JP3292561B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3292561B2
JP3292561B2 JP20948093A JP20948093A JP3292561B2 JP 3292561 B2 JP3292561 B2 JP 3292561B2 JP 20948093 A JP20948093 A JP 20948093A JP 20948093 A JP20948093 A JP 20948093A JP 3292561 B2 JP3292561 B2 JP 3292561B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性層上に有機フッ素化
合物を含有する潤滑層を有する磁気記録媒体に関し、と
くに走行性、耐久性および保存性に優れた金属薄膜型磁
気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】ハイビジョン放送、デジタル放送等の高
密度記録での磁気特性の向上のため、蒸着等によって形
成した薄膜金属型の磁気記録媒体が、従来の塗布型磁気
記録媒体に代わって必要とされるようになっている。し
かし、薄膜金属型磁気記録媒体は、記録層の金属層が磁
気記録媒体の表面に形成されており、金属層は通常、金
属表面に生じた極めて薄い酸化物層で保護されているの
みであり、薄膜金属型磁気記録媒体の走行性、耐久性、
繰り返し使用での走行性、保存性等の大幅な改善・向上
の技術改善が待ち望まれている。また高密度記録再生を
するため磁気ヘッドもリングヘッド等の特殊な薄膜ヘッ
ドを用いる必要が生じる。しかしこのような磁気ヘッド
は磁気記録媒体の潤滑剤等による腐食に極度に弱いとい
う問題がある。
【0003】そこで、種々の潤滑剤を薄膜金属層の表面
に塗布することが提案されている。
【0004】例えば、パーフルオロカルボン酸パーフル
オロアルキルエステル Cn2n+1RCOO(CH2
m OCk2k+1を用いることが特開昭63−9011号
公報において提案されており、またカルボン酸パーフル
オロアルキルエステル RCOO(CH2 m m
2m+1を用いることが、特開昭62−256218号公報
において記載されている。特開昭62−236120号
公報には、カルボン酸パーフルオロアルキルエステルと
極圧剤を用いることが記載されており、特開昭62−2
36119号には、カルボン酸パーフルオロアルキルエ
ステルとパーフルオロポリエーテルとを用いることが記
載されている。また、特開昭63−298709号公報
には、Cn 2n+1(CH2 mX (Xは、OH、CO
OH、COOR)を高級脂肪酸、エステル、アルコール
の1種以上とを混合して使用することが記載されてい
る。さらに、特開平3−241523号公報には、Rf
COOR(Rfは、一部がフッ素であるアルキル基、R
は炭素数5以下のアルキル基)を使用することが記載さ
れている。ところがこれらの潤滑剤はいずれもエステル
結合を有する化合物であり、低温での走行性、摩擦係数
が不十分であり、防錆性が不足し、長期保存すると錆が
発生して、走行性、耐久性が劣化するものであった。
【0005】また、特開昭62−266728号公報に
は、カルボン酸パーフルオロアルコキシアルキルエステ
ル RCOO(CH2 n OCm 2m+1を用いた磁気記
録媒体が記載されている。これは、低温での走行性、摩
擦係数の面で改善されているものの不十分なものであ
り、また錆の面では改善はみられない。
【0006】また、フッ素系界面活性剤あるいは、SO
3 Na、SO3 K、SO3 H等の基を有するフッ素系炭
化水素、具体的にはC8 17SO2 F、パーフルオロア
ルキルポリオキシエチレンの末端にOH、SO3 M、R
fCONH(CH2 3 (Rfはパーフルオロアルキル
基)を有する末端ベタイン構造等の化合物を金属薄膜型
磁気記録媒体の潤滑剤とすることが特公平3−1960
2号公報に記載されているが、μ値、スチル耐久性、保
存性のすべてを充分に満たすものではなく、しかもこれ
らのフッ素系化合物は炭化水素系溶剤には溶解せず、塗
布にフッ素系の溶剤等の特殊な溶剤を必要とした。
【0007】Rf−Rh−Xの構造、すなわちパーフル
オロアルキル基−アルキル基−極性基を有する単分子膜
