液に浸して凝固させる２次凝固段階とを含んでもよい。
この際、前記エアクエンチングは、４〜１５℃の温度及び３０〜１２０ｍ／ｓの風速を有する冷却空気を紡糸ドープに供給して凝固させることであり、前記凝固液は３０℃以下の温度を有することが好ましい。

また、前記第１実施形態による（Ｓ５）段階は、スタッファーボックス（ｓｔｕｆｆｅｒ ｂｏｘ）を用いて行われ得る。前記スタッファーボックスは、スチーム圧力が０．１〜３ｋｇｆ／ｃｍ^２、プレスローラー（Ｐｒｅｓｓ Ｒｏｌｌｅｒ）の圧力が１．５〜４ｋｇｆ／ｃｍ^２、及び上部プレートの圧力が０．１〜３ｋｇｆ／ｃｍ^２である条件を満足するように制御されることが好ましい。

一方、本発明の好適な第２実施形態は、セルロースパルプ及びＮ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド（Ｎ−ｍｅｔｈｙｌｍｏｒｐｈｏｌｉｎｅ−Ｎ−ｏｘｉｄｅ；ＮＭＭＯ）水溶液を含むリヨセル紡糸ドープを紡糸して製造されたリヨセルマルチフィラメントにスチームと圧力を加えてクリンプを付与したクリンプトウ（ｃｒｉｍｐｅｄ ｔｏｗ）であって、前記クリンプトウはインチあたり３０〜４０個のクリンプが形成されていることを特徴とする、タバコフィルター用リヨセル素材を提供する。

前記第２実施形態に係るリヨセル紡糸ドープは、セルロースパルプ８〜１３重量％、及びＮ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド水溶液８７〜９２重量％を含んでもよく、この際、前記セルロースパルプはα−セルロースの含有量が８５〜９９重量％であり、重合度（ＤＰｗ）が６００〜１７００であってもよい。

本発明によれば、優れた生分解性を示し、クリンプ数が向上してタバコフィルター用素材として適した物性を示すリヨセルクリンプトウを提供することができ、本発明のリヨセルクリンプトウを適用することにより、タバコの嗜好度及び吸収プロファイルをより向上させることができる。

本発明の一態様によれば、（Ｓ１）セルロースパルプ８〜１３重量％及びＮ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド（Ｎ−ｍｅｔｈｙｌｍｏｒｐｈｏｌｉｎｅ−Ｎｏｘｉｄｅ；ＮＭＭＯ）水溶液を８７〜９２重量％含むリヨセル紡糸ドープを紡糸する段階と、（Ｓ２）前記（Ｓ１）段階で紡糸されたリヨセル紡糸ドープを凝固させてリヨセルマルチフィラメントを得る段階と、（Ｓ３）前記（Ｓ２）段階で得られたリヨセルマルチフィラメントを水洗する段階と、（Ｓ４）前記（Ｓ３）段階で水洗されたリヨセルマルチフィラメントを油剤処理する段階と、（Ｓ５）前記（Ｓ４）段階で得られたリヨセルマルチフィラメントにスチームと圧力を加えて、インチあたり３０〜４０個のクリンプが付与されたクリンプトウ（ｃｒｉｍｐｅｄ ｔｏｗ）を得る段階とを含んでなる、タバコフィルター用リヨセル素材の製造方法を提供することができる。

以下、本発明のタバコフィルター用リヨセル素材の製造方法を各段階別にさらに詳細に説明する。

［（Ｓ１）段階］
本発明における（Ｓ１）段階は、セルロースパルプ及びＮ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド（Ｎｍｅｔｈｙｌｍｏｒｐｈｏｌｉｎｅ−Ｎ−ｏｘｉｄｅ；ＮＭＭＯ）水溶液を含むリヨセル紡糸ドープを紡糸する段階である。この際、前記リヨセル紡糸ドープは、セルロースパルプ８〜１３重量％、及びＮ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド水溶液８７〜９２重量％を含んでなり、前記セルロースパルプは、α−セルロースの含有量が８５〜９９重量％であり、重合度（ＤＰｗ）が６００〜１７００であってもよい。

