JPH07244839A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH07244839A
JPH07244839A JP3591594A JP3591594A JPH07244839A JP H07244839 A JPH07244839 A JP H07244839A JP 3591594 A JP3591594 A JP 3591594A JP 3591594 A JP3591594 A JP 3591594A JP H07244839 A JPH07244839 A JP H07244839A
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JP
Japan
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thin film
polar group
metal thin
compound
ferromagnetic metal
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JP3591594A
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English (en)
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Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
Toshio Ishida
寿男 石田
Tadashi Yasunaga
正 安永
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強磁性金属薄膜を磁性層とする金属薄膜型磁
気記録媒体の走行性及び耐久性を向上させ、特に、電磁
変換特性を低下させることなくスチル耐久性、繰り返し
走行耐久性、保存安定性に優れるた金属薄膜型磁気記録
媒体を提供すること。 【構成】 金属薄膜を設けた磁気記録媒体において、該
強磁性金属薄膜の表面に潤滑剤化合物として、炭素数1
〜3のアルキル基を有する有機燐化合物と極性基含有フ
ッ素系有機化合物及び/叉は極性基含有炭化水素系化合
物を保持していることを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強磁性金属薄膜を磁性
層とする磁気記録媒体に関するものであり、特に、強磁
性金属薄膜上に潤滑剤として機能する特定の化合物を保
持することにより走行性や耐久性を改良しようとする発
明に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は急速に高密度化が進めら
れており、従来の磁性層が強磁性粉末と結合剤樹脂を主
体とする塗布型の磁気記録媒体より高密度化に適した磁
気記録媒体として、近年では、強磁性金属薄膜を磁性層
とするいわゆる蒸着テープで代表される金属薄膜型磁気
記録媒体が実用化されている。蒸着テープのような金属
薄膜型磁気記録媒体は電磁変換特性に優れている反面、
その記録層は金属の極く薄い酸化物層で覆われた金属薄
膜であるので、塗布型磁気記録媒体並の走行耐久性およ
び保存性を確保することは非常に困難であった。このた
め従来より強磁性金属薄膜上に潤滑層、防錆層を設け、
走行耐久性、保存性を向上させる試みがなされてきた。
【0003】しかし、金属薄膜型磁気記録媒体をさらに
高密度化するためは、媒体表面を平滑化すること、磁性
層の組成をCo−NiーO系からCo−O系やCo−O
系を含むCo−Fe系にして飽和磁束密度(Bm)を高
めるように改良することが求められるようになってき
た。このような媒体では、強磁性金属薄膜として従来か
ら使用されてきたCo−Ni−O系よりも、耐久性や耐
食性が大きく低下しているので、従来、磁気記録媒体の
潤滑剤として使用されてきた化合物では、満足なスチル
耐久性や繰り返し走行に対する走行耐久性に関して充分
な特性を得ることが難しかった。そのための様々な高機
能潤滑剤の検討が行われてきている。
【0004】例えば、従来のフッ素系潤滑剤と共に燐化
合物を主体とする極圧添加剤を使用し、厳しい条件下の
摺動時に金属薄膜表面を改質する試みがなされている
(特開昭62ー236120号公報等)。しかし、この
方法では極圧剤以外の潤滑剤との相互作用があるためか
極圧剤本来の金属薄膜の改質効果が阻害され、その効果
は充分なものではなかった。
【0005】また、一般に知られている亜燐酸トリデシ
ル等の極圧剤は改質効果を高めるために、その存在量を
