JP2023042097A - 弾性経編地および衣料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、弾性繊維および非弾性繊維から編成される弾性経編地に関し、高速運動時においても身体の動きに追従する弾性経編地を提供することを目的とする。【解決手段】弾性繊維および非弾性繊維から編成される弾性経編地であって、前記弾性繊維が、ポリオール成分がテトラヒドロフランと3-アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールであるポリウレタンエラストマーからなり、前記弾性繊維が二目編組織で編成されてなり、前記弾性繊維のCF指数が下記式(式1)を満たし、√d/Ls≦10.0 ・・・(式1)(ただし、dは弾性繊維の総繊度、Lsは弾性繊維の1コース当たりのシンカーループ長である)該編地の100%伸長時の緯方向におけるヒステリシスロス率が40%以下である弾性経編地。【選択図】なし

Description

本発明は、弾性経編地および衣料に関する。
近年、激しい運動に伴う身体の動きを補助する機能を有するとともに、筋肉の疲労を軽減させるモーションサポート機能を有する衣料が求められており、同衣料に用いられる弾性編地への要求が高まってきている。同衣料は着用時のフィット感が良く、高速運動時においても身体の動きに追従することで身体の筋肉等を適切にサポートし、運動機能向上に寄与することができる。
例えば、特許文献1には、伸長回復特性に優れる弾性繊維のシンカーループの方向を編組織によって制御することにより、編地経方向に対する運動追従性を高めた編地が提案されている。また、特許文献2には、弾性繊維を用い、編地経方向、緯方向に対する伸長バランスおよび伸長回復特性に優れた編地が提案されている。
特表2019-528385号公報 特開2010-189815号公報
しかしながら、特許文献1では、編地経方向の運動追従性に特化した編組織であることから、編地緯方向に対する運動追従性、伸長回復特性には改善の余地があった。
特許文献2では、経方向、緯方向に対する伸長回復特性に優れるものの、高速伸縮運動時の運動追従性についての配慮がなされていない。よって、高速運動を伴う、例えば短距離走等のスポーツ衣料に適用した場合においては、運動中に生地にたるみが生じ、筋肉サポート機能が低減することが考えられる。
したがって、本発明は、弾性繊維および非弾性繊維から編成される弾性経編地に関し、高速運動時においても身体の動きに追従する弾性経編地および衣料を提供することを課題とする。
本発明は上記課題を解決するために次の構成を有する。
(1)弾性繊維および非弾性繊維から編成される弾性経編地であって、前記弾性繊維が、ポリオール成分がテトラヒドロフランと3-アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールであるポリウレタンエラストマーからなり、前記弾性繊維が二目編組織で編成されてなり、前記弾性繊維のCF指数が下記式(式1)を満たし、
√d/L≦10.0 ・・・(式1)
(ただし、dは弾性繊維の総繊度、Lは弾性繊維の1コース当たりのシンカーループ長である)
前記弾性経編地の100%伸長時の緯方向におけるヒステリシスロス率が40%以下である弾性経編地。
(2)前記弾性経編地を編地経方向および緯方向に対してそれぞれ筒状とし、デマッチャー疲労試験機に筒状サンプルを径寸法10cm、高さ寸法10cmで取り付け、有効投影面積:105cmとなるように高さ方向に5%伸長させた後、高さ方向に対して伸縮速度3回/秒にて50%伸縮運動を繰り返し実施した際の、編地経方向および緯方向に対する生地たるみ面積の平均値が0.8cm以下である(1)に記載の弾性経編地。
(3)前記弾性繊維が、総繊度30~120dtexである(1)または(2)に記載の弾性経編地。
(4)前記非弾性繊維が、仮撚捲縮加工糸である(1)~(3)のいずれかに記載の弾性経編地。
(5)前記非弾性繊維が、ポリアミド系繊維である請求項(1)~(4)のいずれかに記載の弾性経編地。
(6)前記非弾性繊維が、総繊度40~100dtexである(1)~(5)のいずれかに記載の弾性経編地。
(7)破裂強さが350kPa以上である(1)~(6)のいずれかに記載の弾性経編地。
(8)(1)~(7)のいずれかに記載の弾性経編地を少なくとも一部に用いてなる衣料。
本発明において、伸長回復特性に優れる弾性繊維の編組織を最適化し、弾性繊維の同特性を維持する編設計を行うことにより、編地緯方向におけるヒステリシスロス率を低減することで、運動追従性に優れるとともに、高速運動時においても身体の動きに追従する弾性経編地を提供することができる。本発明の弾性経編地を用いることにより、高速運動時の運動追従性を得ることができ、運動中の衣服のたるみにより生じる筋肉サポート機能の低下を抑制し、筋振動抑制によるパフォーマンス向上を図ることができる。
弾性繊維の1コース当たりのシンカーループ長を説明するための概要図である。 生地たるみ面積を説明するための概略図である。 実施例1および比較例5における非弾性繊維および弾性繊維の各編成組織図である。 実施例2における非弾性繊維および弾性繊維の各編成組織図である。 実施例3および比較例1~3における非弾性繊維および弾性繊維の各編成組織図である。 比較例4における非弾性繊維および弾性繊維の各編成組織図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係る弾性経編地は、弾性繊維および非弾性繊維から編成される経編地である。すなわち、少なくとも2枚の筬により編成され、少なくとも1つの筬に弾性繊維、その他の筬には非弾性繊維がそれぞれ配される。
本発明において、弾性繊維の編組織は二目編組織である。二目編組織は、1本の経糸が同一コースで2つの編みループ(ニードルループ)を形成する組織であり、他の組織と比較して弾性繊維の混率を高めることができるとともに、同ニードルループ間には編地の緯方向に対してシンカーループが形成される。したがって、弾性繊維を二目編組織とし、かつ後述する回復時の応力が高い弾性繊維を用いることで、編地の緯方向に対する伸長回復時のヒステリシスロス率を低減し、かつ高速伸縮運動時の追従性に優れる編地を得ることができる。
