JP3478543B2 - 酸化物超伝導薄膜およびその製造方法 - Google Patents

酸化物超伝導薄膜およびその製造方法

Info

Publication number
JP3478543B2
JP3478543B2 JP06628091A JP6628091A JP3478543B2 JP 3478543 B2 JP3478543 B2 JP 3478543B2 JP 06628091 A JP06628091 A JP 06628091A JP 6628091 A JP6628091 A JP 6628091A JP 3478543 B2 JP3478543 B2 JP 3478543B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
film
superconducting thin
oxide
oxide superconducting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP06628091A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04300272A (ja
Inventor
洋 市川
紘一 水野
謙太郎 瀬恒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP06628091A priority Critical patent/JP3478543B2/ja
Publication of JPH04300272A publication Critical patent/JPH04300272A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3478543B2 publication Critical patent/JP3478543B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、100K以上の高臨界
温度が期待されるビスマスを含む酸化物超伝導体の薄膜
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高温超伝導体として、A15型2元系化
合物として窒化ニオブ(NbN)やゲルマニウムニオブ
(Nb3Ge)などが知られていたが、これらの材料の
超伝導転移温度はたかだか23Kであった。一方、ペロ
ブスカイト系化合物は、さらに高い転移温度が期待さ
れ、Ba-La-Cu-O系の高温超伝導体が提案された[J.
G. ヘ゛ト゛ノルツ(Bednorz) および K. A. ミューラー(Muller), ツ
ァイトシュリフト・フュア・フィシ゛ーク (Zetshrift Fur Physik B)-コンテ゛ン
スト マター (Condensed Matter) Vol.64,189-193(1986)]。
【0003】さらに、Bi-Sr-Ca-Cu-O系の材料が1
00K以上の転移温度を示すことも発見された[H. マエタ
゛(Maeda) 他、シ゛ャハ゜ニース゛・シ゛ャーナル・オフ゛・アフ゜ライト゛・フィシ゛ックス
(Japanese Journal of Applied Physics)Vol.27,L209-
210(1988)]。この種の材料の超伝導機構の詳細は明らか
ではないが、転移温度が室温以上に高くなる可能性があ
り、高温超伝導体として従来の2元系化合物より、電子
デバイス分野での応用が期待されている。
【0004】そして、これらの酸化物超伝導体の開発と
相俟って、この材料を電子デバイスへの応用を考え、酸
化物超伝導体を作製する際に経る高熱過程に対しても安
定な誘電体および誘電体薄膜の開発が行なわれている
[Y. イチカワ(Ichikawa) 他、ジャパニーズ・ジャーナル・
オブ・アプライド・フィジックス (Japanese Journalof
Applied Physics) Vol.27,L381-L383 (1988)]。
【0005】さらに超伝導体と誘電体とを交互に積層す
ることにより、より高い超伝導転移温度が従来から期待
されていた[M. H. コーエン (Cohen) 他、フィジカル・レ
ビュー・レターズ (Physical Review Letters)Vol.19,1
18-121(1967)]。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸化物
超伝導体の材料は、良好な超伝導特性を得るためには少
