JP2004232100A - 発熱性円環状織編物 - Google Patents
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Abstract
【課題】保温性があり、洗濯してもその性能が劣化することの無い、更にはムレ感が少ない円環状織編物を提供すること。
【解決手段】非弾性繊維と20℃×65%RHにおける吸湿率が0.5%以上、20℃×95%RHにおける吸湿率が1.5%以上であり、吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上である弾性繊維からなり、吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上であるヘアーバンド、リストバンド、アームバンド、レッグバンド、ウエストバンド、サポーター、腹巻、襟巻きなどに有用な円環状織編物。
【選択図】なし
【解決手段】非弾性繊維と20℃×65%RHにおける吸湿率が0.5%以上、20℃×95%RHにおける吸湿率が1.5%以上であり、吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上である弾性繊維からなり、吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上であるヘアーバンド、リストバンド、アームバンド、レッグバンド、ウエストバンド、サポーター、腹巻、襟巻きなどに有用な円環状織編物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保温性があり、更にはムレ感が少ない円環状織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の保温性を重視した円環状織編物として、ダブルニットなどの高次構造編地を用いたものが一般的に使用され、汗を各部分に使用されるものは綿等の吸水性に優れた繊維を主として用いたり、吸水拡散性に優れた異形断面の合成繊維に用いたりされ、保温性が必要とされる腹巻などの用途では毛やアクリルを用いたものが多い。最近では防臭・脱臭機能や湿度調節機能を目的として、竹炭を所定の形状に砕いて内部が中空で円環状の伸縮自在の織編物の中にいれた竹炭入りバンドが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしこれは竹炭が偏在しやすいため着用時に違和感を感じやすかったり、また使用を繰り返していくうちに竹炭が砕かれサイズが小さくなり、袋部の隙間からこぼれおち出すことがある。また遠赤外線波長領域で高い放射率を有するセラミック粒子をバインダーによって付着させた保温衣料が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしこれは洗濯を繰り返すことで固着されたセラミック粒子が脱落し、保温効果が低下するという問題がある。またそのようなセラミック微粒子を繊維に練りこむ場合には繊維を構成するポリマーとの比重差が大きいため、紡糸操業性が悪くなったり、品質が安定しないなどの問題が起こりやすい。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】
特開平11−61528号公報(請求項1など)
【特許文献2】
特開平11−269761号公報(請求項1など)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、保温性があり、洗濯してもその性能が劣化することの無い、更にはムレ感が少ない円環状織編物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1.非弾性繊維と弾性繊維からなり、吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上であることを特徴とする円環状織編物。
2.弾性繊維が20℃×65%RHにおける吸湿率が0.5%以上、20℃×95%RHにおける吸湿率が1.5%以上であることを特徴とする上記第1記載の円環状織編物。
3.弾性繊維の吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上であることを特徴とする上記第1又は第2記載の円環状織編物。
4.弾性繊維がアクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有する微粒子を0.2〜50重量%含有することを特徴とする上記第1から第3のいずれか記載の円環状織編物。
5.表面と裏面との二面構造または表面・中間・裏面の三面構造であることを特徴とする上記第1から第4のいずれか記載の円環状織編物。
6.裏面組織がパイル構造で構成されていることを特徴とする上記第1から第5のいずれか記載の円環状織編物。
7.裏面が表面よりも吸湿率が小さいことを特徴とする上記第1から第6のいずれか記載の円環状織編物。
