JP3838431B2 - 吸放湿性に優れた伸縮性編地およびそれを用いたインナーウェア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は吸湿性に優れ、吸湿時に加温効果があり、蒸れずに快適状態を保つ肌着などのインナーウェアに関し、更には抗菌、消臭効果も併せ持ち、洗濯耐久性にも優れた編地および該編地を少なくとも一部に使用してなるショーツ、ガードル、ブラジャーなどのインナーウェアに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維などの非伸縮性繊維とポリウレタン弾性糸からなる織編物は、ストレッチ性能に優れていることから、パンティストッキングやソックスの脚廻り、ブラジャー、ガードル、ボディスーツなどのファウンデーションや肌着、水着やレオタードなどのスポーツ衣料、スキーパンツ、ストレッチデニムなどの外衣などの他ストレッチ包帯、ストレッチのあるコルセット、ストレッチテープの基布、サポーター類の医療用途や、ストレッチブーツの基布等多岐の用途に使用されている。
【0003】
特に、婦人インナーウェア用途では適度の伸縮性と薄さから、ウレタン等の弾性糸とナイロンの複合編地が主流になりつつある。しかし、合成繊維特有の透湿性の悪さから蒸れ感が問題となり、蒸れ感を解消する手段として、ナイロン繊維の吸湿特性を改良した吸湿性ナイロン糸の利用するもの(例えば、特許文献1及び2)、吸湿性ポリウレタンを利用するもの(例えば、特許文献3)がある。
【0004】
肌着として要求される快適性は、湿度制御効果と保温性能で評価され、着用初期に自己発熱し、加温効果と発汗後の冷え感の抑制に効果があるものとして、アクリル系の吸湿発熱繊維が開示されている(例えば、特許文献4及び5)。しかし、得られる繊維が短繊維であり、機械的性能がやや劣ることから細い糸や薄地の編地を得ることが難しく、またウレタン系の弾性糸との複合で弾性糸とすることも可能であるが、審美性の欠如等の問題を抱えている。
また、アクリル系吸湿発熱性樹脂粒子を後加工で接着樹脂やグラフト重合でナイロンやポリエステル布帛表面に固着する方法が提案されている(例えば、特許文献6)が、吸湿粒子が表層糸にも存在し、吸湿時のべとつきの問題や洗濯耐久性に欠ける問題や風合いが硬化する問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−228155号公報(請求項1など)
【特許文献2】
特開平9−256278号公報(請求項1など)
【特許文献3】
特開2001−98423号公報(請求項1など)
【特許文献4】
特開平9−158040号公報(請求項1など)
【特許文献5】
特開2000−303353号公報(請求項1など)
【特許文献6】
特開2002−38375号公報(請求項1など)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、着用快適性、ファッション性、衛生性、耐久性、さらには肌への優しさを兼ね備えた編地及びインナーウェアを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題に対し鋭意検討の結果、本発明に到達した。即ち、本発明は以下の構成を採用するものである。
1.非弾性繊維と高吸放湿性有機微粒子を含有する弾性糸からなる伸縮性編地を少なくとも一部に有する編地であり、前記高吸放湿性有機微粒子が、アクリロニトリルを50質量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼンまたはトリアリルイソシアネート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであり、弾性糸が該高吸湿性有機微粒子を0.2〜50質量%含有し、該弾性糸が前記伸縮性編地の10質量%以上含有されてなり、吸湿時に昇温速度が5℃/分以上の加温効果を示し、放湿時に吸熱作用を示す編地であり、該編地の洗濯前と10回洗濯後との吸湿発熱温度の差が1℃未満であり、静菌活性値が1.6以上であり、アンモニア、酢酸、およびイソ吉草酸の臭気成分減少率がいずれも70%以上であることを特徴とする吸放湿性に優れた伸縮性編地。
