JP2006144192A - ソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸およびその製造方法 - Google Patents

ソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 着用性、フィット感、着用感、運動追従性に特に優れたソフトストレッチ繊維製品を製造するために好適なソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸を提供する。
【解決手段】 側鎖を有するポリエーテルジオールとジイソシアネート化合物とを反応させ、次いで、鎖伸長剤として、エチレンジアミンと炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物とをモル比98対2、乃至、82対18で含む複数種のジアミン化合物を加えて有機溶剤中で反応させる。次いで、得られたポリウレタン溶液を乾式紡糸することによりポリウレタン弾性糸を製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明はソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、加工時の耐熱性に優れ、衣服などの繊維製品としたときにソフトストレッチ性能を発揮し、ソフトな着用感、フィット感、運動追従性に優れたソフトストレッチ性繊維製品を製造することができるポリウレタン弾性糸に関するものである。
ポリウレタン弾性糸は、一般的に、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどのポリマージオールと、ジイソシアネート化合物(なかでも、活性水素と高い反応性を有する芳香族ジイソシアネート化合物、特に4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI))と、低分子量ジアミン化合物もしくは低分子量ジオール化合物とを反応させて得られるポリウレタンを、乾式、湿式、溶融のうちのいずれかの紡糸法によって紡糸し巻き取られて製造される。紡糸法としては、生産性等の見地から高い巻き取り速度で紡糸することのできる乾式もしくは溶融紡糸法が、工業的生産において主として採用されている。
また、種々の用途でストレッチ性素材として使用されるポリウレタン弾性糸は、用途に応じた特性をもつように、ポリウレタン組成等に改良が加えられてきている。
例えば、靴下や水着等の用途においてナイロン繊維と併用される場合のポリウレタン弾性糸には、ヒートセット効率が高く、湿熱クリープが低いことが要求され、この要求特性を満たすために、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフランとの共重合ジオールを、有機ジイソシアネートでキャップし、エチレンジアミン等と2-メチルペンタメチレンジアミンや水素化mフェニレンジアミン等との混合ジアミンでもって鎖伸長させて製造したポリウレタンを、乾式紡糸する製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、低温でも高温でもの広範囲の温度領域でヘタリのない優れた弾性特性を有するポリウレタン弾性糸を製造するために、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフランとの共重合ジオールから誘導されるポリウレタンであって、ソフトセグメント分子量を特定範囲としたポリウレタンを用いることが提案されている(特許文献2参照)。
さらにまた、高度に均一なポリウレタン弾性糸を製造するために、弾性糸を構成するポリウレタンウレアにおいて、モノアルキルウレア末端とアルキルウレタン末端との比率を、0.5:1から10:1の範囲とすることが提案されている(特許文献3参照)。
しかし、これら従来のポリウレタン弾性糸を用いたストレッチ衣料の場合、ある程度のソフトな着用感やフィット感を実現することができるが、鎖伸長剤として用いているジアミン化合物が嵩高なものであって、その量も多いために、耐熱性が十分ではなく、布帛加工時の熱処理時に劣化し永久変形し易いので、満足できるソフトなストレッチ性能、フィット感、運動追従性を得ることは困難であった。
その他、鎖伸長剤として低分子量ジオール化合物を用いたポリウレタンから弾性糸を製造する方法もあるが、このポリウレタン弾性糸ではソフトな着用感はある程度達成できるものの残留歪みが大きく、布帛加工時の熱処理でさらに劣化してしまうため、やはり満足できるソフトなストレッチ性能、フィット感、運動追従性を得ることは困難である。
特許第2897254号公報 特開平9−136937号公報 特開2003−155624号公報
そこで、本発明は、かかる従来技術によるポリウレタン弾性糸の欠点を改良し、着用性、フィット感、着用感、運動追従性に特に優れたソフトストレッチ繊維製品を製造するために好適なソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明のポリウレタン弾性糸は、側鎖を有するポリエーテルジオール、ジイソシアネート化合物、および、エチレンジアミンと炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物とをモル比98対2、乃至、82対18で含む複数種のジアミン化合物を反応させることにより得られるポリウレタンから構成されるものであり、ストレッチ性等に優れている。