なくとも600 ℃以上の熱処理あるいは形成時の加熱が必
要であり、そのため誘電体の結晶性が崩れ、誘電体およ
び誘電体薄膜と超伝導体との間で各元素の相互拡散が起
こり、特に高温酸化物超伝導体と誘電体薄膜との周期的
な積層構造を得ることはきわめて困難であり、ジョセフ
ソンデバイスが代表応用例としてあげられるこの構造を
利用した集積化デバイスを構成不可能に近いものとして
いた。
【0007】さらに、高温超伝導体および薄膜にとって
最適な誘電体薄膜が得られていないため、超伝導体と誘
電体との有効な積層構造が得られず、超伝導体そのもの
の超伝導転移温度の上昇は望めないのが現状であった。
【0008】本発明の目的は、従来の欠点を解消し、酸
化物高温超伝導体等の比較的温度の高い生成過程を経る
材料をデバイス化する際に不可欠な誘電体、および誘電
体薄膜との積層を実現し、より高性能な超伝導薄膜およ
び超伝導薄膜の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明の超伝導薄膜
は、基体上に主体成分が少なくともビスマス(Bi)、
銅(Cu),およびアルカリ土類(IIa族)を含む層
状酸化物超伝導薄膜と、主体成分がランタン(La)、
イットリウム(Y)とネオジウム(Nd)のうちの少な
くとも一種以上の元素とアルミニウム(Al)を含む酸
化物誘電体薄膜が交互に積層された構造を持つものであ
る。
【0010】さらに第2の発明の超伝導薄膜の製造方法
は、基体上に、少なくともBiを含む酸化物と少なくと
も銅およびアルカリ土類(IIa族)を含む酸化物とを
周期的に積層させて形成する酸化物薄膜と、主体成分が
La、YとNdのうちの少なくとも一種以上の元素とAl
を含む酸化物薄膜を周期的に積層させて得るものであ
る。
【0011】
【作用】第1の発明においては、熱的にも極めて安定で
結晶の格子定数がBi系超伝導体に極めて近い(La,
Y,Nd)AlO3誘電体薄膜とBi系超伝導薄膜とを交互
に積層された構造をとることによって、超伝導薄膜と誘
電体薄膜との間での元素の相互拡散のない積層が可能に
なり、その結果Bi系超伝導薄膜における超伝導転移温
度が安定に再現性よく実現されたものである。
【0012】さらに第2の発明においては、第1の発明
をきわめて安定に、しかも微細スケールでの構造を達成
するため、Bi系超伝導薄膜を少なくともBiを含む酸化
物と、少なくとも銅およびアルカリ土類(IIa族)を
含む酸化物を、周期的に積層させて分子レベルの制御に
よる薄膜の作製を行うことによって、再現性良くBi系
超伝導薄膜と誘電体薄膜との積層を実現させるものであ
る。
【0013】
【実施例】通常、Bi-Sr-Ca-Cu-O系等の酸化物超伝
導薄膜は600〜700 ℃に加熱した基体上に蒸着して得
る。蒸着後、そのままでも薄膜は超伝導特性を示すが、
その後700〜950 ℃の熱処理を施し、超伝導特性を向上
させる。
【0014】しかしながら、基体温度が高いときに誘電
体膜をBi系超伝導薄膜に続いて積層したり、誘電体膜
を形成後熱処理を行った場合、超伝導膜と誘電体膜との
間で、元素の相互拡散が起こり超伝導特性が大きく劣化
することが判明した。相互拡散を起こさないためには、
超伝導膜、誘電体膜の結晶性が優れていること、超伝導
膜・誘電体膜間での格子の整合性が優れていること、誘
電体膜が700〜950 ℃の熱処理に対して安定であること
が不可欠と考えられる。
【0015】まず本発明者らは、融点が2000 ℃近くあ
り、a軸およびb軸の格子定数がBi系超伝導体のそれ
にほぼ等しく、格子不整合率が1〜2%と考えられるL
aAlO 3材料の薄膜化の検討を行なった。
【0016】高周波マグネトロンスパッタ法でLaAlO
3の薄膜化を行った。LaAlO3通常焼成に約2000 ℃の
高温を要することから、La、Alの2つの金属ディスク
ターゲットからなる2元スパッタ法で薄膜合成を行っ
た。基体にはMgO(100)を用い、ArとO2の混合ガス雰
囲気中(ガス圧力;0.5 Pa、Ar:O2=1:1)で成
膜を行った。薄膜中のLaとAlの組成比率は入力パワー
を変えることによってLa:Al=1:1となるように調
整した。基体温度650 ℃のときもっとも結晶性の良
い薄膜が得られた。図1にLaAlO3薄膜のX線回折ス
ペクトルを示す。このときのLaAlO3薄膜の膜厚は約1
00 nmであるが、MgO(100)基体上にc軸配向成長した
Bi-Sr-Ca-Cu-O薄膜上にLaAlO3薄膜を作製した