前記セルロースパルプの含有量が８重量％未満である場合には、繊維的特性を実現し難く、前記セルロースパルプの含有量が１３重量％を超える場合には、水溶液に溶解し難いおそれがある。また、前記Ｎ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド水溶液の含有量が８７重量％未満である場合には、溶融粘度が大幅に高くなって好ましくなく、前記Ｎ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド水溶液の含有量が９２重量％を超える場合には、紡糸粘度が大幅に低くなって紡糸段階で均一な繊維を製造し難いおそれがある。

前記Ｎ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド水溶液におけるＮ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシドと水の重量比が９３：７〜８５：１５であり得る。前記Ｎ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシドと水の重量比が９３：７を超える場合には、溶解温度が高くなってセルロース溶解の際にセルロースの分解が発生するおそれがあり、前記重量比が８５：１５未満である場合には、溶媒の溶解性能が低下してセルロースの溶解が難しいおそれがある。

上述した紡糸ドープを用いてこれをドーナツ形の紡糸口金の紡糸ノズルから吐出させる。この際、前記紡糸口金は、フィラメント状の紡糸ドープをエアギャップ区間を介して凝固槽内の凝固液として吐出させる役割を果たす。前記紡糸ドープを紡糸口金から吐出させる段階は１００〜１１０℃で行われ得る。

［（Ｓ２）段階］
本発明における（Ｓ２）段階は、前記（Ｓ１）段階で紡糸されたリヨセル紡糸ドープを凝固させてリヨセルマルチフィラメントを得る段階であって、前記（Ｓ２）段階の凝固は冷却空気を紡糸ドープに供給して凝固させるエアクエチング（ａｉｒ ｑｕｅｎｃｈｉｎｇ、Ｑ／Ａ）による１次凝固段階と、１次凝固した紡糸ドープを凝固液に浸して凝固させる２次凝固段階とを含むことができる。

前記（Ｓ１）段階で、ドーナツ形の口金を介して紡糸ドープを吐出させた後には、これを上述の紡糸口金と凝固槽との間のエアギャップ区間に通過させることができる。このようなエアギャップ区間には、ドーナツ形の口金の内側に位置した空冷部から口金の内側から外側へ冷却空気が供給されるが、このような冷却空気を紡糸ドープに供給するエアクエンチングによって１次凝固できる。

この際、（Ｓ２）段階で得られるリヨセルマルチフィラメントの物性に影響を及ぼす要因は、エアギャップ区間での冷却空気の温度及び風速であり、（Ｓ２）段階の凝固は、４〜１５℃の温度及び３０〜１２０ｍ／ｓの風速を有する冷却空気を紡糸ドープに供給して凝固させることである。

前記１次凝固時の冷却空気の温度が４℃未満である場合には、口金の表面がすぐに冷めてリヨセルマルチフィラメントの断面が不均一になり、紡糸工程性も良くなくなり、前記１次凝固時の冷却空気の温度が１５℃を超える場合には、冷却空気による１次凝固が十分でないため、やはり紡糸工程性が良くなくなる。

また、１次凝固時の冷却空気の風速が５ｍ／ｓ未満である場合には、冷却空気による１次凝固が十分でないため糸切れが発生し、１次凝固時の冷却空気の風速が６０ｍ／ｓを超える場合には、口金から吐出される紡糸ドープが空気によって揺れながら紡糸工程性が低下する。

エアクエンチングによる１次凝固の後、前記紡糸ドープは、凝固液入りの凝固槽に供給されて２次凝固が行われ得る。この際、適切な２次凝固のために、前記凝固液の温度は３０℃以下であり得る。これは２次凝固の温度が必要以上に高くないため、凝固速度が適切に維持されるようにするためである。ここで、前記凝固液は、本発明の属する技術分野における通常の組成で製造して使用することができるので、特に限定されない。

［（Ｓ３）段階］
本発明における（Ｓ３）段階は、前記（Ｓ２）段階で得られたリヨセルマルチフィラメントを水洗する段階である。より具体的に、前記（Ｓ２）段階で得られたリヨセルマルチフィラメントを牽引ローラーによって水洗浴に移送して水洗する段階である。
前記フィラメントの水洗段階では、水洗後の溶剤の回収及び再利用の容易性を考慮して、温度０〜１００℃の水洗液を用いることができ、前記水洗液としては水を用いることができ、必要に応じてその他の添加成分をさらに含ませることもできる。

