JP3968736B2 - ポリウレタン糸およびその製法 - Google Patents

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    • D01F6/70Monocomponent artificial filaments or the like of synthetic polymers; Manufacture thereof from homopolycondensation products from polyurethanes

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン糸およびその製法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、ポリウレタン糸を加工して衣服等にした際、得られた衣服等の着脱性、フィット性、着用感、外観品位、耐薬品性などを特に優れたものとすることが可能なポリウレタン糸およびその製法に関する。
【0003】
【従来の技術】
ポリウレタン糸は、その優れた伸縮特性からレッグウエア、インナーウエア、スポーツウエアなどに広く展開されている。そしてポリウレタン糸は、こうした特徴をさらに生かすべく、布帛に占める割合がさらに高くなっている。その代表的な例が、ストッキング市場におけるいわゆるゾッキである。ゾッキとすることにより、ストッキングのフィット性、着用感、外観品位などを従来の交編品より良好なものとすることができたのである。
【0004】
すなわち、ポリウレタン糸の混率を高くすると良好なものとすることができるのである。そして、これはなにもストッキングに限定されるものではない。しかし、こうした中で、未だ完全には解決されない問題として、第1にサイズと着圧の問題があった。
【0005】
すなわち、ポリウレタン糸の混率が高くなると、サイズが小さくなりやすく、着圧がやや高くなりやすいのである。その結果、例えば、着脱性とフィット性は負相関にあり、両者を向上することが困難な状況にあった。
【0006】
第2にポリウレタン糸は混用するハードヤーンに比べ耐薬品性が劣るためポリウレタン糸の混率が高くなると、布帛全体の耐薬品性が低下するという問題があった。例えば前記したゾッキに使用する場合、多量の発汗を放置する場合にその製品寿命が短くなることが知られていた。
【0007】
すなわち、ポリウレタンの有機溶剤や不飽和脂肪酸類に対する耐性が低いためにこのような不具合が発生すると推定されるのである。
【0008】
これらのポリウレタン糸の混率を高くすることによる着脱性とフィット性が負相関になる問題と耐薬品性低下の問題の解決法としては、原糸から高次加工まで幾つかの手段が試みられていた。これらの問題の代表的な手段としては、原糸であれば機械的セット性および熱セット性が高いポリウレタン組成を選択し、特開平7−82608号公報に開示されたポリテトラフルオロエチレンなどの耐薬品性を高める化合物を配合する方法が開示されていた。さらにまた高次加工面からは、加工工程のドラフトを下げたり、布帛にコーテイング加工を施すことが開示されていた。しかし、前者の方法では着脱性とフィット性が両立する効果は不十分であり、ポリテトラフルオロエチレンを配合する場合には原糸および布帛の破断伸度の低下や透明性の低下を伴っていた。そして、後者の高次加工の手段を採用する場合にもコストアップするなどの問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明によれば、ポリウレタン糸を加工して衣服などにした際に、得られた衣服などの、脱着性、フィット性、着用感、外観品位、耐薬品性などを優れたものとすることができるポリウレタン糸およびその製法を得ることができる。
【0010】
さらに、適度な透明性と適度な伸びがあり、高い熱セット性があり、さらにある程度の機械セット性、そして不飽和脂肪酸への耐性を有するポリウレタン糸およびその製法を提供することができる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリウレタン糸は前記の課題を解決するため、以下の特性を有する。
すなわち、ポリフッ化ビニリデンを含有することを特徴とするポリウレタン糸である。
【0012】
また、本発明のポリウレタン糸の製法は前記の課題を解決するため、以下の特性を有する。
【0013】
すなわち、ポリフッ化ビニリデンをポリウレタン溶液に添加し、紡糸することを特徴とするポリウレタン糸の製法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明について、さらに詳細に述べる。
【0015】
まず本発明に用いるポリウレタンについて述べる。
【0016】
本発明に使用されるポリウレタンは任意のものであってよく、特に限定されるものではない。また、その合成法も特に限定されるものではない。
【0017】
すなわち、例えば、ポリオールとジイソシアネートとジアミンからなるポリウレタンウレアであっても、またさらに、ポリオールとジイソシアネートとジオールからなるポリウレタンであっても、なんら構わない。
【0018】
また、鎖伸長剤として水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレアであってもよい。
