JP2008184722A - ポリウレタンウレア弾性繊維織物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い回復性、耐熱性を有し、衣料製品の解れ防止機能を有するポリウレタンウレア弾性繊維織物を提供する。
【解決手段】ポリウレタン化合物を5%〜40%含有するポリウレタンウレア弾性繊維であって、熱機械測定分析(TMA)による圧縮変形開始温度が150℃〜180℃であり、50%伸長下、180℃における熱切断秒数が30秒以上であるポリウレタンウレア弾性繊維を用いた織物。
【選択図】なし
【解決手段】ポリウレタン化合物を5%〜40%含有するポリウレタンウレア弾性繊維であって、熱機械測定分析(TMA)による圧縮変形開始温度が150℃〜180℃であり、50%伸長下、180℃における熱切断秒数が30秒以上であるポリウレタンウレア弾性繊維を用いた織物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリウレタンウレア弾性繊維織物に関し、特に主にポリウレタン弾性繊維を混用した衣料製品のほつれ防止に有用な熱固着性を有するポリウレタンウレア弾性繊維を用いた織物に関するものである。
ポリウレタン弾性繊維は、弾性機能に優れた伸縮性繊維であり、アウター、ファンデーション、ソックス、パンティストッキング、水着、スポーツウエア、レオタード等の衣料や、オムツ、包帯、サポーター、マスク、自動車内装材、ネット、テープ等の非衣料分野にも広く使用されている。
ポリウレタン弾性繊維は、主としてセグメントポリウレタンからなる弾性繊維であり、高分子ポリオール、ジイソシアネート、鎖延長剤を主原料としたブロック共重合体を基本としており、化学構造的には屈曲性に富むソフトセグメントと、水素結合による強い分子間力により結晶構造をつくるハードセグメントから構成される。そして、ハードセグメントを構成する鎖延長剤の種類によって、低分子ジアミンを用いウレア結合を有するポリウレタン−ウレアタイプと、低分子ジオールを用いウレタン結合からなるポリウレタン−ウレタンタイプに分類することができる。ハードセグメントの水素結合力は、耐熱性などの物性に大きく影響し、ウレア結合の方がウレタン結合よりも水素結合力が強いため、ポリウレタン−ウレアタイプの方が耐熱性に優れ、また現在生産されているポリウレタン弾性繊維の主流となっていることから、幅広い分野で用いられている。本発明では、このようなポリウレタン−ウレアタイプの重合体(以下、ポリウレタンウレア重合体)を主成分としてなる弾性繊維をポリウレタンウレア弾性繊維と称する。なお、ポリウレタン−ウレタンタイプの重合体からなる弾性繊維は、ポリウレタンウレア弾性繊維に比べて耐熱性や回復性に劣るが、逆に比較的低温でセットできる特徴を活かし、例えばウール織物や、いわゆるゾッキパンストなどに適用されている。
ポリウレタン弾性繊維は、主としてセグメントポリウレタンからなる弾性繊維であり、高分子ポリオール、ジイソシアネート、鎖延長剤を主原料としたブロック共重合体を基本としており、化学構造的には屈曲性に富むソフトセグメントと、水素結合による強い分子間力により結晶構造をつくるハードセグメントから構成される。そして、ハードセグメントを構成する鎖延長剤の種類によって、低分子ジアミンを用いウレア結合を有するポリウレタン−ウレアタイプと、低分子ジオールを用いウレタン結合からなるポリウレタン−ウレタンタイプに分類することができる。ハードセグメントの水素結合力は、耐熱性などの物性に大きく影響し、ウレア結合の方がウレタン結合よりも水素結合力が強いため、ポリウレタン−ウレアタイプの方が耐熱性に優れ、また現在生産されているポリウレタン弾性繊維の主流となっていることから、幅広い分野で用いられている。本発明では、このようなポリウレタン−ウレアタイプの重合体(以下、ポリウレタンウレア重合体)を主成分としてなる弾性繊維をポリウレタンウレア弾性繊維と称する。なお、ポリウレタン−ウレタンタイプの重合体からなる弾性繊維は、ポリウレタンウレア弾性繊維に比べて耐熱性や回復性に劣るが、逆に比較的低温でセットできる特徴を活かし、例えばウール織物や、いわゆるゾッキパンストなどに適用されている。
ポリウレタンウレア弾性繊維は、一般的な衣料分野に使用される場合、通常ポリアミド維、ポリエステル繊維、綿などと交編織され、裁断、縫製、仕上げ加工等の製造工程を経て製品となる。ポリウレタンウレア弾性繊維を用いて交編織された生地は、裁断して縫製する際に、高い耐熱性と回復性のため、生地の設計によっては、カールの発生や、縁部のほつれが起こり、縫製が難しくなることがある。さらにほつれた縁部で布帛の編地組織からポリウレタンウレア弾性繊維が抜けて、その部分の布帛の伸縮性が低下するという問題を生ずる。
裁断したままの状態では、当然縁部がほつれてしまうため、通常の製品においては、ほつれを防止するために、何らかの縁始末がおこなわれている。例えば、裁断した縁部を折り返して2重にして縫合したり、テープ等の別布で包み込んで縫製するのが一般的である。しかし、これら縁始末や縫製といったほつれ止めの後処理作業は、衣料製品の生産工程において手間がかかり、経済的にも大きな負担となる。しかもこのように縁始末や縁部の縫製を施した衣料製品は、その部分の厚みが厚くなり段差が生じるため、ファンデーションなどの下着衣料では、その上にアウターウェアを着用した際に、アウターウェアに段差が凸条になって現れ、外観を損なう。また、ポリウレタンウレア弾性繊維は、ファンデーション、パンティストッキングなどの体に直接フィットさせる製品に用いられることが多く、厚くなった縁部が着用感を低下させるという問題もある。
ポリウレタンウレア弾性繊維を用いた衣料の縁始末や縁部の縫製に関わる問題については、近年ファッション化が進むブラジャー、ガードル、ボディスーツ等のファンデーションの分野において、裁断部の縁始末や縫製をしないことで、下着のラインがアウターウェアに現れない、いわゆる切りっぱなし開口部を有する衣類製品の製造方法が検討されている。
例えば、編組織が非弾性糸と弾性糸とを同行させた1×1編み組織で、かつ各編針において非弾性糸と弾性糸のうち少なくとも1方が閉じ目により編成された経編地からなる縁始末不要な生地を用いた衣類が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、生地の設計によって構造的に裁断した縁部のほつれを起こりにくくしているため、文献1の場合生地全体が厚地となるなど、生地設計によって得られる布帛に制約があり、衣類の用途が限定されるという問題点がある。
織物においては 先に記載した編物と異なり、経糸と緯糸の交差のみによって布帛を形成するため、編物のようにループによる形態保持が期待できず、結果として、端部が非常にほつれやすく、切り放しはできないが、生地の厚みは、直交による組織形成のため、編物に比べて薄い生地が作成が可能である。
例えば、編組織が非弾性糸と弾性糸とを同行させた1×1編み組織で、かつ各編針において非弾性糸と弾性糸のうち少なくとも1方が閉じ目により編成された経編地からなる縁始末不要な生地を用いた衣類が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、生地の設計によって構造的に裁断した縁部のほつれを起こりにくくしているため、文献1の場合生地全体が厚地となるなど、生地設計によって得られる布帛に制約があり、衣類の用途が限定されるという問題点がある。
織物においては 先に記載した編物と異なり、経糸と緯糸の交差のみによって布帛を形成するため、編物のようにループによる形態保持が期待できず、結果として、端部が非常にほつれやすく、切り放しはできないが、生地の厚みは、直交による組織形成のため、編物に比べて薄い生地が作成が可能である。
また、ポリウレタン−ウレタンタイプからなる低融点のポリウレタン弾性繊維を用い、それ以外の糸をプレーティング編により編みたて、ヒートセット加工を施したほつれ止め機能がある編地を用い、同様に切りっぱなし開口部を有する衣類が提案されている(特許文献2または3)。