2.非弾性繊維が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維から選ばれる1種以上の繊維である第1に記載の吸放湿性に優れた伸縮性編地。
3.弾性糸が、ポリウレタンのベア(裸)糸又はその複合弾性糸であることを特徴とする第1又は2に記載の吸放湿性に優れた伸縮性編地。
4.第1〜3のいずれかに記載の吸放湿性に優れた伸縮性編地を少なくとも一部に用いたことを特徴とするインナーウェア。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の編地の特徴は吸湿能があり、吸湿時に発熱、加温効果がある点にある。先ず本発明の着用時の温湿度変化について述べる。本発明における温湿度とは、肌着の編地の編み目内に包含する空気の温湿度を指し、この変化が快適性を左右する。着用中に運動等の刺激により体温が上昇すると、体温を冷却するために皮膚表面より汗が放出され、編地含有気相の温度、湿度ともに上昇し、不快感を感じることになる。この時編地に吸湿性があると、気相湿度が低く抑えることができ、不快の程度は低く抑えることができる。吸湿した水分は繊維表面から外部環境に放湿される。吸湿する時に発熱加温されると、気相中の水分量は同等で温度のみが上昇するため、相対的に湿度が低下し、皮膚からの発汗が促進され、結果として体温が低く抑えられる。この現象は肌着の吸湿平衡状態に達するまでの数分間続く。やがて吸湿量と放湿量が平衡に達し、加温効果が停止する。この時肌着の温度が下がり、平衡温度に達する。運動が停止され、発汗が停止すると、放湿のみが行われ、やがて、初期状態に戻る。
【0009】
本発明の編地に用いる弾性糸は、綿繊維や羊毛繊維に比べ、吸放湿速度が遅く吸湿到達レベルが高いことにあり、結果として発熱、放熱がマイルドで長時間継続することにあり、特に発汗停止後の繊維温度の低下速度が遅く、運動停止後の冷え感を抑止する効果がある。
【0010】
発明者らは弾性糸中の吸湿性微粒子濃度を変更することにより、吸湿時の加温効果を着用テストで体感できる加温効果を検討した結果、昇温速度が5℃/分以上の昇温能力が必要であることを確認した。好ましくは7℃/分以上である。外部環境にも左右され外温は低いほど昇温能力が高いことが望ましい。
なお、本発明における昇温速度は、実施例の段落0023に記載された「吸湿発熱特性の測定」によって、測定したものである。
【0011】
本発明で対象とする編地は、ポリウレタン弾性糸とポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、およびセルロース系繊維などの非弾性繊維からなる伸縮性編地を用いたものであるが細い原糸を用い、薄地で審美性に富む編地とするためにポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維のフィラメント糸が好ましい。編み組織は丸編みでは平編、両面編、リブ編、パール編やこれらの変化編地、経編ではトリコット編地、ラッセル編地などであって特に限定されるものではない。編組織としてはトリコット編地の場合 ハーフ編、逆ハーフ編、ダブルデンビー編、ダブルアトラス編、ラッセル編地ではパワーネット、ハーフパワーネット、サテンネット、トリコネットなどを例示することが出来る。
【0012】
ポリウレタン弾性糸と非弾性繊維は、カバリング糸や合撚糸、複合紡績糸等の複合糸として用いてもよく、また非弾性繊維とポリウレタン弾性糸のベア(裸)糸を交編することも可能である。必要により複合糸と非弾性糸との交編も可能である。加工費を低減することからベア糸での交編がより好ましい。また編地のゴム様触感や吸湿時のべたつき感を低減する意味から、編地の表層は非弾性繊維が覆うことが好ましい。この時、吸湿発熱、放湿、抗菌、消臭性能および編地の伸縮性能を充分発揮する意味で、弾性繊維の含有率は10質量%以上とする必要がある。好ましくは20〜50質量%である。50質量%を越えると経済性で不都合であるばかりか、ソフトさ、ふくらみ等の風合い低下をきたす。
【0013】
本発明の編地の初期と10回洗濯後の吸湿発熱特性の温度差は1℃未満であり、1℃未満であることは、洗濯耐久性があることを示し、10回の洗濯後も体感できる吸湿発熱特性を維持していることを意味する。
【0014】
