JP3489863B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3489863B2
JP3489863B2 JP01815594A JP1815594A JP3489863B2 JP 3489863 B2 JP3489863 B2 JP 3489863B2 JP 01815594 A JP01815594 A JP 01815594A JP 1815594 A JP1815594 A JP 1815594A JP 3489863 B2 JP3489863 B2 JP 3489863B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性層上に潤滑層を有す
る磁気記録媒体に関し、とくに磁性層上に形成した硬質
硬質炭素保護膜上に潤滑層を有する磁気記録媒体に関
し、特に走行性、耐久性および保存性に優れた強磁性金
属薄膜型磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープ、フロッピーディスク等の磁
気記録媒体の潤滑剤を磁性層表面に塗布することによっ
て、磁気記録媒体とヘッドとの間の潤滑性および走行耐
久性を改善することが行われている。強磁性金属薄膜型
磁気記録媒体は、磁気記録媒体の表面に金属層が形成さ
れており、金属表面に生の極めて薄い酸化物層でのみ保
護されているだけである。そこで、強磁性金属薄膜型磁
気記録媒体の走行性、耐久性、繰り返し使用での走行
性、保存性等を向上させる試みがなされている。更に、
カムコーダすなわちカメラ一体型ビデオテープレコーダ
や8ミリビデオのような小型のビデオテープレコーダは
戸外で使用されることが多く、磁気記録媒体には幅広い
環境条件での使用に耐える性能が必要とされている。
【0003】また、金属薄膜型磁気記録媒体は高密度記
録に有利であるため、今後の高精細度化、デジタル化等
の高密度記録システムへの応用が期待されている。一
方、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体にあっては、走行性
や耐久性を保証するだけではなく、保存性をも大幅に向
上できる潤滑層用素材の提供が求められている。強磁性
金属薄膜型磁気記録媒体は高密度記録化のために、媒体
表面を平滑化し、磁性層の組成をCoNi−O系からC
o−O系やCo−Oを含むCo−Fe等の高Bm化の方
向に改良が行われているが、これらのコバルトの含有割
合の多いものでは安定な走行性、耐久性、耐食性を得る
ことが困難であった。
【0004】そこで、磁性層表面に各種の保護膜を形成
することが試みられており、とくに磁性層上にダイヤモ
ンド状炭素膜等の耐磨耗性に優れる硬質炭素保護膜を用
いた場合には、耐久性の向上効果が著しいが、硬質炭素
保護膜は保護膜自体は潤滑性に乏しいために、保護膜上
に潤滑剤を付与し、摩擦特性を改善しなければ繰り返し
走行によって摩擦力が増大し、硬質炭素保護膜と磁性層
界面や磁性層内部で保護膜が破断してしまうため走行耐
久性は向上できないという問題があった。
【0005】また、一般には硬質炭素保護膜はコバルト
系磁性層と比較すると表面の親水性が著しく低いため、
従来から知られている一般的な親水性極性基を有する潤
滑剤を付与した場合、潤滑剤の吸着量は少ないために、
良好な潤滑を行うことが困難であった。そこで、硬質炭
素保護膜への吸着特性が優れた潤滑剤の検討が行われて
いる。例えば、特開平5−151559号公報には、炭
素保護膜上に長鎖アルキルシラン化合物層を形成した磁
気記録媒体が記載されており、特開平5−33456号
公報には、硬質炭素層とポリパーフルオロアルキルエー
テル等のフッ素潤滑層を形成した磁気記録媒体が記載さ
れており、特開平2−108218号公報には、炭素保
護膜上に炭素数8以上の飽和または不飽和の脂肪族炭化
水素末端基と炭素数3以上のフッ素化炭化水素末端基と
を各々1個以上と極性基とを有する潤滑剤層を形成した
