JP2005281901A - ポリウレタン糸およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒートセット性及び耐熱性をともに優れ、脱着性、フィット性、外観品位、着用感、耐変色性などに優れた衣服などの製造に好適なポリウレタン弾性糸を提供する。併せて、その製造方法を提供する。
【解決手段】 主構成成分がポリオール、及びジイソシアネートであるポリウレタンからなる弾性糸であって、セルロースエステルおよび微粒子状無機物を含有するポリウレタン糸である。そのセルロースエステルとしては、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等が用いられる。主構成成分がポリオール及びジイソシアネートであるポリウレタンの溶液に、セルロースエステルおよび微粒子無機物を添加した後、紡糸することによりポリウレタン弾性糸を製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高ヒートセット性及び高耐熱性を有するポリウレタン弾性糸、およびその製造方法に関する。
弾性繊維は、その優れた伸縮特性からレッグウエア、インナーウエア、スポーツウエアなどの伸縮性衣料用途や産業資材用に幅広く使用されている。
かかる弾性繊維として、特にポリウレタン弾性糸には高ヒートセット性と高耐熱性とを有するものが求められている。例えば、ポリウレタン弾性糸を含有するストレッチ布帛を製造する場合、布帛寸法を出し、反物ならその端部の形状や外観を整えるために高ヒートセット性は重要である。さらに、過酷な染色加工や仕上げセット加工の工程を通過させる場合、特に加工温度の高いポリエチレンテレフタレート繊維と繰り返し同浴染色する場合、高い耐熱性は重要であり、かかる特性のポリウレタン弾性糸が求められている。
従来技術として、吸湿性や生分解性を具備したポリウレタン弾性糸を得るために、セルロースアセテートを含有させたポリウレタン紡糸原液から弾性糸を製造した後、アルカリ処理して弾性糸中のアセチルセルロースを十分に脱アセチル化する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この技術では吸湿性や生分解性の付与することはできても、高ヒートセット性や高耐熱性を得ることは困難である。
また、ヒートセット性を高めるために、ポリウレタン弾性糸にポリビニルピロリドンを含有させる技術が提案されているが(例えば、特許文献2参照)、この弾性糸は高耐熱性に関しては満足するものではない。
更には、艶消し剤として酸化チタン微粒子をポリウレタン弾性糸中に含有させることのように、各種の微粒子状無機物をポリウレタン弾性糸含有させる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この技術ではヒートセット性も耐熱性も高めることは困難である。
特開2000−303259号公報 特開平11−200147号公報 特開2002−363825号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決し、高ヒートセット性及び高耐熱性をともに有するポリウレタン弾性糸を提供すること、さらに、その製造方法を提供することを目的課題とする。
本発明のポリウレタン糸は、前記の目的課題を達成するため、以下の手段を採用する。
すなわち、主構成成分がポリオール及びジイソシアネートであるポリウレタンからなる弾性糸であって、かつ、セルロースエステルおよび微粒子状無機物を含有することを特徴とするポリウレタン糸である。
本発明のポリウレタン弾性糸は、ヒートセット性及び耐熱性がともに優れている。従って、この弾性糸を使用して衣服などを製造した場合、所望の寸法や外形に仕上げることが容易であり、しかも、加熱を伴う加工を行っても優れた弾性特性が保持され、この結果、脱着性、フィット性、外観品位、着用感、耐変色性などに優れた衣類製品等とすることができる。
以下本発明について、さらに詳細に述べる。
まず本発明で使用するポリウレタンについて述べる。
本発明に使用されるポリウレタンは、主構成成分がポリオール及びジイソシアネートである原料組成から重合されたポリウレタンであれば任意のものであってよく、特に限定されるものではない。また、その合成法も特に限定されるものではない。
すなわち、ポリオールとジイソシアネートと鎖伸長剤とから重合されるポリウレタンの場合、例えば、ポリオールとジイソシアネートとジアミンから重合されるポリウレタンウレアであってもよく、また、ポリオールとジイソシアネートとジオールから重合されるポリウレタンであってもよい。また、鎖伸長剤として、水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレアであってもよい。なお、本発明の効果を妨げない範囲で3官能性以上の多官能性のグライコールやイソシアネート等が使用されてもよい。
ここで、本発明で用いるポリウレタンを構成する代表的な重合原料構成成分について述べる。
ポリウレタンを構成する重合原料構成成分として、本発明で使用されるポリオールとしては、ポリエーテル系グリコール、ポリエステル系グリコール、ポリカーボネートジオール等が好ましい。そして、特に柔軟性、伸度を糸に付与する観点からポリエーテル系グリコールが使用されることが好ましい。
