JP3518213B2 - 自動車のトランクリッドヒンジ取付部構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自動車のトランクリ
ッドヒンジ取付部構造に関する。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】自動車にあってはその
後部の車体剛性を確保するために、リヤパーセルパネル
の後端部上にリヤウエストパネルを接合して車幅方向に
延在する閉断面部を形成し、リヤウエスト部分に車幅方
向の骨格構造を構成するようにしている。

【０００３】そして、トランクリッドヒンジのブラケッ
トを剛性の高い前記閉断面部の下側に締結固定して、該
トランクリッドヒンジの支持剛性を確保するようにして
いる（実開昭５８−２３７７８号公報参照）。

【０００４】ところが、このようにトランクリッドヒン
ジのブラケットをリヤウエスト部の閉断面部下側に固定
してあると、該ブラケットのヒンジアーム軸支点を中心
とするトランクリッド前端縁の回動軌跡半径が小さく制
約されることになり、この結果、トランクリッド前端縁
の両側コーナー部はトランクリッド全開時のリヤウイン
ドウパネルとの干渉回避のため、前方への回り込み形状
が小さく規制されてリヤウインドウ下側部周りの造形の
自由度が大きく制約されてしまう。

【０００５】そこで、本発明はトランクリッドヒンジの
支持剛性を損なうことなくトランクリッド前端縁の回動
軌跡半径を拡大できて、該トランクリッド前端縁の両側
コーナー部の前方への回り込み形状を大きくすることが
でき、リヤウインドウ下側部周りの造形の自由度を拡大
することができる自動車のトランクリッドヒンジ取付部
構造を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１にあっては、リ
ヤパーセルパネルの側部の上壁に、前壁に近接してトラ
ンクリッドヒンジのブラケットの膨出部を受容する第１
切欠部を形成すると共に、前壁にこの第１切欠部に連な
ってヒンジアームの前端部分を受容する第２切欠部を形
成し、これら第１切欠部から第２切欠部に亘って前記膨
出部とヒンジアームの前端部分とを挿入した状態でブラ
ケットを上壁の前壁寄りに締結固定し、かつ、前記第
１，第２切欠部周りに、これら第１，第２切欠部に略一
致する開口部を有するステイフナーを、前壁から上壁に
亘って接合配置したことを特徴としている。

【０００７】請求項２にあっては、請求項１に記載のス
テイフナーはその後端部にリヤパーセルパネル後端部の
車幅方向に延在する閉断面部に接合される延設部を備え
ていることを特徴としている。

【０００８】請求項３にあっては、請求項２に記載のス
テイフナーをリヤパーセルパネルの側部の前壁と上壁の
外面に接合してあると共に、延設部をリヤパーセルパネ
ル後端部の閉断面部の上壁を構成するリヤウエストパネ
ルの裏面に接合したことを特徴としている。

【０００９】請求項４にあっては、請求項２に記載のス
テイフナーをリヤパーセルパネルの側部の前壁と上壁の
裏面に接合してあると共に、延設部をリヤパーセルパネ
ル後端部の閉断面部の底部外面に沿って接合したことを
特徴としている。

【００１０】請求項５にあっては、請求項１〜４に記載
のステイフナーを側方に延出してリヤピラーインナに接
合したことを特徴としている。

【００１１】請求項６にあっては、請求項１〜５に記載
のステイフナーの開口部の下側縁には、ヒンジアームの
傾斜角度に合わせて前方へ向けて斜状に突出するフード
部を形成したことを特徴としている。

【００１２】

【発明の効果】請求項１によれば、リヤパーセルパネル
の側部の上壁と前壁に形成した第１切欠部から第２切欠
部に亘ってトランクリッドヒンジのブラケットの膨出部
とヒンジアームの前端部とを挿入して、該ブラケットを
上壁の前壁寄りに締結固定してあるため、該ブラケット
のヒンジアーム軸支点を中心とするトランクリッド前端
縁の回動軌跡半径を拡大することができ、従って、該ト
ランクリッド前端縁の両側コーナー部を全開時にリヤウ
インドウパネルと干渉することなく前方への回り込み形
状を大きくすることが可能となって、リヤウエスト部の
リヤウインドウ下側部周りの造形の自由度を拡大するこ
とができる。

