JP3478628B2 - 粒界絶縁層型半導体コンデンサ用の半導体セラミック組成物及びそれを用いた粒界絶縁層型半導体コンデンサ - Google Patents

粒界絶縁層型半導体コンデンサ用の半導体セラミック組成物及びそれを用いた粒界絶縁層型半導体コンデンサ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粒界絶縁層型半導体コ
ンデンサ用の半導体セラミック組成物及びそれを用いた
粒界絶縁層型半導体コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体セラミック組成物としては
SrTiO3 系を主成分にしたものが一般的に実用化さ
れている。しかし、SrTiO3 系の半導体コンデンサ
は誘電率は大きく誘電体損失は小さいが、絶縁抵抗が1
000〜2000MΩと低く、さらに直流破壊電圧も3
00〜500V/mmと低いので電圧特性が悪い。
【0003】これを改善するものとして、特開昭63−
64959号公報にSrTiO3 を主成分とし、CaT
iO3 を副成分とし、添加剤としてY23 ,Nb2
5 ,MnO,SiO2 を使用した半導体セラミック組成
物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような開示された従来の半導体セラミック組成物では、
SrTiO3 を主成分とし、CaTiO3 を副成分と
し、添加剤としてY23,Nb25 ,MnO,Si
2 を使用しているため、誘電率は大きく、誘電体損失
は小さいが、音響機器、映像機器、OA機器等に使用す
るには直流破壊電圧や絶縁抵抗が低く、インピーダンス
が高いという問題点を有していた。
【0005】本発明は、以上の問題点を解決し、誘電率
が大きく、誘電体損失が小さく、直流破壊電圧が高く、
絶縁抵抗が高く、インピーダンスが低い粒界絶縁層型半
導体コンデンサ用の半導体セラミック組成物及びそれを
用いた粒界絶縁層型半導体コンデンサを提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の問題点を解決する
ために本発明の粒界絶縁層型半導体コンデンサ用の半導
体セラミック組成物は、SrTiO3が66〜78モル
%,CaTiO3が22〜34モル%の範囲から成る主
成分100モル%に対して、半導体化剤としてCeO2
を0.2〜1.3wt%,Nb25を0〜0.5wt%
含有し、添加剤として、MnO2を0.01〜0.1w
t%,SiO2を0.05〜0.4wt%,BaOを
0.1〜0.3wt%含有する。
【0007】
【0008】また、本発明の粒界絶縁層型半導体コンデ
ンサは、基板を上記粒界絶縁層型半導体コンデンサ用の
半導体セラミック組成物で構成した。
【0009】
【作用】この構成により、本発明の粒界絶縁層型半導体
コンデンサ用の半導体セラミック組成物及びそれを用い
た粒界絶縁層型半導体コンデンサは、誘電率を大きく
し、誘電体損失を小さくし、直流破壊電圧を高くし、絶
縁抵抗を高くし、インピーダンスを低くすることができ
る。
【0010】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の半導体セラミック組成物の
実施例を説明する。
【0011】SrTiO3 ,CaTiO3 ,CeO2
Nb25 ,MnO2 ,SiO2 ,BaO,Na2 Oを
(表1),(表2)に示した比率に成るように電子天秤
で秤量し配合物とした。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】次に、配合物100gに対してめのう玉石
を300g、水を150cc加えてポリエチレン製ポッ
ト内で24時間湿式混合し、脱水乾燥した後、10%ポ
リビニルアルコール溶液を用いて造粒し造粒粉体を得
た。次に、造粒粉体を1000kg/cm2の圧力で成
形し、直径9.0mm,厚み0.5mmの円盤状の成形
体を作成した。次に、成形体を窒素ガスと水素ガスによ
る還元性雰囲気中で1370〜1450℃の温度範囲内