場合、膜厚5nm程度の極薄膜についても図1に示したX
線回折スペクトルと同程度であった。すなわち、Bi-S
r-Ca-Cu-O結晶のaおよびb軸長は0.54 nmであ
るのに対し、LaAlOのそれは0.536 nmであり、
格子の不整合率は1%以下であることに依っているもの
と考えられる。従って、このLaAlO3材料はBi-Sr-
Ca-Cu-O超伝導薄膜と互いにエピタキシャル成長が可
能であり、かつ高融点であることから、ジョセフソン接
合素子等のBi-Sr-Ca-Cu-O超伝導薄膜に対する誘電
体すなわち絶縁体薄膜として適しており、Bi-Sr-Ca-
Cu-O薄膜と互いに積層が可能と考え本発明に至った。
【0017】本発明者らによる第1の発明の内容を更に
深く理解されるために、図2を用い具体的な実施例を示
す。
【0018】実施例1 図2は、本実施例で用いた3元マグネトロンスパッタ装
置内部の概略図であり、11はBi-Sr-Ca-Cu-Oター
ゲット、12はLaターゲット、13はAlターゲット、
14、15、16はシャッター、17は基体、18は基
体加熱用ヒーターを示す。ターゲット11は焼結体をプ
レス成形加工して作製した。すなわち、MgO(100)基体1
7に焦点を結ぶように各ターゲットが約30°傾いて設
置されている。ターゲット11、12、13の前方には
それぞれシャッター14、15、16があり、その開閉
をコンピューターで制御することにより、Bi-Sr-Ca-
Cu-O→La-Al-O→Bi-Sr-Ca-Cu-O→La-Al-O
→Bi-Sr-Ca-Cu-Oのサイクルでスパッタ蒸着が行な
うことができる。ただし、シャッター15、16は同時
に開閉して、解放時にはターゲット12、13が同時に
スパッタされてLa-Al-O薄膜が形成される。La-Al-
O薄膜中のLaとAlの元素比率の調整は1:1になるよ
うにターゲット12、13への入力電力の調整をもって
行なった。
【0019】Bi-Sr-Ca-Cu-O膜、La-Al-O膜の積
層の様子を概念的に図3に示す。図3において、31は
Bi-Sr-Ca-Cu-O膜、32はLa-Al-O膜を示す。タ
ーゲット11、12、13への入力電力、およびスパッ
タ時間をシャッター14、15、16の開閉時間を制御
することにより、基体17上に蒸着するBi-Sr-Ca-C
u-O膜31、La-Al-O膜32の膜厚を変えることがで
きる。基体17をヒーター18で約700 ℃に加熱し、ア
ルゴン・酸素(1:1)混合雰囲気0.5Paのガス中
で各ターゲットのスパッタリングを行なった。薄膜作製
後は酸素雰囲気中において、850 ℃の熱処理を5時間施
した。本実施例では、各ターゲットのスパッタ電力を、
Bi-Sr-Ca-Cu-Oターゲット11:150 W、Laターゲ
ット12:80 W、Alターゲット13:30 Wとした。Bi
-Sr-Ca-Cu-O膜31をLa-Al-O膜32と積層せず
に基体17上に形成した場合、すなわちBi-Sr-Ca-C
u-O膜31そのものの特性は、115 Kで超伝導転移を起
こし、97 Kで抵抗がゼロになるものであった。誘電体膜
すなわちLa-Al-O薄膜はできるだけ薄い方が好ましい
ので、膜厚20 nmのLa-Al-O膜32に対して、Bi-Sr
-Ca-Cu-O膜31の膜厚を変え図3に示すような(Bi
-Sr-Ca-Cu-O膜→La-Al-O膜)の積層構造を20
周期作製した。
【0020】そのときの超伝導薄膜の抵抗の温度特性を
図4に示す。図4において、Bi-Sr-Ca-Cu-O膜31
の膜厚が10 nm、30 nm、50 nmのときのを特性をそれぞ
れ、特性41、42、43に示す。特性41においては
ゼロ抵抗温度が約30 KとBi-Sr-Ca-Cu-O膜31の特
性が劣化することがわかった。この理由として、Bi-S
r-Ca-Cu-O膜31とLa-Al-O膜32との間で元素の
相互拡散による膜31、32の結晶性の破壊が考えられ
る。さらに特性43においては、La-Al-O膜32との
周期的な積層なしに基体17上につけたときのBi-Sr-
Ca-Cu-O膜31本来の超伝導特性とほとんど同じであ
り、誘電体膜La-Al-O膜32との積層効果は確認され
なかった。しかしながら、本発明者らは特性42におい
て、超伝導転移温度、ゼロ抵抗温度がともに約5 K上
昇することを見いだした。この効果の詳細な理由につい
ては未だ不明であるが、Bi-Sr-Ca-Cu-O膜31とL
a-Al-O膜32との積層界面での元素の相互拡散の影響
が少なく、かつ薄いLa-Al-O膜32を介して複数のB
