JPH06349053A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH06349053A
JPH06349053A JP5133149A JP13314993A JPH06349053A JP H06349053 A JPH06349053 A JP H06349053A JP 5133149 A JP5133149 A JP 5133149A JP 13314993 A JP13314993 A JP 13314993A JP H06349053 A JPH06349053 A JP H06349053A
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magnetic
magnetic recording
fatty acid
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JP5133149A
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Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
Toshio Ishida
寿男 石田
Tadashi Yasunaga
正 安永
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/62Record carriers characterised by the selection of the material
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    • GPHYSICS
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    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
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    • G11B5/68Record carriers characterised by the selection of the material comprising one or more layers of magnetisable material homogeneously mixed with a bonding agent
    • G11B5/70Record carriers characterised by the selection of the material comprising one or more layers of magnetisable material homogeneously mixed with a bonding agent on a base layer
    • G11B5/71Record carriers characterised by the selection of the material comprising one or more layers of magnetisable material homogeneously mixed with a bonding agent on a base layer characterised by the lubricant

Abstract

(57)【要約】 【目的】 走行耐久性に優れた金属薄膜型磁気記録媒体
を得る。 【構成】 非磁性支持体上に強磁性金属薄膜からなる磁
性層を有する磁気記録媒体において、この磁性層上に下
記のリン酸モノエステル化合物および脂肪酸エステル化
合物とを含有する潤滑層を設けた磁気記録媒体であり、 R1 −OPO(OH)2 ただし、R1 は炭素数8〜26の炭化水素基である。 R2 −COO−R3 ただし、R2 およびR3 は炭素数8〜26の炭化水素基
またはその一部または全部の水素原子をフッ素原子で置
換したフッ素炭化水素基であって、R2 とR3 は同一で
あっても異なっていても良い。 【効果】 コバルトの含有量の多い高密度磁性層の走行
耐久性にすぐれている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性層上に有機フッ素化
合物を含有する潤滑層を有する磁気記録媒体に関し、と
くに走行性、耐久性および保存性に優れた金属薄膜型磁
気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープ、フロッピーディスク等の磁
気記録媒体の潤滑剤を磁性層表面に塗布することによっ
て、磁気記録媒体とヘッドとの間の潤滑性および走行耐
久性を改善するために使用したり、また写真感光材料に
おいては、過酷な使用条件においても耐えられるように
感光材料の表面に塗布することが行われている。とく
に、磁気記録媒体では記録の高密度化により磁性層表面
はより平滑になり、また磁気記録媒体はさまざまな環境
で使用され、かつ記録された情報は数年から数十年にわ
たって保存される。そのため多様な環境下での走行耐久
性および保存安定性が要求されており、従来の潤滑剤で
は十分な効果を発揮し得なくなっている。
【0003】さらに、カムコーダすなわちカメラ一体型
ビデオテープレコーダや8ミリビデオのような小型のビ
デオテープレコーダは、外部で使用されることが多く、
磁気記録媒体には幅広い環境条件での使用に耐える潤滑
性能が必要とされている。また、金属薄膜型磁性層は高
密度記録に有利であり、今後のハイビジョン化、デジタ
ル化等の磁気記録密度向上のために金属薄膜型が期待さ
れているが、記録層の金属がごく薄い酸化層でのみ保護
されているので、金属薄膜型磁気記録媒体にあっては、
保存性の大幅な向上が可能な潤滑剤の提供が求められて
いる。
【0004】さらに、金属薄膜型磁気記録媒体におい
て、より高密度化を行うために、表面を平滑化し、磁性
層の組成をCoNi−O系からCo−O系やCo−Oを
含むCo−Fe等の高Bm化の方向に改良が行われてい
るが、これらのコバルトの含有割合の多いものでは安定
な走行性、耐久性、耐食性を得ることが困難である。
【0005】また、磁性層上に無機保護層を形成して耐
久性を向上させる方法も検討されているが、保護層の厚
みによりスペーシングロスを生じるために、高密度化の
妨げになり、好ましくない。
【0006】そこで、金属薄膜型磁気記録媒体用の潤滑
剤として、さまざまな構造の潤滑性能に優れた炭化水素
系、フッ素系の潤滑剤が検討されており、とくに分子内
に親水性官能基を有する有機フッ素化合物は、走行耐久
性を大幅に改善することができることが知られている。
ところが、特性の優れた潤滑剤を使用しても、電磁変換
特性を改善した平滑な金属薄膜型の磁気記録媒体におい
ては、繰り返し摺動により磁性層上に付着した潤滑剤が
徐々に失われ、特性が劣化するという問題があった。
【0007】そこで、潤滑剤に各種の極性基を導入する
ことによって、特性を改善することが行われている。た
とえば、カルボキシル基、エステル基、リン酸エステル
を導入することが、特開昭59−119537号公報、
特公平4−50644号公報等に記載されているが、低
温での繰り返し走行耐久性に乏しいという問題があっ
た。そこで2種類以上の潤滑剤を併用して、特性を向上
させようとする検討も数多くなされてきた。リン酸トリ
エステルやジエステルとフッ素系エステル潤滑剤を併用
することが、特開昭62−236120号公報等に記載
されているが、トリエステルやジエステルは磁性膜に対
する吸着性が弱く、耐摩耗性が向上しないため必ずしも
満足な特性は得られていない。
【0008】また、カルボン酸とフッ素含有エステルを
併用することが特開昭62−141625号公報には記
載されており、それぞれの潤滑剤を単独で使用した場合
に比べ著しく低温での繰り返し走行耐久性を向上させる
ことができるが、耐食性、とくに高温高湿環境での保存
性が乏しいという問題があった。
【0009】パーフルオロアルキルカルボン酸エステル
と極圧剤として、リン酸ジエステルもしくはリン酸トリ
エステル化合物を設けることが特開昭62-10382
4号公報に記載されているが、走行耐久性等において充
分な性能のものが得られていない。特開平4-2057
12号公報には、脂肪酸、フッ素化合物等の2種類の潤
滑剤からなる層を形成し、磁性層側およびバックコート
層側のそれぞれに規定しているが、充分な潤滑特性が得