二目編組織としては、弾性繊維が全てのコースで閉じ目となっている組織であっても、全てのコースで開き目となっている組織であってもよいが、編地が適度に拘束され、ストレッチバック性が高い閉じ目を選択することが好ましい。
本発明の弾性経編地は、弾性繊維がフルセットで通糸され、編みループを形成していることが好ましい。弾性繊維をフルセットで通糸することで、編地内に弾性繊維が均等に配されて位置が安定するため、衣服として着用したときの型崩れや表面品位の悪化を抑制することができ、好ましい。
非弾性繊維の編組織としては特に限定されず、デンビー組織、コード組織、アトラス組織など種々の組織を選択することができる。また、非弾性繊維はフルセットで通糸され、編みループを形成していることが好ましい。非弾性繊維をフルセットで通糸することで、編地の強度低下を抑制することができる。
本発明の弾性経編地は、弾性繊維の編組織と非弾性繊維の編組織とが、同じコース間で同方向にアンダーラップしてもよいし、異方向にアンダーラップしてもよい。同方向にアンダーラップし、かつ弾性繊維をバック筬に配した場合、シンカーループが表面に露出するシンカー面において、該弾性繊維が編地表面に露出するため、弾性繊維がもつ高い摩擦力により該表面が高摩擦化する。したがって、例えば本発明の弾性経編地をシンカー面が肌面となるように衣料に適用した場合、肌と衣料間の滑りを抑制し、衣料のずり上がり、ずり下がりを防止することができる。一方で、異方向にアンダーラップした場合には、一般的な経編地のように弾性繊維が編地表面に露出せず、滑らかな触感を得ることができるため、使用目的に応じて適宜選択すればよい。
本発明の弾性経編地の編成に用いる経編機としてはシングルトリコット機またはシングルラッシェル機のいずれも使用可能であり、特に限定されるものではない。ただし、生産効率の良さと編機ゲージが多彩で選定しやすい点を考慮した場合、シングルトリコット機を使用することがより好ましい。
シングルトリコット機の場合、筬枚数は通常2~4枚で使用されるが、筬枚数が増えるに従って生産効率が下がり、かつ目付が増加する。このことから、2枚筬からなる編地組織を選定することが好ましい。
編成時に使用する筬は、編機正面に立ったときに、最も手前の筬をフロント筬、最も奥にある筬をバック筬、それらの中間にある筬をミドル筬と表記する。2枚の筬、すなわちフロント筬とバック筬を使用する場合、筬と繊維の組み合わせは特に限定されないが、フロント筬に非弾性繊維を配し、バック筬に弾性繊維を配することが好ましい。バック筬に弾性繊維を配すると、編地の中層部に弾性繊維が配置されやすくなるため、染色性が劣るなどの弾性繊維特有の欠点をカバーすることができ、好ましい。
本発明で使用する弾性繊維は、ポリオール成分がテトラヒドロフランと3-アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールであるポリウレタンエラストマーからなるポリウレタン弾性繊維である。本構成のポリウレタン弾性繊維を用いることで、他の構成のポリウレタン弾性繊維と比較して、回復時における応力を向上させ、本弾性経編地のヒステリシスロス率を低減させることができるとともに、高速伸縮運動時においても、同特性を維持することができる。
本発明で使用され得るポリウレタン弾性繊維に用いるポリウレタン重合体のポリウレタンセグメントは、長鎖のポリエーテルセグメント、ポリエステルセグメントまたはポリエーテルエステルセグメント等のソフトセグメントとイソシアネートと鎖伸長剤であるジアミンまたはジオールとの反応により得られる比較的短鎖のセグメントであるハードセグメントとから構成される。
かかるポリウレタン重合体のソフトセグメント、すなわちポリオール成分としては、優れた伸縮特性を得る観点および、伸長の際の抵抗力を軽減させる観点から、テトラヒドロフランと3-アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールを使用する。
前記ポリウレタン重合体は、ヒドロキシル末端ソフトセグメント前駆体を有機ジイソシアネートで重付加反応させること(キャッピング反応)によって得られたプレポリマー生成物をアミン鎖伸長剤またはジオール鎖伸長剤で鎖伸長させて得ることができる。
ポリウレタン重合体に供する有機ジイソシアネートとしては、ビス-(p-イソシアナートフェニル)-メタン(以下、MDIと略する)、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略する)、ビス-(4-イソシアナートシクロヘキシル)-メタン(以下、PICMと略する)、ヘキサメチレンジイソシアネート、3、3、5-トリメチル-5-メチレンシクロヘキシルジイソシアネート等を用いることができるが、中でもMDIが好ましい。
鎖伸長剤としては、アミン鎖伸長剤が好ましく使用され、例えば、エチレンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン等のジアミンがポリウレタンウレアを形成させるために好ましく使用される。
アミン鎖伸長剤は、1種のみのジアミンに限定されるわけでなく、複数種のアミンからなるものであってもよい。鎖停止剤は、ポリウレタンウレアの最終的な分子量の調節を助けるために反応混合物に包有させることができる。通常、鎖停止剤として活性水素を有する一官能性化合物、たとえばジエチルアミン等を使用することができる。
また、鎖伸長剤としては、上記アミンに限定されることはなく、ジオールであってもよい。例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびパラキシリレンジオール等を用いることができる。ジオール鎖伸長剤は、1種のみのジオールに限定されるわけでなく、複数種のジオールからなるものであってもよい。また、イソシアネート基と反応する1個の水酸基を含む化合物と併用していてもよい。この場合、このようなポリウレタンを得る方法については溶融重合法、溶液重合法など各種方法を採用することができ、限定されるものではない。重合の処方についても、特に限定されずに、たとえば、ポリオールとジイソシアネートと、ジオールからなる鎖伸長剤とを同時に反応させることにより、ポリウレタンを合成する方法等を採用することができ、いずれの方法によるものでもよい。