しかしながら、ポリウレタン−ウレタンタイプのポリウレタン弾性繊維は、生地や製品を型止めするためのセット工程や、染色工程での熱による物性低下が大きく、ポリウレタンウレア弾性繊維が通常使用される加工温度条件では、生地の回復性の低下や、さらにポリウレタン弾性繊維の糸切れが起こることがあり、この生地を使用する製品では、加工条件に熱的制約があるという問題がある。
しかしながら、ポリウレタン−ウレタンタイプのポリウレタン弾性繊維は、生地や製品を型止めするためのセット工程や、染色工程での熱による物性低下が大きく、ポリウレタンウレア弾性繊維が通常使用される加工温度条件では、生地の回復性の低下や、さらにポリウレタン弾性繊維の糸切れが起こることがあり、この生地を使用する製品では、加工条件に熱的制約があるという問題がある。
さらに、例えばポリウレタン−ウレタンタイプと、ポリウレタン−ウレアタイプのように、高温側融点の異なる少なくとも2種のポリウレタン成分を含有する紡糸液から紡糸されたポリウレタン弾性繊維を用いた繊維構造物を、高温側融点が低いポリウレタン成分の熱変形温度以上で熱処理することにより、ほつれを生じ難い伸縮性繊維構造物の製造方法が提案されている(特許文献4)。
しかし、本製造方法で得られる生地のほつれ抑制効果は、上述の低融点ポリウレタン弾性糸を用いた場合に比べて十分満足とは言えない。また、構造の異なる2種以上のポリウレタン成分を含有させることにより、ポリウレタン−ウレアタイプが持っている高い回復性や伸度といった弾性繊維の基本性能が低下してしまう可能性については、考慮されていなかった。
特開2003−147618号公報
特開2005−113349号公報
特開2005−350800号公報
特開2005−330617号公報
しかし、本製造方法で得られる生地のほつれ抑制効果は、上述の低融点ポリウレタン弾性糸を用いた場合に比べて十分満足とは言えない。また、構造の異なる2種以上のポリウレタン成分を含有させることにより、ポリウレタン−ウレアタイプが持っている高い回復性や伸度といった弾性繊維の基本性能が低下してしまう可能性については、考慮されていなかった。
本発明の課題は、高い回復性、耐熱性を有した衣料製品の解れ防止機能を有するポリウレタンウレア弾性繊維織物を提供することである。すなわち、生地の織設計の制約が少なく、生地、衣料製品の加工時の熱により、カールや解れが抑制された生地を得ることができ、また、高温での加工においても、生地、衣料製品としても優れた物性を保持した生地、衣料製品を得ることができるポリウレタン弾性繊維含有織物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、衣料製品の解れ防止性を向上するためのポリウレタン弾性繊維として、特定のポリウレタン化合物を含有し、特定の熱変形性と耐熱性を有するポリウレタンウレア弾性繊維が、上記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち本願で特許請求される発明は、以下のとおりである。
(1)ポリウレタン化合物を5重量%〜40重量%含有するポリウレタンウレア弾性繊維であって、熱機械測定分析(TMA)による圧縮変形開始温度が150℃以上、180℃以下であり、かつ50%伸長下、180℃における熱切断秒数が30秒以上であることを特徴とするポリウレタンウレア弾性繊維を用いてなる織物。
(2)ポリウレタン化合物の硬度が80A以下であることを特徴とする(1)記載の織物。
(3)ポリウレタン化合物が、示差走査熱量計(DSC)測定において、80℃からポリウレタン化合物の分解が開始するまでの温度の間で、吸熱ピークを有さないことを特徴とする、(1)または(2)記載の織物。
(4)ポリウレタン化合物が、架橋型ポリウレタンであることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の織物。
(5)ポリウレタンウレアが、炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールを原料とするものであることを特徴とする、(1)から(4)のいずれかに記載の織物。
(6)ポリウレタン化合物が、炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールを原料とするものであることを特徴とする、(1)から(5)のいずれかに記載の織物。
(7)(1)記載の弾性繊維と非弾性繊維とを組み合わせてなることを特徴とする(1)記載の織物。
(8)(1)記載の弾性繊維と非弾性繊維を複合した糸と、(1)記載の弾性繊維とは異なる弾性繊維と非弾性繊維を複合した糸とを組み合わせて配列したことを特徴とする(1)記載の織物。
(9)(1)記載の弾性繊維と非弾性繊維を複合した糸と、非弾性繊維を組み合わせて配列したことを特徴とする(1)記載の織物。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の織物を少なくとも一部に用いた衣料。
(1)ポリウレタン化合物を5重量%〜40重量%含有するポリウレタンウレア弾性繊維であって、熱機械測定分析(TMA)による圧縮変形開始温度が150℃以上、180℃以下であり、かつ50%伸長下、180℃における熱切断秒数が30秒以上であることを特徴とするポリウレタンウレア弾性繊維を用いてなる織物。
(2)ポリウレタン化合物の硬度が80A以下であることを特徴とする(1)記載の織物。
(3)ポリウレタン化合物が、示差走査熱量計(DSC)測定において、80℃からポリウレタン化合物の分解が開始するまでの温度の間で、吸熱ピークを有さないことを特徴とする、(1)または(2)記載の織物。
(4)ポリウレタン化合物が、架橋型ポリウレタンであることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の織物。
(5)ポリウレタンウレアが、炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールを原料とするものであることを特徴とする、(1)から(4)のいずれかに記載の織物。
(6)ポリウレタン化合物が、炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールを原料とするものであることを特徴とする、(1)から(5)のいずれかに記載の織物。
(7)(1)記載の弾性繊維と非弾性繊維とを組み合わせてなることを特徴とする(1)記載の織物。
(8)(1)記載の弾性繊維と非弾性繊維を複合した糸と、(1)記載の弾性繊維とは異なる弾性繊維と非弾性繊維を複合した糸とを組み合わせて配列したことを特徴とする(1)記載の織物。
(9)(1)記載の弾性繊維と非弾性繊維を複合した糸と、非弾性繊維を組み合わせて配列したことを特徴とする(1)記載の織物。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の織物を少なくとも一部に用いた衣料。
本発明のポリウレタンウレア弾性繊維を用いた織物布帛では、加工処理時の熱により、生地中でポリウレタンウレア弾性繊維同士、またはポリウレタンウレア弾性繊維と相手糸との接触点で、生地への張力、圧縮またはポリウレタンウレア弾性繊維自身の残留応力により、ポリウレタンウレア弾性繊維の圧縮変形が起こる。この変形点で、ポリウレタンウレア弾性繊維同士、またはポリウレタンウレア弾性繊維への相手糸の固着が起こるため、生地組織からのポリウレタンウレア弾性繊維や相手糸が抜けにくくなり、カールや解れが抑制された織物布帛を得ることができる。また、本発明のポリウレタンウレア弾性繊維は、耐熱性、回復性に優れるため、加工処理における熱的条件の制約が少なく、ポリウレタンウレア弾性繊維が使用される繊維製品で一般的に用いられるあらゆる相手糸との組合せの製品を提供することができる。またポリウレタン−ウレタンタイプのポリウレタン弾性繊維では用いることが出来ないポリエステル繊維との組み合わせが可能となる。