ポリエーテル系グリコールとしては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールの誘導体、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略す)、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)および3−メチルTHFの共重合体である変性PTMG(以下、3M−PTMGと略す)、THFおよび2,3−ジメチルTHFの共重合体である変性PTMG、特許第2615131号公報などに開示される側鎖を両側に有するポリオール、THFとエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドが不規則に配列したランダム共重合体等が好ましく使用される。これらポリエーテル系グリコールを1種または2種以上混合もしくは共重合して使用してもよい。
また、ポリウレタン糸における耐摩耗性や耐光性を高める観点からは、ブチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、特公平5−8728号公報などに開示されている側鎖を有するポリエステルポリオールなどのポリエステル系グリコールや、ポリカーボネートジオール等が好ましく使用される。
また、こうしたポリオールは単独で使用されてもよいし、2種以上混合もしくは共重合して使用されてもよい。本発明に使用されるポリオールの分子量は、糸にした際の伸度、強度、耐熱性などを所望水準とするために、数平均分子量が1000以上8000以下であることが好ましく、1800以上6000以下がより好ましい。この範囲の分子量のポリオールが使用されることにより、伸度、強度、弾性回復力、耐熱性が良好な弾性糸を得ることができる。
次に、ポリウレタンを構成する重合原料構成成分として、本発明で使用されるジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)、トリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが、特に耐熱性や強度の高いポリウレタンを合成するのに好適である。さらに脂環族ジイソシアネートとして、例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(以下、H12MDIと称する。)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,6−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ1,5−ナフタレンジイソシアネートなどが好ましい。脂肪族ジイソシアネートは、特にポリウレタン糸の黄変を抑制する際に有効に使用できる。そして、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
次に本発明のポリウレタンを製造する重合工程において、鎖伸長剤としては、低分子量ジアミンおよび低分子量ジオールのうち少なくとも1種以上を使用するのが好ましい。なお、エタノールアミンのような水酸基とアミノ基を分子中に有するものであってもよい。
好ましい低分子量ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p,p’−メチレンジアニリン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)フォスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらの中から1種または2種以上が使用されることが好ましい。特に好ましくはエチレンジアミンである。エチレンジアミンを用いることにより伸度および弾性回復性、さらに耐熱性に優れた糸を得ることができる。これらの鎖伸長剤に、架橋構造を形成することのできるトリアミン化合物、例えば、ジエチレントリアミン等を効果を失わない程度に加えてもよい。
また、低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、1−メチル−1,2−エタンジオールなどは代表的なものである。これらの中から1種または2種以上が使用されることが好ましい。特に好ましくはエチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオールである。これらを用いると、ジオール伸長のポリウレタンとしては耐熱性が高く、また、強度の高い糸を得ることができる。
また、本発明のポリウレタン弾性糸の分子量は、耐久性や強度の高い繊維を得る観点から、数平均分子量として40000以上150000以下の範囲であることが好ましい。なお、その数平均分子量はGPCで測定し、ポリスチレンにより換算した値である。
そして、本発明の弾性糸を構成するポリウレタンとして特に好ましいものは、工程通過性も含め、実用上の問題がなく、かつ、ヒートセット性が良好なものを得る観点から、ポリオールとジイソシアネートとジオールから重合されるポリウレタンであって、その高温側の融点が200℃以上260℃以下の範囲となるものである。ここで、高温側の融点とは、DSCでポリウレタン糸を測定した際のセカンドランの値をいい、ポリウレタンのいわゆるハードセグメントの融点が該当する。