さらに本発明の効果を損なわない範囲で他の安定剤を配合することも好ましい。
ポリウレタン重合体を溶液とする場合に用いる溶媒としては、N,N-ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略する)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン等を使用することができるが、DMAcが最も一般的に使用される溶媒である。
ポリウレタン重合体の溶液濃度は特に限定されないが、通常30%以上40%以下(溶液の全重量を基準にして)が好ましく、特に35%以上38%以下が乾式紡糸法の場合に好ましい。
本発明においては、ポリウレタン重合体からポリウレタン弾性繊維を紡糸する方法は特に限定されるものではないが、例えば、1)ジオールを鎖伸長剤として用いるポリウレタン弾性繊維の場合、溶融紡糸法、乾式紡糸法または湿式紡糸法等を採用することが好ましく、また2)アミンを鎖伸長剤として用いるポリウレタン弾性繊維の場合、通常乾式紡糸法を採用することが好ましい。
なお、紡糸の際、糸と紡糸機のガイド等との摩擦を低減させる、または静電気の帯電を防止させる目的で、ジメチルシリコーン、ジメチルシリコーンのメチル基の一部を他のアルキル基、フェニル基、アミノ基等で置換した変成シリコーン等のシリコーンオイル、鉱物油等の油剤が糸に付与されることも好ましく、油剤が付与されていなくてもよい。得られる弾性繊維の断面形状は円形であってもよく、扁平であってもよい。
弾性繊維の繊度は、30~120dtexであることが好ましく、さらに好ましい範囲としては、30~90dtexである。該範囲とすることで、低目付と優れた伸長回復特性を両立することができ、スポーツ用衣料およびコンプレッションウェアに好適に用いることができる。
本発明で使用する非弾性繊維は、紡績糸であっても、マルチフィラメント糸であってもよいが、スポーツ用衣料およびコンプレッションウェアに必要な破裂強さなどの強度面を確保するため、マルチフィラメント糸であることが好ましい。
非弾性繊維としては、木綿、絹、動物繊維(羊毛)などの天然繊維や、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどからなる芳香族ポリエステル系繊維、芳香族ポリエステルに第三成分を共重合した芳香族ポリエステル系繊維、L乳酸を主成分とするポリ乳酸で代表される脂肪族ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、およびナイロン56等のポリアミド系繊維、ならびにポリプロピレン系繊維等の合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、または再生セルロース系繊維が挙げられる。中でも、スポーツ用衣料およびコンプレッションウェアに要求される速乾性および強度に優れるポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維を用いることが好ましい。さらに、より強度に優れるポリアミド系繊維を用いることが特に好ましい。
なお、一般にポリエステル系繊維は分散染料を用いて染められるが、弾性繊維としてポリウレタン弾性繊維を使用した場合、分散染料はポリウレタン系繊維を汚染してしまうため、最終製品において色移り等の堅牢度不良を発生させることがある。そこで、非弾性繊維にポリエステル系繊維を採用する場合には、カチオン染料で染色することができるカチオン可染型ポリエステル系繊維を用いることがより好ましい。
非弾性繊維においては、酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤をポリマー中に含んでいてもよい。
非弾性繊維の横断面形状は、真円断面に加えて、短軸と長軸の比(扁平率)が1.0より大きい扁平断面はもとより、三角形、四角形、六角形、八角形などの多角形断面、一部に凹凸部を持ったダルマ断面、Y型断面、星型断面等の様々な断面形状をとることができる。
非弾性繊維の形態に関して特に制限がなく、延伸糸、エアー加工糸、仮撚捲縮加工糸、撚糸、カバーリング糸などのいずれの形態であってもよいが、特に仮撚捲縮加工糸を用いることが好ましい。非弾性繊維に仮撚捲縮加工を施すことで、該繊維に捲縮を付与し、伸縮特性を向上させることができる。一方で、弾性繊維を含む弾性経編地においては、伸長時において、非弾性繊維の伸び止まりによって伸長可能な領域が左右される。非弾性繊維に捲縮を付与することによって、伸長可能領域を拡大でき、より高い伸度が要求される衣料に適用できるため、好ましい。また、非弾性繊維に捲縮を付与することで、経編地とした場合に、弾性繊維または隣接する非弾性繊維との接触面積が低減する。接触面積の低減によって、伸縮運動時の摩擦損失を低減し、弾性繊維の優れた伸長回復特性を阻害しづらい点でも好ましい。
非弾性繊維の総繊度は、40~100dtexの範囲が好ましい。総繊度が40dtex未満の場合、糸強度が低く、スポーツ用衣料およびコンプレッションウェアに要求される破裂強さが不十分となる。また、総繊度が100dtexより大きい場合、目付が高くなり同用途に不適となる。より好ましい範囲としては、40~70dtexである。
非弾性繊維を構成する単繊維の繊度は、0.5~5.5dtexが好ましく、0.5~4.5dtexであればより好ましい。単繊維繊度が0.5dtex未満の場合には、スナッグやピリング等の物性が劣化する。単繊維繊度が5.5dtexより大きい場合には、風合いが粗硬気味となる。
本発明において、前記弾性繊維のCF指数は下記式(式1)を満たすことを特徴とする。
√d/L≦10.0 ・・・(式1)
ただし、dは弾性繊維の総繊度、Lは弾性繊維の1コース当たりのシンカーループ長である。本発明のCF指数は、後述する編地緯方向に対するヒステリシスロス率の範囲を達成するために必要なパラメータであり、弾性経編地を構成する弾性繊維の総繊度、およびシンカーループ長を適切に調整することが重要である。編地のカバーファクター(CF)は通常、編地を構成する繊維の総繊度の平方根をループ長で除することで得られるが、本発明においては、編地緯方向に対するヒステリシスロス率低減に寄与する弾性繊維のシンカーループ長に着目し、CF指数を定義した。