磁気記録媒体が記載されており、特開平2−26501
7号公報には、炭素保護膜上に部分フッ素化アルキルア
ミン吸着層を介して部分フッ素化アルキル系潤滑剤層を
形成した磁気記録媒体が記載されており、特開平5−1
43975号公報には、炭素保護膜上にカルボキシル基
を有するパーフルオロポリエーテルのアミン塩化合物を
潤滑剤とした磁気記録媒体が記載されており、さらに特
開昭59−119537号公報には、リン酸エステルか
らなる潤滑層を形成した磁気記録媒体が記載されてい
る。ところが、これらの磁気記録媒体は、摩擦係数の低
減効果は不十分であり、スチル耐久性、繰り返し走行耐
久性等の走行耐久性の面で充分な特性のものではなく、
硬質硬質炭素保護膜にピンホールが存在する場合には耐
食性、とくに腐食性気体に対する耐食性には問題があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、スチル耐久
性、繰り返し走行耐久性および保存性に優れるとともに
高密度の磁気記録が可能な磁気記録媒体を提供するもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性支持体
上に強磁性金属薄膜からなる磁性層を有する磁気記録媒
体において、強磁性金属薄膜上にはダイヤモンド状炭素
膜があり、さらにその上にはリン酸モノエステルが存在
している磁気記録媒体である。また、前記の硬質炭素保
護膜がプラズマCVDによって作製したダイヤモンド状
炭素膜である磁気記録媒体である。また、本発明の磁気
記録媒体に用いるリン酸モノエステル化合物は、下記の
一般式で示される化合物である。 R1 −OPO(OH)2 ただし、R1 は炭素数8〜26の炭化水素基であり、好
ましくは8〜20であり、とくに好ましくは10〜18
である。また、アルキル基の一部または全部がフッ素化
されていても良い。
【0008】本発明の磁気記録媒体において、リン酸モ
ノエステル化合物は、硬質炭素保護膜上に吸着する量が
比較的少なくとも、摩擦特性、耐磨耗特性を著しく改善
し、低温、低湿の環境においてもその効果を維持するこ
とができる。このために、とくに硬質炭素保護膜形成時
の下地処理や硬質炭素保護膜の表面処理または潤滑剤塗
布後の後処理を行わなくとも、硬質炭素保護膜の耐磨耗
性が十分に発揮され、走行耐久性に優れる磁気記録媒体
が得られる。
【0009】また、このような硬質炭素保護膜はプラズ
マCVD、スパッタリング等の薄膜形成手段によって形
成している薄膜であるのでピンホールが生じることがあ
るが、本発明の磁気記録媒体は硬質炭素保護膜がピンホ
ールを有していても耐食性に優れたリン酸モノエステル
からなる潤滑層を有しているので、腐食性気体に対する
防錆機能に優れている。
【0010】リン酸モノエステル化合物の疎水鎖として
は、飽和炭化水素基または飽和炭化水素の一部もしくは
全部の水素をフッ素で置換したものが好ましいが、不飽
和炭化水素基や側鎖が導入された枝分かれ構造の炭化水
素基でも良い。また、飽和炭化水素鎖の長さは、主鎖の
炭素数は8〜26であり、好ましくは8〜20であり、
更に好ましくは炭素数が10〜18である。本発明の磁
気記録媒体におけるリン酸モノエステル化合物として
は、C1225OPO32、C1633OPO32、C8
17OPO32、C1837OPO32、C1835OPO3
2、C1837OPO32、C817CH2CH2OPO3
2等を挙げることができる。炭素数が少ないと、良好
な保護効果が得られず、逆に余り多くなると結晶性が高
まり、塗布適性が低下し潤滑効果が低下するので好まし
くない。また、リン酸モノエステルにリン酸ジエステル
が混入しても良い。その際リン酸ジエステルは多くとも
リン酸モノエステルの50重量%、望ましくは30重量
%に抑えるべきである。リン酸ジエステルの割合があま
り多くなると本願発明の目的が充分に達成できなくな
る。
【0011】リン酸モノアルキルエステルからなる潤滑
剤の塗布量は、0.5〜30mg/m2 であることが好