具体的には、ポリオールとして分子量が1800以上6000以下の範囲にあるPTMGを用い、ジイソシアネートとしてMDIを用い、ジオールとしてエチレングライコール、1,3プロパンジオールおよび1,4ブタンジオールからなる群から選ばれた少なくとも1種を用いて合成されたポリウレタンであって、その高温側の融点が200℃以上260℃以下の範囲であるポリウレタンからなる弾性糸は、特に伸度が高くなり、さらに上記のように、工程通過性も含め、実用上の問題はなく、かつ、ヒートセット性が良好であるので好ましい。
なお、ポリウレタン糸の高温側の融点を200℃以上300℃以下にするための方法としては、事前のテストによって、ジイソシアネートとポリオールとジオールとの比率の最適値を選択する方法が好ましい。本発明で用いるポリウレタンの構成は好ましくはかかるものからなるものである。
本発明のポリウレタン弾性糸は、その糸中に、セルロースエステルおよび微粒子状無機物を含有するものである。ポリウレタン弾性糸中に、セルロースエステルおよび微粒子状無機物が含有されない場合、十分に高いヒートセット性と十分に高い耐熱性とを具備させることが困難である。
本発明で用いるセルロースエステルは、セルロースの3個の水酸基を酸類でエステル化した誘導体であり、硝酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、その他の高級脂肪酸とのエステル、または前述の酸類の内、2種以上の混合酸を用いた混合エステルが好ましい。さらに、良好な紡糸性を得る観点から、酸類として、炭素数2以上22以下の有機酸を主成分として含有する酸類でエステル化した誘導体がより好ましく、例えば、セルロースと酢酸から誘導されるセルロースアセテート、セルロースと酢酸および酪酸から誘導されるセルロースアセテートブチレート、セルロースと酢酸およびプロピオン酸から誘導されるセルロースアセテートプロピオネートが好ましく、さらには、セルロースアセテートプラスチックと呼ばれる酸−水酸基当量を調整して一部水酸基を残存させているセルロースアセテート系プラスチック、これにアジピン酸系可塑剤やフタル酸系可塑剤を任意の割合で含有させ、熱軟化点や溶融粘度を適度に調整したセルロースアセテート系プラスチック類も好ましく使用できる。
そして、ポリウレタン弾性糸中にセルロースエステルを含有させることにより、その高次加工工程におけるヒートセット性を一層高めるためには、含有させるセルロースエステルの熱軟化点が100℃以上200℃以下の範囲であることが好ましい。これは、ポリウレタン弾性糸およびその含有布帛の高次加工温度の領域、例えばテンターによるヒートセット温度やパンストヒートセット金型温度が110℃以上190℃以下にあるためである。
さらに、本発明で使用されるセルロースエステルは、ポリウレタンへの分散および溶解が速く、製造されるポリウレタン糸の特性を目標の水準とすることができ、紡糸工程で熱などを受けてもセルロースエステルが繊維外に散逸せず、さらに、ポリウレタン糸の変色が生じないという観点から、濃度5重量%のジメチルアセトアミド溶液とした際の20℃での粘度が200センチポイズ以上10000ポイズ以下の範囲であるものが好ましい。
本発明で用いる微粒子状無機物は、ポリウレタン弾性糸の紡糸工程や高次加工工程にて曝される加熱温度、即ち、約80℃以上、約300℃以下の温度範囲内にて特性変化のない無機微粒子であれば特に制限はなく、例えば、チタン化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、銅化合物、クロム化合物、コバルト化合物、スズ化合物、タングステン化合物、鉄化合物、銅化合物、鉛化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物、バリウム化合物、フッ素化合物、ホウ素化合物、珪素化合物、マグネシウム化合物そしてカーボンブラックなどの無機系化合物、そして、麦斑岩、角閃石、ルチル(rutile)、ゼオライト(zeolite)、ジルコン、ムライト、玉石類、トルマリン等の無機系天然鉱物などの微粒子が挙げられる。
中でも、ポリウレタン糸の原料紡糸液の粘度を安定化でき、原料紡糸液中へ良好に分散することができ、その結果、良好な紡糸性が得られるという観点から、酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化珪素等の金属酸化物や、上記のような無機系天然鉱物や、硫酸バリウム、炭酸バリウムの微粒子、カーボン微粒子(カーボンブラック)であることが好ましい。さらには、紡糸速度を上げ易いという観点から、二酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物の微粒子や、カーボンブラックがより好ましい。また、耐熱性向上の観点からは特にカーボンブラックが好ましい。これらの粉粒体を単体で、もしくは混合して使用することが可能である。
さらに、本発明の微粒子状無機物は、ポリウレタン中へ速く分散でき、製造されるポリウレタン糸の特性を目標の水準とすることができるという観点から、電子顕微鏡等の顕微鏡で測定される平均一次粒子径が0.01〜10μmであるものが好ましい。さらに良好なヒートセット性を得る観点から、0.01〜5μmがより好ましい。