8.円環状織編物がヘアーバンド、リストバンド、アームバンド、レッグバンド、ウエストバンド、サポーター、腹巻、襟巻きのいずれかであることを特徴とする上記第1から第7のいずれか記載の円環状織編物。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明者らは発熱性を有する弾性繊維を円環状織編物の少なくとも一部に用いることにより、保温性があり、更にはムレ感が少ない円環状織編物を発明するに至った。すなわち円環状織編物を構成する弾性繊維は布帛の表面に露出せず、内部に存在することが通常であるため、係る弾性繊維が発熱すれば布帛内部から発熱することとなり、発熱体を断熱材で覆うのと同様の効果を奏し、効果的に保温、蓄熱性が得られ、更には高い快適性をも得ることができることができる。布帛表面に露出する非弾性繊維に発熱性を付与した場合は、反人体側に露出した部分は冷却が早いため効率が悪く、また人体側の部分が発熱したときは快適性が低減するからである。
【0007】
円環状織編物を構成する弾性繊維は吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは2℃以上である。係る特性を有する弾性繊維は高い保温性を布帛に付与することができるからである。しかし20℃以上発熱すると皮膚接触時に不快に感じやすくなるため好ましくない。
【0008】
布帛特性としては吸湿時の布帛表面温度が1℃以上上昇することが好ましい。1℃以上上昇することで温度上昇効果を感じやすくなる。より好ましくは2℃以上であり、さらに好ましくは3℃以上である。しかし20℃以上発熱すると皮膚接触時に不快に感じやすくなるため好ましくない。
【0009】
更に円環状織編物を構成する弾性繊維は、上記の発熱性を有しかつ20℃×65%RHにおける吸湿率が0.5%以上、20℃×95%RHにおける吸湿率が1.5%以上であってもよい。ただ20℃×65%RH及び20℃×95%RHにおいて40%を超えると生地が重たくなってしまうため好ましくない。係る特徴を有する弾性繊維は、一定の保温性に加えて汗を効果的に吸収するため、体が温まり汗をかいても不快感を覚えることがなく、暖かく且つ蒸れないという高度な快適性を付与するものである。更に発汗後に汗が冷却されたときの冷え感を解消することもできる。
【0010】
円環状織編物を構成する弾性繊維は、アクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有する有機微粒子を含む弾性繊維であってもよい。
係る有機微粒子を含む弾性繊維は良好な発熱性及び吸湿性を両立させるからである。該有機微粒子は、エステルやナイロンの非弾性繊維に添加した場合に比して、ポリウレタン弾性繊維に付与した場合に顕著な発熱、吸湿性を示し、一方でポリウレタン弾性繊維の強伸度等の物性低下がごくわずかである。理由はわからないが、繊維表面にブリードアウトし易いためであると推測される。更に該有機微粒子は優れた抗菌性、消臭性をも示し、特に汗が付着しやすい部分であるリストバンド等に用いる場合には円環状織編物に付加的な価値を供するものである。
【0011】
本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維に添加することができる該有機微粒子として、ポリアクリル酸系ポリマー微粒子、ポリビニール系ポリマー微粒子、ポリアミド系ポリマー微粒子、ポリウレタン系ポリマー微粒子を使用することができ、また物性低下を防ぎ、紡糸操業性及び後加工通過性を良好とするために粒径が粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下であって、その含有量は繊維に対して0.2〜50重量%含有することが好ましい。この範囲より含有量が低ければ十分な効果が得られず、高ければ弾性繊維製造時の糸切れを誘発する等の不具合が生じるからである。これらの有機微粒子は無機微粒子に比べ比重が弾性繊維を構成するポリマーに近いため操業性への影響は少ない。
【0012】
本発明の円環状織編物は表面と裏面との二面構造または表面・中間・裏面の三面構造であることが好ましい。多層構造布帛とすることで人体より発する熱を逃がしにくくできる。
【0013】
本発明の円環状織編物は裏面組織がパイル構造で構成されていることが好ましい。パイル構造とすることで、空気層を形成し断熱性を高めることができ、保温性能の持続性も向上するためである。
【0014】
本発明の円環状織編物は裏面が表面よりも吸湿率が小さいことが好ましい。裏面を構成する繊維の吸湿率が低いことで人体の熱を奪いにくくなるためである。
しかし本発明の円環状織編物に用いている弾性繊維は吸湿性に優れるため、蒸れ感を感じることは無い。
【0015】
本発明の円環状織編物がヘアーバンド、リストバンド、アームバンド、レッグバンド、ウエストバンド、サポーター、腹巻、襟巻きであることが好ましい。これらの用途には本発明の円環状織編物が、保温性に優れていることから好ましく採用される。特に保温効果により血流が良くなることも有り、関節等のサポーターでは関節の痛みが軽減されることが予想され、傷口などの患部に装着すれば治療効果が増大することも予想できる。
【0016】
本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維とは、社会通念上ゴム弾性挙動を示すと認められる繊維をいい、例えば少なくとも50%以上伸張することができ、かつ20%以上の回復率を有する繊維などが挙げられる。
