JP3225726B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3225726B2
JP3225726B2 JP2865494A JP2865494A JP3225726B2 JP 3225726 B2 JP3225726 B2 JP 3225726B2 JP 2865494 A JP2865494 A JP 2865494A JP 2865494 A JP2865494 A JP 2865494A JP 3225726 B2 JP3225726 B2 JP 3225726B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は優れた潤滑効果を発揮す
る潤滑剤を保有する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、強磁性金属材料を蒸着等の手法
により非磁性支持体上に被着し、これを磁性層としたい
わゆる金属薄膜型の磁気記録媒体では、磁性層表面の平
滑性が極めて良好であるため、磁気ヘッドやガイドロー
ラー等の摺動部材に対する実質的な接触面積が大きく、
従って摩擦係数が大きくなり凝着現象(いわゆる張り付
き)が起き易く走行性や耐久性に欠ける等問題点が多
い。
【0003】そこで、これら問題点を改善するために各
種の潤滑剤を使用することが検討されており、従来より
高級脂肪酸やそのエステル等の化合物を上記磁気記録媒
体の磁性層にトップコートすることにより摩擦係数を抑
えようとする試みがされている。
【0004】ところで、磁気記録媒体に使用される潤滑
剤には、その性質上非常に厳しい特性が要求され、従来
用いられている潤滑剤では対応することが難しいのが現
状である。
【0005】即ち、磁気記録媒体に使用される潤滑剤に
は、(1)寒冷地での使用に際して所定の潤滑効果が確
保されるように低温特性に優れること、(2)磁気ヘッ
ドとのスペーシングが問題となるので極めて薄く塗布で
きることと、その場合にも十分な潤滑特性が発揮される
こと、(3)長時間、あるいは長時間の使用に耐え、潤
滑効果が持続すること等が要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来より使
用されていた高級脂肪酸やそのエステル等の化合物は、
0℃以下のような低温条件上では潤滑剤としての機能が
損なわれたり、長時間の耐久性に欠ける傾向にある。
【0007】そして、磁気録媒体の分野においては、上
述のように使用される潤滑剤の能力不足に起因して、走
行性耐久性等の実用特性に不満を残している。
【0008】そこで本発明は、各種使用条件下において
優れた潤滑性が保たれるとともに、長時間にわたり潤滑
効果が持続される潤滑剤を保有させることにより、走行
性、耐摩耗性、耐久性等に優れた磁気記録媒体を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明等は、上述の目的
を達成せんものと鋭意研究を重ねた結果、ピロール−2
−カルボン酸エステル,フラン−2−カルボン酸エステ
ル,チオフェン−2−カルボン酸エステルなる化合物よ
りなる潤滑剤を保有させることにより、上述の目的に適
合する磁気記録媒体を提供できることを見いだし本発明
を完成するに至ったものである。
【0010】即ち、本発明は、非磁性支持体上に少なく
とも磁性層を有してなる磁気記録媒体において、前記磁
性層上に保護膜が形成され、該保護膜表面にピロール−
2−カルボン酸エステル(化4なる一般式で示され
る。)、または、フラン−2−カルボン酸エステル(化
5なる一般式で示される。)、または、チオフェン−2
−カルボン酸エステル(化6なる一般式で示される。)
なる化合物よりなる潤滑剤を保有するものである。
【0011】
【化4】
【0012】
【化5】
【0013】
【化6】
【0014】ここで、本発明が適用される磁気記録媒体
としては、非磁性支持体表面に蒸着等の手法により磁性
塗膜が磁性層として形成される、いわゆる金属薄膜型の