られていない。
【0010】また、潤滑剤を磁気記録媒体の磁性層を形
成した面とは逆の面に設けたバックコート層に潤滑剤を
付与し、摺動によって失われる磁性層面の潤滑剤を随時
バック面から供給する方法が、特公昭57−29767
号公報、特開昭58−188326号公報、特開昭60
−63711号公報、特開昭60−63712号公報、
特開昭62−209718号公報、特開平1−2112
15号公報などに記載されている。このような塗布方法
によって繰り返し走行耐久性が改善されるものの、バッ
ク面にのみ潤滑剤を塗布した場合には、耐久性の確保が
困難であり、バックコート層と磁性層の両者に塗布した
場合には、静止摩擦係数が上昇して張り付きを生じる等
の問題があった。また、耐食性の面でも、分子内に極性
基を有するフッ素系潤滑剤のみでは不十分であり、防錆
剤の併用などが提案されているが、一般に知られている
潤滑剤と防錆剤の併用では耐食性の確保が困難であっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、摩擦係数が
低く安定しており、繰り返し走行耐久性に優れるととも
に、とくに高密度の磁気記録が可能な耐食性に優れた磁
気記録媒体を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】非磁性支持体上に強磁性
金属薄膜からなる磁性層を有する磁気記録媒体におい
て、この磁性層上に下記のリン酸モノエステル化合物お
よび脂肪酸エステル化合物とを含有する潤滑層を設けた
磁気記録媒体である。 R1 −OPO(OH)2 ただし、R1 は炭素数8〜26の炭化水素基である。 R2 −COO−R3 ただし、R2 およびR3 は炭素数8〜26の炭化水素基
またはその一部または全部の水素原子をフッ素原子で置
換したフッ素炭化水素基であって、R2 とR3 は同一で
あっても異なっていても良い。
【0013】また、潤滑層がリン酸モノエステル化合物
の層上に脂肪酸エステル化合物の層を形成したものから
構成されている磁気記録媒体である。また、非磁性支持
体の磁性層を設けた面と反対側の面にバックコート層が
設けられ、該バックコート層中には脂肪酸エステル化合
物が含有されている磁気記録媒体である。また、潤滑層
が磁性層上に形成した無機保護膜上に形成された磁気記
録媒体である。また、磁性層を構成する金属元素の90
原子%以上がコバルトである磁気記録媒体である。
【0014】すなわち、本発明はリン酸モノエステル化
合物からなる潤滑剤と、脂肪酸エステル化合物とを有す
る潤滑剤層を設けた磁気記録媒体であり、リン酸モノエ
ステル化合物は磁性層に強く吸着し、耐食性も大幅に改
善することができる。このようなリン酸モノエステル化
合物としては、モノラウリルフォスフェート、モノヘキ
サデシルフォスフェート等を挙げることができる。リン
酸モノエステル化合物の疎水鎖としては、飽和炭化水素
基が好ましいが、不飽和炭化水素基や側鎖が導入された
枝分かれ構造の炭化水素基でも良い。また、飽和炭化水
素鎖の長さは、主鎖の炭素数が8〜26の範囲のものが
好ましく、8よりも少ないと、良好な保護効果が得られ
ず、26よりも長いものであると、結晶性が高まり、塗
布適性が低下し潤滑効果が低下する。
【0015】一方、リン酸モノエステル化合物と併用す
る脂肪酸エステル化合物は、フッ素系または炭化水素系
エステルを用いることができ、具体的にはC8 17CO
OC1837、C8 17(CH2 2 COOC1837、C
1735COO(CH2 2 8 17、C1734COO
(CH2 28 17、C1732COO(CH2 2
8 17、C8 17(CH2 10COO(CH2 108
17などが挙げられる。疎水鎖は直鎖飽和炭化水素また
は直鎖飽和炭化水素のフッ素化物が好ましいが、この疎
水鎖中に不飽和結合や枝分かれ構造を有していても良
い。疎水鎖の長さは炭素数8〜30の範囲のものが好ま
しく、さらに潤滑剤の揮発性を抑え、良好な潤滑効果を
得るためは分子中の2つの疎水鎖のうち少なくとも一方
は炭素数が10以上のものが好ましい。
【0016】炭素数が8よりも少ないと潤滑特性が低下
し、炭素数が30よりも多いと結晶性が高くなるの好ま
しくない。とくに好ましいのは、炭素数が12〜20で
ある。また、二つの疎水鎖の合計の炭素数の和は、20
〜40以上であることが潤滑性を確保するためには好ま
しく、とくに24〜30であることが好ましい。
【0017】また製造コストや環境保護の立場からは、
これらのフッ素系潤滑剤は通常の有機溶剤に溶解するこ
とが好ましく、そのためにはエステル結合の一方にフッ
素を含有しない炭化水素鎖をもつ化合物を使用するか、
フルオロアルキル基のアルキル部とパーフルオロアルキ
ル基の割合を溶解性を高める方向に調整すれば良い。ま
た結晶性が高く、融点の高いエステルを使用すると磁性
層表面やバックコート層表面に析出を生じることがある
ため、エステルの融点は30℃以下のものが好ましい。
【0018】本発明の磁気記録媒体において、磁性層表
面に潤滑層を形成するには、潤滑剤として使用するリン
酸モノエステル化合物および脂肪酸エステル化合物を有
機溶剤に溶解した溶液を磁性層上に塗布する混合塗布
法、リン酸モノエステル化合物からなる潤滑剤を塗布
し、その後脂肪酸エステル化合物からなる潤滑剤を塗布
する逐次塗布法を用いることができるが、リン酸モノエ
ステル化合物が磁性層との吸着特性が良好であるので、
リン酸モノエステル化合物からなる潤滑剤層をけいせい
した後に、脂肪酸エステル化合物の潤滑剤層を形成する
ことが好ましい。
【0019】さらに、磁性層上に有機溶剤に溶解したリ
ン酸モノエステル化合物を塗布乾燥した後、炭化水素系
もしくはフッ素で一部を置換した脂肪酸エステル化合物
からなる潤滑剤を含有したバックコート層を形成して巻
き取ることによってバックコート層の脂肪酸エステル化
合物からなる潤滑剤を磁性層表面に転写させることがと
くに好ましい。バックコート層に脂肪酸エステル化合物
からなる潤滑剤を含有させる方法としてはあらかじめ作
成したバックコート層上に脂肪酸エステル化合物からな
る潤滑剤を塗布してもよいし、バックコート層を作成す
る際に、バックコート層の塗布液中に脂肪酸エステル化
合物からなる潤滑剤を混合しても良い。このように潤滑
剤層を形成した場合には、磁性層上に直接リン酸モノエ
ステル化合物および脂肪酸エステル化合物からなる潤滑
剤を塗布する場合に比べ、リン酸モノエステル化合物が
密着した吸着膜を形成できるため、耐摩耗に優れた媒体
を作成することができる。そして、脂肪酸エステル化合
物はリン酸モノエステル化合物の吸着膜上に存在するこ
ととなり、リン酸モノエステル化合物と脂肪酸エステル
化合物の混合物を塗布した場合に比べ、良好な潤滑特性
を示す。
【0020】本発明の磁気記録媒体では、潤滑剤が磁気
記録媒体の表面に極めて強固に吸着した潤滑層を形成し
ていることは、磁気記録媒体表面を溶剤で洗浄した後に
ESCA、XPS等の分析装置で潤滑剤に含まれている
フッ素およびリンの量を定量することによって確認する
ことができる。すなわち、リン酸モノエステル化合物を
含有する潤滑層上にバックコート層から脂肪酸エステル
化合物を転写した磁気記録媒体は、洗浄によってもリン
の量は変化しないが、フッ素がほとんど測定されなくな
る。これに対して、逐次塗布法や混合塗布法で作成した
磁気記録媒体では洗浄後でも洗浄前と同様のフッ素の測
定値が得られる。
【0021】ところが、走行にともない消失する脂肪酸
エステル化合物は、巻取り時にバックコート層から供給
されるために繰り返し走行後であっても磁性層表面に存
在する脂肪酸エステル化合物からなる潤滑剤量はほとん
ど変化せず、良好な走行耐久性を得ることができる。ま
た、脂肪酸エステル化合物からなる潤滑剤として、潤滑
特性に優れたフッ素含有潤滑剤を磁性層上に塗布する
と、潤滑剤が有機溶剤に可溶であっても、塗布後乾燥時
に微細な塗布ムラを発生することがあったが、バックコ
ート層から転写する方法では、脂肪酸エステル化合物か
らなる潤滑剤をバックコート層に混合あるいは塗布し、
バックコート層から巻取り時の接触により磁性層側へ転
写されるので、磁性層上に直接に塗布する場合よりも塗
布ムラが発生しにくく、また潤滑剤の析出も起こりにく
いので、使用することができる潤滑剤の種類が多くなる
という利点もある。
【0022】磁気記録媒体にリン酸モノエステル化合物
および脂肪酸エステル化合物を塗布する場合は、溶液に
して磁性層表面に塗布する。塗布はコイルバー等の通常