また、側鎖を有するポリエーテルジオールとジイソシアネート化合物とを反応させ、次いで、鎖伸長剤として、エチレンジアミンと炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物とをモル比98対2、乃至、82対18で含む複数種のジアミン化合物を加えて有機溶剤中で反応させ、得られたポリウレタン溶液を乾式紡糸することによりポリウレタン弾性糸を製造する方法である。
ここで、炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物としては、1,2−ジアミノプロパン、2−メチル−1,3−ジアミノプロパン、及び1−メチル−1,3−ジアミノプロパンのうちのいずれか1種以上が、好ましい。また、側鎖を有するポリエーテルジオールとしては、テトラヒドロフラン若しくは1,4−ブタンジオールと、3メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、及び、ネオペンチルグリコールのうちのいずれか1種以上とから共重合される共重合体が好ましい。
これら条件を満たすポリウレタンを用いることにより、従来のポリウレタン弾性糸では実現できなかった十分な耐熱性を有し、かつソフトな着用感とフィット感、さらには高い運動追従性が実現されるストレッチ性繊維製品を製造することが可能となる。
本発明によるポリウレタン弾性糸をストレッチ素材として用いると、従来にはない優れたソフトな着用感、フィット感、運動追従性を有するソフトストレッチ性繊維製品を製造することができる。また、このソフトストレッチ性繊維製品は加工時における耐熱性に優れているので、例えば製編織品や縫製品などを加工する際の熱処理によって、その優れたソフトストレッチ性能が損なわれず、ソフトストレッチ性に優れた最終繊維製品とすることができる。
本発明のポリウレタン弾性糸は、側鎖を有するポリエーテルジオール、ジイソシアネート化合物、および、特定の複数種のジアミン化合物を反応させることにより得られるポリウレタンから構成される弾性糸である。ここで用いる複数種のジアミン化合物は、エチレンジアミンと炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物とを含むものであり、特に、分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物として、1,2−ジアミノプロパン、2−メチル−1,3−ジアミノプロパン、及び1−メチル−1,3−ジアミノプロパンのうちのいずれか1種以上を用いることが好ましい。
側鎖を有するポリエーテルジオールは、その分子量が1500以上6000以下であることが好ましく、さらに好ましくは1800以上4000以下である。この範囲の分子量のポリエーテルジオールを用いることにより適度な強度、伸度を有するポリウレタン弾性糸を得ることができる。また、側鎖を有するポリエーテルジオールであることによって、弾性糸におけるポリマの結晶化が抑制され、ソフトストレッチ性を高めることができる。
ここで、ポリエーテルジオールの側鎖はメチル基であることが好ましい。メチル基であれば立体障害も小さく糸の強度、特に破断強度への影響がほとんどないからである。
側鎖にメチル基を有するポリエーテル系ジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオールとネオペンチルグリコールの共重合体、1,4-ブタンジオールと3メチル1,5−ペンタンジオールの共重合体、1,5−ペンタンジオールとネオペンチルグリコールの共重合体、1,5−ペンタンジオールと3−メチル−1,5−ペンタンジオールの共重合体、1,6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールの共重合体、1,6−ヘキサンジオールと3メチル1,5−ペンタンジオールの共重合体、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)と3−メチルTHFの共重合体、THFと1,2−ジメチルTHFの共重合体、THFと1,3−ジメチルTHFの共重合体などのポリエーテル系ジオールが挙げられる。好ましくは、1,4−ブタンジオールとネオペンチルグリコールの共重合体、1,4−ブタンジオールと3−メチル−1,5−ペンタンジオールの共重合体、THFと3−メチルTHFの共重合体のポリエーテルジオールである。さらに好ましくは、メチル基による立体障害が小さい1,4-ブタンジオールと3−メチル−1,5-ペンタンジオールの共重合体、THFと3−メチルTHFの共重合体のポリエーテルジオールである。最も好ましくは、THFと3−メチルTHFの共重合体のポリエーテルジオールである。
3−メチルTHFのようにメチル基側鎖を有するモノマーの比率は、モル比で5〜20モル%程度であることが好ましい。メチル基側鎖モノマーの比率があまり高いとポリウレタン弾性糸の強度やサンシャインに対する耐久性において実用上、問題が生じ易い。逆にメチル基側鎖モノマーの比率が低過ぎるとポリエーテルジオールに結晶性が発現してソフトストレッチ性に問題が生じ易い。
