JP3492421B2 - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

積層セラミック電子部品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、積層セラミック電子
部品の製造方法に関し、詳しくは、セラミックコンデン
サ、積層LC複合部品、積層圧電アクチュエータなどの
ように、セラミック中に内部電極が配設された構造を有
する積層セラミック電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】積層セラミックコンデンサなどの積層セ
ラミック電子部品の生産性の向上を図った製造方法の一
つに以下に説明するような製造方法がある。
【0003】この製造方法(積層セラミックコンデンサ
の製造方法)においては、 (1)まず、図8に示すように、複数の内部電極51が形
成されたセラミックグリーンシート52を積層するとと
もに、上下両面側に内部電極の形成されていないセラミ
ックグリーンシート53を積層し、これを圧着すること
により積層ブロック54を形成する。 (2)それから、この積層ブロック54を焼成した後、所
定の位置で、内部電極51が形成された面と略垂直の方
向にスライスして、複数枚の素子ブロック(複数の積層
セラミックコンデンサ素子を含むブロック)55を切り
出す(図9)。 (3)次に、この素子ブロック55の表裏両面に端子電極
(外部電極)56を塗布する(図10)。 (4)そして、この素子ブロック55を所定の位置で切断
する(図11(a))ことにより、図11(b)に示すよう
な、セラミック57中に内部電極51が垂直方向に配設
され、上下両面側に端子電極56が配設された積層セラ
ミックコンデンサ58を得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の製
造方法によれば、積層ブロック54を焼成する際に、積
層ブロック54の寸法が大きいために、脱バインダーや
セラミックの焼結にばらつきが生じやすく、得られる素
子の特性がばらつくという問題点がある。
【0005】この問題点を解決するために、積層ブロッ
ク54をスライスして、複数枚の素子ブロック55にし
てから焼成するという手順で製造する方法も考えられる
が、その場合、内部電極51とセラミックグリーンシー
ト52の焼結収縮量の差より、内部電極51が、素子ブ
ロック55の表面から後退して、端子電極(外部電極)
56とのコンタクト不良が発生しやすくなるという問題
点がある。
【0006】この発明は、上記問題点を解決するもので
あり、脱バインダーやセラミックの焼結にばらつきを生
じさせることなく、寸法の大きな積層ブロック(セラミ
ック積層体)を焼成して、効率よく確実に脱バインダー
及びセラミックの焼結を行なうことが可能で、量産性に
優れた積層セラミック電子部品の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の積層セラミック電子部品の製造方法は、
セラミック中に内部電極が埋設された構造を有する積層
セラミック電子部品の製造方法において、(a)所定の位
置に内部電極が配設されたセラミックグリーンシートを
複数枚積層して積層ブロックを形成する工程と、(b)前
記積層ブロックの、下記(d)の工程における切断位置の
少なくとも一部に、内部電極が形成された面と略垂直の
方向に、所定の幅と、少なくとも一部に内部電極が露出
する程度の深さを有する溝を形成することにより、それ
ぞれが複数の積層セラミック電子部品素子を含む複数の
素子ブロックが、前記溝を介して連結された状態の素子
ブロック連を形成する工程と、(c)前記素子ブロック連
を焼成する工程と、(d)焼成後の素子ブロック連の溝の
幅より厚みの大きい切断刃を用いて焼成後の素子ブロッ
ク連を所定の切断位置で切断し、切断位置に溝が形成さ
れている部分については、前記切断刃により溝の側面を
研削して内部電極を研削面に露出させつつ溝に沿って切
断することにより、各素子ブロックを切り離す工程と
(e)切り離された各素子ブロックの切断面に端子電極を
形成する工程とを具備することを特徴としている。
【0008】また、前記(b)の素子ブロック連を形成す
る工程において形成される溝の幅が0.1〜0.5mmの
範囲にあることを特徴としている。
【0009】さらに、前記(d)の素子ブロック連を切断
する工程において用いられる切断刃の厚みが、前記(c)
の焼成工程を経た後の素子ブロック連の溝の幅より0.