増すと未反応の極圧剤や反応生成物の存在により摩擦係
数の増大を招くことがあった。そこで潤滑剤と燐酸を併
用する方法も提案されている(特開平5ー28462号
公報)が、この場合には燐酸は酸性が強いために腐蝕に
よる保存性の懸念があった。
【0006】一方、金属薄膜表面を物理的手段によりリ
ン化処理する試みがなされている(特開昭59ー144
045号公報,特開昭61−214124号公報)。こ
の方法では表面に高濃度の燐を導入できる利点を有する
が、磁気特性の低下やまた処理工程が比較的大掛かり
で、また製造コストの面で実用上の問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、強磁性金属
薄膜を磁性層とする金属薄膜型磁気記録媒体の走行性及
び耐久性の向上を目的とするものであり、特に、電磁変
換特性を低下させることなくスチル耐久性、繰り返し走
行耐久性、保存安定性に優れるた金属薄膜型磁気記録媒
体を提供することを目的にしている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、非
磁性支持体上の少なくとも一方の面に強磁性金属薄膜を
設けた磁気記録媒体において、該強磁性金属薄膜の表面
に潤滑剤化合物として、炭素数1〜3のアルキル基を有
する有機燐化合物と極性基含有フッ素系有機化合物及び
/叉は極性基含有炭化水素系化合物を保持していること
を特徴とする磁気記録媒体により達成される。
【0009】また、強磁性金属薄膜上にダイヤモンド状
炭素膜を設けた上に前記潤滑剤化合物を保持させること
によりさらに本発明の目的を有効に達成させることがで
きる。即ち、本発明の磁気記録媒体においては、有機燐
化合物が強磁性金属薄膜との化学的な親和性が高いの
で、強磁性金属薄膜表面での挙動が安定しており、磁気
ヘッドとの摺動に対しても高度の耐久性を示すことがで
きる。そして、炭素数3以下のアルキル基より構成され
ており、分子量が小さいので未吸着分子による摩擦係数
の増大を招くことがないためか摩擦係数が低くでき走行
性を阻害することが少ない。
【0010】また、分解生成物が低分子量であるため、
容易に揮発し、反応の進行を妨げることが少ないばかり
でなく、改質層上へさらに潤滑剤層を設けようとする場
合潤滑剤化合物分子の吸着を阻害することも少ないので
さらに摩擦係数を低下することができる。ちなみに、従
来より潤滑剤添加物として検討されてきた亜燐酸トリデ
シル等の比較的長鎖のアルキル基を有する有機燐化合物
では、分子が比較的大きいので強磁性金属薄膜に対する
活性が低く、また、その保持量を増加すると摩擦係数の
増大を招き易かった。
【0011】更に、本発明においては、強磁性金属薄膜
上に保持する潤滑用化合物として、前記有機燐化合物の
他に、極性基含有フッ素化合物や極性基含有炭化水素化
合物を併用することにより、前記有機燐化合物による極
圧潤滑と極性基含有の前記フッ素系有機化合物や前記炭
化水素の境界潤滑作用が相俟って、様々な摺動条件での
走行耐久性を向上させることができる。
【0012】また、強磁性金属薄膜上にプラズマCVD
法などで形成されるダイヤモンド状の硬質炭素膜(DL
C)を形成した上に前記潤滑剤化合物を保持させること
により、さらに磁気記録媒体の耐摩耗性を著しく増大せ
しめることができる。この場合、前記有機燐化合物は磁
性層である強磁性金属薄膜と直接反応することは余りな
いと思われるが、磁気ヘッドとの摺動を繰り返す中に前
記DLCが掛けた部分からまた媒体が摺接する相手部材
との間で反応して強固な被膜を作り耐久性をさらに向上
させることが期待される。
【0013】本願発明の磁気記録媒体における前記有機
燐化合物としては、燐酸エステル、亜燐酸エステル、チ
オリン酸エステル、チオ亜燐酸エステル及びフォスフィ
ン等が挙げられるが、中でも好ましいのは、燐酸エステ
ル、亜燐酸エステルであり、その中でもトリエステルが
好ましい。
【0014】有機燐化合物の具体例としては、燐酸トリ
プロピル、リン酸ジエチル、燐酸トリエチル等の燐酸エ
ステル類、亜燐酸トリプロピル、亜燐酸トリエチル、亜
燐酸ジエチル等の燐酸エステル類、チオ亜燐酸類、チオ
燐酸類、トリエチルフォスフィン等のフォスフィン化合
物等が挙げられ、中でも好ましいのは燐酸トリエステ
ル、燐酸トリメチル、亜燐酸トリエチル、亜燐酸トリメ
チルである。
【0015】前記極性基含有炭化水素系化合物は、分子
内もしくは分子末端に極性基を含有しているもので有れ
ば特に制限はない。ここでいう極性基とは強磁性金属薄
膜に対して吸着能がある官能基のことであって、例え
