JP2866476B2 - 積層超電導体及びその製造方法 - Google Patents
積層超電導体及びその製造方法Info
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Description
化物超電導体の積層超電導体及びその製造方法に関する
ものである。
ニオブ(NbN)やゲルマニウムニオブ(Nb3Ge)などが知
られていたが、これらの材料の超電導転移温度はたかだ
か23Kであった。一方、ペロブスカイト系化合物は、さ
らに高い転移温度が期待され、Ba−La−Cu−O系の高温
超電導体が提案された[J.G.Bednorz and K.A.Muller,
ツァイトシュリフト・フュア・フィジーク(Zetshrift
Fur Physik B)−Condensed Matter Vol.64,189−193
(1986)]。
移温度を示すことも発見された[H.Maeda,Y,Tanaka,M.F
ukutomi and T.Asano,ジャパニーズ・ジャーナ・オブ・
アプライド・フィジックス(Japanese Journa of Appli
edPhysics)Vol.27,L209−210(1988)]。この種の材
料の超電導機構の詳細は明らかではないが、転移温度、
臨海磁界がより高くなる可能性があり、従来の2元系化
合物より、より有望な特性が期待される。
により、より高い臨界磁場が従来から期待されている。
化は、主としてスパッタリング法をはじめとして、レー
ザ・アブレイション、MBE(分子線エピタキシャル成長
法)、CVD(化学的気相成長法)など各種の方法が行な
われているが、超伝導応用デバイスの実用化において要
求される、膜厚が100オングストローム以下の超薄膜超
伝導体は作製は現在のところ非常に困難である。これ
ば、基体材料と超電導体との結晶格子定数の差異、基本
表面の面粗さ等によると考えられている。このため、超
薄膜を形成するためには基体と超電導薄膜の結晶定数の
不整合性等を緩和するための中間層となる薄膜材料の開
発が望まれていた。
薄膜を形成するためには少なくとも700℃以上の熱処理
あるいは形成時の加熱が必要であり、そのため高い臨界
電流密度、高い臨界磁場が期待される非超電導体薄膜と
の周期的な積層構造膜を作製する際、両者の界面での原
子の拡散等の整合性が大きな課題となっていた。
薄膜超電導体の臨界磁場の向上をはかることができる積
層超電導体及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
Bi2Sr2CaCu2Oyからなる層状酸化物超電導薄膜と、Bi2Sr
2CuOXからなる層状酸化物非超電導薄膜が交互に積層さ
れた構造を持ち、前記層状酸化物超電導薄膜の各層の膜
厚が10オングストローム(1nm)以上400オングストロー
ム(40nm)以下であり、かつ層状酸化物非超電導薄膜の
各層の膜厚が10オングストローム(1nm)以上400オング
ストローム(40nm)以下であることを特徴とする。
2Oyからなる層状酸化物超電導薄膜と、Bi2Sr2CuOXから
なる層状酸化物非超電導薄膜が交互に積層された構造を
持つ積層超電導体の製造方法であって、前記層状酸化物
超電導薄膜と前記層状酸化物非超電導薄膜を、少なくと
も二種以上の蒸発源で蒸発させた物質を積層し、前記層
状酸化物超電導薄膜の各層の膜厚が10オングストローム
(1nm)以上400オングストローム(40nm)以下であり、
かつ層状酸化物非超電導薄膜の各層の膜厚が10オングス
トローム(1nm)以上400オングストローム(40nm)以下
である積層超電導体を形成することを特徴とする。
ングであることが好ましい。
超電導体と類似の結晶構造をとる非超電導体とが、交互
に積層された構造をとることによって、超電導膜と非超
電導体との間での相互拡散の少ない積層が可能となり、
Bi系超電導薄膜における臨界磁場の向上を図ることがで
きる。
オングストロームであり、かつ層状酸化物非超電導薄膜
の各層の膜厚が10〜400オングストロームであるという
本発明の好ましい構成によれば、さらに臨界磁場の向上
を図ることができる。
層超電導体を効率良く合理的に製造することができる。
本発明方法の好ましい構成によれば、各層の結晶構造
と、均一な膜厚を所定のものに設定できる。
る。なお本発明は下記の実施例に限定されるものではな
い。
の周期的な積層構造を実現するため、Bi系超電導薄膜と
種々の非超電導薄膜との界面での相互作用について検討
した。
に蒸着して得る。
導薄膜をBi系超電導薄膜に続いて積層したり、また、非
超電導薄膜に続いてBi系超電導薄膜を積層した場合、超
電導薄膜と非超電導薄膜との間で、元素の相互拡大が起
こり超電導特性が大きく劣化することが判明した。
導薄膜の結晶性が優れていること、超電導薄膜・非超電
導薄膜間での格子の整合性が優れていること、非超電導
薄膜が800〜950℃の熱処理に対して安定であることが不
可欠と考えられる。
−O薄膜が非超電導薄膜として適していることを見いだ
した。この理由としては、主たる構成元素が同じであ
り、結晶構造が類似しているためであると考えられる。
このため、Bi系超電導体との格子の整合性がきわめて優
れており,また高温の熱処理においても,Bi系超電導体
