JP2016035122A - ギャザー部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弾性繊維が含有されたギャザー部材であって、該ギャザー部材を構成する該弾性繊維は、300%伸張回復繰り返し試験における繰り返し3回目の300%伸長時の応力(cN/dT)が0.050以上0.150以下であり、300%伸張回復繰り返し試験における繰り返し3回目の200%応力保持率(%)が65以上95以下であり、かつ、300%伸張回復繰り返し試験における繰り返し3回目後の残留歪み(%)が42以下であるものである前記ギャザー部材。
【選択図】なし
Description
このため、ホットメルト接着剤等により不織布に接着された後のゴムやポリウレタン弾性繊維の伸縮材料としての特性が、紙おむつ等のフィット感や尿漏れ等に大きく影響する。
例えば、以下の特許文献1には、特定のポリアルキレンエーテルジオールからなるポリウレタン弾性繊維に特定の処理剤を付着させることにより、着脱しやすく快適なフィット感を有するポリウレタン弾性糸が提案されている。しかし、おむつの製造工程において弾性繊維は延伸工程やホットメルトによる接着工程等を経ることから、工程中に物性が変化し、使用方法によっては効果の程度が変動する。
また、以下の特許文献2には、弾性繊維を2枚のシート間に一定間隔に配置したギャザー部の物性を特定することにより、装着時のズレが発生しにくく、ゴムの跡付きが抑制できるパンツ型おむつが提案されているが、これらの効果を得るための弾性繊維については開示されていない。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
3≦Nmms≦35 …式(1)
を満たす、前記[1]に記載のギャザー部材。
本実施形態のギャザー部材には、少なくとも構成材料の一部に弾性繊維が用いられる。本実施形態における弾性繊維としては、ポリウレタン弾性繊維、ポリエステル弾性繊維、ポリアミド弾性繊維、ポリオレフィン弾性繊維、天然ゴム、合成ゴムから成るゴム糸、これらを主体とした他の有機合成樹脂との複合又は混合によって得られるものが用いられる。
本実施形態に用いるポリウレタン弾性繊維のポリウレタン系重合体は、ポリアルキレエーテルジオールとモル過剰の有機ジイソシアネートを反応させてソフトセグメントとなるウレタン中間重合体を合成後、鎖延長剤でハードセグメントを重合し、末端停止剤で末端封鎖するといった公知の技術を用いて製造することができる。
Nmd=Mdo/[Mnm×{Ar/(Ar+Br)}+Mm×{Br/(Ar+Br)}]×Ar/(Ar+Br)×NM …式(2)
{式中、Nmd:ポリアルキレンエーテルジオール1分子に含まれる側鎖メチル基の平均個数、Mdo:ポリアルキレンエーテルジオールの数平均分子量、Mnm:側鎖メチル基を持たないエーテルユニット部Aの1ユニットの分子量、Mm:側鎖メチル基を持つエーテルユニット部Bの1ユニットの分子量、Ar:側鎖メチル基を持たないエーテルユニット部Aの共重合比、Br:側鎖メチル基を持つエーテルユニット部Bの共重合比、NM:側鎖メチル基を持つエーテルユニット部Bの1ユニット中の側鎖メチル基の個数である。}により計算することができる。
Ms={Mdo+Mdi(N1−N0)}/(N1−N0−1)−2Mdi …式(3)
{式中、Ms:ソフトセグメント部分の数平均分子量、Mdo:ポリアルキレンエーテルジオールの数平均分子量、Mdi:有機ジイソシアネートの分子量、N1:有機ジイソシアネートのポリアルキレンエーテルジオールに対するモル比、N0:下記式(4):
N0=aN1 4+bN1 3+cN1 2+dN1+e …式(4)
(式中、定数a=0.03806、定数b=−0.3997、定数c=1.617、定数d=−2.144、定数e=0.8795である。)により求められるウレタンプレポリマー反応後に存在する未反応の有機ジイソシアネートのポリアルキレンエーテルジオールに対するモル比である。}により計算することができる。
Nmms=Nmd×{(Ms−Mdo)/(Mdo+Mdi)+1} …式(5)
{式中、Nmd:ポリアルキレンエーテルジオール1分子に含まれる側鎖メチル基の平均個数、Ms:ソフトセグメント部分の数平均分子量、Mdo:ポリアルキレンエーテルジオールの数平均分子量、Mdi:有機ジイソシアネートの分子量である。}により計算することができる。
