JP2004332126A - エーテル変性シリコーンを含有するポリウレタン弾性繊維 - Google Patents

エーテル変性シリコーンを含有するポリウレタン弾性繊維 Download PDF

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明彦 吉里
Atsushi Tsukabe
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Abstract

【課題】パンティストッキングに適した、ソフトで良好な着用感を有する優れた弾性機能、繰り返し洗濯しても長期に亘って着用耐久性のあるポリウレタン弾性繊維を提供すること。
【解決手段】数平均分子量が500〜5000の高分子ジオール、有機ジイソシアネート化合物、イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物から得られるポリウレタン重合体に対して、好ましくはオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基で変性され、粘度が1000〜20000センチストークスであるエーテル変性シリコーン化合物を0.01重量%〜5重量%含有させてなるポリウレタン弾性繊維。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繰り返し洗濯後の着用耐久性及び着用感に優れたレッグ用途、特に、ゾッキタイプのパンティストッキング(以下パンティストッキングと略す。)に好適なポリウレタン弾性繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン弾性繊維は、一般に、スパンデックスと称され、水着、婦人用下着、靴下等、ストレッチ性の要求される衣料用途に種々用いられている。特に、パンティストッキング向けのポリウレタン弾性繊維については、弾性機能、製編性、着用耐久性について、より一層の改良が望まれている。
即ち、パンティストッキングとして、よりソフトな着用感と生地の透明感のある薄手化商品が嗜好され、そのために、ポリウレタン弾性繊維の細デニール化や低モジュラス化が図られ、44dt(デシテックス)から、更に細い10dt以下のポリウレタン弾性繊維や、共重合ポリアルキレンエーテルジオールを用いた弾性率の低いポリウレタン弾性繊維が用いられる傾向にある。このようなポリウレタン弾性繊維を用いることにより、ソフトな着用感と生地の透明感のある薄手化商品が可能となる反面、着用時の糸切れが起こりやすくなり、ポリウレタン弾性繊維の耐摩擦摩耗性の向上が重要である。本出願人は、優れた弾性特性を有するポリウレタン弾性繊維の耐摩擦摩耗性向上について検討した結果、油剤成分にアミノ当量5000から100000のアミノ変性シリコーンを用いること(例えば、特許文献1参照)やアミノ当量3000以下のアミノ変性シリコーンをポリウレタン重合体に含有させて弾性繊維の耐摩耗着用の耐久性改善を提案した(例えば、特許文献2参照)。しかし、アミノ変性シリコーンを使用した場合、5回以上繰り返しの洗濯後の着用耐久性はやや低下する傾向にあり、更なる改善が求められていた。
【0003】
エーテル変性シリコーンを含有する油剤を付着したポリウレタン弾性繊維が提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)。しかし、低モジュラス弾性繊維、例えば20dt以下の細いポリウレタン弾性繊維や共重合ポリアルキレンエーテルジオールを用いたポリウレタン弾性繊維に、エーテル変性シリコーン含有油剤を付与したのみでは、着用耐久性は充分ではなく、更に、染色工程及び着用後の洗濯時にエーテル変性シリコーンが繊維表面から脱落しやすく、パンティストッキングのような着用の度に繰り返し洗濯される場合の着用耐久性は未だ充分満足できる水準でない。
【0004】
【特許文献1】
特開平07−102485号公報
【特許文献2】
特開平08−269822号公報
【特許文献3】
特開平05−005277号公報
【特許文献4】
特開平09−188974号公報
【特許文献5】
特開平09−296377号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、パンティストッキングに適した、ソフトで良好な着用感を有する優れた弾性機能、繰り返し洗濯しても長期に亘って着用耐久性のあるポリウレタン弾性繊維に関する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定のポリウレタン重合体に、エーテル変性シリコーン化合物を特定量含有させてなるポリウレタン弾性繊維によって、本発明の課題を解決することが出来た。
すなわち、本発明は、