【００１３】また、前記ブラケットは上壁の比較的面剛
性の高い前壁寄りに締結固定してあることと、該ブラケ
ット固定部分には前壁から上壁に亘ってステイフナーを
接合配置して補強してあることによってトランクリッド
ヒンジの支持剛性を十分に確保することができる。

【００１４】請求項２によれば、請求項１の効果に加え
て、ステイフナーの延設部をリヤウエスト部の車幅方向
骨格部材を構成する閉断面部に接合してあるため、トラ
ンクリッド開閉時の動荷重を該閉断面部に分散負担させ
ることができ、従って、トランクリッドヒンジの支持剛
性を一段と高めることができる。

【００１５】請求項３によれば、請求項２の効果に加え
て、ステイフナーをリヤパーセルパネルの側部の前壁と
上壁の外面に接合して、延設部を閉断面部の上壁を構成
するリヤウエストパネルの裏面に接合してあるため、ス
テイフナーを予めこのリヤウエストパネルに接合配置し
て、リヤウエストパネルのリヤパーセルパネル上への組
付工程でステイフナーをリヤパーセルパネルに接合する
ことができ、従って、組付作業性を向上することができ
る。

【００１６】請求項４によれば、請求項２の効果に加え
て、ステイフナーをリヤパーセルパネルの側部の前壁と
上壁の裏面に接合して、延設部を閉断面部の底部外面に
沿って接合してあるため、ステイフナーを予めリヤパー
セルパネルに接合配置しておくことができ、従って、組
付作業性を向上することができる。

【００１７】請求項５によれば、請求項１〜４の効果に
加えて、ステイフナーを側方に延出してリヤピラーイン
ナに接合してあるため、トランクリッド開閉時の動荷重
を車体後部の上下方向骨格部材であるリヤピラーに分散
負担させることができ、従って、トランクリッドヒンジ
の支持剛性をより一層高めることができる。

【００１８】請求項６によれば、請求項１〜５の効果に
加えて、ステイフナーの開口部の下側縁には、ヒンジア
ームの傾斜角度に合わせて前方へ向けて斜状に突出する
フード部を形成してあるため、ステイフナーの開口部の
実質開口面積をヒンジアームと干渉することなく極力小
さくして、開口部形成による強度低下を抑えることがで
きる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面と
共に詳述する。

【００２０】図１，２において、リヤパーセルパネル１
はパーセルセンタ１Ａとパーセルサイド１Ｂとを接合し
て形成され、パーセルサイド１Ｂの側縁に曲折成形した
フランジ１ａを介して後述するリヤピラーインナ２３に
接合固定するようにしている。

【００２１】リヤパーセルパネル１の後端部には凹部２
を車幅方向に形成してこの凹部２を塞ぐ形でリヤウエス
トパネル３を接合してある。

【００２２】リヤウエストパネル３には、リヤパーセル
パネル１の凹部２に対応して凸部４を車幅方向に形成し
てあり、これら凹部２と突部４とを向かい合わせて車幅
方向に延在する閉断面部５を形成して、リヤウエスト部
分に車幅方向の骨格構造を構成している。

【００２３】パーセルサイド１Ｂの側部の略前半部には
図外のリヤサスペンションのショックアブソーバを連結
支持する地上高の低い座部６を有段形成してある。

【００２４】このパーセルサイド１Ｂの側部の略後半部
の上壁７と前壁８との連設部分にトランクリッドヒンジ
９のブラケット１０を締結固定するようにしてある。

【００２５】トランクリッドヒンジ９は側面Ｕ字状のヒ
ンジアーム１１の後端部をトランクリッド１５に締結固
定してあり、該ヒンジアーム１１の前端末部をブラケッ
ト１０に形成した膨出部１２内で回動自在に軸支してあ
る。

【００２６】パーセルサイド１Ｂの上壁７には前壁８に
近接した部位に前記ブラケット１０の膨出部１２を受容
する第１切欠部１３を形成してあると共に、前壁８には
この第１切欠部１３に連なってヒンジアーム１１の前端
部を受容する第２切欠部１４を形成してある。

【００２７】そして、前記ブラケット１０の膨出部１２
とヒンジアーム１１の前端部とをこれら第１切欠部１３
から第２切欠部１４に亘って挿入し、ブラケット１０を
上壁７の下面側で可及的に前壁８に近接させた状態でボ
ルト・ナット１６により締結固定するようにしている。