ば、−SO3H,−COOH,−OPO32,−PO3
2,=PO(OH),−NH2またはこれらの塩、ーSi
(OR)3〔Rは、アルキル基〕,−SiX3〔Xは、ハ
ロゲン〕、−NCO,−OH,−COO−,−CONH
−,−SO2−,−Ph−O−Ph−〔Phは、フェニ
レン基〕、三P=O(燐酸トリエステル類)、三P(亜
燐酸トリエステル類)等が挙げられる。中でも−COO
H,−OPO32,−NH2またはこれらの塩、もしく
は−OH,−COO−が好ましく、最も好ましくは−O
PO32,−OH及び−COO−である。
【0016】上記極性基の塩としては、例えば、酸性極
性基と金属の塩、−COONa,−COOK,−SO3
Na等、酸性極性基のアミン塩、−COONH4、−C
OONH3−,−COONH2=、−COONH三,−O
PO3HNH3等が挙げられる。中でも酸性極性基のアミ
ン塩が好ましく、−COONH3,−OPO3HNH3
最も好ましい。
【0017】極性基は、通常、分子の片末端または分子
鎖の中に結合しているもの、もしくは分子の両末端にあ
るものが望ましい。
【0018】本発明における極性基含有炭化水素化合物
に関しても前記のような極性基が分子内もしくは分子末
端にあるもので有れば基本的に制限はないが、骨格とな
る炭化水素の構造としては、直鎖飽和炭化水素、直鎖不
飽和炭化水素、分岐飽和炭化水素、分岐不飽和炭化水素
等であり、特に好ましくは直鎖飽和炭化水素である。
【0019】炭素数としては8〜22、望ましくは10
〜20、特に望ましくは12〜18であるのがよい。極
性基含有炭化水素鎖の具体例としては、C1837−,C
1633−,C1225−,C817−,C1835−,C18
33−,iso−C1837−等が挙げられる。中でも最
も好ましいのは、C1837−やC1633−である。極性
基含有フッ素系有機化合物のフッ素化炭化水素鎖の構造
としては、基本的には前記極性基含有炭化水素化合物の
炭化水素鎖の水素原子の一部もしくは全部をフッ素原子
に置換したものが挙げられる。
【0020】具体例的には、C6131020−,C8
171020−,C81724−,C817−等が好まし
い。また、フッ素化炭化水素鎖がパーフルオロポリエー
テル鎖でもよい。この場合、数平均分子量が1,000
〜4,000、好ましくは1,500〜3,000の範
囲にあるものがよい。具体的には、ー(CF3(CF3
−CF2O)n−,−(CF2CF2O)n−,−(CF2
2CF2O)n−,−(CF2O)n−(CF2CF2O)m
−,−(CF2O)n−等が挙げられる。
【0021】本願発明においては、強磁性金属薄膜上に
保持する潤滑剤用化合物として、前記有機燐化合物を必
須の成分としてそれに前記極性基含有フッ素有機化合物
もしくは極性基含有炭化水素化合物のうちの少なくとも
何れか一つを潤滑剤として併用するものである。
【0022】本発明の磁気記録媒体に使用する有機燐化
合物の強磁性金属薄膜上へ付与する量は、1〜50μm
ol/m2が望ましく、特に望ましくは5〜30μmo
l/m2である。もしくは、1〜10mg/m2、望まし
くは2〜6mg/m2である。この保持量が少なすぎる
と繰り返し走行耐久性が悪化し、多すぎると電磁変化特
性の劣化、耐食性の劣化を招く。
【0023】また、潤滑剤総量の中前記極性基含有有機
燐化合物の割合は、モル量単位で20〜80%、望まし
くは30〜70重量%である。有機燐化合物の割合が余
り少ないと耐摩耗性が向上せず、スチル耐久性や繰り返
し走行耐久性が劣化するので望ましくない。また、多す
ぎると摩擦係数が増大し、ガイドポール等に対する張り
付きを生じたり、また、耐食性も劣化する。
【0024】前記極性基含有有機燐化合物と併用する極
性基含有フッ素系有機化合物や極性基含有炭化水素化合
物の保持量は、1〜30mg/m2もしくは3〜30μ
mol/m2であることが望ましく、さらに望ましくは
2〜20mg/m2もしくは5〜20μmol/m2であ
る。
【0025】本発明において以上の潤滑剤化合物を強磁
性金属薄膜上に保持させる方法は、非磁性支持体上に真
空蒸着法等により強磁性金属薄膜を形成した後に、その
上に前記化合物を付与することにより容易に形成され
る。前記有機燐化合物を強磁性金属薄膜上に付与する方
法としては、特に限定されるものではなく、例えば、メ
チルエチルケトンやエタノール等の有機溶剤に溶解し、
この溶液をワイヤーバー法、グラビア法、ディップ法、
スプレー法等の方法で媒体表面に塗布し、乾燥すればよ
い。その他、真空蒸着方等の方法で強磁性金属薄膜上に
付着させたり、非磁性支持体の強磁性薄膜を形成した面