本発明のポリウレタン糸中における微粒子状無機物の含有量は、高い耐熱性、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維と2回以上、繰り返し同浴染色が可能な耐熱性を得るという観点から、0.5重量%以上50重量%以下の範囲が好ましい。さらに、ポリウレタン糸の高温側融点をより高くするという観点から、2重量%以上50重量%以下の範囲が好ましい。さらに、良好な紡糸性を得る観点から、2重量%以上30重量%以下がより好ましい。この微粒子状無機物の添加により、ポリウレタン糸の高温側融点を10℃以上高めることも可能である。
また、用途に応じた適度なヒートセット性を有し、微粒子状無機物を多量に含有しても破断伸度を300%以上とでき、バランスの良い機械物性を有するという観点から、本発明のポリウレタン糸中におけるセルロースエステルの含有量は、1重量%以上50重量%以下の範囲が好ましい。ポリウレタン糸のヒートセット性をさらに良好にする観点から、2重量%以上30重量%以下の範囲がより好ましい。
さらには、共に含有する微粒子状無機物を良好に分散せしめる分散性と良好な紡糸性、例えば、凝集力が強い微粒子状無機物を多量に含有していても良好に分散し、紡糸の際に糸切れが発生せず紡糸安定性にすぐれるという観点から、セルロースエステルおよび微粒子状無機物の含有量の合計は、ポリウレタン糸に対し1重量%以上50重量%以下であることが好ましい。
なお、これらの含有量は、ポリウレタン糸の用途に応じて適宜決定すればよい。
本発明で使用されるポリウレタンは、さらに、末端封鎖剤が1種または2種以上混合使用されることも好ましい。末端封鎖剤として、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、イソペンチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミンなどのモノアミン、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノールなどのモノオール、フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネートなどが好ましい。
また、本発明において、ポリウレタンに各種安定剤や顔料などが含有されていてもよい。例えば、耐光剤や酸化防止剤などとして、2,6−ジ−tブチル−pクレゾール(BHT)や住友化学工業株式会社製の“スミライザーGA−80”などのヒンダードフェノール系薬剤、チバガイギー社製“チヌビン”などのベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系薬剤、住友化学工業株式会社製の“スミライザーP−16”などのリン系薬剤、各種のヒンダードアミン系薬剤、フッ素系またはシリコーン系樹脂粉体、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸、また、銀や亜鉛やこれらの化合物などを含む殺菌剤、消臭剤、またシリコーン、鉱物油などの滑剤、ベタインやリン酸系などの各種の帯電防止剤などが含まれることも好ましく、またこれらがポリマと反応させられることも好ましい。そして、特に光や各種の酸化窒素などへの耐久性をさらに高めるには、例えば、日本ヒドラジン株式会社製のHN−150などの酸化窒素補足剤、住友化学工業株式会社製の“スミライザーGA−80”などの熱酸化安定剤、住友化学工業株式会社製の“スミソーブ300♯622”などの光安定剤が使用されることも好ましい。
次に本発明のポリウレタン弾性糸の製造方法について説明する。
本発明法においては最初にポリウレタン溶液を作製するのが好ましい。ポリウレタン溶液を製造する方法、また、その溶液中の溶質であるポリウレタンを製造する方法は、溶融重合法でも溶液重合法のいずれであってもよく、他の方法であってもよい。しかし、より好ましいのは溶液重合法である。溶液重合法の場合には、ポリウレタンにゲルなどの異物の発生が少なく、紡糸しやすく、低繊度のポリウレタン糸を得やすい。また、当然のことであるが、溶液重合の場合、溶液にする操作が省けるという利点がある。
そして本発明法に特に好適なポリウレタンとしては、ポリオールとして分子量が1800以上6000以下のPTMGを用い、ジイソシアネートとしてMDIを用い、ジオールとしてエチレングライコール、1,3プロパンジオールおよび1,4ブタンジオールのうちの少なくとも1種を使用して合成され、かつ、高温側の融点が200℃以上260℃以下の範囲のものが挙げられる。
かかるポリウレタンは、例えば、ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)、DMF、DMSO、NMPなどやこれらを主成分とする溶剤の中で、上記の原料を用い合成することにより得られる。例えば、こうした溶剤中に、各原料を投入、溶解させ、適度な温度に加熱し反応させてポリウレタンとする、いわゆるワンショット法、また、ポリオールとジイソシアネートを、まず溶融反応させ、しかる後に、反応物を溶剤に溶解し、前述のジオールと反応させてポリウレタンとする方法などが、特に好適な方法として採用され得る。
鎖伸長剤にジオールを用いる場合、ポリウレタンの高温側の融点を200℃以上260℃以下の範囲に調節するための代表的な方法としては、ポリオール、MDI、ジオールの種類と比率をコントロールする方法がある。例えば、ポリオールの分子量が低い場合には、MDIの割合を相対的に多くすることにより、高温側の融点が高いポリウレタンを得ることができる。また、同様にジオールの分子量が低いときはポリオールの割合を相対的に少なくすることにより、高温側の融点が高いポリウレタンを得ることができる。