1. 数平均分子量が500〜5000の高分子ジオール、有機ジイソシアネート化合物、イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物から得られるポリウレタン重合体に対して、エーテル変性シリコーン化合物を0.01重量%〜5重量%含有させてなるポリウレタン弾性繊維。
2. エーテル変性シリコーン化合物がオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基で変性されたシリコーンであり、且つその粘度が1000〜20000センチストークス(25℃)であることを特徴とする1記載のポリウレタン弾性繊維。
3. 高分子ジオールが1種または2種以上の炭素数2〜10の直鎖状及び/又は分岐状のアルキレン基がエーテル結合しているポリアルキレンエーテルジオールであることを特徴とする1または2記載のポリウレタン弾性繊維。
4. アルキレン基が、ブチレン基単独またはブチレン基と1種以上の炭素数2〜10の直鎖状及び/又は分岐状のアルキレン基とがエーテル結合しているポリアルキレンエーテルジオールである3記載のポリウレタン弾性繊維。
5. アルキレン基が、ブチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基及び/又は2−メチルブチレン基からなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールである4記載のポリウレタン弾性繊維。
6. ポリウレタン弾性繊維が乾式紡糸から得られ、且つ繊度が5〜44dt(デシテックス)のモノフィラメントであることを特徴とする1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン弾性繊維。
である。
本発明のエーテル変性シリコーンを含有するポリウレタン弾性繊維は、5回以上繰り返しの洗濯にも耐え、着用耐久性が大きく向上する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる高分子ジオールは、数平均分子量(Mn)が500〜5000、好ましくは1000〜4000である。Mnが500より小さい場合、弾性回復性が低下し、5000より大きいと紡糸性が悪化する。
高分子ジオールとしてポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール等を挙げることができる。好ましくは、ポリエーテルジオールであり、詳しくは、1種または2種以上の炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基がエーテル結合しているポリアルキレンエーテルジオールである。単一または共重合ポリアルキレンエーテルジオールのいずれでも良く、好ましくは共重合ポリアルキレンエーテルジオール、特に好ましくはアルキレン基が、ブロック状またはランダム状にエーテル結合している数平均分子量が500〜5000の共重合ポリアルキレンエーテルジオールである。
【0008】
異なる二種類のアルキレン基をA、Bとし、R〜Rを、A,Bを含有するポリアルキレンエーテル基とすると、例えば、HO−RO−A−O−B−OR−OH、HO−RO−A−O−A−O−A−O−B−O−B−O−B−O−B−OR−OH、HO−RO−A−O−B−O−A−O−A−O−B−OR−OH等が挙げられる。従来からポリウレタン弾性繊維の原料として広範に用いられている単一ポリアルキレンエーテルジオールであるPTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)に比較して、2種類以上のアルキレン基からなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールを用いたポリウレタン弾性繊維の場合、弾性機能がさらに改善され、そのため、このポリウレタン弾性繊維は優れた弾性機能、即ち高い破断伸度、伸長時の歪に対する小さな応力変動、伸長時の応力の小さなヒステリシス損失を有するため、これを使用したパンティストッキングは、優れた弾性機能を有し、着用感に優れた商品となる。共重合ポリアルキレンエーテルジオールの中でも、得られるポリウレタン弾性繊維の耐水性、耐光性及び耐摩耗性、弾性機能の観点から、ブチレン基、すなわちテトラメチレンエーテルユニットを含む共重合ポリアルキレンエーテルジオールが好ましく、更にはブチレン基、すなわちテトラメチレンエーテルユニットと2,2−ジメチルプロピレン基、すなわちネオペンチレンエーテルユニットとの組み合わせや、テトラメチレンエーテルユニットと2−メチルブチレン基との組み合わせが特に好ましい。共重合ポリアルキレンエーテルジオールにおいて、テトラメチレン基以外のアルキレンエーテルユニットは、4モル%以上且つ85モル%以下含むことが好ましい。該アルキレンエーテルユニットが4モル%未満では、スパンデックスの弾性機能改良効果が小さく、85モル%を越えると弾性繊維の強度または伸度の低下が大きい。