本発明における弾性繊維に含まれる高吸湿性有機微粒子としては、架橋構造を有し、かつ親水性基を有する高吸湿性の有機性微粒子が好ましい。吸湿率(20℃、65%RH)は25%以上が好ましく、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。
【0015】
本発明における高吸湿性有機微粒子は、分子間架橋構造を有し、かつ親水性基を有すると、弾性樹脂との混和性に優れ、かつ高度に吸湿しても体積の変化が小さいが、吸湿によって体積が膨張しても弾性樹脂が体積膨張を吸収できるので安定な高吸湿性の弾性糸となる。
【0016】
高吸湿性有機微粒子中の親水性基としては、塩型カルボキシル基、塩型スルホン酸基、塩型リン酸基、塩型ホスホン酸基などであり、塩としては、Li、Na、Kなどのアルカリ金属、Mg、Ca、Baなどのアルカリ土類金属、Cu、Ag、Mnなどの他の金属、アンモニウム、アミンなどの有機陽イオンなどの塩であるが、酸型の基を塩型以外に含有していてもよい。
【0017】
本発明における高吸湿性有機微粒子としては、例えば、ポリアクリル酸系ポリマー微粒子、ポリビニル系ポリマー微粒子、ポリアミド系ポリマー微粒子、ポリウレタン系ポリマー微粒子などを使用することができるが、吸湿発熱性、消臭抗菌性等からポリクリル酸系ポリマー微粒子が特に好ましい。
【0018】
より具体的には、アクリロニトリルを50質量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼンまたはトリアリルイソシアネート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものが挙げられる。
【0019】
塩型カルボキシル基の有機微粒子中の量は、1.0mmol/g以上有することが好ましい。1.0mmol/g未満では吸湿性が不足することがある。好ましくは4.0〜10.0mmol/gである。また、架橋処理による窒素含有量の増加が抗菌性、消臭性能の向上に作用する。
【0020】
本発明における弾性繊維に添加するポリアクリル酸系ポリマー微粒子は、物性低下を防ぎ、紡糸操業性及び後加工通過性を良好とするために、粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下である。混和性及び紡糸性の点で更に好ましくは2μm以下である。
【0021】
該微粒子の弾性繊維中の含有量は、繊維に対して0.2〜50質量%であることが好ましい。この範囲より含有量が低ければ十分な効果が得られず、高ければ弾性繊維製造時の糸切れを誘発する等の不具合が生じることがある。
塩型カルボキシル基濃度(mmol/g)と粒子の含有量(質量%)の積が40から80であることが好ましい。
【0022】
本発明における弾性繊維とは、社会通念上ゴム弾性挙動を示すと認められる繊維をいい、例えば少なくとも50%以上伸張することができ、かつ20%以上の回復率を有する繊維などが挙げられる。
【0023】
本発明における弾性繊維はポリウレタン弾性繊維であってもよい。該弾性繊維は特に優れた伸縮性を示し、着用時に高伸長状態で利用でき、粒子表面に形成する弾性樹脂膜がより薄くなり高吸湿性有機微粒子の効果が顕著に現れる。
【0024】
本発明における弾性繊維に用いることができるポリウレタン重合体は、ポリオールと過剰モルのジイソシアネート化合物からなる両末端がイソシアネート基である中間重合体を、N,N'−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶剤に溶解し、ジアミン化合物を反応させて得るものであってもよい。
【0025】
上記ポリオールとしては特に制限はないが、例えばポリマージオールなどが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコールおよびポリオキシプロピレンテトラメチレングリコールなどのポリエーテルジオール、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸およびマロン酸などの二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコールおよびジエチレングリコールなどのグリコール一種または二種以上とから得られるポリエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンおよびポリバレロラクトンなどのポリラクトンジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどから選択することができる。