本発明においてはその良好な特性を損なわない程度であれば、他のポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどを1種もしくは複数種混合してもよい。
本発明において用いるジイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環族ジイソシアネート化合物いずれも用いることができる。またこれらを混合して用いても構わないが、活性水素との高い反応性を有する芳香族ジイソシアネート化合物を用いることが好ましい。この芳香族ジイソシアネート化合物として、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトベンゼン、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの芳香族ジイソシアネート化合物を1種または2種以上混合して用いても構わないが、反応性や得られるポリウレタン糸の強伸度特性などから4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートを用いることが好ましい。
側鎖にメチル基を有するポリエーテルジオールとジイソシアネート化合物(特に好ましくは4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート)との混合比は、モル比で1:1.3から1:2.5の範囲であることが好ましい。特に好ましくは1:1.4から1:2.0の範囲である。この範囲であると高い強伸度を有しかつ回復力にも優れたポリウレタン糸が得られる。またポリウレタン弾性糸の製造工程に対しても悪影響を及ぼさない。
本発明においては、鎖伸長剤として特定の複数種のジアミン化合物を用いる。即ち、エチレンジアミンと炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物とをモル比98対2、乃至、82対18で含む複数種のジアミン化合物を用いる。このような特定のジアミン化合物を併用することにより、ポリウレタン弾性糸を伸長した際の結晶化を抑制でき、メチル側鎖を有するポリエーテルジオールとの組み合わせにより、従来よりも格段にソフトストレッチ性を向上させることが可能となるのである。
第1のジアミン化合物としてはエチレンジアミンを用いる。エチレンジアミンを含むことにより得られるポリウレタン弾性糸の破断強度および耐熱性が格段に向上するのである。
第2のジアミン化合物としては、炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物を用いる。例えば、1,2-ジアミノプロパン、2−メチル−1,3-ジアミノプロパン、1−メチル−1,3-ジアミノプロパンなど、1つのメチル側鎖を有するジアミン化合物が好ましい。最も好ましいのは1,2-ジアミノプロパンである。1,2-ジアミノプロパンであれば立体障害も小さいため耐熱性への影響がほとんどないからである。
鎖伸長剤として用いるジアミン化合物において、エチレンジアミンと分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物との比率は、モル比で98対2から82対18の範囲とする。好ましくは95対5から85対15の範囲である。この範囲は、耐熱性を損なわず、かつポリウレタン弾性糸を伸長した際の結晶化を抑制するために好適であり、布帛にしても従来にないソフトな着用感、フィット感を実現することができる。
本発明における弾性糸の繊度、断面形状などは特に限定されるものではない。例えば糸の断面は円形であっても扁平であってもよい。また、本発明の糸は各種安定剤や顔料などを含有していてもよい。例えば、耐酸化防止剤などとして、いわゆるBHTや住友化学(株)製の“スミライザーGA-80”(登録商標)などをはじめとするヒンダードフェノール系薬剤、各種チヌビンをはじめとするベンゾトリアゾール系薬剤、住友化学(株)製の“スミライザーP-16”(登録商標)をはじめとするリン系薬剤、ヒンダードアミン系薬剤、さらに酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラックをはじめとする無機顔料、ステアリン酸マグネシウムをはじめとする金属石鹸、銀や亜鉛やこれらの化合物などを含む殺菌剤、消臭剤、また、シリコーン、鉱物油などの滑剤、硫酸バリウム、酸化セリウム、ベタインやリン酸系などをはじめとする各種の帯電防止剤などが含まれたり、またポリマと反応して含まれていてもよい。
そして特に光や各種の酸化窒素などへの耐久性をさらに高めるには、酸化窒素捕捉剤、例えば日本ヒドラジン(株)製のHN-150、熱酸化安定剤、光安定剤などを使用することが有効である。これらの添加方法も特に限定されずスタティックミキサー方式など従来公知の方法が適用できる。
次に本発明のポリウレタン弾性糸の製造方法について詳細に説明する。