の方法を用いることができる。本発明の化合物は通常の
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール及びイ
ソプロパノールから選ばれる炭化水素系溶剤を主成分と
する有機溶剤に溶解するので、フッ素系の有機溶剤を使
用することなく塗布して乾燥することによって磁気記録
媒体の製造することができる。このように、炭化水素系
溶剤に溶解できるので、従来のフッ素系化合物のように
フッ素系溶剤の使用によるオゾン層の破壊という環境問
題を起こすおそれがないという極めて大きな特徴を有し
ている。
【0023】磁性層上のリン酸モノエステル化合物の塗
布量は1〜20mg/m2 が好ましく、特に好ましくは
1〜10mg/m2 である。塗布量が少なすぎると耐摩
耗性が不足するし、塗布量が多すぎると走行性、耐食性
に支障をきたす。また、リン酸モノエステル化合物は磁
性層上に塗布することが好ましいが、バックコート層中
に含有されていても良い。ただし、バックコート層中の
リン酸モノエステル化合物の存在比率が大きくなると、
バックコート層から転写される脂肪酸エステル化合物が
磁性層上に転写されにくくなり、摩擦係数の上昇やヘッ
ド汚れの増加を招くこととなる。また、脂肪酸エステル
化合物からなる潤滑剤の磁性層上の存在量は1〜20m
g/m2 が好ましく、特に好ましくは3〜10mg/m
2 である。磁性層上の脂肪酸エステル化合物の量が少な
くなると繰り返し走行耐久性が悪化し、多すぎると静止
摩擦係数の上昇を招き、VTRで走行させたときのジッ
ターや走行停止を招く。バックコート層中へ混合、また
はその表面へ塗布する脂肪酸エステル化合物の存在量は
5〜40mg/m2 が好ましい。バックコート層中の脂
肪酸エステル化合物の量が少なくなると、磁性層上への
脂肪酸エステル化合物の供給が不十分となり繰り返し耐
久性が悪化する。バックコート層中の脂肪酸エステル化
合物の存在比率が多いと、磁性層面、バックコート層面
の静止摩擦係数が上昇して、VTRで走行させたときに
ジッターや走行停止が生じる。
【0024】本発明の磁気記録媒体は耐食性に優れる
が、複素環類の防錆剤を併用するとさらに耐食性を高め
ることができる。本発明で使用できる防錆剤を例示する
とベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、
ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核に
アルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、
2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン
環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有
複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。
【0025】このような目的で使用可能なテトラザイン
デン環化合物には、下記に示すものが挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】ここで、Rには、アルキル基、アルコキシ
基、アルキルアミド基から選ばれる炭化水素基である。
とくに好ましくは、炭素数3以上26以下であり、アル
コキシの場合にはROCOCH2 −のRは、C3
7 −、C6 13−、フェニル、またアルキル基の場合に
は、C6 13−、C9 19−、C1735−が挙げられ、
アルキルアミドの場合にはRNHCOCH2 −のRはフ
ェニル、C3 7 −が挙げられる。また、チオウラシル
環化合物には、下記に示すものが挙げられる。
【0028】
【化2】
【0029】ただし、Rは炭素、水素以外の置換基を含
んでも良い炭化水素基である。ここで、Rは炭素数が3
以上である炭化水素基である。防錆剤を使用する方法は
磁性層上に付与する方法と、バックコート層中に付与す
る方法のどちらも使用可能であるが、走行耐久性との両
立や繰り返し摺動後の耐食性を考慮すると、バックコー
ト層への添加がとくに有効である。防錆剤の塗布量は
0.1〜5.0mg/m2 潤滑剤は1.0〜50mg/
2が好ましい。特に好ましくは防錆剤0.3〜3mg
/m2 潤滑剤3〜30mg/m2 である。
【0030】本発明で使用できる磁性層はコバルトを主
体とした従来より公知の金属または合金を微量の酸素雰
囲気で真空斜め蒸着法で作成されたものである。特に電
磁変換特性を改善するため磁性層を構成する金属原子の
90%以上はコバルトであるCo−O、Co−Oを含有
するCo−Fe等が好ましい。また、金属原子の95%
以上はコバルトであることが好ましく、97%以上であ
ることがより好ましい。 磁性層の厚みは、100〜3
000nmとするのが望ましく、さらに望ましくは12
0〜2000nmである。磁性層を構成する金属原子の
ほとんどがコバルトである強磁性金属薄膜は磁気特性に
優れているが耐候性が悪く、さらに走行性、耐久性の面
でも実用上問題であった。ところが、本願発明のような
潤滑層を使用することにより上記のようにその90%以
上がコバルトである組成であっても耐食性、走行性、耐
久性の面で優れた実用に充分耐え得る磁気記録媒体とす
ることができる。
【0031】本発明の磁気記録媒体走行耐久性に優れる
が、パーフルオロポリエーテルを併用すると走行耐久性
を高めることができる。パーフルオロポリエーテルは磁
性層上に直接塗布してもよいが、脂肪酸エステル化合物
の配向の乱れを最小限に止めるため、バックコート層に
付与し、これを転写させる方法がより好ましい。
【0032】本発明で使用できるパーフルオロポリエー
テルとしては、パーフルオロメチレンオキシド、パーフ
ルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プ
ロピレンオキシド重合体(CF2 CF2 CF20n 、パ
ーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF
3 )CF20)n等が挙げられ、アルコール、メチルエス
テル基などの極性基を含んでもよい。具体的にはデュポ
ン社製KRYTOX143AZ、157SL、モンテフ
ルオス社製FOMBLINZ−DOL、Z−DEAL等
が使用できる。パーフルオロポリエーテルを使用する場
合には脂肪酸エステル化合物と同様にバックコート層用
の液中に混合してもよいし、あらかじめ作成したバック
コート層上に脂肪酸エステル化合物を塗布する際に混合
して塗布すればよい。
【0033】本発明で使用する非磁性支持体としては、
厚さ3〜10μmのポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリ
アミドポリイミド等のフイルムが好ましく、走行性を改
善するためその表面に粒径50〜200μmの無機フィ
ラーを付与したものが好ましい。また、ベースの内部に
フィラーを含有し、ベース表面に凹凸を形成したもので
も良い。
【0034】また、電磁変換特性を改善するため重層構
成としたり、非磁性下地層や中間層を有していても良
い。さらに、本発明でも走行耐久性が不足する場合には
磁性層上に公知の無機保護層を介して潤滑剤を塗布する
と特性を著しく改善できる。無機保護層は金属酸化物や
炭素膜等が使用できるが、好ましくはプラズマCVD
法、スパッタリング法等で作成したアモルファス、グラ
ファイト、ダイヤモンド構造、もしくはこれらの混合物
からなるカーボン膜であり、特に好ましくは一般にダイ
ヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質カーボン膜であ
る。このような無機保護層の厚みは、5〜30nmであ
ることが望ましく、さらに望ましくは5〜15μmであ
る。本発明で使用できるバックコート層としては一般的
なカーボンブラック、樹脂結合剤、潤滑剤からなるもの
が挙げられるが、前記のように本発明の脂肪酸エステル
化合物であるフッ素系潤滑剤を含有していても良い。
【0035】
【作用】本発明は、非磁性支持体上の少なくとも一方の
面に強磁性金属薄膜からなる磁性層を有する磁気記録媒
体において、リン酸モノエステル化合物と脂肪酸エステ
ル化合物からなる潤滑剤を磁性層上に形成した磁気記録
媒体であり、磁気記録媒体の巻取り時に脂肪酸エステル
化合物がバックコート層から磁性層上に強固に吸着した
リン酸モノエステル化合物層上に転写して潤滑作用を発