05〜0.3mm大きいことを特徴としている。
【0010】
【作用】積層ブロックの所定の位置(焼成後に切断する
位置の少なくとも一部)に、内部電極が形成された面と
略垂直の方向に、所定の幅と、少なくとも一部に内部電
極が露出する程度の深さを有する溝を形成することによ
り、それぞれが複数の積層セラミック電子部品素子を含
む複数の素子ブロックが、該溝を介して連結された状態
の素子ブロック連が形成される(このとき、各素子ブロ
ックに含まれる積層セラミック電子部品素子の所定の内
部電極が素子ブロックの所定の端面(溝の内壁面など)
に露出する)。
【0011】この素子ブロック連は、各素子ブロック間
に溝が形成されており、従来の、溝が形成されていない
積層ブロックに比べて表面積が大きいため、脱バインダ
ー時に発生する有機物の燃焼ガスの抜けやセラミックの
焼結時における雰囲気ガスとの交換が効率よく行なわ
れ、脱バインダーやセラミックの焼結がむらなく均一に
行なわれる。
【0012】一方、この焼結工程では、素子ブロックを
構成する内部電極とセラミックグリーンシートの焼結収
縮量の差より、内部電極が素子ブロックの端面(表面)
から後退するが、素子ブロック連の切断工程において、
溝の幅より厚みの大きい切断刃を用いて溝に沿って切断
する際に、溝の側面が研削され、内部電極が研削面に露
出する。したがって、内部電極を端子電極(外部電極)
などに確実に導通させることが可能になる。
【0013】また、素子ブロック連を形成する工程にお
いて、積層ブロックに形成する溝の幅を0.1〜0.5
mmとすることにより、各素子ブロックが溝により隔てら
れた表面積の大きい素子ブロック連を確実に形成するこ
とが可能になり、素子ブロック連の焼成工程において、
良好な脱バインダー及びセラミックの焼結を行なうこと
が可能になる。
【0014】なお、溝の幅を0.1〜0.5mmの範囲と
したのは、0.1mm未満では、脱バインダー時のガスの
抜けやセラミックの焼結などにむらが生じ、また、0.
5mmを越えても、脱バインダー時のガスの抜けやセラミ
ックの焼結などの効果に顕著な改善がみられなくなるば
かりでなく、素子ブロック連が大型化して材料の無駄が
増えるため、コストの増大を招くなどの問題点があるこ
とによる。また、溝の幅のさらに好ましい範囲は0.3
mm〜0.4mmの範囲である。
【0015】また、前記(d)の素子ブロック連を切断す
る工程において、その厚みが、焼成工程を経た後の素子
ブロック連の溝の幅より0.05〜0.3mm大きい切断
刃を用いることにより、前記溝の側面を確実に研削し
て、内部電極を研削面に露出させつつ溝に沿って素子ブ
ロック連を切断して、各素子ブロックを切り離すことが
できる。
【0016】なお、切断刃の厚みを焼成後の素子ブロッ
ク連の溝の幅より、0.05〜0.3mm大きい範囲とし
たのは、焼成後の溝の幅との差が0.05mm未満の場
合、内部電極を研削面に確実に露出させることができな
い場合があり、また、0.3mmを越えると、研削量が大
きくなり過ぎ、材料の無駄が増えてコストの増大を招く
などの問題点があることによる。また、切断刃の厚みの
さらに好ましい範囲は、焼成後の素子ブロック連の溝の
幅より、0.1〜0.2mm大きい範囲である。
【0017】
【実施例】以下、この発明の実施例を図に基づいて説明
する。なお、この実施例では、積層セラミックコンデン
サを製造する場合について説明する。
【0018】(1)まず、図1に示すように、複数の内部
電極1が形成されたセラミックグリーンシート2を積層
するとともに、上下両面側に内部電極の形成されていな
いセラミックグリーンシート3を積層し、これを圧着す
ることにより積層ブロック4を形成した(例えば、幅W
=50mm、高さH=4mm、長さL=50mm)。 (2)次いで、図2に示すように、この積層ブロック4の
所定の位置、すなわち、焼成後に切断すべき位置(カッ
トライン)Aに、厚みT1が0.3mmの刃(図示せず)
を用いて、幅W0が0.31mmの溝11を、内部電極が
形成された面と略垂直の方向に形成して、それぞれが複
数の積層セラミック電子部品素子を含む複数の素子ブロ
ック5が溝11を介して連結された状態の素子ブロック
連14を形成した。なお、溝11は、図2に示すよう
に、切断位置(カットライン)Aのすべてに形成しても
よく、また、図3に示すように、カットライン2〜数本
おきに形成してもよい。なお、溝11を形成するために
用いる刃としては、例えば、ダイヤモンドなどの砥粒を
結合剤で固めたダイシングブレードなどを用いることが
可能である。 (3)次に、この素子ブロック連14を所定の条件で焼成
した(例えば、1300℃×2hr)。 (4)それから、図4,図5(a),(b)に示すように、焼
成された素子ブロック連14を、焼成後の溝11の幅W
1(この実施例では、W1=0.25mm)より大きい厚み