【００２８】また、前記上壁７および前壁８には第１切
欠部１３および第２切欠部１４周りにステイフナー１７
を接合配置して補強してある。

【００２９】ステイフナー１７は略Ｌ字状断面に形成し
てあり、第１切欠部１３，第２切欠部１４に対応する部
分には、これら第１切欠部１３，第２切欠部１４に略一
致する開口部１８を形成してあると共に、開口部１８の
下側縁には第２切欠部１４に挿入されたヒンジアーム１
１の傾斜角度に合わせて前方へ向けて斜状に突出するフ
ード部１９を一体に絞り成形してある。

【００３０】この実施形態ではステイフナー１７はフー
ド１９を第２切欠部１４に挿入して車室側に突出させ
て、上壁７から前壁８の裏面に重合してスポット溶接に
より接合してある。

【００３１】また、このステイフナー１７はその後端部
に前記閉断面部５に接合される延設部２０を備え、本実
施形態では該延設部２０を閉断面部５の底部外面、即
ち、リヤパーセルパネル１の後端部の凹部２の外面に重
合してスポット溶接により接合してある。

【００３２】以上の実施形態の構造によれば、リヤパー
セルパネル１の側部の上壁７と前壁８に形成した第１切
欠部１３から第２切欠部１４に亘ってトランクリッドヒ
ンジ９のブラケット１０の膨出部１２とヒンジアーム１
１の前端部とを挿入して、該ブラケット１０を上壁７の
前壁８寄りに締結固定してあるため、該ブラケット１０
のヒンジアーム軸支点Ｐを中心とするトランクリッド１
５の前端縁の回動規跡半径Ｒを拡大することができる。

【００３３】このため、トランクリッド１５の前端縁の
両側コーナー部１５Ｃを全開時にリヤウインドウパネル
２１と干渉することなく前方への回り込み形状を大きく
することが可能となり、例えば、リヤウィンドウパネル
２１の下側部の両側コーナー部２１Ｃの曲率半径を図２
に示すように比較的大きく形成するのに伴って、トラン
クリッド１５の前端縁の両側コーナー部１５Ｃを該リヤ
ウインドウパネル２１の両側コーナー部２１Ｃの弯曲形
状に沿って前方へ大きく回り込む形状に形成することが
でき、従って、リヤウエスト部のリヤウィンドウ下側部
周りの造形の自由度を拡大することができる。

【００３４】また、ブラケット１０は上壁７の比較的面
剛性の高い前壁８に締結固定してあることと、該ブラケ
ット１０の固定部分には前壁８から上壁７に亘ってステ
イフナー１７を接合配置して補強してあることによっ
て、トランクリッドヒンジ９のブラケット１０を閉断面
部５の下側に締結固定した従来の構造のものと何等遜色
なく該トランクリッドヒンジ９の支持剛性を十分に確保
することができる。

【００３５】特に、本実施形態にあっては、ステイフナ
ー１７の後端部には延設部２０を形成して、該延設部２
０リヤウエスト部の車幅方向骨格部材である閉断面部５
の底部外面に沿って接合してあるため、トランクリッド
１５の開閉時の動荷重を該閉断面部５に分散負担させる
ことができ、従って、トランクリッドヒンジ９の支持剛
性を一段と高めることができる。

【００３６】また、ステイフナー１７は前壁８と上壁７
の裏面に接合すると共に、延設部２０を閉断面部５の底
部外面、即ち、リヤパーセルパネル１の後端部の凹部２
の外面に沿って接合してあるため、ステイフナー１７を
予めリヤパーセルパネル１に接合配置しておくことがで
き、従って、組付作業性を向上することができる。

【００３７】更に、ステイフナー１７の開口部１８の下
側縁には、ヒンジアーム１１の傾斜角度に合わせて前方
へ向けて斜状に突出するフード部１９を形成してあるた
め、該ステイフナー１７の開口部１８の実質開口面積を
ヒンジアーム１１と干渉することなく極力小さくして、
開口部１８の形成による強度低下を抑えることができ
る。

【００３８】図３は本発明の第２実施形態を示すもの
で、この実施形態にあってはステイフナー１７をリヤパ
ーセルパネル１の側部の前壁８と上壁７外面に接合して
あると共に、延設部２０を閉断面部５の上壁を構成する
リヤウエストパネル３の裏面に接合してあり、他の構成
については前記第１実施形態と同様であるので詳細な説
明は省略する。