【0019】
なお、本発明の効果を妨げない範囲で3官能性以上の多官能性のグライコールやイソシアネート等が使用されても何ら構わない。
【0020】
ここで、本発明のポリウレタン糸を構成する代表的な構造単位について述べる。
【0021】
本発明に用いるポリオールはポリエーテル系グリコール、ポリエステル系グリコール、ポリカーボネートジオール等がその代表的なものである。
【0022】
そして、特に柔軟性、伸度を糸に付与する観点から、ポリエーテル系グリコールを用いることが好ましい。ポリエーテル系グリコールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略する)、THFおよび3−MeTHFの共重合体である変性PTMG(以下、3M−PTMGと略する)、THFおよび2,3−ジメチルTHFの共重合体である変性PTMG、特許第2615131号などに開示される側鎖を両側に有するポリオール等はその代表的なものとして挙げることができる。これらポリエーテル系グリコールを1種または2種以上混合もしくは共重合して用いてもよい。
【0023】
また、ポリウレタン糸として耐摩耗性や耐光性を得る観点から、ブチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、特開昭61−26612号公報などに開示されている側鎖を有するポリエステルポリオールなどのポリエステル系グリコールや特公平2−289516号公報などに開示されているポリカーボネートジオールを用いることも好ましい。
【0024】
また、こうしたポリオールは単独で使用してもよいし、2種以上混合もしくは共重合して用いることもできる。本発明に用いるポリオールの分子量は糸にした際の伸度、強度、耐熱性などを得る観点から数平均分子量で1000以上8000以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは1800以上6000以下の範囲である。この範囲の分子量のポリオールを用いることにより、伸度、強度、弾性回復力、耐熱性に優れた弾性糸を得ることができる。
【0025】
次に本発明に用いるジイソシアネートはジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略する)、トリレンジイソシアナート、1,4−ジイソシアナトベンゼン、キシリレンジイソシアナート、2,6−ナフタレンジイソシアナートなどの芳香族ジイソシアネートは、特に耐熱性や強度の高いポリウレタンを合成するのに好適である。さらに脂環族ジイソシアネートとして、例えばメチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(以下、H12MDIと略する。)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,6−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ1,5−ナフタレンジイソシアネートなどが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートは特にポリウレタン糸の黄変を抑制する際に有効に使用できる。そして、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
次に本発明に用いる鎖伸長剤として、低分子量ジアミンおよび/または低分子ジオールを使用することができる。
【0027】
なお、エタノールアミンのような水酸基とアミノ基を分子中に有するものであってもよい。好ましい低分子量ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p,p’−メチレンジアニリン、1,4−シクロヘキシルジアミン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミンなどが挙げられる。これらの中から1種または2種以上を選んで用いることができる。特に好ましくはエチレンジアミンである。エチレンジアミンを用いることにより伸度および弾性回復性、さらに耐熱性に優れた糸を得ることができる。これらの鎖伸長剤に架橋構造を形成することのできるトリアミン化合物、例えば、ジエチレントリアミン等を効果を失わない程度に加えてもよい。
【0028】
また、低分子ジオールとしては、エチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、1−メチル−1,2−エタンジオールなどは代表的なものである。これらの中から1種または2種以上を選んで用いることができる。特に好ましくはエチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオールである。これらを用いると、ジオール伸長のポリウレタンとしては耐熱性が高く、また、強度の高い糸を得ることができるのである。
【0029】
また、耐久性や強度の高い繊維を得る観点から、本発明のポリウレタン糸の分子量は、数平均分子量として40000以上150000の範囲であることが好ましい。
【0030】
なお、本発明における分子量はGPCで測定しており、ポリスチレンにより換算している。
【0031】