で焼成し半導体素子を得た後、半導体素子の表面にB
i,Mn,Cu,Pb,La等を含有する有機金属化合
物を塗布し、空気中で1000〜1200℃の温度範囲
内で熱処理して結晶粒界に絶縁層の形成された半導体素
子を得た。次に、この半導体素子の両面に直径6.0m
mのAgペーストを塗布し、800〜850℃の温度範
囲内で熱処理してAg電極を形成した。次に、リード線
を半田付けして耐湿処理を行った後、難燃性塗料を被覆
して試料を得た。次いで、得られた試料について、電気
特性として周波数1kHz、1Vで誘電率と誘電体損失
の測定を行い、さらに直流破壊電圧と絶縁抵抗の測定、
そして共振周波数でのインピーダンスの測定を行った。
その結果を(表3),(表4)に示す。ただし、試料番
号に#を記したものは本発明の範囲外の試料であり、更
に、試料番号35,36以外は参考例となる試料であ
る。
【0015】
【表3】
【0016】
【表4】
【0017】この(表3),(表4)から、本発明の試
料は誘電率が10000以上と大きく、誘電体損失が
0.9%以下と小さく、直流破壊電圧が2000V/m
m以上と高く、絶縁抵抗が50VDC印加で10000
MΩ以上と高く、しかも共振周波数でのインピーダンス
が800mΩ以下と低く、優れた半導体セラミック組成
物であることが明らかとなった。
【0018】ところで、SrTiO3 が66モル%未満
では、誘電率が小さくなり誘電体損失は大きくなる。さ
らに、共振周波数でのインピーダンスが高くなる。ま
た、78モル%を超えると、直流破壊電圧が低くなり絶
縁抵抗も低くなる。
【0019】CaTiO3 が22モル%未満では直流破
壊電圧が低くなり、絶縁抵抗も低くなる。また、34モ
ル%を超えると、誘電率が小さくなり誘電体損失は大き
くなる。さらに、共振周波数でのインピーダンスが高く
なる。
【0020】CeO2 が0.2wt%未満では、誘電体
損失が大きくなり直流破壊電圧は低くなる。さらに、共
振周波数でのインピーダンスが高くなる。また、1.3
wt%を超えると、誘電率が小さくなり誘電体損失が大
きくなる。
【0021】Nb25 が0.5wt%を超えると、誘
電率が非常に小さくなり誘電体損失が大きくなると共に
直流破壊電圧が非常に小さくなる。さらに、共振周波数
でのインピーダンスが高くなる。
【0022】MnO2 が0.01wt%未満では、直流
破壊電圧が低くなる。0.1wt%を超えると、誘電率
が小さくなり誘電体損失は大きくなる。さらに、共振周
波数でのインピーダンスが高くなる。
【0023】SiO2 が0.05wt%未満では、誘電
体損失が大きくなり絶縁抵抗が低くなる。さらに、共振
周波数でのインピーダンスが非常に高くなる。0.4w
t%を超えると、誘電率が小さくなる。
【0024】BaOが0.3wt%を超えると、誘電率
が非常に大きくなり、直流破壊電圧と絶縁抵抗が非常に
低くなる。
【0025】Na2 Oが0.2wt%を超えると、誘電
率が非常に小さくなり、直流破壊電圧と絶縁抵抗が非常
に低くなる。さらに、共振周波数でのインピーダンスが
非常に高くなる。
【0026】なお、今までに述べた他に、電気特性を損
なわない範囲内で、SrTiO3 ,CaTiO3 から成
る主成分に対して、半導体化剤としてCeO2 ,Nb2
5のうち少なくとも1つ以上を含有し、添加剤として
MnO2 ,SiO2 ,BaO,Na2 Oのうち少なくと
も2つ以上を含有する半導体セラミック組成物であって
も差し支えない。
【0027】以上のように本実施例によれば、誘電率が
大きく、誘電体損失が小さく、直流破壊電圧が高く、絶
縁抵抗が高く、インピーダンスが低い優れた半導体セラ
ミック組成物を提供することができる。
【0028】(実施例2)以下、(実施例1)の半導体
セラミック組成物を基板に用いた半導体コンデンサの説
明をするが、既に基板に用いる組成物の各成分の含有率
は説明済みであるので重複説明は省略し、半導体コンデ
ンサの構造の説明のみを行う。
【0029】図1は本発明の一実施例における半導体コ
ンデンサの側断面図である。図1において、1は円盤状