【0017】
本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維はポリウレタン弾性繊維であってもよい。該弾性繊維は特に優れた伸縮性を示し、更には本発明で用いることができる・発熱吸湿性有機微粒子の効果が顕著にあらわれるからである。
【0018】
本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維に用いることができるポリウレタン重合体は、ポリオールと過剰モルのジイソシアネート化合物からなる両末端がイソシアネート基である中間重合体を、N,N‘−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶剤に溶解し、ジアミン化合物を反応させて得るものであってもよい。
【0019】
上記ポリオールとしては特に制限はないが、例えばポリマージオールなどが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコールおよびポリオキシプロピレンテトラメチレングリコールなどのポリエーテルジオール、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸およびマロン酸などの二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコールおよびジエチレングリコールなどのグリコール一種または二種以上とから得られるポリエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンおよびポリバレロラクトンなどのポリラクトンジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどから選択することができる。
【0020】
ジイソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族および芳香族のジイソシアネート化合物であれば特に制限されない。例えば、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)、メチレン−ビス(3−メチル−4−フェニルイソシアネート)、1,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、m−およびp−キシリレンジイソシアネート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−および1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0021】
鎖延長剤としてのジアミン化合物は特に制限されるものではないが、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミンおよびヒドラジンなどが挙げられる。
【0022】
本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維はカバリング糸、複合弾性仮撚糸に用いてもよい。係る複合弾性糸は弾性繊維が被覆された状態となるため、長く、高い保温効果及び快適性を供することができるからである。
【0023】
本発明に係る弾性繊維の交編織素材は熱可塑性合成繊維、天然繊維、再生繊維の何れであってもよいが、熱可塑性合成繊維にあってはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維など、天然繊維においては綿、羊毛、再生繊維にあってはレーヨン繊維、アセテート繊維、ポリノジック繊維を採用することが望ましい。それらの繊維は遠赤外線放射性の微粒子を含有するものや、後加工で付着させたものであっても構わない。さらには吸湿発熱性繊維を一部に使用することも好ましく採用できる。
【0024】
相手素材と本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維を交編織する上で特に制約を受けるものではないが、例えば交織する場合は弾性繊維に相手素材を被覆する場合、ポリエステル繊維を弾性繊維にカバリングして経糸るいは緯糸に用いるのが一般的である。又、相手素材と交編する場合、直接相手素材と引き揃えてニットインすることも、カバリング糸でニットインすることも可能である。
【0025】
かかる方法にて得られた伸縮性編織物の染色加工については、生機、リラックス・精練、プレセット、染色、乾燥、風合処理、仕上げセットの一般的な加工工程の採用が可能である。
【0026】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。尚、測定方法、評価方法などは以下の通りである。
【0027】
(A)発熱性
弾性繊維を10g採取したサンプルを70℃×2時間乾燥後、シリカゲル入りデシケータ(デシケータ内は約5%RH)に入れ、32℃で24時間放置した。その後サンプルで温度センサー(例えば安立計器(株)製;540K MD−5型)を覆うようにセットし、32℃70%RHの環境下(例えば硫酸カリウム飽和水溶液デシケータ)での吸湿発熱性を温度記録計(例えば安立計器(株)製;DATA COLLECTOR AM−7052型)で計測した。