を金属薄膜型の磁性層上に形成することが、特開昭64
−72313号公報に記載されている。これはμ値にお
いては改善がみられるものの、ラングミュア−ブロジェ
ット膜(LB膜)による単分子膜の形成は、生産性が悪
く実用的ではない。また、スチル耐久性、保存性が劣
り、炭化水素系溶剤への溶解性が不十分である。
【0008】特開昭58−100228号公報には、パ
ーフルオロアルキル基とアルキル基とを結合した2本鎖
を有する潤滑剤が示され、C3 7 CH2 CO2 −の2
本鎖の潤滑剤を塗布型の磁気記録媒体へ適用することが
記載されているが、このような鎖長の短いものは薄膜金
属型の磁気記録層の保護層としては十分な摩擦係数の低
下を期待できず、また薄膜金属型磁気記録媒体へ応用し
たとき腐食性が大きく、しかも摩擦係数が高いという欠
点を有しており、さらに、塗布にはフッ素系溶剤に溶解
した塗布液を使用しなければならず、また潤滑剤そのも
のが加水分解しやすく長期間の保存には耐えないもので
ある。
【0009】また、フッ素系化合物として、Rf(CH
2 n COOのアンモニウム塩を使用したり、炭素数3
以上のフルオロアルキル基と炭素数8以上の脂肪族アル
キル基とOH基を有する化合物を潤滑剤とした金属薄膜
型磁気記録媒体が特開昭62−92227号公報に記載
されている。これらは、イソプロパノールに溶解させて
塗布することが可能であり、一歩進んだものであるが特
性的にはμ値、スチル耐久性、保存性がまだ不十分であ
り、とくに高温から低温まで、もしくは高湿度から低湿
度までの幅広い環境条件下で良好な特性を示すことはで
きない。
【0010】また、以上の潤滑剤以外にも、パーフルオ
ロアルキルポリエーテルおよびその誘導体(特開昭60
−61918号、特開昭61−107528号、米国特
許第3778308号、特公昭60−10368号、米
国特許第4897211号等)を使用することが記載さ
れているが、これらのフッ素系有機化合物の潤滑剤は、
摺動部材との低速の摩擦係数は高く不十分であり十分な
走行性を付与することはできず、かつ保存性についても
酸性雨等を想定した亜硫酸ガス等の酸性ガス腐食につい
ては磁性層離脱を起こし、実用に耐え得る磁気記録媒体
とはなり得ない。
【0011】また、脂肪酸および脂肪酸エステル等(特
公昭28−28367号、特公昭51−39081号、
特公昭51−30981号、特開昭56−80828
号、特開昭61−24017号)は、磁気ヘッドとの高
速摩擦が高く不十分であり、かつ亜硫酸ガス等の酸性ガ
ス腐食についても不十分である。
【0012】さらに、上記した潤滑剤の多くのものは、
通常の炭化水素系の有機溶剤への溶解性が劣り、フッ素
系の有機溶剤にのみに溶解するものが多く、磁気記録層
上に保護層として被覆する際にはフッ素系の有機溶剤を
使用しなければならならない。フッ素系有機溶剤は高価
であるとともに、オゾン層の破壊の原因物質であるなど
の自然環境保護上の重大な問題を抱えており、また製造
装置に悪影響を及ぼしたり、作業環境の悪化を起こす等
の大きな問題を有していた。
【0013】本発明は通常の炭化水素系有機溶剤に溶解
し、フッ素系溶剤使用の欠点を克服するとともに、記録
密度を飛躍的に向上させる蒸着やスパッタリングによっ
て得られる薄膜金属型の磁気記録媒体に走行性、耐久
性、保存性を付与するものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高密度記録
媒体、特に記録密度を飛躍的に向上させる薄膜金属型媒
体に走行性、耐久性、繰り返し耐久性、保存性を付与し
た磁気記録媒体を提供するものであり、屋外での使用に
有用なカムコーダ用の磁気記録媒体を提供するものであ
り、さまざまな温度湿度環境でも十分な走行性、耐久性
を持つ磁気記録媒体を提供するものであり、また炭化水
素系有機溶剤に溶解し、フッ素系溶剤を用いる場合のよ
うな環境問題を発生するおそれのない磁気記録媒体の製
造方法を提供するものであり、さらに高密度記録特性の
優れた薄膜ヘッドを腐食しない磁気記録媒体を提供する
ものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】非磁性支持体上に強磁性
金属薄膜を有する磁気記録媒体において、下記一般式
(1)また一般式(2)で表されるフッ素系化合物の少
なくとも何れか一方を含有する表面層を有する磁気記録