との界面が非常に安定であると考えられる。
Bi−Sr−Cu−Oを周期的に積層した時、Bi系超電導薄膜
本来の臨界磁場が向上すること見いだした。
れるために、第1図を用い具体的な実施例を示す。
スパッタ装置内部の概略図である。
ト、12はBi−Sr−Cu−Oターゲット、13は遮蔽筒、14は
基本、15は基体ホールダーであり内部に基体加熱用ヒー
ターを組み込んでいる。焼結体をプレス成形加工して作
製した2個のターゲット11、12を用い、第1図に示すよ
うに配置させた。
いて説明する。
し、各ターゲットに正体するように設置されている。基
体ホールダー15の回転パルスモーターで制御することに
より、基体14をBi−Sr−Ca−Cu−OターゲットまたはBi
−Sr−Cu−Oターゲット上に停止させることができる。
この様にして、Bi−Sr−Cu−O→Bi−Sr−Ca−Cu−O→
Bi−Sr−Cu−O→Bi−Sr−Ca−Cu−Oのサイクルでスパ
ッタ蒸着を行うことができる。
子を概念的に第2図に示す。第2図において、21はBi−
Sr−Cu−O膜、22はBi−Sr−Ca−Cu−O膜を示す。ター
ゲット11、12への入力電力、及びそれぞれのターゲット
のスパッタ時間を制御することにより、基体14上に蒸着
するBi−Sr−Cu−O膜21、Bi−Sr−Ca−Cu−O膜22の膜
厚を変えることができる。
素(1:1)混合雰囲気40Paのガス中で各ターゲットのス
パッタリングを行なった。薄膜作製後は酸素雰囲気中に
おいて、冷却した。
Sr−Ca−Cu−O:50 W,Bi−Sr−Cu−O:50Wとし、ターゲッ
ト11、12のスパッタ時間を制御した。Bi−Sr−Ca−Cu−
O膜22の元素の組成比率がBi:Sr:Ca:Cu=2:2:1:2、Bi−
Sr−Cu−O膜21の元素の組成比率がBi:Sr:Cu=2:2:1に
なるよう、ターゲット11、12の元素の組成比率を調整し
た。
せずに基体14上の形成した場合、すなわちBi−Sr−Ca−
Cu−O膜22そのものの特性は、85Kで超電導転移を起こ
し、72Kで抵抗がゼロになるものであった。
ところ、超電導転移は示さず、半導体的な温度依存性を
示した。
2Oy膜単独で成膜したとき、膜厚がそれぞれ30オングス
トローム以上のとき結晶性の薄膜が得られることを見い
出した。
との関係を調べた。第3図に超電導転移温度の膜厚依存
性を示す。超電導転移温度は電気抵抗が高温領域の直線
部分からずれるオンセット温度とオンセット温度直上で
の抵抗率の50%の抵抗率を示すミッドポイント温度によ
って示されている。膜厚が250オングストロームの試料
では、オンセット温度、ミッドポイント温度は、それぞ
れ85K、72Kであった。
超電導性は劣化し膜厚100オングストローム以下の試料
においては4.2Kまで温度をさげても超電導転移は見られ
なかった。次にターゲット11のみを放電し、基体をター
ゲット11の直上に止め、Bi2Sr2CaCu2Oy膜の膜厚を250オ
ングストローム成膜した後、ターゲット11の放電を止
め、基体をターゲット12の直上に移動した後、ターゲッ
ト12を放電させ、Bi2Sr2CaCu2Oy膜の上にBi2Sr2CuOX膜
を膜厚100オングストロームで積層した。この二層構造
膜の超電導特性を調べたところオンセット温度、ミッド
ポイント温度は、それぞれ85K,72Kであり、Bi2Sr2CuOX
膜を積層してもなんらBi2Sr2CaCu2Oy膜の超電導特性に
影響しないことが判明した。
れぞれのターゲット上に所定の時間止め、Bi2Sr2CaCu2O
y超電導膜とBi2Sr2CuOX非超電導膜を周期的に積層した
時、極めて制御性良くdm(Bi2Sr2CaCu2Oy)/dn(Bi2Sr2
CuOX)の周期構造を持つ薄膜を形成できることを見いだ
した。ここでdmはBi2Sr2CaCu2Oy層の膜厚であり、d
nは、それぞれBi2Sr2CuOX層の膜厚である。この方法に
より作製した積層膜は、結晶性が優れ、目的の周期構造
をもつことがX線回折測定よりわかった。
が24オングストローム積層回数が10の試料のX線回折パ
ターンを示す。矢印で示したピークは、積層構造膜特有
のサテライトピークである。このサテライトピークの角
度より積層周期を求めると57オングストロームとなり、
設計した31オングストローム+24オングストローム=55
オングストロームと一致していることが確認できた。
100オングストロームとして、Bi2Sr2CaCu2Oy膜(以下Y
膜と省略する)22の膜厚が31、62、120、250オングスロ
ーム繰り返し回数5〜10、総膜厚1200〜1500オングスト
ロームの多層構造膜を作製し、電気抵抗の温度依存性を
測定した。
温度をさげても抵抗はゼロにならなかった。特性52、5
3、54においてはゼロ抵抗温度がそれぞれ20K、42K、58K
と低いが、X膜21との周期的な積層なしに基体14上につ
けたときのY膜の超電導特性より向上した。この原因は
現在のところ明かではないが、X膜との積層によりY膜
の結晶性が向上し、Y単層膜より超電導特性の劣化が減
少したと考えられる。
界面は非常に急峻であり、元素の拡散が非常に少ないこ
とが判明した。また、Bi−Sr−Ca−Cu−O超電導薄膜と
Bi−Sr−Cu−O薄膜はともに薄膜表面が極めて平坦であ