【0009】
本発明において用いられる有機ジイソシアネート化合物としては、分子内に2個のイソシアネート基を有す公知の脂肪族、脂環族もしくは芳香族の有機ジイソシアネートが挙げられ、具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の有機ジイソシアネートが例示され、好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。また、有機ジイソシアネートとして、遊離のイソシアネート基に変換される封鎖されたイソシアネート基を有する化合物を使用してもよい。
【0010】
本発明において用いられるイソシアネート基と反応する活性水素含有化合物としては、ポリウレタンにおける常用の鎖伸長剤、即ち、イソシアネートと反応し得る水素原子を少なくとも2個含有する、好ましくは分子量500以下の低分子化合物を用いることが出来る。この具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ヒドラジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジヒドラジド、ピペラジン等のジアミン類、及び特開平5−155841号公報で開示されたジアミン化合物類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のジオール類、好ましくはエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、及び特開平5−155841号公報で開示されたジアミン化合物類が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を混合して用いても良い。また場合により、イソシアネートと反応し得る活性水素を1個含有する化合物と併用しても良い。
【0011】
高分子ジオール、有機ジイソシアネート化合物及び活性水素含有化合物を用いてポリウレタン重合体を製造する方法に関しては、公知のウレタン化反応の技術を採用することが出来る。また、本発明で用いられる各種化合物の化学量論的割合は、高分子ジオールの水酸基と活性水素含有化合物の活性水素の総和が、有機ジイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して1.00以上1.07当量未満が好ましい。
本発明のポリウレタン弾性繊維を構成するポリウレタン重合体の比粘度(ηsp/c)は、1.1〜3.5dl/gが好ましい。この範囲とすることにより、弾性回復性に優れた弾性繊維となる。尚、ここで比粘度(ηsp/c)とは、N,N’−ジメチルアセトアミド溶媒中における(η/η−1)/Cで計算した値である。(但し、Cはポリマー0.5g/DMAC99.5gの溶液粘度(0.5wt%)であり、ηはオストワルド粘度計による希薄溶液中の落下秒数であり、ηは同上粘度計によるDMACのみの落下秒数である。)
【0012】
本発明の弾性繊維を構成するポリウレタン重合体は、高分子ジオール;
【化1】
Figure 2004332126
(Rは、高分子ジオールの残基)
有機ジイソシアネート化合物;
【化2】
Figure 2004332126
(Rは有機ジイソシアネート化合物の有機残基)
【0013】
活性水素含有化合物;
【化3】
Figure 2004332126
(R、Rは活性水素含有化合物の残基)と表した場合、基本的には、
【化4】
Figure 2004332126
【0014】
【化5】
Figure 2004332126
(但し、L、Mは1以上の整数である)と表される構造単位(4)及び(5)の繰り返しにより表される構造を持つ。上記ポリウレタン重合体の末端は、−RHもしくは−Rであってもよい。
【0015】
本発明で用いられるエーテル変性シリコーンは、2つの型に分類ができる。すなわち<化6>で表される側鎖にポリエーテル基を含有するエーテル変性シリコーンと<化7>で表される主鎖にポリエーテル基を含有するエーテル変性シリコーンである。例えば、
【化6】
Figure 2004332126
(但し、一般式<化6>において、OAは、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が挙げられる。OAの繰り返し単位は同一でも異なっていてもよい。単独又はオキシエチレン基とオキシプロピレン基がランダム付加、ブロック付加のいずれでも良い。)
Rは、一価の炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐した炭化水素基またはトリメチルシロキサン基である。m、n、qは各々正の整数である。
【0016】
【化7】
Figure 2004332126