本発明のポリウレタンウレア弾性繊維は、ポリウレタンウレア重合体を主成分とする組成物からなる。耐熱性の高いポリウレタンウレア重合体を主成分とすることで、加工処理時の熱での糸切れが起こりにくく、良好な伸縮物性を有する生地がえられる。ポリウレタンウレア重合体の含有量については、このポリウレタンウレア弾性繊維およびその生地製品の耐熱性、物理的特性の観点から、好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは75重量%以上である。
本発明に用いるポリウレタンウレア重合体は、例えば、高分子ポリオール、ジイソシアネート、2官能性アミン、および単官能性活性水素原子を有する末端停止剤を反応させて得ることができる。
本発明に用いるポリウレタンウレア重合体は、例えば、高分子ポリオール、ジイソシアネート、2官能性アミン、および単官能性活性水素原子を有する末端停止剤を反応させて得ることができる。
高分子ポリオールとしては、実質的に線状のホモ又は共重合体からなる各種ジオール、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリアクリルジオール、ポリチオエステルジオール、ポリチオエーテルジオール、ポリカーボネートジオール又はこれらの混合物又はこれらの共重合物等が挙げられる。好ましくはポリアルキレンエーテルグリコールであり、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルグリコール又はこれらの混合物等である。中でも、優れた弾性機能を示す、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルグリコールが好適であり、炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルグリコールがより好適である。炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルグリコールの好適な例としては、テトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基から成る共重合ポリエーテルグリコール、テトラメチレン基と3−メチルテトラメチレン基から成る共重合ポリエーテルグリコールがあげられる。また高分子ポリオールの数平均分子量としては500〜5,000が好ましい。より好ましい数平均分子量は、1,000〜3,000である。
ジイソシアネートとしては、脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートが挙げられる。例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート、m−及びp−キシリレンジイシシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート、1,3−及び1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、3−(α−イソシアナートエチル)フェニルイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート又はこれらの混合物又はこれらの共重合物等が挙げられる。好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
鎖延長剤として用いる2官能性アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、トリエチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ピペラジン、o−,m−及びp−フェニレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス[2−(エチルアミノ)−ウレア]等が挙げられる。これらは単独で、又は混合して用いることができる。好ましくは、エチレンジアミン単独、又は1,2−プロピレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ペンタジアミンの群から選ばれる少なくとも1種が5〜40モル%含まれるエチレンジアミン混合物が挙げられる。より好ましくは、エチレンジアミン単独である。
単官能性活性水素原子を有する末端停止剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ブタノール等のモノアルコールや、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン等のモノアルキルアミンや、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン等のジアルキルアミンが挙げられる。これらは単独で、又は混合して用いることができる。モノアルコールより1官能性アミンであるモノアルキルアミンまたはジアルキルアミンが好ましい。
本発明のポリウレタンウレア重合体を製造する方法に関しては、公知のポリウレタン化反応の技術を用いることができる。例えば、ポリアルキレンエーテルグリコールとジイソシアネートをジイソシアネート過剰の条件下で反応させ、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成し、次いで、このウレタンプレポリマーを2官能性アミンで鎖伸張反応を行い、ポリウレタンウレア重合体を得ることができる。本発明において好ましいポリマー基質としては、数平均分子量500〜5000のポリテトラメチレンエーテルグリコールおよび/または炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルグリコールに過剰等量のジイソシアナートを反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを合成し、次いでプレポリマーに2官能性アミンと1官能性アミンとを反応させて得られるポリウレタンウレア重合体である。
ポリウレタン化反応の操作に関しては、ウレタンプレポリマー合成時やウレタンプレポリマーと活性水素含有化合物との反応時に、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等のアミド系極性溶媒を用いることができる。好ましくはジメチルアセトアミドである。
本発明のポリウレタンウレア弾性繊維は、熱機械測定分析(TMA)による圧縮変形開始温度が150℃以上、180℃以下であることを特徴とする。この温度範囲にあることにより、通常のポリウレタンウレア弾性繊維の混用生地製品の加工条件にて、目的のカールやほつれ防止機能を得ることができる。生地中でほつれ防止機能を発現させる観点から、ポリウレタンウレア弾性繊維の圧縮変形開始温度は175℃以下であることが好ましく、加工工程における熱処理後の生地製品の回復性などの物理的特性の点から160℃以上であることが好ましい。
また、本発明のポリウレタンウレア弾性繊維は、生地製品を加工する時の糸切れ耐熱性の観点から、原糸を50%伸長下、180℃の熱体に接触させた際に、破断が起こるまでの時間が30秒以上であることを特徴とする。高温でもポリウレタンウレア弾性繊維が糸切れしにくいため、加工時の温度条件の制約の少ない生地を提供することができる。
本発明のポリウレタンウレア弾性繊維は上述のごとく、高温での耐熱性に優れ、かつ、それより低い温度で圧縮変形しやすいという特徴を有する。このような性能は、繊維基質にポリウレタンウレア重合体を用い、さらに特定のポリウレタン化合物を特定量含有させることで発現させることができる。
本発明のポリウレタンウレア弾性繊維は、ポリウレタン化合物を5重量%以上40重量%以下含有する。ポリウレタン化合物の含有量を5重量%以上とすることで、生地でのカールやほつれの防止効果を得ることができるが、40重量%以下とすることで、弾性繊維の破断強伸度、パワー、回復性を損なわず、良好な伸縮物性を有する生地を得ることができる。ポリウレタン化合物の含有量は、より好ましくは10重量%以上、30重量%以下である。