ることを見いだした。Y膜およびX膜の膜厚をいろいろ
変えた積層膜を作製し、磁場中での電気抵抗の温度依存
性を測定した。磁場をc面に垂直、即ち膜面に垂直に印
加した状態における電気抵抗の温度依存性を第6図
(a)〜(c)、および磁場をc面に平行、すなわち、
膜面に平行に印加した状態における電気抵抗の温度依存
性を第7図(a)〜(c)に示す。多層膜の超電導転移
温度は、膜厚1000オングストロームのY膜の転移温度よ
り低いが磁場をc面に垂直に印加した場合、X膜の積層
の有無にかかわらず、磁場による超電導転移温度領域の
広がりがおおきい。
が250オングストローム、X膜の膜厚が100オングストロ
ームの積層膜において磁場による超電導転移温度領域の
広がりがみられないことがわかった。
行方向では200テスラ以上であった。現在,これらの効
果の詳細な理由については未だ不明であるが、薄い非超
電導X膜22を介して複数のY膜21を積層することにより
Y膜22において超電導機構になんらかの変化が引き起こ
されたことが考えられる。
酸化膜層またはこれを主成分とした層により、ともに覆
われた結晶構造となっているところのBi系超電導薄膜
と、Bi系超電導体と類似の結晶構造をとる非超電導体Bi
−Sr−Cu−Oとが、交互に積層された構造をとることに
よって、超電導膜と非超電導体との間での相互拡散の少
ない積層が可能となり、Bi系超電導薄膜における臨界磁
場の向上を実現することができる。
薄膜超電導体の臨界磁場の向上をはかる構造を提供する
ものであり、デバイス等の応用には必須の低温でのプロ
セス確立したものであり、本発明の工業的価値は大き
い。
略図、第2図は同構造概念図、第3図は第1図の装置に
より得た単層膜の超電導転移温度の膜厚依存性を示す
図、第4図は同多層膜のX線回折パターンの一例を示す
図、第5図は同多層膜における抵抗の温度特性図、第6
図(a)〜(c)および7図(a)〜(c)は同多層膜
における外部磁場下における抵抗の温度特性図である。 11,12……スパッタリングターゲット、13……遮蔽筒、1
4……基体、15……基体ホールダ、21……Bi−Sr−Cu−
O膜、22……Bi−Sr−Ca−Cu−O膜、51,52,53,54……
多層膜の抵抗の温度特性。
Claims (3)
- 【請求項1】Bi2Sr2CaCu2Oyからなる層状酸化物超電導
薄膜と、Bi2Sr2CuOXからなる層状酸化物非超電導薄膜が
交互に積層された構造を持ち、前記層状酸化物超電導薄
膜の各層の膜厚が10オングストローム(1nm)以上400オ
ングストローム(40nm)以下であり、かつ層状酸化物非
超導電薄膜の各層の膜厚が10オングストローム(1nm)
以上400オングストローム(40nm)以下である積層超電
導体。 - 【請求項2】Bi2Sr2CaCu2Oyからなる層状酸化物超電導
薄膜と、Bi2Sr2CuOXからなる層状酸化物非超電導薄膜が
交互に積層された構造を持つ積層超電導体の製造方法で
あって、 前記層状酸化物超電導薄膜と前記層状酸化物非超電導薄
膜を、少なくとも二種以上の蒸発源で蒸発させた物質を
積層し、前記層状酸化物超電導薄膜の各層の膜厚が10オ
ングストローム(1nm)以上400オングストローム(40n
m)以下であり、かつ層状酸化物非超電導薄膜の各層の
膜厚が10オングストローム(1nm)以上400オングストロ
ーム(40nm)以下である積層超電導体を形成することを
特徴とする積層超電導体の製造方法。 - 【請求項3】蒸発がスパッリングである請求項2に記載
の積層超電導体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2335920A JP2866476B2 (ja) | 1990-11-29 | 1990-11-29 | 積層超電導体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2335920A JP2866476B2 (ja) | 1990-11-29 | 1990-11-29 | 積層超電導体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04199888A JPH04199888A (ja) | 1992-07-21 |
JP2866476B2 true JP2866476B2 (ja) | 1999-03-08 |
Family
ID=18293841
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2335920A Expired - Lifetime JP2866476B2 (ja) | 1990-11-29 | 1990-11-29 | 積層超電導体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2866476B2 (ja) |
-
1990
- 1990-11-29 JP JP2335920A patent/JP2866476B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH04199888A (ja) | 1992-07-21 |
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