(但し、一般式<化7>において、OA、OBは、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が挙げられる。OA、OBの繰り返し単位は同一でも異なっていてもよい。単独又はオキシエチレン基とオキシプロピレン基がランダム付加、ブロック付加のいずれでも良い。a、b、c、d、eは、各々正の整数である。)
本発明に用いられるエーテル変性シリコーンは、一例として特公平5−29706号公報記載の方法で製造することが出来る。
本発明において、エーテル変性シリコーンはポリウレタン重合体に含有されていることを特徴とする。本発明では、ポリウレタン重合体を紡糸する際にエーテル変性シリコーンを含有する油剤を付着させるだけでは、エーテル変性シリコーンは繊維の表面にしか存在しないため本発明の効果を有さない。
【0017】
一般に油剤成分に用いられるエーテル変性シリコーンの数平均分子量は、精錬工程で洗浄されやすい比較的低分子量のものが好ましいが、本発明ではエーテル変性シリコーンが繰り返し洗濯をされた後でも長く繊維の内部に存在することが必須である。エーテル変性シリコーンは親水性があり精錬工程や染色工程で脱落し易いため、低分子量低粘度であれば弾性繊維に含有されたエーテル変性シリコーンが容易に繊維表面から脱落除去されて、相手素材の例えばナイロン等の磨耗に対して効果が発揮できずに、着用耐久性能が低いものとなる。よって、本発明に用いるエーテル変性シリコーンは粘度が1000〜20000センチストークス/25℃が好ましく、より好ましくは1500〜10000センチストークス/25℃の高粘性のものである。
【0018】
本発明のエーテル変性シリコーンの含有量は、ポリウレタン重合体に対して、0.01重量%〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは、0.03重量%〜1.0重量%、特に好ましくは0.1重量%〜0.8重量%である。0.01重量%より少なければ、洗濯耐久性の効果がなく、5.0重量%より多ければ、紡糸時に紙管ボビン上で弾性繊維同士が糸滑りを起こし、巻取り形状不良となり好ましくない。
本発明において、ポリウレタン重合体にエーテル変性シリコーンを含有させる方法は、エーテル変性シリコーンがポリウレタン重合体内部に存在させることができれば良く、特に限定されない。
このようにして得られるエーテル変性シリコーンを含有するポリウレタン重合体に、更に、ポリウレタン重合体に有用な公知の有機化合物又は無機化合物の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、黄変防止剤、熱変色防止剤、耐プール用殺菌塩素剤を添加しても良い。
このようにして得られたポリウレタン重合体組成物は、従来公知の乾式紡糸法、湿式紡糸法、溶融紡糸法のいずれかで繊維状に成形し得る。好ましくは、乾式紡糸で得られるものである。
【0019】
本発明のポリウレタン弾性繊維の繊度はタイツやパンティストッキングに用いられるものであれば良く、特に限定されないが、5〜44dt(デシテックス)が好ましい。より好ましくは8〜33dtであり、特に好ましくは10〜22dtである。5dt未満であると紡糸工程中で糸切れを起こしやすく安定操業が困難である。44dtを越えると繊維自体が太く着用耐久性に特に問題を起こすことがないため、エーテル変性シリコーンをポリウレタン中に添加する意味がない。又、乾式紡糸の場合、44dtより大きいモノフィラメントであると、紡糸中に繊維からの溶剤の乾燥が困難になるため、乾燥時間を延長するために紡糸速度を下げる必要があり生産性の低下をきたす。
【0020】
エーテル変性シリコーンをポリウレタン重合体中に添加して得られる弾性繊維がマルチフィラメントの場合、内部添加したエーテル変性シリコーンが単糸表面に移動して単糸剥離を起こしやすく、例えば2本のマルチフィラメントを融着した弾性繊維はカバーリング工程中に剥離して2本のモノフィラメントになり、カバーリング工程中で糸切れを起こす恐れがある。以上より、本発明のポリウレタン弾性繊維は5〜44dtで且つモノフィラメントであることが好ましい。
この際、更に、公知のポリウレタン弾性繊維用油剤を紡糸時に外部よりオイリング装置を用いて、油剤として付着させてもよい。ここで用いられる油剤成分は、エーテル変性シリコーンの他に、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリオルガノシロキサン、鉱物油、タルク、シリカ、コロイダルアルミナ等の鉱物性微粒子、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩粉末、高級脂肪族カルボン酸、高級脂肪族アルコール、パラフィンポリエチレン等の常温で固体のワックスなど種々のものを組み合わせて使用して良い。
【0021】