2(この実施例では0.4mm)の切断刃9を用い、前
記溝11の側面を研削して内部電極1を研削面に露出さ
せつつ、溝11に沿って切断することにより各素子ブロ
ック5を切り離した。なお、切断刃9としては、例え
ば、ダイヤモンドなどの砥粒を結合剤で固めたダイシン
グブレードなどを用いることが可能である。 (5)次に、この素子ブロック5の表裏両面に端子電極
(外部電極)6を付与した(図6)。 (6)それから、この素子ブロック5を所定の位置で切断
した(図7(a))。
【0019】これにより、図7(b)に示すような、セラ
ミック7中に内部電極1が垂直方向に配設され、上下両
面側に端子電極6が配設された積層セラミックコンデン
サ8を得た。
【0020】上記実施例の方法によれば、素子ブロック
連14には溝11が形成されており、その表面積が大き
くなっているため、従来のように、溝が形成されていな
い積層ブロックのままで焼成する場合に比べて、脱バイ
ンダー時に発生する有機物の燃焼ガスの抜けやセラミッ
クの焼結時における雰囲気ガスとの交換が効率よく行な
われる。したがって、脱バインダーやセラミックの焼結
をむらなく均一に行なうことが可能になり、良好な焼結
体を得ることができる。
【0021】また、焼成された素子ブロック連14にお
いては、図5(a)に示すように、内部電極1とセラミッ
クグリーンシート2の焼結収縮量の差より、内部電極1
が素子ブロック5の端面(表面)から後退しているが、
図5(b)に示すように、素子ブロック連14の切断工程
において、焼成後の溝11の幅W1(0.25mm)より
厚みの大きい切断刃9(T2=0.4mm)を用いて溝1
1に沿って切断する際に、溝11の側面が研削され、内
部電極1が研削面に露出する。したがって、内部電極1
を端子電極(外部電極)6(図6,図7)などに確実に
導通させることが可能になる。
【0022】なお、この発明の積層セラミック電子部品
の製造方法においては、焼成後の素子ブロック連を切断
するために用いる切断刃として、その厚みが溝を形成す
る工程で用いられる刃の厚みと同じかまたはそれより大
きいものを用いることが好ましい。これは、上記のよう
な厚みを有する切断刃を用いることにより、焼成工程で
収縮して焼成前より幅の狭くなった溝11の側面を研削
して内部電極1を研削面に露出させつつ溝11に沿って
切断すること、すなわち、素子ブロック連14の切断と
内部電極1を露出させるための研削を同時に行なうこと
が可能になることによる。
【0023】なお、溝の幅が焼成工程において収縮する
割合を調べ、その結果から、内部電極を研削面に露出さ
せるのに必要な切断刃の厚みを決定することも可能であ
ることはいうまでもない。
【0024】また、上記実施例では、積層セラミックコ
ンデンサを製造する場合を例にとって説明したが、この
発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、LC複合
部品、積層型圧電アクチュエータなどのように、セラミ
ック中に内部電極が配設された構造を有する種々の積層
セラミック電子部品の製造方法に適用することが可能で
ある。
【0025】なお、その他の点においても、この発明は
上記実施例に限定されるものではなく、内部電極の配設
パターン、溝の形状、その配設数及び配設位置、あるい
は素子ブロック連の焼成条件などに関し、発明の要旨の
範囲内で種々の応用、変形を加えることができる。
【0026】
【発明の効果】上述のように、この発明の積層セラミッ
ク電子部品の製造方法は、積層ブロックの所定の位置
(切断位置の少なくとも一部)に、所定の幅と、少なく
とも一部に内部電極が露出する程度の深さを有する溝を
設けて素子ブロック連を形成し、表面積を大きくして焼
成するようにしているため、脱バインダー時に発生する
有機物の燃焼ガスの抜けやセラミックの焼結時の雰囲気
ガスとの交換を確実に行なわせることが可能になる。そ
の結果、均一で良好な脱バインダー及びセラミックの焼
結を行なうことが可能になるとともに、焼成時間を短縮
することが可能になる。
【0027】また、素子ブロック連の切断工程におい
て、溝の幅より厚みの大きい切断刃を用い、溝の側面を
研削して内部電極を研削面に露出させつつ溝に沿って切
することにより各素子ブロックを切り離した後、切り
離された各素子ブロックの切断面に端子電極を形成する
ことにより、内部電極を容易かつ確実に研削面に露出さ
せることが可能になるとともに、内部電極を端子電極
(外部電極)に確実に導通させることが可能になり、コ
ンタクト不良の発生を抑制、防止して信頼性を向上させ
ることが可能になる。
【0028】また、素子ブロック連を形成する工程にお
いて、積層ブロックに形成する溝の幅を0.1〜0.5
mmとすることにより、各素子ブロックが溝により隔てら
れた表面積の大きい素子ブロック連を確実に形成するこ