【0026】
ジイソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族および芳香族のジイソシアネート化合物であれば特に制限されない。例えば、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)、メチレン−ビス(3−メチル−4−フェニルイソシアネート)、1,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、m−およびp−キシリレンジイソシアネート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−および1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0027】
鎖延長剤としてのジアミン化合物は特に制限されるものではないが、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミンおよびヒドラジンなどが挙げられる。
【0028】
本発明の編地は、前記の弾性樹脂中に前記の高吸湿性有機微粒子を含有しているため、高伸縮性能や吸湿発熱、放湿吸熱、制電性能による着用快適性能に加え、消臭抗菌効果による衛生機能、pH緩衝性能による保湿機能を備えた多機能伸縮性編地とすることができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、単に部、%と記載されているものは、質量を基準とするものである。
【0030】
[吸湿発熱特性の測定]
吸湿性有機微粒子を含む弾性糸で構成される肌着の編地部分を70℃のタンブラー乾燥機で2時間乾燥後、シリカゲルの入ったデシケーターに入れ、32℃×70%RHの環境下で8時間以上調温する。その後、デシケーターから32℃×70%RHの環境下に取り出し、20秒間隔でサーモトレーサーで撮影し、編地表面の温度を計測する。このデーターより最高到達温度と時間を特定し、次式より昇温速度を算出する。
昇温速度={(最高到達温度)−(32℃)}/到達時間(分)
洗濯前後の吸湿発熱温度差は最高到達温度を比較した。
【0031】
[抗菌性能の測定]
試験菌を黄色ブドウ球菌として、繊維製品衛生加工協議会の定めるSEK統一試験法により試験し、静菌活性値で示した。この値が1.6以上で抗菌性能があると判定できる。
【0032】
[消臭性能の測定]
5リットルのテドラーバッグに所定濃度の臭気3リットルを弾性糸1g含む相当量の編地とともに封入し、室温下30分後の臭気成分減少率(%)をガステックス検知管で測定し、70%以上を合格とした。なお、臭気源別の臭気濃度は次のように設定した。
アンモニア;100ppm、酢酸;100ppm、イソ吉草酸;60ppm
測定は3回繰り返し、その平均値を用いた。
【0033】
[弾性糸の含有率の算出]
弾性糸及び非弾性糸の給糸速度と繊度より算出した。経編の場合は給糸速度に代えて、ランナー長を用いた。
弾性糸の含有率(質量%)=(弾性糸の給糸速度×繊度)÷{(弾性糸の給糸速度×繊度)+(非弾性糸の給糸速度×繊度)}×100
【0034】
実施例1
分子量1800のポリオキシテトラメチレングリコール200部とメチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)45部を80℃で3時間反応させ、両末端イソシアネート基の中間重合体を得た。中間重合体を40℃まで冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド375部を加え10℃まで冷却した。エチレンジアミン4.0部、ジエチルアミン0.4部をN,N'−ジメチルアセトアミド147.6部に溶解したジエチルアミン溶液を用意し、高速攪拌されている中間重合体溶液にジエチルアミン溶液を一気に添加し、溶液濃度32.2質量%、粘度2500ポイズ(30℃)のポリウレタン重合体溶液を得た。