ポリオールの分子量が1800以上の場合、高温側の融点を200℃以上にするには、(MDIのモル数)/(ポリオールのモル数)=1.5以上の割合で、重合を進めることが好ましい。
なお、かかるポリウレタンの合成に際し、アミン系触媒や有機金属触媒等の触媒が1種もしくは2種以上混合して使用されることも好ましい。
アミン系触媒としては、例えば、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ビス−2−ジメチルアミノエチルエーテル、N,N,N’,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、N−(2−ジメチルアミノエチル)モルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、トリエタノールアミン等が挙げられる。
また、有機金属触媒としては、オクタン酸スズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸鉛ジブチル等が挙げられる。
こうして得られるポリウレタン溶液の濃度は、通常、30重量%以上80重量%以下の範囲が好ましい。
本発明法においては、かかるポリウレタン溶液にセルロースエステルおよび微粒子状無機物を添加する。セルロースエステルおよび微粒子状無機物をポリウレタン溶液へ添加する方法としては、任意の方法が採用できる。その代表的な方法としては、スタティックミキサーによる方法、攪拌による方法、ホモミキサーによる方法、2軸押し出し機を用いる方法など、各種の手段が採用できる。ここで、添加されるセルロースエステルおよび微粒子状無機物は、ポリウレタン溶液への均一な添加を行う観点から、溶液および分散液にした状態で添加することが好ましい。さらには、セルロースエステル溶液に微粒子状無機物を分散させたスラリーにして添加することがより好ましい。
なお、セルロースエステルおよび微粒子状無機物をポリウレタン溶液へ添加したとき、添加後の混合溶液の溶液粘度が添加前のポリウレタン溶液粘度に比べ高くなり過ぎる現象が発生する場合があるが、この現象を防止する観点からは、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、イソペンチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミンなどのモノアミン、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノールなどのモノオール、フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネートなどの末端封鎖剤を1種または2種以上混合させることが好ましい。
セルロースエステルおよび微粒子状無機物のポリウレタン溶液への添加の際に、前記した、例えば、耐光剤、耐酸化防止剤などの薬剤や顔料などを同時に添加してもよい。
本発明のポリウレタン糸の繊度、単糸数、断面形状などは特に限定されるものではない。例えば、糸は1単糸で構成されるモノフィラメントでもよく、また複数単糸で構成されるマルチフィラメントでもよい。糸の断面形状も円形でもよく、また扁平でもよい。
上記方法により製造された、セルロースエステルおよび微粒子状無機物が添加されたポリウレタン溶液を紡糸溶液として、通常の紡糸方法によってポリウレタン糸を製造する。この紡糸方法は乾式であることが好ましい。この乾式紡糸方式についても特に限定されるものではなく、任意の方法が適用できる。
本発明のポリウレタン糸のセット性と応力緩和特性は、特にゴデローラーと巻取機の速度比の影響を受けやすいので、糸の使用目的に応じてその速度比を適宜決定するのが好ましい。また、所望のセット性と応力緩和特性を有するポリウレタン糸を得る観点から、ゴデローラーと巻取機の速度比は、一般的に1.15以上1.65以下の範囲が好ましい。
そして、特に高いセット性と低い応力緩和特性を有するポリウレタン糸を得る際には、ゴデローラと巻取機の速度比は1.15以上1.4以下の範囲がより好ましく、1.15以上1.35以下の範囲がさらに好ましい。一方、低いセット性と高い応力緩和特性を有するポリウレタン糸を得る際には、ゴデローラーと巻取機の速度比は1.25以上1.65以下の範囲がより好ましく、1.35以上1.65以下の範囲がさらに好ましい。
また、紡糸速度を高くすることによってポリウレタン弾性糸の強度を向上させることができるので、450m/分以上の紡糸速度をとることが、実用上好適な強度水準とするために好ましい。さらに工業生産の点を考慮すると、450〜1000m/分程度が好ましい。
本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。
本発明におけるポリウレタン弾性糸のセット性、応力緩和、強度、伸度、ヒートセット性、熱軟化点の測定法を説明する。
[セット性、応力緩和、強度、伸度]
セット性、応力緩和、強度、伸度は、ポリウレタン糸を“インストロン”4502型引張試験機を用い、引張テストすることにより測定した。
試長5cm(L1)の試料を50cm/分の引張速度で300%伸長し回復させる操作を5回繰返した。このとき、5回目の300%伸長時の応力を(G1)とした。次に試料の長さを300%伸長のまま30秒間保持し、30秒間保持後の応力を(G2)とした。次に試料の伸長を回復せしめ応力が0になった際の試料の長さを(L2)とした。さらに6回目に試料が切断するまで伸長し、この破断時の応力を(G3)、破断時の試料長さを(L3)とした。以下、上記特性は下記式により算出される。