そして、本発明のポリウレタン糸として、特に好ましいものは、かかるものの中で、ジオールとジイソシアネートからなり、かつポリウレタン糸の高温側の融点が200℃より高く、260℃より低い範囲となるものである。本発明における高温側の融点とは、DSCで糸を測定した際のセカンドランの値をいい、ポリウレタンのいわゆるハードセグメントの融点が該当する。高温側の融点が200℃以上260℃以下の範囲であると、工程通過性も含め、実用上の問題はなく、かつ、熱セット性に優れたものを得ることができるのである。
【0032】
そして、かかる中でも、ポリオールとして分子量が1800以上6000以下の範囲にあるPTMG、ジイソシアネートとしてMDI、ジオールとしてエチレングライコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオールのいずれかおよび/またはこれらを併用して合成され、かつ、高温側の融点が200℃以上260℃以下の範囲であるポリウレタン糸は、特に伸度が高くなり、さらに前記のように、工程通過性も含め、実用上の問題はなく、かつ、熱セット性に優れるので最も好ましい。
【0033】
なお、ポリウレタン糸の高温側の融点を200℃以上260℃以下にする観点から、事前にテストをし、ジイソシアネートとポリオール、ジオールの比率を選択することが好ましく行われる。本発明のポリウレタンの構成は好ましくはかかるものからなるものである。
【0034】
次に本発明のポリウレタン糸にはポリフッ化ビニリデンが含まれるものである。
【0035】
次に本発明で使用するポリフッ化ビニリデンについては特に制限はなく、高圧法あるいは低圧法で重合したもの、一旦、高分子量に重合したものを分解することによって低分子量化したものなどが挙げられる。
【0036】
また、その重合過程において適当な触媒種を選択することにより分子の炭素骨格構造は、直鎖又は分岐でもよい。
【0037】
ポリフッ化ビニリデンのうち、特に好ましい炭素骨格構造は、直鎖型のものである。ポリフッ化ビニリデンの炭素骨格構造が直鎖型のものであると、得られるポリウレタン糸の強度、伸度が特に良好になるのである。
【0038】
ポリウレタン糸にポリフッ化ビニリデンが含まれると、原因は不明ではあるが幾つかの予想外の驚くべき現象が発現する。その1は熱セット性が向上することである。また、その2は機械的なセット性が向上することである。また、破断強度および破断伸度も高くなる。しかし、応力緩和などの特性には変化は見られない。
【0039】
また、ポリフッ化ビニリデンが糸中に存在しても、糸がフィブリル化することもなく、使用に当たっては従来のポリウレタン糸と何ら変わりがない。
【0040】
そして、ポリフッ化ビニリデンとして好ましいものは数平均分子量が、300以上300,000以下の範囲にあることが好ましい。数平均分子量はGPCで測定して求めることができ、ポリスチレン換算値である。
【0041】
数平均分子量が、300以上300,000以下の範囲にあると、得られるポリウレタン糸の特性が目標のものとせしめるのが容易になる。
【0042】
そして、ポリフッ化ビニリデンとして特に好ましいものは、数平均分子量が、300以上300,000以下のもので、240℃、ずり速度50sec-1での溶融粘度が5000poise以上50000poise以下のものである。
【0043】
240℃での溶融粘度が5000poise以上50000poise以下であるポリフッ化ビニリデンは、ポリウレタンへの分散および溶解が速く、紡糸性が良好となる。特に、乾式紡糸工程での受熱による、ポリフッ化ビニリデン含有量低下や糸の変色がない。そして、製造されるポリウレタン糸の特性を目標の特性とせしめるのが容易で、適度な透明度を保持したポリウレタン糸を得ることができる。
【0044】
本発明にかかるポリフッ化ビニリデンの好ましい含有量は、0.1重量%以上20重量%以下の範囲である。
【0045】
そして、ポリフッ化ビニリデンの含有量として特に好ましいのは、1重量%以上18重量%以下の範囲である。ポリフッ化ビニリデンの含有量が、1重量%以上18重量%以下の範囲にあると熱セット性、セット性、強度、伸度が特に良好になるのである。
【0046】
なお、これらの特性値は、ポリウレタン糸の用途により変える必要があるので、用途により事前にテストし、分子量、粘度、ポリフッ化ビニリデンの含有量を決めることが好ましく行われる。
【0047】
そして、本発明のポリウレタン糸は各種安定剤や顔料などを含有していても何らかまわない。例えば耐光剤、酸化防止剤などとして、いわゆるBHTや”スミライザーGA−80”(住友化学工業(株)製)などをはじめとするヒンダードフェノール系薬剤、各種の”チヌビン”(チバガイギー社製)をはじめとするベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系薬剤、”スミライザーP−16”(住友化学工業(株)製)のリン系薬剤、各種のヒンダードアミン系薬剤、酸化鉄、酸化チタンをはじめとする各種顔料、また酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、カーボンブラックをはじめとする無機物、フッ素系またはシリコーン系樹脂粉体、ステアリン酸マグネシウムをはじめとする金属石鹸、また、銀や亜鉛やこれらの化合物などを含む殺菌剤、消臭剤、またシリコーン、鉱物油などの滑剤、硫酸バリウム、酸化セリウム、ベタインやリン酸系などをはじめとする各種の帯電防止剤などが含まれたり、またこれらがポリマと反応していても何らかまわない。そして、特に光や各種の酸化窒素などへの耐久性をさらに高めるには、例えば、“HN−150”(日本ヒドラジン(株)製)などの酸化窒素補足剤、例えば、“スミライザーGA−80”(住友化学工業(株)製)などの熱酸化安定剤、“スミソーブ300#622”(住友化学工業(株)製)などの光安定剤等を使用することは有効である。