得られたポリウレタン重合体溶液に、n−ブチルアミン/N,N'−ジメチルヒドラジン末端封鎖ポリマー4%、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物を添加混合した。
【0035】
引続き、ポリウレタン重合体溶液に、平均粒径0.5μm(光散乱光度計で測定)、膨潤度80%の高吸放湿性有機微粒子(アクリロニトリル、アクリル酸メチル及びp−スチレンスルホン酸ソーダを共重合した原料微粒子水分散体をヒドラジン架橋し、NaOHにて加水分解処理したもの。親水性基としてカルボン酸ソーダとスルホン酸ソーダを保有)を13質量%添加混合し紡糸原液とした。
【0036】
紡糸原液を脱法後、孔径0.5mmの口金から吐出し、235℃の加熱空気を流した紡糸筒内に押し出し、油剤を5%omf付与して速度550m/分で巻き取った。得られた糸条を40℃で72時間加熱処理し、44dtex、4フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0037】
得られたポリウレタン弾性糸44デシテックスの糸とナイロン6の56デシテックス−24フィラメントを組合せて福原精機社製丸編機(XL−3A/38インチ径・28ゲージ)を使用してベア天竺の生地を編成した。この生地に対して通常の染色仕上加工を施し、経密度100コース/2.54cm、緯密度54ウェール/2.54cmの生地を得た。この編地の弾性糸の含有率は24質量%であった。該生地を身生地に使用して肌着を作製した。この編地の性能を表1に示した。この肌着を10℃、40%RH環境下で着用し、歩行と安静座位を10分ずつ2回繰り返して評価した結果、暖かく、かつ蒸れることのない歩行時の着用感と歩行停止初期のひんやり感のない着用感と評価された。
【0038】
実施例2
実施例1で得られたポリウレタン弾性糸44デシテックスの糸とポリエステルの56デシテックス−24フィラメントを組合せて福原精機社製、丸編機(XL−3A/38インチ径・28ゲージ)で、ベア天竺生地を編成した。この生地に通常の染色仕上加工を施して、経密度100コース/2.54cm、緯密度54ウェール/2.54cmの生地を得た。この編地の弾性糸の含有率は28質量%であった。実施例1と同様に該生地を身生地に使用して肌着を作製した。この編地の性能を表1に示した。この肌着を10℃、40%RH環境下で着用し、歩行と安静座位を10分ずつ2回繰り返して評価した結果、暖かく、かつ蒸れることのない歩行時の着用感と歩行停止初期のひんやり感のない着用感とサラットした触感が評価された。
【0039】
実施例3
実施例1と同法で得られたポリウレタン弾性糸44デシテックスの糸とナイロン6の56デシテックス−12フィラメントを組合せて カールマイヤー社製トリコット編機(HKS2/180インチ幅・28ゲージ)を使用してハーフ組織ツーウェイトリコットの生地を編成した。この生地に対して通常の染色仕上加工を施し、経密度100コース/2.54cm、緯密度58ウェール/2.54cmの生地を得た。この編地の弾性糸の含有率は21質量%であった。該生地を身生地に使用してショーツを作製した。この編地の性能を表1に示した。このショーツを10℃、40%RH環境下で着用し、歩行と安静座位を10分ずつ2回繰り返して評価した結果、暖かく、かつ蒸れることのない歩行時の着用感と歩行停止初期のひんやり感のない着用感とサラットした触感が評価された。
【0040】
実施例4
実施例1と同法で得られたポリウレタン弾性糸22デシテックスの糸とナイロン6の33デシテックス−12フィラメントを組合せてカールマイヤー社製、トリコット編機(HKS2/180インチ幅・28ゲージ)で、ハーフ組織のツーウェイトリコット生地を編成した。この生地に染色仕上加工を施し、経密度110コース/2.54cm、緯密度57ウェール/2.54cmの生地を得た。この編地の弾性糸の含有率は17質量%であった。実施例3と同様に該生地を身生地に使用してショーツを作製した。
この編地の性能を表1に示した。このショーツを10℃、40%RH環境下で着用し、歩行と安静座位を10分ずつ2回繰り返して評価した結果、暖かく、かつ蒸れることのない歩行時の着用感と歩行停止初期のひんやり感のない着用感とサラットした触感が評価された。
【0041】
実施例5