本発明の、エーテル変性シリコーンをポリウレタン重合体に含有させたポリウレタン弾性繊維は、洗濯着用耐久性が著しく向上する。更に、長期に亘って繊維同士の癒着、ボビンに巻取られた繊維を解舒する時の張力変動、糸道抵抗の変動等による後加工工程での糸切れ発生が抑制され織編性も一層優れる。
このようにして得られたポリウレタン弾性繊維は、実用上は、そのまま裸糸として使用しても良く、また他の繊維、例えば、ポリアミド繊維、ウール、綿、再生繊維、ポリエステル繊維など、従来公知の繊維で被覆して被覆弾性繊維として使用することもできる。本発明のポリウレタン弾性繊維は、特に、タイツ、パンティストッキングの用途に好適であるが、これに限定されることなく、ファウンデーション、靴下留め、口ゴム、コルセット、外科用の包帯、織物及び編物の水着等にも用いることができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例で説明する。
実施例におけるエーテル変性シリコーンの25℃粘度、ポリウレタン弾性繊維(試料)の各物性の測定及びパンティストッキングの作成、着用評価は以下の方法で行った。
(1) 25℃粘度
キャノン・フェンスケ型粘度計を用いて、JIS K 2283に準じて測定した。
(2) 破断強力および破断伸度
試料長5cmのサンプルを1000%/分の歪速度で引張りテストを20℃で行った時の、破断強力および破断伸度を示す。
(3) 200%での応力保持率
同試料の、20℃で、1000%/分の歪速度で300%までの伸長回復を3回繰り返した時の、3回目の200%歪時の、伸長時の応力に対する回復時の応力保持率を示す。
(4) 100%〜300%への応力変動率
同試料の、20℃で、1000%/分の歪速度で引っ張りテストを行った時の、100%伸長時の応力に対する300%伸長時の応力の倍率を示す。
【0023】
(5) 耐摩擦摩耗性(伸縮サイクル)評価
ナイロン糸(旭化成(株)製、レオナ11d/5f)と試料(ポリウレタン弾性繊維)とを引き揃え、糸送り35m/分で約15cm長の筒編地を作製する。この筒編地を、染色−洗濯処理筒編地として、耐摩耗摩擦性評価に用いた。すなわち、編地を自由長で蛍光白色染色する。イオン交換水にBLANKOPHORCL(Bayer社製染料)1.2%owf(編地100gに対し1.2g)、イオネットラップ50(三洋化成(株)製)を0.4g/l、酢酸アンモニウム0.5g/lおよび酢酸2ml/lを溶解した液を染色液とし、染色液をボイル(100℃)下で、浴比1:30となるように編地を45分間浸漬し染色する。
該処理を施した筒編地を12時間風乾後、洗濯処理として、花王製新ニュービーズ0.83g/l、40℃の水40リットルに洗濯機で40分撹拌後、10分間流水で水洗し、45℃で8時間風乾し、これを洗濯1回とした。この操作を5回繰り返して洗濯5回処理とした。洗濯5回処理後の筒編地を、220%伸長(0〜220%の繰り返し伸長)、200rpmでデマッチャ試験機を用い、繰り返し伸縮試験をする。所定回数後、ナイロン糸による摩擦摩耗で切断されたスパンデックス糸の切断状況を観察し、スパンデックス糸の切断が認められない最大の伸縮サイクル数として耐摩擦摩耗性の評価を行なった。
【0024】
(6) 耐摩耗布耐久性評価
上記未処理筒編地、洗濯1回処理後編地、及び洗濯5回処理後編地を切り開き、4cm角の該編地を縦横各200%伸長固定し、300gの接圧下、300rpmで木綿摩耗布に擦り付けた。この際、目視によって、筒編地のポリウレタン弾性繊維が切れ、編地に穴があくまでの時間(分)を測定した。
(7) 静摩擦係数(μs)
上記未処理筒編地、洗濯3回処理後編地、及び洗濯5回処理後編地を解編し、ナイロン糸と試料(スパンデックス糸)に分解した。このナイロン糸とスパンデックス糸の静摩擦係数(μs)を、ジョリーバランス計(興亜商会(株)製)を用い、以下の条件で測定した。即ち、図1に示すように、ナイロン糸(N)に20g(W1)の荷重を付け摩擦体とする。これと直角に、試料(スパンデックス糸)(S)をバネ(B)の下部に取り付けた滑車を介し、一端に2gの荷重(W2)を付け、30cm/分の速度で試料(S)を走行させる。この時、バネ(B)に加わる最大荷重(T)を測定する。静摩擦係数(μs)は、下記式(a)
【数1】
Figure 2004332126
から算出される。
【0025】
(8) パンティストッキングの作成
ナイロン糸(旭化成(株)製、レオナ11dt/5f)と試料(スパンデックス弾性繊維)を、カバーリング(ドラフト率2.7,1800T/m)後、このカバーリング糸を用いて、トータルコース2400コースで 編んだ編地を、50℃でプレセットした後、95℃で45分間染色後、フィックス剤処理−柔軟加工剤処理後、125℃15秒間熱セットを行い、パンティストッキングを仕上げた。