i-Sr-Ca-Cu-O膜31を積層することによりBi-Sr-
Ca-Cu-O膜31において超伝導機構になんらかの変化
が引き起こされたことが考えられる。
【0021】なお、超伝導転移温度が上昇する効果は、
Bi-Sr-Ca-Cu-O膜31の膜厚が20 〜40 nmの範囲で
有効であることを、本発明者らは確認した。
【0022】なお、本発明者らはLa-Al-O膜32の代
わりに、Y-Al-O、Nd-Al-Oを用いたときも第1の
発明が有効であることを確認した。
【0023】さらに本発明者らは、Biの酸化物と、S
r、Ca、Cuの酸化物を異なる蒸発源から真空中で別々
に蒸発させ、基体上にBi-O→Sr-Cu-O→Ca-Cu-O→Sr-Cu-
O→Bi-Oの順で周期的に積層させできるBi-Sr-Ca-Cu
-O薄膜をLa-Al-O薄膜もしくはY-Al-O薄膜もしく
はNd-Al-O薄膜と周期的に積層した場合(実施例1)
に示した積層構造作製方法より極めて制御性良く、安定
した膜質の、しかも膜表面が極めて平坦なBi-Sr-Ca-
Cu-OとLa-Al-O(もしくはY-Al-OあるいはNd-
Al-O)の積層構造薄膜が得られることを見いだした。
【0024】さらに本発明者らは、Bi-O、Sr-Cu-
O、Ca-Cu-Oを別々の蒸発源から蒸発させ、Bi-Sr-
Ca-Cu-O超伝導薄膜の膜厚を原子オーダーの精度で極
めて制御性良く作製でき、さらにはBi-Sr-Ca-Cu-O
とLa-Al-O(もしくはY-Al-OあるいはNd-Al-
O)の積層構造薄膜の周期構造を持つ薄膜を形成できる
ことを見いだした。さらに、このm(Bi-Sr-Ca-Cu-
O)・(La-Al-O)薄膜は、(実施例1)に示したB
i-Sr-Ca-Cu-Oを同時に蒸着して得る超伝導薄膜と、
La-Al-Oを同時に蒸着して得る酸化物誘電体膜とを周
期的に積層して得た薄膜に比べて、はるかに結晶性が優
れ、超伝導転移温度、臨界電流密度等の特性に勝ってい
ることも併せて見いだした。
【0025】これらのことは図5に示す積層の概念図を
用いて説明することができる。すなわち、それぞれ層状
構造を構成する異なる元素を別々に順次積層していくこ
とにより、基体表面に対し平行な面内だけで積層された
蒸着元素が動くだけで、基体表面に対し垂直方向への元
素の移動がないことによるものと考えられる。先にも述
べたように、Bi-Sr-Ca-Cu-O結晶のa軸およびb軸
とLaAlO3結晶のそれがほぼ等しく、本発明者らによ
るこのBi-Sr-Ca-Cu-O薄膜の作製法によると極めて
精密にLa-Al-O結晶の上にはBi-O層が位置し、Bi-
Sr-Ca-Cu-O薄膜のBi-O層の上にLa-Al-O薄膜を
連続にエピタキシャル成長させることができることによ
るものと考えられる。
【0026】さらに以外にも、良好な超伝導特性を得る
に必要な基体の温度、熱処理温度も、従来より低いこと
を見いだした。
【0027】Bi-O、Sr-Cu-O、Ca-Cu-Oを周期的
に積層させる方法としては、いくつか考えられる。一般
に、MBE装置あるいは多元のEB蒸着装置で蒸発源の
前を開閉シャッターで制御したり、気相成長法で作製す
る際にガスの種類を切り替えたりすることにより、周期
的積層を達成することができる。しかしこの種の非常に
薄い層の積層には従来スパッタリング蒸着は不向きとさ
れていた。この理由は、成膜中のガス圧の高さに起因す
る不純物の混入およびエネルギーの高い粒子によるダメ
ージと考えられている。しかしながら、本発明者らは、
このBi系酸化物超伝導体に対してスパッタリングによ
り異なる薄い層の積層を行なったところ、以外にも良好
な積層膜作製が可能なことを発見した。スパッタ中の高
い酸素ガス圧およびスパッタ放電が、Bi系の100K
以上の臨界温度を持つ相の形成、およびLa-Al-O誘電
体膜の形成に都合がよいためではなかろうかと考えられ
る。 スパッタ蒸着で異なる物質を積層させる方法とし
ては、組成分布を設けた1ケのスパッタリングターゲッ
トの放電位置を周期的に制御するという方法があるが、
組成の異なる複数個のターゲットのスパッタリングとい
う方法を用いると比較的簡単に達成することができる。
この場合、複数個のターゲットの各々のスパッタ量を周
期的に制御したり、あるいはターゲットの前にシャッタ
ーを設けて周期的に開閉したりして、周期的積層膜を作
製することができる。また基板を周期的運動させて各々
ターゲットの上を移動させる方法でも作製が可能であ
る。レーザースパッタあるいはイオンビームスパッタを