実施例1と同法で得られたポリウレタン弾性糸235デシテックスの糸とナイロン6の55デシテックス−12フィラメントを組合せて カールマイヤー社製ラッセル編機(RSE−4N/130インチ幅・28ゲージ)を使用して4コース・トリコネット組織の生地を編成した。この生地に対して通常の染色仕上加工を施し、経密度118コース/2.54cm、緯密度39ウェール/2.54cmの生地を得た。この編地の弾性糸の含有率は22質量%であった。該編地を身生地に使用してガードルを作製した。この編地の性能を表1に示した。このガードルを10℃、40%RH環境下で着用し、歩行と安静座位を10分ずつ2回繰り返して評価した結果、暖かく、かつ蒸れることのない歩行時の着用感と歩行停止初期のひんやり感のない着用感とサラットした触感が評価された。
【0042】
実施例6
得られたポリウレタン弾性糸310デシテックスの糸とナイロン6の78デシテックス−24フィラメントを組合せて カールマイヤー社製ラッセル編機(RSE−4N/130インチ幅・28ゲージ)を使用して6コース・パワーネット組織の生地を編成した。この生地に対して通常の染色仕上加工を施し、経密度53コース/2.54cm、横密度33ウェール/2.54cmの生地を得た。この編地の弾性糸の含有率は25質量%であった。該生地をウイング部に使用したブラジャーの作製した。この編地の性能を表1に示した。このブラジャーを10℃、40%RH環境下で着用し、歩行と安静座位を10分ずつ2回繰り返して評価した結果、暖かく、かつ蒸れることのない歩行時の着用感と歩行停止初期のひんやり感のない着用感とサラットした触感が評価された。
【0043】
比較例1
高吸湿性有機微粒子を添加しないこと以外は実施例1と同法で得たポリウレタン弾性糸44デシテックスを用い、実施例1と同法で編地を得、実施例1と同様に該生地を身生地に使用して肌着を作製した。この編地の弾性糸の含有率は25質量%であった。この編地の性能を表1に示した。この肌着を10℃、40%RH環境下で着用し、歩行と安静座位を10分ずつ2回繰り返して評価した結果、歩行初期の寒さと後期の蒸れ感と歩行停止初期のひんやり感が不満足と評価された。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、吸湿性に優れるばかりか、吸湿初期に発熱加温効果があり、ウォーミング効果を増進させ、発汗停止後の急冷によるべとつき感もない快適性に富んだウォーミングアップスーツに最適な編地を提供でき、加えて、抗菌性、消臭性、pH緩衝性等の衛生機能や制電性能をも兼ね備えた高伸縮性編地を提供することができる。
Claims (4)
- 非弾性繊維と高吸放湿性有機微粒子を含有する弾性糸からなる伸縮性編地を少なくとも一部に有する編地であり、前記高吸放湿性有機微粒子が、アクリロニトリルを50質量%以上含むアクリロニトリル系重合体にヒドラジン、ジビニルベンゼンまたはトリアリルイソシアネート処理により架橋構造を導入し、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであり、弾性糸が該高吸湿性有機微粒子を0.2〜50質量%含有し、該弾性糸が前記伸縮性編地の10質量%以上含有されてなり、吸湿時に昇温速度が5℃/分以上の加温効果を示し、放湿時に吸熱作用を示す編地であり、該編地の洗濯前と10回洗濯後との吸湿発熱温度の差が1℃未満であり、静菌活性値が1.6以上であり、アンモニア、酢酸、およびイソ吉草酸の臭気成分減少率がいずれも70%以上であることを特徴とする吸放湿性に優れた伸縮性編地。
- 非弾性繊維が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維から選ばれる1種以上の繊維であることを特徴とする請求項1記載の吸放湿性に優れた伸縮性編地。
- 弾性糸が、ポリウレタンのベア(裸)糸又はその複合弾性糸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸放湿性に優れた伸縮性編地。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の吸放湿性に優れた伸縮性編地を少なくとも一部に用いたことを特徴とするインナーウェア。
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