【0028】
(B)吸湿率
ポリウレタン系弾性繊維5gを石油エーテル100mlで洗浄した後、絶乾状態での重量W1(g)を測定する。20℃×65%RHの雰囲気下で24時間放置した後の重量W2(g)を測定し下記式(1)によって、20℃×65%RHにおける吸湿率を求める。
(1)20℃×65%RHにおける吸湿率(%)={(W2−W1)/W1}×100
更に、20℃×95%RHの雰囲気下で24時間放置した後の重量W3(g)を測定し、下記式(2)によって、20℃×95%RHにおける吸湿率を求める。
(2)20℃×95%RHにおける吸湿率(%)={(W3−W1)/W1}×100
【0029】
(C)膨潤度
高吸放湿性有機微粒子の膨潤度は下記式(3)によって求める。
(3)膨潤度(%)=〔{水中での完全膨潤時体積(cm3)−絶乾時体積(cm3)}/絶乾時体積(cm3)〕×100
【0030】
(D)布帛の発熱温度
布帛を70℃で2時間乾燥後シリカゲルを入れたデシケーター中で8時間以上調温後、32℃、70%RHに調整された雰囲気中で、サーモグラフィーで編地表面を5分間連続して表面温度を測定し、最大となる温度を計測し、32℃との差異を上昇温度とした。
【0031】
(実施例1)
分子量1800のポリオキシテトラメチレングリコール200部とメチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)45部を80℃で3時間反応させ、両末端イソシアネート基の中間重合体を得た。中間重合体を40℃まで冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド375部を加え10℃まで冷却した。エチレンジアミン4.0部、ジエチルアミン0.4部をN,N−ジメチルアセトアミド147.6部に溶解したジエチルアミン溶液を用意し、高速攪拌されている中間重合体溶液へジエチルアミン溶液を一気に添加し、溶液濃度32.2重量%、粘度2500ポイズ(30℃)のポリウレタン重合体溶液を得た。
【0032】
こうして得たポリウレタン重合体溶液に、n−ブチルアミン/N,N−ジメチルヒドラジン末端封鎖ポリマー4%、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物を添加混合する。
【0033】
引続き、アクリロニトリル450部、アクリル酸メチル40部、p−スチレンスルホン酸ソーダ16部及び水118部からなる原料微粒子水分散体をヒドラジン架橋し、NaOHにて加水分解処理した、平均粒径0.5μm(光散乱光度計で測定)、膨潤度80%の高吸放湿性有機微粒子(塩型カルボキシル基5.4mmol/g)を5重量%前記ポリウレタン重合体溶液に添加混合し紡糸原液とした。
【0034】
紡糸原液を脱法後、孔径0.5mmの口金から吐出し、235℃の加熱空気を流した紡糸筒内押し出し、油剤を5%OWF付与して速度550m/分で巻き取った。得られた糸条を40℃で72時間加熱処理し、後加工に供する22dtex、2フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。得られたポリウレタン弾性繊維の最大発熱量は3℃であり、20℃×65%RHにおける吸湿率は2.0%、20℃×95%RHにおける吸湿率は4.4%、であった。
【0035】
得られた弾性繊維を2本引き揃え44デシテックスの芯糸とし、78デシテックス24フィラメントのポリエステルフィラメントの仮撚り加工糸でカバリングしたカバリング糸を中間層の糸とした。
【0036】
表面の糸として167デシテックス72フィラメントのナイロン仮撚り加工糸を用い、裏面の糸として330デシテックス144フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を用い、裏面は高さ2mmのパイル構造とし、靴下編み機により三面パイル編の肘つきサポーターとした。サポータ布帛の温度上昇値は5.2℃であった。
【0037】
得られたサポーターを用い、20名の着用テストを冬季に実施した。その結果、被験者20名のうち、17名が暖かくかつ快適であるとの回答があった。
【0038】
(比較例1)
発熱吸湿性有機微粒子の添加量を0.1%とする以外は、実施例1と同様の方法でサポーターを得た。得られたポリウレタン弾性繊維の最大発熱量は0.6℃であり、20℃×65%RHにおける吸湿率は1.5%、20℃×95%RHにおける吸湿率は1.8%であった。サポータ布帛の温度上昇値は0.3℃であった。得られたサポーターを実施例1と同様に20名の着用した。