このパンティストッキングの着用性評価及び着用耐久性評価は以下の方法で行なった。20代〜40代の女性10名に、約8時間/1日着用した時の着用感を着用回数毎にアンケート用紙に記入してもらい、その後、洗濯し、日陰で乾燥させた。着用感は、○非常に良好、△良好、×悪いの3段階で評価した。このパンティストッキングのポリウレタン弾性繊維が切断してないことを確認して着用1回と数える。着用1回毎に、洗濯の操作を繰り返して、パンティストッキングの着用を繰り返し、切断を認めた場合、その前の着用回数を着用耐久回数として記録し、着用者の回数の平均値で表した。切断が無い場合は、最高10回まで着用を繰り返した結果を示した。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0026】
【実施例1〜3】
テトラメチレンエーテルユニットとネオペンチレンエーテルユニット(以下NPG)からなる共重合ポリアルキレンエーテルジオール(NPGの共重合率10モル%、数平均分子量(Mn)2000)2000g(1モル)と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDI)400g(1.6モル)とを乾燥窒素気流下で80℃で3時間、攪拌下で反応させ、ウレタンプレポリマーを得た。これを室温に冷却した後、ジメチルアセトアミド4、457g加え、攪拌しながら溶解し、均一な溶液とした。
一方、エチレンジアミン34.2g(0.57モル)、ジエチルアミン4.38g(0.06モル)をジメチルアセトアミド1、233gに溶解した溶液を、上記プレポリマー溶液に高速攪拌下で加え、室温下1時間反応させ、4200ポイズ/30℃の粘調なポリウレタン重合体溶液を得た。この溶液に、上記一般式<化6>の構造を有し、Rがトリメチルシロキサンであり、オキシエチレンとオキシプロピレンのモル比が1:1、25℃における粘度が1600センチストークス(cst)であるエーテル変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名「KF−352」)を0.1wt%添加し、均一に混合した。このエーテル変性シリコーンを含有するポリウレタン重合体溶液より、通常の乾式紡糸法により、繊度17dt/モノフィラメント、22dt/モノフィラメント、33dt/モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。この際、仕上げ剤には、ポリジメチルシロキサン74wt%、鉱物油25wt%、ステアリン酸マグネシウム1wt%の混合油剤を用い、ポリマーに対して9wt%付着した。この弾性繊維の諸物性値を表2に示す。
【0027】
【比較例1〜3】
実施例1に従って作製したポリウレタン重合体溶液に、エーテル変性シリコーンの代わりに、表1記載のアミノ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名「KF−393」)を0.1wt%含有させ、実施例1と同様の仕上げ剤を用いて、通常の乾式紡糸法により、繊度17dt/モノフィラメント、22dt/モノフィラメント、33dt/モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。これらの諸物性値を表2に示す。
アミノ当量は以下の方法で測定した。
試料(アミノ変性シリコーン)約1gを精秤し、クロロホルムで希釈、溶解し約25ml溶液とする。これに指示薬としてブロモフェノールブルーを添加し、0.1規定塩酸のメタノール溶液で滴定する。この時、溶液が青色から紫、黄色を経て無色になる点を滴定の終点とする。
塩酸の滴定量をE(ml)、塩酸溶液の力価をf、試料の重量をw(g)とすると、アミノ当量=10×w/(f×E)で算出される。
【0028】
【実施例4〜6】
実施例1に従って作製したポリウレタン重合体溶液に、表1に記載したエーテル変性シリコーンを含有させた。この溶液から、実施例1と同様の仕上げ剤を用いて、通常の乾式紡糸法により繊度17dt/モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。これらの諸物性値を表2に示す。
【実施例7、8】
共重合ポリアルキレンエーテルジオールの代わりに、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)数平均分子量2000を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、4500ポイズ/30℃の粘調なポリウレタン重合体溶液を得た。この重合体溶液に、表1記載のエーテル変性シリコーンを含有させ、実施例1と同様の仕上げ剤を用いて、通常の乾式紡糸法により繊度17dt/モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。これらの諸物性値を表2に示す。
【0029】
【比較例4〜6】