本発明に用いるポリウレタン化合物は、ハードセグメントがウレタン結合からなる重合体であり、例えば、高分子ポリオール、イソシアネート、低分子ポリオールを反応させて得ることができる。また、単官能性活性水素原子を有する末端停止剤を反応させてもよい。
高分子ポリオールとしては、実質的に線状のホモ又は共重合体からなる各種ジオール、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリアクリルジオール、ポリチオエステルジオール、ポリチオエーテルジオール、又はこれらの混合物又はこれらの共重合物、または後述する分子中に3つ以上の官能基を有するポリオール等が挙げられる。実質的に線状のホモ又は共重合体からなるポリエーテルグリコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルグリコール又はこれらの混合物等である。実質的に線状のホモ又は共重合体からなるポリエステルジオールとしては、アジピン酸、フタル酸などの二塩基酸とエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのグリコール類との縮合脱水反応によるアジペート系ポリエステルジオール、ε−カプロラクトンの開環重合によるポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等である。高分子ポリオールは、数平均分子量として500〜2,500のものが好ましい。より好ましくは、600〜2,200であり、特に好ましくは、
800〜1,800である。
800〜1,800である。
イソシアネートとしては、脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートや後述する分子中に3つ以上の官能基を有するイソシアネート等が挙げられる。ジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート、m−及びp−キシリレンジイシシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート、1,3−及び1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、3−(α−イソシアナートエチル)フェニルイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート又はこれらの混合物又はこれらの共重合物等が挙げられる。好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,10−デカンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサンや後述する分子中に3つ以上の官能基を有する低分子ポリオール等を鎖延長剤として用いることができる。低分子ジオールとして好ましくは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールである。
本発明に用いることができるポリウレタン化合物を製造する方法に関しては、公知のポリウレタン化反応の技術を用いることができる。例えば、高分子ポリオールとイソシアネートと低分子ポリオールの3成分を一括混合し、反応させるワンショット法、または、高分子ポリオールとイソシアネートをイソシアネート過剰の条件下で反応させ、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成し、次いで、このウレタンプレポリマーを低分子ジオールで鎖伸長反応を行うプレポリマー法があるが、いずれの方法でポリウレタンを得てもよい。ポリウレタン化反応の操作に関しては、プレポリマー法におけるウレタンプレポリマー合成時やウレタンプレポリマーとジオールとの反応時に、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等のアミド系極性溶媒を用いることができる。好ましくはジメチルアセトアミドである。
本発明に用いられるポリウレタン化合物は、カールや解れを防止する効果を発現させるために、硬度が低いものが好ましい。良好な固着性能を得るために、ポリウレタン化合物
の硬度は、JIS−K6253で規定されている硬度が80A以下であることが好ましく、77A以下がより好ましい。
の硬度は、JIS−K6253で規定されている硬度が80A以下であることが好ましく、77A以下がより好ましい。
本発明に用いられるポリウレタン化合物は、示差走査熱量計(DSC)測定において、80℃から、このポリウレタン化合物の分解が始まるまでの温度間で、ハードセグメントに起因する吸熱ピークを持たないものが好ましい。このような特性は、ハードセグメント比率を下げたもの、およびハード構造がルーズなもので発現できる。ポリウレタン化合物の分解温度は熱重量分析(TG)にて大きな熱減量が起こる温度で測定される。この温度範囲で、明確な吸熱ピークを持たないことにより、より良好な固着性能が得られるだけでなく、伸縮機能において良好な回復性を有することができる。
このような性能を有するポリウレタン化合物としては、ポリウレタン重合体を得る際に、高分子ポリオールに対するイソシアネートの当量比を変えることで、ハードセグメントの分子量の比率を下げる方法や、以下に記する架橋型ポリウレタンを用いる方法、後述のポリウレタン重合体の原料として共重合のポリアルキレンエーテルグリコールを用いることにより好適に得ることができる。
本発明に用いられるポリウレタン化合物は、ポリウレタンウレア弾性繊維に高い耐熱性と回復性を付与するために、架橋型ポリウレタン化合物がより好適である。本発明における、架橋型ポリウレタン化合物とは、ポリウレタン分子の分岐構造、またはアロファネート結合やイソシアヌレート構造により、ポリウレタン重合体の一部が三次元的な網目構造を有しているものである。架橋型のポリウレタン化合物を得るには、分子中に3つ以上の官能基を有する、高分子ポリオール、イソシアネート、低分子ポリオールを用いる方法、ジイソシアネートの反応時にアロファネート結合やイソシアヌレートによる架橋構造を生じさせる方法等がある。成形性の観点から、アロファネート結合による架橋構造を有するものが好ましい。
分子中に3つ以上の官能基を有する、ポリオールとしては、グリセリン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、またはこれらを開始剤とするポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、ポリマーポリオールがあげられる。イソシアネートとしては、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオフォスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートや、各種イソシアネート化合物から得られるアロファネート変性ポリイソシアネート、ポリウレタン変性ポリイソシアネートがあげられる。
アロファネート結合架橋構造を有する、架橋タイプのポリウレタン化合物を製造する方法については、例えば、プレポリマー法により低分子ジオールによる鎖延長時に、イソシアネート基が残る官能基比率で低分子ジオールを加えて鎖延長させた後、80℃以上の恒温槽でイソシアネート基が消失するまで加熱保持し、架橋させる方法。また、例えば低分子ジオールによる鎖延長後、過剰のジイソシアネート化合物を加え、同様に加熱保持して架橋させる方法等がある。