300%伸張回復繰返し試験における繰り返し3回目の300%伸長時の応力(cN/dT)は、好ましくは0.060以上0.145以下である。また、300%伸張回復繰り返し試験における繰り返し3回目の200%応力保持率(%)は65以上95以下である。65未満では、着用時の締め付け力が弱くなりずれ落ちる等の不具合が生じ、95を超える弾性繊維は物理的に生産が困難である。
さらに300%伸張回復繰返し試験における繰り返し3回目後の残留歪み(%)は42以下である。42を超えると着用時に弾性繊維が歪むことで締め付け力が弱くなりずれ落ちる等の不具合が生じる。
本実施形態のギャザー部材は、生理用品や使い捨て紙おむつに代表される吸収性物品や、マスク、包帯等の医療用資材の基材として好適に使用される。紙おむつにおいては、ウエスト部や脚回り部に不織布にホットメルトを介して弾性繊維を接着された部位があるが、本実施形態のギャザー部材は、こうした部位に特に好適に用いられる。ギャザー部材は、弾性糸が伸長された状態でホットメルト等を介して不織布等に接着される方法を含む、紙おむつ、生理用品、マスク、包帯の製造工程における通常の方法により作製することができる。
(1)粘度安定性評価方法
重合によって得られたポリウレタン溶液を溶媒が飛散しないように密閉容器に入れ、50℃のセーフティーオーブン(タバイエスペック社製SPH−200型)内に15日間、放置した。50℃で15日間放置する前後のポリウレタン溶液の粘度を、回転粘度計(東京計器製BH型)を用いて測定し、その粘度上昇幅Δη(poise)を粘度安定性の指標とした。Δηが小さいほど、紡糸工程での糸切れ等がなく安定生産可能なポリウレタン溶液である。
紡糸によって得られた弾性繊維の巻糸体1を、図4の装置にかけ、弾性繊維送り出しロール2を速度10m/分、巻き取りロール3を速度30m/分の延伸倍率3倍で走行させ、テンションメーター4で糸走行時の応力(g)を測定した。得られた応力値を、弾性繊維の繊度で除した値を走行応力(g/dt)とした。
紡糸によって得られた弾性繊維の巻糸体1を、図5の装置にかけ、弾性繊維送り出しロール5を速度50m/分、弾性繊維を3回巻きつけたプレドラフトロール6を速度80m/分、巻き取りロール7を速度85m/分の条件で走行させた。観察部位8での弾性繊維の挙動を3分間目視観察し、次の評価基準:
◎:糸揺れ幅が0mm以上〜2mm未満
○:糸揺れ幅が2mm以上〜5mm未満
△:糸揺れ幅が5mm以上
×:糸切れ
を用いて評価した。
弾性繊維を5mmの間隔で平行に3本並べ、弾性繊維の元の長さに対して3倍になるように伸長し、160℃で溶融させたヘンケルジャパン(社)製ディスポメルト5434を伸張させた弾性繊維に、繊維1本当たり0.03g/mとなるようにサンツール(社)製のコームガンで塗布し、幅方向5cm、目付17g/m2の旭化成せんい(社)製不織布、エルタスガード(登録商標)2枚で挟み込み、その上からローラーにて圧着し、ギャザー部材を作製した。
前記(4)の方法で作製したギャザー部材を無伸長状態で1日放置し、弾性繊維の応力を十分緩和させた。その後、緩和させた状態でギャザー長42cmを測りとり、この末端同士をヒートシーラーで熱接着し、ギャザー部材から成る周囲42cmの輪を作製した。この輪をウエスト長75cm〜80cmの被験者10人がウエスト部位に着用し、その際の着用感の官能評価を、下記評価基準で実施した。
・着脱性
◎:着脱性が良いと判断した人が8〜10人の場合
○:着脱性が良いと判断した人が6〜7人の場合
△:着脱性が良いと判断した人が4〜5人の場合
×:着脱性が良いと判断した人が3人以下の場合
・フィット性
◎:締め付けが適度と判断した人が8〜10人の場合
○:締め付けが適度と判断した人が6〜7人の場合
△:締め付けが適度と判断した人が4〜5人の場合
×:締め付けが適度と判断した人が3人以下の場合
前記(4)の方法で作製したギャザー部材を有機溶媒のシクロヘキサンに10分浸漬し、撹拌した。撹拌後、不織布から剥離した弾性繊維を取り出し、1日風乾させた。風乾後、弾性繊維の長さ(m)と重量(g)から繊度(dt)を下記式(6):
繊度(dt)=10000/弾性繊維の長さ(m)×弾性繊維の重量(g) …式(6)
により求めた。