と反対側の面に設けたバックコート層表面もしくは内部
に含有させて強磁性金属薄膜上に転写させる方法があ
る。
【0026】本発明の磁気記録媒体の強磁性金属薄膜の
組成には、特に限定はないが磁気特性及び電磁変換特性
の点でCoが80原子%以上、望ましくは95原子%以
上であるものが良い。また、強磁性金属薄膜としては、
鉄、ニッケル、コバルト等の金属もしくはその合金から
なるものが望ましく、その厚さは、0.10〜0.30
μm、望ましくは0.14〜0.20μmである。ま
た、その組成としてはコバルトを主たる成分とするもの
が望ましく、コバルトが90原子%以上であることが望
ましい。コバルト以外の成分としては、ニッケル、クロ
ム等が好ましく、層の構成としては単一層、各層を構成
する柱状結晶粒子の傾きの方向がほぼ同一方向になって
いる平行型多層、各層を構成する柱状結晶粒子の傾きが
隣り合った層間では互いに逆方向である交差型多層、非
平行型多層のものが特に望ましい。強磁性金属薄膜の成
膜方法にも特に限定はなく、従来より公知の例えば真空
蒸着法、スパッタリング法、メッキ法等の成膜方法が採
用できる。中でも、真空蒸着法が磁気特性及び生産性の
面で望ましい。特に、酸素存在下で蒸着法により形成し
た磁性層が特に望ましい。
【0027】本発明の磁気記録媒体において磁性層上に
形成する硬質炭素保護膜はダイヤモンド状炭素と称され
る硬度の大きな炭素保護膜であり、ビッカース硬度で1
000kg/mm2 以上、好ましくは2000kg/m
2 以上の硬質の炭素膜である。また、その結晶構造は
アモルファス構造であり、かつ非導電性である。そし
て、本願発明におけるダイヤモンド状炭素膜の構造をラ
マン光分光分析によって測定した場合には、1520〜
1560-1cmにピークが検出されることによって確認
することができる。炭素膜の構造がダイヤモンド状構造
からずれてくるとラマン光分光分析により検出されるピ
ークが上記範囲からずれるとともに、炭素膜の硬度も低
下し、本願発明の目的を達成するのが困難となってく
る。
【0028】本願発明におけるダイヤモンド状炭素膜の
構造は、ラマン分光法の他に、X線電子分光法(ESC
A)によっても同定することができる。特に、ESCA
によって同定する場合、C−1sのプラズモン損失エネ
ルギーが26±1eVであるとさらに良好な炭素膜とな
る。ここでいうプラズモン損失エネルギーは、炭素膜に
X線を照射して測定されるC−1sスペクトルのメイン
ピークから、プラズモン損失により生ずるピークのずれ
をX線電子分光装置(例えば、パーキンエルマー社製、
PHI−560)により測定されるものである。炭素保
護膜の硬度が減少すると摩擦特性は改善されるが耐磨耗
性が不足し、所望の走行耐久性を得ることができない。
とくに、スチル耐久性が大幅に低下してしまう。これら
のダイヤモンド状炭素保護膜はスパッタリングやCVD
によって作製することができるが、生産性、品質の安定
性および厚み10nm以下の超薄膜でも良好な耐磨耗性
を確保できるという点からCVDによって作製すること
が好ましく、とくに高周波プラズマによって分解した化
学種を基板にバイアス電圧を印加して加速することが好
ましい。
【0029】この炭素保護膜の材料となるプラズマ化さ
れる炭素化合物は、とくに制限されるものではないが、
炭化水素系、ケトン系、アルコール系の化合物が挙げら
れる。特に、メタン、エタン、プロパン、ブタン等のア
ルカン、あるいはエチレン、プロピレン等のアルケン、
またはアセチレン等のアルキンをはじめとした炭素含有
化合物を原料としたプラズマCVDによって硬質炭素保
護膜を形成することが好ましい。
【0030】これらの被膜形成性の物質は、一般に1
3.3〜0.133N/m2 、好ましくは6.67〜
2.67N/m2 の分圧でプラズマ発生装置内に導入さ
れる。また、前記原料気体の他に水素、アルゴン等の不
活性気体を同時に導入することもできる。この場合、望
ましい混合気体としては、メタンなどの炭化水素とアル
ゴンが挙げられる。この場合、その混合割合は、一般に
炭化水素:アルゴン=6:1〜2:1が望ましい。
【0031】硬質炭素保護膜の膜厚が厚いと電磁変換特
性の悪化や磁性層に対する密着性の低下が生じ、膜厚が
薄いと耐磨耗性が不足するために、膜厚2.5〜20n
mが好ましく、とくに好ましくは5〜10nmである。
【0032】また、この硬質炭素保護膜上に付与する潤
滑剤との密着をさらに向上させる目的で硬質炭素保護膜
表面を酸化性もしくは不活性気体によって表面処理して
も良い。
【0033】また、本発明の磁気記録媒体の耐腐蝕性を