用いた場合には、複数個のターゲットを周期運動させて
ビームの照射するターゲットを周期的に変えれば、周期
的積層膜が実現される。このように複数個のターゲット
を用いたスパッタリングにより比較的簡単にBi系酸化
物の周期的積層が作製可能となる。
【0028】以下本発明者らによる第2の発明の内容を
さらに深く理解されるために、具体的な実施例を示す。
【0029】実施例2 図6に本実施例で用いた4元マグネトロンスパッタ装置
の概略図を示す。図6において、61はBiターゲッ
ト、62はSr-Ca-Cu-O焼成セラミックスターゲッ
ト、63はLaターゲット、64はAlターゲット、6
5、66、67、68はシャッター、69は基体、70
は基体加熱用ヒーターを示す。計4個のターゲット6
1、62、63、64は図6に示すように配置させた。
即ち、MgO(100)基体69に焦点を結ぶように各ターゲ
ットが約30°傾いて設置されている。ターゲットの前
方にはシャッター65、66、67、68があり、それ
らの開閉はすべてコンピューターで制御されることか
ら、Bi-O層とSr-Ca-Cu-O層からなるBi-Sr-Ca-
Cu-O結晶層薄膜の膜厚すなわち周期、La-Al-O薄膜
の膜厚とBi-Sr-Ca-Cu-O薄膜とLa-Al-O薄膜の積
層周期を自在に変えることができる。基体69をヒータ
ー70で約600℃に加熱し、アルゴン・酸素(1:
1)混合雰囲気0.5 Paのガス中で各ターゲットのス
パッタリングを行なった。Bi→Sr-Ca-Cu-O→Biの
サイクルでスパッタし、Bi-Sr-Ca-Cu-O膜の元素の
組成比率がBi:Sr:Ca:Cu=2:2:2:3となるように各タ
ーゲットのスパッタ時間とスパッタ電力を調整し、上記
サイクルを20周期行った結果、100K以上の臨界温
度を持つ相を作製することができた。典型的なスパッタ
電力はBi:30 W、Sr-Ca-Cu-O:80 Wである。この
ままの状態でもこのBi-Sr-Ca-Cu-O薄膜は100K
以上の超伝導転移を示したが、さらに酸素中で650
℃、1時間の熱処理を行なうと非常に再現性よくなり、
超伝導転移温度は120 K、抵抗がゼロになる温度は100 K
になった。超伝導転移温度が100 Kを越す相は金属元素
がBi-Sr-Cu-Ca-Cu-Ca-Cu-Sr-Biの順序で並ん
だ酸化物の層から成り立っているとも言われており、本
発明の製造方法がこの構造を作るのに非常に役だってい
るのではないかと考えられる。また、La-Al-O膜の作
製は元素の組成比がLa:Al=1:1となるようにターゲ
ット63、64のスパッタ電力を調整し、LaとAlを同
時にスパッタし、膜厚はシャッター67、68の開閉時
間で制御した。典型的にはスパッタ電力はLa:80 W、
Al:30 Wにして実験を行った。
【0030】さらに本発明者らはm×(Bi→Sr-Ca-
Cu-O→Bi)→t-(La-Al-O)のサイクルで各ター
ゲットをスパッタし、m(Bi-Sr-Ca-Cu-O)・t-
(Bi-Ti-O)薄膜を基体57上に作製した。ここでm
は正の整数、tはLa-Al-O薄膜の膜厚を示す。本発明
者らはt=5nmのとき、mを変化させて周期的に積層し
て得た膜の超伝導特性を調べた。図7にm=2、6、1
6のときに得た膜の抵抗の温度変化をそれぞれ特性7
1、72、73に示す。図7において、m=6のとき、
最も高い超伝導転移温度およびゼロ抵抗温度、すなわち
特性72が得られた。特性72の超伝導転移温度、ゼロ
抵抗温度はBi-Sr-Ca-Cu-O膜本来のそれらの値より
も約8 K高いものであった。この効果の詳細な理由につ
いては未だ不明であるが、本実施例に示した方法でBi-
Sr-Ca-Cu-O膜とLa-Al-O膜とを周期的に積層する
ことによって、La-Al-O膜はBi22層にエピタキシ
ャル成長していることにより積層界面での元素の相互拡
散の影響がなく、かつ結晶性に優れた薄いLa-Al-O膜
を介して同じく結晶性に優れたBi-Sr-Ca-Cu-O膜を
積層することによりBi-Sr-Ca-Cu-O膜において超伝
導機構になんらかの変化が引き起こされたことが考えら
れる。
【0031】なお、超伝導転移温度が上昇する効果は、
Bi→Sr-Ca-Cu-O→Biのサイクルが4〜10の範囲
で有効であることを、本発明者らは確認した。
【0032】なお、本発明者らはLa-Al-O膜の代わり
に、Y-Al-O、Nd-Al-O膜を用いたときも第2の発
明が有効であることを確認した。
【0033】