【0048】
次に本発明にかかるポリウレタン糸の製法について詳細に説明する。
【0049】
本発明においてはまずポリウレタン溶液を作製する。ポリウレタン溶液の製法、また、溶液の溶質であるポリウレタンの製法は溶融重合法でも溶液重合法のいずれであってもよく、他の方法であってもよい。しかし、より好ましいのは溶液重合法である。溶液重合法の場合には、ポリウレタンにゲルなどの異物の発生が少なく、紡糸しやすく、低繊度のポリウレタン糸を得やすい。
【0050】
また、当然のことであるが、溶液重合の場合、溶液にする操作が省けるという利点がある。
【0051】
そして本発明に特に好適なポリウレタンとしては、ポリオールとして分子量が1800以上6000以下のPTMG、ジイソシアネートとしてMDI、ジオールとしてエチレングライコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオールのいずれかおよび/またはこれらを併用して合成され、かつ、高温側の融点が200℃以上260℃以下の範囲のものが挙げられる。
【0052】
かかるポリウレタンは、例えば、DMAC 、DMF、DMSO、NMPなどやこれらを主成分とする溶剤の中で、上記の原料を用い合成することにより得られる。例えば、こうした溶剤中に、各原料を投入、溶解せしめ、適度な温度に加熱し反応せしめポリウレタンとする、いわゆるワンショット法、また、ポリオールとジイソシアネートを、まず溶融反応せしめ、しかる後に、該反応物を溶剤に溶解し、前述のジオールと反応せしめ、ポリウレタンとする方法などが、特に好適な方法として挙げられる。
【0053】
鎖伸長剤にジオールを用いる場合、ポリウレタンの高温側の融点を200℃以上260℃以下の範囲に調節する代表的な方法は、ポリオール、MDI、ジオールの種類と比率をコントロールすることにより達成され得る。ポリオールの分子量が低い場合には、MDIの割合を相対的に多くすることにより、高温の融点が高いポリウレタンを得ることができ、同様にジオールの分子量が低いときはポリオールの割合を相対的に少なくすることにより、高温の融点が高いポリウレタンを得ることができる。
【0054】
ポリオールの分子量が1800以上の場合、高温側の融点を200℃以上にするには、(MDIのモル数)/(ポリオールのモル数)=1.5以上の割合で、重合を進めることが好ましい。
【0055】
なお、かかるポリウレタンの合成に際し、末端封鎖剤を1種または2種以上混合して用いても何ら構わない。これらの代表的なものとしては、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、イソペンチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミンなどのモノアミン、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノールなどのモノオール、フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネートなどを必要に応じて添加することも有効なことである。
【0056】
さらに、かかるポリウレタンの合成に際し、アミン系触媒や有機金属触媒を1種または2種以上混合して用いても何ら構わない。これらの代表的なものとしては、アミン系触媒としては、例えば、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ビス−2−ジメチルアミノエチルエーテル、N,N,N’,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、N−(2−ジメチルアミノエチル)モルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0057】
また、有機金属触媒としてはオクタン酸スズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸鉛ジブチル等が挙げられる。こうして得られるポリウレタン溶液の濃度は特に限定されるものではないが、通常、30重量%以上80重量%以下の範囲とすることが好ましい。
【0058】
本発明においては、かかるポリウレタン溶液にポリフッ化ビニリデンを添加するものである。ポリフッ化ビニリデンのポリウレタン溶液への添加方法としては、任意の方法が適用できる。その代表的な方法としては、スタティックミキサーによる方法、攪拌による方法、ホモミキサーによる方法、2軸押し出し機を用いる方法など多くの手段を採用することができる。ここで、添加されるポリフッ化ビニリデンは溶液にして添加することが好ましい。ポリフッ化ビニリデン溶液であるとポリウレタン溶液への均一な添加が可能となる。
【0059】