通常、経編地は、編成性を考慮し、用いる繊維の総繊度によって編機のゲージ数、ランナー長を調整しており、これは編地の組織に応じて経験的に決められている。一般に、繊維の総繊度を大きくする場合、繊維の直径が大きくなるため、編機のゲージ数を小さくすることで針間の距離を長くする。一方、ランナー長は大きくし、1コース当たりの糸送り長を長くとることで、編機のゲージ数にあったループ長に調整し、編成性を高めている。本発明におけるCF指数は、弾性繊維の総繊度とシンカーループ長の関係式であるが、上述の通り編成性を考慮して常法に則り編機のゲージ数およびランナー長を定めた場合、シンカーループ長と弾性繊維の総繊度との関係である本CF指数は概ね一定の範囲となることを見出した。例えば弾性繊維を二目編組織とした場合、通常の編成条件ではCF指数は10を超えるものであり、上限としては13程度であった。しかしながら、このような経編地では緯方向の高速伸縮運動時の運動追従性が不十分であった。
本発明においては、弾性繊維の総繊度に対して、通常の編成条件から意図的にシンカーループ長を大きくする、すなわちランナー長を長くすることで、CF指数10.0以下の範囲が達成できるのである。ここで、弾性繊維のシンカーループは、ニードルループと比較して非弾性繊維または隣接する弾性繊維と接触する割合が少なく摩擦損失が小さい。また、二目編組織は前述の通り、編地緯方向に平行なシンカーループが形成されるため、CF指数を10.0以下とすることで、通常の編成条件において編成された弾性経編地と比較して、緯方向におけるヒステリシスロス率を効果的に低減することができるのである。また、CF指数は、下記式(式2)を満たすことが好ましい。
6.0≦√d/L≦10.0 ・・・(式2)
より好ましくは、√d/Lは9.5以下であることが好ましく、9.3以下がさらに好ましい。
CF指数は値が小さいほど、弾性繊維の総繊度に対してシンカーループ長が大きいことを示すが、一般にシンカーループ長を大きくするためにランナー長を長くすると、編成張力が低下し、編成性が低下する。CF指数を6.0以上とすることで、緯方向におけるヒステリシスロス率を低減しつつ、編成性も維持できるため、好ましい。
前述の通り、本発明においては前記弾性経編地を構成する弾性繊維が二目編組織であることから、該弾性繊維のシンカーループ長が緯方向に対するヒステリシスロス率低減に大きく寄与する。該弾性繊維のシンカーループ長を大きくするためには、前記弾性経編地の編成時において弾性繊維のランナー長を適宜調整すればよい。具体的には、同ランナー長を編成可能な下限のランナー長に対して20~60%増加させることが好ましい。該弾性繊維のランナー長が増加するとは、すなわち編成時において弾性繊維の糸送り量が増加することを意味する。ニードルループ部を構成する弾性繊維は、非弾性繊維とともにループを形成するが、前述の通りニードルループ部は弾性繊維と非弾性繊維との接触面積が大きいために拘束力が大きく、該弾性繊維の糸送り量が増加した場合においても、ニードルループ長は大きく変化しない。したがって、弾性繊維のランナー長の増加は同弾性繊維のシンカーループ長の増加に大きく寄与する。
前記弾性繊維のランナー長は、160~300cm/Rackであることが好ましく、
160~270cm/Rackであることがより好ましい。同ランナー長を、CF指数を満たすように弾性繊維の総繊度に併せて調整することにより、ヒステリシスロス率を効果的に低減することができる。前記ランナー長が160cm/Rack未満の場合には、弾性繊維の糸送り量が十分でなく、緯方向のヒステリシスロス率を効果的に低減させることができない。一方で、前記ランナー長が300cm/Rackを超える場合には、前述した好ましい弾性繊維の範囲において糸送り量が過剰となり、編成性が低下するため好ましくない。
本発明において、弾性経編地の100%伸長時の緯方向におけるヒステリシスロス率は40%以下であり、好ましくは35%以下である。ヒステリシスロス率を該範囲とすると、本発明の弾性経編地をスポーツ用衣料、特にコンプレッションウェアに適用した場合、運動により衣料が伸縮した際の回復時における応力低下を効果的に抑制し、着用感に優れる衣料を提供することができる。好ましい下限については、理想的には0%であるが、現実的には5%である。
本発明の弾性経編地は、編地経方向および緯方向に対してそれぞれ筒状とし、デマッチャー疲労試験機に筒状サンプルを径寸法10cm、高さ寸法10cmで取り付け、有効投影面積:105cmとなるように高さ方向に5%伸長させた後、高さ方向に対して伸縮速度3回/秒にて50%伸縮運動を繰り返し実施した際の、編地経方向および緯方向に対する生地たるみ面積の平均値が0.8cm以下であることが好ましい。ここで、伸縮速度3回/秒は、陸上男子100m競走のトップ選手の片足の走行ピッチを、50%伸縮運動は、コンプレッションウェアを着用した場合の走行動作における着用伸度領域をそれぞれ想定している。本測定条件における生地たるみ面積は、例えば短距離走など、本発明の弾性経編地を用いた衣料に高速伸縮運動が与えられることを想定した場合の、身体の高速運動に対する弾性経編地の追従性を評価する指標となる。編地経方向および緯方向に対する生地たるみ面積の平均値が0.8cm以下である場合には、本発明の弾性経編地が身体の高速運動に対して良好に追従し、優れた着用感が得られるとともに、生地がたるむことなく運動時の筋振動を効果的に抑制できるため、好ましい。より好ましくは0.7cm以下である。好ましい下限については、生地たるみが発生しないこと、すなわち0cmであるが、現実的には0.05cmである。生地たるみ面積の評価方法の詳細は実施例にて後述する。
本発明の弾性経編地の染色加工方法は特に限定されない。例えば、精練、リラックス、熱セット、染色加工、機能加工などが挙げられる。機能加工は、必要に応じて、撥水、制電、難燃、吸湿、抗菌、柔軟仕上げ、その他公知の機能加工を施すことができる。中でも、柔軟仕上げ加工を施すことで、隣接する繊維同士の滑り性が向上し、糸-糸間の摩擦損失を低減できるため好ましい。