ましく、とくに好ましくは1〜10mg/m2 である。
潤滑剤の存在量がこれよりも少ないと潤滑効果が得られ
ず好ましくない。またこれよりも多いと非吸着成分が増
大し、静止摩擦係数が上昇するために好ましくない。リ
ン酸モノアルキルエステルを硬質炭素保護膜上に塗布す
るには、リン酸モノアルキルエステルを有機溶剤に溶解
した溶液をグラビア法、ワイヤーバー法、コイルバー
法、スプレー法等によって塗布する方法や真空蒸着法、
バックコート層の組成物中に添加してバックコート層か
ら転写する方法等が挙げられる。また、リン酸モノエス
テルの吸着量を増加させる目的でリン酸モノエステルを
塗布した後、磁気記録媒体を加熱もしくは紫外線照射等
の手法によって後処理を行っても良い。
【0012】強磁性金属薄膜型磁気記録媒体は、その表
面もしくは内部に設ける潤滑剤を保持できる量が少ない
ので予め潤滑剤をバックコート層中に含有させておくこ
とにより、不足する潤滑剤をバックコート層側から供給
することができるので有利である。すなわち、テープ状
の磁気記録媒体が巻き取られた状態でバックコート層と
磁性層とが接することにより潤滑剤が磁性層へ補給され
る。
【0013】バックコート層中へ混合、またはその表面
へ塗布するリン酸モノエステルの存在量は1〜30mg
/m2 、望ましくは2〜15mg/m2 である。バック
コート層中のリン酸モノエステル化合物の量が少なくな
ると、磁性層上へのリン酸モノエステル化合物の供給が
不十分となり繰り返し耐久性が悪化する。
【0014】本発明の磁気記録媒体における非磁性支持
体としては、厚みが5〜15μmのポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポ
リイミド等が挙げられる。また、磁気記録媒体の表面性
を制御し、走行性を安定にするために非磁性支持体表面
に径が8〜25nm、望ましくは10〜20nmのフィ
ラーを106〜108個/mm2の密度で付与することが
有効である。バックコート層の非磁性粉末としては、各
種の無機顔料やカーボンブラックを使用することがで
き、また結合剤樹脂としてはニトロセルロースや塩化ビ
ニル系樹脂、ポリウレタン等の塗布型磁性層用の結合剤
樹脂として使用されている各種のものを使用することが
できる。
【0015】また、本発明の磁気記録媒体の磁性層とし
ては、鉄、ニッケル、コバルト等の金属もしくはその合
金からなる強磁性金属薄膜が好ましく、磁性層厚みは、
0.10〜0.30μm、望ましくは0.14〜0.2
0μmである。また、磁性層の組成としてはコバルトが
90原子%以上であることが好ましい。コバルト以外の
成分としては、ニッケル、クロム等が好ましく、層の構
成としては単一層、各層を構成する柱状結晶粒子の傾き
の方向がほぼ同一方向になっている平行型多層、各層を
構成する柱状結晶粒子の傾きが隣り合った層間では互い
に逆方向である交差型多層、非平行型多層のものがとく
に好ましく、磁性層形成手段は蒸着、スパッタリング等
の手段を適用することができるが、酸素存在下で蒸着法
により形成した磁性層が特に好ましい。
【0016】本発明の磁気記録媒体において磁性層上に
形成する硬質炭素保護膜はダイヤモンド状炭素と称され
る硬度の大きな炭素保護膜であり、ビッカース硬度で1
000kg/mm2 以上、好ましくは2000kg/m
2 以上の硬質の炭素膜である。また、その結晶構造は
アモルファス構造であり、かつ非導電性である。そし
て、本願発明におけるダイヤモンド状炭素膜の構造をラ
マン光分光分析によって測定した場合には、1520〜
BR>1560-1cmにピークが検出されることによって
確認することができる。炭素膜の構造がダイヤモンド状
構造からずれてくるとラマン光分光分析により検出され
るピークが上記範囲からずれるとともに、炭素膜の硬度
も低下し、本願発明の目的を達成するのが困難となって
くる。
【0017】本願発明におけるダイヤモンド状炭素膜の
構造は、ラマン分光法の他に、X線電子分光法(ESC