強度=(G3)
応力緩和=100×((G1)−(G2))/(G1)
セット性=100×((L2)−(L1))/(L1)
伸度=100×((L3)−(L1))/(L1)
[ヒート(熱)セット性]
ヒートセット性は、下記により測定した。
試料糸をフリーで100℃のスチームで10分間処理し、次にフリーで100℃の沸騰水で2時間処理し、一日、室温で乾燥した。つぎに試料糸(長さ=(L5))を150%伸長した(長さ=2.5×(L5))。この長さのまま115℃のスチームで、1分間処理した。さらに同長さで、120℃の乾熱処理を施し、さらに同長さで、1日室温で放置した。次に、試料糸の伸長状態をはずし、その長さ(L6)を測定した。ヒートセット性の値は下記式により算出される。
ヒートセット性=100×((L6)−(L5))/(L5)
[熱軟化点]
ポリウレタン糸の耐熱性の指標として熱軟化点を測定した。ポリウレタン糸について、レオメトリック社製の動的弾性率測定機RSAIIを用い、昇温速度10℃/分で、動的貯蔵弾性率E’の温度分散を測定した。熱軟化点は、E’曲線が80℃以上130℃以下のプラト領域での接線と、160℃以上にてE’が熱軟化により降下するE’曲線の接線との交点から求めた。
[平均粒子径]
スラリー中の微粒子の平均粒子径は、(株)堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置LA−500型を用いて測定した。また、微粒子状無機物の平均一次粒子径は、電子顕微鏡EF−SEM法を用いて測定した。
[ストレッチ布帛の外観品位]
ストレッチ布帛を、染色加工、乾燥、仕上げ剤処理、及び仕上げセットという一連の工程を2回繰り返し通過させた。ここで、染色加工は、カチオン染料、120℃の条件で行い、仕上げセットは、180℃、布速20m/min、セットゾーン24mの条件で行なった。
このように染色等の後加工を行なった後のストレッチ布帛の外観品位を、 主に生地の波打ちに注目して、生地を1.8kg/2インチの荷重下で伸長した状態で観察し、次の5段階に判定することにより評価した。
5級−波打ちが全くない。 4級−波打ちがあるがほとんど気にならない。 3級−やや波打ちが気になる。 2級−波打ちが気になる。 1級−波打ちがありウレタンが露出し品位が低い。
[実施例1]
分子量2900のPTMG、MDIおよびエチレングリコールからなるポリウレタン重合原料のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液A1とした。
次に、イーストマン社製セルロースエステル(商品名“テナイト”(登録商標)ブチレート、主成分セルロースアセテートブチレート、熱軟化点145℃)をDMAcに溶解してセルロースエステル溶液B1(35重量%)を調製した。次に、この溶液B1に対し、微粒子状無機物としてカーボンブラック(旭カーボン(株)製、平均一次粒子径が0.04μm)を、さらにDMAcを添加し、カーボンブラックとセルロースエステルを含有したスラリーC1を調製した。この調製は、水平ミル(WILLY A. BACHOFEN社製のDYNO-MIL KDL)に85%ジルコニアビーズを充填した装置を用い、20g/分の流速で混合する方法により、スラリー中の微粒子の平均粒子径が0.1〜1μmとなるように行った。得られたスラリーC1中には、カーボンブラック24.5重量%、セルロースエステル10.5重量%、(それら合計35重量%)が含有されていた。
また、米国特許第3555115号明細書に記載されているt−ブチルジエタノールアミンとメチレン−ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネ−ト)の反応によって生成せしめたポリウレタンと米国特許3553290号明細書に記載されているp−クレゾ−ルとジビニルベンゼンの縮合重合体の2対1(重量比)の混合物のDMAc溶液(35重量%)を調整し、この酸化防止剤を含む溶液を添加剤溶液D1(35重量%)とした。
ポリマ溶液A1、スラリーC1、及び添加剤溶液D1を、それぞれ90重量%、8重量%、2重量%の割合で均一に混合し、紡糸溶液E1とした。この紡糸溶液E1を、ゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取ることにより、ポリウレタン弾性糸(20dtex、モノフィラメント)の200g巻糸体を製造した。得られたポリウレタン弾性糸は、セルロースエステルおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ、2.4重量%および5.6重量%であった。
得られたポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、ヒートセット性および熱軟化点を測定し表1に示した。
このポリウレタン弾性糸は、比較例1(後述)との対比からわかるように、特に耐熱性の指標である熱軟化点が、微粒子状無機物とセルロースエステルとを配合したことにより20℃以上増大し、200℃を越えるものとなり、さらに、ヒートセット性も大幅に増大した。破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和も良好な水準であった。