その結果、通常のサポーターと相違無いと回答したものが16名、若干暖かいが不十分と回答したものが4名であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、保温性が高く、洗濯してもその性能が劣化することの無い、更にはムレ感が少ない快適な円環状織編物を提供することが可能となった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、保温性があり、更にはムレ感が少ない円環状織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の保温性を重視した円環状織編物として、ダブルニットなどの高次構造編地を用いたものが一般的に使用され、汗を各部分に使用されるものは綿等の吸水性に優れた繊維を主として用いたり、吸水拡散性に優れた異形断面の合成繊維に用いたりされ、保温性が必要とされる腹巻などの用途では毛やアクリルを用いたものが多い。最近では防臭・脱臭機能や湿度調節機能を目的として、竹炭を所定の形状に砕いて内部が中空で円環状の伸縮自在の織編物の中にいれた竹炭入りバンドが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしこれは竹炭が偏在しやすいため着用時に違和感を感じやすかったり、また使用を繰り返していくうちに竹炭が砕かれサイズが小さくなり、袋部の隙間からこぼれおち出すことがある。また遠赤外線波長領域で高い放射率を有するセラミック粒子をバインダーによって付着させた保温衣料が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしこれは洗濯を繰り返すことで固着されたセラミック粒子が脱落し、保温効果が低下するという問題がある。またそのようなセラミック微粒子を繊維に練りこむ場合には繊維を構成するポリマーとの比重差が大きいため、紡糸操業性が悪くなったり、品質が安定しないなどの問題が起こりやすい。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】
特開平11−61528号公報(請求項1など)
【特許文献2】
特開平11−269761号公報(請求項1など)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、保温性があり、洗濯してもその性能が劣化することの無い、更にはムレ感が少ない円環状織編物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1.非弾性繊維と弾性繊維からなり、吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上であることを特徴とする円環状織編物。
2.弾性繊維が20℃×65%RHにおける吸湿率が0.5%以上、20℃×95%RHにおける吸湿率が1.5%以上であることを特徴とする上記第1記載の円環状織編物。
3.弾性繊維の吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上であることを特徴とする上記第1又は第2記載の円環状織編物。
4.弾性繊維がアクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有する微粒子を0.2〜50重量%含有することを特徴とする上記第1から第3のいずれか記載の円環状織編物。
5.表面と裏面との二面構造または表面・中間・裏面の三面構造であることを特徴とする上記第1から第4のいずれか記載の円環状織編物。
6.裏面組織がパイル構造で構成されていることを特徴とする上記第1から第5のいずれか記載の円環状織編物。
7.裏面が表面よりも吸湿率が小さいことを特徴とする上記第1から第6のいずれか記載の円環状織編物。
8.円環状織編物がヘアーバンド、リストバンド、アームバンド、レッグバンド、ウエストバンド、サポーター、腹巻、襟巻きのいずれかであることを特徴とする上記第1から第7のいずれか記載の円環状織編物。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明者らは発熱性を有する弾性繊維を円環状織編物の少なくとも一部に用いることにより、保温性があり、更にはムレ感が少ない円環状織編物を発明するに至った。すなわち円環状織編物を構成する弾性繊維は布帛の表面に露出せず、内部に存在することが通常であるため、係る弾性繊維が発熱すれば布帛内部から発熱することとなり、発熱体を断熱材で覆うのと同様の効果を奏し、効果的に保温、蓄熱性が得られ、更には高い快適性をも得ることができることができる。布帛表面に露出する非弾性繊維に発熱性を付与した場合は、反人体側に露出した部分は冷却が早いため効率が悪く、また人体側の部分が発熱したときは快適性が低減するからである。
【0007】
円環状織編物を構成する弾性繊維は吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは2℃以上である。係る特性を有する弾性繊維は高い保温性を布帛に付与することができるからである。しかし20℃以上発熱すると皮膚接触時に不快に感じやすくなるため好ましくない。
【0008】
布帛特性としては吸湿時の布帛表面温度が1℃以上上昇することが好ましい。1℃以上上昇することで温度上昇効果を感じやすくなる。より好ましくは2℃以上であり、さらに好ましくは3℃以上である。しかし20℃以上発熱すると皮膚接触時に不快に感じやすくなるため好ましくない。
【0009】