ポリウレタン溶液への添加は、前記した、例えば耐光、耐酸化防止剤などをはじめとする薬剤や顔料などと同時に添加してもよい。次に、添加するポリフッ化ビニリデンは数平均分子量が300以上300000以下であることが好ましい。かかる値のポリフッ化ビニリデンを使用することにより、紡糸は安定にでき、かつ、目標の特性のポリウレタン糸を得ることができるのである。そして、さらに好ましいポリフッ化ビニリデンは、240℃、ずり速度50sec-1での溶融粘度が5000poise以上50000poise以下のものである。その理由は、前記の通りである。
【0060】
次に本発明の糸の繊度、断面形状などは特に限定されるものではない。例えば、糸の断面は円形であっても扁平であっても何らかまわない。
【0061】
そして、乾式紡糸方式についても特に限定されるものではなく、任意の方法が適用できる。
【0062】
次に、本発明の糸のセット性と応力緩和は、特にゴデローラーと巻取機の速度比の影響を受けやすいので、糸の使用目的に応じて決めることが好ましく行われる。
【0063】
具体的には、ゴデローラーと巻取機の速度比を1.15以上1.65以下として巻き取ることが好ましく行われる。そして、特に高いセット性と、低い応力緩和の糸が要求される場合には、ゴデローラーと巻取機の速度比を1.15以上1.40以下として巻き取ることがより好ましく行われ、1.15以上1.35以下として巻き取ることがさらに好ましく行われる。一方、低いセット性と、高い応力緩和の糸が要求される場合には、ゴデローラーと巻取機の速度比を1.25以上1.65以下として巻き取ることが好ましく行われ、1.35以上1.65以下として巻き取ることがより好ましく行われる。
【0064】
また、紡糸速度としては、450m/分以上であることが、強度を高くする面から好ましい。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。
【0066】
最初に本発明における諸特性の測定方法を説明する。
[セット性、応力緩和、強度、伸度]
セット性、応力緩和、強度、伸度は、ポリウレタン糸をインストロン4502型引張試験機を用い、引張テストすることにより得た。
【0067】
5cm(L1)の試料を50cm/分の引張速度で300%伸長を5回繰返した。このときの応力を(G1)とした。次に該長さを30秒間保持した。30秒間保持後の応力を(G2)とした。次に該伸長を回復せしめ応力が0になった際の資料の長さを(L2)とした。さらに6回目にポリウレタン糸が切断するまで伸長した。この破断時の応力を(G3)、破断時の試料長さを(L3)とした。
【0068】
以下、前記特性は下記式により与えられた。
【0069】
強度 =(G3)
応力緩和=100×((G1)−(G2))/(G1)
セット性=100×((L2)−(L1))/(L1)
伸度 =100×((L3)−(L1))/(L1)
[熱セット性]
糸をフリーで100℃のスチームで10分処理し、次にフリーで100℃の沸騰水で2時間処理し、一日室温で乾燥した。
【0070】
つぎに該糸(長さ=(L5))を100%伸長した(長さ=2×(L5))。該長さのまま115℃のスチームで、1分間処理した。さらに同長さで、130℃の乾熱処理を施し、さらに同長さで、1日室温で放置した。次に、糸の伸長状態をはずし、その長さ(L6)を測定した。
【0071】
熱セット性=100×((L6)−(L5))/(L5)
[耐薬品性]
糸を100%伸長固定し、オレイン酸のヘキサン溶液(5重量%)に24時間浸積処理し、次にN,N’−ジエチルトルアミドのエタノール溶液(0.5重量%)に1時間浸積処理した。その後、糸をフリーで24時間、室温で乾燥し、破断強度(G4)を測定した。未処理糸の破断強度(G3)に対する(G4)の保持率を耐薬品性とした。
【0072】
耐薬品性=100×(G4)/(G3)
[ポリフッ化ビニリデンの定量法]
糸試料(A)1gにDMAC 50mlを加え、糸を完全に溶解した後、エタノール100mlをゆっくりと加え、ポリフッ化ビニリデンを沈殿させ、残るポリウレタン溶液を蒸発乾固し、糸試料中ポリウレタン(B)を単離しておいた。次に、予め決定された重量比のポリウレタン(B)とポリフッ化ビニリデンの混合物のIRスペクトルから検量線を作成しておいた。その手順はポリフッ化ビニリデン含有量が0重量%、1重量%、3重量%、6重量%、10重量%、20重量%の試料を作製し、それぞれのIRスペクトルにおけるν(CO)1700cm-1〜1800cm-1とν(CF2)890cm-1のピーク面積比(X)を求めた。IRスペクトル測定にはパーキンエルマー社製FT−IRを、またその測定サンプルはDMAC によるキャストフィルムを使用した。ピーク面積比(X)に対するポリフッ化ビニリデン含有率(重量%)の検量線を作成し、その傾き(α)を得た。最後に、糸試料(A)をn−ヘキサンで洗浄後、同様の条件にて、IRスペクトルを測定した。得られたスペクトルにおいてν(CO)1700cm-1〜1800cm-1とν(CF2)890cm-1のピーク面積比(Xs)を求めた。
【0073】
ポリフッ化ビニリデン含有量(重量%)=(α)×(Xs)
[実施例1]
分子量2900のPTMG、MDIおよびエチレングリコールからなるポリウレタンのDMAC 溶液(35重量%)を重合し溶液A1 とした。溶液A1 が2050gに対し市販のポリフッ化ビニリデン(数平均分子量48,000、溶融粘度12,000poise)のDMAC 溶液(10重量%)を222gを加え、2時間攪拌し、溶液B1 とした。