また、得られたポリウレタン弾性糸を用いてストレッチ布帛を製作し、染色等の後加工を行い、その外観品位を評価した。
まず、得られたポリウレタン弾性糸を、カチオン可染ポリエステル糸(168dtex−48fil)でカバーリング加工した。その際のカバーリング機での条件を、ヨリ数=450t/m、ドラフト=3.0として得られたカバーリング糸をヨコ糸用とした。また、カバーリング機での条件を、ヨリ数700T/M、ドラフト=3.5として得られたカバーリング糸をタテ糸用とした。
次に、得られたカバーリング糸をそれぞれヨコ糸、タテ糸として用い、タテ糸を5100本(荒巻き整経1100本)で糊付け整経した後、レピアー織機を用いて2/1綾組織で製織した。次に、製織で得られた生機を常法に従い精練加工、中間セット(185℃)、減量加工を行なった。
得られたストレッチ布帛を染色等の後加工を行なった後に、その布帛の外観品位を評価したところ、比較例1(後述)との対比からわかるように、微粒子状無機物とセルロースエステルとを配合したことにより外観品位は5級と大幅に改善され、高ヒートセット性と繰り返し染色加工に耐える高耐熱性において格段に優れたストレッチ布帛であった。
[実施例2]
分子量1800のPTMG、MDI、エチレンジアミン、および末端封鎖剤としてのジエチルアミンからなるポリウレタンウレア重合原料のDMAc溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液A2とした。
次に、実施例1で調製したセルロースエステル溶液B1に対し、微粒子状無機物として酸化チタン微粒子(石原産業(株)製、商品名“タイペーク”(登録商標)PF−711)を、さらにDMAcを添加し、酸化チタン微粒子とセルロースエステルを含有したスラリーC2を調製した。この調製は、水平ミル(WILLY A. BACHOFEN社製のDYNO-MIL KDL)に85%ジルコニアビーズを充填した装置を用い、50g/分の流速で混合する方法により行った。得られたスラリーC2中には、酸化チタン31.5重量%、セルロースエステル3.5重量%、(それら合計35重量%)が含有されていた。
ポリマ溶液A2、スラリーC2、及び、実施例1で調製した添加剤溶液D1を、それぞれ、80重量%、18重量%、2重量%の割合で均一に混合し、紡糸溶液E2とした。この紡糸溶液E2を、ゴデローラーと巻取機の速度比を1.20として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取ることにより、ポリウレタン弾性糸(20dtex、マルチフィラメント(2fil))の500g巻糸体を製造した。得られたポリウレタン弾性糸は、セルロースエステルおよび酸化チタン微粒子の含有量がそれぞれ、1.8重量%および16.2重量%であった。
得られたポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、ヒートセット性および熱軟化点を測定し表1に示した。
このポリウレタン弾性糸は、比較例2(後述)との対比からわかるように、特にヒートセット性が、微粒子状無機物とセルロースエステルとを配合したことに比べ2倍以上に増大し、さらに、耐熱性の指標である熱軟化点も増大した。また、破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和も良好な水準で、破断強伸度は増大した。
また、得られたポリウレタン弾性糸を用いて、実施例1と同様にしてストレッチ布帛を製作し、染色等の後加工を行なった後に、その外観品位を評価したところ、比較例2(後述)との対比からわかるように、微粒子状無機物とセルロースエステルとを配合したことにより外観品位は5級と大幅に改善され、高ヒートセット性と繰り返し染色加工に耐える高耐熱性において格段に優れたストレッチ布帛であった。
[実施例3]
実施例1で調製したセルロースエステル溶液B1に対し、微粒子状無機物として酸化亜鉛微粒子(ニュージャージー・ジンク カンパニー社製、商品名“カドックス”(登録商標)−15)を、さらにDMAcを添加し、酸化亜鉛微粒子とセルロースエステルを含有したスラリーC3を調製した。この調製は、実施例2と同一方法で行った。得られたスラリーC3中には、(酸化亜鉛24.5重量%、セルロースエステル10.5重量%、(それら合計35重量%)が含有されていた。
実施例2で調製したポリマ溶液A2、スラリーC3、及び、実施例1で調製した添加剤溶液D1を、それぞれ、70重量%、28重量%、2重量%の割合で均一に混合し、紡糸溶液E3とした。この紡糸溶液E3を、ゴデローラーと巻取機の速度比を1.20として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取ることにより、ポリウレタン弾性糸(20dtex、マルチフィラメント(2fil))の500g巻糸体を製造した。得られたポリウレタン弾性糸は、セルロースエステルおよび酸化亜鉛微粒子の含有量がそれぞれ、8.4重量%および19.6重量%であった。
得られたポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、ヒートセット性および熱軟化点を測定し表1に示した。
このポリウレタン弾性糸は、比較例2(後述)との対比からわかるように、特にヒートセット性が、微粒子状無機物とセルロースエステルとを配合したことにより3倍以上に増大し、さらに、耐熱性の指標である熱軟化点が、30℃以上増大し、237℃と大幅に高くなった。破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和も良好な水準であった。