媒体である。 一般式(1) Rf−Rh−COO−(R1 O)n −R
2 一般式(2) Rf−Rh−COO−(R1 O)n −R
3 −Rf 但し、Rf:(CF3 a CF3-a (CF2 b a:1〜3 a+b:1〜11 n=1〜8 R1 :炭素数1以上4以下のアルキレン基 R2 :炭素数2から26のアルキル基またはアルケニル
基 R3 、Rh:炭素数2から14のアルキレン基またはア
ルケニレン基 また、強磁性金属薄膜上の炭素保護膜上に表面層を形成
した磁気記録媒体である。また、強磁性金属薄膜がコバ
ルトを90重量%以上含有する磁気記録媒体である。ま
た、表面層中に防錆剤もしくは極圧剤の少なくともいず
れか一方を含有した磁気記録媒体である。
【0016】本発明の磁気記録媒体のフッ素系化合物の
一般式(1)もしくは(2)において、さらに好ましく
は、Rfにおいて、aは1〜2、a+bは1〜10、n
は1〜3である。また、R1 、R2 、R3 、Rhは分岐
していても良く、 R1 :炭素数2もしくは3のアルキレン基 R2 :炭素数4〜18のアルキル基またはアルケニル基 R3 、Rh:炭素数4から10のアルキレン基またはア
ルケニレン基である。 Rfがこれよりも大きいと溶剤への溶解性が不足した
り、十分な走行性を示さない。Rfがこれよりも小さい
と耐久性、とくにスチル耐久性が不十分となる。nがこ
れよりも大きいと分子の流動性が劣化し、スチル耐久性
が劣化する。また、R1 が4以上となると吸着しづらく
なり、摩擦係数が上昇し、R2 、R3 がこれよりも大き
いと、耐久性、とくに出力低下が大きく好ましくない。
また、R2 、R3 がこれよりも小さいと溶剤への溶解性
が不足したりあるいは揮発性が高く十分な特性を発揮で
きない。
【0017】本願発明の特徴は、分子中央にエステル基
に隣接して特定の長さのアルキレンオキシド基を導入す
ることにより、分子の強磁性薄膜に対する吸着性を高
め、さらにエステル基をアルキレンオキシド基もアンカ
ー基としてオキソ酸ほど腐食性が大きくないので耐食性
にも優れている。したがって、過剰に塗布され強磁性薄
膜に吸着しない分子が存在してもその分子が磁気ヘッド
を腐食したりするおそれが少ないのである。さらに、ア
ルキレンオキシド基に隣接してアルキル基を結合させる
ことによりアルキレンオキシド基の親水性による腐食性
を弱めて、耐錆性を向上させている。そして、エステル
基もアルキレンオキシド基もともに分子間相互作用が小
さいので分子が独立に挙動し易く液体潤滑性を高めるこ
とができ磁気記録媒体の摩擦係数の低下させるの二効果
がある。
【0018】本発明の磁気記録媒体のフッ素系化合物
は、具体的には、 C613816COO(CH2CH2O)624498171429COO(C612O)C817 (CF32CFC1020COO(C612O)4142981724COO(C816O)2510CF(CF32 が挙げられる。これらのアルキレンオキシド含有フルオ
ロアルキルカルボン酸エステルは、相当するカルボン酸
クロライドとフッ素含有あるいは含有しないアルコキシ
アルコールとをトリエチルアミンのような塩基の存在下
で合成し、減圧蒸溜あるいは再結晶等の手段で精製する
ことによって得ることができる。
【0019】強磁性金属薄膜は、真空蒸着法、イオンプ
レーティング法、スパッタリング法、CVD法等の真空
成膜法にて成膜する。成膜は、単層、平行型多層、非平
行型多層等によって形成される。また、使用される金属
材料としては、鉄、コバルト、ニッケル等の金属の他
に、コバルト−ニッケル合金、コバルト−クロム合金、
コバルト−白金合金、鉄−コバルト合金等のコバルト系
合金等が挙げられる。また、とくにコバルトあるいはコ
バルト−ニッケル合金を蒸発源として微量酸素雰囲気中
で蒸着したCo−O系、CoNi−O系強磁性金属薄膜
が、磁気特性、電磁変換特性、耐候性、耐久性がバラン
スが良く、より好ましい。磁性層厚みは0.1〜0.3
μmであることが好ましい。
【0020】また、磁性薄膜のニッケルの比率が比較的
多いCoNi合金の組成であると、結晶学的な不均一性
が大きいために、極性基が吸着し易い活性な点が多かっ
た。そのため、極性基含有の保護層用の有機化合物も吸
着し易かった。ところが、磁気特性を向上させ電磁変換
特性を高めるためにコバルトを多くしていくとそのよう