【0074】
次に溶液B1 に添加剤Cを添加した。添加剤Cはアメリカ合衆国特許3555115号に記すようなt−ブチルジエタノールアミンとメチレン−ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネート)の反応によって生成せしめたポリウレタンとアメリカ合衆国特許3553290号に記すようなp−クレゾールとジビニルベンゼンの縮合重合体の2対1重量比の混合物である。溶液B1 に11.1gの添加剤Cを加え、さらに2時間攪拌し、溶液D1 とした。溶液D1 をゴデローラーと巻取機の速度比1.40として540m/分のスピードで乾式紡糸することにより、18デニール、モノフィラメントの糸を得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セット性、耐薬品性、ポリフッ化ビニリデン含有量および融点を表1に示す。
【0075】
伸度、強度、セット性、熱セット性、耐薬品性は比較例1に比べ総じて高く、セット性および熱セット性は比較例1が25%および55%であることに対し、本実施例は33%および65%と向上した。
【0076】
また、耐薬品性は比較例1が56%であることに対し、本実施例は85%のものを得ることができた。
【0077】
本糸を用いゾッキパンストを編んだところ、置寸は従来のゾッキパンストよりも大きく、着圧は従来品よりも低く、脱着性および着用感に優れたゾッキパンストを得ることができた。
【0078】
得られたパンストをオレイン酸のヘキサン溶液(5重量%)に24時間浸積、洗濯、乾燥処理後、このパンストの着用試験を実施したところ、その耐久性は比較例1の糸を用いた場合の1.3倍となった。
【0079】
【表1】
Figure 0003968736

[実施例2]
溶液A1 が2000gに対し、市販のポリフッ化ビニリデン(数平均分子量72,000、溶融粘度47,000poise)のDMAC 溶液(10重量%)を216g加え、2時間攪拌することにより溶液B2 とした。
【0080】
次に溶液B2 に11.8gの添加剤Cを加え、さらに2時間攪拌し、溶液D2 とした。
【0081】
溶液D2 をゴデローラーと巻取機の速度比を1.40として540m/分のスピードで乾式紡糸することにより、18デニール、モノフィラメントの糸を得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セット性、耐薬品性、ポリフッ化ビニリデン含有量および融点を併せて表1に示す。
【0082】
伸度、強度、セット性、熱セット性、耐薬品性は比較例1に比べ総じて高く、セツト性および熱セット性は比較例1が25%および55%であるのに対し、本実施例は32%および64%に向上した。
【0083】
また、耐薬品性は比較例1が56%であるのに対し、本実施例は87%のものを得ることができた。
【0084】
本糸を用いゾッキパンストを編んだところ、置寸は従来のゾッキパンストよりも大きく、着圧は従来品よりも低く、脱着性および着用感に優れたゾッキパンストを得ることができた。
【0085】
得られたパンストをオレイン酸のヘキサン溶液(5重量%)に24時間浸積、洗濯、乾燥処理後、このパンストの着用試験を実施したところ、その耐久性は比較例1の糸を用いた場合の1.3倍となった。
[実施例3]
溶液A1 が2000gに対し、市販のポリフッ化ビニリデンのDMAC 溶液(5重量%)を70g加え、ホモミキサーにより8時間混練することにより溶液B3 とした。
【0086】
次に溶液B3 に10.6gの添加剤Cを加え、さらに2時間攪拌し、溶液D3 とした。溶液D3 をゴデローラーと巻取機の速度比を1.40として540m/分のスピードで乾式紡糸することにより、18デニール、モノフィラメントの糸を得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セット性、耐薬品性、ポリフッ化ビニリデン含有量および融点を併せて表1に示す。
【0087】
伸度、強度、セット性、熱セット性、耐薬品性は比較例1に比べ総じて高く、セツト性および熱セット性は比較例1が25%および55%であるのに対し、本実施例は30%および61%に向上した。
【0088】
また、耐薬品性は比較例1が56%であるのに対し、本実施例は72%のものを得ることができた。
【0089】
本糸を用いゾッキパンストを編んだところ、置寸は従来のゾッキパンストよりも大きく、着圧は従来品よりも低く、脱着性および着用感に優れたゾッキパンストを得ることができた。
【0090】
得られたパンストをオレイン酸のヘキサン溶液(5重量%)に24時間浸積、洗濯、乾燥処理後、このパンストの着用試験を実施したところ、その耐久性は比較例1の糸を用いた場合の1.3倍となった。
[実施例4]
分子量1800のPTMG、MDI、エチレンジアミンおよび末端封鎖剤としてジエチルアミンからなるポリウレタンのDMAC 溶液(35重量%)2500gを重合し、溶液A4 とした。
【0091】