本発明の弾性経編地は、JIS L 1096 破裂強さ(A法:ミューレン形法)に従う破裂強さが350kPa以上であることが好ましく、380kPa以上であることがより好ましい。破裂強さが350kPa以上であると、スポーツ用衣料およびコンプレッションウェアに本弾性経編地を適用した場合において、衣服の着脱時や、運動時の選手間の接触など、手指を衣服に強く押しつける動作、または衣服が強く引っ張られる動作において破れが生じる可能性が低減される。なお、該破裂強さの範囲を達成するには、弾性繊維の総繊度を30dtex以上、かつ非弾性繊維の総繊度を40dtex以上でそれぞれ選定すればよい。
かくして得られる本発明の弾性経編地は、高速運動時においても身体の動きに追従し得ることから、衣料に好適に用いられる。前記衣料としては、本発明の弾性経編地を少なくとも一部に用いてなる衣料が挙げられる。使用方法としては、特に追従性が要求される部分のみに用いてもよいし、衣料を構成する生地部分の全てに用いてもよい。衣料のなかでもスポーツ用衣料およびコンプレッションウェアに特に好適に適用することができる。これにより着用時のフィット感が良く、高速運動時においても身体の動きに追従することで身体の筋肉等を適切にサポートし、運動機能向上に寄与することができる。
以下実施例を挙げて、本発明の繊維製品について具体的に説明する。
(1)弾性繊維の1コース当たりのシンカーループ長
弾性経編地のウェール密度をJISL1096(2010)「編物の密度」に記載の方法で測定し、次に、弾性繊維のシンカーループの観察を容易にするため、非弾性繊維を溶解した。具体的に、非弾性繊維がポリアミド繊維である場合、水溶液温度を30℃に調整した20%塩酸水溶液に、10cm×10cmにカットした弾性経編地を無緊張状態で浸し、攪拌棒を用いて3分間攪拌した後、30℃に調整した蒸留水で洗い作業を行った。同溶解作業を3回繰り返した。その後、非弾性繊維溶解後のウェール密度を測定し、非弾性繊維溶解前のウェール密度から、緯方向の収縮補正指数を下記式(式3)より求めた。次工程で測定する非弾性繊維溶解後のシンカーループ長に、緯方向の収縮補正指数を乗じることで、非弾性繊維溶解前のシンカーループ長を求めることができる。
W=Wa/Wb ・・・(式3)
(W:緯方向の収縮補正指数、Wb:非弾性繊維溶解前のウェール密度(ウェール/2.54cm)、Wa:非弾性繊維溶解後のウェール密度(ウェール/2.54cm))
次に、非弾性繊維溶解サンプルを、シンカー面を観察面としてマイクロスコープのステージ上に置き、倍率100倍にて観察し、非弾性繊維溶解時のシンカーループ長およびシンカーループ角度を測定した。測定したシンカーループ長について、図1に基づいて説明する。図1は弾性繊維の1コース当たりのシンカーループ長を説明するための概要図である。弾性繊維が二目編組織の場合、シンカーループとしてはコース方向にまたぐニードルループを結ぶシンカーループ(図1のa)と、同一コースのニードルループを結ぶシンカーループ(図1のb)の2つのシンカーループがある。そのため、コース方向にまたぐニードルループを結ぶシンカーループ長aと同一コースのニードルループを結ぶシンカーループ長bをそれぞれ測定した。シンカーループ角度θは、コース方向にまたぐニードルループを結ぶシンカーループの、編地緯方向に対する角度であり、これをシンカーループ角度θとして測定した。そして、下記式(式4)にて、シンカーループ長を求めた。
=W×(acosθ+b) ・・・(式4)
(L:シンカーループ長、W:緯方向の収縮補正指数、a:コース方向にまたぐニードルループを結ぶシンカーループ長、b:同一コースのニードルループを結ぶシンカーループ長、θ:シンカーループ角度)
すなわち、Lは観察1箇所における非弾性繊維溶解前の緯方向に関するシンカーループ長を示しており、非弾性繊維溶解後の緯方向に関する各シンカーループ長の和に緯方向の収縮補正指数を乗じることで求めることができる値である。コース方向にまたぐニードルループを結ぶシンカーループは編地緯方向に平行ではないため、コース方向にまたぐニードルループを結ぶシンカーループ長aは、シンカーループ角度を用いて、緯方向成分を算出し、これを用いた。これをランダムに10箇所観察し、10箇所の平均値を弾性繊維の1コース当たりのシンカーループ長とした。
(2)総繊度
JISL1013(2010)に記載のB法(簡便法)に準じて総繊度の測定を行った。
(3)CF指数
以下の式を用いて、CF指数を算出した。
CF指数=√d/L
(ただし、dは弾性繊維の総繊度、Lは弾性繊維の1コース当たりのシンカーループ長である)
(4)編地緯方向におけるヒステリシスロス率
丸編地の100%伸長回復時の応力を、INSTRON社製万能材料試験機を用いて測定した。具体的には、試験片の長手方向が弾性経編地の編み方向に垂直な方向(緯方向)となるように、幅5cm×長さ30cmのサンプルを5枚採取した。ここで、弾性経編地の編み方向とは、弾性経編地のウェール方向と平行な方向をいう。次に、5枚のサンプルの内の1枚のサンプルを、チャック間距離20cmにて上記の測定機器に取り付け、引張り速度30cm/minで伸度が100%になるまで引張り、その後、同速度でチャック間距離を元に戻し引張負荷を除去した。同様のことを他の4枚のサンプルに対しても行い、5枚のサンプルそれぞれについて伸度が0%から100%になるまでの伸長時の応力、および伸度が100%から0%になるまでの回復時の応力を0.02秒ごとに測定した。伸度が0%から100%になるまでを伸長期とし、伸度を100%から0%に戻すまでを回復期として、伸長期および回復期それぞれにおいて各測定ポイントでの応力値を積分し足し合わせた数値をそれぞれ伸長期の応力の積分値の総和、回復期の応力の積分値の総和とした。そして、伸長期の応力の積分値の総和から回復期の応力の積分値の総和を引き、さらに伸長期の応力の積分値の総和で除した値に100をかけることで、1回の測定における100%伸長時の緯方向におけるヒステリシスロス率を算出した。5枚のサンプルの平均値を、100%伸長時の緯方向におけるヒステリシスロス率とした。
(5)生地たるみ面積
A.筒状サンプルの準備
生地の編み方向(経方向)に対して、長さ12cm×幅35cmのサンプルを3枚用意した。次に、該サンプル1枚の短辺につき、端部から2mmずつを重ね合わせ、本縫いにて縫い合わせ、筒状サンプル3セットを得た。内、筒状サンプル1つにつき、内枠と外枠を組み合わせてなる一対の環状固定治具を用意し、筒状サンプルの上下を同固定治具ではさみ、ねじで固定した。この時、有効径寸法は10cm、有効高さ寸法は10cmであった。