磁気記録媒体が挙げられる。また、この金属薄膜型の磁
気記録媒体において非磁性支持体と磁性層との間に下地
層を介した構成のものにも適用することができる。
【0015】この場合には、適用可能な金属薄膜型の磁
気記録媒体の非磁性支持体、金属磁性薄膜は何等限定さ
れるものではなく、従来より知られるものが何れも使用
できる。非磁性支持体としては、従来公知の材料が何れ
も使用でき特に限定されない。例えば、Al合金板やガ
ラス板等の剛性を有する基板を使用した場合には、基板
表面にアルマイト処理等の酸化皮膜やNi−P皮膜等を
形成してその表面を硬くするようにしてもよい。
【0016】金属磁性薄膜は、メッキやスパッタリン
グ、真空蒸着等のPVDの手法により連続膜として形成
されるもので、Fe、Co、Ni等の金属やCo−Ni
系合金、Co−Pt系合金、Co−Pt−Ni系合金、
Fe−Co系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co−N
i系合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合
金、Fe−Co−Ni−B系合金等からなる面内磁化記
録金属磁性膜やCo−Cr系合金薄膜が例示される。
【0017】特に、面内磁化記録金属磁性薄膜の場合、
予め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、
In、Ge、Si、Ti等の低融点非磁性材料の下地層
を形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着ある
いはスパッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非磁性
材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保
するとともに、抗磁性を向上するようにしても良い。
【0018】また、上述のような金属磁性薄膜上には保
護膜が設けられるが、この保護膜としては、カーボン
膜、ダイヤモンド状あるいはアモルファス状カーボン
膜、酸化クロム膜、SiO2 膜等の硬質保護膜が挙げら
れる。かかる保護膜を形成する方法としては、スパッタ
リングが一般的であるが、特にこれに限定されるもので
はなく、従来公知の方法がいずれも使用可能である。こ
の場合、保護膜の膜厚は5〜100nmとされることが
好ましく、特に5〜30nmとされることが好ましい。
【0019】そして、上記保護膜表面には、ピロール−
2−カルボン酸エステル、または、フラン−2−カルボ
ン酸エステル、または、チオフェン−2−カルボン酸エ
ステルなる化合物よりなる潤滑剤を保有させる。上記各
化合物において化4、化5、化6に示される置換基R、
R' 、R''は、炭素数10以上30以下の炭化水素基、
あるいは炭素数10以上且つフッ素数17以上の部分フ
ッ化炭化水素基に限定される。この置換基R、R' 、
R''が炭化水素基である場合、炭素数が10未満である
と潤滑性が不足し、逆に炭素数が30を越えると潤滑剤
としての取扱いが困難となる。また、上記置換基R、
R' 、R''が部分フッ化炭化水素基である場合において
も、炭素数が10未満、あるいは、フッ素数が17未満
であると潤滑性が不足する。
【0020】但し、上記置換基R、R' 、R''は、飽和
型であっても不飽和型であってもよく、また、直鎖型で
あっても分岐型であっても構わない。
【0021】そして、上記潤滑剤は、上述したようなピ
ロール−2−カルボン酸エステル、フラン−2−カルボ
ン酸エステル、チオフェン−2−カルボン酸エステルな
る化合物を、トルエンや種々の塩素系溶剤、アルコール
系溶剤等に溶解させることにより得られる。上述のよう
な潤滑剤を保有せしめる方法としては、前記保護膜上に
潤滑剤層をトップコートする方法が挙げられる。この場
合、潤滑剤の塗布量としては、0.5〜100mg/m
2 であることが好ましく、1〜20mg/m2であるこ
とがより好ましい。
【0022】なお、上記潤滑剤としては、上記化4、化