さらに実施例1と同一のポリフッ化ビニリデンDMAc溶液(10重量%)659g加え、2時間攪拌することにより溶液B4 とした。次に溶液B4 に14.1gの添加剤Cを加え、さらに2時間攪拌し、溶液D4 とした。溶液D4 をゴデローラーと巻取機の速度比を1.20として600m/分のスピードで乾式紡糸することにより、18デニール、モノフィラメントの糸を得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セット性、耐薬品性、ポリフッ化ビニリデン含有量および融点を併せて表1に示す。
【0092】
伸度、強度、セット性、熱セット性、耐薬品性は比較例2に比べ総じて高く、セツト性および熱セット性は比較例2が18%および25%であるのに対し、本実施例は31%および45%に向上した。
【0093】
また、耐薬品性は比較例2が60%であるのに対し、本実施例は90%のものを得ることができた。
【0094】
本糸を用いゾッキパンストを編んだところ、置寸は従来のゾッキパンストよりも大きく、着圧は従来品よりも低く、脱着性および着用感に優れたゾッキパンストを得ることができた。
[実施例5]
分子量1800のPTMG、MDI、モル比80/20のエチレンジアミンと1,3−シクロヘキシルジアミンおよび末端封鎖剤としてジエチルアミンからなるポリウレタンのDMAC 溶液(35重量%)を重合し、溶液A5 とした。2500gの溶液A5 に対し、数平均分子量5,000の市販の鑞状ポリフッ化ビニリデン155gを加え、ホモミキサーにより2時間混練することにより溶液B5 とした。
【0095】
次に溶液B5 に15.5gの添加剤Cを加え、さらに2時間攪拌し、溶液D5 とした。溶液D5 をゴデローラーと巻取機の速度比を1.30として600m/分のスピードで乾式紡糸することにより、18デニール、モノフィラメントの糸を得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セット性、耐薬品性、ポリフッ化ビニリデン含有量および融点を併せて表1に示す。
【0096】
伸度、強度、セット性、熱セット性、耐薬品性は比較例3に比べ総じて高く、セツト性および熱セット性は比較例3が22%および30%であるのに対し、本実施例は30%および60%に向上した。
【0097】
また、耐薬品性は比較例3が62%であるのに対し、本実施例は96%のものを得ることができた。
【0098】
本糸を用いゾッキパンストを編んだところ、置寸は従来のゾッキパンストよりも大きく、着圧は従来品よりも低く、脱着性および着用感に優れたゾッキパンストを得ることができた。
【0099】
得られたパンストをオレイン酸のヘキサン溶液(5重量%)に24時間浸積、洗濯、乾燥処理後、このパンストの着用試験を実施したところ、その耐久性は比較例3の糸を用いた場合の1.2倍となった。
[実施例6]
溶液A1 が2000gに対し、市販のポリフッ化ビニリデン(数平均分子量72,000、溶融粘度47,000poise)のDMAc溶液(10重量%)を1975gを加え、2時間攪拌することにより溶液B6 とした。次に溶液B6 に13.5gの添加剤Cを加え、さらに2時間攪拌し、溶液D6 とした。溶液D6 をゴデローラーと巻取機の速度比を1.40として540m/分のスピードで乾式紡糸することにより、18デニール、モノフィラメントの糸を得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セット性、耐薬品性、ポリフッ化ビニリデン含有量および融点を併せて表1に示す。
【0100】
強度、セット性、熱セット性、耐薬品性は比較例1に比べ総じて高く、セツト性および熱セット性は比較例1が25%および55%であるのに対し、本実施例は44%および69%に向上した。
【0101】
また、耐薬品性は比較例1が56%であるのに対し、本実施例は88%のものを得ることができた。
【0102】
本糸を用いゾッキパンストを編んだところ、置寸は従来のゾッキパンストよりも大きく、着圧は従来品よりも低く、脱着性および着用感に優れたゾッキパンストを得ることができた。
【0103】
得られたパンストをオレイン酸のヘキサン溶液(5重量%)に24時間浸積、洗濯、乾燥処理後、このパンストの着用試験を実施したところ、その耐久性は比較例1の糸を用いた場合の1.4倍となった。
[比較例1]
2000gの溶液A1 に10.5gの添加剤Cを加え、さらに2時間攪拌し、溶液E1 とした。溶液E1 をゴデローラーと巻取機の速度比を1.40として540m/分のスピードで乾式紡糸することにより、18デニール、モノフィラメントの糸を得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セット性を併せて表1に示す。
【0104】
本糸を用いゾッキパンストを編んだところ、置寸、着圧などが各実施例に比べて不十分なものしか得ることができなかった。
[比較例2]
2500gの溶液A4 に13.1gの添加剤Cを加え、さらに2時間攪拌し、溶液E2 とした。溶液E2 をゴデローラーと巻取機の速度比を1.20として600m/分のスピードで乾式紡糸することにより、18デニール、モノフィラメントの糸を得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セット性を併せて表1に示す。
【0105】
本糸を用いゾッキパンストを編んだところ、置寸、着圧、外観などが各実施例に比べて不十分なものしか得ることができなかった。
[比較例3]