更に円環状織編物を構成する弾性繊維は、上記の発熱性を有しかつ20℃×65%RHにおける吸湿率が0.5%以上、20℃×95%RHにおける吸湿率が1.5%以上であってもよい。ただ20℃×65%RH及び20℃×95%RHにおいて40%を超えると生地が重たくなってしまうため好ましくない。係る特徴を有する弾性繊維は、一定の保温性に加えて汗を効果的に吸収するため、体が温まり汗をかいても不快感を覚えることがなく、暖かく且つ蒸れないという高度な快適性を付与するものである。更に発汗後に汗が冷却されたときの冷え感を解消することもできる。
【0010】
円環状織編物を構成する弾性繊維は、アクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有する有機微粒子を含む弾性繊維であってもよい。
係る有機微粒子を含む弾性繊維は良好な発熱性及び吸湿性を両立させるからである。該有機微粒子は、エステルやナイロンの非弾性繊維に添加した場合に比して、ポリウレタン弾性繊維に付与した場合に顕著な発熱、吸湿性を示し、一方でポリウレタン弾性繊維の強伸度等の物性低下がごくわずかである。理由はわからないが、繊維表面にブリードアウトし易いためであると推測される。更に該有機微粒子は優れた抗菌性、消臭性をも示し、特に汗が付着しやすい部分であるリストバンド等に用いる場合には円環状織編物に付加的な価値を供するものである。
【0011】
本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維に添加することができる該有機微粒子として、ポリアクリル酸系ポリマー微粒子、ポリビニール系ポリマー微粒子、ポリアミド系ポリマー微粒子、ポリウレタン系ポリマー微粒子を使用することができ、また物性低下を防ぎ、紡糸操業性及び後加工通過性を良好とするために粒径が粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下であって、その含有量は繊維に対して0.2〜50重量%含有することが好ましい。この範囲より含有量が低ければ十分な効果が得られず、高ければ弾性繊維製造時の糸切れを誘発する等の不具合が生じるからである。これらの有機微粒子は無機微粒子に比べ比重が弾性繊維を構成するポリマーに近いため操業性への影響は少ない。
【0012】
本発明の円環状織編物は表面と裏面との二面構造または表面・中間・裏面の三面構造であることが好ましい。多層構造布帛とすることで人体より発する熱を逃がしにくくできる。
【0013】
本発明の円環状織編物は裏面組織がパイル構造で構成されていることが好ましい。パイル構造とすることで、空気層を形成し断熱性を高めることができ、保温性能の持続性も向上するためである。
【0014】
本発明の円環状織編物は裏面が表面よりも吸湿率が小さいことが好ましい。裏面を構成する繊維の吸湿率が低いことで人体の熱を奪いにくくなるためである。
しかし本発明の円環状織編物に用いている弾性繊維は吸湿性に優れるため、蒸れ感を感じることは無い。
【0015】
本発明の円環状織編物がヘアーバンド、リストバンド、アームバンド、レッグバンド、ウエストバンド、サポーター、腹巻、襟巻きであることが好ましい。これらの用途には本発明の円環状織編物が、保温性に優れていることから好ましく採用される。特に保温効果により血流が良くなることも有り、関節等のサポーターでは関節の痛みが軽減されることが予想され、傷口などの患部に装着すれば治療効果が増大することも予想できる。
【0016】
本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維とは、社会通念上ゴム弾性挙動を示すと認められる繊維をいい、例えば少なくとも50%以上伸張することができ、かつ20%以上の回復率を有する繊維などが挙げられる。
【0017】
本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維はポリウレタン弾性繊維であってもよい。該弾性繊維は特に優れた伸縮性を示し、更には本発明で用いることができる・発熱吸湿性有機微粒子の効果が顕著にあらわれるからである。
【0018】
本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維に用いることができるポリウレタン重合体は、ポリオールと過剰モルのジイソシアネート化合物からなる両末端がイソシアネート基である中間重合体を、N,N‘−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶剤に溶解し、ジアミン化合物を反応させて得るものであってもよい。
【0019】
上記ポリオールとしては特に制限はないが、例えばポリマージオールなどが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコールおよびポリオキシプロピレンテトラメチレングリコールなどのポリエーテルジオール、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸およびマロン酸などの二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコールおよびジエチレングリコールなどのグリコール一種または二種以上とから得られるポリエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンおよびポリバレロラクトンなどのポリラクトンジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどから選択することができる。