に形成された基板であり、この基板1には(実施例1)
の半導体セラミック組成物を使用している。2,3はそ
れぞれ基板1の両端に形成された電極であり、材質とし
てはNiの無電解鍍金膜を用いても良いし、Agを焼き
付けた膜を用いても良い。Agを焼き付けた膜の場合、
Agの焼き付け温度を850℃にすると大きな静電容量
が得られる。4,5はリード線であり、電極2,3にそ
れぞれ半田6,7で接合されている。8は絶縁材料から
成る外装材であり、基板1及び電極2,3をすっぽりと
覆って絶縁している。この外装材8を難燃性塗料で構成
し絶縁性と共に耐熱性を持たせても良く、具体的な材質
としてはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が望ましい。
【0030】(実施例1)で述べたような電気特性を持
つ半導体セラミック組成物は、特に粒界絶縁層型半導体
コンデンサ用の基板として適している。このため、この
ような基板を用いた本実施例の半導体コンデンサは、誘
電率が大きく、誘電体損失が小さく、直流破壊電圧が高
く、絶縁抵抗が高く、インピーダンスが低いという優れ
た性能を有し、音響機器、映像機器、OA機器等に使用
する半導体コンデンサとして最適である。
【0031】
【発明の効果】本発明の粒界絶縁層型半導体コンデンサ
用の半導体セラミック組成物は、SrTiO 3 が66〜
78モル%,CaTiO 3 が22〜34モル%の範囲か
ら成る主成分100モル%に対して、半導体化剤として
CeO 2 を0.2〜1.3wt%,Nb 2 5 を0〜0.
5wt%含有し、添加剤として、MnO 2 を0.01〜
0.1wt%,SiO 2 を0.05〜0.4wt%,B
aOを0.1〜0.3wt%含有する。
【0032】
【0033】また、本発明の粒界絶縁層型半導体コンデ
ンサは、基板を上記粒界絶縁層型半導体コンデンサ用の
半導体セラミック組成物で構成した。
【0034】この構成により、本発明の粒界絶縁層型半
導体コンデンサ用の半導体セラミック組成物及びそれを
用いた粒界絶縁層型半導体コンデンサは、誘電率を大き
くし、誘電体損失を小さくし、直流破壊電圧を高くし、
絶縁抵抗を高くし、インピーダンスを低くすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における半導体コンデンサの
側断面図
【符号の説明】
1 基板 2,3 電極 4,5 リード線 6,7 半田 8 外装材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 4/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SrTiO3が66〜78モル%,Ca
    TiO3が22〜34モル%の範囲から成る主成分10
    0モル%に対して、 半導体化剤としてCeO2を0.2〜1.3wt%,N
    25を0〜0.5wt%含有し、 添加剤として、MnO2を0.01〜0.1wt%,S
    iO2を0.05〜0.4wt%,BaOを0.1〜
    0.3wt%含有することを特徴とする粒界絶縁層型半
    導体コンデンサ用の半導体セラミック組成物。
  2. 【請求項2】 基板と、前記基板の両端に設けられた電
    極とを備えた粒界絶縁層型半導体コンデンサであって、
    前記基板を請求項1記載の粒界絶縁層型半導体コンデン
    サ用の半導体セラミック組成物で構成したことを特徴と
    する粒界絶縁層型半導体コンデンサ。
  3. 【請求項3】 基板と、前記基板の両端に設けられた電
    極と、前記電極にそれぞれ接続された端子と、前記基板
    及び前記電極を覆う外装材とを備えた粒界絶縁層型半導
    体コンデンサであって、前記基板を請求項1記載の粒界
    絶縁層型半導体コンデンサ用の半導体セラミック組成物
    で構成したことを特徴とする粒界絶縁層型半導体コンデ
    ンサ。
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