B.前処理
固定治具を取り付けた筒状サンプルを、デマッチャー式繰返し疲労試験機DC-210型(大栄科学精器製作所製)に取り付けた後、生地のひずみを除去するため、最大伸び率を50%に設定し、伸縮速度1回/秒にて伸縮繰返し処理を10回行った。生地のひずみを除去した後、試験前の生地のたるみを除くため、経方向に5%伸長させ、これを初期位置とした。すなわち、有効径寸法10cm、有効高さ寸法は10.5cmであり、有効投影面積は105cmとなる。
C.本試験
最大伸び率を50%、伸縮速度3回/秒に試験条件を設定し、1分間伸縮繰返し運動を行った。この時、100~1000fpsにて撮影可能な高速度カメラを用いて、筒状サンプルを側面から撮影した。
D.たるみ面積の定量化
高速度カメラにて取得したデータにつき、試験開始前の初期位置の画像を1枚取得した。次に、試験開始10~50秒後の間で、伸び率50%の伸長運動と回復運動が行われ、初期位置(高さ10.5cm)に収縮した瞬間の画像をランダムに5枚取得した。試験開始前の初期位置の画像と、初期位置に収縮した瞬間の画像1枚を重ね合わせた。図2は、生地たるみ面積を説明するための概略図である。筒状サンプルの上下が、環状固定治具上部10と環状固定治具下部11で固定されている。筒状サンプルの左輪郭部20において、生地たるみ試験前の初期位置における筒状サンプルの左輪郭部30に対し、外側にはみ出したように変形した生地たるみ面積部40、42および内側にへこんだように変形した生地たるみ面積部41が観察される。また、筒状サンプルの右輪郭部21においては、生地たるみ試験前の初期位置における筒状サンプルの右輪郭部31に対し、外側にはみ出したように変形した生地たるみ面積部44および内側にへこんだように変形した生地たるみ面積部43が観察される。これら生地たるみ面積部40~44、すなわち試験開始前の初期位置から、伸縮運動によって筒状サンプルが外側または内側に変形した生地たるみ面積40~44を、画像処理ツールを用いて算出した。外側、内側によらずすべて絶対値で足し合わせた値をたるみ面積とした。取得した5枚の画像に対して、それぞれでたるみ面積を算出し、5枚の平均値を求めた。残り2つの筒状サンプルについても同様の試験を実施し、筒状サンプル3セットのたるみ面積の平均値を、経方向に対する生地たるみ面積とした。
また、生地の編み方向に垂直な方向を緯方向とし、これに対して経方向と同様に上記A~Dを実施し、これを緯方向に対する生地たるみ面積とした。最後に、経方向、緯方向で取得したそれぞれの生地たるみ面積を平均し、これを生地たるみ面積の平均値とした。
(6)破裂強さ
JIS L1096(2010)に記載のA法(ミューレン形法)に準じて破裂強さの測定を行った。
(7)膝部サポーターを用いた着用評価
得られた弾性経編地を用いて、筒状の膝部サポーターを作成した。膝部サポーターは長さ寸法を25cmとし、被験者が該サポーターを着用した際の衣服圧が2.0±0.5kPaとなるように径寸法を調整した。被験者5人に該膝部サポーターを左右の膝部に着用させ、着用直後のサポーター上端部および下端部につき、被験者の身体にペンで印をつけた。その後、エアロバイク(登録商標)を用いて、時速35km相当の速度で5分間運動を行った。運動直後に、膝部サポーターの着用位置の変化の程度を計測した。なお、該サポーターが着用直後の着用位置から上側にずれ上がった場合は下端部の印からの変化を、下側にずれ下がった場合は上端部の印からの変化をそれぞれ絶対値で求めた。被験者5人の着用位置変化を平均し、以下の4段階で評価した。
◎:膝部サポーターの着用位置変化が0.7cm未満であった。
〇:膝部サポーターの着用位置変化が0.7cm以上1cm以下の範囲であった。
△:膝部サポーターの着用位置変化が1cm超3cm以下の範囲であった。
×:膝部サポーターの着用位置変化が3cmを超える範囲であった。
[実施例1]
テトラヒドロフランと3-アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールとMDIとからなるプレポリマーを、鎖伸長剤としてエチレンジアミンとジエチルアミンを用いて鎖伸長反応させて製造されたポリウレタンを、通常の方法で乾式紡糸し、78dtexのポリウレタン弾性繊維(78T-PU1)を得た。
次に、56dtex-18Fのナイロン6(Ny)仮撚捲縮加工糸(DTY)(56T-18F-DTY)をフロント筬に、前記78dtexのポリウレタン弾性繊維(78T-PU1)をバック筬にそれぞれ使用し、32ゲージシングルトリコット機を用いて表1記載の条件で編成し、編地組織を得た。図3に記載の通り、フロント組織は10/12//(図3の非弾性繊維51)、バック組織は13/20//(図3の弾性繊維50)の二目編組織とし、いずれもフルセットで糸通しを実施した。その後、Ny/PU交編経編地における通常の染色加工方法と吸水加工にて、弾性経編地を得た。
得られた弾性経編地は、弾性繊維のCF指数が9.1、編地緯方向におけるヒステリシスロス率が30.9%、生地たるみ面積の平均値が0.5cmであり、伸長回復特性に優れる弾性繊維を用い、かつ該弾性繊維の繊度に対してシンカーループ長を適正化することで、緯方向の伸長回復特性に優れ、かつ高速伸縮運動時の追従性に優れる結果であった。また、破裂強さが386kPaであり、スポーツ用衣料およびコンプレッションウェアに好適に用いることができる生地強度を有する弾性経編地が得られた。さらに、膝部サポーターを用いた着用評価では◎の評価であり、激しく脚部の運動を実施した場合も本弾性経編地の高速伸縮追従性により生地のたるみがほぼ生じず、サポーターのズレ上がりが抑制された。
[実施例2]
テトラヒドロフランと3-アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールとMDIとからなるプレポリマーを、鎖伸長剤としてエチレンジアミンとジエチルアミンを用いて鎖伸長反応させて製造されたポリウレタンを、通常の方法で乾式紡糸し、44dtexのポリウレタン弾性繊維(44T-PU1)を得た。