揮するので、長期にわたり走行特性の優れた磁気記録媒
体が得られる。
【0036】
【実施例】以下に、本発明の実施例および比較例を示
し、本発明をさらに詳細に説明する。 実施例1〜4、比較例1〜6 表面に粒径18nmのシリカの球状フィラーを有する厚
さ10μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に
コバルト−ニッケル合金(Co:80重量%Ni:20
重量%)を酸素含有雰囲気中で磁性金属蒸気流の前記ポ
リエチレンテレフタレートフイルムに対する入射角が4
5°となるようにして、70nmの厚さで2回斜め蒸着
し、全厚140nmの2層構成の強磁性金属膜を得た。
なお、2層とも薄膜を構成する磁性金属の柱状結晶の傾
きは同じ向きとなるようにした。熱処理によって磁性層
のカールを修正した後、磁性層上に表1の化合物Aのメ
チルエチルケトン溶液を20μmol/m2 (14mg
/m2 )となるように塗布し、乾燥した。続いてカーボ
ンブラックと樹脂結合剤からなる樹脂組成物を磁性層を
形成した面とは反対の面に塗布し、乾燥しバックコート
層を形成した後、このバックコート層上に表1の化合物
Bをエタノールに溶解した溶液を20μmol/m2
なるように塗布、乾燥して巻き取った。この原反を8m
m幅に裁断して評価用の磁気記録媒体を作製した。
【0037】
【表1】
【0038】比較例11 化合物Aと化合物Bを混合して磁性層表面に塗布した点
を除いて実施例1と同様に磁気記録媒体を作製した。 比較例12 実施例1において化合物Bの塗布量を5μmol/m2
に変更し、化合物B塗布液に化合物Aを20μmol/
2 となるように混合して磁性層表面に塗布した点を除
いて実施例1と同様に磁気記録媒体を作製した。 比較例13 実施例1において化合物Aの塗布量を2μmol/m2
に変更した。 実施例5 実施例1において化合物B塗布時に1,2,3−ベンゾ
トリアゾールを20μmol/m2 となるように混合
し、塗布した。 実施例6 実施例1において化合物B塗布時にパーフルオロポリエ
ーテルFOMBLINZ−DEAL(モンテフルオス社
製)を5μmol/m2 となるように混合し、塗布し
た。 実施例7 磁性層の形成用材料をコバルト(Co 100%)に変
更した以外は実施例1と同様に磁気記録媒体を作製し
た。 比較例14 磁性層の形成用材料をコバルトに変更した以外は比較例
10と同様に磁気記録媒体を作製した。以上の実施例お
よび比較例について以下の項目を評価した。その結果を
表2に示す。
【0039】〔評価方法〕 摩擦係数(μ値)の測定 23℃70%RHの環境において磁気記録媒体とステン
レスポール(材質SUS420J)とを20gの張力
(T1 )で巻き付け角180°で接触させた、磁気テー
プを3.3cm/秒の速度で走行させるのに必要な張力
(T2 )を測定し、下記計算式により磁気テープの、摩
擦係数μをもとめた。 μ=1/π・ln(T2 /T1 ) スチル耐久性の測定 23℃10%RHの環境において、8mmVTR(富士
写真フイルム(株)製FUJIX−M6)を使用して走
行テンション20gでカラーバー画像を記憶した後、ス
チル制限機構を動作させないでスチル状態で画像を再生
し、出力が初期の−6dBとなるまでの時間を測定して
評価した。 繰り返し走行耐久性の評価 23℃10%および70%RHの環境において、8mm
VTR(SONY CV10)を使用し、60分長の磁
気記録媒体を100パス連続して再生させた。100パ
ス走行後出力を測定し、初期出力に対する相対値を出力
低下とした。また走行後のヘッドを顕微鏡観察し、ヘッ
ドの摺動面および非摺動面ともに汚れがみられなかった
場合を◎、摺動面に汚れはないが非摺動面にわずかに汚
れがみられた場合を○、摺動面には汚れはないが非摺動
面にかなりの汚れがみられた場合を△、摺動面に若干の
汚れが観察され非摺動面に汚れが観察されたものを△
×、摺動面および非摺動面ともに汚れが観察されたもの
を×とした。
【0040】亜硫酸ガス耐食性 27℃、80%RH、亜硫酸ガス1ppmの環境に磁気
記録媒体を72時間保存し、保存後のテープ表面を目視
観察し、試験前とほとんど変化が見られないものを○、
テープ全面の金属光沢は残っているものの腐食が観察さ
れるものを△、磁性層の一部もしくは全部が腐食により
溶解したものを×とした。 高温高湿保存性 60℃、90%RHの環境にテープをリール巻きの状態
で72時間保存し、バック面と接触した部分の可視光反
射率を測定し、試験前の反射率と比較した。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明は、非磁性支持体上に強磁性金属
薄膜からなる磁性層を有する磁気記録媒体において、こ
の磁性層上にリン酸モノエステル化合物と脂肪酸エステ
ル化合物とを含有する潤滑層を設けたので、極めて優れ
た走行耐久性を有しており、耐久性あるいは耐食性の確
保しがたいコバルトのみからなる磁気記録媒体において
も充分な耐久性および耐食性を得ることができる。
【手続補正書】
【提出日】平成6年9月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 磁気記録媒体
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性層上に潤滑層を有す
る磁気記録媒体に関し、潤滑層の組成を特定することに
より、特に、走行性、耐久性および保存性に優れた金属
薄膜型磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープ、フロッピーディスク等の磁
気記録媒体の潤滑剤を磁性層表面に塗布することによっ
て、磁気記録媒体とヘッドとの間の潤滑性および走行耐
久性を改善するために使用したり、また写真感光材料に
おいては、過酷な使用条件においても耐えられるように
感光材料の表面に塗布することが行われている。
【0003】特に、磁気記録媒体では記録の高密度化に
より磁性層表面はより平滑になり、また磁気記録媒体は
様々な環境で使用され、かつ記録された情報は数年から
数十年にわたって保存される。そのため多様な環境下で
の走行耐久性および保存安定性が要求されており、従来
の潤滑剤では十分な効果を発揮し得なくなっている。
【0004】更に、カムコーダすなわちカメラ一体型ビ
デオテープレコーダや8ミリビデオのような小型のビデ
オテープレコーダは戸外で使用されることが多く、磁気
記録媒体には幅広い環境条件での使用に耐える性能が必
要とされている。
【0005】また、高密度記録に有利であり、今後の高
品位化、デジタル化等の磁気記録密度向上のために強磁
性金属薄膜を磁性層とする金属薄膜型磁気記録媒体が期
待されているが、磁性層が金属の極く薄い酸化層でのみ
保護されているだけであるので、金属薄膜型磁気記録媒
体にあっては、走行性や耐久性を保証するだけではな
く、保存性をも大幅に向上できる潤滑層用素材の提供が
求められている。
【0006】金属薄膜型磁気記録媒体にあっては、より
高密度記録化を可能にするために、表面を平滑化し、磁
性層の組成をCoNi−O系からCo−O系やCo−O
を含むCo−Fe等の高Bm化の方向に改良が行われて
いるが、これらのコバルトの含有割合の多いものでは安
定な走行性、耐久性、耐食性を得ることが困難であっ
た。
【0007】また、磁性層上に、例えば、シリカ、アル
ミナ、チタニア、グラファイト、無定形カーボン、酸化
コバルト、窒化チタン及び炭化クロム等の保護層を形成
して耐久性を向上させる方法も検討されているが、充分
な保護作用を得るためには厚さを厚くせねばならずその
ためスペーシングロスを生じるので、出力が低下して高
密度化の妨げになり、好ましくなかった。
【0008】そこで、金属薄膜型磁気記録媒体用の潤滑
剤として、さまざまな構造の潤滑性能に優れた炭化水素
系、フッ素系の潤滑剤が検討されており、とくに分子内
に親水性官能基を有する有機フッ素化合物は、走行耐久
性を大幅に改善することができることが知られている。
【0009】ところが、特性の優れた潤滑剤を使用して
も電磁変換特性を改善した平滑な金属薄膜型の磁気記録
媒体においては、繰り返し摺動により磁性層上に付着し
た潤滑剤が徐々に失われ、特性が劣化するという問題が
あった。
【0010】さらに、潤滑剤に各種の極性基を導入する
ことによって、特性を改善することが行われている。た
とえば、カルボキシル基、エステル基、リン酸エステル
を導入することが、特開昭59−119537号公報や