また、得られたポリウレタン弾性糸を用いて、実施例1と同様にしてストレッチ布帛を製作し、染色等の後加工を行なった後に、その外観品位を評価したところ、比較例2(後述)との対比からわかるように、微粒子状無機物とセルロースエステルとを配合したことにより外観品位は5級と大幅に改善され、高ヒートセット性と繰り返し染色加工に耐える高耐熱性において格段に優れたストレッチ布帛をであった。
[比較例1]
実施例1で調製したポリマ溶液A1、及び添加剤溶液D1を、それぞれ、98重量%、2重量%の割合で均一に混合し、紡糸溶液F1とした。この紡糸溶液F1を、ゴデローラーと巻取機の速度比を1.40として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取ることにより、18dtexのモノフィラメントのポリウレタン弾性糸を製造した。
得られたポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、ヒートセット性、および糸の熱軟化点を表1に併せて示した。
次に得られたポリウレタン弾性糸を用いて、実施例1と同様にしてストレッチ布帛を製作し、染色等の後加工を行なった後に、その外観品位を評価した。これの外観品位は1級であり、波打ちがある不満足な結果であった。
[比較例2]
実施例2で調製したポリマ溶液A2、及び実施例1で調整した添加剤溶液D1を、それぞれ、98重量%、2重量%の割合で均一に混合し、紡糸溶液F2とした。この紡糸溶液F2を、ゴデローラーと巻取機の速度比を1.20として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取ることにより、20dtexのマルチフィラメント(2fil)のポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を製造した。
得られたポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、ヒートセット性、および糸の熱軟化点を併せて表1に示した。
次に得られたポリウレタン弾性糸を用いて、実施例1と同様にしてストレッチ布帛を製作し、染色等の後加工を行なった後に、その外観品位を評価した。これの外観品位は2級であり、波打ちが気になる不満足な結果であった。
Figure 2005281901
本発明のポリウレタン弾性糸は、ヒートセット性及び耐熱性がともに優れているので、この弾性糸を使用して、脱着性、フィット性、外観品位、着用感、耐変色性などに優れた衣服等を製造することができる。
これらの優れた特性を有することから、本発明のポリウレタン糸は単独での使用はもとより、各種繊維との組み合わせにより、例えば、ソックス、ストッキング、丸編、トリコット、水着、スキーズボン、作業服、煙火服、洋服、ゴルフズボン、ウエットスーツ、ブラジャー、ガードル、手袋や靴下等の各種繊維製品の締め付け材料、紙おしめなどサニタニー品の漏れ防止用締め付け材料、防水資材の締め付け材料、似せ餌、造花、電気絶縁材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケットなど、種々の用途に使用することが可能である。

Claims (10)

  1. 主構成成分がポリオール及びジイソシアネートであるポリウレタンからなる弾性糸であって、セルロースエステルおよび微粒子状無機物を含有することを特徴とするポリウレタン糸。
  2. セルロースエステルが、炭素数2以上22以下の有機酸を含有する酸類とセルロースから誘導されたエステル化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン糸。
  3. セルロースエステルがセルロースアセテートブチレートを主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のポリウレタン糸。
  4. 微粒子状無機物の含有量が0.5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン糸。
  5. 微粒子状無機物の平均一次粒子径が0.01μm〜10μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン糸。
  6. 微粒子状無機物が金属酸化物微粒子及び/又はカーボン微粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン糸。
  7. セルロースエステルおよび微粒子状無機物の含有量の合計が1重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン糸。
  8. 主構成成分がポリオール及びジイソシアネートであるポリウレタンの溶液に、セルロースエステルおよび微粒子状無機物を添加した後、紡糸することを特徴とするポリウレタン糸の製造方法。
  9. 紡糸方法が乾式であることを特徴とする請求項8に記載のポリウレタン糸の製造方法。
  10. 紡糸速度が450m/分以上であることを特徴とする請求項8または9に記載のポリウレタン糸の製造方法。
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