［（Ｓ４）段階］
本発明における（Ｓ４）段階は、前記（Ｓ３）段階で水洗されたリヨセルマルチフィラメントを油剤処理する段階であって、エマルジョン処理の後には乾燥を行うことが好ましい。エマルジョン処理は、マルチフィラメントがエマルジョン中に完全に沈み浸る状態で行われる。エマルジョン処理装置の進入ロールと放出ロールに取り付けられた絞りローラーによって、エマルジョンがフィラメントにくっ付く量を一定に維持する。前記エマルジョンは、フィラメントが乾燥ローラー及びガイド、クリンプ段階での接触時に発生する摩擦を減らし、繊維間のクリンプがよく形成されるようにする役割を果たすもので、フィラメント製造の際に一般に用いられるものであれば、その種類に特に制限はない。

［（Ｓ５）段階］
（Ｓ５）段階は、前記（Ｓ４）段階で油剤処理されたリヨセルマルチフィラメントにスチームと圧力を加えてクリンピング（ｃｒｉｍｐｉｎｇ）する段階であって、（Ｓ５）段階を経てこそクリンプトウ（ｃｒｉｍｐｅｄ ｔｏｗ）を得ることができる。

本明細書全体にわたって記載された用語である「クリンプ（Ｃｒｉｍｐ）」とは、主に繊維のバルキーな風味を与えるためにフィラメントにウェーブを付与することを意味する。本発明において、前記クリンピング工程は、具体的に、プレスローラー付きスタッファーボックス（ｓｔｕｆｆｅｒ ｂｏｘ）を用いて行われ得る。クリンピングの結果、インチあたり３０〜４０個のクリンプトウを得ることができる。

この際、前記スタッファーボックスは、スチーム圧力が０．１〜３ｋｇｆ／ｃｍ^２、プレスローラー（Ｐｒｅｓｓ Ｒｏｌｌｅｒ）の圧力が１．５〜４ｋｇｆ／ｃｍ^２、上部プレートの圧力が０．１〜３ｋｇｆ／ｃｍ^２である条件を満足するように制御されることが好ましい。スチーム圧力が０．１ｋｇｆ／ｃｍ^２未満である場合には、クリンプがスムーズに形成されず、スチーム圧力が３ｋｇｆ／ｃｍ^２を超える場合には、過度に多くの量のスチームが供給されると、クリンプ形成の後にその形状を均一に保つことができない。

また、プレスローラーによって押圧する圧力が１．５ｋｇｆ／ｃｍ^２未満である場合には、所望のクリンプ数が形成されず、４ｋｇｆ／ｃｍ^２を超える場合には、押圧する力があまりに強いため、トウ（Ｔｏｗ）内に存在する水分または油脂分の含有量が急激に低減してフィラメントがスタッファーボックスを円滑に通過することができないおそれがある。この際、前記プレスローラーの間隔は０．０１〜３．０ｍｍに維持されることが好ましい。プレスローラーの間隔が０．０１ｍｍ未満である場合には、ローラーによるフィラメントの圧力が高くなってクリンプ形成が不可能であるか、あるいは、クリンプ形成の後にフィラメントの表面摩擦によって損傷が発生するおそれがあり、プレスローラーの間隔が３．０ｍｍを超える場合には、プレスローラーの間におけるフィラメントスリップ現象が発生して均一なクリンプ形成が難しいおそれがある。

さらに、プレスローラーの通過後に、均一なクリンプ付与のために上下に動く役割を果たす前記上部プレートの圧力が０．１ｋｇｆ／ｃｍ^２未満である場合には、スタッファーボックス内部の圧力により上部プレートが固定されないため、トウがスタッファーボックス内で長時間滞留しながら工程の連続性が維持できず、前記上部プレートの圧力が３ｋｇｆ／ｃｍ^２を超える場合には、スタッファーボックス内にスチームがスムーズに排出できず、クリンプ形態が不規則になるおそれがある。