【0020】
ジイソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族および芳香族のジイソシアネート化合物であれば特に制限されない。例えば、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)、メチレン−ビス(3−メチル−4−フェニルイソシアネート)、1,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、m−およびp−キシリレンジイソシアネート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−および1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0021】
鎖延長剤としてのジアミン化合物は特に制限されるものではないが、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミンおよびヒドラジンなどが挙げられる。
【0022】
本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維はカバリング糸、複合弾性仮撚糸に用いてもよい。係る複合弾性糸は弾性繊維が被覆された状態となるため、長く、高い保温効果及び快適性を供することができるからである。
【0023】
本発明に係る弾性繊維の交編織素材は熱可塑性合成繊維、天然繊維、再生繊維の何れであってもよいが、熱可塑性合成繊維にあってはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維など、天然繊維においては綿、羊毛、再生繊維にあってはレーヨン繊維、アセテート繊維、ポリノジック繊維を採用することが望ましい。それらの繊維は遠赤外線放射性の微粒子を含有するものや、後加工で付着させたものであっても構わない。さらには吸湿発熱性繊維を一部に使用することも好ましく採用できる。
【0024】
相手素材と本発明の円環状織編物を構成する弾性繊維を交編織する上で特に制約を受けるものではないが、例えば交織する場合は弾性繊維に相手素材を被覆する場合、ポリエステル繊維を弾性繊維にカバリングして経糸るいは緯糸に用いるのが一般的である。又、相手素材と交編する場合、直接相手素材と引き揃えてニットインすることも、カバリング糸でニットインすることも可能である。
【0025】
かかる方法にて得られた伸縮性編織物の染色加工については、生機、リラックス・精練、プレセット、染色、乾燥、風合処理、仕上げセットの一般的な加工工程の採用が可能である。
【0026】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。尚、測定方法、評価方法などは以下の通りである。
【0027】
(A)発熱性
弾性繊維を10g採取したサンプルを70℃×2時間乾燥後、シリカゲル入りデシケータ(デシケータ内は約5%RH)に入れ、32℃で24時間放置した。その後サンプルで温度センサー(例えば安立計器(株)製;540K MD−5型)を覆うようにセットし、32℃70%RHの環境下(例えば硫酸カリウム飽和水溶液デシケータ)での吸湿発熱性を温度記録計(例えば安立計器(株)製;DATA COLLECTOR AM−7052型)で計測した。
【0028】
(B)吸湿率
ポリウレタン系弾性繊維5gを石油エーテル100mlで洗浄した後、絶乾状態での重量W1(g)を測定する。20℃×65%RHの雰囲気下で24時間放置した後の重量W2(g)を測定し下記式(1)によって、20℃×65%RHにおける吸湿率を求める。
(1)20℃×65%RHにおける吸湿率(%)={(W2−W1)/W1}×100
更に、20℃×95%RHの雰囲気下で24時間放置した後の重量W3(g)を測定し、下記式(2)によって、20℃×95%RHにおける吸湿率を求める。
(2)20℃×95%RHにおける吸湿率(%)={(W3−W1)/W1}×100
【0029】
(C)膨潤度
高吸放湿性有機微粒子の膨潤度は下記式(3)によって求める。
(3)膨潤度(%)=〔{水中での完全膨潤時体積(cm3)−絶乾時体積(cm3)}/絶乾時体積(cm3)〕×100
【0030】
(D)布帛の発熱温度
布帛を70℃で2時間乾燥後シリカゲルを入れたデシケーター中で8時間以上調温後、32℃、70%RHに調整された雰囲気中で、サーモグラフィーで編地表面を5分間連続して表面温度を測定し、最大となる温度を計測し、32℃との差異を上昇温度とした。
【0031】
(実施例1)