本発明において用いるポリウレタンは、側鎖を有するポリエーテルジオールとジイソシアネート化合物とを反応させ、次いで、鎖伸長剤として、エチレンジアミンと炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物とをモル比98対2、乃至、82対18で含む複数種のジアミン化合物を加えて有機溶剤中で反応させることにより製造されるものであり、これにより得られたポリウレタン溶液を乾式紡糸することによりポリウレタン弾性糸を製造する。
より詳しくは、側鎖を有するポリエーテル系ポリオールとジイシソシアネート化合物とを、常温〜200℃程度の温度で反応させることにより、イソシアネート末端のウレタンプレポリマを合成し、これにイソシアネート基に対して不活性な有機溶媒、およびその溶媒で希釈した鎖伸長剤(特定のジアミン化合物)の溶液を加え、常温〜60℃程度の温度で反応させて高分子量化して、目的とするポリウレタンを得るプレポリマ法によりポリウレタンを製造することが特に好ましい。
イソシアネート基に対して不活性な有機溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホンオキサイド、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N-メチルピロリドンなどが挙げられる。これらの溶媒の中から1種または2種以上を用いることができる。なかでも、溶液濃度を高くすることのできるジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒を用いることが好ましい。
所望の分子量あるいは粘度に調整することを目的として、例えば、ジエチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、エタノール、プロパノール、ブタノールなどを反応停止剤として添加してもよい。
乾式紡糸に供するポリウレタン溶液の溶液濃度は、紡糸時の曳糸性、ポリマ粘度の見地から30〜40重量%とすることが好ましい。また、この紡糸溶液は40℃での溶融粘度が1000〜2000ポイズであることが好ましい。さらに好ましくは、1100〜1500ポイズである。この粘度範囲であると、紡糸時の曳糸性が良好であり、紡糸機ヘッダの高温領域でのゲル生成を抑制することができる。
紡糸は、湿式紡糸法でも行うことができるが、紡糸速度をより速くすることのできることから、乾式紡糸法で行うことが好ましい。
乾式紡糸工程において、口金から吐出され、溶媒除去されたポリウレタン糸は、ゴデローラで引き取られた後、巻き取り機により巻き上げられる。ここで、ゴデローラーと巻き取り機との間における速度比(=巻き取り速度/ゴデローラ速度)は、紡糸中の糸切れなどのトラブルを抑制するために、1.10〜1.65の範囲であることが好ましい。この範囲であれば得られる糸の伸度もより高いものとなる。
本発明を実施例によって更に詳しく説明する。ただし本発明がこれら実施例によって限定されるものではない。本発明で用いた評価方法を以下に記す。
1.ソフトストレッチ性の評価
インストロン型引張試験器を用い、5cmの長さの試料を50cm/minの引張速度で伸長したときの100%伸長時の応力と200%伸長時の応力を測定し、その差を求めた。この応力差により、ソフトストレッチ性を評価した。
2.耐熱性の評価
100%伸長した状態で180℃の熱風乾燥機中で1分間熱処理した。この熱処理の前後において、寸法と、100%伸長時の回復力を測定した。100%伸長時の回復力はインストロン型引張試験器を用い、5cmの長さの試料を50cm/minの引張速度で4回、300%伸長を繰り返した後、5回目の伸長時における100%伸長時の回復力を測定した。熱処理前後の寸法変化率、及び、100%伸長時回復力の保持率を求め、これら値から耐熱性を評価した。
(実施例1)
THFと3−メチルTHFの共重合体であるポリエーテルジオール(3−メチルTHFの比率が約15モル%である。保土ヶ谷化学(株)製、PTG-L3500、分子量3500)と、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを、1:1.85のモル比で窒素気流下、90℃、無溶媒の条件で4時間反応させた。反応後の残存イソシアネート基は1.80重量%であった。
得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマ585gを、1225gのジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、しかる後に、6.38gのエチレンジアミンと1.39gの1,2-ジアミノプロパンと0.92gのジエチルアミンとの混合液を160gのDMAcで希釈した鎖伸長剤溶液を、40℃で添加し攪拌することにより粘調な重合体溶液を製造した。得られた重合体溶液(ポリウレタン濃度30重量%)の溶液粘度を落球式粘度計で測定したところ40℃で1300ポイズであった。
次に、この重合体溶液を紡糸溶液として乾式紡糸し、ゴデローラで引き取った後、通常の厚紙管に巻き取り、33デシテックス/4フィラメントの弾性糸を製造した。この際、巻き取り速度を毎分660m/分とし、ゴデローラーと巻き取り機との間における速度比を1.19とした。得られた弾性糸は、表1に示すとおりの特性であって、ソフトストレッチ性も耐熱性も優れていた。
(実施例2)