このような条件でクリンピングされたトウは３０個／ｉｎｃｈ以上、より好ましくは３０〜４０個／ｉｎｃｈのクリンプを確保及び維持することができるため、直径１６．５ｍｍ乃至２４．５ｍｍのフィルターロッド（ｆｉｌｔｅｒ ｒｏｄ）に形成したとき、ＫＳ Ｈ ＩＳＯ ６５６５の測定基準で約１８５乃至６２０ＰＤ（ｍｍＨ_２Ｏ）の吸引抵抗を示すことができる。これにより、本発明のリヨセルクリンプトウは短時間で生分解されて除去されるので、環境にやさしいだけでなく、タバコフィルターに製造されたときに、要求される物性である吸引抵抗、フィルター硬さ、フィルター除去能などを満足し、その効果を極大化させることができる。

［実施例］
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。

実施例１
重合度（ＤＰｗ）が８２０であり且つα−セルロースの含有量が９３．９％であるセルロースパルプを、没食子酸プロピルの含有量が０．０１重量％のＮＭＭＯ／Ｈ_２Ｏ混合溶剤（ＮＭＭＯ／Ｈ_２Ｏの重量比９０／１０）に混合して、濃度１２重量％のリヨセル素材製造用紡糸ドープを製造した。まず、前記紡糸ドープは、ドーナツ形の紡糸口金の紡糸ノズルから、紡糸温度を１１０℃に維持した状態でフィラメントの単繊度が３．０デニールとなるように吐出量と紡糸速度を調節して紡糸した。

次いで、前記紡糸ノズルから吐出されたフィラメント状の紡糸ドープをエアギャップ区間を経て凝固槽内の凝固液に供給した。この際、前記エアギャップ区間では、温度８℃及び風速５０ｍ／ｓの冷却空気を用いて紡糸ドープを１次凝固させる。また、温度が２５℃、濃度は水８５重量％、ＮＭＭＯ１５重量％の凝固液を用いて２次凝固させた。前記凝固液の濃度は、センサー及び屈折計を用いて連続的にモニタリングした。

前記凝固したフィラメントを牽引ローラーによって空気層で延伸を行った後、水洗装置で水洗液をスプレーすることにより、残存するＮＭＭＯを除去し、フィラメントにエマルジョンが十分に均一に付着するようにした後、再び絞ってフィラメントに対するエマルジョンの含有量が０．２％を維持するようにした。前記油剤処理されたフィラメントは、乾燥ローラーによって１５０℃で乾燥させた後、スチームボックス（Ｓｔｅａｍ Ｂｏｘ）に通過させながら温度を上げ、プレスローラー（Ｐｒｅｓｓ Ｒｏｌｌｅｒ）を用いてスタッファーボックス（ｓｔｕｆｆｅｒ ｂｏｘ）でクリンピングすることにより、リヨセルクリンプトウ（ｃｒｉｍｐｅｄ ｔｏｗ）に完成した。この際、スチームを０．５ｋｇｆ／ｃｍ^２付与し、プレスローラーの圧力及び間隔は１．５ｋｇｆ／ｃｍ^２、１．５ｍｍに設定し、上部プレートの圧力は１．０ｋｇｆ／ｃｍ^２に設定した。

実施例２
スタッファーボックスでクリンピングしてクリンプトウを得るとき、スチーム（Ｓｔｅａｍ）を１．０ｋｇｆ／ｃｍ^２で付与し、プレスローラーの圧力及び間隔はそれぞれ２．０ｋｇｆ／ｃｍ^２及び１．２ｍｍに設定し、上部プレートの圧力は１．５ｋｇｆ／ｃｍ^２に設定した以外は、実施例１と同様にしてタバコフィルター用リヨセル素材を製造した。

実施例３
スタッファーボックスでクリンピングしてクリンプトウを得るとき、スチーム（Ｓｔｅａｍ）を１．５ｋｇｆ／ｃｍ^２で付与し、プレスローラーの圧力及び間隔はそれぞれ３．０ｋｇｆ／ｃｍ^２及び１．０ｍｍに設定し、上部プレートの圧力は２．０ｋｇｆ／ｃｍ^２に設定した以外は、実施例１と同様にしてタバコフィルター用リヨセル素材を製造した。

比較例１
スタッファーボックスでクリンピングしてクリンプトウを得るとき、スチーム（Ｓｔｅａｍ）を０．５ｋｇｆ／ｃｍ^２で付与し、プレスローラーの圧力及び間隔はそれぞれ２．０ｋｇｆ／ｃｍ^２及び２．０ｍｍに設定するが、上部プレートの圧力は付与していない以外は、実施例１と同様にしてタバコフィルター用リヨセル素材を製造した。