な活性点が減少し保護層用素材の吸着がし難くなるが、
本願発明のフッ素系化合物では、吸着特性が良好でコバ
ルトが多い組成であっても吸着が容易で保護効果の劣化
が起こりにくい。コバルトの比率として望ましくは90
重量%で以上であり、より好ましくは、95重量%以
上、最も望ましくは100重量%である。コバルト以外
には、ニッケル、クロム等を含むことができる。
【0021】金属薄膜磁性層には、プラズマCVD等に
より、CH4 、C2 6 、C3 8、C4 10等のアル
カン、CH2 =CH2 、CH3 CH=CH2 等のアルケ
ン、CH≡CH等のアルキン等をはじめ炭素化合物を供
給して得られる炭素保護膜を形成した後に塗布等によっ
て本発明の潤滑剤を付与することができる。
【0022】非磁性支持体には、厚さ5μm〜15μm
のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレ
ート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドポリイミド
等の他にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂製のフィルムが好
ましく、磁性層厚みは、0.1〜0.3μmであること
が好ましい。また、磁気記録媒体の耐久性、走行性等の
向上のために、この非磁性支持体表面に適当な表面粗さ
を付与することが好ましい。例えば、しわ状突起、山状
突起、粒状突起等のこの技術分野で公知の手法を採用す
ることができる。さらに、磁気記録媒体にはバックコー
ト層、磁性層用下塗り層を設けていることが更に走行
性、耐久性等に有利である。
【0023】本発明の潤滑剤は、有機溶剤に溶解してコ
イルバー等通常の塗布方法によって磁性層表面に塗布す
る。その際、本発明の化合物は通常のアセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン、メタノール、エタノール及びイソプロパノールか
ら選ばれる少なくとも1種の炭化水素系溶剤に溶解する
ので、フッ素系の有機溶剤を使用することなく塗布、乾
燥して磁気記録媒体を製造することができる。
【0024】また、本発明の有機フッ素化合物からなる
潤滑剤に他の潤滑剤を併用しても良い。例えば下記で示
されるパーフロオロポリエーテル CF3 −(CFRfCF2 −O)−nCF2 CF3 あるいはこの末端がOH、COOH等で変性されている
物が用いられる。ここでRfはCF3 、Fであり、分子
量は1000〜20000、好ましくは2500〜10
000のものが挙げられる。具体的にはデュポン社製
KRYTOX K143AZ、同K157FSL、モン
テフルオス社製 FOMBLIN AM2001、ダイ
キン工業製 DEMNUMSYなどである。
【0025】本発明の潤滑剤の塗布量は、1.0〜50
mg/m2 が好ましく、とくに3〜30mg/m2 とす
ることが好ましい。また、本発明の潤滑剤は、腐食性が
少ないが、窒素原子を含む複素環化合物で、OH基また
はSH基を有する炭素数3以上の炭化水素基を置換した
化合物を防錆剤として併用することが好ましく、とくに
テトラザインデン環化合物及び/又はチオウラシル環化
合物からなる防錆剤を含有することによって磁気記録媒
体としての特性を高めることができる。このような目的
で使用可能なテトラザインデン環化合物には、下記に示
すものが挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】ここで、Rには、アルキル基、アルコキシ
基、アルキルアミド基から選ばれる炭化水素基である。
とくに好ましくは、炭素数3以上26以下であり、アル
コキシの場合にはROCOCH2− のRは、C3
7−、C6 13−、フェニル、またアルキル基の場合に
は、C6 13−、C9 19−、C1735−が挙げられ、
アルキルアミドの場合にはRNHCOCH2− のRはフ
ェニル、C3 7− が挙げられる。また、チオウラシル
環化合物には、下記に示すものが挙げられる。
【0028】
【化2】
【0029】ここで、Rは炭素数が3以上である炭化水
素基である。防錆剤の塗布量は潤滑剤は1.0〜50m
g/m2 に対して、0.01〜5.0mg/m2 が好ま
しい。特に好ましくは潤滑剤3〜30mg/m2 に対し