実施例1に従って作ったポリウレタン重合体溶液に、エーテル変性シリコーンは含有させずに、実施例1と同様にして、繊度17dt/モノフィラメント、22dt/モノフィラメント、33dt/モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。この際、仕上げ剤に、表1に記載したエーテル変性シリコーン2wt%,ポリジメチルシロキサン72wt%、鉱物油25wt%、ステアリン酸マグネシウム1wt%の混合油剤を用い、ポリマーに対して9wt%付着した。これらの弾性繊維の諸物性値を表2に示す。
【0030】
【比較例7】
実施例1に従って作ったポリウレタン重合体溶液に、エーテル変性シリコーンは含有させずに、実施例1と同様に乾式紡糸して、繊度17dt/モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。この際、仕上剤には、実施例1記載の混合油剤を用いた。この弾性繊維の諸物性値を表2に示す。
【比較例8】
実施例7に従って作ったポリウレタン重合体溶液に、エーテル変性シリコーンは含有させずに、実施例1と同様に乾式紡糸して、繊度17dt/モノフィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。この際、仕上剤には、実施例1記載の混合油剤を用いた。この弾性繊維の諸物性値を表2に示す。
【0031】
【表1】
Figure 2004332126
【0032】
【表2】
Figure 2004332126
【0033】
【発明の効果】
本発明のエーテル変性シリコーンを含有するポリウレタン弾性繊維は、優れた繰り返しの耐洗濯着用耐久性を持つ。又、特に、共重合ポリアルキレンエーテルジオールを用いた弾性繊維は、弾性機能に優れているため、パンティストッキングの着用感にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における静摩擦係数(μs)の測定方法を模式的に示す図である。

Claims (6)

  1. 数平均分子量が500〜5000の高分子ジオール、有機ジイソシアネート化合物、イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物から得られるポリウレタン重合体に対して、エーテル変性シリコーン化合物を0.01重量%〜5重量%含有させてなるポリウレタン弾性繊維。
  2. エーテル変性シリコーン化合物がオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基で変性されたシリコーンであり、且つその粘度が1000〜20000センチストークス(25℃)であることを特徴とする請求項1記載のポリウレタン弾性繊維。
  3. 高分子ジオールが1種または2種以上の炭素数2〜10の直鎖状及び/又は分岐状のアルキレン基がエーテル結合しているポリアルキレンエーテルジオールであることを特徴とする請求項1または2記載のポリウレタン弾性繊維。
  4. アルキレン基が、ブチレン基単独またはブチレン基と1種以上の炭素数2〜10の直鎖状及び/又は分岐状のアルキレン基とがエーテル結合しているポリアルキレンエーテルジオールである請求項3記載のポリウレタン弾性繊維。
  5. アルキレン基が、ブチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基及び/又は2−メチルブチレン基からなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールである請求項4記載のポリウレタン弾性繊維。
  6. ポリウレタン弾性繊維が乾式紡糸から得られ、且つ繊度が5〜44dt(デシテックス)のモノフィラメントであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン弾性繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008179925A (ja) * 2007-01-26 2008-08-07 Asahi Kasei Fibers Corp パンティストッキング
US8759467B2 (en) 2009-10-30 2014-06-24 Mitsubishi Chemical Corporation Polyester polyol, polyurethane, obtained using the same, process for production thereof, and molded polyurethane
CN107407011A (zh) * 2015-03-31 2017-11-28 信越化学工业株式会社 有机硅改性聚氨酯系纤维及其制造方法

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