鎖伸長剤溶液を、6.76gのエチレンジアミンと0.93gの1,2-ジアミノプロパンと0.92gのジエチルアミンの混合液を160gのDMAcで希釈した溶液に変更した以外は実施例1と同様の方法により重合体溶液を製造した。得られた重合体溶液(ポリウレタン濃度30重量%)の溶液粘度は40℃で1300ポイズであった。次に、この重合体溶液を紡糸溶液として実施例1と同様にして33デシテックス/4フィラメントの弾性糸を製造した。得られた弾性糸は、表1に示すとおりの特性であって、ソフトストレッチ性も耐熱性も優れていた。
(実施例3)
鎖伸長剤溶液を、7.14gのエチレンジアミンと0.46gの1,2-ジアミノプロパンと0.92gのジエチルアミンの混合液を160gのDMAcで希釈した溶液に変更した以外は実施例1と同様の方法により重合体溶液を製造した。得られた重合体溶液(ポリウレタン濃度30重量%)の溶液粘度は40℃で1450ポイズであった。次に、この重合体溶液を紡糸溶液として実施例1と同様にして33デシテックス/4フィラメントの弾性糸を製造した。得られた弾性糸は、表1に示すとおりの特性であって、ソフトストレッチ性も耐熱性も優れていた。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマ585gを、1207gのジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、しかる後に、6.38gのエチレンジアミンと2.17gの2-メチル−1,5-ジアミノペンタンと0.92gのジエチルアミンの混合液を160gのDMAcで希釈した鎖伸長剤溶液を、40℃で添加し攪拌することにより粘調な重合体溶液を製造した。得られた重合体溶液(ポリウレタン濃度30重量%)の溶液粘度は40℃で1250ポイズであった。
次に、この重合体溶液を紡糸溶液として実施例1と同様にして33デシテックス/4フィラメントの弾性糸を製造した。得られた弾性糸は、表1に示すとおりの特性であって、ソフトストレッチ性も耐熱性も不十分なものであった。
(比較例2)
鎖伸長剤溶液を、7.51gのエチレンジアミンと0.92gのジエチルアミンの混合液を160gのDMAcで希釈した溶液に変更した以外は実施例1と同様の方法により重合体溶液を製造した。得られた重合体溶液(ポリウレタン濃度30重量%)の溶液粘度は40℃で1500ポイズであった。次に、この重合体溶液を紡糸溶液として実施例1と同様にして33デシテックス/4フィラメントの弾性糸を製造した。得られた弾性糸は、表1に示すとおりの特性であって、ソフトストレッチ性が不十分なものであった。
(比較例3)
THFと3−メチルTHFの共重合体であるポリエーテルジオール(3−メチルTHFの比率が約15モル%である。保土ヶ谷化学(株)製、PTG-L3500、分子量3500)と、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを、1:1.95のモル比で窒素気流下、90℃、無溶媒の条件で4時間反応させた。反応後の残存イソシアネート基は2.00重量%であった。
得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマ525gを、1045gのDMAcに溶解し、しかる後に、4.88gのエチレンジアミンと5.07gの2−メチル−1,5-ジアミノペンタンと0.92gのジエチルアミンの混合液を206gのDMAcで希釈した溶液を、40℃で添加し攪拌することにより粘調な重合体溶液(ポリウレタン濃度30重量%)を製造した。得られた重合体溶液の粘度は40℃で1450ポイズであった。
次に、この重合体溶液を紡糸溶液として実施例1と同様にして33デシテックス/4フィラメントの弾性糸を製造した。得られた弾性糸は、表1に示すとおりの特性であって、ソフトストレッチ性も耐熱性も不十分なものであった。
(比較例4)
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG, 分子量1800)と4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを1:1.58のモル比で窒素気流下、90℃、無溶媒の条件で3時間反応させた。反応後の残存イソシアネート基は2.23重量%であった。
得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマ472gを、957gのDMAcに溶解し、しかる後に、7.53gのエチレンジアミンと1.15gのジエチルアミンの混合液を165gのDMAcで希釈した溶液を、室温で添加し攪拌することにより粘調な重合体溶液を製造した。得られた重合体溶液(ポリウレタン濃度30重量%)の溶液粘度は40℃で1300ポイズであった。
次に、この重合体溶液を紡糸溶液として実施例1と同様にして33デシテックス/4フィラメントの弾性糸を製造した。得られた弾性糸は、表1に示すとおりの特性であって、ソフトストレッチ性も耐熱性も不十分なものであった。
Figure 2006144192
(比較例5)
鎖伸長剤溶液を、4.88gのエチレンジアミンと3.24gの1,2-ジアミノプロパンと0.92gのジエチルアミンの混合液を160gのDMAcで希釈した溶液に変更した以外は実施例1と同様の方法により重合体溶液を製造した。ここで、エチレンジアミンと他のジアミンとのモル比は、65/35であった。