て防錆剤0.1〜10mg/m2 である。
【0030】また、本発明の磁気記録媒体において、極
圧剤としてリン酸エステル、リン酸エステルの塩、亜リ
ン酸エステル、亜リン酸エステルの塩、チオリン酸エス
テル、チオリン酸エステルの塩、チオ亜リン酸エステル
及びチオ亜リン酸エステルの塩を用いることができる。
【0031】
【化3】
【0032】ただし、Rは炭素数が1〜25のアルキル
基、アルコキシアルキル基、あるいはフェニルアルキル
基、アルキルフェニル基を含むアラルキル基、あるいは
フルオロアルキル基から選ばれた少なくとも1種を表
し、Zは、酸素あるいは硫黄、nは、1以上3以下の整
数を表す。nが2以上の場合はRは同一であっても異な
るものでもよい。また、Mは、水素原子、1価のアルカ
リ金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムを表す。
極圧剤としては、具体的にはリン酸エステル、亜リン酸
エステル、チオリン酸エステル、チオ亜リン酸エステル
および、それらのエステルの塩が挙げられ、具体的に
は、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェー
ト、ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリ−2−
エチルヘキシルホスフェート、トリス−2−ブトキシエ
チルホスフェート、トリラウリルホスフェート、トリオ
レイルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチ
ルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジオレイル
ホスフェート、フェニルホスフェート、トリフェニルホ
スフェート、ジフェニルホスフェート、イソプロピルホ
スフェート、ジ−n−ブチルホスフェート、トリアリル
ホスフェート、トリ−n−アミルホスフェート、トリク
レジルホスフェート、トリ−n−アミルホスフェート、
モノ−n−ドデシルホスフェートナトリウム塩、メチル
α−ナフチルエチルホスフェートナトリウム塩等のリン
酸エステルあるいはその塩、トリメチルホスファイト、
トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、ト
リイソプロピルホスファイト、トリオクチルホスファイ
ト、トリラウリルホスファイト、トリオレイルホスファ
イト、トリステアリルホスファイト、トリデシルホスフ
ァイト、トリイソデシルホスファイト、トリフェニルホ
スファイト、トリ−2−エチルヘキシルホスファイト、
ジメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、ジブチ
ルホスファイト、ジイソプロピルホスファイト、ジオク
チルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジラウリ
ルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニル
ホスファイト、ジ−2−エチルヘキシルホスファイト、
トリクレジルホスファイト等の亜リン酸エステルおよび
それらの塩類、トリチオ亜リン酸エステル等のチオ亜リ
ン酸エステル類、ジブチルホスフェートブチルアミン
塩、ジブチルホスフェートオクチルアミン塩、ジブチル
ホスフェートステアリルアミン塩、ジオクチルホスフェ
ートブチルアミン塩、ジオクチルホスフェートオクチル
アミン塩、ジオクチルホスフェートラウリルアミン塩、
ジオクチルホスフェートステアリルアミン塩、ジ−2−
エチルヘキシルホスフェートブチルアミン塩、ジ−2−
エチルヘキシルホスフェートオクチルアミン塩、ジ−2
−エチルヘキシルホスフェートラウリルアミン塩、ジ−
2−エチルヘキシルホスフェートステアリルアミン塩、
ジラウリルホスフェートブチルアミン塩、ジラウリルホ
スフェートオクチルアミン塩、ジラウリルホスフェート
ブチルアミン塩、ジオレイルホスフェートラウリルアミ
ン塩、ジオレイルホスフェートオクチルアミン塩、ジオ
レイルホスフェートラウリルアミン塩、ジオレイルホス
フェートステアリルアミン塩等のリン酸エステルアミン
塩が挙げられる。
【0033】また、極圧剤として使用するリン酸エステ
ル類の塗布量は、1〜50mg/m2 とすることが好ま