A)によっても同定することができる。とくに、ESC
Aによって同定する場合、C−1sのプラズモン損失エ
ネルギーが26±1eVであるとさらに良好な炭素膜と
なる。ここでいうプラズモン損失エネルギーは、炭素膜
にX線を照射して測定されるC−1sスペクトルのメイ
ンピークから、プラズモン損失により生ずるピークのず
れをX線電子分光装置(例えば、パーキンエルマー社
製、PHI−560)により測定されるものである。炭
素保護膜の硬度が減少すると摩擦特性は改善されるが耐
磨耗性が不足し、所望の走行耐久性を得ることができな
い。とくに、スチル耐久性が大幅に低下してしまう。こ
れらのダイヤモンド状炭素保護膜はスパッタリングやC
VDによって作製することができるが、生産性、品質の
安定性および厚み10nm以下の超薄膜でも良好な耐磨
耗性を確保できるという点からCVDによって作製する
ことが好ましく、とくに高周波プラズマによって分解し
た化学種を基板にバイアス電圧を印加して加速すること
が好ましい。
【0018】この炭素保護膜の材料となるプラズマ化さ
れる炭素化合物は、とくに制限されるものではないが、
炭化水素系、ケトン系、アルコール系の化合物が挙げら
れる。とくに、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の
アルカン、あるいはエチレン、プロピレン等のアルケ
ン、またはアセチレン等のアルキンをはじめとした炭素
含有化合物を原料としたプラズマCVDによって硬質炭
素保護膜を形成することが好ましい。これらの被膜形成
性の物質は、一般に13.3〜0.133N/m2 、好
ましくは6.67〜2.67N/m2 の分圧でプラズマ
発生装置内に導入される。また、前記原料気体の他に水
素、アルゴン等の不活性気体を同時に導入することもで
きる。この場合、望ましい混合気体としては、メタンな
どの炭化水素とアルゴンが挙げられる。この場合、その
混合割合は、一般に炭化水素:アルゴン=6:1〜2:
1が望ましい。
【0019】硬質炭素保護膜の膜厚が厚いと電磁変換特
性の悪化や磁性層に対する密着性の低下が生じ、膜厚が
薄いと耐磨耗性が不足するために、膜厚2.5〜20n
mが好ましく、とくに好ましくは5〜10nmである。
また、この硬質炭素保護膜上に付与する潤滑剤との密着
をさらに向上させる目的で硬質炭素保護膜表面を酸化性
もしくは不活性気体によって表面処理しても良い。
【0020】また、本発明の磁気記録媒体には、テトラ
ザインデン環化合物及び/又はチオウラシル環化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、チオベンズイミダゾール
系化合物からなる防錆剤を含有することによって磁気記
録媒体としての耐食性および保存安定性を高めることが
できる。このような目的で使用可能なテトラザインデン
環化合物には、下記に示すものが挙げられる。
【0021】
【化1】
【0022】ここで、Rには、アルキル基、アルコキシ
基、アルキルアミド基から選ばれる炭化水素基である。
とくに好ましくは、炭素数3以上26以下であり、アル
コキシの場合にはROCOCH2 −のRは、C3
7 −、C6 13−、フェニル、またアルキル基の場合に
は、C6 13−、C9 19−、C1735−が挙げられ、
アルキルアミドの場合にはRNHCOCH2 −のRはフ
ェニル、C3 7 −が挙げられる。また、チオウラシル
環化合物には、下記に示すものが挙げられる。
【0023】
【化2】
【0024】ここで、Rは炭素数が3以上である炭化水
素基である。潤滑剤と防錆剤を混合して同時に塗布して
も良いが、防錆剤を先に塗布した後に、潤滑剤を塗布す
る方法が効果的である。塗布の方法は有機溶剤に溶解し
てコイルバー等通常の塗布方式で塗布することができ、
また防錆剤はバックコート層に含み磁気記録媒体が巻き
取られた際に磁性層に転写するようにしても良い。
【0025】また、本発明においてはリン酸モノエステ
ルと他の潤滑剤化合物を併用しても良い。併用される潤