また、本発明で用いるポリウレタン化合物としては、炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルグリコールを用いることがより好適である。炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルグリコールの好適な例としては、テトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基から成る共重合ポリエーテルグリコール、テトラメチレン基と3−メチルテトラメチレン基から成る共重合ポリエーテルグリコールがあげられる。テトラメチレン基に対する2,2−ジメチルプロピレン基または3−メチルテトラメチレン基の共重合比は、力学特性の観点から、5〜35モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましい。
本発明のポリウレタンウレア弾性繊維は、ジメチルシリコーンを2.5重量%以上含有することが好ましい。2.5重量%以上ジメチルシリコーンを含有することにより、ポリウレタンウレア弾性繊維を使用する際に、パッケージからの糸の解じょ性が良好となり、特にパッケージを長期間保管した後の解じょ性の低下を抑制することができる。但し、パッケージから糸の巻き崩れの起こらないようにするため、ジメチルシリコーンの含有量は、9重量%以下が好ましい。ジメチルシリコーンの含有量は、3.5重量%〜7.5重量%がより好ましい。
また本発明のポリウレタンウレア弾性繊維は、変成シリコーンの含有率が0.1重量%未満であることが好ましい。変成シリコーンはジメチルシリコーン鎖の末端、中間部側鎖を官能基で修飾したものであり、例えば、アミノ変成シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン等があげられる。変成シリコーンは、繊維状に加工する紡糸前のポリウレタンドープ中に添加されたり、仕上げ油剤の成分として紡糸後に付与されて、ポリウレタン弾性繊維中に添加される。これら変成シリコーンは、変成されていないシリコーンに比べ、ポリウレタン成分との親和性が高く、加工処理を施しても、ポリウレタン繊維表面に残りやすいため、熱による固着性を低下させる。ポリウレタンウレア弾性繊維中に0.1重量%未満とすることで、ポリウレタンウレア弾性繊維のより高い熱固着性を発現することができる。より好ましくは、変成シリコーンを含有しないものである。
本発明のポリウレタンウレア弾性繊維は、上述のポリウレタン化合物とポリウレタンウレア重合体を、アミド系極性溶媒に溶解して得られたポリウレタンウレア紡糸原液を、乾式紡糸によって好適に製造することができる。乾式紡糸は溶融紡糸や湿式紡糸に比べてハードセグメント間の水素結合による物理架橋を最も強固に形成させることが出来るため好ましい。また、弾性繊維中のポリウレタン化合物が40重量%以下とすることで、乾式紡糸においては紡糸時の糸切れ等の問題が無い安定な生産ができ、糸長方向の斑の少ない品位の高いポリウレタン弾性繊維を得ることができる。アミド系極性溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドがあげられる。ポリウレタンウレア弾性繊維中にポリウレタン化合物を含有させるには、どのような方法をとってもよいが、生産工程性の観点から、ポリウレタン化合物とポリウレタンウレア重合体を均一に混合したポリウレタンウレア組成物を紡糸することが好ましい。
ポリウレタン化合物とポリウレタンウレア重合体を混合する方法は、例えばポリウレタン組成物中で均一に混合させるには、アミド系極性溶媒中で合成したポリウレタン化合物とポリウレタンウレア重合体の溶液同士を混合する方法、無溶媒で重合したポリウレタン化合物をアミド系極性溶媒に溶解させた後にポリウレタンウレア重合体溶液中に添加する方法、溶融したポリウレタン化合物をポリウレタンウレア重合体溶液に添加する方法、粉末またはペレット状のポリウレタン化合物をポリウレタンウレア重合体のアミド系極性溶媒溶液中で溶解させる方法等があげられる。
このポリウレタンウレア紡糸原液には、ポリウレタンウレア弾性繊維に通常用いられる他の化合物、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐ガス着色防止剤、耐塩素剤、着色剤、艶消し剤、滑剤、充填剤等を添加してもよい。
ポリウレタンウレア弾性繊維には、ジメチルシリコーン成分を含み、鉱物油等からなる油剤を含有させることができる。油剤の含有量は、パッケージに巻き取った際に、ポリウレタンウレア弾性繊維の固形分に対し、2.5重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。油剤の含有のさせ方は、乾式紡糸後にポリウレタンウレア弾性繊維に付与してもよく、また油剤を紡糸原液に予め含有させて乾式紡糸してもよく、そのいずれを行っても良い。乾式紡糸後に油剤を付与する場合、紡糸原液が乾式紡糸され繊維形成後であれば特に限定されないが、巻き取り機に巻き取られる直前が好ましい。繊維を巻き取った後で油剤を付与することは、巻き取り玉から繊維を解舒するのが困難である。
油剤の付与方法は、油剤バス中に回転させた金属円筒の表面上に作った油膜に紡糸直後の糸を接触させる方法、ガイド付きのノズル先端から定量吐出した油剤を糸へ付着させる方法など、公知の方法を用いることが出来る。また、油剤の紡糸原液への含有のさせ方は、紡糸原液を製造するどの時点に添加してもよく、紡糸原液に溶解又は分散させておけばよい。
油剤として、ジメチルシリコーン、鉱物油の他、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等の変成シリコーンを含有しても良いが、油剤成分中の変成シリコーンの含有量は、前述の理由から、あわせて1.0重量%未満であることが好ましい。また、ポリウレタン弾性繊維に付与した際に、ジメチルシリコーン成分が2.5重量%以上含有するように、ポリウレタン弾性繊維への油剤の含有量にあわせて、油剤中のジメチルシリコーン成分の含有量を変えることが好ましい。油剤中のジメチルシリコーンの含有量は、50重量%以上が好ましい。さらに油剤には、タルク、コロイダルアルミナ等の鉱物性微粒子、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩粉末、高級脂肪族カルボン酸、高級脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレン等の常温で固体のワックス等を単独、または必要に応じて任意に組み合わせて用いても良い。
本発明のストレッチ織物は、ポリウレタンウレア弾性繊維を含有することを特徴とする。ポリウレタンウレア弾性繊維は原糸のまま製織されていても良いが(裸糸使い)、耐久性や風合い等の点から他の繊維と複合して用いることが好ましい。複合相手としては綿、麻などの天然繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン(製品名キュプラ)、特定セルロース(商品名テンセル)等の再生セルロース系繊維、ポリエステル、ポリアミド,PVA等の合成繊維などが挙げられる。複合方法としては引き揃え糸、エアーカバーリング、カバーリング、合撚糸、等が挙げられる。複合は1種類だけではなく複数の組み合わせでも良い。できた複合糸は通常知られているスチームセットを行っても良い。
織物生地中における弾性繊維の含有率は、必要なストレッチ性を付与できればよく、特に限定されないが、弾性糸の被覆性、回復性の点から1〜40%であることが好ましい。弾性繊維として、本発明のウレタンウレア弾性繊維のみが用いられても良く、あるいは本発明のポリウレタンウレア弾性繊維と従来のポリウレタン弾性繊維等との組み合わせでも良い。その比率は、任意の比率でよい。
本発明において、カバーリング、合撚糸等などの糸表面を覆う複合方法を用いる場合、他の弾性繊維、あるいは相手糸との固着のためにはある程度の被覆状態のコントロールが必要であり、完全に本発明の弾性繊維を被覆するのではなく、部分的に露出するようにするとよいことが分った。