44dtex-10Fのナイロン6仮撚捲縮加工糸(DTY)(44T-10F-DTY)をフロント筬に、前記44dtexのポリウレタン弾性繊維(44T-PU1)をバック筬にそれぞれ使用し、28ゲージシングルトリコット機を用いて表1記載の条件で編成し、編地組織を得た。図4に記載の通り、フロント組織は10/23//(図4の非弾性繊維61)、バック組織は20/13//(図4の弾性繊維60)の二目編組織とし、いずれもフルセットで糸通しを実施した。その後、Ny/PU交編経編地における通常の染色加工方法と吸水加工にて、弾性経編地を得た。
得られた弾性経編地は、弾性繊維のCF指数が9.2、編地緯方向におけるヒステリシスロス率が34.3%、生地たるみ面積の平均値が0.7cmであり、伸長回復特性に優れる弾性繊維を用い、かつ該弾性繊維の繊度に対してシンカーループ長を適正化することで、緯方向の伸長回復特性に優れ、かつ高速伸縮運動時の追従性に優れる結果であった。また、破裂強さが432kPaであり、スポーツ用衣料およびコンプレッションウェアに好適に用いることができる生地強度を有する弾性経編地が得られた。さらに、膝部サポーターを用いた着用評価では〇の評価であり、激しく脚部の運動を実施した場合も本弾性経編地の高速伸縮追従性により生地のたるみは軽微であり、サポーターのズレ上がりが抑制された。
[実施例3]
テトラヒドロフランと3-アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールとMDIとからなるプレポリマーを、鎖伸長剤としてエチレンジアミンとジエチルアミンを用いて鎖伸長反応させて製造されたポリウレタンを、通常の方法で乾式紡糸し、33dtexのポリウレタン弾性繊維(33T-PU1)を得た。
44dtex-10Fのナイロン6仮撚捲縮加工糸(DTY)(44T-10F-DTY)をフロント筬に、33dtexのポリウレタン弾性繊維(33T-PU1)をバック筬にそれぞれ使用し、32ゲージシングルトリコット機を用いて表1記載の条件で編成し、編地組織を得た。図5に記載の通り、フロント組織は10/23//(図5の非弾性繊維71)、バック組織は13/20//(図5の弾性繊維70)の二目編組織とし、いずれもフルセットで糸通しを実施した。その後、Ny/PU交編経編地における通常の染色加工方法と吸水加工にて、弾性経編地を得た。
得られた弾性経編地は、弾性繊維のCF指数が8.7、編地緯方向におけるヒステリシスロス率が37.7%、生地たるみ面積の平均値が0.7cmであり、伸長回復特性に優れる弾性繊維を用い、かつ該弾性繊維の繊度に対してシンカーループ長を適正化することで、緯方向の伸長回復特性に優れ、かつ高速伸縮運動時の追従性に優れる結果であった。また、破裂強さが420kPaであり、スポーツ用衣料およびコンプレッションウェアに好適に用いることができる生地強度を有する弾性経編地が得られた。さらに、膝部サポーターを用いた着用評価では〇の評価であり、激しく脚部の運動を実施した場合も本弾性経編地の高速伸縮追従性により生地のたるみは軽微であり、サポーターのズレ上がりが抑制された。
[比較例1]
ポリテトラメチレングライコールとMDIとからなるプレポリマーを、鎖伸長剤としてエチレンジアミンを用いて鎖伸長反応させて製造されたポリウレタンを、通常の方法で乾式紡糸し、78dtexのレギュラータイプのポリウレタン弾性繊維(78T-PU2)を得た。
56dtex-18Fのナイロン6仮撚捲縮加工糸(DTY)(56T-18F-DTY)をフロント筬に、前記78dtexのレギュラータイプのポリウレタン弾性繊維(78T-PU2)をバック筬にそれぞれ使用し、32ゲージシングルトリコット機を用いて表1記載の条件で編成し、編地組織を得た。図5に記載の通り、フロント組織は10/23//(図5の非弾性繊維71)、バック組織は13/20//(図5の弾性繊維70)の二目編組織とし、いずれもフルセットで糸通しを実施した。その後、Ny/PU交編経編地における通常の染色加工方法と吸水加工にて、弾性経編地を得た。
得られた弾性経編地は、弾性繊維のCF指数が10.5、編地緯方向におけるヒステリシスロス率が44.9%、生地たるみ面積の平均値が0.9cmであり、緯方向の伸長回復特性が十分とはいえず、かつ高速伸縮運動時の追従性も不十分であり、生地のたるみが大きく生じた。また、膝部サポーターを用いた着用評価では△の評価であり、激しく脚部の運動を実施した場合に高速伸縮運動に生地が追従できずにたるみが生じ、サポーターのズレ上がりが生じた。
[比較例2]
ポリテトラメチレングライコールとMDIとからなるプレポリマーを、鎖伸長剤としてエチレンジアミンを用いて鎖伸長反応させて製造されたポリウレタンを、通常の方法で乾式紡糸し、22dtexのレギュラータイプのポリウレタン弾性繊維(22T-PU2)を得た。
44dtex-10Fのナイロン6仮撚捲縮加工糸(DTY)(44T-10F-DTY)をフロント筬に、前記22dtexのレギュラータイプのポリウレタン弾性繊維(22T-PU2)をバック筬にそれぞれ使用し、32ゲージシングルトリコット機を用いて表2記載の条件で編成し、編地組織を得た。図5に記載の通り、フロント組織は10/23//(図5の非弾性繊維71)、バック組織は13/20//(図5の弾性繊維70)の二目編組織とし、いずれもフルセットで糸通しを実施した。その後、Ny/PU交編経編地における通常の染色加工方法と吸水加工にて、弾性経編地を得た。
得られた弾性経編地は、弾性繊維のCF指数が7.7、編地緯方向におけるヒステリシスロス率が46.3%、生地たるみ面積の平均値が1.0cmであり、緯方向の伸長回復特性が十分とはいえず、かつ高速伸縮運動時の追従性も不十分であり、生地のたるみが大きく生じた。また、膝部サポーターを用いた着用評価では×の評価であり、激しく脚部の運動を実施した場合に高速伸縮運動に生地が追従できずにたるみが生じ、サポーターのズレ上がりが大きく生じた。
[比較例3]
ポリテトラメチレングライコールとMDIとからなるプレポリマーを、鎖伸長剤としてエチレンジアミンを用いて鎖伸長反応させて製造されたポリウレタンを、通常の方法で乾式紡糸し、33dtexのレギュラータイプのポリウレタン弾性繊維(33T-PU2)を得た。