滑剤化合物として望ましいものはフッ素化合物である。
例えば下記で示されるパーフロオロポリエーテル CF3−(CFRfCF2−O)−nCF2CF3 あるいはこの末端がOH、COOH等で変性されている
物が用いられる。ここでRfはCF3 、Fであり、分子
量は1000〜20000、好ましくは2500〜10
000のパーフルオロポリエーテルが挙げられる。具体
的にはデュポン社製 KRYTOX 143AZ、同1
57FSL、モンテフルオス社製 FOMBLIN Z
−DOL、Z−DEAL、Z−DIAC、AM200
1、ダイキン工業製 DEMNUMSYなどである。そ
の他、各種のフッ素含有脂肪酸エステル、アルカンやア
ルケンの一部の水素をフッ素で置換したフルオロアルカ
ン、フルオロアルケン等も使用することができる。本発
明の磁気記録媒体における潤滑剤の塗布量は、1.0〜
50mg/m2 が好ましく、とくに3〜30mg/m2
とすることが好ましい。上記フッ素化合物は、有機溶剤
に溶解してコイルバー等通常の塗布方法によって磁性層
表面に塗布するか、バックコート層に付与する。
【0026】
【作用】本発明は、非磁性支持体上の少なくとも一方の
面に強磁性金属薄膜からなる磁性層を有する磁気記録媒
体において、強磁性金属薄膜上に硬質炭素保護膜を形成
した後にリン酸モノエステル化合物からなる潤滑剤層を
形成したものであり、スチル耐久性、繰り返し走行性等
の耐久性で優れ、また潤滑剤は強磁性金属薄膜の耐食性
に優れており、硬質炭素保護膜にピンホールが形成され
ていた場合であっても耐食性に優れた磁気記録媒体が得
られる。
【0027】
【実施例】以下に、本発明の実施例および比較例を示
し、本発明をさらに詳細に説明する。 実施例1 表面に粒径18nmのシリカの球状フィラーを有する厚
さ10μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に
金属コバルトを酸素含有雰囲気中で真空蒸着し、強磁性
金属薄膜を得た。金属蒸気流の前記ポリエチレンテレフ
タレートフイルムに対する入射角は45°とし、金属膜
の柱状粒子の傾きの方向が同一となるように70nmの
厚さの強磁性金属薄膜が2層積層された構成とした。そ
の後熱処理によって蒸着したフィルムのカールを修正し
た後、メタンを原料として流量150sccmで供給す
るとともに、アルゴンをキャリアーとして流量50sc
cmの流量で供給し、600Wの高周波電力を印加する
とともに、パスローラを介して磁性層表面には−400
Vの直流電圧を印加し、気体導入部に設置されたアノー
ドには+500Vの直流電圧を印加し、発生したプラズ
マを加速させて搬送速度5m/分で温度20℃の磁性層
表面にダイヤモンド状炭素からなる硬質炭素保護膜を形
成した。得られた炭素保護膜は、膜厚80nm、ラマン
分光法によって炭素保護膜がダイヤモンド状炭素である
ことを確認した。また、同一の方法で別途作成した保護
膜のビッカース硬度は2,200kg/mm2 であっ
た。
【0028】硬質炭素保護膜上に表1に記載のリン酸モ
ノエステル化合物をメチルエチルケトンに溶解してコイ
ルバーで塗布・乾燥した。ついで下記の組成のバックコ
ート層塗布液を磁性層を形成した面の反対側の面に塗布
した後に、8mm幅に裁断して磁気テープを作製した。
また、表1に記載の比較物質を同様に塗布して比較試料
を作製した。さらに、炭素膜成膜時の磁性層に印加する
バイアス電圧を−200V、−300Vにして、ダイヤ
モンド状炭素膜に代えて非晶質の炭素膜を作製した。ビ
ッカース硬度を測定したところそれぞれ300kg/m
2 、800kg/mm2 であった。これらの磁性層の
上にC1633OPO32を表1に記載した塗布量で塗布
した。得られた試料をそれぞれ比8および9とした。