分子量1800のポリオキシテトラメチレングリコール200部とメチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)45部を80℃で3時間反応させ、両末端イソシアネート基の中間重合体を得た。中間重合体を40℃まで冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド375部を加え10℃まで冷却した。エチレンジアミン4.0部、ジエチルアミン0.4部をN,N−ジメチルアセトアミド147.6部に溶解したジエチルアミン溶液を用意し、高速攪拌されている中間重合体溶液へジエチルアミン溶液を一気に添加し、溶液濃度32.2重量%、粘度2500ポイズ(30℃)のポリウレタン重合体溶液を得た。
【0032】
こうして得たポリウレタン重合体溶液に、n−ブチルアミン/N,N−ジメチルヒドラジン末端封鎖ポリマー4%、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物を添加混合する。
【0033】
引続き、アクリロニトリル450部、アクリル酸メチル40部、p−スチレンスルホン酸ソーダ16部及び水118部からなる原料微粒子水分散体をヒドラジン架橋し、NaOHにて加水分解処理した、平均粒径0.5μm(光散乱光度計で測定)、膨潤度80%の高吸放湿性有機微粒子(塩型カルボキシル基5.4mmol/g)を5重量%前記ポリウレタン重合体溶液に添加混合し紡糸原液とした。
【0034】
紡糸原液を脱法後、孔径0.5mmの口金から吐出し、235℃の加熱空気を流した紡糸筒内押し出し、油剤を5%OWF付与して速度550m/分で巻き取った。得られた糸条を40℃で72時間加熱処理し、後加工に供する22dtex、2フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。得られたポリウレタン弾性繊維の最大発熱量は3℃であり、20℃×65%RHにおける吸湿率は2.0%、20℃×95%RHにおける吸湿率は4.4%、であった。
【0035】
得られた弾性繊維を2本引き揃え44デシテックスの芯糸とし、78デシテックス24フィラメントのポリエステルフィラメントの仮撚り加工糸でカバリングしたカバリング糸を中間層の糸とした。
【0036】
表面の糸として167デシテックス72フィラメントのナイロン仮撚り加工糸を用い、裏面の糸として330デシテックス144フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を用い、裏面は高さ2mmのパイル構造とし、靴下編み機により三面パイル編の肘つきサポーターとした。サポータ布帛の温度上昇値は5.2℃であった。
【0037】
得られたサポーターを用い、20名の着用テストを冬季に実施した。その結果、被験者20名のうち、17名が暖かくかつ快適であるとの回答があった。
【0038】
(比較例1)
発熱吸湿性有機微粒子の添加量を0.1%とする以外は、実施例1と同様の方法でサポーターを得た。得られたポリウレタン弾性繊維の最大発熱量は0.6℃であり、20℃×65%RHにおける吸湿率は1.5%、20℃×95%RHにおける吸湿率は1.8%であった。サポータ布帛の温度上昇値は0.3℃であった。得られたサポーターを実施例1と同様に20名の着用した。
その結果、通常のサポーターと相違無いと回答したものが16名、若干暖かいが不十分と回答したものが4名であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、保温性が高く、洗濯してもその性能が劣化することの無い、更にはムレ感が少ない快適な円環状織編物を提供することが可能となった。
Claims (8)
- 非弾性繊維と弾性繊維からなり、吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上であることを特徴とする円環状織編物。
- 弾性繊維が20℃×65%RHにおける吸湿率が0.5%以上、20℃×95%RHにおける吸湿率が1.5%以上であることを特徴とする請求項1記載の円環状織編物。
- 弾性繊維の吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が1℃以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の円環状織編物。
- 弾性繊維がアクリロニトリルを50重量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有する微粒子を0.2〜50重量%含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の円環状織編物。
- 表面と裏面との二面構造または表面・中間・裏面の三面構造であることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の円環状織編物。
- 裏面組織がパイル構造で構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の円環状織編物。
- 裏面が表面よりも吸湿率が小さいことを特徴とする請求項1から6のいずれか記載の円環状織編物。
- 円環状織編物がヘアーバンド、リストバンド、アームバンド、レッグバンド、ウエストバンド、サポーター、腹巻、襟巻きのいずれかであることを特徴とする請求項1から7のいずれか記載の円環状織編物。
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