向上させるために強磁性金属薄膜上に更に防錆剤を付与
することもできる。本発明に使用できる防錆剤には、特
に制限はなく従来公知のものが使用可能である。中で
も、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリ
ン、ピリミジン等の窒素含有複素環類及びこれらの母核
にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾー
ル、2ーメルカプトベンゾチアゾール、テトラザインデ
ン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素及び硫黄含有
複素環類及びこれらの誘導体が望ましい。
【0034】本発明の磁気記録媒体の走行耐久性を更に
改善するために、非磁性支持体の磁性層がある面とは反
対側の面にバックコート層を設けることが有効である。
本願発明で使用できるバックコート層としては特に制限
はなく、磁気記録媒体用として従来より公知のものが使
用できるできる。即ち、カーボンブラックや研磨剤粉末
のような非磁性粉末と結合剤樹脂を主体とする塗布層で
あり、その厚さは、通常、0.2〜1.0μm、好まし
くは0.3〜0.7μmである。本発明の磁気記録媒体
における非磁性支持体としては、厚みが5〜15μmの
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリアミド、ポリイミド等が挙げられる。
【0035】また、磁気記録媒体の表面性を制御し、走
行性を安定にするために非磁性支持体表面に径が8〜2
5nm、望ましくは10〜20nmのフィラーを106
〜108個/mm2の密度で付与することが有効である。
【0036】バックコート層の非磁性粉末としては、各
種の無機顔料やカーボンブラックを使用することがで
き、また結合剤樹脂としてはニトロセルロースや塩化ビ
ニル系樹脂、ポリウレタン等の塗布型磁性層用の結合剤
樹脂として使用されている各種のものを使用することが
できる。
【0037】本発明の新規な特徴を以下の実施例で更に
具体的に説明する。
【0038】
【実施例】
〔実施例及び比較例〕表面に粒径18nm球状シリカフ
ィラーを有する厚さ10μmのポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上に金属コバルトを酸素雰囲気中で以下の
条件で真空蒸着しCo95Ni5なる組成の強磁性金属薄
膜を得た。このとき磁性金属流の前記ポリエステルテレ
フタレートフィルムに対する入射角は45゜までの範囲
とし、金属膜の柱状粒子の傾きの方向が同一の方向とな
るように70nm厚の強磁性金属薄膜が2層積層された
構成とした。その後熱処理によって媒体のカールを修正
した後、強磁性金属薄膜上に表1に示す有機燐化合物の
イソプロパノール溶液を4mg/m2濃度の塗布量とな
るようにワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。続い
てカーボンブラックと樹脂結合剤からなる樹脂組成物を
磁性層を形成した面とは反対の面に塗布し、乾燥して、
厚さ0.5μmのバックコート層を形成した後、このバ
ックコート層上に表1のフッ素系有機化合物をメチルエ
チルケトン溶液にして塗布量12μmol/m2となる
ように塗布、乾燥して巻きとった。この原反を8mm幅
に裁断して評価用の磁気記録媒体を作成した。
【0039】但し、実施例9及び実施例10では、下記
の条件でDLC(ダイヤモンド炭素)保護膜を前記強磁
性金属薄膜上に形成した。メタンを原料として流量15
0sccmで供給するとともに、アルゴンをキャリアー
として流量50sccmの流量で供給し、600Wの高
周波電力を印加するとともに、パスローラを介して磁性
層表面には−400Vの直流電圧を印加し、気体導入部
に設置されたアノードには+500Vの直流電圧を印加
し、発生したプラズマを加速させて搬送速度5m/分で
温度20℃の磁性層表面にダイヤモンド状炭素からなる
硬質炭素保護膜を形成した。得られた炭素保護膜は、膜
厚80nm、ラマン分光法によって炭素保護膜がダイヤ
モンド状炭素であることを確認した。また、同一の方法
で別途作成した保護膜のビッカース硬度は2,200k
g/mm2 であった。
【0040】
【表1】
【0041】以上のようにして得られた各磁気記録媒体
の試料の摩擦係数、スチル耐久性及び対腐蝕性を以下の
条件で測定した。その結果が表2である。
【0042】〔評価方法〕 摩擦係数(μ値)の測定 23℃70%RHの環境において磁気記録媒体とステン
レスポール(材質SUS420J)とを20gの張力