得られた複合糸の準備工程は、従来知られている工程を用いれば良く、サイジングあるいはワックスも従来使用されている剤が使用可能である。
製経時には、本発明の弾性糸を使用した複合糸のみでなく、本発明以外の弾性糸を用いた複合糸と組み合わせても良いし、非弾性糸と組み合わせても良い。糸の配列方法は通常知られている方法で良く、組織および密度によって適宜配列方法を決めればよい。たとえば、本発明は以下に述べるものに拘束されるものではないが、本発明の弾性繊維複合糸1本に対して、本発明以外の弾性繊維を用いた複合糸10本を配列することも可能である。
製経時には、本発明の弾性糸を使用した複合糸のみでなく、本発明以外の弾性糸を用いた複合糸と組み合わせても良いし、非弾性糸と組み合わせても良い。糸の配列方法は通常知られている方法で良く、組織および密度によって適宜配列方法を決めればよい。たとえば、本発明は以下に述べるものに拘束されるものではないが、本発明の弾性繊維複合糸1本に対して、本発明以外の弾性繊維を用いた複合糸10本を配列することも可能である。
本発明における製織も従来知られている織機を用いればよい。たとえばWJL、AJL、レピア等である。緯糸も本発明の弾性繊維の複合糸のみであっても良いし、経糸と同じように本発明以外の弾性繊維の複合糸や非弾性糸と組み合わせて配列しても良い。なお、本発明以外の弾性糸としては、PBT、PTT、通常のポリウレタンウレア等が上げられる。本発明の複合繊維は、織物全体に使用しても良いし、どちらか一方向に入っていても良い。
得られた生機は、通常知られている加工工程で染色仕上げされる。例として 精練工程を行った後にプレセットを行うがプレセット温度は通常のポリウレタンウレア等で用いられている温度で良い。場合によっては先にプレセットを行い、後で精練を行う方法をとっても良いが、先に精練工程を入れることが望ましい。減量工程も従来行われている方法を用いればよい。染色温度は、通常相手糸の染色温度を用いればよい。ファイナルセットも通常用いられている温度で良い。接着性と密度のコントロールのためにプレセットは複数回入れても良い。
精練工程で溶解する相手糸を用いる場合は、精練工程を先に入れることが望ましい。染色堅牢度対策としてのフィクス剤の使用も従来行われているように行えばよい。生地の風合い調整として、従来から知られている仕上げ剤を使用してよく、特に限定されない。
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。ポリウレタンウレア弾性繊維の性能評価のための各種評価方法について述べる。
(1)熱機械測定分析(TMA)による圧縮変形開始温度
ポリウレタンウレア弾性繊維を、石油エーテルで油剤を除去し乾燥させた後、ジメチルアセトアミドに溶解し20%溶液とする。この溶液を、アプリケーターを用いて厚さ0.6mmで均一にガラス板上にキャストする。これを70℃16時間で、ジメチルアセトアミドを乾燥除去して厚さ約0.12mmのフィルムを得る。
このフィルムを、熱機械測定装置(セイコー電子工業(株)社製TMA/SS120型)の圧縮モードにて、押込プローブ経φ1.2mm、5gの一定加重下、室温より10℃/分で昇温させる。温度上昇により膨張するが、膨張から押込による圧縮変形に転ずる変曲点の温度を、圧縮変形開始温度とする。
(2)接触熱切断秒数
初期長14cmの試験糸を50%伸長して21cmとし、表面温度180℃の直径6cmの円筒状の熱体に押し当て(接触部分1cm)、切断されるまでの秒数を測定する。
(1)熱機械測定分析(TMA)による圧縮変形開始温度
ポリウレタンウレア弾性繊維を、石油エーテルで油剤を除去し乾燥させた後、ジメチルアセトアミドに溶解し20%溶液とする。この溶液を、アプリケーターを用いて厚さ0.6mmで均一にガラス板上にキャストする。これを70℃16時間で、ジメチルアセトアミドを乾燥除去して厚さ約0.12mmのフィルムを得る。
このフィルムを、熱機械測定装置(セイコー電子工業(株)社製TMA/SS120型)の圧縮モードにて、押込プローブ経φ1.2mm、5gの一定加重下、室温より10℃/分で昇温させる。温度上昇により膨張するが、膨張から押込による圧縮変形に転ずる変曲点の温度を、圧縮変形開始温度とする。
(2)接触熱切断秒数
初期長14cmの試験糸を50%伸長して21cmとし、表面温度180℃の直径6cmの円筒状の熱体に押し当て(接触部分1cm)、切断されるまでの秒数を測定する。
(3)ポリウレタン化合物の示差走査熱量計(DSC)測定
ポリウレタン化合物を約10mgを、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)社製DSC210型)にて、窒素50ml/分の気流下、10℃/分の昇温速度でポリウレタン化合物の分解温度まで測定する。
(4)原糸300%伸長回復時回復率
引張試験機(オリエンテック(株)社製UTM−III−100型(商標))により、20℃、65%RH雰囲気下で、初期長5cmで引張試験機にセットし、1000%/分の速度で、伸度300%までの伸長・回復を3回繰り返した時、3回目回復時に応力が0になる伸長率をH(%)としたとき、回復率L(%)=100−Hで求める。
ポリウレタン化合物を約10mgを、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)社製DSC210型)にて、窒素50ml/分の気流下、10℃/分の昇温速度でポリウレタン化合物の分解温度まで測定する。
(4)原糸300%伸長回復時回復率
引張試験機(オリエンテック(株)社製UTM−III−100型(商標))により、20℃、65%RH雰囲気下で、初期長5cmで引張試験機にセットし、1000%/分の速度で、伸度300%までの伸長・回復を3回繰り返した時、3回目回復時に応力が0になる伸長率をH(%)としたとき、回復率L(%)=100−Hで求める。
(5)生地加工性、ほつれ性評価
織物の1辺を織目に沿って、1辺10cmの正方形に切断した試験片を、洗濯機で水30Lに対し、花王(株)社製洗剤アタック(商標)20gを入れた洗濯機で15分/回として洗濯する。5回おきに取り出して試験片の縁のほつれの有無を確認し、ほつれが発生するまでの洗濯繰り返し回数で判定する。
(6)硬度
JIS−K6253に記載の方法で測定する。
織物の1辺を織目に沿って、1辺10cmの正方形に切断した試験片を、洗濯機で水30Lに対し、花王(株)社製洗剤アタック(商標)20gを入れた洗濯機で15分/回として洗濯する。5回おきに取り出して試験片の縁のほつれの有無を確認し、ほつれが発生するまでの洗濯繰り返し回数で判定する。
(6)硬度
JIS−K6253に記載の方法で測定する。
[実施例1]
数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)に対し、1.6倍当量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーを得た。これを室温まで冷却した後、ジメチルアセトアミドを加え、溶解してポリウレタンプレポリマー溶液とした。
数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)に対し、1.6倍当量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーを得た。これを室温まで冷却した後、ジメチルアセトアミドを加え、溶解してポリウレタンプレポリマー溶液とした。
一方、エチレンジアミン(EDA)およびジエチルアミンを乾燥ジメチルアセトアミドに溶解した溶液を用意し、これを前記プレポリマー溶液に室温下添加して、ポリウレタン固形分濃度30重量%、粘度450Pa・s(30℃)のポリウレタンウレア重合体溶液PA1を得た。