特公平4−50644号公報等に記載されているが、低
温での繰り返し走行耐久性に乏しいという問題があっ
た。そこで2種類以上の潤滑剤を併用して、特性を向上
させようとする検討も数多くなされてきた。
【0011】また、カルボン酸とフッ素含有エステルを
併用することが特開昭62−141625号公報には記
載されており、それぞれの潤滑剤を単独で使用した場合
に比べ低温での繰り返し走行耐久性を著しく向上させる
ことができるが、耐食性、特に高温高湿環境での保存性
が乏しいという問題があった。
【0012】リン酸トリエステルやリン酸ジエステルと
フッ素系エステル潤滑剤を併用することが、特開昭62
−236120号公報や特開昭62−103824号公
報等に記載されているが、トリエステルやジエステルは
磁性膜に対する吸着性が弱く、耐摩耗性が向上しないた
め必ずしも満足な特性は得られていない。
【0013】特開平4ー205712号公報には2種類
の潤滑剤からなる層を形成して、磁性層側及びバックコ
ート層側の潤滑剤の量を規定する方法が提案されている
がこの方法によっても充分な潤滑性は得られていない。
また、潤滑剤を磁気記録媒体の磁性層を形成した面とは
逆の面に設けたバックコート層に潤滑剤を付与し、摺動
によって失われる磁性層面の潤滑剤を随時バック面から
供給する方法が、特公昭57−29767号公報、特開
昭58−188326号公報、特開昭60−63711
号公報、特開昭60−63712号公報、特開昭62−
209718号公報、特開平1−211215号公報な
どに記載されている。このような塗布方法によって繰り
返し走行耐久性が改善されるものの、バック面にのみ潤
滑剤を塗布した場合には、耐久性の確保が困難であり、
バックコート層と磁性層の両者に塗布した場合には、磁
性層上に潤滑剤が過剰に存在してしまい静止摩擦係数が
上昇して張り付きを生じる等の問題があった。
【0014】強磁性金属薄膜を磁性層とする磁気記録媒
体の実用上の問題点である耐食性の面でも、分子内に極
性基を有するフッ素系潤滑剤のみでは不充分であり、防
錆剤の併用などが提案されているが、一般に知られてい
る潤滑剤と防錆剤の併用では耐食性の確保が困難であっ
た。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、摩擦係数が
低く安定しており、繰り返し走行耐久性に優れるととも
に、特に高密度の磁気記録が可能な耐食性に優れた磁気
記録媒体を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、非
磁性支持体上に強磁性金属薄膜からなる磁性層を有する
磁気記録媒体において、この磁性層上に下記のリン酸モ
ノエステル化合物および脂肪酸エステル化合物とを含有
する潤滑層を設けた磁気記録媒体により達成される。
【0017】R1−OPO(OH)2 ただし、R1 は炭素数8〜26の炭化水素基である。
【0018】R2−COO−R3 ただし、R2 およびR3 は炭素数8〜26の炭化水素基
またはその一部または全部の水素原子をフッ素原子で置
換したフッ素炭化水素基であって、R2 とR3 は同一で
あっても異なっていても良い。
【0019】即ち、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支
持体上に形成された強磁性金属薄膜の磁性層上にリン酸
モノエステル化合物及び脂肪酸エステル化合物の少なく
とも2種類の化合物を含有する潤滑剤層を設けた磁気記
録媒体であり、リン酸モノエステル化合物は磁性層に強
く吸着もしくはその金属元素と化学的な反応をして強固
な保護膜を形成するので、耐食性も大幅に改善すること
ができる。そして、さらに脂肪酸エステルがあり、脂肪
酸エステルは強磁性金属薄膜表面上を比較的自由に動け
るので磁性層に潤滑性を付与することができる。
【0020】従って、本発明の磁気記録媒体は、通常、
リン酸モノエステル化合物の層の上に脂肪酸エステル化
合物の層が形成されている構造の潤滑層を有する。
【0021】前記リン酸モノエステル化合物としては、
1225OPO32,C1633OPO32、C817
PO32、C1837OPO32,C1835OPO32
1837OPO32等を挙げることができる。
【0022】リン酸モノエステル化合物の疎水鎖として
は、飽和炭化水素基が好ましいが、不飽和炭化水素基や
側鎖が導入された枝分かれ構造の炭化水素基でも良い。
また、飽和炭化水素鎖の長さは、主鎖の炭素数は8〜2
6であり、好ましくは8〜20であり、更に好ましくは
炭素数が8〜18である。
【0023】炭素数が少ないと、良好な保護効果が得ら
れず、逆に余り多くなると結晶性が高まり、塗布適性が
低下し潤滑効果が低下するので好ましくない。
【0024】また、工業規格のリン酸モノエステルに
は、リン酸ジエステルが含まれていることがあるが、本
発明で用いるリン酸モノエステルはこのようなリン酸ジ
エステルを含有するものであってもよい。その際リン酸
ジエステルは多くともリン酸モノエステルの50重量
%、望ましくは30重量%に抑えるべきである。リン酸
ジエステルの割合が余り多くなると本願発明の目的が充
分に達成できなくなる。
【0025】一方、リン酸モノエステル化合物と併用す
る脂肪酸エステル化合物は、R2 、R3 で表される疎水
鎖は直鎖飽和炭化水素または直鎖飽和炭化水素のフッ素
化物が好ましいが、この疎水鎖中に不飽和結合や枝分か
れ構造を有していても良い。疎水鎖の長さは炭素数8〜
26であり、好ましくは8〜20、更に好ましくは8〜
18である。
【0026】炭素数が少ないと良好な潤滑性が得られ
ず、また炭素数があまり多くなるとリン酸モノエステル
の結晶性が高まり強磁性金属薄膜上へ均一に塗布ができ
なくなるので共に好ましくない。
【0027】さらに潤滑剤の揮発性を抑え、良好な潤滑
効果を得るためは分子中の2つの疎水鎖のうち少なくと
も一方は炭素数が10以上のものが好ましい。
【0028】前記脂肪酸エステルとしては、フッ素系ま
たは炭化水素系エステルを用いることができ、具体的に
はC817COOC1837、C817(CH22COOC
1837、C1735COO(CH22817、C1733
COO(CH22817、C1731COO(CH2 2
817、C817(CH210COO(CH2 108
17等のフッ素系エステル、C1735COOisoC817
1735COOisoC1835,C1735COOisoC18
37,iso-C1735COOC1835等の炭化水素系エステ
ルが挙げられる。
【0029】また、二つの疎水鎖(R2およびR3)の合
計の炭素数の和は、24〜38の範囲内にすることが潤
滑性を良好にするために望ましい。
【0030】また、製造コストや環境保護の立場から
は、これらのフッ素系潤滑剤は通常の有機溶剤に溶解す
ることが好ましく、そのためにはエステル結合の一方に
フッ素を含有しない炭化水素鎖をもつ化合物を使用する
か、フルオロアルキル基のアルキル部とパーフルオロア
ルキル基の割合を溶解性を高める方向に調整すれば良
い。 また、結晶性が高く、融点の高いエステルを使用
すると磁性層表面やバックコート層表面に析出を生じる
ことがあるため、さらに低温度での潤滑性を考慮すると
エステルの融点は30℃以下のものが望ましい。
【0031】本発明の磁気記録媒体において、磁性層表
面に潤滑層を形成するには、潤滑剤として使用するリン
酸モノエステル化合物および脂肪酸エステル化合物を有
機溶剤に溶解した溶液を磁性層上に塗布する混合塗布
法、リン酸モノエステル化合物からなる潤滑剤を塗布
し、その後脂肪酸エステル化合物からなる潤滑剤を塗布
する逐次塗布法を用いることができるが、リン酸モノエ
ステル化合物が磁性層との吸着特性が良好であるので、
リン酸モノエステル化合物からなる潤滑剤層を形成した
後に、脂肪酸エステル化合物の潤滑剤層を形成すること
が好ましい。
【0032】さらに、磁性層上に有機溶剤に溶解したリ
ン酸モノエステル化合物を塗布乾燥した後、炭化水素系
もしくはフッ素で一部を置換した脂肪酸エステル化合物
からなる潤滑剤を含有したバックコート層を形成して巻
き取ることによってバックコート層の脂肪酸エステル化
合物からなる潤滑剤を磁性層表面に転写させることが特
に好ましい。バックコート層に脂肪酸エステル化合物か
らなる潤滑剤を含有させる方法としてはあらかじめ作製
したバックコート層上に脂肪酸エステル化合物からなる
潤滑剤を塗布しても良いし、バックコート層を作製する
際に、バックコート層の塗布液中に脂肪酸エステル化合
物からなる潤滑剤を混合しても良い。このように潤滑剤