得られた重合体溶液(ポリウレタン濃度30重量%)の溶液粘度は40℃で1300ポイズであった。次に、この重合体溶液を紡糸溶液として実施例1と同様の条件で乾式紡糸したが、紡糸筒内で糸切れが頻発して巻き取ることができなかった。
本発明のポリウレタン弾性糸は、ソフトストレッチ性や耐熱性等に優れているので、伸縮特性やフィット感に優れた伸縮製品を製造する場合の伸縮付与素材として有用である。例えば、各種繊維との組み合わせにより、丸編み、織物、トリコット、水着、スキーズボン、作業服、ゴルフズボン、ウエットスーツ、ブラジャー、ガードル等の各種繊維製品の締め付け材料や、紙おしめなどの漏れ防止用締め付け材料や、防水資材の締め付け材料として有用であり、また、似せ餌、造花、電気絶縁材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケットなどの種々の用途に使用することもできる。

Claims (8)

  1. 側鎖を有するポリエーテルジオール、ジイソシアネート化合物、および、エチレンジアミンと炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物とをモル比98対2、乃至、82対18で含む複数種のジアミン化合物を反応させることにより得られるポリウレタンから構成されることを特徴とするソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸。
  2. 炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物が、1,2−ジアミノプロパン、2−メチル−1,3−ジアミノプロパン、及び1−メチル−1,3−ジアミノプロパンのうちのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1記載のソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸。
  3. 側鎖を有するポリエーテルジオールが、テトラヒドロフラン又は1,4−ブタンジオールと、3メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、及び、ネオペンチルグリコールのうちのいずれか1種以上とから共重合される共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸。
  4. ポリエーテルジオールにおいて、3メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及びネオペンチルグリコールの占める比率が5〜20モル%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸。
  5. 側鎖を有するポリエーテルジオールとジイソシアネート化合物とを反応させ、次いで、鎖伸長剤として、エチレンジアミンと炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物とをモル比98対2、乃至、82対18で含む複数種のジアミン化合物を加えて有機溶剤中で反応させ、得られたポリウレタン溶液を乾式紡糸することによりポリウレタン弾性糸を製造することを特徴とするソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸の製造方法。
  6. 炭素数3〜5の分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物が、1,2−ジアミノプロパン、2−メチル−1,3−ジアミノプロパン、及び1−メチル−1,3−ジアミノプロパンのうちのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項5に記載のポリウレタン弾性糸の製造方法。
  7. 側差を有するポリエーテルジオールが、テトラヒドロフラン若しくは1,4−ブタンジオールと、3メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、及び、ネオペンチルグリコールのうちのいずれか1種以上とから共重合される共重合体であり、かつ、3メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及びネオペンチルグリコールの占める比率が5〜20モル%であることを特徴とする請求項5又は6に記載のポリウレタン弾性糸の製造方法。
  8. 紡糸時のポリウレタン溶液は、ポリウレタン濃度が30〜40重量%の溶液であること、ポリウレタンの重合度が、30重量%溶液の40℃での粘度で1000〜2000ポイズであること、及び、乾式紡糸工程においてゴデーローラに対する巻き取り機の速度比を1.10〜1.65とすることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のポリウレタン弾性糸の製造方法。
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