また別に、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールに対し、3.0倍等量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーとした後、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)を前記プレポリマーに添加し反応させた後、80℃で16時間加熱して、硬度80A、DSCにおいて80℃から分解開始温度(282℃)までの間に吸熱ピークを持たないポリウレタン化合物を得る。これにジメチルアセトアミドを加え、固形分濃度30重量%のポリウレタン溶液PU1を得た。
得られたポリウレタンウレア溶液とポリウレタン溶液をPA1:PU1=80:20で混合し、ポリウレタンウレアとポリウレタンをあわせた固形分に対し、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)を1重量%、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを0.5重量%をポリウレタン溶液と混合して、均一な溶液とした後、室温減圧下で脱泡して、これを紡糸原液とした。
この紡糸原液を紡糸速度800m/分、熱風温度310℃で乾式紡糸し、得られたポリウレタンウレア弾性繊維をパッケージに巻き取られる前に、仕上げ剤として、ポリジメチルシロキサン80重量%、鉱物油18重量%、ステアリン酸マグネシウム2重量%からなる油剤を、ポリウレタン弾性繊維に対して4重量%付与し、紙製の紙管に巻き取ることで、44デシテックス/4フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
[実施例2]
実施例1のポリウレタン溶液PU1の代わりに、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールに対し、2.4倍等量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーとした後、1,4−ブタンジオールを前記プレポリマーに添加し反応させた後、80℃で60時間加熱して、硬度75A、DSCにおいて80℃から分解開始温度(253℃)までの間に吸熱ピークを持たないポリウレタン化合物を得る。これにジメチルアセトアミドを加え、固形分濃度30重量%のポリウレタン溶液PU2を得た。
得られたポリウレタン溶液をPA1:PU2=80:20で混合し、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
実施例1のポリウレタン溶液PU1の代わりに、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールに対し、2.4倍等量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーとした後、1,4−ブタンジオールを前記プレポリマーに添加し反応させた後、80℃で60時間加熱して、硬度75A、DSCにおいて80℃から分解開始温度(253℃)までの間に吸熱ピークを持たないポリウレタン化合物を得る。これにジメチルアセトアミドを加え、固形分濃度30重量%のポリウレタン溶液PU2を得た。
得られたポリウレタン溶液をPA1:PU2=80:20で混合し、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
[実施例3]
実施例2において、ポリウレタンウレア溶液とポリウレタン溶液をPA1:PU2=65:35で混合する以外は、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
実施例2において、ポリウレタンウレア溶液とポリウレタン溶液をPA1:PU2=65:35で混合する以外は、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
[実施例4]
実施例1のポリウレタン溶液PU1の代わりに、数平均分子量2000のテトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基から成り、2,2−ジメチルプロピレン基のモル分率が10モル%の共重合ポリエーテルグリコールに対し、2.4倍当量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーとした後、1,4−ブタンジオールを前記プレポリマーに添加して、同様に反応させ、硬度77A、DSCにおいて80℃から分解開始温度(264℃)までの間に吸熱ピークを持たないポリウレタン化合物を得る。これにジメチルアセトアミドを加え、固形分濃度30重量%のポリウレタン溶液PU3を得た。
得られたポリウレタン溶液をPA1:PU3=80:20で混合し、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
実施例1のポリウレタン溶液PU1の代わりに、数平均分子量2000のテトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基から成り、2,2−ジメチルプロピレン基のモル分率が10モル%の共重合ポリエーテルグリコールに対し、2.4倍当量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーとした後、1,4−ブタンジオールを前記プレポリマーに添加して、同様に反応させ、硬度77A、DSCにおいて80℃から分解開始温度(264℃)までの間に吸熱ピークを持たないポリウレタン化合物を得る。これにジメチルアセトアミドを加え、固形分濃度30重量%のポリウレタン溶液PU3を得た。
得られたポリウレタン溶液をPA1:PU3=80:20で混合し、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
[実施例5]
実施例1のポリウレタン溶液PU1の代わりに、数平均分子量1000のポリブチレンアジペートジオールに対し、3.0倍等量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーとした後、1,4−ブタンジオールを前記プレポリマーに添加して、同様に反応させ、硬度66A、DSCにおいて80℃から分解開始温度(302℃)までの間に吸熱ピークを持たないポリウレタン化合物を得る。これにジメチルアセトアミドを加え、固形分濃度30重量%のポリウレタン溶液PU4を得た。
得られたポリウレタン溶液をPA1:PU4=80:20で混合し、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
実施例1のポリウレタン溶液PU1の代わりに、数平均分子量1000のポリブチレンアジペートジオールに対し、3.0倍等量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーとした後、1,4−ブタンジオールを前記プレポリマーに添加して、同様に反応させ、硬度66A、DSCにおいて80℃から分解開始温度(302℃)までの間に吸熱ピークを持たないポリウレタン化合物を得る。これにジメチルアセトアミドを加え、固形分濃度30重量%のポリウレタン溶液PU4を得た。
得られたポリウレタン溶液をPA1:PU4=80:20で混合し、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
[実施例6]
実施例2において、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールに代えて、数平均分子量2000のテトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基からなる共重合ポリエーテルグリコール(2,2−ジメチルプロピレン基の共重合率10モル%)を用いる以外は同様な方法で得られたポリウレタンウレア重合体溶液PA2を用いた以外は実施例2と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