5、化6に示される化合物がそれぞれ単独で溶解する潤
滑剤を用いてもよいし、2種以上の化合物を含有するも
のを用いてもよい。また、従来公知の潤滑剤と組み合わ
せて用いることも可能であり、極圧剤や防錆剤と併用す
ることも可能である。
【0023】上記極圧剤を併用する場合には、より厳し
い条件に対処し潤滑効果を持続させるために重量比3
0:70〜70:30程度の配合比で用いられる。極圧
剤は、境界潤滑領域において部分的に金属接触を生じた
ときにこれに伴う摩擦熱によって金属面と反応し、反応
生成物皮膜を形成することにより摩擦、摩耗防止作用を
行うものであって、リン系極圧剤、硫黄系極圧剤、ハロ
ゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤、複合系極圧剤等のい
ずれも使用できる。
【0024】また、必要に応じて防錆剤を併用してもよ
い。防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防錆
剤として使用されるものであればいずれも使用でき、例
えばフェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子
を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素環化合物、硫
黄原子を含む複素環化合物等である。なお、潤滑剤と上
記防錆剤等を併用する場合には、混合して用いてもよい
が、例えば、保護膜表面に防錆剤を塗布した後、潤滑剤
を塗布して2層に分けた方が、それぞれの効果が発揮さ
れやすい。
【0025】ところで、上述の金属薄膜型の磁気録媒体
において、磁性層である金属磁性薄膜の他に、バックコ
ート層や下塗層等が必要に応じて形成されていてもよ
い。例えば、バックコート層は磁性塗膜と同様の樹脂結
合剤に導電性を付与するためのカーボン系微粉末や表面
粗度をコントールするための無機顔料を添加し塗布形成
されるものである。
【0026】本発明においては、このバックコート層に
前述の潤滑剤を内添、あるいはトップコートにより含有
せしめてもよい。あるいは、磁性塗膜、金属磁性薄膜と
バックコート層にいずれも本発明の潤滑剤として内添、
トップコートする等、種々の組み合わせも可能である。
【0027】
【作用】ピロール−2−カルボン酸エステル,フラン−
2−カルボン酸エステル,チオフェン−2−カルボン酸
エステルなる化合物よりなる潤滑剤は、良好な潤滑作用
を発揮して摩擦係数を低減する。また、この潤滑作用は
低温下等の厳しい条件下においても損なわれることはな
い。
【0028】このため、保護膜が形成された上に上述の
ような潤滑効果の高い潤滑剤が塗布された磁気記録媒体
は、磁気ヘッドやガイドローラ等の摺動部材に対する摩
擦を抑制し、走行性や耐久性に優れたものとなる。
【0029】また、本発明にて用いるピロール−2−カ
ルボン酸エステル、フラン−2−カルボン酸エステル、
チオフェン−2−カルボン酸エステルなる化合物は、同
様に潤滑剤として使用可能なパーフルオロポリエーテル
等と比較すると溶解性が高い。このため、希釈剤として
各種クロロフルオロカーボン等のいわゆるフロン系溶剤
を使用する必要がなく、環境保護の点からも有用であ
る。
【0030】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない
ことはいうまでもない。
【0031】実験1 ピロール−2−カルボン酸エステルなる化合物よりなる
潤滑剤を保有させた磁気テープを作製した例について説
明する。
【0032】先ず、化4の一般式にて示されるピロール
−2−カルボン酸エステルなる化合物よりなる潤滑剤P
1〜P9を用意した。具体的には、9種類のピロール−
2−カルボン酸エステルなる化合物をトルエンに1mmol
/l なる濃度にて溶解させることにより潤滑剤P1〜P
9を調製した。但し、潤滑剤P1〜P7に含有されるピ
ロール−2−カルボン酸エステルは、「Rは炭素数10
以上30以下の炭化水素基、あるいは、炭素数10以上