【0029】 (バックコート層塗布液) カーボンブラック カンカルブ N−990 3重量部 (カンカルブ社製 平均粒子径 270nm) ブラックパール 800 97重量部 (キャボット社製 平均粒子径 17nm) ニトロセルローズ(ダイセル社製 RS1/2H) 60重量部 ポリウレタン(日本ポリウレタン社製 N−2304) 60重量部 ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製 コロネートL) 20重量部 メチルエチルケトン 1000重量部 次いで、作製した磁気テープを以下のような方法によっ
て評価し、その結果を表1に示す。試料番号に記載の
(比)は比較例を示す。 〔評価方法〕 摩擦係数(μ値)の測定 23℃70%RHの環境において磁気記録媒体とステン
レスポール(材質SUS420J)とを20gの張力
(T1) で巻き付け角180°で接触させた、磁気テー
プを3.3cm/秒の速度で走行させるのに必要な張力
(T2) を測定し、下記計算式により磁気テープの、摩
擦係数μを求めた。 μ=1/π・ln(T2/T1) スチル耐久性(A)の測定 23℃、10%RHの環境において、8mmVTR(富
士写真フイルム(株)製 FUJIX−M6)を使用し
て走行テンション20gでカラーバー画像を記録した
後、スチル制限機構を動作させないでスチル状態で画像
を再生し、出力が初期の−6dBとなるまでの時間を測
定して評価した。 スチル耐久性(B)の測定 −10℃において、8mmVTR(富士写真フィルム
(株)製 V−88)を使用してカラーバー信号を記録
した後に、スチル制限機構を動作させないでスチル状態
で再生し、再生出力が初期出力に対して−6dBとなる
までの時間を測定して評価した。 スチル耐久性(C)の測定 5℃、10%RHの環境条件下で8mmVTR(ソニー
(株)製 EV−S700)を使用して、カラーバー信
号を記録後、シリンダー回転数を通常の2倍である36
00rpmにしてスチル状態で画像を再生し、再生出力
が初期出力に対して−6dBとなるまでの時間を測定し
て評価した。 耐食性 27℃、80%RH、亜硫酸ガス1ppmの環境に磁気
記録媒体を72時間保存し、保存後のテープ表面を目視
観察し、試験前とほとんど変化が見られないものを○、
テープ全面の金属光沢は残っているものの腐食が観察さ
れるものを△、磁性層の一部もしくは全部が腐食により
溶解したものを×とした。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】本発明は、非磁性支持体上に強磁性金属
薄膜からなる磁性層を有する磁気記録媒体において、強
磁性金属薄膜上に硬質炭素保護膜を形成し、硬質炭素保
護膜上にリン酸モノエステル化合物を含有する潤滑層を
設けたので、潤滑層の硬質炭素保護膜に対する吸着性が
極めて優れており、スチル耐久性、走行耐久性の面で極
めて優れており、耐久性あるいは耐食性の確保しがたい
コバルトもしくはコバルト含有率が高い強磁性金属薄膜
を使用した磁気記録媒体においても充分な耐久性および
耐食性を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−132624(JP,A) 特開 昭60−258728(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/62

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性金属薄膜からな
    る磁性層を有する磁気記録媒体において、強磁性金属薄
    膜上には硬質炭素保護膜があり、さらにその上にはリン
    酸モノエステルが存在していることを特徴とする磁気記
    録媒体。
  2. 【請求項2】 硬質炭素保護膜がプラズマCVDによっ
    て作製したダイヤモンド状炭素膜であることを特徴とす
    る請求項1記載の磁気記録媒体。
JP01815594A 1994-02-15 1994-02-15 磁気記録媒体 Expired - Fee Related JP3489863B2 (ja)

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