実施例2において、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールに代えて、数平均分子量2000のテトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基からなる共重合ポリエーテルグリコール(2,2−ジメチルプロピレン基の共重合率10モル%)を用いる以外は同様な方法で得られたポリウレタンウレア重合体溶液PA2を用いた以外は実施例2と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
[実施例7]
実施例6で用いたPA2と、実施例4で用いたPU3を、PA2:PU3=80:20で混合し、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
実施例6で用いたPA2と、実施例4で用いたPU3を、PA2:PU3=80:20で混合し、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
[比較例1]
ポリウレタン化合物PU1を添加しない以外は実施例1と同様にして(各添加剤はPA1固形分対比量添加した)、22デシテックス/22フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
ポリウレタン化合物PU1を添加しない以外は実施例1と同様にして(各添加剤はPA1固形分対比量添加した)、22デシテックス/22フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
[比較例2]
ポリウレタンウレア重合体PA1を添加しない以外は実施例2と同様にして(各添加剤はPU2固形分対比量添加した)、22デシテックス/2フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
ポリウレタンウレア重合体PA1を添加しない以外は実施例2と同様にして(各添加剤はPU2固形分対比量添加した)、22デシテックス/2フィラメントのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
[比較例3]
実施例1のポリウレタン溶液PU1の代わりに、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールに対し、5.1倍等量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーとした後、1,4−ブタンジオールを前記プレポリマーに添加し反応させ、硬度90A、DSCにおいて分解開始温度(290℃)より低い230℃に吸熱ピークを有するポリウレタン化合物を得る。これにジメチルアセトアミドを加え、固形分濃度30重量%のポリウレタン溶液PU5を得た。
得られたポリウレタン溶液をPA1:PU5=80:20で混合し、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
実施例1のポリウレタン溶液PU1の代わりに、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールに対し、5.1倍等量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーとした後、1,4−ブタンジオールを前記プレポリマーに添加し反応させ、硬度90A、DSCにおいて分解開始温度(290℃)より低い230℃に吸熱ピークを有するポリウレタン化合物を得る。これにジメチルアセトアミドを加え、固形分濃度30重量%のポリウレタン溶液PU5を得た。
得られたポリウレタン溶液をPA1:PU5=80:20で混合し、実施例1と同様にして22デシテックス/2フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
実施例、比較例を含めて、ナイロン22デシテックス/7フラメントを用いて、片岡機械社製、B3機で、ドラフト3、撚数1300T/Mでカバーリングを行った。通常の整径を行い、これらを経密度72羽3入で、仕掛け幅200cmで、津田駒社製のAJL(ザックス)で製織した。緯糸密度150本/インチで行った。得られた生機を下記の条件で仕上げた。すなわち、連続精練機を用い、浴温度は40℃、70℃、90℃、室温で精練をおこない、プレセット温度190℃でテンター幅160cm、オバーフィード率10%でプレセットを行った。染色温度は95℃×45minで、色は黒でフィックスを行った。仕上げとして170℃×45secで、テンター幅140cm、オーバーフィード率10%で仕上加工を行った。仕上げ剤としては撥水剤を使用した。
得られた結果から、本発明品以外の生地は糸切れが発生し、生地の解れなどを生じ、満足するものが得られなかった。
以上の各実施例および比較例における組成を表1に、得られたポリウレタンウレア弾性繊維の性能を表2に示す。
以上の各実施例および比較例における組成を表1に、得られたポリウレタンウレア弾性繊維の性能を表2に示す。
本発明によって製造されるポリウレタンウレア弾性繊維を用いることにより、生地のカールやほつれが抑制され、条件の制約の少ない縫製加工性に優れた織物生地を得ることができる。また、加工時の熱により、縁始末不要とした生地を用い、ガードル、ブラジャー、インティメイト商品、肌着等の各種ストレッチファンデーションや、タイツ、パンティストッキング等において着用感に優れる好適な製品を提供できる。本発明のポリウレタン弾性繊維は、その他、ウェストバンド、ボディースーツ、スパッツ、水着、ストレッチスポーツウェアー、ストレッチアウター、医療用ウェア、ストレッチ裏地等衣料製品の他、熱固着機能を生かしたオムツ、ベルト等の非衣料用途にも好適である。
Claims (10)
- ポリウレタン化合物を5重量%〜40重量%含有するポリウレタンウレア弾性繊維であって、熱機械測定分析(TMA)による圧縮変形開始温度が150℃以上、180℃以下であり、かつ50%伸長下、180℃における熱切断秒数が30秒以上であることを特徴とするポリウレタンウレア弾性繊維を用いてなる織物。
- ポリウレタン化合物の硬度が80A以下であることを特徴とする請求項1記載の織物。
- ポリウレタン化合物が、示差走査熱量計(DSC)測定において、80℃からポリウレタン化合物の分解が開始するまでの温度の間で、吸熱ピークを有さないことを特徴とする、請求項1または2記載の織物。
- ポリウレタン化合物が、架橋型ポリウレタンであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の織物。
- ポリウレタンウレアが、炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールを原料とするものであることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の織物。
- ポリウレタン化合物が、炭素数が2から10の異なったアルキレンエーテルからなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールを原料とするものであることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の織物。
- 請求項1記載の弾性繊維と非弾性繊維とを組み合わせてなることを特徴とする請求項1記載の織物。
- 請求項1記載の弾性繊維と非弾性繊維を複合した糸と、請求項1記載の弾性繊維とは異なる弾性繊維と非弾性繊維を複合した糸とを組み合わせて配列したことを特徴とする請求項1記載の織物。
- 請求項1記載の弾性繊維と非弾性繊維を複合した糸と、非弾性繊維とを組み合わせて配列したことを特徴とする請求項1記載の織物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の織物を少なくとも一部に用いた衣料。
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