44dtex-10Fのナイロン6仮撚捲縮加工糸(DTY)(44T-10F-DTY)をフロント筬に、前記33dtexのレギュラータイプのポリウレタン弾性繊維(33T-PU2)をバック筬にそれぞれ使用し、32ゲージシングルトリコット機を用いて表2記載の条件で編成し、編地組織を得た。図5に記載の通り、フロント組織は10/23//(図5の非弾性繊維71)、バック組織は13/20//(図5の弾性繊維70)の二目編組織とし、いずれもフルセットで糸通しを実施した。その後、Ny/PU交編経編地における通常の染色加工方法と吸水加工にて、弾性経編地を得た。
得られた弾性経編地は、弾性繊維のCF指数が9.6、編地緯方向におけるヒステリシスロス率が45.6%、生地たるみ面積の平均値が1.0cmであり、緯方向の伸長回復特性が十分とはいえず、かつ高速伸縮運動時の追従性も不十分であり、生地のたるみが大きく生じた。また、膝部サポーターを用いた着用評価では×の評価であり、激しく脚部の運動を実施した場合に高速伸縮運動に生地が追従できずにたるみが生じ、サポーターのズレ上がりが大きく生じた。
[比較例4]
ポリテトラメチレングライコールとMDIとからなるプレポリマーを、鎖伸長剤としてエチレンジアミンを用いて鎖伸長反応させて製造されたポリウレタンを、通常の方法で乾式紡糸し、117dtexのレギュラータイプのポリウレタン弾性繊維(117T-PU2)を得た。
84dtex-72Fのカチオン可染型ポリエステル(PET)仮撚捲縮加工糸(DTY)(84T-72F-DTY)をフロント筬に、117dtexのレギュラータイプのポリウレタン弾性繊維(117T-PU2)をバック筬にそれぞれ使用し、28ゲージシングルトリコット機を用いて表2記載の条件で編成し、編地組織を得た。図6に記載の通り、フロント組織は10/12//(図6の非弾性繊維81)、バック組織は23/10//(図6の弾性繊維80)とし、いずれもフルセットで糸通しを実施した。その後、カチオン可染型ポリエステル/PU交編経編地における通常の染色加工方法と吸水加工にて、弾性経編地を得た。
得られた弾性経編地は、弾性繊維のCF指数が12.7、編地緯方向におけるヒステリシスロス率が42.9%、生地たるみ面積の平均値が1.5cmであり、緯方向の伸長回復特性が十分とはいえず、かつ高速伸縮運動時の追従性も不十分であり、生地のたるみが大きく生じた。また、膝部サポーターを用いた着用評価では×の評価であり、激しく脚部の運動を実施した場合に高速伸縮運動に生地が追従できずにたるみが生じ、サポーターのズレ上がりが大きく生じた。
[比較例5]
実施例1に記載のナイロン6仮撚捲縮加工糸をフロント筬に、ポリウレタン弾性繊維をバック筬にそれぞれ使用し、前記ポリウレタン弾性繊維のランナー長を168cm/Rackに変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、弾性経編地を得た。
得られた弾性経編地は、弾性繊維のCF指数が10.8、編地緯方向におけるヒステリシスロス率が41.0%、生地たるみ面積の平均値が0.8cmであり、伸長回復特性に優れるポリウレタン弾性繊維を用いることで高速伸縮運動時の生地のたるみは抑制された。一方で、膝部サポーターを用いた着用評価では△の評価であり、激しく脚部の運動を実施した場合に高速伸縮運動に生地が追従できず、〇以上の評価であった実施例1~3と比較してたるみが大きく生じ、サポーターのズレ上がりが生じた。
以上より、本発明の弾性経編地は、編地緯方向における伸長回復特性に優れるとともに、高速運動時においても身体の動きに追従することができるため、特にスポーツウェア、コンプレッションウェアに適用した場合に筋肉サポート機能の低下を抑制し、筋振動抑制によるパフォーマンス向上を図ることが期待できる。
Figure 2023042097000001
Figure 2023042097000002
a:コース方向にまたぐニードルループを結ぶシンカーループ長
b:同一コースのニードルループを結ぶシンカーループ長
θ:シンカーループ角度
10:環状固定治具上部
11:環状固定治具下部
20:筒状サンプルの左輪郭部
21:筒状サンプルの右輪郭部
30:生地たるみ試験前の初期位置における筒状サンプルの左輪郭部
31:生地たるみ試験前の初期位置における筒状サンプルの右輪郭部
40~44:生地たるみ面積部
50:弾性繊維
51:非弾性繊維
60:弾性繊維
61:非弾性繊維
70:弾性繊維
71:非弾性繊維
80:弾性繊維
81:非弾性繊維

Claims (8)

  1. 弾性繊維および非弾性繊維から編成される弾性経編地であって、前記弾性繊維が、ポリオール成分がテトラヒドロフランと3-アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールであるポリウレタンエラストマーからなり、前記弾性繊維が二目編組織で編成されてなり、前記弾性繊維のCF指数が下記式(式1)を満たし、
    √d/L≦10.0 ・・・(式1)
    (ただし、dは弾性繊維の総繊度、Lは弾性繊維の1コース当たりのシンカーループ長である)
    前記弾性経編地の100%伸長時の緯方向におけるヒステリシスロス率が40%以下である弾性経編地。
  2. 前記弾性経編地を編地経方向および緯方向に対してそれぞれ筒状とし、デマッチャー疲労試験機に筒状サンプルを径寸法10cm、高さ寸法10cmで取り付け、有効投影面積:105cmとなるように高さ方向に5%伸長させた後、高さ方向に対して伸縮速度3回/秒にて50%伸縮運動を繰り返し実施した際の、編地経方向および緯方向に対する生地たるみ面積の平均値が0.8cm以下である請求項1に記載の弾性経編地。
  3. 前記弾性繊維が、総繊度30~120dtexである請求項1または2に記載の弾性経編地。
  4. 前記非弾性繊維が、仮撚捲縮加工糸である請求項1~3のいずれかに記載の弾性経編地。
  5. 前記非弾性繊維が、ポリアミド系繊維である請求項1~4のいずれかに記載の弾性経編地。
  6. 前記非弾性繊維が、総繊度40~100dtexである請求項1~5のいずれかに記載の弾性経編地。
  7. 破裂強さが350kPa以上である請求項1~6のいずれかに記載の弾性経編地。
  8. 請求書1~7のいずれかに記載の弾性経編地を少なくとも一部に用いてなる衣料。
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