引張試験機(オリエンテック(株)製RTG−1210型テンシロン)を使用し、20℃、相対湿度65%の条件下で、試料長10mmの風乾後の弾性繊維を100mm/分の速度で伸度0%〜300%の伸長回復繰り返し試験を3回実施した。その際、繰り返し3回目の300%伸長時の応力(cN)を測定した。得られた応力値を前記式(6)により求めた弾性繊維の繊度(dt)で除した値を300%伸長時の応力(cN/dt)とした。
200%応力保持率(%)=200%RM/200%SM×100 …式(7)
{式中、200%RM:300%伸長回復繰り返し試験における繰り返し3回目の200%伸度の時のRM(cN)、200%SM:300%伸長回復繰り返し試験における繰り返し3回目の200%伸度の時のSM(cN)である。}により求めた。
残留歪み(%)=RS/10×100 …式(8)
{式中、RS:300%伸長回復繰り返し試験を3回実施後のRMが0となる歪み量(mm)である。}により求めた。
前記(4)の方法で作製したギャザー部材を有機溶媒のシクロヘキサンに10分浸漬し、撹拌した。撹拌後、不織布から剥離した弾性繊維を取り出し、1日風乾させた。その後、クロロホルムを溶媒としてソックスレー抽出を行い、有機系添加剤を除去した。クロロホルムを乾燥除去し、以下の装置と条件で測定を行った。
測定装置 :JEOL社製 ECS400
測定核 :1H
共鳴周波数 :400MHz
積算回数 :256回
測定温度 :室温
溶媒 :重水素化ジメチルホルムアミド
測定濃度 :1.5重量%
化学シフト基準:ジメチルホルムアミド(8.023ppm)
m=2×(F1/F2) …式(9)
により求めた。
Ms=(Mdo+Mdi)×m+Mdo …式(10)
{式中、Mdo:ポリアルキレンエーテルジオールの数平均分子量、Mdi:有機ジイソシアネートの分子量、m:前記式(9)により求めた、図1の構造式中のソフトセグメント部分の平均繰り返し数mである。}により求めた。
ソフトセグメント部分に含まれるポリアルキレンエーテルジオールの側鎖メチル基の平均個数Nmmsは、前記式(10)によって求められるソフトセグメント部分の数平均分子量Ms値を用い、前記式(5)より求めた。
テトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基からなる、数平均分子量1800で2,2ジメチルプロピレン基の共重合率が10モル%である共重合ポリアルキレンエーテルジオール1800g(1.00モル)と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート335g(1.34モル)を乾燥窒素雰囲気下、60℃で3時間攪拌することで反応させて、末端がイソシアネートであるウレタンプレポリマーを得た。これを室温まで冷却した後、ジメチルアセトアミド2610gを追加して室温で攪拌することにより、均一なプレポリマー溶液とした。
一方、ジアミンとしてエチレンジアミンを20.1g(0.335モル)、末端停止剤としてジエチルアミンを3.29g(0.0450モル)、ジメチルアセトアミド2545gに溶解した溶液を、上記プレポリマー溶液に高速攪拌下で一気に加え、さらに室温下で1時間反応させ、ポリウレタン溶液を得た。このポリウレタン溶液の原液安定性を評価したところ、Δηが210poiseであった。
この紡糸原液を、紡口口金を使用して紡口直下の加熱窒素ガス温度270℃の雰囲気下に吐出し、ゴデッドローラーと巻き取りボビン間のドラフト1.15の条件下で、巻き取り速度400m/分で、ジメチルシリコンを主成分とする油剤を付与した後、ボビンに巻き取り、620デシテックス(72フィラメント)のポリウレタン弾性繊維を得た。
このポリウレタン弾性繊維からなるギャザー部材を作製し、ギャザー部材の着用感を評価したところ、着脱性は◎、フィット性は○であった。また、ギャザー部材から抜き出したポリウレタン弾性繊維の物性を測定したところ、300%伸長回復繰り返し試験の繰り返し3回目の300%伸長時の応力が0.059cN/dt、200%応力保持率が89%、残留歪みが31%であった。
実施例1と同様の方法で以下の表1に示す原料及び仕込み比で製造したポリウレタン溶液を、実施例1と同様の方法で紡糸を行い、620デシテックス(72フィラメント)のポリウレタン弾性繊維を得た。さらに実施例1と同様に、ギャザー部材を作製し、ギャザー部材の着脱性、フィット性、ギャザーを構成する弾性繊維の物性評価、NMRによる分析を行った。結果を以下の表1、表2に示す。