(T1 )で巻き付け角180°で接触させた、磁気テー
プを3.3cm/秒の速度で走行させるのに必要な張力
(T2 )を測定し、下記計算式により磁気テープの、摩
擦係数μをもとめた。 μ=1/π・ln(T2 /T1 ) スチル耐久性の測定 (A条件)23℃10%RHの環境において、8mmV
TR(富士写真フイルム(株)製FUJIX−M6)を
使用して走行テンション20gでカラーバー画像を記憶
した後、スチル制限機構を動作させないでスチル状態で
画像を再生し、出力が初期の−6dBとなるまでの時間
を測定して評価した。 (B条件)ー10℃環境でのスチル耐久性は市販の8m
mムビー(SONY(株)製 V−88)でカラーバー
信号を記録した後再生し、スチル制限機構を作動させず
にスチル状態で画像を再生し、出力が初期のー6dBと
なるまでの時間を測定して評価した。 (C条件)23℃5%RHの環境条件において、8mm
VTR(SONY(株)製 EVーS700)を改造し
て、シリンダーの回転数が通常の回転数の2倍となるよ
うにして、カラーバー信号を記録した後再生し、スチル
制限機構を作動させずにスチル状態で画像を再生し、出
力が初期のー6dBとなるまでの時間を測定して評価し
た。 耐腐蝕性 27℃、80%RH、亜硫酸ガス1ppmの環境に磁気
記録媒体を72時間保存し、保存後のテープ表面を目視
観察し、試験前とほとんど変化が見られないものを○、
テープ全面の金属光沢は残っているものの腐食が観察さ
れるものを△、磁性層の一部もしくは全部が腐食により
溶解したものを×とした。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】非磁性支持体上に強磁性薄膜を設けた磁
気記録媒体において、潤滑剤化合物として、炭素数1〜
3のアルキル基を有する有機燐化合物と極性基含有フッ
素系有機化合物及び/叉は極性基含有炭化水素系化合物
を保持させることにより、走行性、耐久性及び耐食性を
共に優れた磁気記録媒体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 105:74 105:54 105:60) C10N 40:18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上の少なくとも一方の面に
    強磁性金属薄膜を設けた磁気記録媒体において、該強磁
    性金属薄膜の表面に潤滑剤化合物として、炭素数1〜3
    のアルキル基を有する有機燐化合物と極性基含有フッ素
    系有機化合物及び/叉は極性基含有炭化水素系化合物を
    保持していることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記有機燐化合物が燐酸エステルもしく
    は亜燐酸エステルである請求項1に記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記極性基含有フッ素系有機化合物の極
    性基叉は前記極性基含有炭化水素系化合物の極性基は、
    −COOH,−OPO32,−NH2またはこれらの
    塩、もしくは−OH,−COO−から選択される極性基
    である請求項1もしくは請求項2に記載の磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体上の少なくとも一方の面に
    強磁性金属薄膜を設けた磁気記録媒体において、該強磁
    性金属薄膜上にダイヤモンド状炭素膜があり、その上
    に、炭素数1〜3のアルキル基を有する有機燐化合物と
    極性基含有フッ素系有機化合物及び/叉は極性基含有炭
    化水素系化合物を保持していることを特徴とする磁気記
    録媒体。
  5. 【請求項5】 前記有機燐化合物が燐酸エステルもしく
    は亜燐酸エステルである請求項4に記載の磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】 前記極性基含有フッ素系有機化合物の極
    性基叉は前記極性基含有炭化水素系化合物の極性基は、
    −COOH,−OPO32,−NH2またはこれらの
    塩、もしくは−OH,−COO−から選択される極性基
    を有する化合物である請求項4もしくは請求項5に記載
    の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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