【００３９】従って、この第２実施形態の構造によれ
ば、第１実施形態の効果に加えて、ステイフナー１７を
その延設部２０を介して予めリヤウエストパネル３に接
合配置しておいて、該リヤウエストパネル３のリヤパー
セルパネル１上への組付工程でステイフナー１７をリヤ
パーセルパネル１に接合することができるので、組付作
業性を向上することができる。

【００４０】また、延設部２０を閉断面部５内を上下に
２分するように接合配置することによって、該延設部２
０が閉断面部５内の横方向の補強リブとして機能して、
該閉断面部５の剛性、従って、車体後部の捩り剛性およ
び車幅方向剛性を高めることもできる。

【００４１】図４，５に示す第３実施形態にあっては、
第１実施形態におけるステイフナー１７を側方に延出し
て、その側縁フランジ２０ａを介してリヤピラーインナ
２３にスポット溶接により接合してある。

【００４２】従って、この第３実施形態の構造によれ
ば、前記第１実施形態の効果に加えて、トランクリッド
１５の開閉時の動荷重を車体後部の上下方向骨格部材で
あるリヤピラー２２に分散負担させることができるの
で、トランクリッドヒンジ９の支持剛性をより一層高め
ることができる。

【００４３】なお、図３に示した第２実施形態の構造に
おけるステイフナー１７をこの第３実施形態に示すよう
にリヤピラーインナ２３に連設するようにしてもよいこ
とは勿論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態を示す図２のＡ−Ａ線に
沿う断面図。

【図２】同実施形態の平面図。

【図３】本発明の第２実施形態を示す図１と同様の断面
図。

【図４】本発明の第３実施形態の要部を示す斜視図。

【図５】図４のＢ−Ｂ線に沿う断面図。

【符号の説明】

１ リヤパーセルパネル ３ リヤウエストパネル ５ 閉断面部 ７ 上壁 ８ 前壁 ９ トランクリッドヒンジ １０ ブラケット １１ ヒンジアーム １２ 膨出部 １３ 第１切欠部 １４ 第２切欠部 １７ ステイフナー １８ 開口部 １９ フード部 ２０ 延設部 ２３ リヤピラーインナ

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リヤパーセルパネルの側部の上壁に、前
   壁に近接してトランクリッドヒンジのブラケットの膨出
   部を受容する第１切欠部を形成すると共に、前壁にこの
   第１切欠部に連なってヒンジアームの前端部分を受容す
   る第２切欠部を形成し、これら第１切欠部から第２切欠
   部に亘って前記膨出部とヒンジアームの前端部分とを挿
   入した状態でブラケットを上壁の前壁寄りに締結固定
   し、かつ、前記第１，第２切欠部周りに、これら第１，
   第２切欠部に略一致する開口部を有するステイフナー
   を、前壁から上壁に亘って接合配置したことを特徴とす
   る自動車のトランクリッドヒンジ取付部構造。
2. 【請求項２】 ステイフナーはその後端部にリヤパーセ
   ルパネル後端部の車幅方向に延在する閉断面部に接合さ
   れる延設部を備えていることを特徴とする請求項１記載
   の自動車のトランクリッドヒンジ取付部構造。
3. 【請求項３】 ステイフナーをリヤパーセルパネルの側
   部の前壁と上壁の外面に接合してあると共に、延設部を
   リヤパーセルパネル後端部の閉断面部の上壁を構成する
   リヤウエストパネルの裏面に接合したことを特徴とする
   請求項２記載の自動車のトランクリッドヒンジ取付部構
   造。
4. 【請求項４】 ステイフナーをリヤパーセルパネルの側
   部の前壁と上壁の裏面に接合してあると共に、延設部を
   リヤパーセルパネル後端部の閉断面部の底部外面に沿っ
   て接合したことを特徴とする請求項２記載の自動車のト
   ランクリッドヒンジ取付部構造。
5. 【請求項５】 ステイフナーを側方に延出してリヤピラ
   ーインナに接合したことを特徴とする請求項１〜４の何
   れかに記載の自動車のトランクリッドヒンジ取付部構
   造。
6. 【請求項６】 ステイフナーの開口部の下側縁には、ヒ
   ンジアームの傾斜角度に合わせて前方へ向けて斜状に突
   出するフード部を形成したことを特徴とする請求項１〜
   ５の何れかに記載の自動車のトランクリッドヒンジ取付
   部構造。