しく、3〜30mg/m2 とすることがとくに好まし
い。塗布量があまり少ないと充分な潤滑性を得ることが
できず、またあまり多くなるとヘッド汚れや、ヘッド貼
り付きを起こし、安定した出力が得られなくなる。これ
らのエステル類は、1種類のみではなく混合物を用いる
こともできる。
【0034】本発明のエステル類においては、一般式
(3)あるいは(4)において、Rは炭素数12以上2
2以下であることがとくに好ましく、炭素数がこれ以下
であると加水分解を受け易くなる。また、炭素数が4以
下のアルキル基の場合には、分解したアルキル基がC4
以下となり系外に容易に揮散するために、潤滑性に悪影
響をおよぼさない。リン酸エステル化合物と有機フッ素
化合物からなる潤滑剤との混合比率は、任意の比率で使
用することが可能であるが、潤滑剤の1/10〜1/5
であることが好ましい。
【0035】防錆剤と潤滑剤あるいは極圧剤と潤滑剤あ
るいは防錆剤、極圧剤と潤滑剤を同時に塗布してもよい
が、防錆剤あいは極圧剤を先に塗布した後で潤滑剤を塗
布する方法が効果的である。塗布の方法は有機溶剤に溶
解してコイルバー等通常の塗布方式で塗布する。また、
塗布面は磁性層側でもバックコート層側でも構わない。
【0036】
【作用】本発明の磁気記録媒体は、フッ素基含有潤滑剤
として、エステルにアルキレンオキシド基を導入するこ
とにより、フッ素系エステルの融点を低下させ、流動性
を保持し、高速摺動性を向上させることができ、アルキ
レンオキシドは親水性であるため磁性層に対し吸着性を
もち、低速走行でも膜切れせず摩擦係数を低減させ防錆
性を発揮する。また、アルキレンオキシド基は炭素表面
の吸着水との親和性が良好であるものと考えられ、薄膜
金属の表面に炭素保護層を形成したことにより好ましい
効果を発揮する。さらにアルキレンオキシド基は酸性を
示さないのでヘッド腐食等についても問題なく好ましい
結果を発揮とする。
【0037】
【実施例】以下に、本発明の実施例および比較例を示
し、本発明をさらに説明する。厚さ7μmのポリエチレ
ンテレフタレート上にコバルト−ニッケル磁性膜(膜厚
150nm)を斜め蒸着し、磁性金属薄膜層を設けた。
蒸着は、コバルト−ニッケル合金(Co:90重量%、
Ni:10重量%)を電子ビームによって蒸発し、真空
度6.7×10-3N/m2 中にて酸素ガスを導入しつつ
入射角が50度となるよう斜め蒸着を行った。次に図1
に示すように金属薄膜層上に、メタンを原料にプラズマ
CVD法により8nmの膜厚の炭素膜を形成した。プラ
ズマは、400Wの高周波電力を印加して、パスローラ
を介して磁性層表面には−400Vの直流電圧を印加
し、気体導入部に設置されたアノードには+500Vの
直流電圧を印加し、発生したプラズマを加速させて磁性
層表面に炭素膜を形成した。こうして得られた磁気テー
プの原反に表1記載の潤滑剤をコイルバーで塗布・乾燥
した。また、非磁性支持体の金属薄膜が形成されていな
い面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤と
を有機溶剤に分散したバック層形成塗料を塗布してバッ
クコート層を形成した。次いで、8mm幅にスリットし
て磁気テープを作成した。実施例、比較例を下記の評価
方法による評価結果とともに表1および表2に記載し
た。比較例は(比)と表した。
【0038】[評価方法] 摩擦係数の測定 得られた磁気テープとステンレスポールとを50gの張
力(T1 )で巻き付け角180°で接触させて磁気テー
プを3.3cm/秒の速度で走行させるのに必要な張力
(T2 )を測定し、下記計算式により磁気テープの摩擦
係数μを求めた。 μ=1/π・ln(T2 /T1 ) 摩擦係数は、A)60℃、70%RHと、 B)−10
℃ 50%RHで測定した。 スチル耐久性の測定 スチル耐久性は、8mmVTR(富士写真フィルム
(株)製 HI8 FH125SW型)を使用して録画
した後に、スチル制限機構を動作させないで、スチル状
態で画像を再生し、画像が出なくなるまでの時間を測定
して評価した。スチル耐久性は、A条件)そのままのも
の(保存前)と B条件)60℃ 90%RHの環境に
7日間保存したものを −10℃ 10%RHで測定し
た。 保存性の評価 下記環境に保存し、保存後の磁性層表面を目視および光