【発明の効果】第1の発明の酸化物超電導薄膜は、Bi
系酸化物超伝導薄膜の超電導転移温度を上昇させる構造
を提供するものであり、第2の発明の酸化物超電導薄膜
の製造方法は第1の発明をより効果的に実現し、デバイ
ス等の応用には必須の低温でのプロセス確立したもので
あり、本発明の工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】La-Al-O薄膜のX線回折スペクトル図であ
る。
【図2】第1の発明の実施例における薄膜の製造装置の
概略図である。
【図3】第1の発明の構造概念図である。
【図4】図2の装置により得た薄膜における抵抗の温度
特性図である。
【図5】第2の発明の構造概念図である。
【図6】第2の発明の実施例における薄膜の製造装置の
概略図である。
【図7】図6の装置により得た薄膜における抵抗の温度
特性図である。
【符号の説明】
11、12、13、61、62、63、64 スパッタ
リングターゲット 14、15、16、65、66、67、68 シャッタ
ー 17、69 MgO基体 18、70 ヒーター 31 Bi-Sr-Ca-Cu-O膜 32 La-Al-O膜 41、42、43、71、72、73 薄膜の抵抗の温
度特性
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 39/24 ZAA H01L 39/24 ZAAB (72)発明者 瀬恒 謙太郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−91982(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に主体成分が少なくともビスマス
    (Bi)、銅(Cu)、およびアルカリ土類(IIa
    族)を含む層状酸化物超伝導薄膜と、主体成分がランタ
    ン(La)、イットリウム(Y)とネオジウム(Nd)
    のうちの少なくとも一種以上の元素とアルミニウム(A
    l)を含む酸化物誘電体薄膜よりなる積層膜が交互に複
    数回積層された構造を持つ酸化物超伝導薄膜において、
    前記層状酸化物超伝導薄膜の膜厚が20nm以上、40
    nm以下であることを特徴とする酸化物超伝導薄膜。こ
    こでアルカリ土類は、IIa族元素のうちの少なくとも
    一種あるいは二種以上の元素を示す。
  2. 【請求項2】 基体上に、少なくともBiを含む酸化物
    と少なくとも銅およびアルカリ土類(IIa族)を含む
    酸化物とを周期的に蒸着により積層させて形成され、膜
    厚が20nm以上40nm以下である層状酸化物超伝導
    薄膜と、主体成分がLa、YとNdのうち少なくとも一
    種以上の元素とAlを含む酸化物誘電体薄膜とを周期的
    蒸着により積層させて得ることを特徴とする酸化物超
    伝導薄膜の製造方法。ここでアルカリ土類は、IIa族
    元素のうち少なくとも一種あるいは二種以上の元素を示
    す。
  3. 【請求項3】 積層物質の蒸発を少なくとも二種以上の
    蒸発源で行うことを特徴とする請求項2記載の酸化物超
    伝導薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 積層物質の蒸発をスパッタリングで行う
    ことを特徴とする請求項2記載の酸化物超伝導薄膜の製
    造方法。
JP06628091A 1991-03-29 1991-03-29 酸化物超伝導薄膜およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3478543B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06628091A JP3478543B2 (ja) 1991-03-29 1991-03-29 酸化物超伝導薄膜およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06628091A JP3478543B2 (ja) 1991-03-29 1991-03-29 酸化物超伝導薄膜およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04300272A JPH04300272A (ja) 1992-10-23
JP3478543B2 true JP3478543B2 (ja) 2003-12-15