且つフッ素数17以上の部分フッ化炭化水素基である」
なる条件を満たしているが、潤滑剤P8,P9に含有さ
れるピロール−2−カルボン酸エステルにおいては、上
記条件を満たしていない。表1に各潤滑剤P1〜P9に
含有されるピロール−2−カルボン酸エステルにおける
Rの構造を示す。
【0033】
【表1】
【0034】そして、上記潤滑剤P1〜P7を保有させ
た磁気テープを作製した。具体的には、先ず、14μ厚
のポリエチレンテレフタレートフィルムに斜方蒸着法に
よりCo−Ni合金を被着させ、膜厚100nmの強磁
性金属薄膜を形成した。次に、この金属磁性薄膜表面
に、スパッタリングにより膜厚20nmのカーボン膜を
保護膜として形成し、さらに、この表面に潤滑剤P1〜
P7をディップコートした。これによってピロール−2
−カルボン酸エステルなる化合物は、使用された化合物
の分子量によって異なるが、1〜20mg/m2 なる塗
布量にて保有された。そして、このようにして潤滑剤が
塗布された磁気シートを8ミリ幅に裁断することによっ
て磁気テープを完成した。
【0035】なお、潤滑剤P1〜P7を保有させて得た
磁気テープをそれぞれ実施例1−1〜実施例1−7のサ
ンプルテープとした。
【0036】また、上記保護膜を形成せず潤滑剤P3を
保有させた以外は上記実施例と同様にして磁気テープを
作製することにより比較例1−1のサンプルテープを
得、上記保護膜を形成せず潤滑剤P5を保有させた以外
は同様にして磁気テープを作製することにより比較例1
−2のサンプルテープを得た。さらに、潤滑剤を保有さ
せなかった以外は上記実施例と同様にして磁気テープを
作製して比較例1−3のサンプルテープを作製し、潤滑
剤P8を保有させた以外は同様にして比較例1−4のサ
ンプルテープを作製し、潤滑剤P9を保有させた以外は
同様にして比較例1−5のサンプルテープを作製した。
【0037】上述のようにして作製された各サンプルテ
ープについて、条件α、条件β、条件γなる雰囲気条件
における摩擦係数、スチル耐久性、シャトル耐久性を測
定した。スチル耐久性はポーズ状態での出力が3dB低
下するまでの時間にて評価し、シャトル耐久性は、1回
につき2分間のシャトル走行を行い、出力が3dB低下
するまでのシャトル回数で評価した。なお、α,β,γ
にて示される各雰囲気条件を表2に示し、測定結果を表
3,4に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】表3、表4より、実施例1−1〜実施例1
−7のサンプルテープは、どの雰囲気条件においても摩
擦係数が小さく、スチル耐久性、シャトル耐久性に優れ
ていることがわかる。一方、比較例1−1、比較例1−
2のサンプルテープは、実施例1−3、実施例1−5の
サンプルテープと同じ潤滑剤P3、P5を保有するにも
かかわらず、スチル耐久性およびシャトル耐久性が大幅
に劣化している。これより、保護膜を設けないと潤滑剤
の効果が発揮されないことがわかる。逆に、保護膜は設
けられているが潤滑剤が保有されていない比較例1−3
のサンプルテープは、シャトル耐久性の劣化は小さいも
のの、スチル耐久性の劣化が著しく、潤滑剤を保有させ
ないと十分な耐久性を有する磁気テープとならないこと
がわかる。
【0042】また、潤滑剤P8、P9を保有する比較例
1−4、比較例1−5のサンプルテープは、実施例1−
1〜実施例1−7のサンプルテープに比して、スチル耐
久性およびシャトル耐久性ともに劣化している。これよ
り、化4に示されるピロール−2−カルボン酸エステル
なる化合物よりなる潤滑剤を保有させても、式中、Rで
示される置換基を炭素数10以上30以下の炭化水素基
または炭素数10以上且つフッ素数17以上の部分フッ
化炭化水素基としないと、十分な潤滑効果が得られない
ことがわかる。
【0043】以上の結果より、化4中、Rで示される置
換基が炭素数10以上30以下の炭化水素基または炭素
数10以上且つフッ素数17以上の部分フッ化炭化水素
基であるピロール−2−カルボン酸エステルなる化合物
よりなる潤滑剤は良好な潤滑効果を有し、保護膜を設け
た上にこの潤滑剤を塗布するとスチル耐久性およびシャ
トル耐久性に優れた磁気テープが得られることがわかっ
た。
【0044】実験2 ここでは、フラン−2−カルボン酸エステルなる化合物
よりなる潤滑剤を保有させた磁気テープを作製した例に
ついて説明する。
【0045】先ず、化5の一般式にて示されるフラン−
2−カルボン酸エステルなる化合物よりなる潤滑剤F1
〜F9を用意した。具体的には、9種類のフラン−2−
カルボン酸エステルなる化合物をトルエンに1mmol/l
なる濃度にて溶解させることにより潤滑剤F1〜F9を
調製した。但し、潤滑剤F1〜F7に含有されるフラン
−2−カルボン酸エステルは、「R' は炭素数10以上
30以下の炭化水素基、あるいは、炭素数10以上且つ
フッ素数17以上の部分フッ化炭化水素基である」なる
条件を満たしているが、潤滑剤F8,F9に含有される
フラン−2−カルボン酸エステルにおいては、上記条件
を満たしていない。表1に各潤滑剤F1〜F9に含有さ
れるフラン−2−カルボン酸エステルにおけるR' の構
造を併せてを示す。
【0046】そして、上記潤滑剤F1〜F7を保有させ
た磁気テープを作製した。具体的には、先ず、14μ厚
のポリエチレンテレフタレートフィルムに斜方蒸着法に
よりCo−Ni合金を被着させ、膜厚100nmの強磁
性金属薄膜を形成した。次に、この金属磁性薄膜表面
に、スパッタリングにより膜厚20nmのカーボン膜を
保護膜として形成し、さらに、この表面に潤滑剤F1〜
F7をディップコートした。これによってフラン−2−
カルボン酸エステルなる化合物は、使用された化合物の
分子量によって異なるが、1〜20mg/m2 なる塗布
量にて保有された。そして、このようにして潤滑剤が塗
布された磁気シートを8ミリ幅に裁断することによって
磁気テープを完成した。
【0047】なお、潤滑剤F1〜F7を保有させて得た
磁気テープをそれぞれ実施例2−1〜実施例2−7のサ
ンプルテープとした。
【0048】また、上記保護膜を形成せず潤滑剤F3を
保有させた以外は上記実施例と同様にして磁気テープを
作製することにより比較例2−1のサンプルテープを
得、上記保護膜を形成せず潤滑剤F5を保有させた以外
は同様にして磁気テープを作製することにより比較例2
−2のサンプルテープを得た。さらに、潤滑剤を保有さ
せなかった以外は上記実施例と同様にして磁気テープを
作製して比較例2−3のサンプルテープを作製し、潤滑
剤F8を保有させた以外は同様にして比較例2−4のサ
ンプルテープを作製し、潤滑剤F9を保有させた以外は
同様にして比較例2−5のサンプルテープを作製した。
【0049】上述のようにして作製された各サンプルテ
ープについて、実験1にて行ったと同様にして、条件
α、条件β、条件γなる雰囲気条件における摩擦係数、
スチル耐久性、シャトル耐久性を測定した。測定結果を
表5,6に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】表5、表6より、実施例2−1〜実施例2
−7のサンプルテープは、どの雰囲気条件においても摩
擦係数が小さく、スチル耐久性、シャトル耐久性に優れ
ていることがわかる。一方、比較例2−1、比較例2−
2のサンプルテープは、実施例2−3、実施例2−5の
サンプルテープと同じ潤滑剤F3、F5を保有するにも
かかわらず、スチル耐久性およびシャトル耐久性が大幅
に劣化している。これより、保護膜を設けないと潤滑剤
の効果が発揮されないことがわかる。逆に、保護膜は設
けられているが潤滑剤が保有されていない比較例2−3
のサンプルテープは、シャトル耐久性の劣化は小さいも
のの、スチル耐久性の劣化が著しく、潤滑剤を保有させ
ないと十分な耐久性を有する磁気テープとならないこと
がわかる。
【0053】また、潤滑剤F8、F9を保有する比較例
2−4、比較例2−5のサンプルテープは、実施例2−
1〜実施例2−7のサンプルテープに比して、スチル耐
久性およびシャトル耐久性ともに劣化している。これよ
り、化5に示されるフラン−2−カルボン酸エステルな
る化合物よりなる潤滑剤を保有させても、式中、R'で
示される置換基を炭素数10以上30以下の炭化水素基
または炭素数10以上且つフッ素数17以上の部分フッ
化炭化水素基としないと、十分な潤滑効果が得られない
ことがわかる。
【0054】以上の結果より、化5中、R' で示される
置換基が炭素数10以上30以下の炭化水素基または炭
素数10以上且つフッ素数17以上の部分フッ化炭化水
素基であるフラン−2−カルボン酸エステルなる化合物
よりなる潤滑剤は良好な潤滑効果を有し、保護膜を設け
た上にこの潤滑剤を塗布するとスチル耐久性およびシャ
トル耐久性に優れた磁気テープが得られることがわかっ
た。
【0055】実験3 ここでは、チオフェン−2−カルボン酸エステルなる化
合物よりなる潤滑剤を保有させた磁気テープを作製した
例について説明する。
【0056】先ず、化6の一般式にて示されるチオフェ
ン−2−カルボン酸エステルなる化合物よりなる潤滑剤
T1〜T9を用意した。具体的には、9種類のチオフェ
ン−2−カルボン酸エステルなる化合物をトルエンに1
mmol/l なる濃度にて溶解させることにより潤滑剤T1
〜T9を調製した。但し、潤滑剤T1〜T7に含有され
るチオフェン−2−カルボン酸エステルは、「R''は炭
素数10以上30以下の炭化水素基、あるいは、炭素数
10以上且つフッ素数17以上の部分フッ化炭化水素基
である」なる条件を満たしているが、潤滑剤T8,T9
に含有されるチオフェン−2−カルボン酸エステルにお
いては、上記条件を満たしていない。表1に各潤滑剤T
1〜T9に含有されるチオフェン−2−カルボン酸エス
テルにおけるR''の構造を併せてを示す。
【0057】そして、上記潤滑剤T1〜T7を保有させ
た磁気テープを作製した。具体的には、先ず、14μ厚
のポリエチレンテレフタレートフィルムに斜方蒸着法に
よりCo−Ni合金を被着させ、膜厚100nmの強磁
性金属薄膜を形成した。次に、この金属磁性薄膜表面
に、スパッタリングにより膜厚20nmのカーボン膜を
保護膜として形成し、さらに、この表面に潤滑剤T1〜
T7をディップコートした。これによってチオフェン−
2−カルボン酸エステルは、使用された化合物の分子量
によって異なるが、1〜20mg/m2 なる塗布量にて
保有された。そして、このようにして潤滑剤が塗布され
た磁気シートを8ミリ幅に裁断することによって磁気テ
ープを完成した。
【0058】なお、潤滑剤T1〜T7を保有させて得た
磁気テープをそれぞれ実施例3−1〜実施例3−7のサ
ンプルテープとした。
【0059】また、上記保護膜を形成せず潤滑剤T3を
保有させた以外は上記実施例と同様にして磁気テープを
作製することにより比較例3−1のサンプルテープを
得、上記保護膜を形成せず潤滑剤T5を保有させた以外
は同様にして磁気テープを作製することにより比較例3
−2のサンプルテープを得た。さらに、潤滑剤を保有さ
せなかった以外は上記実施例と同様にして磁気テープを
作製して比較例3−3のサンプルテープを作製し、潤滑
剤T8を保有させた以外は同様にして比較例3−4のサ
ンプルテープを作製し、潤滑剤T9を保有させた以外は
同様にして比較例3−5のサンプルテープを作製した。
【0060】上述のようにして作製された各サンプルテ
ープについて、実験1にて行ったと同様にして、条件
α、条件β、条件γなる雰囲気条件における摩擦係数、
スチル耐久性、シャトル耐久性を測定した。測定結果を
表7,8に示す。
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】表7、表8より、実施例3−1〜実施例3
−7のサンプルテープは、どの雰囲気条件においても摩
擦係数が小さく、スチル耐久性、シャトル耐久性に優れ
ていることがわかる。一方、比較例3−1、比較例3−
2のサンプルテープは、実施例3−3、実施例3−5の
サンプルテープと同じ潤滑剤T3、T5を保有するにも
かかわらず、スチル耐久性およびシャトル耐久性が大幅
に劣化している。これより、保護膜を設けないと潤滑剤
の効果が発揮されないことがわかる。逆に、保護膜は設
けられているが潤滑剤が保有されていない比較例3−3
のサンプルテープは、シャトル耐久性の劣化は小さいも
のの、スチル耐久性の劣化が著しく、潤滑剤を保有させ
ないと十分な耐久性を有する磁気テープとならないこと
がわかる。
【0064】また、潤滑剤T8、T9を保有する比較例
3−4、比較例3−5のサンプルテープは、実施例3−
1〜実施例3−7のサンプルテープに比して、スチル耐
久性およびシャトル耐久性ともに劣化している。これよ
り、化6に示されるチオフェン−2−カルボン酸エステ
ルなる化合物よりなる潤滑剤を保有させても、式中、
R''で示される置換基を炭素数10以上30以下の炭化
水素基または炭素数10以上且つフッ素数17以上の部
分フッ化炭化水素基としないと、十分な潤滑効果が得ら
れないことがわかる。
【0065】以上の結果より、化6中、R''で示される
置換基が炭素数10以上30以下の炭化水素基または炭
素数10以上且つフッ素数17以上の部分フッ化炭化水
素基であるチオフェン−2−カルボン酸エステルなる化
合物よりなる潤滑剤は良好な潤滑効果を有し、保護膜を
設けた上にこの潤滑剤を塗布するとスチル耐久性および
シャトル耐久性に優れた磁気テープが得られることがわ
かった。
【0066】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、ピロ
ール−2−カルボン酸エステル、フラン−2−カルボン
酸エステル、チオフェン−2−カルボン酸エステルなる
化合物よりなる潤滑剤は、非常に潤滑効果に優れ、いか
なる条件下においても長時間に渡りその効果を持続でき
るものである。また、溶解性が高いため、希釈剤として
各種クロロフルオロカーボン等のいわゆるフロン系溶剤
を使用する必要がなく、環境保護の点からも有用であ
る。
【0067】そして、上記潤滑剤を保有させた磁気記録
媒体は、上述の潤滑効果により、如何なる使用条件下で
も長期にわたり、この磁気記録媒体表面において潤滑性
を発揮する。このため、耐摩耗性、耐久性、特に走行性
に優れた磁気記録媒体となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C10N 40:18 C10N 40:18 (56)参考文献 特開 平5−62165(JP,A) 特開 昭58−194136(JP,A) 特開 昭62−117129(JP,A) 特開 昭62−117130(JP,A) 特開 昭62−117131(JP,A) 実開 平2−37462(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/725 G11B 5/71

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有
    してなる磁気記録媒体において、 前記磁性層上に保護膜が形成され、該保護膜表面にピロ
    ール−2−カルボン酸エステル(化1なる一般式で示さ
    れる。)なる化合物よりなる潤滑剤を保有することを特
    徴とする磁気記録媒体。 【化1】
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有
    してなる磁気記録媒体において、 前記磁性層上に保護膜が形成され、該保護膜表面にフラ
    ン−2−カルボン酸エステル(化2なる一般式で示され
    る。)なる化合物よりなる潤滑剤を保有することを特徴
    とする磁気記録媒体。 【化2】
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有
    してなる磁気記録媒体において、 前記磁性層上に保護膜が形成され、該保護膜表面にチオ
    フェン−2−カルボン酸エステル(化3なる一般式で示
    される。)なる化合物よりなる潤滑剤を保有することを
    特徴とする磁気記録媒体。 【化3】
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