学顕微鏡で観察した。 Cl2 :10ppb、NO2 :200ppb、H2 S:
10ppb 上記3種混合ガスの流量:1000リットル/H 温湿度:60℃ 80%RH 保存日数:10日間 評価基準 ○‥磁性層表面を200倍の光学顕微鏡で観
察したとき腐食がまったく見られない △‥同上で腐食が見られるが、肉眼観察で磁性層表面の
金属光沢が認められる ×‥肉眼で観察したとき磁性層表面に金属光沢がない ヘッドの腐食試験 薄膜ヘッドとテープを接触させて60℃80%RHで3
日間保存したときのヘッドの腐食を顕微鏡(200倍)
で観察した。
【0039】評価基準 ○‥ヘッド表面を200倍の顕
微鏡で観察したとき腐食がまったく見られない △‥同上でテープが接触していた部分に斑点状に腐食が
見られる ×‥同上でテープが接触していた部分全体に腐食が見ら
れる
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明のフッ素系潤滑剤は、エステルに
アルキレンオキシド基を導入することによりフッ素系エ
ステルの融点を下げ、流動性をもたせ、高速摺動性を向
上させるとともに、親水性のアルキレンオキシドの磁性
層への吸着により、低速走行でも膜切れせず摩擦係数が
低減させるとともに、カルボン酸パーフルオロアルコキ
シエステルに比べて防錆性が大きく向上する。さらに、
薄膜金属層の表面に炭素からなる保護層を形成した後に
潤滑層を形成し、またテトラザインデン環を有する化合
物もしくはチオウラシル化合物、リン酸塩、チオリン酸
塩からなる極圧剤を併用することによってさらに大きな
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜金属層上に炭素膜の形成方法を説明する図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 博司 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富士写真フイルム株式会社内 (72)発明者 沖田 務 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富士写真フイルム株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−251431(JP,A) 特開 昭63−298709(JP,A) 特開 昭62−236119(JP,A) 特開 昭62−236120(JP,A) 特開 平4−87019(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/72 C10M 105/54 G11B 5/71

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を有す
    る磁気記録媒体において、下記一般式(1)また一般式
    (2)で表されるフッ素系化合物の少なくとも何れか一
    方を含有する表面層を有することを特徴とする磁気記録
    媒体。 一般式(1) Rf−Rh−COO−(R1 O)n −R
    2 一般式(2) Rf−Rh−COO−(R1 O)n −R
    3 −Rf 但し、Rf:(CF3a CF3-a (CF2b a:1〜3 a+b:1〜11 n=1〜8 R1:炭素数1以上4以下のアルキレン基 R2:炭素数2から26のアルキル基またはアルケニル
    基 R3、Rh:炭素数2から14のアルキレン基またはア
    ルケニレン基
  2. 【請求項2】 強磁性金属薄膜上の炭素保護膜上に表面
    層を形成したことを特徴とする請求項1記載の磁気記録
    媒体。
  3. 【請求項3】 強磁性金属薄膜がコバルトを90重量%
    以上含有する請求項1もしくは2に記載の磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 表面層中に防錆剤を含有する請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 表面層中に極圧剤を含有する請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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