層を形成した場合には、磁性層上に直接リン酸モノエス
テル化合物および脂肪酸エステル化合物からなる潤滑剤
を塗布する場合に比べ、リン酸モノエステル化合物が密
着した吸着膜を形成できるため、耐摩耗性に優れた磁気
記録媒体を作製することができる。そして、脂肪酸エス
テル化合物はリン酸モノエステル化合物の吸着膜上に存
在することとなり、リン酸モノエステル化合物と脂肪酸
エステル化合物の混合物を塗布した場合に比べ、良好な
潤滑特性を示す。
【0033】バックコート層としては、従来公知のもの
が使用できる。即ち、結合剤樹脂中にカーボンブラック
等の非磁性微粒子を分散させた塗布膜である。
【0034】本発明の磁気記録媒体では、リン酸モノエ
ステル化合物を主体とした潤滑剤が磁気記録媒体の表面
に極めて強固に吸着した潤滑層を形成していることは、
磁気記録媒体表面を溶剤で洗浄した後にESCA、XP
S等の分析装置で潤滑剤に含まれているフッ素およびリ
ンの量を定量することによって確認することができる。
すなわち、リン酸モノエステル化合物を含有する潤滑層
上にバックコート層から脂肪酸エステル化合物を転写し
た磁気記録媒体は、洗浄によってもリンの量は変化しな
いが、フッ素がほとんど測定されなくなる。これに対し
て、逐次塗布法や混合塗布法で作製した磁気記録媒体で
は洗浄後でも洗浄前と同様のフッ素の測定値が得られ
る。
【0035】ところが、走行にともない消失する脂肪酸
エステル化合物は、巻取り時にバックコート層から供給
されるために繰り返し走行後であっても磁性層表面に存
在する脂肪酸エステル化合物からなる潤滑剤量はほとん
ど変化せず、良好な走行耐久性を得ることができる。
【0036】また、脂肪酸エステル化合物からなる潤滑
剤として、潤滑特性に優れたフッ素含有潤滑剤を磁性層
上に塗布すると、潤滑剤が有機溶剤に可溶であっても、
塗布後乾燥時に微細な塗布ムラを発生することがあった
が、バックコート層から転写する方法では、脂肪酸エス
テル化合物からなる潤滑剤をバックコート層に混合ある
いは塗布し、バックコート層から巻取り時の接触により
磁性層側へ転写されるので、磁性層上に直接に塗布する
場合よりも塗布むらが発生しにくく、また潤滑剤の析出
も起こりにくいので、使用することができる潤滑剤の種
類が多くなるという利点もある。
【0037】磁気記録媒体にリン酸モノエステル化合物
および脂肪酸エステル化合物を塗布する場合は、溶液に
して磁性層表面に塗布する。塗布はコイルバー等の通常
の方法を用いることができる。本発明の化合物は通常の
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール及びイ
ソプロパノール等から選ばれる炭化水素系溶剤を主成分
とする有機溶剤に溶解するので、フッ素系の有機溶剤を
使用することなく塗布して乾燥することによって磁気記
録媒体の製造することができる。このように、炭化水素
系溶剤に溶解できるので、従来のフッ素系化合物のよう
にフッ素系溶剤の使用によるオゾン層の破壊という環境
問題を起こす恐れがないという実用上極めて大きな特徴
を有している。
【0038】磁性層上のリン酸モノエステル化合物の塗
布量は0.5〜20mg/m2 が望ましく、特に望まし
くは1〜10mg/m2 である。塗布量が少なすぎると
耐摩耗性が不足するし、塗布量が多すぎると走行性、耐
食性に支障をきたす。
【0039】また、リン酸モノエステル化合物は磁性層
上に塗布することが好ましいが、バックコート層中に含
有されていても良い。ただし、バックコート層中のリン
酸モノエステル化合物の存在比率が大きくなると、バッ
クコート層から転写される脂肪酸エステル化合物が磁性
層上に転写されにくくなり、摩擦係数の上昇やヘッド汚
れの増加を招くこととなる。
【0040】また、脂肪酸エステル化合物からなる潤滑
剤の磁性層上の存在量は1〜20mg/m2 が望まし
く、特に望ましくは3〜10mg/m2 である。磁性層
上の脂肪酸エステル化合物の量が少なくなると繰り返し
走行耐久性が悪化し、多すぎると静止摩擦係数の上昇を
招き、VTRで走行させたときのジッターや走行停止を
招く。
【0041】バックコート層中へ混合、またはその表面
へ塗布する脂肪酸エステル化合物の存在量は5〜40m
g/m2 が好ましい。バックコート層中の脂肪酸エステ
ル化合物の量が少なくなると、磁性層上への脂肪酸エス
テル化合物の供給が不十分となり繰り返し耐久性が悪化
する。バックコート層中の脂肪酸エステル化合物の存在
比率が多いと、磁性層面、バックコート層面の静止摩擦
係数が上昇して、VTRで走行させたときにジッターや
走行停止が生じる。
【0042】本発明の磁気記録媒体における上記潤滑層
は、以下に説明する各種のものから選択される保護膜を
強磁性金属薄膜上に形成した後に、その上に形成しても
更にその効果を高めることができる。本発明でいう保護
膜とは酸化コバルト、シリカ、アルミナ、ジルコニア、
炭化チタン、窒化チタン等の金属酸化物、金属炭化物、
金属窒化物等の無機物からなる薄膜、または無定形カー
ボン、グラファイト、ダイヤモンド等の炭素からなる薄
膜を主体とするものである。
【0043】即ち、前記保護膜の保護作用に更に本発明
における潤滑層の効果が付加されて、苛酷な条件での磁
気ヘッドとの摺動にも充分に耐えて、磁気記録媒体表面
に摩耗がなく、表面の潤滑性を長期間保持できる磁気記
録媒体とすることができる。前記保護膜としては、炭素
保護膜が摺動中に摩耗粉が生じ難く、その効果が安定し
て持続するので好ましい。
【0044】前記炭素保護膜は、プラズマCVD法、ス
パッタリング法等で作製したアモルファス、グラファイ
ト、ダイヤモンド構造、もしくはこれらの混合物からな
る炭素膜であり、特に好ましくは一般にダイヤモンドラ
イクカーボンと呼ばれる硬質炭素膜である。
【0045】このような保護膜の厚さは、5〜30nm
であることが望ましく、さらに望ましくは5〜15nm
である。
【0046】本発明で使用できる磁性層はコバルトを主
体とした従来より公知の金属または合金を微量の酸素を
含有する雰囲気で真空斜め蒸着法で作製されたものであ
る。特に電磁変換特性を改善するため磁性層を構成する
金属原子の90%以上はコバルトであるCo−O、Co
−Oを含有するCo−Fe等が好ましい。また、金属原
子の95%以上はコバルトであることが好ましく、97
%以上であることがより好ましい。磁性層の厚みは、1
00〜3000nmとするのが望ましく、さらに望まし
くは120〜2000nmである。
【0047】磁性層を構成する金属原子のほとんどがコ
バルトである強磁性金属薄膜は磁気特性に優れているが
耐候性が悪く、さらに走行性、耐久性の面でも実用上問
題であった。ところが、本願発明のような潤滑層を使用
することにより上記のようにその90%以上がコバルト
である組成であっても耐食性、走行性、耐久性の面で優
れた実用に充分耐え得る磁気記録媒体とすることができ
る。
【0048】本発明の磁気記録媒体走行耐久性に優れる
が、パーフルオロポリエーテルを併用すると走行耐久性
を高めることができる。パーフルオロポリエーテルは磁
性層上に直接塗布してもよいが、リン酸モノエステル化
合物の配向の乱れを最小限に止めるため、バックコート
層に付与し、これを転写させる方法がより好ましい。
【0049】本発明で使用できるパーフルオロポリエー
テルとしては、パーフルオロメチレンオキシド、パーフ
ルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プ
ロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パー
フルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(C
3)CF2O)n等が挙げられ、アルコール、メチルエ
ステル基などの極性基を含んでもよい。具体的にはデュ
ポン社製KRYTOX143AZ、157SL、モンテ
フルオス社製FOMBLIN Z−DOL、Z−DEA
L等が使用できる。
【0050】パーフルオロポリエーテルを使用する場合
には脂肪酸エステル化合物と同様にバックコート層用の
液中に混合してもよいし、あらかじめ作製したバックコ
ート層上に脂肪酸エステル化合物を塗布する際に混合し
て塗布すればよい。
【0051】本発明で使用する非磁性支持体としては、
厚さ3〜10μmのポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリ
アミドポリイミド等のフイルムが好ましく、走行性を改
善するためその表面に粒径50〜200μmの無機フィ
ラーを付与したものが好ましい。また、非磁性支持体の
内部にフィラーを含有し、非磁性支持体表面に凹凸を形
成したものでも良い。
【0052】また、電磁変換特性を改善するため重層構
成としたり、非磁性下地層や中間層を有していても良
い。
【0053】前記バックコート層としては、一般的なカ
ーボンブラック、樹脂結合剤、潤滑剤からなるものが挙
げられるが、前記のように本発明の脂肪酸エステル化合
物であるフッ素系潤滑剤を含有していても良い。
【0054】本発明の磁気記録媒体は耐食性に優れる
が、複素環類の防錆剤を併用するとさらに耐食性を高め
ることができる。本発明で使用できる防錆剤を例示する
とベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、
ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核に
アルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、
2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン
環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有
複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。
【0055】このような目的で使用可能なテトラザイン
デン環化合物には、下記に示すものが挙げられる。
【0056】
【化1】
【0057】ここで、Rには、アルキル基、アルコキシ
基、アルキルアミド基から選ばれる炭化水素基である。
【0058】特に好ましくは、炭素数3以上20以下で
あり、アルコキシの場合にはROCOCH2−のRは、
37−、C613−、フェニル、またアルキル基の場
合には、C613−、C919−、C1735−が挙げら
れ、アルキルアミドの場合にはRNHCOCH2−のR
はフェニル、C37−が挙げられる。
【0059】また、チオウラシル環化合物には、下記に
示すものが挙げられる。
【0060】
【化2】
【0061】ここで、Rは炭素数が3以上である、水素
以外の置換基を含んでも良い炭化水素基である。
【0062】防錆剤を使用する方法は磁性層上に付与す
る方法と、バックコート層中に付与する方法のどちらも
使用可能であるが、走行耐久性との両立や繰り返し摺動
後の耐食性を考慮すると、バックコート層への添加が特
に有効である。
【0063】
【作用】本発明は、非磁性支持体上の少なくとも一方の
面に強磁性金属薄膜からなる磁性層を有する磁気記録媒
体において、リン酸モノエステル化合物と脂肪酸エステ
ル化合物からなる潤滑剤を磁性層上に形成した磁気記録
媒体であり、磁気記録媒体の巻取り時に脂肪酸エステル
化合物がバックコート層から磁性層上に強固に吸着した
リン酸モノエステル化合物層上に転写して潤滑作用を発
揮するので、長期にわたり走行特性の優れた磁気記録媒
体が得られる。
【0064】
【実施例】以下に、本発明の実施例および比較例を示
し、本発明をさらに詳細に説明する。実施例1 表面に粒径18nmのシリカの球状フィラーを有する厚
さ10μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に
コバルト−ニッケル合金Co95Ni5を酸素含有雰囲気
中で磁性金属蒸気流の前記ポリエチレンテレフタレート
フイルムに対する入射角が45°となるようにして、7
0nmの厚さで2回斜め蒸着し、全厚140nmの2層
構成の強磁性金属膜を得た。なお、2層とも薄膜を構成
する磁性金属の柱状結晶の傾きは同じ向きとなるように
した。
【0065】熱処理によって磁性層のカールを修正した
後、磁性層上にリン酸モノエステル化合物としてC12
25OPO32のメチルエチルケトン溶液を磁性層上での
塗布量が20μmol/m2 となるように塗布し、乾燥
した。
【0066】続いてカーボンブラックと樹脂結合剤から
なる樹脂組成物を磁性層を形成した面とは反対の面に塗
布し、乾燥しバックコート層を形成した後、このバック
コート層上に脂肪酸エステル化合物としてC817CO
OC1837 をエタノールに溶解した溶液を20μmo
l/m2 となるように塗布、乾燥して巻き取った。この
原反を8mm幅に裁断して評価用の磁気記録媒体を作製
した。
【0067】実施例2 実施例1において、脂肪酸エステル化合物をC919
OO(CH22817に替えた以外は、実施例1と同
一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0068】実施例3 実施例1において、脂肪酸エステル化合物をC1735
OO(CH22817に替えた以外は、実施例1と同
一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0069】実施例4 実施例1において、脂肪酸エステル化合物をC1733
OO(CH22817に替えた以外は、実施例1と同
一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0070】実施例5 実施例1において、脂肪酸エステル化合物をC8
17(CH210COOC1837に替えた以外は、実施例
1と同一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0071】実施例6 実施例1において、脂肪酸エステル化合物をC6
13(CH210COOC1837に替えた以外は、実施例
1と同一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0072】実施例7 実施例1において、脂肪酸エステル化合物をC6
13(CH210COO(C222817に替えた以外
は、実施例1と同一の条件で磁気記録媒体を作製した。
実施例8 実施例1において、リン酸モノエステル化合物をC8
17OPO32に替えた以外は、実施例1と同一の条件で
磁気記録媒体を作製した。
【0073】実施例9 実施例1において、リン酸モノエステル化合物をC16
33OPO32に替えた以外は、実施例1と同一の条件で
磁気記録媒体を作製した。
【0074】実施例10 実施例1において、リン酸モノエステル化合物をC20
41OPO32に替えた以外は、実施例1と同一の条件で
磁気記録媒体を作製した。
【0075】実施例11 実施例1において、リン酸モノエステル化合物をC17
33OPO32に替えた以外は、実施例1と同一の条件で
磁気記録媒体を作製した。
【0076】実施例12 表面に粒径18nmのシリカの球状フィラーを有する厚
さ10μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に
コバルト−ニッケル合金(Co:95重量%、Ni:5
重量%)を酸素含有雰囲気中で磁性金属蒸気流の前記ポ
リエチレンテレフタレートフイルムに対する入射角が4
5°となるようにして、70nmの厚さで2回斜め蒸着
し、全厚140nmの2層構成の強磁性金属膜を得た。
なお、2層とも薄膜を構成する磁性金属の柱状結晶の傾
き同じ向きとなるようにした。次いで、前記強磁性金属
薄膜の表面に以下の条件でプラズマCVD法により、厚
さが約80Åのダイヤモンドライクカーボン保護膜を作
製した。
【0077】原料ガス及び流量 : CH4
150sccm、Ar 50sccm プラズマ励起電力 : 13.56MHz、6
00W 基板バイアス電圧 : −400V アノードバイアス電圧 : 500V 熱処理によって磁性層のカールを修正した後、前記保護
層上にリン酸モノエステル化合物として、リン酸モノラ
ウリル(C1225OPO3H) のメチルエチルケトン溶
液を10μmol/m2 となるように塗布し、乾燥し
た。
【0078】続いてカーボンブラックと樹脂結合剤から
なる樹脂組成物を磁性層を形成した面とは反対の面に塗
布し、乾燥しバックコート層を形成した後、このバック
コート層上に脂肪酸エステル化合物としてC817CO
OC1837 をエタノールに溶解した溶液を20μmo
l/m2 となるように塗布、乾燥して巻き取った。
【0079】実施例13 実施例12において、脂肪酸エステル化合物をC1735
COOiso-C817に替えた以外は、実施例12と同一
の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0080】比較例1 実施例1において、バックコート層上に脂肪酸エステル
化合物を塗布しなかった以外は、実施例1と同一の条件
で磁気記録媒体を作製した。
【0081】比較例2 実施例1において、強磁性金属薄膜上にリン酸モノエス
テル化合物を塗布しなかった以外は、実施例1と同一の
条件で磁気記録媒体を作製した。
【0082】比較例3 実施例1において、リン酸モノエステル化合物として、
1735COOHを使用した以外は、実施例1と同一の
条件で磁気記録媒体を作製した。
【0083】比較例4 実施例1において、リン酸モノエステル化合物にとし
て、C1837SO3Hを使用した以外は、実施例1と同
一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0084】比較例5 実施例1において、リン酸モノエステル化合物にとし
て、(C18372PO2Hを使用した以外は、実施例1
と同一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0085】比較例6 実施例1において、リン酸モノエステル化合物にとし
て、(C18373POを使用した以外は、実施例1と
同一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0086】比較例7 実施例1において、リン酸モノエステル化合物にとし
て、(C18373Pを使用した以外は、実施例1と同
一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0087】比較例8 実施例1において、リン酸モノエステル化合物にとし
て、C613OPO32を使用した以外は、実施例1と
同一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0088】比較例9 実施例1において、リン酸モノエステル化合物としてC
1225OPO32を、脂肪酸エステル化合物としてC7
15COOC25を使用した以外は、実施例1と同一の
条件で磁気記録媒体を作製した。
【0089】比較例10 実施例1において、リン酸モノエステル化合物としてC
1225OPO32を、脂肪酸エステル化合物としてC8
17(CH210COOC49を使用した以外は、実施
例1と同一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0090】比較例11 実施例1において、リン酸モノエステル化合物としてC
1225OPO32を、脂肪酸エステル化合物としてC8
17(CH210COOC613を使用した以外は、実施
例1と同一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0091】実施例14 実施例1において強磁性金属としてCoが99.999
%のものを使用して強磁性金属薄膜をポリエチレンテレ
フタレート上に形成した以外は、実施例1と同一の条件
で磁気記録媒体を作製した。
【0092】比較例12 実施例1において強磁性金属としてCoが99.999
%のものを使用して強磁性金属薄膜をポリエチレンテレ
フタレート上に形成し、さらにリン酸モノエステル化合
物をC613OPO32に替えた以外は、実施例1と同
一の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0093】比較例13 実施例1において強磁性金属としてCoが99.999
%のものを使用して強磁性金属薄膜をポリエチレンテレ
フタレート上に形成し、さらに脂肪酸エステル化合物を
715COOC25に替えた以外は、実施例1と同一
の条件で磁気記録媒体を作製した。
【0094】以上の各実施例、比較例で作製した磁気記
録媒体を下記の評価方法によって評価をし、その評価結
果を表1および表2に示す。
【0095】〔評価方法〕 摩擦係数(μ値)の測定 23℃70%RHの環境において磁気記録媒体とステン
レスポール(材質SUS420J)とを20gの張力
(T1 )で巻き付け角180°で接触させた、磁気テー
プを3.3cm/秒の速度で走行させるのに必要な張力
(T2 )を測定し、下記計算式により磁気テープの、摩
擦係数μを求めた。
【0096】μ=1/π・ln(T2 /T1 ) スチル耐久性の測定 23℃10%RHの環境において、8mmVTR(富士
写真フイルム(株)製FUJIX−M6)を使用して走
行テンション20gでカラーバー画像を記憶した後、ス
チル制限機構を動作させないでスチル状態で画像を再生
し、出力が初期の−6dBとなるまでの時間を測定して
評価した。
【0097】繰り返し走行耐久性の評価 23℃10%および70%RHの環境において、8mm
VTR(SONY CV10)を使用し、60分長の磁
気記録媒体を100パス連続して再生させた。100パ
ス走行後出力を測定し、初期出力に対する相対値を出力
低下とした。また走行後のヘッドを顕微鏡観察し、ヘッ
ドの摺動面および非摺動面ともに汚れがみられなかった
場合を◎、摺動面に汚れはないが非摺動面にわずかに汚
れがみられた場合を○、摺動面には汚れはないが非摺動
面にかなりの汚れがみられた場合を△、摺動面に若干の
汚れが観察され非摺動面に汚れが観察されたものを△
×、摺動面および非摺動面ともに汚れが観察されたもの
を×とした。
【0098】亜硫酸ガス耐食性 27℃、80%RH、亜硫酸ガス1ppmの環境に磁気
記録媒体を72時間保存し、保存後のテープ表面を目視
観察し、試験前とほとんど変化が見られないものを○、
テープ全面の金属光沢は残っているものの腐食が観察さ
れるものを△、磁性層の一部もしくは全部が腐食により
溶解したものを×とした。
【0099】高温高湿保存性 60℃、90%RHの環境にテープをリール巻きの状態
で72時間保存し、バック面と接触した部分の可視光反
射率を測定し、試験前の反射率と比較した。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【発明の効果】本発明は、非磁性支持体上に強磁性金属
薄膜からなる磁性層を有する磁気記録媒体において、こ
の磁性層上にリン酸モノエステル化合物と脂肪酸エステ
ル化合物とを含有する潤滑層を設けたので、極めて優れ
た走行耐久性を有しており、電磁変換特性は優れている
が耐久性あるいは耐食性の確保しがたいコバルトの含有
率が高い強磁性金属薄膜であっても磁気記録媒体におい
ても充分な耐久性および耐食性を得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性金属薄膜からな
    る磁性層を有する磁気記録媒体において、この磁性層上
    に下記のリン酸モノエステル化合物および脂肪酸エステ
    ル化合物とを含有する潤滑層を設けたことを特徴とする
    磁気記録媒体。 R1 −OPO(OH)2 ただし、R1 は炭素数8〜26の炭化水素基である。 R2 −COO−R3 ただし、R2 およびR3 は炭素数8〜26の炭化水素基
    またはその一部または全部の水素原子をフッ素原子で置
    換したフッ素炭化水素基であって、R2 とR3 は同一で
    あっても異なっていても良い。
  2. 【請求項2】 潤滑層がリン酸モノエステル化合物の層
    上に脂肪酸エステル化合物の層を形成したものから構成
    されていることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 脂肪酸エステル化合物が、非磁性支持体
    の磁性層を設けた面と反対側の面に形成したバックコー
    ト層中もしくはその表面に存在することを特徴とする請
    求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層上に形成した無機保護膜上に潤滑
    層が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 磁性層を構成する金属元素の90原子%
    以上がコバルトであることを特徴とする請求項1ないし
    4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0686967A1 (en) * 1994-05-18 1995-12-13 Fuji Photo Film Co., Ltd. Magnetic recording medium

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