2500gの溶液A5 に13.1gの添加剤Cを加え、さらに2時間攪拌し、溶液E3 とした。溶液E3 をゴデローラーと巻取機の速度比を1.30として600m/分のスピードで乾式紡糸することにより、18デニール、モノフィラメントの糸を得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セット性を併せて表1に示す。
【0106】
本糸を用いゾッキパンストを編んだところ、置寸、着圧、外観などが実施例5に比べて不十分なものしか得ることができなかった。
[比較例4]
溶液A1 が2000gに対し、市販のポリテトラフルオロエチレンを22g加え、ホモミキサーにより8時間混練した後、10.8gの添加剤Cを加え、さらに8時間混練し、溶液F4 とした。溶液F4 をゴデローラーと巻取機の速度比を1.40として540m/分のスピードで乾式紡糸することにより、ポリテトラフルオロエチレン3重量%含有の18デニール、モノフィラメントの糸を得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セット性を併せて表1に示す。
【0107】
伸度370%、強度17g、セット性27%といずれも各実施例に比較して低く、本糸を用いゾッキパンストを編んだところ、置寸、着圧、外観などが不十分なものしか得ることができなかった。
【0108】
【発明の効果】
本発明によれば、脱着性、フィット性、外観品位、着用感、耐薬品性などに優れた特性を有する衣服を得ることができる。
【0109】
また、本発明のポリウレタン糸は、その優れた特性により、単独での使用はもとより、各種繊維と組み合わせることにより、例えば、ソックス、ストッキング、丸編、トリコット、水着、スキーズボン、作業服、煙火服、洋服、ゴルフズボン、ウエットスーツ、ブラジャー、ガードル、手袋や靴下をはじめとする各種繊維製品の締め付け材料、紙おしめなどサニタニー品の漏れ防止用締め付け材料、防水資材の締め付け材料、似せ餌、造花、電気絶縁材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケットなど、種々の用途に展開可能である。

Claims (12)

  1. ポリフッ化ビニリデンを含有することを特徴とするポリウレタン糸。
  2. ポリフッ化ビニリデンの含有量が、0.1重量%以上20重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン糸。
  3. ポリフッ化ビニリデンの数平均分子量が300以上300000以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタン糸。
  4. ポリフッ化ビニリデンの240℃での溶融粘度が5000poise以上50000poise以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン糸。
  5. ポリウレタンが、ジオールとジイソシアネートから主に合成され、かつ、高温側の融点が200℃より高く、260℃より低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン糸。
  6. ポリウレタンが、エチレングリコール、1,3プロパンジオールおよび1,4ブタンジオールからなる群から選ばれる少なくとも一種のジオールと、分子量が1800以上6000以下のポリオールとジフェニルメタンジイソシアネートを主原料として溶液中で合成されてなり、かつ、高温側の融点が200℃より高く、260℃より低いことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン糸。
  7. ポリフッ化ビニリデンをポリウレタン溶液に添加し、紡糸することを特徴とするポリウレタン糸の製法。
  8. ポリフッ化ビニリデンの数平均分子量が300以上300000以下であることを特徴とする請求項7に記載のポリウレタン糸の製法。
  9. 紡糸方法が乾式紡糸であることを特徴とする請求項7または8に記載のポリウレタン糸の製法。
  10. ポリフッ化ビニリデンの、240℃での溶融粘度が5000poise以上50000poise以下であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のポリウレタン糸の製法。
  11. ポリウレタンが、エチレングリコール、1,3プロパンジオールおよび1,4ブタンジオールからなる群から選ばれる少なくとも一種のジオールと、分子量が1800以上6000以下のポリオールとジフェニルメタンジイソシアネートを主な原料として用いて溶液中で合成し、かつ、そのポリウレタンの高温側の融点が200℃より高く、260℃より低いポリウレタン溶液を乾式紡糸することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のポリウレタン糸の製法
  12. 紡糸速度を450m/分以上とし、かつ、ゴデローラーと巻取機の速度比を1.15以上1.65以下として巻き取ることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のポリウレタン糸の製法。
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