比較例２
スタッファーボックスでクリンピングしてクリンプトウを得るとき、スチーム（Ｓｔｅａｍ）を１．０ｋｇｆ／ｃｍ^２で付与し、プレスローラーの圧力及び間隔はそれぞれ３．０ｋｇｆ／ｃｍ２及び１．５ｍｍに設定し、上部プレートの圧力は３．５ｋｇｆ／ｃｍ２に設定した以外は、実施例１と同様にしてタバコフィルター用リヨセル素材を製造した。

比較例３
スタッファーボックスでクリンピングしてクリンプトウを得るとき、スチーム（Ｓｔｅａｍ）を１．５ｋｇｆ／ｃｍ^２で付与し、プレスローラーの圧力及び間隔はそれぞれ４．０ｋｇｆ／ｃｍ^２及び１．０ｍｍに設定し、 上部プレートの圧力は付与していない以外は、実施例１と同様にしてタバコフィルター用リヨセル素材を製造した。

比較例４
スタッファーボックスでクリンピングしてクリンプトウを得るとき、スチーム（Ｓｔｅａｍ）を２．０ｋｇｆ／ｃｍ^２で付与し、プレスローラーの圧力及び間隔はそれぞれ５．０ｋｇｆ／ｃｍ^２及び３．５ｍｍに設定し、上部プレートの圧力は１．５ｋｇｆ／ｃｍ^２に設定した以外は、実施例１と同様にしてタバコフィルター用リヨセル素材を製造した。

＜測定例＞
（１）クリンプ数の測定：ＫＳ Ｋ ０３２６規格で測定する。クリンプが損傷していない２０本の試料を取り、予め用意した光沢のある紙片（空間距離２５ｍｍ）上に４〜５％セルロイドの酢酸アミル接着剤を用いて、単繊維１本ずつを貼付長さに対して（２５±５）％伸びるように貼り付けた後、放置して接着剤を乾燥させる。この試料に対してクリンプ試験機を用いて１Ｄあたり１．９６／１０００ｃＮ（２ｍｇｆ）に相当する初荷重をかけたとき、２５ｍｍの間のクリンプ数を求め、その平均値を小数点以下１桁まで示す。
（２）クリンプの均一度：前記クリンプ数測定法に起因し、サンプリングされた試料のトウ幅に対して、不均一クリンプ部（Ｘ）が占める幅を測定し、表１に反映された基準に基づいてクリンプ状態の等級を決定する。

（３）吸引抵抗
実施例及び比較例で製造されたトウを用いて均一な直径にフィルターロッド（Ｆｉｌｔｅｒ Ｒｏｄ）を製造し、ＫＳ Ｈ ＩＳＯ ６５６５規格に適合した吸引抵抗測定器を用いてロッド別の吸引抵抗を測定した。

物性測定の結果、表２に記載されているように、実施例１〜３のクリンプトウはクリンプ数が３０個／ｉｎｃｈ以上であり、クリンプ状態も平均的に良好であると測定された。これにより、レギュラータイプのタバコフィルターに要求される適正吸引抵抗である３００〜３４０の吸引抵抗を満足するのに対し、比較例１〜４は相対的にクリンプ数も実施例に比べて低調し、クリンプ状態も不良であった。特に、比較例２の場合は、上部プレートの圧力が過度に与えられてクリンプの滞留時間が長くなるにつれてクリンプ数は多くなったが、クリンプ状態が不良であり、これにより吸引抵抗が不均一であった。

また、比較例１及び比較例３は、上部プレートの圧力を与えていないため、クリンプが形成されないか、或いは少ない数のクリンプが形成された。ローラープレス圧力が過度に高かった比較例４の場合は、トウ（Ｔｏｗ）内に存在する水分または油脂分の含有量が急激に低くなってクリンプが正常に形成されなかった。すなわち、本発明の工程範囲から外れる場合、良好なクリンプが形成されたトウ（Ｔｏｗ）を製造することができなくなり、これにより吸引抵抗が急激に低下するので、タバコフィルター用繊維として適さないことが分かった。

Claims (8)