とが可能になり、素子ブロック連の焼成工程において、
良好な脱バインダー及びセラミックの焼結を行なうこと
が可能になる。
【0029】さらに、素子ブロック連を切断する工程に
おいて、その厚みが、焼成工程を経た後の素子ブロック
連の溝の幅より0.05〜0.3mm大きい切断刃を用い
ることにより、溝の側面を研削して内部電極を研削面に
露出させつつ、溝に沿って素子ブロック連を切断して、
各素子ブロックを切り離すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例において積層ブロックを形
成する工程を示す図である。
【図2】この発明の一実施例において積層ブロックに溝
を形成することにより素子ブロック連を形成する工程を
示す断面図である。
【図3】溝の形成態様の他の例を示す断面図である。
【図4】この発明の一実施例において形成された素子ブ
ロック連の切断工程を示す斜視図である。
【図5】(a)はこの発明の一実施例において形成された
素子ブロック連の溝が形成された部分の切断前の状態を
示す図であり、(b)は溝が形成された部分を切断する際
の状態を示す断面図である。
【図6】この発明の一実施例において形成された素子ブ
ロックに端子電極を塗布した状態を示す斜視図である。
【図7】(a)は図6の素子ブロックを切断することによ
り切り出された複数の積層セラミックコンデンサを示す
斜視図であり、(b)はそのうちの一つの積層セラミック
コンデンサの破断斜視図である。
【図8】従来の積層セラミック電子部品(積層セラミッ
クコンデンサ)の製造方法における積層ブロックの形成
工程を示す図である。
【図9】従来のセラミック電子部品の製造方法における
積層ブロックの切断工程を示す斜視図である。
【図10】従来のセラミック電子部品の製造方法におい
て形成された素子ブロックに端子電極を塗布した状態を
示す斜視図である。
【図11】(a)は図10の素子ブロックを切断すること
により切り出された複数の積層セラミックコンデンサを
示す斜視図であり、(b)はそのうちの一つの積層セラミ
ックコンデンサの破断斜視図である。
【符号の説明】
1 内部電極 2 セラミックグリーンシート 4 積層ブロック 5 素子ブロック 6 端子電極(外部電極) 7 セラミック 8 積層セラミックコンデンサ 9 切断刃 11 溝 14 素子ブロック連 W1 焼成後の溝の厚み T2 切断刃の厚み

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック中に内部電極が埋設された構
    造を有する積層セラミック電子部品の製造方法におい
    て、 (a)所定の位置に内部電極が配設されたセラミックグリ
    ーンシートを複数枚積層して積層ブロックを形成する工
    程と、 (b)前記積層ブロックの、下記(d)の工程における切断
    位置の少なくとも一部に、内部電極が形成された面と略
    垂直の方向に、所定の幅と、少なくとも一部に内部電極
    が露出する程度の深さを有する溝を形成することによ
    り、それぞれが複数の積層セラミック電子部品素子を含
    む複数の素子ブロックが、前記溝を介して連結された状
    態の素子ブロック連を形成する工程と、 (c)前記素子ブロック連を焼成する工程と、 (d)焼成後の素子ブロック連の溝の幅より厚みの大きい
    切断刃を用いて焼成後の素子ブロック連を所定の切断位
    置で切断し、切断位置に溝が形成されている部分につい
    ては、前記切断刃により溝の側面を研削して内部電極を
    研削面に露出させつつ溝に沿って切断することにより、
    各素子ブロックを切り離す工程と (e)切り離された各素子ブロックの切断面に端子電極を
    形成する工程と を具備することを特徴とする積層セラミ
    ック電子部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記(b)の素子ブロック連を形成する工
    程において形成される溝の幅が0.1〜0.5mmの範囲
    にあることを特徴とする請求項1記載の積層セラミック
    電子部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記(d)の素子ブロック連を切断する工
    程において用いられる切断刃の厚みが、前記(c)の焼成
    工程を経た後の素子ブロック連の溝の幅より0.05〜
    0.3mm大きいことを特徴とする請求項1記載の積層セ
    ラミック電子部品の製造方法。
JP14554394A 1994-06-02 1994-06-02 積層セラミック電子部品の製造方法 Expired - Lifetime JP3492421B2 (ja)

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