2 送り出しロール
3 巻き取りロール
4 テンションメーター
5 送り出しロール
6 プレドラフトロール
7 巻き取りロール
8 観察部位
9 セラミックフックガイド
10 セラミックフックガイド
11 セラミックフックガイド
12 ベアリングフリーローラー
13 ベアリングフリーローラー
14 ベアリングフリーローラー
15 セラミックフックガイドにかかる糸条がなす角度=120°
16 セラミックフックガイドにかかる糸条がなす角度=120°
3≦Nmms≦35 …式(1)
を満たす、前記[1]に記載のギャザー部材。
実施例1と同様の方法で以下の表1に示す原料及び仕込み比で製造したポリウレタン溶液を、実施例1と同様の方法で紡糸を行い、620デシテックス(72フィラメント)のポリウレタン弾性繊維を得た。さらに実施例1と同様に、ギャザー部材を作製し、ギャザー部材の着脱性、フィット性、ギャザーを構成する弾性繊維の物性評価、NMRによる分析を行った。結果を以下の表1、表2に示す。
3.8≦Nmms≦35 …式(1)
を満たす、前記ギャザー部材。但し、前記弾性繊維のソフトセグメント部分の数平均分子量Msは、前記ポリアルキレンエーテルジオールと前記有機ジイソシアネートからなるポリウレタン弾性繊維のNMRスペクトル図において、両端がウレタン結合である有機ジイソシアネートのメチレン基のピーク(f1)と、一方がウレタン結合でもう一方がウレア結合である有機ジイソシアネートのメチレン基のピーク(f2)の積分曲線の高さをそれぞれF1、F2としたとき、以下の構造式:
m=2×(F1/F2) …式(9)
により求め、さらに、ソフトセグメント部分の数平均分子量Msとして下記式(10):
Ms=(Mdo+Mdi)×m+Mdo …式(10)
{式中、Mdo:ポリアルキレンエーテルジオールの数平均分子量、Mdi:有機ジイソシアネートの分子量、m:前記式(9)により求めた、前記構造式中のソフトセグメント部分の平均繰り返し数mである。}により求めたものであり、かつ、前記弾性繊維を構成するポリマーのソフトセグメント部分に含まれるポリアルキレンエーテルジオールの側鎖メチル基の平均個数Nmmsは、前記式(10)により求めたソフトセグメント部分の数平均分子量Msを、下記式(5):
Nmms=Nmd×{(Ms−Mdo)/(Mdo+Mdi)+1} …式(5)
{式中、Nmd:ポリアルキレンエーテルジオール1分子に含まれる側鎖メチル基の平均個数、Ms:ソフトセグメント部分の数平均分子量、Mdo:ポリアルキレンエーテルジオールの数平均分子量、Mdi:有機ジイソシアネートの分子量である。}に代入して求めたものである。
Claims (5)
- 弾性繊維が含有されたギャザー部材であって、該ギャザー部材を構成する該弾性繊維は、300%伸張回復繰り返し試験における繰り返し3回目の300%伸長時の応力(cN/dT)が0.050以上0.150以下であり、300%伸張回復繰り返し試験における繰り返し3回目の200%応力保持率(%)が65以上95以下であり、かつ、300%伸張回復繰り返し試験における繰り返し3回目後の残留歪み(%)が42以下であるものである前記ギャザー部材。
- 前記ギャザー部材を構成する弾性繊維が、ポリアルキレンエーテルジオール、有機ジイソシアネート化合物、並びにイソシアネート基と反応する活性水素原子含有化合物から得られるポリウレタン弾性繊維であり、該弾性繊維を構成するポリマーのソフトセグメント部分に含まれるポリアルキレンエーテルジオールの側鎖メチル基の平均個数Nmmsが、下記式(1):
3≦Nmms≦35 …式(1)
を満たす、請求項1に記載のギャザー部材。 - 前記ギャザー部材を構成するポリウレタン弾性繊維のソフトセグメント部分の数平均分子量Msが4800以上11000以下である、請求項2に記載のギャザー部材。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のギャザー部材を含む吸収性物品。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のギャザー部材を含む医療用資材。
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