1. （Ｓ１）セルロースパルプ８〜１３重量％及びＮ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド（Ｎ−ｍｅｔｈｙｌｍｏｒｐｈｏｌｉｎｅ−Ｎ−ｏｘｉｄｅ；ＮＭＭＯ）水溶液８７〜９２重量％を含むリヨセル紡糸ドープを紡糸する段階と、
   （Ｓ２）前記（Ｓ１）段階で紡糸されたリヨセル紡糸ドープを凝固させてリヨセルマルチフィラメントを得る段階と、
   （Ｓ３）前記（Ｓ２）段階で得られたリヨセルマルチフィラメントを水洗する段階と、
   （Ｓ４）前記（Ｓ３）段階で水洗されたリヨセルマルチフィラメントを油剤処理する段階と、
   （Ｓ５）前記（Ｓ４）段階で得られたリヨセルマルチフィラメントにスチームと圧力を加えて、インチあたり３０〜４０個のクリンプが付与されたクリンプトウ（ｃｒｉｍｐｅｄ ｔｏｗ）を得る段階とを含み、
   前記（Ｓ５）段階はスタッファーボックス（ｓｔｕｆｆｅｒ ｂｏｘ）を用いて行われ、
   前記スタッファーボックスは、上部プレートの圧力が０．１〜３ｋｇｆ／ｃｍ ^２ である条件を満足するように制御されることを特徴とする、
   タバコフィルター用リヨセル素材の製造方法。
2. 前記（Ｓ１）段階のリヨセル紡糸ドープは、セルロースパルプにおける、α−セルロースの含有量が８５〜９９重量％であり、重合度（ＤＰｗ）が６００〜１７００であることを特徴とする、請求項１に記載のタバコフィルター用リヨセル素材の製造方法。
3. 前記（Ｓ２）段階の凝固は、冷却空気を紡糸ドープに供給して凝固させるエアクエンチング（ａｉｒ ｑｕｅｎｃｈｉｎｇ、Ｑ／Ａ）による１次凝固段階と、１次凝固した紡糸ドープを凝固液に浸して凝固させる２次凝固段階とを含むことを特徴とする、請求項１に記載のタバコフィルター用リヨセル素材の製造方法。
4. 前記エアクエンチングは、４〜１５℃の温度及び３０〜１２０ｍ／ｓの風速を有する冷却空気を紡糸ドープに供給して凝固させることであり、
   前記凝固液は、３０℃以下の温度を有することを特徴とする、請求項３に記載のタバコフィルター用リヨセル素材の製造方法。
5. 前記スタッファーボックスは、スチーム圧力が０．１〜３ｋｇｆ／ｃｍ^２、及び
   プレスローラー（Ｐｒｅｓｓ Ｒｏｌｌｅｒ）の圧力が１．５〜４ｋｇｆ／ｃｍ ^２ である条件を満足するように制御されることを特徴とする、請求項１に記載のタバコフィルター用リヨセル素材の製造方法。
6. セルロースパルプ及びＮ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド（Ｎ−ｍｅｔｈｙｌｍｏｒｐｈｏｌｉｎｅ−Ｎ−ｏｘｉｄｅ；ＮＭＭＯ）水溶液を含むリヨセル紡糸ドープを紡糸して製造されたリヨセルマルチフィラメントにスチームと圧力を加えてクリンプを付与したクリンプトウ（ｃｒｉｍｐｅｄ ｔｏｗ）であって、
   前記クリンプトウは、インチあたり３０〜４０個のクリンプが形成され、
   前記圧力は、スタッファーボックスの上部プレートの圧力が０．１〜３ｋｇｆ／ｃｍ ^２ である条件を満足するように制御されたことを特徴とする、
   タバコフィルター用リヨセル素材。
7. 前記リヨセル紡糸ドープはセルロースパルプ８〜１３重量％及びＮ−メチルモルホリン−Ｎ−オキシド水溶液８７〜９２重量％を含むことを特徴とする、請求項６に記載のタバコフィルター用リヨセル素材。
8. 前記セルロースパルプは、α−セルロースの含有量が８５〜９９重量％であり、重合度（ＤＰｗ）が６００〜１７００であることを特徴とする、請求項６または７に記載のタバコフィルター用リヨセル素材。