Family

ID=13311263

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06628091A Expired - Fee Related JP3478543B2 (ja) 1991-03-29 1991-03-29 酸化物超伝導薄膜およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3478543B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009069660A1 (ja) * 2007-11-29 2009-06-04 Kyushu Institute Of Technology 超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法及びその測定装置並びに超伝導体
JP2009152175A (ja) * 2007-11-29 2009-07-09 Kyushu Institute Of Technology 超伝導体並びに超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法及びその測定装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009069660A1 (ja) * 2007-11-29 2009-06-04 Kyushu Institute Of Technology 超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法及びその測定装置並びに超伝導体
JP2009152175A (ja) * 2007-11-29 2009-07-09 Kyushu Institute Of Technology 超伝導体並びに超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法及びその測定装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04300272A (ja) 1992-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5114906A (en) Process for depositing tl-containing superconducting thin films on (110) mgo substrates
JP3478543B2 (ja) 酸化物超伝導薄膜およびその製造方法
JP3037514B2 (ja) 薄膜超伝導体及びその製造方法
JP2979422B2 (ja) 絶縁体および絶縁薄膜の製造方法と、超伝導薄膜および超伝導薄膜の製造方法
JP2669052B2 (ja) 酸化物超電導薄膜およびその製造方法
JP2741277B2 (ja) 薄膜超電導体およびその製造方法
JP2733368B2 (ja) 超電導薄膜およびその製造方法
JPH0316920A (ja) 酸化物超電導薄膜およびその製造方法
JP3025891B2 (ja) 薄膜超電導体およびその製造方法
JP2555477B2 (ja) 超伝導薄膜およびその製造方法
JPH05170448A (ja) セラミックス薄膜の製造方法
JP2502744B2 (ja) 薄膜超電動体の製造方法
JPH0822740B2 (ja) 酸化物超電導薄膜およびその製造方法
JPH0822742B2 (ja) 薄膜超電導体およびその製造方法
JPH05171414A (ja) 超伝導薄膜およびその製造方法
JPH0822741B2 (ja) 超電導薄膜およびその製造方法
JPH0714817B2 (ja) 酸化物超電導薄膜およびその製造方法
JP2594271B2 (ja) 超電導体用薄膜の製造装置および超電導体用薄膜の製造方法
JP2866476B2 (ja) 積層超電導体及びその製造方法
JPH02167827A (ja) 薄膜超電導体
JPH02122065A (ja) 薄膜超電導体の製造方法
JPH0437609A (ja) 酸化物超伝導薄膜およびその製造方法
JPH042617A (ja) 酸化物超電導薄膜およびその製造方法
JPH0465320A (ja) 超電導薄膜およびその製造方法
JPH04362016A (ja) セラミックス薄膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees